説明

瓶針および輸液セット

【課題】輸液チューブの結束を容易としつつ、製造時の姿勢安定性を確保し、生産性に優れる通気口開閉用蓋付きの瓶針を提供すること。
【解決手段】長手方向に連通する導水路240と、針先部分に開口し側周に設けられた通気口Aへ連通する通気路250と、を有し、通気口Aにフィルタ285を設け得た瓶針200において、通気口Aに被せて空気の連通を遮断する蓋282と、蓋282と一体成形され、蓋282の周縁から延伸して蓋282を瓶針胴部220に取り付けるブリッジ283であって、当該ブリッジ283には切れ込みがいれてあり、伸長させることにより、瓶針200後端から延伸するチューブ102の結束を可能としたことを特徴とする瓶針200。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瓶針および輸液セットに関し、特に、製造ラインに影響を与えず使用後等のチューブ始末の作業性を向上する瓶針およびこれを備えた輸液セットに関する。
【背景技術】
【0002】
輸液セットを用いる場合は、輸液バッグ等から輸液を流出させるための輸液チューブが用いられる。その長さは短いもので1m、長いもので2m程ある。また、使用に際しては、瓶針が輸液バッグ等に差し込まれ、後端の輸液チューブへと輸液が誘導される。
【0003】
ここで、瓶針の中には、胴の中途に通気口が設けられ、その蓋の開閉により、輸液を一時中断したり、輸液バッグを複数接続するときなどの輸液誘導を円滑にしたりするものが知られている。
【0004】
このとき、蓋と瓶針胴部を連結する紐状部分(ブリッジ体)を利用して長い輸液チューブを束ね取扱性を向上させる利用がなされている(図8)。
【0005】
しかしながら、従来の技術では以下の問題点があった。
瓶針を製造する際、ブリッジ体が長くなるほど蓋が踊り、瓶針の姿勢が不安定となって輸液チューブを瓶針本体に接合する際に姿勢が安定しないといった不具合が生じる場合があった。一方、蓋でなくコックを備えた瓶針とすることもできるが、コック機構の付加による製造工程の複雑化、結束具などの別途の付加が必要となるなど、製造コストの増加を招来してしまうという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−37876
【特許文献2】特開2002−253669
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、輸液チューブの結束を容易としつつ、製造時の姿勢安定性を確保し、生産性に優れる通気口開閉用蓋付きの瓶針を安価に提供することを目的とする。また、当該瓶針を備えた輸液セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の瓶針は、長手方向に連通する液体通路と、針先部分に開口し側周に設けられた通気口へ連通する気体通路と、を有し、通気口にフィルタを設けた瓶針において、通気口に被せて空気の導通を遮断する蓋体と、蓋体と一体成形され、蓋体から延伸して蓋体を瓶針に取り付ける可撓性のブリッジ体と、を具備し、当該ブリッジ体には切れ込みがいれてあり、伸長させることにより、瓶針後端に接続される輸液チューブの結束を可能としたことを特徴とする。
【0009】
すなわち、請求項1に係る発明は、輸液チューブの結束を容易としつつ、製造時の姿勢安定性を確保し、生産性に優れる通気口開閉用蓋付きの瓶針を安価に提供することが可能となる。なお、使用に際しては、輸液チューブを円形に巻き、複数本となった束をまとめるように利用する。
【0010】
被せるとは、必ずしも通気口より大きな蓋で外側から勘合させるのみでなく、通気口内側にはめる態様も含むものとする。針先部分とは、広く針先側を意味し、必ずしも先細りとなった部分に設けられることに限定されない。また、切れ込みは、幅方向に互い違いに切れ目をいれても長さ方向に互い違いに切れ目をいれてもよく、また、螺旋状に切れ目をいれた管により構成されていてもよい。すなわち、所定の引っ張り力により展開・伸長する態様であれば特にその形状は限定されない。また、切れ込みは、部材に溝が設けてあり引っ張ることで部材が分離する場合と、切れ込み部分で部材が相互に分離している場合と、いずれの態様も含むものとする。また、可撓性は、素材自体が有する場合のほか、ブリッジ体の形状により可撓性を発揮する態様も含まれるものとする。なお、伸長させる観点から、単なるひも状でなく、蓋体の径程度の幅広の帯状のブリッジ体としてもよい。
【0011】
なお、瓶針の素材としては、ポリプロピレンをあげることができる。同様に蓋体やブリッジ体もポリプロピレンとすることができる。ブリッジ体は、瓶針胴部や凸設された通気口の横から直接延伸させるようにしてもよい。この場合は、蓋体も含めて瓶針を押出成形により一体形成できる。
【0012】
請求項2に記載の瓶針は、請求項1に記載の瓶針において、ブリッジ体は、非伸長時には2mm〜10mmの長さとし、伸長時には非伸長時の1.5倍〜3.0倍の長さとなるように切れ込みを設けたことを特徴とする。
【0013】
すなわち、請求項2に係る発明は、ブリッジ体を非結束時には製造ラインに影響を与えない程度に短くでき、結束時には好適に伸長させて効果的な結束を実現できる。
【0014】
請求項3に記載の瓶針は、長手方向に連通する液体通路と、針先部分に開口し側周に設けられた通気口へ連通する気体通路と、を有し、通気口にフィルタを設けた瓶針において、通気口に被せて空気の導通を遮断する蓋体と、蓋体と一体成形され、蓋体から延伸して蓋体を瓶針に取り付ける可撓性のブリッジ体と、を具備し、蓋体側周にはブリッジ体につながる、蓋体側周に沿った切れ込みがいれてあり、伸長させることにより、瓶針後端に接続される輸液チューブの結束を可能としたことを特徴とする。
【0015】
すなわち、請求項3に係る発明は、輸液チューブの結束を容易としつつ、製造時の姿勢安定性を確保し、生産性に優れる通気口開閉用蓋付きの瓶針を安価に提供することが可能となる。特に、非伸長時のブリッジ体は、蓋の開閉に資する程度の長さまで短くすることができるので、姿勢安定性が特に高まる。一方、伸長長さは、適宜蓋体の径の増減により調整することができる。なお、使用に際しては、輸液チューブを円形に巻き、複数本となった束をまとめるように利用する。
【0016】
被せるとは、必ずしも通気口より大きな蓋で外側から勘合させるのみでなく、通気口内側にはめる態様も含むものとする。針先部分とは、広く針先側を意味し、必ずしも先細りとなった部分に設けられることに限定されない。また、切れ込みは、螺旋状に複数周にわたって形成されていても良い。また、切れ込みは、部材に溝が設けてあり引っ張ることで部材が分離する場合と、切れ込み部分で部材が相互に分離している場合と、いずれの態様も含むものとする。すなわち、所定の引っ張り力により展開・伸長する態様であれば特にその形態は限定されない。可撓性は、素材自体が有する場合のほか、ブリッジ体の形状により可撓性を発揮する態様も含まれるものとする。
【0017】
なお、瓶針の素材としては、ポリプロピレンをあげることができる。同様に蓋体やブリッジ体もポリプロピレンとすることができる。ブリッジ体は、瓶針胴部や凸設された通気口の横から直接延伸させるようにしてもよい。この場合は、蓋体も含めて瓶針を押出成形により一体形成できる。
【0018】
請求項4に記載の瓶針は、請求項1、2または3に記載の瓶針において、通気口は、フィルタを取り付けた筒状の台座体により形成され、台座体とブリッジ体と蓋体とが一体成形され、台座体を瓶針胴部に設けた孔に埋入させて取り付けたことを特徴とする。
【0019】
すなわち、請求項4に係る発明は、通気口部分を瓶針胴体と別に製造することができ、輸液チューブの太さや長さに応じて、結束長さを変えた多種の瓶針を提供可能となる。また、金型の簡素化やフィルタ取り付けも含めて製造工程の実質的な効率化を図り、生産性をより高めることも可能となる。
【0020】
請求項5に記載の瓶針は、長手方向に連通する液体通路と、針先部分に開口し側周に設けられた通気口へ連通する気体通路と、を有し、通気口にフィルタを設けた瓶針において、通気口に被せて空気の導通を遮断する蓋体と、蓋体と一体成形され、蓋体から延伸した先が円環形状であって瓶針に挿通して蓋体を瓶針に取り付ける可撓性のブリッジ体と、を具備し、円環には、前記延伸部分につながる、円環側周に沿った切れ込みがいれてあり、伸長させることにより、瓶針後端に接続される輸液チューブの結束を可能としたことを特徴とする。
【0021】
すなわち、請求項5に係る発明は、輸液チューブの結束を容易としつつ、製造時の姿勢安定性を確保し、生産性に優れる通気口開閉用蓋付きの瓶針を安価に提供することが可能となる。特に、非伸長時のブリッジ体は、蓋の開閉に資する程度の長さまで短くすることができるので、姿勢安定性が特に高まる。一方、伸長長さは、適宜円環の厚み等の増減により調整することができる。なお、使用に際しては、輸液チューブを円形に巻き、複数本となった束をまとめるように利用する。
【0022】
被せるとは、必ずしも通気口より大きな蓋で外側から勘合させるのみでなく、通気口内側にはめる態様も含むものとする。針先部分とは、広く針先側を意味し、必ずしも先細りとなった部分に設けられることに限定されない。また、切れ込みは、螺旋状に複数周にわたって形成されていても良い。また、切れ込みは、部材に溝が設けてあり引っ張ることで部材が分離する場合と、切れ込み部分で部材が相互に分離している場合と、いずれの態様も含むものとする。すなわち、所定の引っ張り力により展開・伸長する態様であれば特にその形態は限定されない。可撓性は、素材自体が有する場合のほか、ブリッジ体の形状により可撓性を発揮する態様も含まれるものとする。
【0023】
なお、瓶針の素材としては、ポリプロピレンをあげることができる。同様に蓋体やブリッジ体もポリプロピレンとすることができる。また、円環は、瓶針の胴に挿通することのほか、通気口が瓶針の胴から凸設している場合には、その首に挿通させるようにしても良い。
【0024】
請求項6に記載の輸液セットは、請求項1〜5のいずれか一つに記載の瓶針を備えたことを特徴とする。
【0025】
すなわち、請求項6に係る発明は、後始末等の容易な輸液セットを提供可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、輸液チューブの結束を容易としつつ、製造時の姿勢安定性を確保し、生産性に優れる通気口開閉用蓋付きの瓶針を安価に提供することができる。また、当該瓶針を備えた輸液セットを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の瓶針を備えた輸液セットの概念図である。
【図2】実施の形態1の瓶針の外観図および断面図である。
【図3】図2に示した瓶針の通気口部分の構成例およびその伸長例を示した説明図である。
【図4】図2に示した瓶針により輸液チューブを結束した様子を示した外観図である。
【図5】実施の形態1の通気口部分の他の構成例を示した斜視図である。
【図6】実施の形態2の通気口部分の構成例およびその伸長例を示した説明図である。
【図7】実施の形態3の通気口部分の構成例およびその伸長例を示した説明図である。
【図8】従来のブリッジ体を利用した輸液チューブの結束前後の様子を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
<実施の形態1>
実施の形態1では、ブリッジ体(蓋体から延伸する部分)が伸長する態様について説明する。
図1は、本発明の瓶針を備えた輸液セットの概念図である。図2は、実施の形態1の瓶針の外観図(a)および断面図(b)である。なお、説明の便宜上通気口体は、瓶針本体から外した様子を示している。図3は、図2に示した通気口部分の構成例およびその伸長例を示した説明図である。図4は、図2に示した瓶針により輸液チューブを結束した様子を示した外観図である。
【0029】
輸液セット100は、図1に示したように、瓶針200と、点滴液が貯留された輸液バッグ101と、チューブ102と、患者Cの静脈(腕)に穿刺する静脈針103とを含んでいる。また、チューブ102途中には、点滴液の流量を目視にて確認可能にする点滴筒104と、点滴液の流量調整を行うためのクランプ105とが存在している。
【0030】
輸液バッグ101はスタンドSに吊され、重力により点滴液が瓶針200を介してチューブ102を通り、患者Cの体内へ移送される。
【0031】
瓶針200は、先端が尖ったやや太い針形状であり、輸液容器等に突き刺す穿刺部210と、胴部220と、基端側の鍔部230と、から構成され、これらはこの順に一体的に形成されている。また瓶針200は、胴部220に嵌め込む通気口体280を有し、通気口体280により通気口Aが形成される。本実施の形態では、瓶針200は、射出成形によるポリプロピレン製であるものとして説明する。
【0032】
穿刺部210は、先端側に向かって尖っており、側面長手方向の二箇所に導水溝211が形成され、内部に空けられた導水路240に案内されている。すなわち、導水溝211部分が針先側(穿刺側)の開口端を形成し、ここから輸液等が鍔部230に接続されるチューブ102へと導通される。
【0033】
穿刺部210には、側面長手方向にもう一本、導水溝211とは別の通気溝212が形成され、内部に空けられた通気路250に案内されている。導水路240は、通気路250と干渉せず、胴部220に至っている。
【0034】
胴部220は、円筒形状であって、通気口体280の下端を埋入する孔部221を備えている。孔部221は、通気路250に連通している。すなわち、通気路250は、後述の蓋282で閉じられていないとき、孔部221を介して胴部220側から空気を取り込み、通気溝212を介してその空気を輸液バッグ101へ放出する。
【0035】
鍔部230は、円盤形状であり、下部には円柱状の差込管231が設けられている。輸液を送出するチューブ102は、この差込管231に差し込まれる。鍔部230により、瓶針200を輸液容器等に差し込む際の保持性が向上する。
【0036】
通気口体280は、図3(a)に示したように、台座281と蓋282とブリッジ283からなり、これらはポリプロピレン製で一体成形されている。
【0037】
台座281は、胴部220へ向かって凸である二段の円筒形状であり、下段円筒281dは孔部221に密に勘合して接合し、上段円筒281uの側周からブリッジ283が延伸している。フィルタ285は、台座281の内側における、上段円筒281uと下段円筒281dの境界に形成される穴あき円面部分281sに貼着される。台座281の嵌め込みにより通気口Aが形成される。なお、フィルタ285は、PTFE製の疎水膜を用いることができる。
【0038】
蓋282は、台座281の上段円筒281uの内周に勘合する内筒体282kが、円盤体282sに立設した形状を有する。また、蓋282の側周からブリッジ283が延伸している。蓋282は、適宜台座281に被せて空気の流入を遮断する。ブリッジ283は可撓性を有しているため、蓋282を閉めたときには弧を描く。なお、蓋282のブリッジ283の延伸位置に対向する側周には、蓋282を台座281から外すとき(通気口Aを開放するとき)に便利なように、爪282tが形成されている。
【0039】
ブリッジ283は、図2(b)、図3(a)に示したように蓋282の直径と同じ長さであり、円盤体282sと同じ厚みを有する長方形の接続部材として形成されている。ブリッジ283には、短手方向に互い違いに幅の3/4の長さの切込283cが複数いれてある。
【0040】
蓋282を引っ張ることにより、切込283cが展開し、チューブ102の結束が可能となり、後始末等の作業性が向上する(図4)。なお、非結束時は、瓶針200の胴部220の直近に蓋282が位置するため、製造時、例えば、チューブ102の差込管231への挿入接着作業における整列やピックアップの際に、安定した姿勢を保つことができ、脱落等による製造ミスの発生を抑制することができる。
【0041】
なお、切込283cの態様は上記に限定されない。長方形の長手方向互い違いに切れ込みをいれてもよく(図3(b))、ブリッジ283を管状に形成し、螺旋状に切れ込みをいれてもよい(図3(c))。また、ブリッジ283の長さや厚みは適宜変更することができ、長さに関しては、非伸長時には2mm〜10mmの長さとし、伸長時には非伸長時の1.5倍〜3.0倍となるような切れ込みとすることが、蓋282の被せやすさと製造時の安定性等の観点から好適である。
【0042】
また、図5に示しように、通気口体280を別体とすることなく、胴部220から直接延伸させるようにしても良い。この場合は、台座281はないが、孔部221に蓋282を被せられる構成とすればよい。
【0043】
以上説明したように、実施の形態1の瓶針によれば、ブリッジを伸長することにより輸液チューブを簡便に束ねることができ、ブリッジの非伸長時には、蓋が瓶針胴部近傍にあって暴れないので製造時の姿勢安定性が確保でき、生産性を向上させることができる。また、通気口部と瓶針本体を別々に製造する場合であっても、押出成形によりそれぞれ製造でき、通気口部の金型を多種揃えることにより、所望長さのブリッジを提供できるので、金型の複雑化も招来しない。また、通気口部を瓶針本体と別々に製造する場合には、フィルタの取り付け作業の自由度も高まるので、全体として瓶針を安価に提供することができる。
【0044】
<実施の形態2>
実施の形態2では、蓋体の周縁が伸長する態様について説明する。
なお、実施の形態1と同様な部分については同一の符号を適宜付して説明する。
【0045】
図6は、実施の形態2の瓶針の通気口部分の構成例およびその伸長例を示した説明図である。瓶針300(全体像は図示せず)は、通気口体380により通気口Aが形成され、図示したように、台座381と蓋382とブリッジ383からなり、これらはポリプロピレン製で一体成形されている。
【0046】
台座381は、実施の形態1の台座281と同様の構成である。ブリッジ383は、蓋382を台座381に被せ、通気口Aの空気の導通を遮蔽するのに支障がない最小長さとしている。図では蓋382の内筒体382kの半径の長さとしているが、実際の長さは、適宜2mm〜10mmとすることができる。
【0047】
蓋382は、台座381の上段円筒381uの内周に勘合する内筒体382kが、円盤体382sに立設した形状を有する。また、蓋382の側周からブリッジ383が延伸している。
【0048】
ここで、円盤体382sには、側周に沿って螺旋状に切込383cがいれてあり、先端はブリッジ383に連続するように形成されている。これにより、蓋382を引っ張ることで、ブリッジ383部分が実質的に伸長し、チューブ102を結束することができる。なお、伸長長さは、適宜円盤体382sの径を大きくすることにより、任意に設定できる。
【0049】
瓶針300は、ブリッジ383自体を伸長させないため、瓶針200より、ブリッジの長さを短くでき、製造時等の姿勢安定性がより向上し、製造ミスの発生を一層抑制することができる。
【0050】
なお、図示は省略するが、図5に示したのと同様、通気口体380を別体とすることなく、胴部220から直接延伸させるようにすることもできる。
【0051】
<実施の形態3>
実施の形態3では、ブリッジ体の先端の円環が伸長する態様について説明する。
なお、実施の形態1と同様な部分については同一の符号を適宜付して説明する。
【0052】
図7は、実施の形態3の瓶針の通気口部分の構成例およびその伸長例を示した説明図である。瓶針400は、瓶針胴部220に円筒形に突き出た通気口Aが形成されている。
【0053】
蓋482の縁にはブリッジ483が接続し、他端には通気口Aの首に架ける円環484が形成され、これらは一体成形されている。ブリッジ483は、円環484を通気口Aに被せ、空気の導通を遮蔽するのに支障がない最小長さとしている。図では蓋482の直径程度の長さとしているが、実際の長さは、適宜2mm〜10mmとすることができる。
【0054】
ここで、円環484には、側周に沿って螺旋状に切込484cがいれてあり、先端はブリッジ483に連続するように形成されている。これにより、蓋482を引っ張ることで、ブリッジ483部分が実質的に伸長し、チューブ102を結束することができる。なお、伸長長さは、適宜円環484の外径を大きくすることにより、任意に設定できる。
【0055】
瓶針400は、ブリッジ483自体を伸長させないため、瓶針200より、ブリッジの長さを短くでき、製造時等の姿勢安定性がより向上し、製造ミスの発生を一層抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、ブリッジ自体またはブリッジに連続する部分を伸長させることができ、製造単価の上昇を招来することなく、操作性の良い瓶針を提供可能となる。従って、輸液セットの取扱性が向上し、排気等の効率化を図ることができる。


【符号の説明】
【0057】
100 輸液セット
101 輸液バッグ
102 チューブ
103 静脈針
104 点滴筒
105 クランプ
200、300、400 瓶針
210 穿刺部
211 導水溝(液体通路)
212 通気溝(気体通路)
220 胴部
221 孔部
230 鍔部
231 差込管
240 導水路
250 通気路
280、380 通気口体
281、381 台座
281d 下段円筒
281s 円面部分
281u 上段円筒
282、382、482 蓋
282k、382k 内筒体
282s、382s 円盤体
282t 爪
283、383、483 ブリッジ
283c、383c 切込
285 フィルタ
484 円環
484c 切込
A 通気口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に連通する液体通路と、針先部分に開口し側周に設けられた通気口へ連通する気体通路と、を有し、通気口にフィルタを設けた瓶針において、
通気口に被せて空気の導通を遮断する蓋体と、
蓋体と一体成形され、蓋体から延伸して蓋体を瓶針に取り付ける可撓性のブリッジ体と、
を具備し、
当該ブリッジ体には切れ込みがいれてあり、伸長させることにより、瓶針後端に接続される輸液チューブの結束を可能としたことを特徴とする瓶針。
【請求項2】
ブリッジ体は、非伸長時には2mm〜10mmの長さとし、伸長時には非伸長時の1.5倍〜3.0倍の長さとなるように切れ込みを設けたことを特徴とする請求項1に記載の瓶針。
【請求項3】
長手方向に連通する液体通路と、針先部分に開口し側周に設けられた通気口へ連通する気体通路と、を有し、通気口にフィルタを設けた瓶針において、
通気口に被せて空気の導通を遮断する蓋体と、
蓋体と一体成形され、蓋体から延伸して蓋体を瓶針に取り付ける可撓性のブリッジ体と、
を具備し、
蓋体側周にはブリッジ体につながる、蓋体側周に沿った切れ込みがいれてあり、伸長させることにより、瓶針後端に接続される輸液チューブの結束を可能としたことを特徴とする瓶針。
【請求項4】
通気口は、フィルタを取り付けた筒状の台座体により形成され、
台座体とブリッジ体と蓋体とが一体成形され、
台座体を瓶針胴部に設けた孔に埋入させて取り付けたことを特徴とする請求項1、2または3に記載の瓶針。
【請求項5】
長手方向に連通する液体通路と、針先部分に開口し側周に設けられた通気口へ連通する気体通路と、を有し、通気口にフィルタを設けた瓶針において、
通気口に被せて空気の導通を遮断する蓋体と、
蓋体と一体成形され、蓋体から延伸した先が円環形状であって瓶針に挿通して蓋体を瓶針に取り付ける可撓性のブリッジ体と、
を具備し、
円環には、前記延伸部分につながる、円環側周に沿った切れ込みがいれてあり、伸長させることにより、瓶針後端に接続される輸液チューブの結束を可能としたことを特徴とする瓶針。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の瓶針を備えたことを特徴とする輸液セット。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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