説明

生ゴミの醗酵容器

【課題】 本発明は、家庭又は食堂等から出る生ゴミを簡便に処理できる生ゴミの醗酵容器に関する。
【解決手段】生ゴミの醗酵容器を吸湿材で製作し、底面体に網体を張り、網体の下に底桟を設けて網体との間に通気可能な空間を形成してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭又は食堂等から出る生ゴミを簡便に処理できる生ゴミの醗酵容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭等からでる生ゴミの処理は、バケツ等に保管しておいて、ゴミ収集日にビニール袋に収納して廃棄物処理車によって処理しているし、又、近年、各家庭で処理可能な生ゴミ処理器を購入して、各家庭で処理をしている。
そこで、簡便に生ゴミを処理する容器として、特開2004−869号公報には、下部から空気の流入が可能で、上部から醗酵で生ずる水を含有の空気を排出可能に構成して、生ゴミと醗酵媒体とで醗酵させる旨の開示がある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特開2004−869号公報に記載の容器で生ゴミを醗酵させると、周囲の環境条件により、醗酵容器内の水分調整が必ずしもうまく行かない。水分が多いと、醗酵速度が遅くなるし、水分が少なくなると醗酵菌が死滅するという事態が生ずる。
そこで、本願発明は、容易に、水分調整ができる生ゴミを処理する醗酵容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の生ゴミの醗酵容器は、吸湿材で製作されていて、底面体に下網体を張り、下網体の下に底桟を設けて、その下網体との間に通気可能な空間を形成してなるものであり、醗酵に必要な空気は下網体の下の空間から供給される。また、容器内に発生する水は、容器材が吸湿性のため、容器材に吸収されると共に外部に蒸発され、容器内の水分量を調節できる。
又、請求項2の生ゴミの醗酵容器は、容器材料として段ボール紙を使用するので、安価に製作できる。
【0006】
又、請求項3の生ゴミの醗酵容器は、容器の内側に網体を貼着することによって、容器の補強を簡便に図ることができる。
又、請求項4の生ゴミの醗酵容器は、下網体の上に床材を載置し、その床材の上に上網体を設け、その上網体の上に生ゴミを載置することによって、床材の散逸を防止できる。
又、請求項5の生ゴミの醗酵容器は、木製又は樹脂製の外容器に収納されて、該外容器の底空間から空気の流入されて醗酵されるので、生ゴミの醗酵容器が水分吸収によって弱くなっていても外容器によって外形は維持される。
また、請求項6の醗酵容器は、容器内に湯たんぽを収納することによって、昇温して醗酵の促進を図る。
また、請求項7の生ゴミの醗酵容器は、収納する湯たんぽを覆って、長期にわたって昇温する。
【発明の効果】
【0007】
本願発明に生ゴミの醗酵容器は、簡便に製作でき、且つ、容器内の水分量の調節ができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一部断面を示す生ゴミの醗酵容器の斜視図。
【図2】外容器と醗酵容器を示す図である。
【図3】一部断面を示す生ゴミの他の構造の醗酵容器の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願発明の生ゴミ醗酵容器1を、一部断面を示す斜視図である図1を参照して説明する。
醗酵容器1は、立方体又は直方体であり、主材料は吸湿性を有し、安価に製作するために、所謂、段ボール箱を用いるのが望ましい。即ち、上部の開閉蓋10、正面体11、左側面体12、右側面体、裏面体を段ボール紙で製作する。
このため、内部で生ずる水は、通常は閉鎖中である前記開閉蓋10、正面体11、裏面体、左側面体12、右側面体に吸収され、外気温との関係で、水は前記開閉蓋10、正面体11、裏面体、左側面体12、右側面体から蒸発し、反対に、容器内の水分が減少すると、前記開閉蓋10、正面体11、裏面体、左側面体12、右側面体に吸収されている水が、内部で蒸発し、容器内の水分調整をする。
【0010】
尚、底面体15には、細かいメッシュの下網体16が張ってあり、適宜の間隔で底桟18が設けてあり、前記下網体16との間に通気可能な空間20が形成されている。
又、前記下網体16の上には、後述する床材25を載置し、生ゴミとの混合を避けるために、前記下網体16と同じ材質の上網体17が取付けてあり、床材25を散逸を防止できる。
尚、前記容器1を補強する意味で、正面体11、裏面体、左側面体12、右側面体の内側に網体を前記段ボール紙に貼着することが望ましく、この網体は前記網体16と同じ材質である。
又、前記容器1の外側には、虫の進入又は排出を防止するために、防虫ネット22で覆われている。
又、容器1内の隅部には、撹拌器具19が収納されている。
【0011】
次に、生ゴミを醗酵させるために、前記容器1の使用方法について説明する。
先ず、生ゴミ醗酵容器内の前記底面体15に張ってある下網体16の上に、床材25としての木材チップを入れて、雨の当らない軒下等に設置する。
又、その上に、上網体17を設置して、生ゴミと床材25との混合を避けて、床材25の散逸を防止する。
前記床材25は、生ゴミの醗酵で発生する水を吸収可能であると共に、底面体15から空気を容器内部に導入可能である。
尚、この床材25を敷く厚みは、発生する水分が底面体から落下しないような、吸水量を維持できる厚みであり、木材チップの大きさとの兼ね合で選択する。
尚、醗酵促進剤を水で溶解して促進剤を作成する。
【0012】
次に、生ゴミの投入場所にくぼみを作成して、最初の1〜2週間は、野菜を中心に処理して、菌床の安定化と活性化を図るのが望ましい。
そして、生ゴミ30と好気性菌を含有の土31を投入したら、生ゴミを細かく切るように撹拌器具19で撹拌する。
生ゴミは、前記底面体15から導入される空気及び開閉蓋10の下部の空間における空気とで、好気性菌によって醗酵する。
また、醗酵を促進するために、促進溶液を霧吹き等で吹きかけるのが望ましいし、特に、腐敗臭がしたときや表面がべとつくときには促進溶液の補給を止め、反対に、乾燥状態であるときには促進溶液を多くする。
【0013】
この醗酵過程において、水が生じ、この水は容器1の材料である段ボール紙、床材(木材チップ)25で吸収され、外気温等の関係により、前記段ボール紙や床材から蒸発して、容器内の水分量の調整を行う。
そのため、容器内の水分が不十分にはならないので好気性菌が死滅することを防止できる。
【0014】
又、新たな生ゴミ30も前記と同様に、容器内に投入し、好気性菌が少ない場合には好気性菌を含有の土31投入し、容器内を撹拌器具で撹拌する。
以上のように、順次、生ゴミの投入、撹拌、時には好気性菌の投入、促進溶液の霧吹き等をすることによって醗酵し、発生する水は段ボール紙や床材で吸収されると共に、外部に蒸発して、容器内の水分維持を図ることができる。
又、この生ゴミ醗酵容器は、主として、段ボール紙という素材を使用するので安価に製作できる。
【0015】
次に、前記段ボール紙製の醗酵容器1では、水分を含有すると強度面で劣るので、図2に示すように、木製、樹脂製等の堅固な外容器82に前記段ボール紙製の醗酵容器1を収納して生ゴミの醗酵を行う。
この外容器82は、上面と底面が開口状態であり、上横板84aと下横板84b及び支柱83から構成され、各4隅の下には底桟83aを付設して底空間89を形成すると共に、前記上横板84aと下横板84bの間にも側空間85を形成して支柱83に組み付ける。又、前記外容器82の内周には、段ボール紙製の醗酵容器1を支持する支え桟87を設けてある。
【0016】
尚、この段ボール紙製の醗酵容器1は、前記図1に示す醗酵容器とは底桟18が不要であるし、正面体11、裏面体、左側面体12、右側面体の内側に、前記網体16と同じ材質である網体を前記段ボール紙に貼着することは、必ずしも必要ではない。
又、前記外容器82に付設の上横板84aと下横板84b等は、醗酵容器1からの水分蒸発が十分に確保できるような側空間85を形成可能に支柱83に組み付けて構成する。そして、段ボール紙製の醗酵容器1の側面は、外容器82の内面とは、密着しない状態で収納することによって、側空間85からの水分蒸発が可能である。
【0017】
次に、前記段ボール紙製の醗酵容器1と外容器82の使用について説明すると、
段ボール紙製の醗酵容器1を外容器82に収納すると支え桟87に載置される。
このため、醗酵容器1は底空間89から空気の出入ができると共に、前記側空間85を介して、醗酵容器1の側部に含有の水分が発散されたり、吸収されたりして、醗酵容器内の水分調整ができる。
又、この外容器82によって、水分吸収によって弱くなっている段ボール紙製の醗酵容器1の外形は維持される。
【0018】
そして、この外容器82に収納の段ボール紙製の醗酵容器1を用いて生ゴミを醗酵させる操作は、前記したと同様に、床材25、生ゴミ30、好気性菌を含有の土31等を用い、外蓋88を被せて醗酵を行う。
尚、醗酵中において、外容器82の外側には、離間した状態で、防虫ネット80を被せておくことが望ましい。
また、前記醗酵容器1、外容器82は、前記した状態を適宜組み合せて構成することができる。
【0019】
次に、図3に示す醗酵容器について説明する。この醗酵容器は、図1に示す醗酵容器の構成とほぼ同じであるが、冬季の外気温が低いときに、醗酵を促進するための対策として、容器内に、湯たんぽ100を収納可能になっている。この湯たんぽ100は、熱水等を金属性容器に、また、温水を樹脂製容器等に入れたものであり、この湯たんぽ100の放熱によって容器内温度を昇温することによって、醗酵速度の向上を図る。尚、この湯たんぽ100を金属箔(アルミ箔)等で覆ったり、毛布で覆うことによって、排出熱量を抑制でき、長期にわたって昇温する場合に有効な手段である。
【符号の説明】
【0020】
10 開閉蓋
11 正面体
12 左側面体
15 底面体
16 下網体
17 上網体
18 底桟
20 空間
21 網体
82 外容器
100 湯たんぽ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉蓋、正面体、裏面体、左右側面体、底面体で構成の生ゴミの醗酵容器であり、
前記醗酵容器を吸湿材で製作し、
前記底面体に下網体を張り、下網体の下に底桟を設けて前記下網体との間に通気可能な空間を形成してなることを特徴とする生ゴミの醗酵容器。
【請求項2】
容器を製作の吸湿材が段ボール紙であることを特徴とする請求項1の生ゴミの醗酵容器。
【請求項3】
正面体、裏面体、左側面体、右側面体の内側に網体を貼着することを特徴とする請求項1又は請求項2の生ゴミの醗酵容器。
【請求項4】
下網体の上に床材を載置し、その床材の上に上網体を設け、その上網体の上に生ゴミを載置する請求項1から請求項3のいずれか1項の生ゴミの醗酵容器。
【請求項5】
醗酵容器を木製又は樹脂製の外容器に収納し、該外容器の底空間から空気の流入が可能である請求項1から請求項4のいずれか1項の生ゴミの醗酵容器。
【請求項6】
醗酵容器内に湯たんぽを収納することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項の生ゴミの醗酵容器。
【請求項7】
湯たんぽを覆って、長期にわたって昇温することを特徴とする請求項6の生ゴミの醗酵容器。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−115773(P2011−115773A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47228(P2010−47228)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(598085526)ホツタ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】