説明

甘味銀杏及び銀杏餡の製造方法並びにそれらを用いた菓子

【課題】甘味銀杏の製造方法および銀杏餡の製造方法を提供する。
【解決手段】銀杏を殻付きの状態で茹でる第1の工程と、第1の工程により軟らかくなった殻を割り、さらに渋皮を剥した後、三温糖を加えて茹でる第2の工程よりなる甘味銀杏の製造方法。次に三温糖で甘くした銀杏に水を加えて煮崩れるまで茹でた後、汁気をざる等で十分きってから、すり鉢にあけて、ペースト状にした後、蜂蜜を加えて練る第3の工程により銀杏餡2を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、甘味銀杏及び銀杏餡の製造方法、並びにそれらを用いた菓子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の銀杏餡の製造方法は、渋皮を取り除いた銀杏を蒸すか茹でる工程、この蒸すか茹でるかした銀杏をさらに加圧下で茹でる工程、この加圧下で茹でた銀杏を細かく刻む工程、このペースト状にした銀杏に砂糖を混ぜて煮炊きする工程を備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献】特許公開平10−234305
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術では、餡にするまでの工程が複雑で、しかも甘味のついた実の状態で取り出すことが困難である。本発明は簡単な工程で、銀杏餡だけでなく、甘味のついた実の状態でも取り出せるようにした製造方法を提供するものである。
【課題を解決する為の手段】
【0004】
銀杏を殻付きの状態で茹でる第1の工程と、第1の工程により軟らかくなった殻を割り、さらに渋皮を剥した後、糖分を加えて茹でる第2の工程により,甘味銀杏を製造し、銀杏を殻付きの状態で茹でる第1の工程と、第1の工程により軟らかくなった殻を割り、さらに渋皮を剥した後、糖分を加えて茹でる第2の工程と、水を加えて煮崩れるまで茹でた後、容器に移してペースト状にした後、蜂蜜を加えて練る第3の工程により銀杏餡を製造する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、簡単な工程で、風味のある銀杏餡を製造することが出来るとともに、甘味のついた実の状態でも取り出すことが出来る。
【図面の簡単な説明】
図1及び図2は本発明の方法により製造した銀杏餡を用いた菓子の一例を示す断面図、図3は同斜視図である。
【発明の実施するための形態】
【0006】
次に、この発明の甘味銀杏や銀杏餡の製造方法について、その実施形態を詳細に説明する。
【0007】
この発明の製造方法は、まず、銀杏の実を殻付きの状態から茹でることによって、殻がしなやかになり、割りやすくなると共に、実の状態も弾力を持ち、割れにくくなる。苦味もより薄れているので、その上に等分の糖類を加えて茹でることにより、煮崩れることなく、銀杏の風味を残したまま、糖類の味を感じられるものとなった。
【0008】
この場合の糖類は、グラニュー糖では自然な甘さが出ず、オリゴ糖・蜂蜜等では、甘さが弱く、なかなかつかない。さらに、黒糖では味が変わり、三温糖が一番適していた。
【0009】
さらにその実を茹で続けると、自然に煮崩れ、すり鉢等でペースト状にしやすくなる。そして、その時点で食すると、実の状態の時とは違って、後味に苦味を感じやすい為、その後に蜂蜜を加えることによって、餡自体、艶と滑らかさを増すとともに、味も風味豊かなものとなり、食しやすくなった。
【0010】
この発明の方法により製造した銀杏の実と餡を使用した菓子類は、一般的な菓子の作り方全てに応用することが出来る。そして使用した鍋やすり鉢は、一般家庭におけるもので十分であった。
【実施例】
以下、この発明を実施例に基づいて、より具体的に説明する。
【0011】
まず、殻付きの状態の銀杏の実500gを多めの水量(約1200cc)で、1時間程中火から弱火で茹で、殻を軟らかくしてから、キッチンバサミ等で、実に傷がつかないように丁寧に割る。その実の渋皮も一つ一つ丁寧に全て剥し、それらの実を水1000cc入れた鍋に、三温糖を450g入れて約30分程茹でる。この工程で甘味づけされた銀杏が出来る。
【0012】
次に三温糖で甘くした実を、水500cc程足して、水気が無くならないように気をつけながら、さらに30分程、煮崩れるまで茹で、汁気をざる等で十分きってから、すり鉢にあけて、ペースト状にする。さらに、艶と滑らかさを出す為、実の分量の1/3量(約150g)の蜂蜜を加えて餡を仕上げる。
【0013】
このようにして作った、銀杏の実や餡を使った菓子を、以下説明する。まず、図1は、小麦粉をベースにした生地1に銀杏餡2と銀杏の実3を入れて、大阪城を模して饅頭にしたものである。又、白玉粉や上新粉の生地に餡を練り込んで、小豆餡を入れた和菓子、或いは、生地はそのままに小豆餡を銀杏餡に変えて入れた和菓子に応用することも出来る。そして図2は、餡パンの餡に銀杏餡を使った銀杏餡パンであり、4はパンの生地、5は銀杏餡である。他、蒸しパンの生地に銀杏餡を混ぜて、実を散らした銀杏蒸しパンを作ることも出来る。そして図3のように、ケーキのスポンジ生地6に銀杏餡を混ぜて、生クリーム7を挟み、実8を飾りに使うと銀杏ケーキにすることが出来る。その他、ソフトクリームのバニラ生地に銀杏餡を混ぜて、銀杏ソフトクリームにしたり、水餡に銀杏餡を混ぜて銀杏飴を作ったり、練羊羹に銀杏餡を使用して銀杏羊羹を作ったり、銀杏の実や餡を、あらゆる菓子類に使って、食せるものとなった。
【産業上の利用可能性】
和食として使用するか、そのまま焼く等して食するしかなかった銀杏の実を、新しく菓子のジャンルに使用することによって、子供から老人まで親しみやすく食することが出来るようになる。
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀杏を殻付きの状態で茹でる第1の工程と、第1の工程により軟らかくなった殻を割り、さらに渋皮を剥した後、糖分を加えて茹でる第2の工程よりなる甘味銀杏の製造方法。
【請求項2】
銀杏を殻付きの状態で茹でる第1の工程と、第1の工程により軟らかくなった殻を割り、さらに渋皮を剥した後、糖分を加えて茹でる第2の工程と、水を加えて煮崩れるまで茹でた後、容器に移して、ペースト状にした後、蜂蜜を加えて練る第3の工程よりなる銀杏餡の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の製造方法により製造された甘味銀杏又は請求項2記載の製造方法により製造された銀杏餡の少なくとも一方を構成要素とした菓子。

【公開番号】特開2011−62192(P2011−62192A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237743(P2009−237743)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(509284680)
【Fターム(参考)】