説明

生ゴミやし尿の瞬間的消滅装置

【課題】 食品業界では食品残渣2割削減の法律制定、あるいは乳牛業界に於ける廃棄物の放置を厳しく禁止した適正処理法や海洋投棄禁止条例など等、わが国はもとより世界的に地球環境維持のための運動や規制は益々厳しさをましております。
【解決手段】 そこでこれらの世界的潮流に対処すべき解決案の一つとして考案されたものが本技術である生ゴミの消滅消滅装置であり素人でも簡易に取り扱いが可能であり、従来型の生ゴミの肥料化などと違って生ゴミそのものを消滅する超短時間に消滅処理する技術と、軽量小型化により船舶など海上での植物系残渣を消滅する技術を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品業界いわゆる学校給食やレストランなどの外食産業界における食品残渣や、大量栽培による茶葉の絞りかすの残渣、或いは人糞の排泄物はもとより食用牛や乳牛業界の排泄物など等、植物を食料源とする生物世界における生活や生産活動の裏では派生的にそれらの残渣や排泄物が必ず伴うと同時にその残渣処理が問題となります。特に国際的な海洋投棄禁止条例が制定されて以来、海洋上におけるこれらの食品残渣や排泄物の処理は大きな厄介物であります。これら食品残渣や排泄物の処理を出来るだけエネルギーを消費しない形で短時間に処理、且つ消滅を可能とする処理技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人類を初め全ての動物はその生命維持のため、或いはエネルギー源として必ず食料を必要とします。これらの第一次食料源としては植物製品が筆頭に上げられます。現代市場では多くの加工食品が見受けられますが、例えばチーズやパンなどもそれらの元はやはり大量に生産された農業生産物の加工の結果であり、又牧草やとうもろこしなどを食料源として成長した乳牛や豚などの副産物でもあります。これらの植物性生産物は食料として動物の活動エネルギー源のみならず、石油や石炭に代わる本来の熱エネルギー源としても徐々にその利用度を増してきております。反面鉱物的エネルギー源としての石油や石炭は産業革命以来、産業界の血液として今日の世界の急速な発展を担ってきました。しかしこれらの鉱物資源は再生産の効かない、いずれは枯渇するエネルギー源であります。その上、熱エネルギー源として燃料に使用する場合、その燃焼には大量の酸素を必要とし当然大量の炭酸ガスを排出します。例えばその熱変換には、石炭1kg燃やすと約2kgの二酸化炭素を発生、約2倍の二酸化炭素(炭酸ガス)を排出し、石油に至っては石炭の数倍の二酸化炭素を排出し地球温暖化的には諸悪の根源ともいえます。
【0003】
植物の場合は永続的に再生産が可能であり、計画的な大量生産も可能であります。確かに植物といえどもその熱変換の場合やはり同様に二酸化炭素を排出しますが、しかし、植物の場合その排出は1対1、即ち植物が生長する過程で消費した量に対し同量の二酸化炭素を排出するのみでその上、成長過程では酸素を供給し、地球温暖化対応としては環境に大変貢献しております。ましてや産業革命以来の200年足らずの間で人類はこの地球を大変汚染させてしまいましたが、かっての動物はもとより植物さえその生存が不可能であった原始の地球は、その後の植物成長のおかげで人類生存の最大ファクターでともいえる酸素が大量に生成され、人類が育ち今日の文明社会が形成されてきました。
【0004】
しかしこれら地球環境の改善に大変貢献した植物も残渣として廃棄され、沼や湿気の多い地表などで腐敗が始まりますと、通常の熱エネルギー変換に比較して、約4〜5倍の分解ガスいわゆるメタンを発生し地球温暖化的には大きなマイナス結果を生じます。本発明は、植物が水と二酸化炭素を素材として太陽熱エネルギーにより成長し、人類を含めた動物達の食料源等として利用しつくされた最終章で生ゴミとしての廃棄物となったもの、いわゆる植物残渣を前記的な腐敗前に機械的、効率的に消滅させる技術を提供するものである。
【0005】
人間社会の生産活動は次第に大量生産化が進んできておりますが、この大量生産には同時に大量の廃棄物が派生的に伴います。そこでこれら廃棄物が熱エネルギーとしてのメタンや燃料として有効に利用される場合は別として、そのまま放置され原野や産廃場などで腐敗し、メタンなどの公害源として変化を来たさぬよう、出来るだけ現場で、かって植物が水と二酸化炭素と太陽光から生成した過程を辿るかのように、水と二酸化炭素に分解し、もとの姿に還す工程を短時間に機械的に装置化する技術を提供するものであります。
【0006】
食品業界では食品残渣2割削減の法律制定、乳牛業界に於ける廃棄物の放置を厳しく禁止した適正処理法或いは海洋投棄禁止条例など等、わが国はもとより世界的に地球環境維持のための運動や規制は益々厳しさをましております。そこで本発明はこれらの世界的潮流に対処すべき解決案の一つとして考案されたものが本技術であり、素人でも簡易に取り扱いが可能であり下記先願特許例1のように従来型の生ゴミの肥料化や、先願特許2の例のように他の追加材を必要とする技術ではなく、もっと簡易な手法による処理技術を提供するものである。
【特許文献1】特許公開2004−208624
家庭食品生ゴミ回収の再園芸土壌システム並びに当該土壌に用いる工場加工園芸土壌及びその製造方法
【特許文献2】特許公開2005−296787
生ゴミ処理装置及び攪拌分解処理装置並びに泥状菌床
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は当該生ゴミ残渣を産廃物として廃棄するのではなく、余分な運賃を必要としない発生現場で回収し、その現場で消滅させるものでその手段として、各種発酵菌を用いその環境を整えることにより菌の作用で、生ゴミそのものの発酵熱が生じ、水分を飛ばすと同時に生ゴミの原姿たる水と炭酸ガスに分解し消滅することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点は下記の手段で解決できる。
1、 生ゴミ残渣を菌による発行熱で消滅させる為にはその菌の育つ環境を備えてやる 必要があり、まず菌が育つ菌床が必要であり、その菌床材には最良の杉材チップを備 える。
2、 次に菌が寒さで死滅若しくは休眠をするのを防ぎ、菌が生存する為の環境を整え る必要があり、そのため菌床を30〜60℃に保温する保温機能を備える。保温装置 は電気ヒーター他、工場の使用済み温水や暖かい排ガスや、暖房用排ガスなどがあれ ば利用すると良い。
3、 次に生き物である菌が活発に活動するためには空気を必要とする為、前記の必要 温度に設定された温風を吹き込み、その温風を満遍なくいきわたらせる為、容器の形 状に応じた縦型あるいは横型の攪拌機やスクリュウ式攪拌機などを備え、
4、 生ゴミが発酵熱で分解された結果生じる二酸化炭素、いわゆる気体の排気塔と分 解水分の排出用のダクトを備え、
5、 菌床とその中に投入した生ゴミの混合がいきわたるよう攪拌機を回転させる。そ のスピードは規模により異なりますが、いずれにしてものんびりしたリズムで早くて も1分間に1回転以下が好ましい。生物たる菌の発酵に刺激を与える為、その回転も 間歇が好ましい。
6、 この場合投入する生ゴミ残渣は菌床容量に対し最大1対1以下が好ましい。
7、 菌床の攪拌には内部攪拌機の回転でも、或いは容器内面に羽根を固定装備した容 器いわゆる発酵炉本体の回転でもかまわない。又容器の形状は角型丸型、円筒型など 密閉性が保たれれば形状を問わない。
8、 投入する生ゴミの形状は基本的にはそのままの形状でも構わないが、小さく粉砕 すれば菌との接触面が多くなることにより分解がより促進されるため粉砕用ミキサー を装備し菌床接触面を移動状態にすればサイズ如何では瞬間的連続的処理もに可能で ある。
9、 回転、保温の電源は100Vでも3相200Vでも、或いは石油をエネルギー源 とする発電機を使った電源でも、いずれも現場に応じた電源でよい。
10、 以上を装備した容器投入口に生ゴミを投入し、電源を入れると生ゴミは粉砕液状 化された後、菌床と混合され発酵し水と二酸化炭素に分解され早くて30分、長くて も1時間内に生ゴミは完全に分解され消滅する。この時、液状化された生ゴミの滞留 や汚泥化を防ぐ為、攪拌機やスクリューコンベアなどによって菌床の移動を行う。
11、 投入する生ゴミの中にある箸などの木製品や鶏の羽根等は分解に時間を要し、場 合によっては機器故障の原因となりますので、出来れば事前に分離する。
12、 発酵炉容器の形状としては箱型や球形型、横型、縦型を問わないが、大量処理の 場合横型が好ましい。
13、 発酵炉本体の形状を縦長にし、設置面積を極少として装置の機材をアルミ製品な どの軽量化を図ることにより、面積や重量制限の厳しい船舶などにも取り付けが可能 となり、海洋投棄規制などにも対応が可能であることが判明した。
【発明の効果】
【0009】
産廃物としての生ゴミの処理を外部に委託した場合、ほとんど焼却処理が多く、当然多量の水分を含む為、焼却処理費用も高く、本技術を採用することにより焼却処理に比較し約数十分の1の経費で済んだ。又堆肥化などの処理と違って残渣が0であることは、運賃など余分な経費の発生も無くトータル費用は廃棄処理費用以下で可能であり、経費節減はもとより焼却処理などに比較し地球温暖化的問題など環境上の問題にも一助となった。特に海洋投棄禁止問題に対し洋上の船内における植物系残渣を焼却せずに消滅させることにより船内残渣処理にも大いに活躍することが判明した。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0010】
本発明の瞬間的生ゴミ消滅装置とその実施例を図面で説明する。
図1は縦型断面図であります
図2は、本発明の立体横型連続バッチ式の概要断面図です。
【0011】
図1は縦型連続式瞬間的生ゴミ消滅装置の断面図であり上部ホッパー投入口蓋1を開け投入する生ゴミの荒っぽい投入や事故を防ぐ為、あらかじめサイズ選別が出来るよう横バー2の付いた投入口から投入すると次の含水性ミキサー7により、細分化液状化された処理物は下方の菌床と混合される。この時ミキサーを円滑に作動させる為、ミキサー内には常時一定の水位が保たれ処理物が一定量投入されるとミキサーは一定時間、作動し自動的に下方に脱水されながら排出され、脱水沈殿槽16の上澄み液は再度、ポンプアップ21されミキサー内に還元される。この時ミキサー内水分が不足した場合自動的に止水栓7から補給される。
【0012】
発酵炉材は鉄製でも構わないが出来れば酸や塩分に強いステンレス製が良いが、船舶などでは軽量化のため耐塩加工されたアルミ製などが良い。外周は全面を断熱材や保温材などで囲まれた構造が好ましいが無くても構わない。図1の実施例はステンレス製の発酵炉であり、上部正面に設けたステンレスバー2の投入口から、生ゴミ残渣汚泥約100kgをそのまま発酵炉内に直接投入し、投入蓋を閉め電源を入れると、生ゴミは水生ミキサー15により粉砕液状化され、発酵炉本体23側に送り込まれ攪拌を兼ねたスクリューコンベア11のゆっくりした回転攪拌により生ゴミなど植物性と菌床の攪拌移動が始まり、一旦は外気温度(当時25度)に近い30度まで下がった炉内温度は30分で40度まで上昇し50分後には42度まで上昇し、最高炉内43度、菌床内部は45度まで上昇していた。
【0013】
発酵炉を作動して一時間後、発酵炉を開けて見ると生ゴミはかけらも無く、目視の結果でも、異物らしき残渣は見当たらず、又計量結果においても菌床18の容積、並びに発酵炉本体23の重量及は投入前とほとんど変わらなかった。尚実証後、菌床の杉材チップを顕微鏡で拡大した結果目つまりは無かったが、有機物と言えども無機物も当然包含しており、よって菌床は3ヶ月程度で取替え、又は新菌床の追加が好ましいことが判明した。
【0014】
上記の発酵炉実証においての魚類系生ゴミ投入量100kg。
ミキサー295W、温風器300W,モーター500W,合計消費電力量の合計は約1.1kw。
1.1kw×基本電気料金15円/h≒17円/1kw。即ち17円/hということは生ゴミ100kgの処理費用のランニングコストは17円/100kgで消滅処理したことであり、即ち、0.17円/kg=17円/tonであり、通常生ゴミを産廃処理を外注した場合20円/kg=20,000円/ton程度は必要で有り、これらと比較した場合、0.17:20=17:2000よってプラントの償却費、人件費等を考慮せずにランニングコストのみを焼却処理の場合と比較すると1/117のランニングコストで処理が可能であることが分かる。
又、焼却処理費の市場価格である10,000円/ton(10円/kg)と比較しても、17:10000≒1:59となり約1/60のランニングコストで処理が可能であることが分かる。
又、排気ガスについて、簡易な脱臭装置の附設で特に臭気や煙などの異常は無く、ほとんど無煙無臭の排気ガスで、安全にしかも廉価で発酵消滅処理が出来ることの可能性が証明された。
【産業上の利用可能性】
【0015】
以上、詳記した様に本発明はわざわざ高い経費をかけて焼却処理、若しくは廃棄処分として処理されている生ゴミ残渣を、廃棄処理により発生して公害となるメタンガスの発生もなく安全に且つ廉価で、処理とは関係のない運賃などの余分な費用の負担も無く現場でゼロとなることは画期的且つ革新的な技術であり新産業勃興に多大の貢献をなすものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の縦型発酵炉の断面概要図である。
【図2】図2は本発明の横型発酵炉の断面概要図である。
【符号の説明】
【0017】
1、投入ボックス蓋
2、選別ルーバー
3、ブリッジ防止壁
4、投入ホッパー
5、磁選機
6、水位調節器
7、止水栓
8、生ゴミ経路
9、脱水装置
10、菌床循環経路
11、スクリューコンベア
12、温風器
13、駆動モーター
14、ナイフゲート
15、ミキサー
16、脱水槽
17、ベルトプーリー
18、菌床
19、回転ベルト
21、揚水ポンプ
22、処理物配管
23、発酵炉本体
24、攪拌機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁選機を装備した投入口下部に、一定水量を維持した生ゴミ粉砕液状化装置を備えた前処理装置と、液状化生ゴミや、し尿など植物性残渣を吸収し分解発酵消滅を促進する、好気性菌、嫌気性菌、通性嫌気性菌などの微生物が育つ杉材をベースとした鋸クズ若しくは木屑粉による菌床を保有した発酵炉内部に、植物性残渣と菌床と空気の混合、並びに循環する為のスクリューコンベア若しくは攪拌装置を装備した縦型若しくは横型の連続式生ゴミ消滅装置。
【請求項2】
分解媒体が酵素を含んでいる請求項1記載の連続式生ゴミ消滅装置。
【請求項3】
発酵炉本体内で発生する分解ガスをろ過する脱臭触媒剤付きろ過装置、並びに該分解ガスを外部に排出する排気ダクトを備えた請求項1又は請求項2記載の連続式生ゴミ消滅装置。
【請求項4】
微生物の活動を促進する温度帯30℃〜60℃を維持する為、温水又は排気ガスを利用した保温装置或いは電気ヒーターによる保温装置、並びに温風を容器内部に満遍なく吹き込む送風装置を装備した請求項1又は請求項2記載の連続式生ゴミ消滅装置。
【請求項5】
吹き込まれる温風が発酵炉内部の菌床並びに処理対象物に、均等に混合されるように装備されたスクリュウ型若しくは放射状型の回転混合攪拌羽根を装備した請求項1又は請求項2記載の連続式生ゴミ消滅装置。
【請求項6】
複数の発酵炉を並列配置若しくは自動的に順次作動するよう配置し、大容量の生ゴミを連続的に処理する請求項1又は請求項2記載の連続式生ゴミ消滅装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−113023(P2009−113023A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316385(P2007−316385)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(591273672)エムエヌエンジニアリング株式会社 (42)
【Fターム(参考)】