説明

生ごみ処理装置

【課題】破砕物の排出効果を高める。
【解決手段】ホッパー3内のハウジングに破砕水が供給される。ハウジングの排出口に接続されたトラップ管40に洗浄水が供給される。洗浄水の吐出給水部42がトラップ管に接続される。破砕水は破砕処理が開始される直前から給水される。トラップ管に供給される洗浄水は、破砕処理後だけではなく破砕処理中にも、一定期間だけ供給される。破砕処理中に洗浄水をトラップ管に供給すると、トラップ管を流れる水流でハウジングの排出口まで流下した破砕物を押し出すような吸引力が作用する。この吸引力の作用で破砕物は、破砕処理中は満遍なくトラップ管内を通過して排水管側に排出され、排出効果が高まる。破砕処理が終了してから所定時間経過後に破砕処理後の洗浄水が供給され、トラップ管内の残留物を排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、厨房施設に適用できる生ごみ処理装置に関する。詳しくは、生ごみ処理装置本体に対する破砕水の給水の他に、生ごみ処理装置本体の排出側に連結されるトラップ管に対して洗浄水を給水する場合、破砕処理後だけではなく、破砕処理中にも洗浄水を給水することで、トラップ管内での破砕物の滞留を回避できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
一般家庭やレストランなどにおいて使用されている、生ごみ破砕用の生ごみ処理装置として、ハンマーミル型のものとグラインダー型のものが知られている(例えば特許文献1,2)。
【0003】
ハンマーミル型生ごみ処理装置(特許文献1)は、円筒形のホッパーの底部に配置した円盤上に固定ハンマーか、揺動自在なハンマーが設けられている。ホッパー内に投入された生ごみは、円盤が回転することにより生じる遠心力でホッパーの内周面へ押し付けられることで、生ごみがハンマーによって破砕される。破砕された生ごみは、ホッパーの壁面に形成した溝や、円盤の外縁とホッパーの内周面との間隙から下方へ落下する。落下した破砕後の生ごみは排水管側に排出される。
【0004】
ハンマーミル型の生ごみ処理装置は、ホッパー内の生ごみを粉砕するためにハンマーを取り付けた円盤を数千回転(rpm)で高速運転する設計としてあり、作動時には、生ごみがハンマーとホッパー内周面に衝突して破砕されるために、特に騒音や振動が大きい。
【0005】
これに対して、グラインダー方式の生ごみ処理装置(特許文献2)は、櫛歯形などの刃を持った回転刃と固定刃とを交互に積層した破砕ユニットが使用される。破砕ユニットを構成するこれら回転刃と固定刃とは僅かな間隙をもって噛み合うようになされ、回転刃が回転することにより、回転刃と固定刃とで生ごみを挟みながら破砕する。積層された回転刃と固定刃の刃のピッチは、下層へ行くほど細かくなっている。したがって、ホッパーへ投入された生ごみは、上層の回転刃と固定刃により先ず粗く砕かれ、下層の回転刃と固定刃によりさらに細かく破砕されて下方へ排出される。
【0006】
回転刃と固定刃とを交互に積層した構成のこのグラインダー型生ごみ処理装置は、遠心力を利用する必要がないので回転数を抑えて低騒音とすることができる。
【0007】
このような生ごみ処理装置にあっては、何れも生ごみの破砕物を流下させるための処理水として使用される水道水を自動操作で供給する場合がある(例えば、特許文献3)。この場合には、生ごみ処理装置本体内に設けられたハウジング内部に処理水(以下破砕水という)が自動給水される。
【0008】
また、この種生ごみ処理装置をキッチンシンクに取り付けて設置する場合、ハウジングと排水管との間には通常トラップ管が接続される。このトラップ管内の滞留物を排出すると共に、その内部の洗浄を行う目的で、破砕水とは別に洗浄水を供給することも行われている(例えば、特許文献4)。
【0009】
【特許文献1】特開2003−112073号公報
【特許文献2】特開2004−298809号公報
【特許文献3】特開2001−200564号公報
【特許文献4】特開2005−87921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述した特許文献3,4には、自動給水を行ったり、トラップ管の洗浄を行ったりする技術が開示されているが、この自動給水処理とトラップ管の洗浄処理を組み合わせて行う場合、どのようなタイミングで2つの処理を行うか、特に洗浄処理をどのタイミングで行うかについては全く開示されていない。洗浄処理のタイミングによってはハウジングからの破砕物を効果的に排出できなかったり、排出された破砕物の一部がトラップ管に残留したりしてしまうからである。洗浄水を浪費することにもなり兼ねない。
【0011】
そこでこの発明は、このような従来の課題を解決したものであって、破砕水の他に洗浄水を使用して生ごみの破砕処理および破砕物の洗浄処理を行うに当たり、特に洗浄水の給水タイミングを破砕処理後だけではなく、破砕処理中も行うことで、トラップ管内の滞留を回避できるようにした生ごみ処理装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するため、請求項1に記載したこの発明に係る生ごみ処理装置は、キッチンシンクの排水口の下面に取り付けられた生ごみ処理装置本体と、
この生ごみ処理装置本体内に対して着脱自在に構成されると共に、その内部に破砕ユニットが装着されたハウジングと、
このハウジング内に破砕水を供給するため、上記ハウジングの給水口側に設けられた破砕水開閉弁と、
上記ハウジングに接続されるトラップ管と、
このトラップ管に洗浄水を供給するため、上記トラップ管に接続された洗浄水開閉弁と、
上記破砕水開閉弁と上記洗浄水開閉弁とを制御する制御手段とからなり、
破砕処理中および破砕終了後、上記洗浄水が上記トラップ管に供給されることを特徴とする。
【0013】
この発明では、破砕ユニットが装着されたハウジング内に、破砕処理時に使用される破砕水が供給される。さらにハウジングの排出口に接続されたトラップ管に洗浄水が供給される。洗浄水はハウジング内よりトラップ管に排出された破砕物を排水管側に押し流して、破砕処理後に破砕物がトラップ管内に滞留しないようにするため、洗浄水の吐出部(吐出給水部)がトラップ管に接続される。
【0014】
ハウジングには破砕水が給水される。破砕水は破砕処理が開始される直前から給水される。この給水によってハウジング内壁や破砕ユニットに水膜ができるため、生ごみがハウジング内壁に付着することなく破砕処理できる。
【0015】
トラップ管に供給される洗浄水は、破砕処理後だけではなく破砕処理中にも、一定期間だけ供給される。破砕処理中に洗浄水をトラップ管に供給すると、トラップ管を流れる水流でハウジングの排出口まで流下した破砕物を押し流す作用を生じる。この吸引力の作用で破砕物は、破砕処理中は満遍なくトラップ管内を通過して排水管側に排出されるようになり、排出効果を高めることができる。破砕物が満遍なく排出されることから、破砕物によって排水管が詰まるおそれもない。
【0016】
破砕処理が終了してから所定時間経過後に破砕処理後の洗浄水が供給される。これは、ハウジング内から破砕物が完全にトラップ管側に流下した段階で、最終的な洗浄を行うためである。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したようにこの発明では、破砕処理用の破砕水の他に、排水管側に接続されたトラップ管に洗浄水を供給すると共に、この洗浄水を破砕処理後はもちろん破砕処理中も、一定期間だけ供給するようにしたものである。
【0018】
これによれば、破砕処理中に洗浄水をトラップ管に供給することで、破砕物に対する排出効果が高まり、トラップ管内に破砕物が滞留するのを防止できる。また、同時にトラップ管を流れる水流で管内を清掃することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
続いて、この発明に係る生ごみ処理装置をキッチンシンクに取り付けられた生ごみ処理装置の水道水供給系に適用した場合について説明する。
【実施例1】
【0020】
図1はこの発明を家庭用キッチンシンクに装備された生ごみ処理装置1の水道水供給系に適用した場合の概念図を示す。
【0021】
キッチンシンクSのほぼ中央底部に設けられた排水口Soには、その底部裏面側に生ごみ処理装置1が取り付け固定される。生ごみ処理装置1は後述するように、筒状をなすホッパー3を有し、その内部に破砕ユニットが設けられる。破砕ユニットはモータ6によって回転駆動される。
【0022】
破砕ユニットとしては、ハンマーミルを使用して生ごみを粉砕する上述したハンマーミルタイプのものや、固定刃と回転刃を用いて生ごみを破砕するグラインダータイプのものなどを使用することができる。以下に示す実施例は、後者(グラインダータイプ)を使用した生ごみ処理装置である。
【0023】
図1に示すように、ホッパー3の上部周面には水道水の供給口9とこの供給口9に連結された連結管10がそれぞれ接続される。ホッパー3の下部周面には排水管接続口21が設けられ、この排水管接続口21を介して破砕された生ごみや破砕時に使用した破砕水(破砕物を流下する水)などが排水管39に排出される。
【0024】
排水管接続口21と排水管39との間には、周知のトラップ管例えばS字トラップ管40が接続される。この例では、このS字トラップ管40と排水管接続口21との間に分岐管41が設けられる。分岐管41はほぼT字状をなし、第1の分岐管41aは上述したS字トラップ管40に連結され、S字トラップ管40と鉛直状態で連結される第2の分岐管41b側には、洗浄水の吐出給水手段として機能する吐出給水部42が連結される。この吐出給水部42は、破砕物がS字トラップ管40内に滞留しないようにするために設けられたもので、洗浄水をS字トラップ管40に供給して管内に滞留した滞留物を排出すると共に、トラップ管内の洗浄を図る。
【0025】
図1の例では、キッチンシンクSとしては、その上部平坦面(溢れ縁)Saに対し、一段凹んだ低い部位に位置する段差部50が設けられたシンクを使用した場合である。段差部50には水栓管51が突出して取り付け固定される。水栓管51の取っ手52を操作することで、水道水の開栓および閉栓(止栓)が行われる。
【0026】
段差部50にはさらに生ごみ処理装置1に供給される水道水に対するバキュームブレーカ60が設けられる。バキュームブレーカ60は、水道水と生ごみ処理装置1側の水(汚水)とが直接混じり合わないようにするために設けられたものであって、水道水は一旦このバキュームブレーカ60に導かれ、そしてバキュームブレーカ60より吐水した水道水が、生ごみ処理装置1とS字トラップ管40に導かれる。
【0027】
そのため、バキュームブレーカ60も2連式の生ごみ処理装置が使用される。水道本管53から分岐した第1の分岐管53aが水栓管51に連結される。水道本管53から分岐した第2の分岐管53bと第3の分岐管53cはバキュームブレーカ60に設けられた上水用の連結口(上水口)にそれぞれ接続される。
【0028】
第2の分岐管53bと第3の分岐管53cには破砕水開閉弁55、洗浄水開閉弁57が配設され、給水の制御が行われる。破砕水開閉弁55、洗浄水開閉弁57は、例えば電磁弁が用いられる。第2の分岐管53bに関連した吐水口と連結管10との間には導水管54が連結される。連結管10を介すことなく直接水道水供給口9に連結することもできる。第3の分岐管53cに関連した吐水口は導水管56を介して上述した吐出給水部42に連結される。
【0029】
このように水道管等を連結することで、バキュームブレーカ60を介して生ごみ処理装置1の水道水供給口9と排水口21側にそれぞれ処理水(破砕水と洗浄水)を供給できる。
【0030】
バキュームブレーカ60は大気開放型のもの(大気圧式生ごみ処理装置)が使用される。断水などによって汚水の水位上昇を招くような負圧が排水管側に作用しても、このバキュームブレーカ60によって上水系と汚水系を確実に分離できる。
【0031】
図2はこの発明を適用できる生ごみ処理装置1の一例を示す。この生ごみ処理装置1はホッパー3を有する。ベースフレーム2の上に生ごみ等が投入されるホッパー3が搭載され、ホッパー3の上端がキッチンシンクSの排水口Soに嵌合している。
【0032】
ホッパー3の内部には、ホッパー3に対して着脱可能に破砕ユニット4が装着される。破砕ユニット4は、後述する回転破砕刃が減速ユニット5の駆動軸5aに嵌合され、ベースフレーム2に取り付けたモータ6が減速ユニット5を介して破砕ユニット4の回転破砕刃を回転駆動する。破砕ユニット4に駆動力を伝達する駆動軸5aにあって、破砕ユニット4との嵌合部分は角軸状あるいはスプライン軸状等に形成される。
【0033】
ホッパー3は上端に投入開口部7が形成され、投入開口部7に蓋体8が着脱可能に取り付けられる。投入開口部7には上述した供給口9が設けられている。水道水は供給口9から蓋体8に供給され、そして蓋体8からホッパー3内へと給水され、これが破砕水として使用される。
【0034】
蓋体8は中蓋8aと上蓋8bを備える。中蓋8aは上部が開口し下部が有底の円筒形状で、底部11に水当て部12が突出形成されると共に、水当て部12の周囲に複数の給水口13が形成される。水当て部12と給水口13とで貯水部11aが形成される。
【0035】
複数の給水口13は、貯水部11aの底部11の内周側から外周側にかけて全面に形成される。給水口13は例えば放射状に配置することができる。
【0036】
貯水部11aは、中蓋8aの側部を外周面から内周面へと貫通した供給口18を備える。したがって蓋体8を投入開口部7に嵌め込んだとき、ホッパー3の供給口9と連通するように供給口18が形成される。
【0037】
水当て部12は底部11に対して立設した壁面が、供給口18と対向する部位に形成される。水当て部12は、横方向においては供給口18からの水の放出方向に対して略直角に配置される。また、上下方向においては、上方が奥側に位置する方向に傾斜した斜面が形成される。蓋体8内に給水された水を、満遍なく周囲に分散させてホッパー3内に落下させるためである。
【0038】
ホッパー3の内部には、排水管接続口21へ向かって傾斜した底板22が設けられ、底板22の中心には減速ユニット5の駆動軸5aが通る孔22aが形成される。
【0039】
この例では、蓋体8を投入開口部7に装着した状態で蓋体8を所定方向に所定角度だけ回転させることで、蓋体8が閉状態となる。閉状態になると蓋体8がホッパー3にロックされる。蓋体8がロックした状態で生ごみ処理装置1は稼働状態となる。蓋体8のロック状態はホッパー3の外周面に取着された検知手段24によって検知される。検知手段24は磁気センサ(近接センサ)などが使用され、したがって蓋体8には対応する位置に磁石(図示はしない)が装着固定されている。
【0040】
生ごみ処理装置1はモータ6の回転駆動を制御する制御部(CPUを搭載した制御手段)25を備える。制御部25は、検知手段24からの検知信号や、内部クロックに基づいて生成された制御信号等に応じて破砕水開閉弁55、洗浄水開閉弁57の開閉、モータ6の回転開始および停止等を制御する。また、破砕水開閉弁55、洗浄水開閉弁57の開閉制御に応じてブザー70やスピーカ72が駆動され、制御部25からの制御によって、ブザー音による破砕処理経過の報知や音声案内がなされる。
【0041】
ハウジング31内に装着される破砕ユニット4として、この例では特許文献2に開示されている構造に近似した破砕刃が使用される。したがってこの破砕ユニット4は、第1回転破砕刃26、第2固定破砕刃27、第3回転破砕刃28、第4固定破砕刃29および第5回転破砕刃30が重ね合わされたユニットとして使用される。
【0042】
ハウジング31は円筒形状で、その外径はホッパー3の内径とほぼ等しく構成される。破砕ユニット4はホッパー3の投入開口部7側から装着される。ハウジング31には円弧状の金属棒で構成された着脱用のハンドル31cを備える。ハンドル31cはハウジング31の上端側に直径方向に延在して取り付けられる。
【0043】
第1回転破砕刃26は、軸受部32の側部の片側から水平に延びる1本の攪拌アームで構成される。
【0044】
第2固定破砕刃27は、180度間隔で水平に延びる平板状の2本のアームを備え、その両側面に形成されたエッジが破砕刃として機能する。
【0045】
第3回転破砕刃28は、中心から120度間隔で放射状に延びる3本のアームを備える。各アームはその底面側に所定のピッチを有する櫛歯部が形成される。
【0046】
第4固定破砕刃29は、中心から等間隔で接線方向に放射状に延びる8本のアームをリングで囲んだ形状である。8本のアームのうち、例えば6本のアームにはその上面に、第3回転破砕刃28と歯合する櫛歯部が形成され、これらが第3回転破砕刃28と歯合する。第4固定破砕刃29の櫛歯部は、上段の破砕刃から送り込まれた生ごみを、第3回転破砕刃28の櫛歯部との協働で破砕する。
【0047】
リングの外周には180度間隔で放射方向に突出するタブ29aが形成される。タブ29aはハウジング31の縦溝31bに嵌合して、第4固定破砕刃29の回転を規制する。
【0048】
第5回転破砕刃30は円板形状で、中心のハブを除く全面に多数のスリットが配列されて構成される。この例では、複数のスリット群で構成され、隣接するスリット群同士が略平行に配列されている。
【0049】
第5回転破砕刃30の上面は平面で、第4固定破砕刃29の各アームの底面に接しながら回転する。また、スリットは第5回転破砕刃30を表裏貫通し、スリットの上面側開口縁部には鋭利なエッジが形成される。したがって、第3回転破砕刃28の櫛歯部と、第4固定破砕刃29の櫛歯部により破砕されて第5回転破砕刃30の上面に落下した生ごみはスリットに引っ掛かり、第5回転破砕刃30が回転することでこのスリットに押し付けられ、そしてスリットのエッジ部分によって破砕される。細かく破砕された生ごみは、スリットを通って破砕水と共に落下し、そしてホッパー3の底板22を通り排水管接続口21から外部へと排出される。
【0050】
蓋体8の開閉操作に関連して破砕水開閉弁55、洗浄水開閉弁57がそれぞれ制御されて破砕水および洗浄水に対する給水制御が行われる。給水制御は、ハウジング31内への破砕水制御とS字トラップ管40への洗浄水制御である。給水制御は検知手段24からの検知信号等に基づいて制御部25が行う。制御部25はその内部にタイマー機能(カウンタ機能)を持っているものとする。
【0051】
続いて、図3を用いてこの給水制御例を示す。破砕処理が行われているときは同時に破砕物の排出処理が行われる。この破砕処理と排出処理が同時に進行する破砕・排出処理時間をTbとする。破砕処理が終了した後の所定時間Tcは排出処理のみとなる。
【0052】
この例では、破砕・排出処理時間Tbと、排出処理時間Tcとはほぼ同じ時間に設定されている。これらの処理時間Tb、Tcとして余り短く設定すると、破砕処理および排出処理が不十分となり、逆に長過ぎると処理時間や電力の無駄となるからである。諸種の実験によると、処理時間Tb、Tcとして大凡30〜40秒程度、トータルで60〜70秒程度が好ましいことが判明した。
【0053】
もちろん、破砕・排出処理時間Tbを長目に設定し、その分その後に続く排出処理時間Tcを短く設定し、トータルの処理時間が同じになるように設定することもできる。例えば、トータルの処理時間(Tb+Tc)=60秒としたとき、Tb=40秒、Tc=20秒の如くである。図3の説明では、Tb=30秒、Tc=30秒に設定した場合である。図3を参照して説明する。
【0054】
ハウジング31内に生ごみが投下された段階で、蓋体8が開口部7に装着される。装着後蓋体8を所定方向に所定角度だけ回転させることで蓋体8がホッパー3にロックされる(図3A、B、時点t1〜t2)。ホッパー3のロック位置には検知手段24が設けられているので、蓋体8の近接および離間が検知手段24より検知される。
【0055】
制御部25ではこの検知手段24からの信号に基づいてロック検知信号(蓋体8の近接)とロック解除信号(蓋体8の離間)が生成される(図3C、時点t2、t9)。
【0056】
ロック検知信号が生成されると、制御部25からの制御信号によってまず破砕水開閉弁55が開状態に制御される(図3D、時点t2)。破砕水開閉弁55は後述するように時点t2より時点t7に至るまでの間(Tx)、継続して開状態に制御される。破砕水開閉弁55が開放されると、給水口9を介して蓋体8に破砕水が供給されるため、蓋体8の底部に設けられた給水口13より破砕水がハウジング31内に給水される(図3E)。
【0057】
破砕処理が開始される直前に所定時間Taだけ事前給水するのは、破砕水によってハウジング31の内壁および破砕ユニット4の表面を滑らかに濡らすためで、こうすることによってその後に続く破砕処理時に生ごみがこれらの部材に付着するのを防止することができる。そのため、この事前給水のための時間Taとしては5秒程度に設定すればよい。
【0058】
この事前給水時間が経過すると、給水が継続したまま本格的な破砕処理となる(図3G、時点t3〜)。したがって時点t3から駆動モータ6が通電され、破砕ユニット4の回転破砕刃26,28,30が回転駆動される(図3F)。回転破砕刃と固定破砕刃の協働で生ごみに対する破砕処理が進行する。破砕処理と排出処理が同時に行われる破砕・排出処理中(期間Tb)は、破砕水が供給されているので、この破砕水によって生ごみは一層破砕されやすくなるため破砕処理の進行が加速される。
【0059】
破砕および排出処理が開始された直後は、破砕が充分進行していないので、破砕物は第5回転破砕刃30より底板22側には落下するには至らない。破砕処理が進行し、生ごみがある程度の細かさに破砕されると、細かく破砕された破砕物が第5回転破砕刃30より底板22側に落下し始めることが実験により確認された。したがって破砕・排出期間Tbの前半(時間にして破砕開始後10〜15秒程度)は殆ど破砕処理のみとなり、その後徐々にほぼ定量の破砕物が底板22側に落下して排出されるようになる。
【0060】
そこで、この例では破砕開始後所定時間Δt(例えば15秒)が経過した時点t4から破砕物の排出処理を助勢するための処理に遷移する。つまり、S字トラップ管40への洗浄水の供給が開始される。そのため、洗浄水開閉弁57が開状態に制御されて洗浄水の供給が行われる(図3J,K)。
【0061】
これにより、洗浄水がS字トラップ管40側に供給されて、底板22から排水管接続口21を経て分岐管41の第1の分岐管41aまで流下した破砕物に作用する。このときの洗浄水は破砕物の流下を手助けることとなり、破砕物の排出処理が一層スムーズに行われる。破砕物はS字トラップ管40を介して排水管39側に排出される。
【0062】
排出処理の助勢期間Tdは任意の時間に設定できるが、この例では破砕・排出処理期間Tb内に排出処理の助勢を終了させるため、10秒程度の時間に設定されている。
【0063】
破砕・排出処理(期間Tb)が終了した後も、引き続き破砕・排出処理(期間Tc)が継続される(図3G)。諸種の実験によると、ホッパー3の内部に投入された一般的な生ごみの破砕そのものは、破砕・排出処理の期間Tbの間にほぼ完了することが判明している。このため、破砕・排出処理時間Tc中は、駆動モータ6を停止して、破砕水開閉弁55等からの給水のみを行って排水処理のみを行う行程としても良い。
【0064】
ここでは、生ごみとして、繊維質に富んだものや骨類、貝殻などの破砕が困難な生ごみが大量に投入されて、破砕・排出処理(期間Tb)において、すべての破砕が完了しない場合が想定されることを考慮して、破砕・排出処理(期間Tb)後も、引き続き駆動モータ6を動作させるとともに、破砕水開閉弁55からの給水を行うようにし、破砕・排出処理(期間Tc)を設定している(図3F)。排出処理に移行したことをブザー70で知らせる(図3H、時点t6)。この例では同時に、音声案内が行われる(図3I、時点t6)。音声案内は例えば「破砕物の排出処理です」のような簡単なメッセージで充分である。ブザー音と音声案内の双方を実行するのではなく、ブザー音、音声案内の何れかでもよい。
【0065】
破砕処理は、破砕・排出処理期間Tbでほぼ終了するが、上述の如く、難破砕性の生ごみである場合、破砕物の一部がハウジング31内に残留していることがある。また、期間Tbにおける破砕処理によって破砕物の一部がハウジング31の内壁や破砕ユニット4に付着したままとなっていることもある。そこで、後半の期間Tcを利用して残滓処理と洗浄処理が同時に行われる。したがって、破砕水は後半の期間Tcも供給される。
【0066】
後半の破砕・排出処理期間Tcは、期間Tbにおいて破砕処理が完了していない場合には、破砕・排出処理を継続し、破砕処理が完了している場合には、供給された破砕水を破砕ユニット4によってハウジング31の内部へ飛散させることで、ハウジング31の内壁や、破砕ユニット4に付着したままとなっている残滓処理と、ハウジング31の内壁および破砕ユニット4の洗浄処理とをほぼ確実に行うことができる。
【0067】
破砕・排出処理期間Tcが終了する時点t7になると、破砕水開閉弁55が閉状態に制御されて、破砕水の供給を停止する(図3D、E、G)。これと同時に、洗浄水開閉弁57が開状態に制御されて、時点t7より若干の時間Te(例えば5秒間)だけ洗浄水がS字トラップ管40側に供給される。洗浄水はS字トラップ管40内に吐出給水されるので(図3K、時点t7〜t8)、S字トラップ管40内に滞留している破砕物が一気に排出され、同時に管内の洗浄が行われる。
【0068】
この洗浄処理の開始とほぼ同時(時点t7)になるとブザー70が再び発呼されると共に、音声案内が行われる。音声案内は、例えば「生ごみ処理が終了しました。」のような簡単なメッセージでよい。このようにブザー音や音声案内を行うことによって、台所から離れた場所に居る利用者でも生ごみ処理の終了を確実に認識できる。
【0069】
再度、生ごみ処理装置1を利用する場合には、その後の任意の時点t9で蓋体8のロックを解除し、そして蓋体8の取り外しを行って(図3A、B、時点t10)、蓋体8の装着を行えば良い。
【0070】
なお、破砕処理中は満遍なく破砕物が破砕水とともに底板22側に落下して排出され、そして破砕処理中の洗浄水の供給によって破砕物は滞留することなく排水管39側に排出される。このように破砕物が満遍なく排出されることから、破砕物によって排水管39が詰まるおそれもない。
【0071】
ところで、制御部25では、図3Cに示すように検知手段24による蓋体8の近接および離間の検知に同期して、ロック検知信号およびロック解除信号がそれぞれ生成される。そして、ロック検知信号によって駆動モータ6に対する通電が開始され、ロック解除信号によって駆動モータ6に対する通電が解除される。
【0072】
図3の例は、全ての処理(破砕・排出処理)が終了した段階(時点t9)で蓋体8のロックが解除されるようにした例であるので、ロック解除信号が得られる前の時点で駆動モータ6への通電が停止している。
【0073】
駆動モータ6への通電中であって、例えば洗浄水による助勢時間Tdに突入した破砕・排出処理期間Tb中に、蓋体8のロックが強制解除されたときは、図4に示すようにそのときの蓋体8の離間に同期してロック解除信号が生成されるため、このとき駆動モータ6への通電が強制停止される(図4B、C、D、F)。
【0074】
その結果、破砕・排出処理中であっても、破砕・排出処理が強制的に停止される(図4G)。その後は洗浄水開閉弁57のみ開放して洗浄水のみによる排出処理に移行する(図4J、K)。破砕物の一部であっても、細かく破砕された破砕物があれば、これらを排出するためである。
【0075】
生ごみ処理が強制終了させられたときは、ブザー音を鳴らすと共に、音声案内を行う(図4H,I)。この場合の音声案内は、例えば「生ごみ処理を強制終了しました」のように行うことで、蓋体8を操作したことによる処理結果を知らせるようにする。
【0076】
蓋体8が再度装着されてロックされると、初期状態に戻るから、図3の処理を最初のルーチンから開始し、破砕および排出処理が進行する。
【0077】
上述した洗浄水および破砕水の給水量は、8リットル/min位が適当である。ただし、事前給水時(時間Ta)における破砕水の水量や、排出処理後の排出および洗浄処理(時間Te)における洗浄水の水量は、破砕・排出処理中ほどの水量を確保する必要がない。そのため、この例では節水を考慮して、破砕水および洗浄水の水量は破砕・排出処理時のほぼ半分となるように破砕水開閉弁55、洗浄水開閉弁57が制御される。
【0078】
なお、吐出給水部42からの洗浄水の給水は、洗浄水をそのまま吐出させても良いし、ジェット水流として噴出させても良い。
【産業上の利用可能性】
【0079】
したがってこの発明に係る生ごみ処理装置は、家庭用キッチンシンクなどに使用される生ごみ処理装置に適用して極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】この発明に係る生ごみ処理装置の一例を示す概念図である。
【図2】この発明に適用できる生ごみ処理装置の一例を示す要部の断面図である。
【図3】この発明に係る生ごみ処理装置の処理例を示すタイミングチャートである(その1)。
【図4】この発明に係る生ごみ処理装置の処理例を示すタイミングチャートである(その1)。
【符号の説明】
【0081】
1・・・生ごみ処理装置
3・・・ホッパー
4・・・破砕ユニット
26,28,30・・・回転破砕刃
27,29・・・固定破砕刃
31・・・ハウジング
8・・・蓋体
9・・・供給口
18・・・供給口
21・・・排出接続口
55・・・破砕水開閉弁
57・・・洗浄水開閉弁
S・・・キッチンシンク
39・・・排水管
40・・・S字トラップ管
42・・・吐出給水部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キッチンシンクの排水口の下面に取り付けられた生ごみ処理装置本体と、
この生ごみ処理装置本体内に対して着脱自在に構成されると共に、その内部に破砕ユニットが装着されたハウジングと、
このハウジング内に破砕水を供給するため、上記ハウジングの給水口側に設けられた破砕水開閉弁と、
上記ハウジングに接続されるトラップ管と、
このトラップ管に洗浄水を供給するため、上記トラップ管に接続された洗浄水開閉弁と、
上記破砕水開閉弁と上記洗浄水開閉弁とを制御する制御手段とからなり、
破砕処理中および破砕終了後、上記洗浄水が上記トラップ管に供給される
ことを特徴とする生ごみ処理装置。
【請求項2】
上記ハウジングの開口部を閉塞する蓋体に関連して破砕処理が制御される
ことを特徴とする請求項1記載の生ごみ処理装置。
【請求項3】
上記破砕処理が開始される直前より上記破砕水が給水される
ことを特徴とする請求項1記載の生ごみ処理装置。
【請求項4】
上記破砕処理は、上記蓋体の着脱に関連して実行される
ことを特徴とする請求項2記載の生ごみ処理装置。
【請求項5】
破砕処理中は連続して破砕水の給水が行われると共に、破砕処理中の一部の期間だけ洗浄水が給水される
ことを特徴とする請求項1記載の生ごみ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−160281(P2007−160281A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−363660(P2005−363660)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】