説明

生ごみ処理機

【課題】本発明は好気性微生物により生ごみを炭酸ガスと水蒸気に分解するタイプの生ごみ処理機に関し、生ごみをより効率的に攪拌しうると共に機械強度的にも改善された回転翼の構造を提供することを目的とする。
【解決手段】処理槽の対向直立壁に軸支した回転軸18の六角形断面の中間部分18−2より六角形断面のステー36を端部の平板40にて回転軸18の六角形断面における一つの平坦側面に面対面にて載置し、ボルト42にて直立固定し、軸方向に離間した一対のステー36の端部間に平板状の38A, 38B, 38Cをその端部平面がステー36の軸線と平行するように面対面にて載置し、ボルト44にて固定する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は生ごみ処理機に関するものであり、好気性微生物により生ごみを炭酸ガスと水蒸気に分解するタイプの生ごみ処理機に特に適したものである。
【0002】
【従来の技術】
生ごみを好気性微生物により炭酸ガスと水蒸気に分解するタイプの生ごみ処理機においては、生ごみは特定の木材チップ、コーラル、サンドなどの母材に担持させた好気性微生物(バイオチップ)と一緒に生ごみ処理機に投入され、空気の導入下でかつ所定温度下で攪拌される。攪拌の過程において好気性微生物は生ごみと反応し、生ごみを水素(H)と炭素(C)とに分解し、空気中の酸素(O)と反応することにより水蒸気と炭酸ガスを生成する。そのため、この種の生ごみ処理機では最終生成物は基本的に気体のみであり、生ごみ投入から完全分解完了までの時間が短時間であり、また固形物が生成しないためその処理の問題がないという利点がある。
【0003】
この種の生ごみ処理機において効率的な処理を行うためには投入された生ごみとバイオチップとを均等に混合し、生ごみに満遍なく好気性微生物を接触せしめる必要がある。そこで、生ごみとバイオチップとの良好な混合を行うため特許文献1では垂直上下の支持杆により回転軸に支持された回転翼を左右で螺旋の向きが逆転するように設け、これにより中央に向かいつつ上に巻き上げられ、それから底面まで落下する生ごみの移動を惹起させ、生ごみの均一な攪拌を行わせるようにしたものを提案している。
【0004】
【特許文献1】特開平10−156319号公報
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の記載の技術では回転翼を螺旋条体に形成しているため、被攪拌対象である生ごみとの接触面積が小さく、効率的な攪拌ができなかった。そのため、相対的に長時間運転しないと生ごみの全てを分解できず、機械的エネルギ及び熱的エネルギの効率が良くなく、ランニングコストが高くなる問題があった。また、従来技術では螺旋条体を垂直上下の支持杆により回転軸に支持した構造であるため、生ごみ処理機としての組立て状態における回転翼の剛性が不足であり、強度が不十分となりやすかった。
【0005】
この発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであり、生ごみをより効率的に攪拌しうると共に機械強度的にも改善された回転翼の構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、生ごみが投入される処理槽に回転軸を設け、前記回転軸に沿って角度位置を徐々に転じつつ複数のステーを実質的に半径方向に延設し、ステーの外端側に回転翼を固定し、前記回転翼は平板より成形され、回転翼を構成する平板はその端部において平面がステーの軸線と実質的に平行するようにステーに固定されたことを特徴とする生ごみ処理機が提供される。
【0007】
請求項1の発明の作用・効果を説明すると、回転翼は平板状に形成され、平板状の回転翼は両端においてステーの軸線と実質的に平行するようにステーに固定されている。そのため、攪拌時に回転翼はその平面が生ごみと作用する回転方向の前面となるため、攪拌時における回転翼の、生ごみに対する接触面積を大きくとることができ、高い攪拌効率を得ることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、生ごみが投入される処理槽に回転軸を設け、前記回転軸に沿って角度位置を徐々に転じつつ複数のステーを実質的に半径方向に延設し、前記ステーは軸方向に隣接したものより成る対が複数構成され、各対毎にステーの外端間に平板状の回転翼が固定され、複数の前記回転翼は円周方向に間隔をおいて分布されていると共に円周方向において隣接する回転翼間には隙間が残されており、複数の前記回転翼は軸線方向には実質的に隙間無く若しくは最小の隙間にて分布していることを特徴とする生ごみ処理機が提供される。
【0009】
請求項2の発明の作用・効果を説明すると、回転翼間には円周方向においては隙間が存在するため、隙間の分だけ駆動のための動力の低減を図ることができると共に軸方向においては複数の回転翼が隙間無く若しくは最小の隙間で配置されているため処理槽内で生ごみを満遍なく攪拌することが可能であり、省エネルギであるにも係わらず、効率的な攪拌動作を達成することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明において、各回転翼は両端においてステーの外端に形成される平坦面部に対し面対面にて載置されるように成形されており、前記載置面において回転翼とステーとは締結手段により締結されたことを特徴とする生ごみ処理機が提供される。
【0011】
請求項3の発明の作用・効果を説明すると、回転翼端部とステーとは面対面で載置し、ボルトナットなどの締結具により締結する構造であるため、簡単確実にしかも所期の精度で確実かつ容易に組立てを行うことができ、組立て効率を高めることができると共に組立て後の高い剛性を得ることができ、生ごみ処理機の耐久性を高めることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1若しくは3に記載の発明において、前記回転軸はステーの取付け部が平坦面状をなし、この平坦面状の取付け部において板状ステーの内端の板状部が面対面で当接固定されていることを特徴とする生ごみ処理機が提供される。
【0013】
請求項4の発明の作用・効果を説明すると、回転軸におけるステーの取付け部を平坦面状とし、ステーの内端部の板状部と面対面で取付けているため、回転軸に対するステーの取付けをボルト及びナットなどの締結具により簡単確実にかつ強固にしかも所定精度で固定することができ、組立て効率を高めることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1若しくは4に記載の発明において、前記ステーは断面が多角形状をなし、この多角形状により形成されるステーの一つの平坦側面がステーの外端における前記平坦面部を構成することを特徴とする生ごみ処理機が提供される。
【0015】
請求項5の発明の作用・効果を説明すると、ステーの断面を多角形状化することによりその一つの面を回転翼の取付け用の平坦面部としてそのまま使用することができ、ステー部品の一律共通化が可能であり、ステーの切削加工時の作業効率を高め、低コストに寄与せしめることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、請求項4若しくは5に記載の発明において、前記回転軸は断面が多角形状をなし、この多角形状により形成される回転軸の一つの平坦側面が平坦面形状のステーの前記取付け部を構成することを特徴とする生ごみ処理機が提供される。
【0017】
請求項6の発明の作用・効果を説明すると、回転軸を断面多角形状とすることにより複数のステーのための取付け用の取付け部として断面多角形状の回転軸のそれぞれの側面をそのまま使用することができ、回転軸の切削加工時の作業効率を高めることができ、低コスト化及び機械的耐久性の向上に寄与させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1及び図2において、この発明の実施形態における生ごみ処理機は生ごみ及びそれに混合されたバイオチップが投入される処理槽10を備える。処理槽10は上壁10−1に生ごみ投入口12を供え、この生ごみ投入口12を開閉するための蓋14が一端においてピン16により回動自在に設けられている。処理槽10は直立する一対の側壁10−2(図2R>2)を備えており、この一対の側壁10−2に回転軸18が挿通されている。回転軸18は処理槽10の側壁10−2から突出した左右の端部18−1がステー20によって軸支される。ステー20はその下端が生ごみ処理機の支持枠22にボルト24によって固定され、上端にボス部20−1を備える。ローラベアリング26はそのアウタレースがボス部20−1の筒状空洞部に挿入固定され、回転軸18の端部18−1はローラベアリング26のインナレースに固定される。そのため、回転軸18はステー20に対して回転可能に軸支される。支持枠22の下面にキャスタ27が設けられる。
【0019】
回転軸18の右側の端部18−1上にスプロケット28が固定され、スプロケット28はチェーン30を介して回転駆動モータ32の出力軸32−1上のスプロケット34に連結される。そのため、回転駆動モータ32の出力軸32−1の回転運動を、スプロケット34、チェーン30、スプロケット28を介して回転軸18に伝達することができる。
【0020】
図1に示すように処理槽10は半円筒形状の底壁10−3を有しており、回転翼の組立体が処理槽10のこの半円筒形状底壁10−3に沿って回転することによって生ごみ及びそれに混合されたバイオチップが攪拌され、バイオチップに担持させた特殊な微生物によって生ごみの分解が行われる。次に、この回転翼の組立体の構造について説明すると、回転軸18は処理槽10の側壁10−2間の中間部18−2が図1及び図3に示すように六角形断面形状をなしており、回転軸18のこの六角形断面形状の中間部18−2に同じく六角断面形状のステー36が直立して(半径方向に)固定されている。ステー36はこの実施形態では図2に示すように合計6本が設けられ、軸線方向に隣接した2本のステーが対をなし、3対が設けられ、これらのステーの3つの対に回転翼38A, 38B, 38Cが等間隔に、即ち、120度の間隔にて固定される。
【0021】
次に、回転軸18に対する回転翼38A, 38B, 38Cの固定構造について詳細に説明すると、ステー36はその下端面に平板40(この発明の板状部)を溶接固定(溶接部を図2でaにて示す)している。ステー36の下端の平板40は六角形断面形状の回転軸中間部18−2の一つの平坦外側面に面対面にて載置され、ボルト42などの締結具によって締結されている。この実施形態ではステーの総数は6本であり、ステー36を固定する回転軸中間部18−2は六角断面であり、ステー36の取付け面は軸線方向に沿って順次隣接する平坦面に移行されるようになっている。そのため、軸線方向に隣接するステー36は図1に示すように60度離間すると共に図2に示すように軸線方向に六角断面の回転軸中間部18−2の略1/3の長さ離間し、そして、それぞれの対のステー36間に回転翼38A, 38B, 38Cが軸線に対し傾斜するように固定されている。回転翼38A, 38B, 38Cはそれぞれの対のステー36間のみを延設されており、従って、図1に示すように、円周方向において、隣接する回転翼38A, 38B, 38C間に、隙間SA, SB, SCが形成され、換言すれば、処理槽10の円周方向においては回転翼は途切れ途切れになっている。他方、軸線方向(処理槽10の巾方向)においては図2に示すように回転翼38A, 38B, 38C間には隙間は実質的にないか最小とされ(又は回転翼38A, 38B, 38Cが軸線方向に少しずつ重なるようにしてもよい)、処理槽10の実質的に全巾が回転翼38A, 38B, 38Cにより占められている。
【0022】
図3は一つのステー対に対する回転翼38A, 38B, 38Cの取付け構造を斜視図にて示しており、六角断面形状のステー36は回転軸18より半径方向に延びており、それぞれの対の軸線方向に所定距離離間しかつ円周方向に60度離間したステー36の端部間に回転翼38A, 38B, 38Cがそれぞれ固定されている。回転翼38A, 38B, 38Cは比較的薄い平坦板状(鋼板製)をなしており、各回転翼38A, 38B, 38Cの端部38−1,38−2は各ステー36の軸線(半径線)と平行にされ、ステー36の六角断面における一つの平坦外側面に面対面にて載置され、ボルト44などの締結具によって固定されている。回転翼38A, 38B, 38Cとステー36の六角断面における一つの平坦外側面との面対面との載置固定を可能とするため、回転翼38A, 38B, 38Cはその長手方向に沿って60度捻られ、これに各回転翼38A, 38B, 38Cの端部平面は対応のステー36の中心線(半径線)とより平行にされ、かつ回転翼38A, 38B, 38Cの端部38−1,38−2はステー36の一つの平坦外側面と平行にされるように適宜曲折部を形成している。図3の例では端部38−1は真直ぐであるが、端部38−2は曲折部を形成している。そのため、回転翼38A, 38B, 38Cの端部38−1,38−2をステー36に対向面にて載置し、ボルト44を螺合するだけで回転翼の取付け作業を完了することができる。
【0023】
図2に示すように回転翼38A, 38Bに関しては回転軸18の軸線に対する傾斜方向は同一であり、後述のようにこの傾斜方向は生ごみを矢印f1のように右側より処理槽10の中央に向けて付勢するものであり、回転翼38Cについては、回転軸18の軸線に対する傾斜方向は逆であり、生ごみを矢印f2のように左側より処理槽10の中央に向けて付勢するようにされている。
【0024】
図1において、処理槽10の側壁10−2に空気吸込み口46が設けられ、処理槽10の上壁10−1には排気吸込み口48が開口され、排気吸込み口48は廃棄ダクト50を介してブロア52に吸込み口に接続され、処理槽10内の空気の循環を行うようになっている。
【0025】
この発明の生ごみ処理装置の動作において、蓋14を想像線14´の位置まで開けることにより生ごみ投入口12より処理槽10内に生ごみをバイオチップを混入して投入し、蓋14を閉じ、図示しないヒータによる加温下及びブロア52による強制排気下において、モータ32により回転翼38A, 38B, 38Cを回転することにより生ごみは処理槽10内で攪拌を受ける。回転翼38A, 38B, 38Cの回転により生ごみは上方に持ち上げられ、最上部まで来ると落下され、同時に軸線に対する回転翼38A, 38B, 38Cの傾斜配置により生ごみは左右より水平方向に中心に向かうように移動される。即ち、軸線に対する回転翼38A, 38Bの傾斜は生ごみを矢印F1のように左側より処理槽10の中心方向に付勢し、回転翼38Cは反対方向の傾斜であるため、生ごみは矢印F2のように右側より処理槽10の中心方向に付勢される。このような上下及び中心に向けての生ごみの上下・左右の移動によって処理槽10内での生ごみの攪拌を処理槽内において満遍なく行うことができ、所定温度に加温下でのバイオチップ中の好気性微生物の働きにより生ごみは短時間で炭酸ガスと水蒸気とに分解され、生じた炭酸ガスと水蒸気とはブロア52により吸引除去することができる。
【0026】
この発明では平板状の回転翼38A, 38B, 38Cは軸方向に分離した一対のステー36間に軸線に対して傾斜するように配置し、かつ平板状の回転翼38A, 38B, 38Cはステー36との取付け端部における平面がステー36の軸線と平行となるように成形されている。そのため、攪拌時に、回転翼38A, 38B, 38Cはその全平面にて生ごみに作用するため、接触面積が大きくなり、回転翼38A, 38B, 38Cは処理槽10の実質的に全巾を占めている(若しくはは軸線方向の間隔は最小である)ため、処理槽10の全ての生ごみに満遍のない攪拌作用を及ぼすことが可能である。そして、回転翼38A, 38B, 38Cは円周方向では隙間SA, SB, SCにおいて途切れているため、攪拌抵抗を押えることができ、その分、回転駆動モータ32として低出力のものを使用可能となるため攪拌効率確保と省エネルギとを両立させることができる。
【0027】
また、平板状の回転翼38A, 38B, 38Cは六角断面のステー36の一側面に対し、面端面の載置及びボルト締結構造であり、また、ステー36の下端の平板40も回転軸18の六角断面形状部18−2に対して面対面の載置及びボルト締結構造であり、組み付けが楽であるにも係わらず機械的に堅固な構造となり、生ごみ処理機の耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の生ごみ処理機の直立面に添った断面図である。
【図2】図2はこの発明の生ごみ処理機の水平面に沿った断面図である。
【図3】図3はこの発明の生ごみ処理機における回転軸に対する回転翼の取り付け構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
10…処理槽
12…生ごみ投入口
14…蓋
18…回転軸
32…回転駆動モータ
36…ステー
38A, 38B, 38C…回転翼
40…ステー下端の平板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ごみが投入される処理槽に回転軸を設け、前記回転軸に沿って角度位置を徐々に転じつつ複数のステーを実質的に半径方向に延設し、ステーの外端側に回転翼を固定し、前記回転翼は平板より成形され、回転翼を構成する平板はその端部において平面がステーの軸線と実質的に平行するようにステーに固定されたことを特徴とする生ごみ処理機。
【請求項2】
生ごみが投入される処理槽に回転軸を設け、前記回転軸に沿って角度位置を徐々に転じつつ複数のステーを実質的に半径方向に延設し、前記ステーは軸方向に隣接したものより成る対が複数構成され、各対毎にステーの外端間に平板状の回転翼が固定され、複数の前記回転翼は円周方向に間隔をおいて分布されていると共に円周方向において隣接する回転翼間には隙間が残されており、複数の前記回転翼は軸線方向には実質的に隙間無く若しくは最小の隙間にて分布していることを特徴とする生ごみ処理機。
【請求項3】
請求項1若しくは2に記載の発明において、各回転翼は両端においてステーの外端に形成される平坦面部に対し面対面にて載置されるように成形されており、前記載置面において回転翼とステーとは締結手段により締結されたことを特徴とする生ごみ処理機。
【請求項4】
請求項1若しくは3に記載の発明において、前記回転軸はステーの取付け部が平坦面状をなし、この平坦面状の取付け部において板状ステーの内端の板状部が面対面で当接固定されていることを特徴とする生ごみ処理機。
【請求項5】
請求項1若しくは4に記載の発明において、前記ステーは断面が多角形状をなし、この多角形状により形成されるステーの一つの平坦側面がステーの外端における前記平坦面部を構成することを特徴とする生ごみ処理機。
【請求項6】
請求項4若しくは5に記載の発明において、前記回転軸は断面が多角形状をなし、この多角形状により形成される回転軸の一つの平坦側面が平坦面形状のステーの前記取付け部を構成することを特徴とする生ごみ処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2004−160382(P2004−160382A)
【公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−330281(P2002−330281)
【出願日】平成14年11月14日(2002.11.14)
【出願人】(502413016)株式会社メック (1)
【出願人】(599140208)株式会社富士トレーディング (1)
【Fターム(参考)】