説明

環立体配座を有する切断型PTHペプチド

本発明は、切断型PTH断片PTH(1〜17)の環化置換類似体であり、ヒトPTH(1〜34)の所望又は同等の生物活性を好ましくは保持するPTHペプチドを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状構造の特徴を有するペプチドPTH(1〜17)の置換類似体、その類似体を調製する方法およびそれらの医学的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
副甲状腺ホルモン
副甲状腺ホルモン(PTH)は、84アミノ酸のペプチドであり、ヒトの身体における血中イオン化カルシウムの主な制御物質である(Kronenberg, H.M., et al.、In Handbook of Experimental Pharmacology、Mundy, G.R.、and Martin, T.J., (eds)、pp.185〜201、Springer-Verlag、Heidelberg、1993)。完全長PTHは、断続的に投与すると骨同化作用があることも知られている(Dempster, D.W., et al.、Endocr.Rev., 14:690〜709、1993)。
【0003】
動物試験において、PTH(1〜34)およびPTH(1〜84)は骨ミネラル濃度および骨強度を効率良く増大させることが示されている。さらに、これらのPTH変異体を用いた骨粗鬆症患者の治療は、新たな骨粗鬆症性骨折の発生を低下させる(Greenspan, S.L.et al.、Ann.Intern.Med., 146:326〜339、2007およびNeer, R.M.et al.、N.Engl.J.Med.344:1434〜1441、2001)。
【0004】
PTH(1〜84)およびPTH(1〜34)を用いた治療は、骨強度を刺激し、骨折を予防するが、各投与後の、一般に嘔吐を伴う一時的なカルシウムの流動および高カルシウム血症によって許容性が制限される。さらに、これらのペプチドは経口または経粘膜により利用可能ではないが、毎日注射しなければならない。
【0005】
加えて、短縮型PTH類似体は、骨に対する同化作用を誘導するのに繰り返し失敗してきた(Murrills, R.J.et al.、Bone35:1263〜1272、2004およびRhee, Y.et al.、Yonsei Med.J., 47:214〜222、2006)。1つの例外は、環状であるが、依然として比較的大きなC末端切断型類似体オスタボリン(hPTH(1〜31))である(Whitfield, J.F.et al.、Calcif.Tissue Int., 60:26〜29、1997)。
【0006】
骨粗鬆症
閉経後骨粗鬆症は、骨折のリスクの増大を伴う、骨密度および強度の低下によって特徴付けられる骨障害である(Lane et al.、Clin.Orthop.Relat, Res., 139〜50、2000;Christiansen、Bone, 17:513S〜6S、1995)。骨粗鬆症性骨折は、脊椎、臀部または大腿頸部において最も頻繁に発生する。これらの骨折は、痛み、長期間続く不動状態および乏しい回復状態のために、患者の生活の質を著しく損う。
【0007】
骨は、ヒト身体において高い活性を示す組織である。2つの型の細胞:骨を吸収する破骨細胞および骨を形成する骨芽細胞によって、骨は絶えず再構築されている。骨の吸収が骨の形成を上回ると、骨の消失が起こり、それが骨粗鬆症に発達する可能性がある(Seeman and Delmas、N.Engl.J.Med.354:2250〜61、2006)。骨粗鬆症は骨折が発生したときに初めて診断されることが多い。
【0008】
閉経後のエストロゲン欠乏は、この疾患の最も一般的な原因である。なぜならエストロゲンは破骨細胞の寿命を中断させるからである。骨粗鬆症の発達における他の主な危険因子には、低カルシウム摂取、ビタビンD欠乏、1型糖尿病、関節リウマチ、抗けいれん剤およびコルチコステロイドなどの薬剤の長期間の使用、および男性における低レベルのテストステロンがある。
【0009】
PTH類似体のシグナル伝達および骨同化活性
PTHは、PTH/PTHrP受容体(PTH1R)、アデニリルシクラーゼ/cAMPと結合したクラスIIのGタンパク質結合7回膜貫通型ドメイン受容体に作用する(Juppner, H.et al.、Science, 254:1024〜1026、1991)。細胞内カルシウムの上昇、タンパク質キナーゼCのホスホリパーゼC依存的および非依存的活性化などの、この受容体の他のシグナル伝達経路が記載されてきている。欠失分析試験は、PTHのアミノ末端残基が、PTH1Rを刺激してcAMPおよびIP3シグナル伝達経路を活性化する際に重要な役割を果たすことを示している。PTH1Rを介したシグナル伝達は、細胞型、受容体密度およびその他を含めた様々なパラメータに依存するようである。骨に生物活性をもたらすシグナル伝達機構は、まだ完全には解明されていない。cAMPを介したPTH1RcAMP-シグナル伝達は、骨に対するPTH類似体の同化作用に必要であるが、十分ではないと考えられる。
【0010】
したがって、完全長PTH(PTH(1〜84))およびよく知られている完全活性断片PTH(1〜34)が断続的に投与され、骨に対する同化活性が臨床上確認されている(Greenspan, S.L.et al.、Ann.Intern.Med., 146:326〜339、2007;Neer, R.M.et al.、N.E.J.M., 344:1434〜1441、2001)。対照的に、骨同化性を有するさらに小さな類似体の検索は大部分が成功していない。少なくとも28アミノ酸の長さを有するC末端切断型類似体は、骨粗鬆症の動物モデルにおいて同化的であることが示されている(Whitfield, J.F.et al.、J.Bone Miner.Res., 15;964〜970、2000)。しかしながら、PTH1RのcAMP経路に対するアゴニスト活性が保持されたときでさえ、さらなる切断が骨同化活性の完全な消失をもたらしている(Murrills, R.J.et al.、Bone, 35:1263〜1272、2004)。
【0011】
わずか11アミノ酸からなる短い類似体は、低効果でPTH1Rを活性化することができるが(WO04/067021)、これらの類似体の骨同化活性は報告されておらず、予想し得ない。
【0012】
WO03/009804およびWO04/093902では、PTH(1〜14)類似体の位置1および3におけるαヘリックス安定化アミノ酸の導入は、cAMPの蓄積を刺激する化合物の能力を改善すると提案されている。同定された最も強力な化合物は、[Ac5c1、Aib3、Gln10、Har11、Ala12、Trp14]PTH(1〜14)([Ac5c1、Aib3]MPTH(1〜14))であった。しかし、これらの化合物の骨同化活性は、示されていない。しかしながら、密接に関係がある類似体[Aib1,3、Phe7、Nle8、Arg11、Ala12、Trp14]PTH(1〜14)は、卵巣切除ラットの骨に対してどんな骨同化活性も示さなかったが、ただしこのペプチドはin vitroでPTH1Rを活性化した(Rhee, Y.et al.、Yonsei Medical Journal, 47:214〜222、2006)。さらに、PTH(1〜29)の骨同化活性は、卵巣切除ラットのモデルにおいてPTH(1〜34)の約20分の1の強度であることが示されてきており、一方修飾型のPTH(1〜21)([Ala1,3、Nle8、Gln10、Har11、Trp14、Arg19、Tyr21]rPTH(1〜21)(MPTH(1〜21))は不活性であった(Murrills, R.J.et al.、(2004)Bone, 35:1263〜1272)。結論として、in vitroのみでのPTH1RのcAMPシグナル伝達経路に対するアゴニスト活性は、in vivoでの骨同化活性を全く予示しない。
【0013】
シトクロムP450酵素系
シトクロムP450(CYP)酵素系は50を超えるヒトアイソフォームからなり、その中の5個(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6およびCYP3A4)が、CYP系によって代謝される95%の薬剤の代謝を担う(P.Anzenbacher and E.Anzenbacherova、Cell.Mol.Life Sci., 58:737〜47、2001)。CYP系によって代謝されるおよび/またはCYP系を阻害する薬剤の同時投与は、身体中の薬剤および/または中間毒性代謝産物の蓄積をもたらし、それによって重大な副作用が誘導される可能性がある。したがって、FDAは全ての新しい化学物質のCYP相互作用の特徴付けを勧めている(産業用ガイダンス、「薬剤開発プロセスにおける薬剤代謝/薬剤相互作用試験:in vitro試験」米国食品医薬品局、1997年4月)。CYPアイソフォームの1つ、CYP2D6は、全てのCYP代謝薬剤の25%の代謝を担うと予想される。CYP2D6阻害の重大な可能性はチオリダンジンの観察された心臓毒性であり、これはCYP2D6阻害と関係がある薬剤の潜在的危険を実証する(Llerena A.et al.、J.Phychopharmacol., 16(4):361〜4、2002)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】WO04/067021
【特許文献2】WO03/009804
【特許文献3】WO04/093902
【特許文献4】WO98/11125
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Kronenberg, H.M., et al.、In Handbook of Experimental Pharmacology、Mundy, G.R.、and Martin, T.J., (eds)、pp.185〜201、Springer-Verlag、Heidelberg、1993
【非特許文献2】Dempster, D.W., et al.、Endocr.Rev., 14:690〜709、1993
【非特許文献3】Greenspan, S.L.et al.、Ann.Intern.Med., 146:326〜339、2007
【非特許文献4】Neer, R.M.et al.、N.Engl.J.Med.344:1434〜1441、2001
【非特許文献5】Murrills, R.J.et al.、Bone35:1263〜1272、2004
【非特許文献6】Rhee, Y.et al.、Yonsei Med.J., 47:214〜222、2006
【非特許文献7】Whitfield, J.F.et al.、Calcif.Tissue Int., 60:26〜29、1997
【非特許文献8】Lane et al.、Clin.Orthop.Relat, Res., 139〜50、2000
【非特許文献9】Christiansen、Bone, 17:513S〜6S、1995
【非特許文献10】Seeman and Delmas、N.Engl.J.Med.354:2250〜61、2006
【非特許文献11】Juppner, H.et al.、Science, 254:1024〜1026、1991
【非特許文献12】Neer, R.M.et al.、N.E.J.M., 344:1434〜1441、2001
【非特許文献13】Whitfield, J.F.et al.、J.Bone Miner.Res., 15;964〜970、2000
【非特許文献14】P.Anzenbacher and E.Anzenbacherova、Cell.Mol.Life Sci., 58:737〜47、2001
【非特許文献15】Llerena A.et al.、J.Phychopharmacol., 16(4):361〜4、2002
【非特許文献16】Synthetic Peptides、A users guide.2nd ed.2002.Oxford University Press.Ed.Grant、G.A
【非特許文献17】「Remington's Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvania、19th Edition、1995
【非特許文献18】the Encyclopaedia of Pharmaceutical Technology
【非特許文献19】「Batchwise peptide synthesis on TentaGel resin」
【非特許文献20】「Deprotection of OA11 and Aloe」
【非特許文献21】「Cyclisation with Lys and Asp side chains」
【非特許文献22】Livesey and Donald、Clin.Chim.Acta1982、123:193〜8
【非特許文献23】Wronski TJ et al.、Calcif.Tissue Int., 43(3):179〜183、1988
【非特許文献24】Peter C、Rodan GA.Preclinical safety profile of alendronate.Int J Clin Pract Suppl 1999;101:3〜8
【非特許文献25】Stewart AF、Cain RL、Burr DB、Jacob D、Turner CH、Hock JM
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
概して本発明は、C末端切断型PTH断片、例えばPTH(1〜17)の環化置換類似体であり、ヒトPTH(1〜34)の所望の生物活性を好ましくは保持するPTHペプチドを提供する。本発明の幾つかの実施形態では、環状PTHペプチドは二量体の形で提供する。代替的または追加的に、本発明は、成体脊椎動物において石灰化骨の形成をもたらすCYP450酵素および/または骨同化活性への干渉が少ないPTH類似体を提供する。PTH(1〜34)と比較して比較的小さなサイズの本発明のペプチド類似体は、経口、鼻腔または肺投与用の製剤において利用することができる。
【0017】
本明細書を通じて、残基の位置は完全長野生型PTH(1〜17)に対して番号付けする。したがって、例えば、位置11に対する言及は、PTH(1〜17)のN末端から11番目の残基に対する言及として解釈すべきである。これに関連して、位置16におけるアミノ酸が存在しない本発明の実施形態では、C末端アミノ酸は位置17としてさらに定義されることに留意しなければならない。
【0018】
特に本出願は、野生型PTH(1〜17)に対して1つまたは複数の置換を有し、野生型PTH(1〜17)および[Ac5c1、Aib3]MPTH(1〜14)と比較して改善された性質を有し得るPTH(1〜17)ペプチドに関する。これらの置換は、任意のアミノ酸位置における保存的置換を、少なくとも1つの非保存的アミノ酸置換と場合によって組み合わせて含むことができる。特に本発明は、残基A13と残基A17の間の環状結合、例えばこれらの位置におけるアミノ酸残基の側鎖間で形成される環状結合に関する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、一態様では本発明は、
R1-Z1-A1-A2-A3-A4-A5-A6-A7-A8-A9-A10-A11-A12-A13-A14-Leu-A16-A17-Z2-R2
からなる式Iによって表される生物活性PTH(1〜17)類似体ペプチド
[式中、
R1は、水素、NH2、RHN、RR3Nであり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)、アセチル、ホルミル、ベンゾイルまたはトリフルオロアセチルを表し、
A1は、Ac5c、Gly、Ser、Alaまたは任意のαヘリックス安定化残基であり、
A2は、Valまたは保存的置換であり、
A3は、Aib、Ala、Serまたは任意のαヘリックス安定化残基であり、
A4は、Gluまたは保存的置換であり、
A5は、Ileまたは保存的置換であり、
A6は、Gln、Gluまたは保存的置換であり、
A7は、LeuもしくはPheまたは保存的置換であり、
A8は、Met、Leu、Nle、Valまたは保存的置換であり、
A9は、Hisまたは保存的置換であり、
A10は、Gln、Glu、Asp、Ala、Valまたは保存的置換であり、
A11は、Har、Arg、Ala、Ile、Lysまたは保存的置換であり、
A12は、Ala、Arg、Hisまたは保存的置換であり、
A13は、Lys、Orn、Asp、Glu、Cys、DabまたはDprであり、
A14は、Trp、Phe、Leu、Arg、Hisまたは保存的置換であり、
A16は、Asn、Asp、保存的置換であるかまたは存在せず、
A17は、Lys、Orn、Glu、Cys、Asp、DabまたはDprであり、
R2は、OH、OR、NRH、NRR3またはNH2であり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)を表し、
A13とA17は、1つまたは複数の共有結合によって連結し、
Z1およびZ2は独立に、存在しないか、またはAla、Leu、Met、Gln、Glu、Lys、Dab、DprおよびOrnからなる群から選択される1〜10アミノ酸単位のペプチド配列である]
またはそのホモ二量体、ヘテロ二量体、もしくは薬剤として許容される塩もしくは誘導体に関する。
【0020】
当技術分野でよく知られているように、αヘリックス安定化残基にはGly、SerおよびAla、ならびにAc5c、Ac6c、Abu、NvaおよびAibなどの非天然アミノ酸残基がある。
【0021】
さらなる態様では本発明は、
R1-Z1-A1-Val-A3-Glu-Ile-A6-A7-A8-His-A10-A11-A12-A13-A14-Leu-A16-A17-Z2-R2
からなる式IIによって表される生物活性PTH(1〜17)類似体ペプチド
[式中、
R1は、水素、NH2、RHN、RR3Nであり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)、アセチル、ホルミル、ベンゾイルまたはトリフルオロアセチルを表し、
A1は、Ac5c、Gly、Ser、Alaまたは任意のαヘリックス安定化残基であり、
A3は、Aib、Ala、Serまたは任意のαヘリックス安定化残基であり、
A6は、GlnまたはGluであり、
A7は、LeuまたはPheであり、
A8は、Met、Leu、NleまたはValであり、
A10は、Gln、Glu、Asp、AlaまたはValであり、
A11は、Har、Arg、Ala、IleまたはLysであり、
A12は、Ala、ArgまたはHisであり、
A13は、Lys、Orn、Asp、Glu、Cys、DabまたはDprであり、
A14は、Trp、Phe、Leu、ArgまたはHisであり、
A16は、Asn、Aspであるかまたは存在せず、
A17は、Lys、Orn、Glu、Cys、Asp、DabまたはDprであり、
R2は、OH、OR、NRH、NRR3またはNH2であり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)を表し、
A13とA17は、1つまたは複数の共有結合によって連結し、
Z1およびZ2は独立に、存在しないか、またはAla、Leu、Lys、Dab、DprおよびOrnからなる群から選択される1〜10アミノ酸単位のペプチド配列である]
またはそのホモ二量体、ヘテロ二量体、もしくは薬剤として許容される塩もしくは誘導体を提供する。
【0022】
さらなる態様では本発明は、式III:
R1-Z1-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-A6-Leu-A8-His-A10-A11-Ala-A13-A14-Leu-A16--A17-Z2-R2
を有する置換PTH(1〜17)類似体ペプチド
[式中、
R1は、水素、NH2、RHN、RR3Nであり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)、アセチル、ホルミル、ベンゾイルまたはトリフルオロアセチルを表し、
A6は、GlnまたはGluであり、
A8は、Met、Leu、NleまたはValであり、
A10は、GlnまたはGluであり、
A11は、HarまたはArgであり、
A13は、Lys、Orn、Asp、Glu、Cys、DabまたはDprであり、
A14は、TrpまたはPheであり、
A16は、Asn、Aspであるかまたは存在せず、
A17は、Lys、Orn、Glu、Cys、Asp、DabまたはDprであり、
R2は、OH、OR、NRH、NRR3またはNH2であり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)を表し、
A13とA17は、1つまたは複数の共有結合によって連結し、
Z1およびZ2は独立に、存在しないか、またはAla、Leu、Glu、Lys、Dab、DprおよびOrnからなる群から選択される1〜10アミノ酸単位のペプチド配列である]
またはそのホモ二量体、ヘテロ二量体、もしくは薬剤として許容される塩もしくは誘導体を提供する。
【0023】
さらなる態様では本発明は、
R1-Z1-A1-Val-A3-Glu-Ile-A6-A7-A8-His-A10-A11-A12-A13-A14-Leu-A16-A17-Z2-R2
からなる式IVによって表される生物活性PTH(1〜17)類似体ペプチド
[式中、
R1は、水素、NH2、RHN、RR3Nであり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)、アセチル、ホルミル、ベンゾイルまたはトリフルオロアセチルを表し、
A1は、Ac5c、Ac6c、Abu、Nva、またはAibであり、
A3は、Ac5c、Aib、Abu、またはNvaであり、
A6は、GlnまたはGluであり、
A7は、LeuまたはPheであり、
A8は、Met、Leu、ValまたはNleであり、
A10は、GlnまたはGluであり、
A11は、HarまたはArgであり、
A12は、AlaまたはArgであり、
A13は、Lys、Glu、AspまたはCysであり、
A14は、TrpまたはPheであり、
A16は、Asn、Aspであるかまたは存在せず、
A17は、Glu、Cys、AspまたはLysであり、
R2は、OH、OR、NRH、NRR3またはNH2であり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)を表し、
A13とA17は、1つまたは複数の共有結合によって連結し、
Z1およびZ2は独立に、存在しないか、またはAla、Leu、Lys、Dab、DprおよびOrnからなる群から選択される1〜10アミノ酸単位のペプチド配列である]
またはそのホモ二量体、ヘテロ二量体、もしくは薬剤として許容される塩もしくは誘導体を提供する。
【0024】
さらなる態様では本発明は、
R1-Z1-A1-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-A7-A8-His-Gln-A11-A12-A13-Trp-Leu-A16-A17-Z2-R2
からなる式Vによって表される生物活性PTH(1〜17)類似体ペプチド
[式中、
R1は、水素、NH2、RHN、RR3Nであり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)、アセチル、ホルミル、ベンゾイルまたはトリフルオロアセチルを表し、
A1は、Ac5cまたはAc6cであり、
A7は、LeuまたはPheであり、
A8は、Met、Leu、またはNleであり、
A11は、HarまたはArgであり、
A12は、AlaまたはArgであり、
A13は、LysまたはGluであり、
A16は、Asnであるかまたは存在せず、
A17は、Glu、またはAspであり、
R2は、OH、OR、NRH、NRR3またはNH2であり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)を表し、
A13とA17は、1つまたは複数の共有結合によって連結し、
Z1およびZ2は独立に、存在しないか、またはAla、Leu、Lys、Dab、DprおよびOrnからなる群から選択される1〜10アミノ酸単位のペプチド配列である]
またはそのホモ二量体、ヘテロ二量体、もしくは薬剤として許容される塩もしくは誘導体を提供する。
【0025】
アミド(ラクタム)、エステル(ラクトン)、エーテル、ケトンまたはジスルフィドだけには限られないが、これらを含めた、側鎖間の環化または架橋に関する多くの可能性が存在する(Synthetic Peptides、A users guide.2nd ed.2002.Oxford University Press.Ed.Grant、G.A)。これらの可能性のいずれかを使用して、前に定義した式中のA13およびA17アミノ酸残基の側鎖を共有結合させることが可能である。
【0026】
特に好ましい実施形態では、A13とA17の間の共有結合は、ラクタム架橋またはシステイン架橋を含む。
【0027】
本発明の他の実施形態では、二量体の形のPTH類似体を提供する。二量体はAc5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys-Trp-Leu-Asn-Asp-NH2だけには限られないが、これらなどのPTH類似体のホモ二量体として形成され得る。
【0028】
本発明の他の実施形態では、形成される二量体は、Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys-Trp-Leu-Asn-Asp-NH2およびAc5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys-Trp-Leu-Asp-NH2だけには限られないが、これらなどの2つの異なるPTH類似体のヘテロ二量体である。
【0029】
さらなる態様では本発明は、残基A1からA17の間に(両端残基を含めて)野生型ヒトPTH(1〜17)に対して少なくとも2〜14個までの置換を含む、置換PTH(1〜17)ペプチドに関する。
【0030】
式I、IIまたはIIIのペプチドは、野生型PTHに対して位置1または3における1個または2個の置換を、位置6、7、8、10、11、12、13、14、16または17を含めたさらなる位置における1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の置換と場合によって組み合わせて含むことが好ましい。
【0031】
本発明の類似体中に存在し、式I〜IIIの範囲内にあり得る、位置6、7、8、10、11、12、13、14、16または17における残基の組合せの例は以下の通りである。
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号2)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-OH (配列番号4)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-OH (配列番号5)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Asp()Trp-Leu-Asn-Lys()-NH2 (配列番号6)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Cys()Trp-Leu-Asn-Cys()-NH2 (配列番号7)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Glu()Trp-Leu-Asn-Lys()-NH2 (配列番号8)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Glu()-NH2 (配列番号9)
H-Ac6c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号10)
H-Abu-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号11)
H-Nva-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号12)
H-Aib-Val-Ac5c-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号13)
H-Ac5c-Val-Ac5c-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号14)
H-Ac5c-Val-Abu-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号15)
H-Ac5c-Val-Nva-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号16)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Glu-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号18)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号19)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Nle-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号20)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Val-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号21)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asp-Asp()-NH2 (配列番号22)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asp-Asp()-NH2 (配列番号23)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Glu-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号24)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Arg-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号25)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()Phe-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号26)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Phe-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号27)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Arg-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号28)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Glu-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号29)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asp()-NH2 (配列番号30)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys-Trp-NH2 (配列番号31)
(H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asp()-NH2)2 (配列番号33)
(H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2)2 (配列番号39)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met(O)-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号40)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Dab()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号41)
[式中、括弧()は環化部位を示す]
【0032】
本発明のペプチドにおける保存的置換は、天然アミノ酸に関する一文字コードを使用する以下の表1中に示すように、5つの群I〜Vにグループ分けする:
【0033】
【表1】

【0034】
しかしながら、本発明の他の実施形態では、Z1および/またはZ2が存在しない可能性がある。
【0035】
式I〜IIIの範囲内に入る個々のペプチド配列は表3中に述べる。
【0036】
最も詳細には、本発明は特に、PTH(1〜17)類似体のA13とA17の間に共有結合が存在するPTH類似体に関する。本明細書に示すように、PTH(1〜17)類似体のA13とA17の間の共有結合は、共有結合を有していない同様のPTHアゴニストと比較して、前記ペプチドの効能に対して著しい影響を有する。
【0037】
さらなる態様では本発明は、本明細書で定義するPTHペプチドを治療の必要性がある対象に投与することを含む、医学的治療方法を提供する。
【0038】
さらなる態様では本発明は、療法において使用するための本発明のPTHペプチドを提供する。
【0039】
さらなる態様では本発明は、PTH誘導体および薬剤として許容される賦形剤および/または生理食塩水もしくは生理緩衝溶液などの薬剤として許容される溶液を含む、医薬組成物も提供する。
【0040】
さらなる態様では本発明は、骨量の減少によって特徴付けられる哺乳動物の状態を治療するための方法も提供し、この方法は、骨量を増大するのに有効な量の生物活性PTHポリペプチドを、その必要性がある対象に投与することを含む。本発明の好ましい実施形態は、骨粗鬆症などの状態を対象とする。骨粗鬆症の型には、老年性骨粗鬆症および閉経後骨粗鬆症があるが、これらだけには限られない。
【0041】
さらなる態様では本発明は、PTH-1受容体を有する哺乳動物細胞中のcAMPを増大させる方法を提供し、この方法は、細胞を十分な量の本発明のポリペプチドと接触させてcAMPを増大させることを含む。
【0042】
さらに、これらのポリペプチド類似体は、骨量減少がある患者の治療において有用である。骨量減少は、骨粗鬆症、グルココルチコイド誘導性骨量減少、副腎皮質機能亢進症(亜臨床性と臨床性の両方)、癌、高カルシウム血症、腎不全または他の腎臓疾患、腎移植および付随する薬理学的治療、胆汁鬱帯性肝疾患、ウイルス性肝炎、肝臓移植、副甲状腺機能亢進症、気管支喘息(ホルモン依存性含む)、血液透析が原因の障害、および骨軟化症などの状態に起因する可能性がある。
【0043】
実施例中に示すように、本発明のペプチドの環状共有結合構造の存在は、直線状PTH(1〜17)類似体に関して観察される、シトクロムP450酵素、および特にCYP2D6の阻害を予防するのを手助けするという利点を好ましくは有する。代替的または追加的に、本明細書に示すように、本発明の環状類似体は、卵巣切除(OVX)ラットのモデルにおいて偽レベルを有意に超えて、骨ミネラル濃度および/または骨強度の増大をもたらし、これは直線状PTH(1〜17)類似体に関して以前は観察されなかった。
【0044】
したがって、配列番号19および他の半環状類似体はPTH受容体に対して保存的活性を有し、CYP2D6活性に対する任意の阻害効果の不在下で骨形成を刺激する事実は、この化合物を用いた長期の治療が、この酵素によって代謝される他の薬剤または薬草品の薬物動態に影響を与えないことを示す。したがって、この新規なクラスの化合物を用いた長期の治療は、増大した安定性と関係があると我々は期待する。さらに、多数の薬剤および薬草サプリメントを摂取することが多い高齢者集団では、この特徴は特に重要である可能性がある。薬草と薬剤の相互作用に関する利用可能な情報があまり無いために、これらは薬剤の乏しい許容性として誤解されることが多い。したがって、CYP2D6活性の影響の欠如は処方薬への適合におそらく重要である可能性があり、したがってより良い長期の有効性につながる可能性がある。
【0045】
ここで本発明の実施形態を、添付の図面を参照して、制限的にではなく例証として、より詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】新規のPTH(1〜17)類似体を用いたMC3T3-E1細胞に対する代表的なcAMPの有効性の実験の図である。ホスホジエステラーゼ阻害剤の存在下において37℃で15分間、様々な濃度のPTHペプチドを用いて細胞を刺激した。誤差線は三連の標準偏差を示す。
【図2】新規の環状モノマー配列番号30および対応する共有結合ホモ二量体配列番号33を用いたMC3T3-E1細胞に対する代表的なcAMPの有効性の実験の図である。ホスホジエステラーゼ阻害剤の存在下において37℃で15分間、様々な濃度のPTHペプチドを用いて細胞を刺激した。誤差線は三連の標準偏差を示す。
【図3】Saos-2細胞に対するPTH(1〜17)類似体を用いたcAMPの有効性のアッセイの図である。環状PTH類似体配列番号2は、同じαヘリックス安定化アミノ酸残基を含む非環状類似体より有意に高い効能を示した。誤差線は平均の標準誤差を表す。
【図4】Saos-2細胞に対するPTH(1〜17)類似体を用いたcAMPの有効性のアッセイの図である。環状PTH類似体配列番号4は、同じαヘリックス安定化アミノ酸残基を含む非環状類似体より高い効能を示した。示したデータは、同様の最大効果を有する2つの別個の実験から組み合わせる。誤差線は平均の標準誤差を表す。
【図5】Saos-2細胞に対するPTH(1〜17)類似体を用いたcAMPの有効性のアッセイの図である。αヘリックス安定化アミノ酸も含む環状PTH類似体配列番号34は、同じαヘリックス安定化アミノ酸残基を含むかまたは含まない非環状類似体、およびαヘリックス安定化アミノ酸を欠く環状類似体より、著しく高い効能を示した。一点決定として決定を行った。
【図6】DEXAスキャニングによる骨ミネラル濃度(BMD)の決定の図である。骨梁が豊富な高応答性部位を表す、OVX動物の脛骨近位端における18%の骨量減少は、配列番号19および配列番号33によって完全に逆になった。誤差線は平均の標準誤差を表す。
【図7】DEXAスキャニングによる骨ミネラル濃度(BMD)の決定の図である。腰椎L1-L2におけるBMDは、賦形剤で治療したOVXおよび擬似治療動物におけるBMDに対して、配列番号19および配列番号33によって改善された。誤差線は平均の標準誤差を表す。
【図8】DEXAスキャニングによる骨ミネラル濃度(BMD)の決定の図である。配列番号19および配列番号33で治療した動物におけるBMDは、全ての用量において賦形剤で治療したOVX動物と比較して有意に増大し、20nmol/kg/dより高い用量で偽対照レベルにおいて有意に増大した。誤差線は平均の標準誤差を表す。
【図9】DEXAスキャニングによる骨ミネラル濃度(BMD)の決定の図である。大腿骨骨幹軸、皮質骨が豊富な部位におけるBMDは、配列番号19および配列番号33によって改善された。約8%のBMDの増大が、賦形剤で治療したOVX動物と比較して示された。誤差線は平均の標準誤差を表す。
【図10】骨強度の測定の図である。圧縮試験における大腿骨頭の骨強度は、配列番号19および配列番号33によって改善された。骨強度は、全ての用量において賦形剤で治療したOVXおよび擬似治療動物中より高かった。誤差線は平均の標準誤差を表す。
【図11】骨強度の測定の図である。三点曲げ試験における大腿骨の骨強度は、配列番号19および配列番号33によって改善された。骨強度は、全ての用量において賦形剤で治療したOVX動物中でより高く、20nmol/kg/dより高い配列番号19の用量は、賦形剤で治療した擬似治療動物と比較して増大した強度をさらにもたらした。誤差線は平均の標準誤差を表す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
定義:
本記載および特許請求の範囲を通じて、天然アミノ酸に関する従来の一文字および三文字コード、ならびにノルロイシン(Nle)、ホモアルギニン(Har)、1-アミノシクロペンタンカルボン酸(Ac5c)、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dpr)、2,5-ジアミノペンタン酸(Orn)およびα-アミノイソブタン酸(Aib)などの他のα-アミノ酸に関する一般に認められている三文字コードを使用する。
【0048】
本発明のPTH類似体は、正または負に帯電したとして記載する残基を含む。これは、問題の残基の側鎖官能基が、約7.4であると考えられる生理的pHで、完全または部分的な正もしくは負電荷を有することを意味すると理解すべきである。
【0049】
単一残基は部分的な正電荷を有することができないことは理解されよう。この用語は代わりに、所与の系中で同じ配列を有するペプチドの母集団全体における、関連残基上の平均電荷を指す。問題の残基のイオン性側鎖官能基のpKが7.4の約2pH単位、すなわち約5.4と約9.4の間である場合、これは0と1の間になる。
【0050】
「正に帯電した」残基のpKaは約6を超えることが好ましい。「負に帯電した」残基のpKaは約8を下回ることが好ましい。「正に帯電した」残基の例にはLys、Arg、Har、His、Orn、DabおよびDprがある。
【0051】
「負に帯電した」残基の例にはAspおよびGluがある。
【0052】
「中性」残基は、生理的pHで電荷を実質的に有していない残基である。これらにはGln、Asn、Ala、Gly、Ser、Thr、Ile、Leu、Met、Phe、Pro、Trp、Valがある。
【0053】
「芳香族」残基にはHis、Phe、TyrおよびTrpがある。
【0054】
本発明のペプチドにおける保存的置換は、天然アミノ酸に関する一文字コードを使用する以下の表2中に示すように、5つの群I〜Vにグループ分けする:
【0055】
【表2】

【0056】
本発明のアミノ酸残基はD-またはL-形状のいずれかを有し得るが、それらはL-形状を有することが好ましい。
【0057】
参考までに、PTHは以下の配列を有する84アミノ酸のペプチドとして分泌される。H-Ser-Val-Ser-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Asn-Leu-Gly-Lys-His-Leu-Asn-Ser-Met-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Lys-Leu-Gln-Asp-Val-His-Asn-Phe-Val-Ala-Leu-Gly-Ala-Pro-Leu-Ala-Pro-Arg-Asp-Ala-Gly-Ser-Gln-Arg-Pro-Arg-Lys-Lys-Glu-Asp-Asn-Val-Leu-Val-Glu-Ser-His-Glu-Lys-Ser-Leu-Gly-Glu-Ala-Asp-Lys-Ala-Asp-Val-Asn-Val-Leu-Thr-Lys-Ala-Lys-Ser-Gln-OH。
【0058】
本発明のPTH類似体は、前に定義した原型PTHと比較して1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失、または付加を有する。
【0059】
驚くことに、置換PTH(1〜17)類似体分子は、PTH-1受容体などのPTH受容体に対してcAMP蓄積の持続的活性を示すことが分かっており、以下の実施例中に示すように、これらの分子はin vivoでも活性がある。
【0060】
他の態様では本発明は、PTH(1〜17)および[Ac5c1、Aib3]MPTH(1〜14)と比較して、分解に対して改善された化学的安定性と薬学的安定性の両方を有する新規なペプチドを提供する。
【0061】
[Ac5c1、Aib3]MPTH(1〜14)のAla、Leu、Nle、Val、Ser、Glu、Asp、LysまたはArgとの置換による位置6、8、10、11、13、14、16または17の1つまたは複数における修飾は分子の化学的安定性を増大させ、したがって保存寿命を改善し、配合中の分解を減らす可能性がある。
【0062】
本発明の類似体は、そのアミノ酸側鎖官能基、末端アミノ基、または末端カルボン酸基の1つまたは複数の化学修飾を含むことができる。化学修飾には、化学成分の付加、新たな結合の作成、および化学成分の除去があるが、これらだけには限られない。アミノ酸側鎖基における修飾には、非制限的にリシンε-アミノ基のアシル化、アルギニン、ヒスチジン、またはリシンのN-アルキル化、グルタミンまたはアスパラギンカルボン酸基のエステル化、およびグルタミンまたはアスパラギンの脱アミド化がある。末端アミノの修飾には、非制限的にデス-アミノ、N-低級アルキル、N-ジ-低級アルキル、およびN-アシルの修飾がある。末端カルボキシ基の修飾には、非制限的にアミド、低級アルキルアミド、ジアルキルアミド、および低級アルキルエステルの修飾がある。好ましくは本明細書では、低級アルキルはC1〜C4アルキルである。さらに、1つまたは複数の側鎖基、または末端基は、当業者のペプチド化学者に知られている保護基によって保護することができる。
【0063】
本明細書で使用する「生物活性」は、OVXラットの実験モデルを使用した実施例中で実証したように、成体脊椎動物において石灰化骨の形成をもたらすPTH類似体またはその誘導体の骨同化活性を指す。この生物活性は、断続的投与レジメンにおいて適切な用量で決定することが好ましい。
【0064】
代替的または追加的に、本発明のPTHペプチドのさらなる生物活性は、それらがシトクロムP450(CYP)酵素の活性を有意に阻害しないことである。例えば、CYPアイソフォーム特異的代謝産物の形成率として測定した活性は、対照、例えば賦形剤のみの存在下での形成率と比較して、本発明のPTHペプチドにより30%を超えて、および好ましくは20%を超えずに低下しないことを意味することが好ましい。
【0065】
本発明のペプチドは、塩または他の誘導体の形で提供することもできることは理解すべきである。塩には、酸付加塩および塩基性塩などの薬剤として許容される塩がある。酸付加塩の例には、塩酸塩、クエン酸塩および酢酸塩がある。塩基性塩の例には、ナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、およびR3およびR4が独立に場合によって置換されたC(1〜6)-アルキル、場合によって置換されたC(2〜6)-アルケニル、場合によって置換されたアリール、または場合によって置換されたヘテロアリールを表すアンモニウムイオン+N(R3)3または(R4)などのアルカリ土類金属からカチオンが選択される塩がある。
【0066】
薬剤として許容される塩の他の例は、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvania、19th Edition、1995中、およびthe Encyclopaedia of Pharmaceutical Technology中に記載されている。
【0067】
本発明のPTH類似体の他の誘導体には、Mn2+およびZn2+などの金属イオンとの配位錯体、in vivoで加水分解し得るエステルなどのエステル、遊離酸または塩基、水和物、プロドラッグまたは脂質がある。当技術分野でよく知られている技法を使用して、化合物中に存在するヒドロキシルまたはカルボン酸基と適切なカルボン酸またはアルコール反応パートナーの間で、エステルを形成することができる。化合物のプロドラッグとして作用する誘導体は、in vivoまたはin vitroで親化合物の1つに変換可能である、典型的には、化合物の生物活性の少なくとも1つはプロドラッグ形の化合物において低下し、プロドラッグの変換により活性化されて化合物またはその代謝産物が放出され得る。プロドラッグの例は、in situで除去して活性化合物を放出することができる、またはin vivoでの薬剤のクリアランスを阻害するために働くことができる保護基の使用を含む。
【0068】
本発明の特定の実施形態では、Z1およびZ2は、1〜10個のアミノ酸残基、例えば2〜8個の範囲、特に3〜6個のアミノ酸残基の範囲、例えば2、3、4、5または6個のアミノ酸残基のペプチド配列である。典型的には、Z1およびZ2の1個のみ、Z1などが存在する。ペプチド配列Z中のアミノ酸残基のそれぞれは、Ala、Leu、Ser、Thr、Tyr、Asn、Gln、Asp、Glu、Lys、Arg、His、Ornから独立に選択される。アミノ酸残基は、Ser、Thr、Tyr、Asn、Gln、Asp、Lys、Arg、His、Orn、DabおよびDpr、特にLysから選択されることが好ましい。前述のアミノ酸はD-またはL-形状のいずれかを有し得るが、前述のアミノ酸はL-形状を有することが好ましい。
【0069】
分子のNおよび/またはC末端におけるこのようなペプチドは、PTH類似体ペプチドの可溶性を増大させ、例えばプロテアーゼ活性に対する安定性を増大させ、したがって増大した半減期および低い凝集傾向などの、改善された薬物動態性をもたらすと考えられる。
【0070】
PTHペプチドの例を以下の表3中に示す。幾つかのペプチドは対照であり、本発明のペプチド(例えば、PTH1〜34、配列番号32を参照)との比較によって与える。本発明のペプチドの好ましい群は、表中に太字テキストで示す。
【0071】
表3:関連のペプチド
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Asn-Leu-Gly-Lys-His-Leu-Asn-Asp-NH2 (配列番号1)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号2)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys-Trp-Leu-Asn-Asn-NH2 (配列番号3)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gin-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-OH (配列番号4)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-OH (配列番号5)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Asp()-Trp-Leu-Asn-Lys()-NH2 (配列番号6)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Cys()-Trp-Leu-Asn-Cys()-NH2 (配列番号7)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Glu()-Trp-Leu-Asn-Lys()-NH2 (配列番号8)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Glu()-NH2 (配列番号9)
H-Ac6c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号10)
H-Abu-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号11)
H-Nva-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号12)
H-Aib-Val-Ac5c-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号13)
H-Ac5c-Val-Ac5c-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号14)
H-Ac5c-Val-Abu-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号15)
H-Ac5c-Val-Nva-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号16)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Dpr()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号17)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Glu-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号18)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号19)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Nle-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号20)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Val-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号21)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asp-Asp()-NH2 (配列番号22)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asp-Asp()-NH2 (配列番号23)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Glu-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号24)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gin-Arg-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号25)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Phe-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号26)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Phe-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号27)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Arg-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号28)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Glu-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号29)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asp()-NH2 (配列番号30)
H-Ac5c-Vai-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys-Trp-NH2 (配列番号31)
H-Ser-Val-Ser-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Asn-Leu-Gly-Lys-His-Leu-Asn-Ser-Met-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Lys-Leu-Gln-Asp-Val-His-Asn-Phe-OH (配列番号32) (PTH(1-34))
(H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asp()-NH2)2 (配列番号33)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Asn-Leu-Gly-Lys()-His-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号34)
H-Ser-Val-Ser-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Asn-Leu-Gly-Lys()-His-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号36)
H-Ser-Val-Ser-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Asn-Leu-Gly-Lys-His-Leu-Asn-Ser-NH2 (配列番号37)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys-Trp-Leu-Asn-Asp-OH (配列番号38)
(H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2)2 (配列番号39)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met(O)-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号40)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Dab()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号41)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys-Trp-Leu-Asn-Asp-NH2 (配列番号42)
[式中、括弧()は環化部位を示す]
【0072】
前に記載したように、本発明は特に、PTH(1〜17)類似体のA13とA17の間に共有結合が存在するPTH類似体に関する。前記共有結合によって得られるペプチドの環立体配座は、共有結合を有していない同様のPTHアゴニストと比較して、in vitroでの前記ペプチドの効能に対して有益な影響を有する。特に、およびより重要なことに、環状類似体は、卵巣切除ラットのモデルにおいて骨ミネラル濃度および骨強度を増大させること、28アミノ酸より短い直線状PTH類似体に関して以前に示されなかった影響が示されてきている。
【0073】
本発明者らはさらに、直線状PTH(1〜17)およびPTH(1〜14)類似体に関して見られたように、共有結合はシトクロムP4502D6の阻害も妨げると考える。
【0074】
本明細書で使用する用語共有結合は、その語の意味を変えずに、用語環化、連結、結合または架橋に置き換えることができる。
【0075】
アミド(ラクタム)、エステル(ラクトン)、エーテル、ケトンまたはジスルフィドだけには限られないが、これらを含めた、側鎖間の環化に関する多くの可能性が存在する(Synthetic Peptides、A users guide.2nd ed.2002.Oxford University Press.Ed.Grant、G.A)。
【0076】
A13とA17の間の共有結合は、ラクタム架橋またはシステイン架橋を含む。
【0077】
本発明の好ましい実施形態では、ラクタム結合は、
【0078】
【化1】

を含む。
【0079】
本発明の他の態様では、Lys13とAsp17の間のラクタム結合は、以下のプロセスを含む:
【0080】
【化2】

【0081】
さらに他の態様では、本発明は、2つのPTH類似体間の二量体の形成に関する。
【0082】
本発明の一実施形態では、以下のスキーム中に示すように、形成される二量体は、Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys-Trp-Leu-Asn-Asp-NH2(配列番号39)などの同じPTH類似体のホモ二量体である。
【0083】
【化3】

【0084】
本発明の他の実施形態では、以下のスキーム中に示すように、形成される二量体は、Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys-Trp-Leu-Asn-Asp-NH2およびAc5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys-Trp-Leu-Asp-NH2などの2つの異なるPTH類似体のヘテロ二量体である。
【0085】
【化4】

【0086】
共有結合によってもたらされるペプチドの環立体配座は、直線状PTH(1〜17)類似体に関して見られたように、シトクロムP4502D6の阻害も妨げる。さらに、環状類似体は、PTH(1〜34)と比較可能な卵巣切除ラットのモデルにおいて骨ミネラル濃度および骨強度を増大させること、直線状PTH(1〜17)類似体に関して以前に示されなかった結果が本明細書において示される。したがって、配列番号19および他の半環状類似体はPTH受容体に対して保存的活性を有し、CYP2D6活性に対する任意の阻害効果の不在下で骨形成を刺激する事実は、この化合物を用いた長期の治療が、この酵素によって代謝される他の薬剤または薬草品の薬物動態に影響を与えないことを示す。
【0087】
したがって、この新規なクラスの化合物を用いた長期の治療は、増大した安定性と関係があると我々は期待する。さらに、多数の薬剤および薬草サプリメントを摂取することが多い高齢者集団では、この特徴は特に重要である可能性がある。薬草-薬剤相互作用に関する利用可能な情報があまり無いために、これらは薬剤の乏しい許容性として誤解されることが多い。したがって、CYP2D6活性の影響の欠如は処方薬への適合におそらく重要である可能性があり、したがってより良い長期の有効性につながる可能性がある。
【0088】
医学的適応
本出願のPTH類似体は、以下の状態などの予防または治療だけには限られないが、これらの予防または治療において使用することができる:
【0089】
原発性骨粗鬆症、内分泌性骨粗鬆症(甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、末端肥大症、1型糖尿病、副腎不全)、遺伝型および先天型の骨粗鬆症(骨形成不全症、ホモシスチン尿症、メンケス症候群、およびライリーデイ症候群)、栄養および胃腸障害、血液障害/悪性腫瘍(多発性骨髄腫、リンパ腫および白血病、血友病、サラセミア)、運動不足による骨粗鬆症、慢性閉塞性肺疾患またはリウマチ性疾患(関節リウマチ、強直性脊椎炎)。
【0090】
骨量減少をもたらす骨髄炎、または骨中の感染病巣。
【0091】
固形腫瘍(乳房、肺および腎臓)に起因する高カルシウム血症および血液悪性腫瘍(多発性骨髄腫、リンパ腫および白血病)、突発性高カルシウム血症、および甲状腺機能亢進症および腎機能障害と関係がある高カルシウム血症。
【0092】
外科手術後、ステロイド投与によって誘導される、小腸および大腸の障害、ならびに慢性肝臓および腎臓疾患と関係がある骨減少症。
【0093】
ガウチャー病、鎌状細胞貧血、全身性エリテマトーデスおよび他の状態と関係がある外傷もしくは非外傷性壊死と関係がある、骨壊死、または骨細胞死。
【0094】
歯周の骨量減少。
【0095】
溶骨性骨転移。
【0096】
骨折治癒、および
【0097】
乾癬などの過剰増殖性皮膚障害。
【0098】
好ましい適応症は、原発性骨粗鬆症、内分泌性骨粗鬆症(甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、および末端肥大症)、遺伝型および先天型の骨粗鬆症(骨形成不全症、ホモシスチン尿症、メンケス症候群、およびライリーデイ症候群)および四肢の運動不足による骨粗鬆症を含めた骨粗鬆症である。
【0099】
医薬組成物および投与:
本発明のPTH類似体、またはその塩もしくは誘導体は、保存または投与用に調製され、治療有効量の本発明のPTHペプチド、またはその塩もしくは誘導体を薬剤として許容される担体中に含む、医薬組成物として配合することができる。
【0100】
PTH類似体、またはその塩が、組成物を投与する対象中の骨量を取り戻すのに有効な量で存在する医薬組成物を提供することは、本発明の範囲内である。
【0101】
医学分野の当業者には明らかであるように、本発明のペプチドまたは医薬組成物の「治療有効量」は、年齢、体重および治療する哺乳動物の種類、利用する個々の化合物、個々の投与形式および望ましい効果および治療指標に応じて変化する。これらの要因およびこの量の決定とのそれらの関係は医学分野でよく知られているので、治療有効用量レベル、本明細書に記載する望ましい結果を得るのに必要な量の決定は、当業者の技術範囲内にある。
【0102】
本明細書で使用する「治療有効量」は、所与の状態または病状の症状を低下させる、好ましくはその状態または病状を有する個体における生理応答を正常化する量である。症状の低下または生理応答の正常化は当技術分野で一般的な方法を使用して決定することができ、所与の状態または病状と共に変わり得る。
【0103】
本発明の一実施形態では、本発明の化合物または医薬組成物の投与は低い用量レベルで開始し、用量レベルは望ましい生理的影響が得られるまで増大させる。これは治療有効量を定義し得る。本発明のペプチドに関しては、単独または医薬組成物の一部分として、このような用量は約0.5ug/kg/1日または1ug/kg/1日〜約1000.0ug/kg/1日であってよく、より好ましくは、ペプチドの有効量は約5.0ug/kg/1日〜約500.0ug/kg/1日であり、およびさらにより好ましくは、ペプチドの有効量は約10.0ug/kg/1日〜約400.0ug/kg/1日である。
【0104】
治療用途のため、選択するPTH類似体は、薬剤として許容され選択した投与経路によりペプチドを送達するのに適した担体を用いて配合する。本発明の目的には、経口、直腸、鼻腔、または下気道(肺)経路が好ましい。これらは、いわゆる非注射経路である。本発明中で使用する特定の化合物は、静脈内、筋肉内、皮下、および腹腔内投与経路を含めた末梢性非経口経路による投与に適合させることも可能である。本発明の医薬組成物は、本発明のPTH類似体、またはその塩もしくは誘導体、および薬剤として許容される担体を含む。適切な薬剤として許容される担体は、例えば希釈剤、賦形剤などの、ペプチド系薬剤と共に従来使用される担体である。治療用途の薬剤として許容される担体は製薬分野でよく知られており、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvania、19th Edition、1995)中に記載されている。
【0105】
pH緩衝剤はヒスチジン、または酢酸ナトリウムであってよい。防腐剤、安定剤、色素およびさらに香味剤を、医薬組成物中に提供することができる。例えば、フェノール、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸およびp-ヒドロキシ安息香酸のエステルを、防腐剤として加えることができる。追加的に、抗酸化剤および懸濁剤、例えばSDS、アスコルビン酸、メチオニン、カルボキシメチルセルロース、EDTA、ポリエチレングリコール、およびTweenを使用することができる。
【0106】
他の実施形態では、PTHペプチド類似体の薬剤として許容される酸付加塩を提供する。
【0107】
本発明の医薬組成物は、経口投与用の錠剤、カプセルまたはエリキシル剤、直腸投与用の座薬、注射投与用の滅菌溶液および懸濁液、鼻腔または肺投与用の吸入配合物などとして配合し、使用することができる。
【0108】
投与の用量および方法を調整して最適有効性を得ることができるが、体重、食生活、併用投薬などの要因、および医学分野の当業者が理解している他の要因に依存する。
【0109】
投与経路が経口、直腸、鼻腔、または肺などの非注射経路であるとき、医薬組成物は従来の形で調製することができる。経口投与は液体配合物、または錠剤もしくはカプセルとしてであってよい。直腸投与は座薬としてであってよい。鼻腔および肺投与は液体または粉末としてであってよい。
【0110】
投与が日常的な皮下投与などの非経口であるとき、注射用医薬組成物は従来の形、凍結乾燥水溶液または懸濁液のいずれか、使用直前の復元に適した固体形、または注射前の液体中懸濁液、またはエマルジョンとして調製することができる。適切な賦形剤は、例えば水、生理食塩水、デキストロース、マンニトール、ラクトース、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、および塩酸システインである。追加的に、望むならば、注射用医薬組成物は、湿潤剤、またはpH緩衝剤などの、微量の非毒性補助物質を含むことができる。吸収増大性調製物(例えばリポソーム)を利用することができる。
【0111】
本発明の一実施形態では、化合物は、例えば完全非経口栄養療法中の患者のための液状栄養サプリメントとして使用するときの注入による投与用、または例えば皮下、腹腔内もしくは静脈内注射による投与用に配合し、したがって滅菌状態および発熱物質を含まない形で、および場合によって生理的に許容されるpHに中和調整した水溶液として使用する。筋肉内投与用の配合物は、植物油、例えばキャノーラ油、コーン油またはダイズ油の溶液または懸濁液に基づくものであってよい。これらの油系配合物は、抗酸化剤、例えばBHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)およびBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)によって、安定状態にすることができる。
【0112】
したがって、本発明のペプチド化合物は、蒸留水などの賦形剤中、または生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、5%デキストロース溶液または油中に投与することができる。PTH類似体の可溶性は、洗浄剤および乳化剤などの可溶性促進剤を取り込ませることによって、望む場合増大させることが可能である。
【0113】
水性担体または賦形剤は、所望の作用部位へのその徐放のために、注射部位またはその近くにPTH類似体を蓄積させるために働く一定量のゼラチンを、注射用物質として使用するために補うことができる。ヒアルロン酸などの代替的なゲル化剤も、デポー剤として有用である可能性がある。
【0114】
PTH類似体は、単位用量または複数回用量のいずれかで薬理学的に有効な量のペプチドを含む、滅菌水を充填したバイアルまたはアンプルの形で使用することができる。バイアルまたはアンプルは、投与が容易な配合物としてPTH類似体および所望の担体を含むことができる。代替的に、バイアルまたはアンプルは、滅菌水またはリン酸緩衝生理食塩水などの適切な担体中での復元に適した凍結乾燥形などの形で、PTHペプチドを含むことができる。
【0115】
患者の治療に最も適した治療用量およびレジメンは、当然ながら、治療する疾患または状態と共に、および患者の体重および他のパラメータによって変わる。どんな特定の理論によっても縛られることを望まずに、μg/kg範囲の用量、および短期または長期または頻繁な治療は治療上有用な結果をもたらす可能性があると予想される。幾つかの場合、治療レジメンは、初期治療の中止後に生じる組織退行を予防するのに適した、維持量の投与を含むことができる。ヒトにおける使用に最も適した用量規模および用量レジメンは、本発明によって得られる結果によって誘導することができ、適切に設計された臨床試験において確認することができる。
【0116】
有効な用量および治療プロトコルは、従来の手段、実験動物において低用量で始め、次いで影響をモニタリングしながら用量を増大させ、および用量レジメンも体系的に変えることによって決定することができる。所与の対象に最適な用量を決定するとき、多数の要因が臨床医によって考慮され得る。このような考慮事項は当業者に知られている。
【0117】
ペプチド合成:
PTH類似体は、例えば固相または液相ペプチド合成によってペプチドを合成し、このようにして得た合成ペプチドを回収することを含む方法を含めた、幾つかの方法で合成することができる。好ましい一般的な手順は以下に記載する。しかしながら、固相ペプチド合成のより詳細な記載はWO98/11125中で見られる。
【0118】
装置および合成戦略
N-α-アミノ保護基として9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)および側鎖官能基に適した一般的な保護基を使用して、濾過用のポリプロピレン製フィルターを備えるポリエチレン製容器中において、バッチ式でペプチドを合成した。
【0119】
溶媒
アセトニトリル(HPLC-grade、Sigma-Aldrich、ドイツ)およびNMP(N-メチルピロリドン、Univar Europe、デンマーク)を、精製せずに直接使用した。
【0120】
アミノ酸
適切な側鎖保護形のFmoc-保護アミノ酸を、Advanced ChemTech、ケンタッキー、USAまたはFluka、ドイツから購入した。非天然アミノ酸1-(Fmoc-アミノ)-シクロペンタン-1-カルボン酸(Ac5c)、Fmoc-アミノイソ酪酸(Aib)、Fmoc-Homoarg(pmc)-OH(Har)は、Fmoc-Lys(Aloc)-OHと共にBachem、ドイツから購入した。Fmoc-Asp(OA11)-OHはFluka、ドイツから得た。
【0121】
カップリング試薬
カップリング試薬ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)は、Fluka、ドイツから購入した。
【0122】
固形担体
ペプチドはTentaGel S Ram樹脂0.23mml/g(Rapp polymere、ドイツ)で合成した。
【0123】
触媒および他の試薬
ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)はPerspective Biosystem、イングランドから購入し、ピペリジンおよびピリジンはRiedel-de Haen、フランクフルト、ドイツから購入した。エタンジチオールはAldrich/Fluka、ドイツから購入し、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)およびトリイソプロピルシラン(TIS)はFluka、ドイツから購入した。O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)は、ChemPep、マイアミ、USAから得た。N-メチルモルホリンはランカスター、イングランドから購入した。ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBop)はAdvanced ChemTech、ケンタッキー、USAから得て、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムはAldrich、ドイツから得た。
【0124】
カップリング手順
アミノ酸は、NMP中のDICによって適切なN-α-保護アミノ酸およびHOBtから作製したin situ生成OBtエステルとして、またはNMP中のDIEAによって適切なN-α-保護アミノ酸およびHATUから作製したin situ生成Oatエステルとしてカップリングさせた。
【0125】
N-α-アミノ保護基(Fmoc)の脱保護
Fmoc基の脱保護は、20%ピペリジンNMP中(1×5および1×10分)を用いた処理、次にNMP(それぞれ5×15ml、5分)を用いた洗浄によって実施した。
【0126】
OBt-エステルのカップリング
3当量のN-α-アミノ保護アミノ酸を、3当量のHOBtおよび3当量のDICと共にNMPに溶かし、次いで樹脂に加えた。
【0127】
OAt-エステルのカップリング
3当量のN-α-アミノ保護アミノ酸を、3当量のHATUおよび3当量のDIEAと共にNMPに溶かし、次いで樹脂に加えた。
【0128】
酸を用いた樹脂からのペプチドの切断
2時間室温での92/1/2.5/2.5%v/vトリフルオロ酢酸(TFA、Riedel-de Haen、フランクフルト、ドイツ)/TIS/水/エタンジチオールを用いた処理によって、樹脂からペプチドを切断した。濾過樹脂は95%TFA-水で洗浄し、濾液および洗浄液は減圧下で蒸発させた。残渣はエーテルで沈殿させ、酢酸-水から凍結乾燥させた。粗製産物は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析し、質量分析(MS)によって同定した。
【0129】
TentaGel樹脂(PEG-PS)におけるバッチ式ペプチド合成
TentaGel S Ram樹脂(1g、0.23mml/g)を、濾過用のポリプロピレン製フィルターを備えるポリエチレン製容器中に置いた。樹脂はNMP(15ml)中で膨張させ、20%ピペリジンNMP中で処理して、リンカーTentaGel S Ram上の最初のFmoc基を除去した。樹脂を排水しNMPで洗浄した。配列に従うアミノ酸をカップリングさせ、Fmoc-保護OBtまたはOatエステル(3当量)に関して前に記載したのと同様に実施した。他に示さない限り、カップリングは2時間続けた。樹脂を排水しNMPで洗浄して(5×15ml、それぞれ5分)、過剰な試薬を除去した。最後のFmoc保護基の脱保護前に、以下に記載するようなD(OAll)およびK(Aloc)の最初の脱保護、およびその後の環化によって、樹脂においてラクタム架橋を実施した。合成、環化およびFmocの脱保護が終了した後、ペプチド-樹脂はNMP(3×15ml、それぞれ5分)、エタノール(3×15ml、それぞれ1分)および最後にジエチルエーテル(3×15ml、それぞれ1分)で洗浄し、真空中で乾燥させた。ペプチドは前に記載したのと同様に樹脂から切断し、粗製ペプチド産物は以下に記載するように分析および精製した。
【0130】
OAllおよびAlocの脱保護
5当量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを、2分間N2流下で92.5/5/2.5%v/vクロロホルム/酢酸/N-メチルモルフィンからなる溶液中に懸濁させた。ポリプロピレン製フィルターを備え、一端を塞いだポリエチレン製容器中に置いたペプチジル樹脂に懸濁液を移し、室温において2時間N2流下で反応を発生させた。その後樹脂を排水し、それが無色になるまで前述の溶液で洗浄した。その後、樹脂は0.5%DIEA、NMP中(3×5分)、および最後にNMP(3×5分)で洗浄した。
【0131】
LysおよびAsp側鎖に関する環化
非保護DおよびKを有するペプチジル樹脂を、一晩NMPに溶かしたPyBop、HoBtおよびDIEA(それぞれ3当量)の溶液と反応させた。樹脂を排水し、反応混合物の新たな成分を2時間加えた。最後に樹脂を排水し、NMPで洗浄した。
【0132】
HPLC条件
勾配HPLC分析を、HP1100Quaternaryポンプ、HP1100オートサンプラー、HP1100カラムサーモスタットおよびHP1100多波長検出器からなるHewlett Packard HP 1100 HPLCシステムを使用して行った。
【0133】
LCソフトウェア(rev.A.06.01)のHewlett Packard Chemstationを測定器制御およびデータ収集に使用した。以下のカラムおよびHPLCバッファー系を使用した:
カラム:LiChrospher60、4×250mm、10〜15μm
バッファー:A:0.1%TFA、MQV中;B:0.085%TFA、10%MQV、90%MeCN。
勾配:0〜1.5分。0%B
1.5〜25分0〜50%B
25〜30分50〜100%B
30〜35分100%B
35〜40分100〜0%B
40〜45分0%B
流速1ml/分、オーブン温度40℃、UV検出:l=215nm。
【0134】
粗製ペプチドのHPLC精製
粗製ペプチド産物を、PerSeptive Biosystems VISION Workstationで精製した。VISION3.0ソフトウェアを、測定器制御およびデータ収集に使用した。以下のカラムおよびHPLCバッファー系を使用した:
カラム:VYDAC、C-18、5×250mm、10〜15μm
バッファー系:バッファー:A:0.1%TFA、MQV中;B0.085%TFA、10%MQV、90%MeCN。
勾配:5%B〜50%B、47分間。
流速35ml/分、UV検出:l=215nmおよび280nm。
【0135】
質量分析
ペプチドは過勾配メタノール(Labscan、ダブリン、アイルランド)、milli-Q水(Millipore、Bedford、MA)およびギ酸(Merck、Damstadt、ドイツ)(50:50:0.1v/v/v)に溶かして、1mg/mlと10mg/mlの間の濃度を得た。ペプチド溶液(20μl)は、+/-0.1,m/zの精度でLCT質量分析計(Micromass、マンチェスター、UK)を使用して、ESI-TOF-MSによる正極性モードにおいて分析した。
【0136】
(実施例)
(実施例1)
化学合成
TentaGel S RamにおけるH-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2のペプチド合成(括弧は側鎖の環化部位を示す)。
【0137】
乾燥TentaGel S Ram(0.23mml/g、1.2g)を、濾過用のポリプロピレン製フィルターを備えるポリエチレン製容器中に置き、N末端-Ac5cのカップリングが終了するまで「Batchwise peptide synthesis on TentaGel resin」で記載されたように処理した。3個のN末端アミノ酸を3当量のHATUおよびDIEA(2×2h)を使用してOAt-エステルとしてカップリングさせ、全ての他のアミノ酸は前に記載したようにOBt-エステルとしてカップリングさせた。最後のアミノ酸をカップリングさせた後、樹脂製品を空にして、NMPおよびアリルで洗浄し、Alocを「Deprotection of OA11 and Aloe」で記載されたように脱保護し、ペプチドは「Cyclisation with Lys and Asp side chains」で記載されたように環化させた。環化後、最後のN末端Fmoc基を脱保護し、樹脂製品をNMP、EtOHおよびエーテルで洗浄し、真空中で乾燥させた。ペプチドは、前に記載したように樹脂製品から切断した。粗製産物はHPLCおよびMSによって分析し、純度は24%であったことが分かり、ペプチドの同一性はMSによって確認した(実測値MH+2071.13、計算値MH+2071.11)。粗製産物の収量は259mgであった。ペプチドは、前に記載したように96%まで精製した。
【0138】
二量体の合成
配列番号30 Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys-Trp-Leu-Asn-Asp-NH2のホモ二量体を合成する実施例。
【0139】
二量体はTentaGel S Ram樹脂製品で合成し、アミノ酸は以下の順序でカップリングさせる: D(OA11)-Asn-Leu-Trp-Lys-(Dde-Lys(Fmoc))-(Fmoc-Asp-NH2)-Asn-Leu-Trp-(Dde-Lys(Fmoc))-Ala-Har-Gln-His-Met-Leu-Gln-Ile-Glu-Aib-Val-Ac5c。第二のDde-Lys(Fmoc)のカップリング後、AspとLysの間の環化をモノマーペプチド合成に関する記載に従い実施した。その後、Lys上のDde保護基は、2%ヒドラジン、NMP中でペプチジル樹脂を攪拌することによって除去した(3×5分)。次いで以下のアミノ酸を、6当量でK上の遊離アミノ基とカップリングさせた。樹脂製品からのペプチドの切断およびホモ二量体のさらなるプロセシングは、モノマーペプチド合成に関して記載したように実施した。
【0140】
(実施例2)
MC3T3-E1のcAMPの有効性のアッセイにおけるPTH類似体のin vitro試験
材料および方法
MC3T3-E1サブクローン4(鉱化)(MC3T3-E1)細胞(ATCCCRL-2593)を、37℃で95%空気/5%CO2の湿度雰囲気において、α-MEM(Invitrogen#32571)/10%ウシ胎児血清+ペニシリン/ストレプトマイシン中で増殖させた。
【0141】
ペプチドはリン酸緩衝生理食塩水に溶かし、0.1%アルカリ処理カゼイン(ATC)(Livesey and Donald、Clin.Chim.Acta1982、123:193〜8)および100μMのイソブチル-メチル-キサンチン(IBMX、SigmaI5879)を含むタイロードバッファー(TB、Sigma、T2145)にさらに希釈した。
【0142】
[125I]cAMPFlashPlate(登録商標)アッセイ(カタログ番号SMP1001A、Perkin Elmer Life Sciences)を使用してcAMP濃度を決定した。
【0143】
MC3T3-E1細胞は96マイクロタイタープレート中に10,000細胞/ウエルで接種し、有効性のアッセイの前に一晩増殖させた。分析の日に、増殖培地を吸引によって注意深く除去した。細胞は200μlのTB/0.1%のATCで1回洗浄した。バッファーは100μlの反応混合物(±試験ペプチド、+100μMのIBMX)と交換し、13分間37℃でインキュベートした。25μlの氷冷0.5MHClを加えることによって反応を停止させた。細胞は60分間氷上で次いでインキュベートした。75μlの酢酸バッファーを、96ウエルのcAMPFlashPlate中のそれぞれのウエルに加えた。25μlの酸性細胞抽出物および100μMの[125I]cAMP溶液を、同じFlashPlateに加えた。FlashPlateは4℃で一晩インキュベートし、吸引によって空にしてTopCounter中で計数した。
【0144】
試験設計
決定は全ての用量において三連で実施した。一点決定として、それぞれの実験中に二連または三連で、それぞれのプレートにおいて優先的に標準を含めた。
【0145】
濃度レベルおよび群
有効性は10pM〜10μMの濃度範囲で評価した。
【0146】
データの分析および統計
濃度依存的cAMP応答性をGraphPad Prism vers.4に取り込み、変換しプロットした。S字用量応答曲線の非線形適合性に関する関数、Xが濃度の対数でありYが応答性であるY=ボトム+(トップ-ボトム)/(1+10^((LogEC50-X)))に曲線を適合させた。Yはボトムで始まり、S字形状でトップに移行する。cAMPのpEC50および最大誘導可能濃度を評価した。全体の統計差異は一元配置ANOVAを使用して分析した。事後比較はフィッシャーの最小有意差法を使用することによって行った。pが0.05より低いとき、結果は有意であると考えた。
【0147】
結果
MC3T3-E1細胞はPCRによって分析し、PTH受容体1のmRNAを発現することを示した(データ示さず)。陽性参照化合物PTH(1〜34)は、この細胞系において確かなcAMP応答を誘導した。幾つかのペプチドをcAMPの有効性のアッセイにおいて比較した(表4)。
【0148】
【表3】

【0149】
環状PTH(1〜17)類似体および対照ペプチドの効能および最大有効性は、表5中に示す。
【0150】
【表4】

【0151】
全ての試験したペプチドは、PTH受容体のcAMPシグナル伝達に対する完全なアゴニストであった(表5)。それらの用量応答曲線は、単純なS字曲線によって適合させることが可能であった(1に近いヒル係数)。全てのデータを分析中に含めた、すなわちアウトライヤーは除去しなかった。
【0152】
配列番号32は1nM周辺のEC50値でcAMPを誘導し、同様のアッセイ系に関して公開された報告と一致した(Rhee et.al.、Yonsei Med.J、47:214〜22、2006;Murrills et. al.、Bone、35:1263〜72、2004.)。
【0153】
配列番号2は、MC3T3-E1細胞に対して試験した、新たな、短いPTH類似体の間で最も強力な環状PTH(1〜17)類似体であった。配列番号2はPTH(1〜34)に匹敵するEC50を有しており、配列番号31、配列番号3および配列番号42より有意に強力であり、アゴニスト活性に関する環化の重要性を確認した(図1;表5)。
【0154】
配列番号42、C末端で塩-架橋を形成することができるアミノ酸の同じK13/D17組合せを含む配列番号2の直線状変異体は、配列番号2より6倍弱いアゴニストであった。
【0155】
直線状類似体配列番号3、塩-架橋形成能力が無い配列番号42変異体は、配列番号2より2〜3倍弱いアゴニストであった。
【0156】
特に配列番号33、配列番号30の共有結合二量体は、配列番号30より8倍強力なアゴニストとなり、配列番号2と同等の効能を得た(図2、表5)。
【0157】
結論
我々は、骨芽細胞様細胞系において完全なアゴニスト応答を発揮する、4つの新規の、短いペプチドPTH受容体1模倣体を同定している。これらの中では、17量体環化分子配列番号2および二量体配列番号30が、PTH(1〜34)と同様である1nM周辺のEC50値で最も強力な化合物であった。K13-D17の環化は、直線状類似体配列番号42および配列番号3の2〜6倍低い効能によって示されたように、増大した効能と関係があった。
【0158】
(実施例3)
Saos-2細胞におけるcAMPの有効性のアッセイ
試験設計
プロトコルは修飾を加えながらMurrills R.J.et al.(Bone35:1263〜72、2004)から適合させた。ペプチドはリン酸緩衝生理食塩水に溶かし、0.1%のBSAおよび100μMのイソブチル-メチル-キサンチン(IBMX、Sigma-Aldrich)を含むタイロードバッファー(TB、Sigma-Aldrich)にさらに希釈した。Saos-2細胞は96マイクロタイタープレート中に50,000細胞/ウエルで接種し、有効性のアッセイの前に2日間増殖させた。分析の日に、増殖培地を吸引によって注意深く除去した。細胞は200μlのTB/0.1%のBSAで1回洗浄した。バッファーは100μlの反応混合物(±試験ペプチド)と交換し、15分間37℃でインキュベートした。25μlの氷冷0.5MHClを加えることによって反応を停止させた。細胞は60分間氷上で次いでインキュベートした。75μlの酢酸バッファー、pH6.2を、96ウエルのcAMPFlashPlate(Perkin-Elmer)中のそれぞれのウエルに加えた。25μlの酸性細胞抽出物および100μMの[125I]cAMP溶液を、同じFlashPlateのそれぞれのウエルに加えた。FlashPlateは4℃で一晩インキュベートし、吸引によって空にしてTopCounter(Packard)中で計数した。
【0159】
決定は全ての用量において一点決定または三連で実施した。Z因子決定は、一点決定が試験したペプチドの効能を予測するのに十分な程度の精度を有していたことを示した。一点決定として、それぞれの実験中二連または三連で、それぞれのプレートにおいて優先的に標準を含めた。
【0160】
有効性は濃度0.01nM、0.1nM、1nM、10nM、100nM、1μMおよび10μM、または0.1nM、1nM、3nM、10nM、30nM、100nMおよび1μM(効能とヒル係数の同時決定のための狭い用量範囲)で評価した。
【0161】
データの分析および統計
濃度依存的cAMP応答性をGraphPad Prism vers.4(GraphPadソフトウェア)に取り込み、変換しプロットした。1μMを超える効能を示した環状PTH(1〜17)類似体は、1より有意に高いヒル係数を典型的には有していた。したがって、4パラメータのロジスティック式をEC50値の決定に使用した。S字用量応答曲線(変数勾配)の非線形適合性に関する関数、Xが濃度の対数でありYが応答性であるY=ボトム+(トップ-ボトム)/(1+10^((LogEC50-X)*HillSlope)))に曲線を適合させた。Yはボトムで始まり、S字形状でトップに移行する。cAMPのpEC50、ヒル係数および最大誘導可能濃度(Emax)を評価した。
【0162】
全体の統計差異は一元配置ANOVAを使用して、Statistica(Statsoft)を用いて分析した。事後比較はフィッシャーの最小有意差法を使用することによって行った。pが0.05より低いとき、結果は有意であると考えた。
【0163】
結果
Saos-2細胞におけるcAMPの有効性のアッセイ
環状PTH(1〜17)類似体および対照ペプチドの効能および有効性の要約は、表6中に示す。
【0164】
環状の、構造上安定したPTH(1〜17)類似体配列番号2は、Saos-2細胞におけるcAMPの有効性のアッセイにおいて、その親である直線状PTH(1〜17)類似体配列番号42または直線状PTH(1〜14)類似体配列番号31より、有意に高い効能を有していた(図3)。
【0165】
同様に、環状の、構造上安定したPTH(1〜17)類似体配列番号4は、Saos-2細胞におけるcAMPの有効性のアッセイにおいて、その親である直線状PTH(1〜17)類似体配列番号38より、明らかに高い効能を有していた(図4)。
【0166】
さらに、環状の、構造上安定したPTH(1〜17)類似体配列番号34は、Saos-2細胞におけるcAMPの有効性のアッセイにおいて、その親である直線状PTH(1〜17)類似体配列番号1、原型、直線状PTH(1〜17)配列番号37、またはそれぞれ位置1および3にαヘリックス安定化アミノ酸(配列番号35)、またはアミノ酸13および17の側鎖間に共有結合(配列番号36)のいずれかを含む原型PTH(1〜17)の類似体より、有意に高い効能を有していた(図5)。
【0167】
【表5】

【0168】
結論
3つの場合(配列番号2、4、34)、αヘリックス安定化、非天然アミノ酸、およびアミノ酸13と17の側鎖間の環化を含むPTH(1〜17)類似体は、直線状の親類似体、またはαヘリックス安定化もしくはN末端αヘリックスの安定化がない環化のいずれかを含む原型PTH(1〜17)ペプチドと比較して、Saos-2PTH1Rに対する増大した効能を示した。これらの結果は、安定化N末端αヘリックスと共に存在するときの、in vitroアゴニスト効能に対するアミノ酸13〜17の環化の一般的な好ましい影響を強く示す。
【0169】
ネズミ骨芽細胞に関する実験と比較して、配列番号32の効能は3分の1に低下した。3つの詳細に試験した実施例では、PTH(1〜17)のαヘリックス安定化、環状類似体(配列番号2、4、34)は、原型PTH(1〜17)ペプチドならびにそれらの直線状および/または非αヘリックス安定化対照物と比較して、Saos-2PTH1Rに対する増大した効能を示した。したがって、アミノ酸側鎖13と17の間の共有結合の導入は、PTH(1〜17)類似体の効能をさらに増大させた。
【0170】
(実施例4)
OVXラットモデルにおけるin vivo試験
卵巣切除(OVX)ラットを使用して、in vivoでの骨減少症/骨粗鬆症に対するPTH類似体の影響を試験することができる。OVXラットは、卵巣ホルモン欠乏が原因で骨減少症を発症する。骨減少症はOVX後わずか14日で検出され、次の100日間増大し次いで安定化し得る(Wronski TJ et al.、Calcif.Tissue Int., 43(3):179〜183、1988)。OVXラットモデルは、著者と業界の両方により骨粗鬆症に関するモデルとして「最も信頼できる基準」と考えられる(Peter C、Rodan GA.Preclinical safety profile of alendronate.Int J Clin Pract Suppl 1999;101:3〜8およびStewart AF、Cain RL、Burr DB、Jacob D、Turner CH、Hock JM)。
【0171】
試験設計
動物
178匹のメスのフィッシャーラットを実験に使用した。最初に、午前6時に光を与える12:12時間の明/暗サイクル後に、制御条件(20℃、湿度55〜85%)において、Macrolon型の3個のケージ中に動物を収容した(2匹ラット/ケージ)。動物には、標準的なAltromin No.1324のエサ(Chr.Petersen、Ringsted、デンマーク)を不断給餌した。動物には飲料水(pH3までクエン酸を加えた国産の水道水)を自由に与えた。封入時、動物は6ヶ月齢であった。
【0172】
外科手術および階層化
OVX前の週に、動物を体重によって2群に階層化し、それらにOVX(140匹の動物)または疑似手術(38匹の動物)のいずれかを施した。ラットにはハイプノルム-ドルミカムを用いて麻酔をかけ、卵巣摘出は正中開腹術によって実施した。疑似手術動物には正中開腹術を施し、卵巣は露出させたが除去しなかった(疑似手術)。この群は、年齢を適合させた非骨粗鬆症対照群として働いた。マイクロチップを外科手術中にそれぞれのラットに埋め込んで、動物の識別を可能にした。
【0173】
術後疼痛を軽減するために、全てのラットを、外科手術後3日間、ブプレノルフィン(20mg/100g、皮下注射、1日2回)およびメロキシカム(0.1mg/100g、皮下注射、1日1回)で治療した。全てのラットは6日間で単独回復させ、次いでケージ中に2匹と2匹で置いた。
【0174】
治療開始前に骨減少症を発症させるために、動物は薬理学的治療なしで7週間収容した(前治療期間)。前治療期間の最後に、疑似手術およびOVX手術したラットを体重によって階層化し、それぞれ13〜20匹の動物の6群に分けた(表7)。この時点で、1つのOVX群(N=20)および1つの疑似手術群(N=20)を屠殺した。これらの対照群は、ベースラインレベルの骨ミネラル濃度(BMD)を確定した。さらに、骨マーカー、骨強度、組織形態計測およびμCTスキャンの可能な後の分析用にサンプルを保存した。
【0175】
次の6週間、1つの疑似手術群および1つのOVX群に、賦形剤投与を施した(40mMの酢酸ナトリウム、45mMのヒスチジンおよび3.9%のマンニトール、pH5.5、300mOsm/kg)。5つのOVX群は、漸増用量の環状PTH(1〜17)類似体配列番号19で治療した。他のOVX群は、配列番号33で治療した(表7)。全ての薬剤は皮下注射として与えた。治療の6週間後、動物は屠殺した。脊椎、脛骨および大腿骨をDEXAスキャンによるBMDの分析用に回収し、骨サンプルは後の骨強度測定用に保存した。
【0176】
【表6】

【0177】
生存期間中のデータ収集
前治療期間中に、動物の体重を一週間に2回記録した。GEDACOデータ収集システムを、前治療期間中の全てのin vivoデータ収集に使用した。投与期間中、体重は1日1回記録した。GEDACOデータ収集システムを、治療期間中の全てのin vivoデータ収集に使用した。記録は毎日とり、データベース中にはどんな有害事象も記録されなかったことを記載する。
【0178】
生体解剖
屠殺前の第10日に、全ての動物にテトラサイクリンの投与を施し(20mg/kg、腹腔内注射)、第2日にカルセインの投与を施した(15mg/kg、腹腔内注射)。化合物治療の開始前の週に、OVX動物の一群および疑似手術動物の一群を屠殺した(群9〜10)。投与期間の最後に、残りの動物を屠殺した。
【0179】
腰椎(L4-L5-L6-S1)、左大腿骨および脛骨を回収し、洗浄し、試験管中の生理食塩水で湿らせたガーゼに包み、後のex vivoでの骨強度測定用に-20℃で保存した。右大腿骨および脛骨、および脊椎(T13-L1-L2-L3)および尾椎(S2-S3-Cl-C2-C3)を回収し、洗浄し、骨ミネラル濃度(BMD)の分析および可能な後の組織形態計測および/またはμCTスキャニング用に70%エタノール中に保存した。
【0180】
DEXAによる骨ミネラル濃度の決定
ex vivoでのBMD測定は、1.5%の精度でLunar Piximus II密度計(GE Healthcare、Chalfont St.Giles、UK)を使用して試験の最後に実施した。装置の較正はアルミニウム/ルーサイトファントムで実施した。
【0181】
脛骨、大腿骨および脊椎(L1-L2)および仙椎/尾椎(S3-Cl)断片を画像配置トレイに置いて、四回スキャンした。全ての試料は、正確に比較するために同じ方向に置いた。対象となる領域(ROI)は、装置と共に提供されたPiximus画像分析ソフトウェアを使用してスキャンで作成した。ROIは、成長板の下の脛骨近位端(2mm切片)、大腿骨頭、大腿骨骨幹軸(中部3分の1)および腰椎の2つの椎体(背棘除く)として定義した。
【0182】
骨強度の測定
骨強度の測定は、圧縮デバイス(Lloyd Instruments、Fareham、UK)で実施した。特注ホルダーの助力によって骨を置き、最大の再現性を得た。骨折に対する最大の力を決定した。
【0183】
データの分析および統計
群間の全体的な比較は、一元配置分類データ(BMD)に関する一元配置ANOVAを使用して実施した。群間の個別の比較用に、フィッシャーの最小有意差検定を使用して事後分析を実施した。5%レベルで差は有意であると考えた。全てのデータは平均±SEMとして表す。
【0184】
結果
OVXの試験
骨ミネラル濃度を、皮質(大腿骨骨幹軸)および主に梁(脛骨近位端、大腿骨頭、腰椎)骨を表す様々な部位で評価した。調べた部位とは無関係に、αヘリックス安定化、環状PTH(1〜17)類似体配列番号19で治療した実験群は、20nmol/kg/d〜320nmol/kg/dの用量で、賦形剤治療した卵巣切除ラットより有意に高い骨ミネラル濃度を得た(図6〜9)。20nmol/kg/dを超える用量では、配列番号19の骨同化作用は、賦形剤治療した疑似手術ラット中より高い骨ミネラル濃度をさらにもたらした(図6〜9)。
【0185】
ホモ二量体配列番号33も、試験した全ての部位において5nmol/kg/dの用量で、賦形剤治療した卵巣切除ラットより骨ミネラル濃度の有意な増大をもたらした(図6〜9)。
【0186】
さらに、骨幹軸領域中の大腿骨(皮質骨)および大腿骨頭領域(骨梁)の骨強度は、賦形剤治療したOVX群中、配列番号19および配列番号33で治療した群中で観察したレベルより有意に増大した(図10および11)。配列番号19で治療した群中では、20nmol/kg/dを超える用量において、骨強度は賦形剤治療した疑似手術群のレベルより有意に増大した(図10および11)。
【0187】
結論
αヘリックス安定化、非天然アミノ酸、およびアミノ酸13と17(配列番号19)の側鎖間の環化を含む1つのPTH(1〜17)類似体は、皮質骨および骨梁において骨同化活性を示した。同化活性は最も低い用量(20nmol/kg/d)において骨ミネラル濃度の正常化を少なくとももたらしたが、より高い用量、対照動物中で観察したより有意に高い値まで増大させることは可能であった。したがって、配列番号19は、今日までに証明されている同化活性を有する最も短いPTH類似体である。対照的に、非天然αヘリックス安定化アミノ酸を含み環状構造を形成する能力がないPTH(1〜14)類似体に、骨同化活性は存在しなかったが、ただしこのPTH類似体は、我々のPTH(1〜17)類似体(配列番号19)と同様の効能を有するPTH1R受容体のcAMP経路を活性化した(Rhee、Y.et al.、(2006)Yonsei Medical Journal、47、214〜222)。
【0188】
二量体PTH(1〜17)類似体(配列番号33)も有効であった、5nmol/kg/dの用量で賦形剤治療したOVX群と比較して、骨ミネラル濃度および骨強度を有意に増大させた。したがって、我々の短いPTH類似体の設計は、閉経後骨粗鬆症などの骨量減少と関係がある疾患の治療に有用である可能性がある、新規なクラスの骨同化PTH類似体をもたらしている。
【0189】
(実施例5)
CYP2D6阻害のin vitro試験:
方法および材料
CYP2D6阻害アッセイに使用した全ての化学物質および試薬を、表8中に表す。試験化合物のストック溶液(1mM)は、50%イソプロパノールまたは20%DMSO中に調製した。プールしたヒト肝臓ミクロソーム(HLM、最終濃度0.05mgタンパク質/mL)は、リン酸バッファー(0.1Mリン酸カリウム、pH7.4)、CYP2D6基質(デキストロメトルファン、5μM最終濃度)および試験化合物(10μM)、キニジン(0.5μM)または賦形剤(0.2%DMSOまたは0.5%イソプロパノール)と混合した。混合物は、NADPH再生混合物(最終濃度:1.25mMのNADP+、3.3mMのグルコース-6-リン酸、3.3mMのMgCL2および0.4U/mLのグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)の付加反応の開始前に、37℃で5分間プレインキュベートした。5分後、0.25体積の停止試薬(94%アセトニトリル、6%酢酸)を加えることによって反応を停止させた。それぞれの実験は二連または三連で実施した。
【0190】
CYP2D6産物(デキストロファン)の定量化は、LC/MS/MSによって実施した。10.000gで5分間の遠心分離の後、40μLの上清をC8RP-HPLCカラム(XterraMS、C8、2.5μM、50×2.1mm)に注入した。0.15ml/分の流速を使用して4分間、0.1%ギ酸中に0〜90%アセトニトリルの直線勾配によって、デキストロファンを溶出させた。反応混合物中のデキストロファンの濃度は、外部較正曲線を使用してMS/MS移行のピーク領域(m/z258.1>199)から推定した(表8)。
【0191】
【表7】

【0192】
データの分析
HLMにおけるCYP2D6活性は、代謝産物形成率として計算した:
【0193】
【数1】

【0194】
[式中、vは形成率であり、[代謝産物]は、時間(t、分)におけるデキストロファンの検出した濃度(pmol/mL)であり、[タンパク質]は、反応混合物中のタンパク質濃度(mg/mL)である]。CYP2D6活性に対する試験化合物の影響は、賦形剤と共にインキュベートしたときに測定した活性の%として計算した。CYP2D6阻害剤(キニジン)の影響は、それぞれのバッチ分析内の阻害対照として含めた。賦形剤対照の70%未満までのCYP2D6活性の低下を、有意であると考えた。
【0195】
結果
直線状切断型PTH化合物は、賦形剤と共にインキュベートしたときに観察した活性に対して、CYP2D6活性を22〜57%低下させた(配列番号31、42、3、37、1、および35、表9)。分子間環化をアミノ酸位置13と17の間に導入したとき、CYP2D6に対する阻害効果は著しく低下した、すなわち、配列番号42(直線状、29%)対配列番号2(環状、67%)および配列番号1(直線状、57%)対配列番号34(環状、107%)。有益な効果は特定アミノ酸間の環化とは関係がなかった。なぜならLys→Asp、Cys→Cys、Glu→LysまたはLys→Glu間の環化は、いずれもCYP2D6活性を改善したことが分かったからである(表9)。
【0196】
【表8】

【0197】
分子間環化を特定のアミノ酸置換と組み合わせたとき、相乗効果を見出した。Gln6とGlu、Met8とLeu、NleもしくはVal、Gln10とGluの置換、またはC末端脱アミド化は、CYP2D6の阻害を完全に排除した(表10)。
【0198】
【表9】

【0199】
結論
直線状切断型PTH類似体はCYP2D6を阻害することが分かり、分子間環化をアミノ酸位置13と17の間に導入したとき、その阻害は著しく低下した。位置6、8、10における特定アミノ酸の置換およびC末端修飾によって阻害はさらに低下し得る。
【0200】
本発明を前に記載した代表的な実施形態と共に記載してきたが、多くの均等な変更形態および変形は、本開示を与えると当業者には明らかである。したがって、言及する本発明の代表的な実施形態は制限的ではなく例示的であると考えられる。本明細書で引用する全ての文書は、参照により明らかに組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
R1-Z1-A1-A2-A3-A4-A5-A6-A7-A8-A9-A10-A11-A12-A13-A14-Leu-A16-A17-Z2-R2
からなる式Iによって表される生物活性PTH(1〜17)類似体ペプチド
[式中、
R1は、水素、NH2、RHN、RR3Nであり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)、アセチル、ホルミル、ベンゾイルまたはトリフルオロアセチルを表し、
A1は、Ac5c、Gly、Ser、Alaまたは任意のαヘリックス安定化残基であり、
A2は、Valまたは保存的置換であり、
A3は、Aib、Ala、Serまたは任意のαヘリックス安定化残基であり、
A4は、Gln、Gluまたは保存的置換であり、
A5は、Ileまたは保存的置換であり、
A6は、Gln、Gluまたは保存的置換であり、
A7は、LeuもしくはPheまたは保存的置換であり、
A8は、Met、Leu、Nle、Valまたは保存的置換であり、
A9は、Hisまたは保存的置換であり、
A10は、Gln、Glu、Asp、Ala、Valまたは保存的置換であり、
A11は、Har、Arg、Ala、Ile、Lysまたは保存的置換であり、
A12は、Ala、Arg、Hisまたは保存的置換であり、
A13は、Lys、Orn、Asp、Glu、Cys、DabまたはDprであり、
A14は、Trp、Phe、Leu、Arg、Hisまたは保存的置換であり、
A16は、Asn、Asp、保存的置換であるかまたは存在せず、
A17は、Lys、Orn、Glu、Cys、Asp、DabまたはDprであり、
R2は、OH、OR、NRH、NRR3またはNH2であり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)を表し、
A13とA17は、1つまたは複数の共有結合によって連結し、
Z1およびZ2は独立に、存在しないか、またはAla、Leu、Met、Gln、Glu、Lys、Dab、DprおよびOrnからなる群から選択される1〜10アミノ酸単位のペプチド配列である]
またはそのホモ二量体、ヘテロ二量体、もしくは薬剤として許容される塩もしくは誘導体。
【請求項2】
R1-Z1-A1-Val-A3-Glu-Ile-A6-A7-A8-His-A10-A11-A12-A13-A14-Leu-A16-A17-Z2-R2
からなる式IIによって表される生物活性PTH(1〜17)類似体ペプチド
[式中、
R1は、水素、NH2、RHN、RR3Nであり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)、アセチル、ホルミル、ベンゾイルまたはトリフルオロアセチルを表し、
A1は、Ac5c、Gly、Ser、Alaまたは任意のαヘリックス安定化残基であり、
A3は、Aib、Ala、Serまたは任意のαヘリックス安定化残基であり、
A6は、GlnまたはGluであり、
A7は、LeuまたはPheであり、
A8は、Met、Leu、NleまたはValであり、
A10は、Gln、Glu、Asp、AlaまたはValであり、
A11は、Har、Arg、Ala、IleまたはLysであり、
A12は、Ala、ArgまたはHisであり、
A13は、Lys、Orn、Asp、Glu、Cys、DabまたはDprであり、
A14は、Trp、Phe、Leu、ArgまたはHisであり、
A16は、Asn、Aspであるかまたは存在せず、
A17は、Lys、Orn、Glu、Cys、Asp、DabまたはDprであり、
R2は、OH、OR、NRH、NRR3またはNH2であり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)を表し、
A13とA17は、1つまたは複数の共有結合によって連結し、
Z1およびZ2は独立に、存在しないか、またはAla、Leu、Lys、Dab、DprおよびOrnからなる群から選択される1〜10アミノ酸単位のペプチド配列である]
またはそのホモ二量体、ヘテロ二量体、もしくは薬剤として許容される塩もしくは誘導体。
【請求項3】
R1-Z1-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-A6-Leu-A8-His-A10-A11-A1a-A13-A14-Leu-A16--A17-Z2-R2
からなる式IIIによって表される生物活性PTH(1〜17)類似体ペプチド
[式中、
R1は、水素、NH2、RHN、RR3Nであり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)、アセチル、ホルミル、ベンゾイルまたはトリフルオロアセチルを表し、
A6は、GluまたはGlnであり、
A8は、Met、Leu、NleまたはValであり、
A10は、GlnまたはGluであり、
A11は、HarまたはArgであり、
A13は、Lys、Orn、Asp、Glu、Cys、DabまたはDprであり、
A14は、TrpまたはPheであり、
A16は、Asn、Aspであるかまたは存在せず、
A17は、Lys、Orn、Glu、Cys、Asp、DabまたはDprであり、
R2は、OH、OR、NRH、NRR3またはNH2であり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)を表し、
A13とA17は、共有結合によって連結し、
Z1およびZ2は独立に、存在しないか、またはAla、Leu、Lys、Dab、DprおよびOrnからなる群から選択される1〜10アミノ酸単位のペプチド配列である]
またはそのホモ二量体、ヘテロ二量体、もしくは薬剤として許容される塩もしくは誘導体。
【請求項4】
R1-Z1-A1-Val-A3-Glu-Ile-A6-A7-A8-His-A10-A11-A12-A13-A14-Leu-A16-A17-Z2-R2
からなる式IVによって表される生物活性PTH(1〜17)類似体ペプチド
[式中、
R1は、水素、NH2、RHN、RR3Nであり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)、アセチル、ホルミル、ベンゾイルまたはトリフルオロアセチルを表し、
A1は、Ac5c、Ac6c、Abu、Nva、Aibであり、
A3は、Ac5c、Aib、Abu、Nvaであり、
A6は、GlnまたはGluであり、
A7は、LeuまたはPheであり、
A8は、Met、Leu、ValまたはNleであり、
A10は、GlnまたはGluであり、
A11は、HarまたはArgであり、
A12は、AlaまたはArgであり、
A13は、Lys、Glu、AspまたはCysであり、
A14は、TrpまたはPheであり、
A16は、Asn、Aspであるかまたは存在せず、
A17は、Glu、Cys、AspまたはLysであり、
R2は、OH、OR、NRH、NRR3またはNH2であり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)を表し、
A13とA17は、1つまたは複数の共有結合によって連結し、
Z1およびZ2は独立に、存在しないか、またはAla、Leu、Lys、Dab、DprおよびOrnからなる群から選択される1〜10アミノ酸単位のペプチド配列である]
またはそのホモ二量体、ヘテロ二量体、もしくは薬剤として許容される塩もしくは誘導体。
【請求項5】
R1-Z1-A1-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-A7-A8-His-Gln-A11-A12-A13-Trp-Leu-A16-A17-Z2-R2
からなる式Vによって表される生物活性PTH(1〜17)類似体ペプチド
[式中、
R1は、水素、NH2、RHN、RR3Nであり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)、アセチル、ホルミル、ベンゾイルまたはトリフルオロアセチルを表し、
A1は、Ac5cまたはAc6cであり、
A7は、LeuまたはPheであり、
A8は、Met、Leu、またはNleであり、
A11は、HarまたはArgであり、
A12は、AlaまたはArgであり、
A13は、LysまたはGluであり、
A16は、Asnであるかまたは存在せず、
A17は、Glu、またはAspであり、
R2は、OH、OR、NRH、NRR3またはNH2であり、RおよびR3はそれぞれ独立に、C1〜4アルキル(例えばメチル)を表し、
A13とA17は、1つまたは複数の共有結合によって連結し、
Z1およびZ2は独立に、存在しないか、またはAla、Leu、Lys、Dab、DprおよびOrnからなる群から選択される1〜10アミノ酸単位のペプチド配列である]
またはそのホモ二量体、ヘテロ二量体、もしくは薬剤として許容される塩もしくは誘導体。
【請求項6】
位置13と位置17のアミノ酸残基間の1つまたは複数の共有結合がラクタム架橋またはシステイン架橋を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のPTH(1〜17)類似体ペプチド。
【請求項7】
位置13と位置17の間の共有結合がラクタム架橋である、請求項6に記載のPTH(1〜17)類似体ペプチド。
【請求項8】
1つまたは複数の共有結合が2つのPTH類似体間で形成される、請求項6に記載のPTH(1〜17)類似体ペプチド。
【請求項9】
残基A1からA17の間に(両端残基を含めて)野生型ヒトPTH(1〜17)に対して2〜14個の置換を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のPTH(1〜17)類似体ペプチド。
【請求項10】
野生型PTHに対して位置1または3における1個または2個の置換を位置6、7、8、10、11、12、13、14、16または17を含めたさらなる位置における1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の置換と場合によって組み合わせて含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のPTH(1〜17)類似体ペプチド。
【請求項11】
野生型PTHに対して位置1〜10における置換を、11、12、13、14、16または17を含めた1つまたは複数のさらなる位置における置換と場合によって組み合わせて含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のPTH(1〜17)類似体ペプチド。
【請求項12】
位置13におけるAsp、Lys、Orn、GluまたはCysによる置換、および/または位置17におけるLys、Asp、Orn、GluまたはCysによる置換を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のPTH(1〜17)類似体ペプチド。
【請求項13】
残基の以下の組合せの1つを含み、
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号2)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Glu()Trp-Leu-Asn-Lys()-NH2 (配列番号8)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Glu()-NH2 (配列番号9)
H-Ac6c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号10)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号19)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Nle-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号20)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Arg-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号25)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()Phe-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号26)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Phe-Leu-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号27)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Leu-His-Gln-Har-Arg-Lys()Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2 (配列番号28)
H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()Trp-Leu-Asp()-NH2 (配列番号30)
(H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asp()-NH2)2 (配列番号33)
(H-Ac5c-Val-Aib-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Gln-Har-Ala-Lys()-Trp-Leu-Asn-Asp()-NH2)2 (配列番号39)
位置13と17のアミノ酸間で環化した、請求項1から12のいずれか一項に記載のPTH(1〜17)類似体ペプチド、そのN末端アセチル化型、そのC末端酸型、そのホモ二量体もしくはヘテロ二量体または薬剤として許容される塩および誘導体。
【請求項14】
療法において使用するための、請求項1から13のいずれか一項に記載のPTH類似体ペプチド。
【請求項15】
骨量を増加させるための医薬品の調製における、請求項1から13のいずれか一項に記載のPTH類似体ペプチドの使用。
【請求項16】
原発性骨粗鬆症、骨粗鬆症、例えば、内分泌性骨粗鬆症(甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、末端肥大症、1型糖尿病、副腎不全)、遺伝型および先天型の骨粗鬆症(骨形成不全症、ホモシスチン尿症、メンケス症候群、およびライリーデイ症候群)、栄養および胃腸障害、血液障害/悪性腫瘍(多発性骨髄腫、リンパ腫および白血病、血友病、サラセミア)、運動不足による骨粗鬆症、慢性閉塞性肺疾患またはリウマチ性疾患(関節リウマチ、強直性脊椎炎)を治療するための医薬品の調製における、請求項15に記載のPTH類似体ペプチドの使用。
【請求項17】
原発性骨粗鬆症または内分泌性骨粗鬆症を治療するための医薬品の調製における、請求項1から13のいずれか一項に記載のPTH類似体ペプチドの使用。
【請求項18】
請求項1から13のいずれか一項に記載のPTH類似体ペプチドを薬剤として許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−511686(P2010−511686A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539804(P2009−539804)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004664
【国際公開番号】WO2008/068487
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(501466189)ジーランド・ファーマ・ア/エス (3)
【Fターム(参考)】