説明

生ゴミ処理装置

【課題】生ゴミを加熱処理して肥料又は飼料とする生ゴミ処理装置を提供する。
【解決手段】生ゴミ処理装置1を、水平支持された略円筒状の本体部3と、該本体部3内に設置されており、回転軸21が前後方向に設定されたスクリューコンベア20と、該本体部3に接続されたホッパー4と、該本体部3の前端に連設された略円錐台筒形状の縮径部5と、該縮径部5の前端に連設された細管部6と、該細管部6に設けられた加熱部7と、該細管部6の前方に配置された傾斜当接板8Aとで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ゴミを加熱処理して肥料又は飼料とする生ゴミ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生ゴミから肥料又は飼料(魚、鳥、または家畜等の餌)を作製する処理装置または処理方法は既に提供されている(例えば特許文献1〜4参照)。ここで、生ゴミとは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律にいう動植物性食物残渣(食べ残しや調理屑)の他、動植物性食物廃棄物(賞味期限切れ・消費期限切れ等のため廃棄される食品・食材)及び有機質性不要物等も含むものとする。また、肥料とは、作物の生育をよくするため土壌などに施すものであり、飼料とは、家畜等に与える餌のことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−231912号公報
【特許文献2】特開2004−50107号公報
【特許文献3】特開2002−282822号公報
【特許文献4】特開2001−121118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来構成は、生ゴミにバクテリアを作用させて発酵させることにより肥料等を製造するものであり、発酵用の設備や方法が複雑でコストと手間が非常にかかるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題を解決することができる生ゴミ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記問題を解決すべく、生ゴミを加熱処理して肥料又は飼料とする生ゴミ処理装置であって、基台と、該基台に前後方向を定めた場合に該基台によって前後方向に沿って水平支持される、少なくとも前端が開放された略円筒状の本体部と、該本体部内に設置されており、回転軸が前後方向に設定されてワークを前方に送り出すスクリューコンベアと、該本体部に接続されたホッパーと、該本体部の前端に連設されており、前方に向かうに従い内径が縮径した略円錐台筒形状の縮径部と、該縮径部の前端に連設されており、前方に向けて差し出された細管部と、該細管部内の生ゴミを加熱する加熱部と、を具備し、該ホッパーから該本体部内へ投入されたワークとしての生ゴミを、該スクリューコンベアによって該本体部内から該縮径部内へ向けて送り出し、さらに該縮径部内で滞留する生ゴミを圧縮状態としながら該細管部内へ押し出し、さらに該細管部内において前方へ押し出しながら該加熱部によって加熱して収縮させ、さらに前方へ押し出して該細管部の前端から略柱状体の形状で排出して、該略柱状体の生ゴミ処理物を肥料又は飼料とすることを特徴とする生ゴミ処理装置である。
【0007】
上記構成は、生ゴミがスクリューコンベアによって送り出される過程で粉砕されて小片となるため、肥料又は飼料として処理しやすい大きさとなる。また、上記縮径部は、前方に向かうに従い内部空間が狭くなるため、該縮径部内に送り出された生ゴミは一旦、該縮径部内の前端部に滞留することとなり、そして、後方から順次送り出される生ゴミによって押圧されて圧縮状態とされる。したがって、該縮径部内の生ゴミは、圧縮により水分が絞り出されて体積が減少し、圧密かつ軽量となる。
さらに、このように圧密かつ軽量とされ、水分が減少した生ゴミが細管部内に送り出されて加熱されるため、加熱による生ゴミの乾燥が低温かつ短時間で済む。また、このような加熱乾燥によって該生ゴミが細管部内で収縮して加熱乾燥前に比べて外径が小さくなるため、該細管部の内面との間に適度な間隙が生じて円滑に該細管部前端から排出される。
【0008】
また、該縮径部は、該縮径部内の生ゴミから生じた水分が該縮径部の内面を伝って該本体部に向かって流下するように配置されており、該本体部の下部には、該本体部内及び該縮径部内の生ゴミから出た水分を該本体部の外へ排水する透水板が設けられていることが望ましい。
【0009】
上記構成において、縮径部から本体部に流下した水分と、本体部内にある生ゴミから生じた水分とが、該本体部の透水板を介して本体部の外へ排水される。したがって、本発明は、簡易な構造で生ゴミから出る水分を縮径部や本体部内に留めることなく円滑に排出することができる。
【0010】
また、該細管部の前方には、該細管部の前端から排出された略柱状体の生ゴミ処理物が当接する下向きの傾斜当接板が配置されている構成が望ましい。
【0011】
上記構成において、該細管部前端から排出される生ゴミ処理物は、前方に向けて略柱状の形態を保ちながら押し出されるが、該生ゴミ処理物の前端が該傾斜当接板に当接した際には該略柱状体の形態が崩れて中途部分で切断され、前半部分が落下する。したがって、本発明は、簡易な構造で該生ゴミ処理物を所定の長さ寸法で切断して回収することができる。
【0012】
さらに、該細管部内の生ゴミが、該加熱部によって50〜60℃に加熱されることが望ましい。
【0013】
このような温度設定とすると、該細管部内の生ゴミは、該細管部の内壁面に付着しないため、細管部内における生ゴミの流動が円滑となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の生ゴミ処理装置は、体積が小さく軽量でかつ乾燥した肥料又は飼料を作製することができ、また簡易な構造であって、生ゴミの処理過程において二酸化炭素の放出が極めて少なくて環境に優しいという効果がある。さらに、処理対象の生ゴミが肥料又は飼料とされるまでの時間が極めて短いため、生ゴミに起因する悪臭が発生しにくいという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】生ゴミ処理装置を示す縦断面図
【図2】縮径部を示す分解斜視図
【図3】ホッパー周辺を示す拡大縦断面図
【図4】本体部と縮径部との連結部分を示す拡大縦断面図
【図5】細管部周辺を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例を添付図面に従って説明する。
図1に示すように、生ゴミW1を処理対象とする生ゴミ処理装置1は、基台2を備えている。ここで、便宜上、図1に示される生ゴミ処理装置1の基台2においては、右方を後方とし、左方を前方としている。
【0017】
該基台2には、略円筒形の本体部3が前後方向に向けて水平支持されている。また、該本体部3は、後端が遮蔽され、前端が開放されている。
【0018】
また、該本体部3内には、公知のスクリューコンベア20が設置されている。該スクリューコンベア20は、回転軸21が前後方向に向けられており、該回転軸21が、本体部3の後方の制御ボックス9内に配置された回転駆動装置10に連繋されている。そして、該回転駆動装置10が回転軸21を回転させてスクリューコンベア20を駆動させると、ワーク(本発明では生ゴミW1)を前方へ順次移送する。
該スクリューコンベア20は、例えば、前後長が150〜200mm、スクリューばねの外径が600〜1000mm、回転数が300〜500/minの範囲にそれぞれ設定されることが好ましい。
【0019】
また、該本体部3の上部には、ホッパー4が接続されており、該ホッパー4を介して、ワークとしての生ゴミW1を該本体部3内へ投入することが可能となっている。
該ホッパー4は、例えば、上端開口部の内径が2500〜3000mm、下端開口部の内径が1200mm〜1500mmの範囲にそれぞれ設定されることが好ましい。
【0020】
また、該本体部3の前部には、該本体部3内の生ゴミW1から生じた水分を該本体部3の外へ排水する多孔性の透水板11が配設されている。さらに、該透水板11の周囲には、該透水板11を覆うようにして箱型の排水回収部12が取り付けられており、該排水回収部12の下面には下水管(図示省略)に繋がるドレン13が設けられている。
【0021】
また、上記本体部3の前端には、前方に向かうに従い内径が縮径する略円錐台筒形状の縮径部5が連設されている。さらに該縮径部5において、該本体部3と連設する部位には、図2に示すように、複数(4個)の透孔27が設けられた仕切り板26が固定されており、該仕切り板26によって該本体部3の内部空間と該縮径部5の内部空間とが仕切られている。そして、該仕切り板26の中心部に、上記したスクリューコンベア20の回転軸21の前端が軸受け30を介して接続されている。
なお、該縮径部5は、例えば、前後長が30〜50mm、前端内径が20〜30mm、後端内径が600〜1000mmの範囲に設定されることが好ましい。また、該縮径部5内の傾斜面5Aの傾斜角度に着目して設計する場合は、該傾斜角度が水平軸線から30°〜50°の角度となるような範囲に設定されることが好ましく、さらに生ゴミW1の圧縮状態、絞り出された水分の排水処理、又は圧縮された生ゴミW1の送り出しやすさ等を考慮すると該傾斜角度は水平軸線から40°〜45°の範囲に設定されることがより望ましい。
【0022】
また、上記したスクリューコンベア20の回転軸21の前端部であって、前記仕切り板26の後方位置には、該スクリューコンベア20の回転と同期して回転する羽根付きの回転カッター25が接続されている。
【0023】
さらに、上記縮径部5の前端には、前方に向けて差し出された細管部6が接続されている。
該細管部6は、例えば、前後長が300mm〜400mm、内径が10〜15mmの範囲に設定されることが好ましい。
【0024】
また、該細管部6の外周には、加熱部7が配設されている。該加熱部7は、公知のヒーターを用いることができる。
【0025】
また、該細管部6の前端には、回収部材8が取り付けられており、該回収部材8には、該細管部6前端の前方に配置された下向きの傾斜当接板8Aが設けられている。
【0026】
上記した生ゴミ処理装置1において、生ゴミW1から肥料(飼料)W2を得る手順を説明する。
まず、一般家庭などから回収した生ゴミW1を、ホッパー4を介して本体部3内へ投入する。そうすると、該生ゴミW1は、回転するスクリューコンベア20によって細かく粉砕されながら該本体部3内において前方に送り出される。
【0027】
ここで、図4に示すように、スクリューコンベア20によって生ゴミW1が送り出される過程では、生ゴミW1から多量の水分が流出するが、該水分は該本体部3に設けられた透水板11を介して排水回収部12により回収され、ドレン13から排水される。
【0028】
本体部3内を通過する生ゴミW1は、水分が出て体積が減少しつつ、図4に示すように、スクリューコンベア20と同期して回転する回転カッター25によってさらに細かく粉砕されながら仕切り板26の透孔27を通過し、縮径部5内に到達する。
【0029】
該縮径部5は、前方に向かうに従い内部空間が狭くなるため、該生ゴミW1は該縮径部5内の前端部に一旦滞留し、後方から順次送り出される生ゴミW1によって押圧されて圧縮状態とされる。
【0030】
ここで、図4に示すように、縮径部5内で生ゴミW1が圧縮されると、該生ゴミW1から水分が絞り出されるが、該水分は縮径部5の傾斜状の内面を伝って該本体部3に向かって流下し、前記透水板11を介してドレン13から排水される。
【0031】
縮径部5において圧縮されて水分が絞り出されて体積が減少し、圧密かつ軽量となった生ゴミW1は、順次後方から送り出される生ゴミW1によってさらに押し出されて、該細管部6内に到達する。そして、該細管部6内において、該加熱部7によって50〜60°に加熱され、乾燥状態とされる。
【0032】
該細管部6内で加熱処理されることによって乾燥状態となった生ゴミW1は、該細管部6内で収縮しながら、順次後方から送り出される生ゴミW1によってさらに押し出されて、該細管部6の前端から略柱状体で排出される。
【0033】
ここで、該細管部6内の生ゴミW1は、加熱により該細管部6内で収縮して外径が小さくなるため、該細管部6の内面との間に適度な間隙が生じて、円滑に該細管部6前端から排出される。
また、該細管部6の前端から排出される略柱状体の生ゴミ処理物は、圧縮かつ乾燥状態にあるため、図5に示すように、途中で切断されずに連続状に排出されてくるが、該生ゴミ処理物の前端が上記回収部材8の該傾斜当接板8Aに当接すると、該形態が崩れて中途部分で切断され、あらかじめ設置された回収ボックスY内に落下し、ペレット状の肥料W2として回収される。
【0034】
上記構成において、前記回収部材8を前後方向に移動させて細管部6の前端と傾斜当接板8Aとの距離を変更することにより、肥料W2の長手寸法を適宜変更することができる。
【0035】
なお、本発明は、上記実施例に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、少なくとも上記の本体部3、縮径部5、および細管部6は生ゴミW1の付着防止のためにステンレスで構成することが望ましいが、他の材料を選択しても勿論よい。
また本発明の生ゴミ処理装置1は、多量の加工残渣が発生する食品加工工場、食べ残しが出る飲食店・レストラン、さらには売れ残りの食品廃棄物が生じる食品店・スーパーマーケット等、あるいは一般家庭に設置して好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 生ゴミ処理装置
2 基台
3 本体部
4 ホッパー
5 縮径部
6 細管部
7 加熱部
8A 傾斜当接板
11 透水板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ゴミを加熱処理して肥料又は飼料とする生ゴミ処理装置であって、
基台と、
該基台に前後方向を定めた場合に該基台によって前後方向に沿って水平支持される、少なくとも前端が開放された略円筒状の本体部と、
該本体部内に設置されており、回転軸が前後方向に設定されてワークを前方に送り出すスクリューコンベアと、
該本体部に接続されたホッパーと、
該本体部の前端に連設されており、前方に向かうに従い内径が縮径した略円錐台筒形状の縮径部と、
該縮径部の前端に連設されており、前方に向けて差し出された細管部と、
該細管部内の生ゴミを加熱する加熱部と、
を具備し、
該ホッパーから該本体部内へ投入されたワークとしての生ゴミを、該スクリューコンベアによって該本体部内から該縮径部内へ向けて送り出し、さらに該縮径部内で滞留する生ゴミを圧縮状態としながら該細管部内へ押し出し、さらに該細管部内において前方へ押し出しながら該加熱部によって加熱して収縮させ、さらに前方へ押し出して該細管部の前端から略柱状体の形状で排出して、該略柱状体の生ゴミ処理物を肥料又は飼料とすることを特徴とする生ゴミ処理装置。
【請求項2】
該縮径部は、該縮径部内の生ゴミから生じた水分が該縮径部の内面を伝って該本体部に向かって流下するように配置されており、
該本体部の下部には、該本体部内及び該縮径部内の生ゴミから出た水分を該本体部の外へ排水する透水板が設けられている請求項1記載の生ゴミ処理装置。
【請求項3】
該細管部の前方には、該細管部の前端から排出された略柱状体の生ゴミ処理物が当接する下向きの傾斜当接板が配置されている請求項1又は請求項2記載の生ゴミ処理装置。
【請求項4】
該細管部内の生ゴミが、該加熱部によって50〜60℃に加熱される請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の生ゴミ処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−161321(P2011−161321A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24030(P2010−24030)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(510034317)平和興業有限会社 (1)
【Fターム(参考)】