説明

生体による個人認証装置

【課題】本発明の目的は生体認証装置において、使用者が接触部に触れる際の不快感を低減する形状を提供する事にある。
【解決手段】本発明は生体認証装置の接触部に光触媒(酸化チタン等)でコーティングを行い、スリッドを入れる事により、接触部に触れる際の不快感を低減させる事を特徴とした生体認証装置である。本発明によれば接触箇所にスリットを入れる事により接触面積を減らし、かつ光触媒の効果である親水性・親油性により使用者の汗等の汚れを短時間に乾燥させることが可能となる。このため、本発明を使用することにより大きな機構を必要とせず小型、安価でかつ短時間に出来る限り清潔な状態にし、使用者の不快感を可能な限り低減することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指および手の平の静脈パターン、指紋パターンの生体を利用して個人を認証する装置の生体接触部のクリーニング技術に関する。
【背景技術】
【0002】
指および手の平の静脈パターン、指紋パターンの生体を利用して個人を認証する技術が発展してきた。これらの生体認証の技術は静脈パターン、指紋パターンを撮像してあらかじめ登録されたパターンとマッチングすることにより個人を特定するものであある。個人認証する上で最も重要な点は撮像されたパターンの再現性であるが、手の平や指の置き方により撮像パターンは大きく影響される。そのため生体認証装置は、手の平や指の置き方が一定となるよう、指や手を支えるためのガイドを設け、手の平、指を装置のガイドに接触させて撮像位置を固定している。しかし、特に不特定多数の人間が同一の装置を使用する場合には、生理的に他の人が触れた箇所に触れたく無いという感覚を持つことがあり、装置の清潔さを保つことが要求されている。
【0003】
例えば特開2002−092616号公報には、装置の清潔さを保つために光触媒や消毒液を用いて殺菌、清掃を行うことが出来る生体認証装置が開示されている。この技術は手の平、指を乗せる部分をシート状にして、使用した面からシートを巻き取り紫外線や消毒液で殺菌、清掃を行うものである。
【0004】
【特許文献1】特開2002−092616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術は、認証装置内部に手の平、指を乗せるシートをループさせるための機構及び殺菌、清掃するための機構が必要となるため、装置の小型が困難となる。また、認証装置の使用頻度が高く使用間隔が短い場合、光触媒の効果が十分得られない可能性があった。例えば現金自動取扱装置(ATM)に使用される認証装置では、不特定多数の人間が短時間で入れ替わりながら使用するため小型でかつ短時間に可能な限り清潔な状態にすることが要求される。
【0006】
本発明の目的は、大きな機構を必要とせずに、小型、安価でかつ短時間に出来る限り清潔な状態にし、使用者の不快感を可能な限り低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、指や手が接触する箇所にスリットを入れ、さらに表面に酸化チタン等の光触媒をコーティングすることにより解決する。また、より光触媒の効果を高めるために生体認証装置が稼動していないときのみ紫外線を照射する機構を設ける。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば接触箇所にスリットを入れる事により接触面積を減らし、かつ光触媒の効果である親水性・親油性により使用者の汗等の汚れを短時間に乾燥させることが可能となる。このため、本発明を使用することにより大きな機構を必要とせず小型、安価でかつ短時間に出来る限り清潔な状態にし、使用者の不快感を可能な限り低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の1実施例である指の静脈パターンによる生体認証装置で上面図から見た図である。図2は、認証するために実際に指をおいた状態示した図である。生体認証をする場合、指や手の置き方で回転、位置ズレ等が発生しないよう指や手は、指先端ガイド部2、指根元支えガイド部3、掌支えガイド部4の3ヶ所のガイド部と接触させて、指の静脈パターンを撮像部5で撮像する構造となっている。この指や手が接触する3箇所のガイド部にスリットを入れ、さらに表面に酸化チタン等の光触媒をコーティングする。
【0011】
スリットの方向は、指や手を置く方向に対して平行、垂直等どのような方向でも良いが本実施例である指の静脈パターンによる生体認証装置1の場合は、平行としたほうが血流と同じ方向になるため、血流を妨げにくくなることにより、認証率の低下を防ぐ事が出来る。
【0012】
図3は手が接触する掌支えガイド部4のスリットの形状を示すA―A´断面図である。スリット形状は指先端ガイド部2及び指根元支えガイド部3も図3と同様である。スリットの先端の形状はどんな形状でも良いが、できる限り接触面積を小さくすること、汗等の水分が光触媒の親水性・親油性により接触部をできる限り短時間で乾燥させることができるよう適当な丸みを持たせたものとする。
【実施例2】
【0013】
図4は紫外線を照射する機構を設けた生体認証装置の他の実施例である。指先端ガイド部2、指根元支えガイド部3、掌支えガイド部4は光を通す透明な材料とし、紫外線を発光できる発光ダイオード6を各ガイド部に取り付ける。指や手が接触するガイド部をクリーニングする場合は発光ダイオード6を光らせ紫外線を照射する。
【0014】
本実施例では各ガイドそれぞれに発光ダイオードを取り付けた構造としているが、認証装置1の小型化のために、発光ダイオード1個で光ファイバー等を利用し各ガイド部分に紫外線を照射する方法もある。
【0015】
また、紫外線を照射する機構は本実施例のように認証装置1の内部に設けるのでなく外部から全体を照射する機構を設けても良い。その場合は指先端ガイド部2、指根元支えガイド部3、掌支えガイド部4は光を通す透明な材料とする必要はない。
【実施例3】
【0016】
発光ダイオード等を用いて光触媒によるクリーニングを実施する場合は常に紫外線を照射するのではなく人体等の影響を考慮して照射することが望ましい。しかし、できる限りクリーニング効果を得るために照射を長くする必要がある。
【0017】
図5は現金自動取扱装置(ATM)における生体認証装置のクリーニング処理のフローチャートを示す。現金自動取扱装置を立上げ時(電源を入れたとき)にまず発光ダイオード点灯する。その後、現金自動取扱装置の利用があった場合はカードの情報を読み込む事や取引を選択する事によって生体認証を用いた取引を行うかどうかについて判断し、生体認証を用いた取引であった場合に発光ダイオード等を消灯し、生体認証装置による処理を行う。生体認証による処理が終了した後に再び発光ダイオードを点灯する。この処理方法を取る事によって、生体認証を用いた取引を行う時以外は発光ダイオード等が点灯した状態にする事が出来るため、効率良く光触媒を活性化することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
現在、生体認証はセキュリティへの関心の高まりから非常に注目されているが、不特定多数に使用される認証装置の場合はいかに清潔な状態を維持するかが課題であり、本発明は小型、安価な構造であり利用される可能性は高い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例を示す指静脈認証装置の上面図。
【図2】認証するために実際に指をおいた状態示した図。
【図3】指や手が接触するガイド部のスリットの形状を示す断面図。
【図4】紫外線を照射する機構を設けた生体認証装置。
【図5】現金自動取扱装置における生体認証装置のクリーニング処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0020】
1…装置本体、2…指先端ガイド部、3…指根元支えガイド部、4…掌支えガイド部、5…撮像部、6…発光ダイオード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体パターン撮像部と生体部を位置決めするガイド部を有し生体認証装置において、生体部が接触する箇所にスリットを入れ、さらに前記接触箇所の表面に光触媒をコーティングした事を特徴とした個人認証装置。
【請求項2】
請求項1の個人認証装置において特定のタイミングのみ前記接触部に紫外線を照射する機構を設けたことを特徴とする個人認証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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