説明

生体パラメータ決定装置、およびプログラム

【課題】従来、精度高く、高速に適切な1以上の生体パラメータからなる生体パラメータセットを得ることができなかった。
【解決手段】一の生体パラメータセットを入力にして、心臓の活動をシミュレーションし、心臓の活動電位を示す情報である活動電位情報を得るシミュレーション実行部と、前記取得した活動電位情報と、実験活動電位情報との相違度を算出する相違度算出部と、前記相違度算出部が算出した相違度を用いて、前記一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットであるか否かを決定する許容パラメータセット決定部と、前記許容範囲にある生体パラメータセットを出力する許容パラメータセット出力部を具備する生体パラメータ決定装置により、精度高く、高速に適切な1以上の生体パラメータからなる生体パラメータセットを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品開発の早期の段階で得られる動物評価試験データであり、心臓の活動電位波形のデータを用いて、動物の生体パラメータを推定する生体パラメータ決定装置と、動物評価試験データを用いて、対象薬物のヒト心臓に対する不整脈危険性の度合いを推測する装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薬物の生体組織内での拡散現象を的確に解析することができる薬物の生体組織内拡散のシミュレーション方法及び装置がある(特許文献1参照)。かかるシミュレーション方法は、特定物質の生体内拡散を、有限要素法を用いてシミュレーションする方法であって、生体から分離した組織の一部を用いて、有限要素法を使用することなく該生体内の基準拡散特性定数を決定し、該基準拡散特性定数に基づいて基準拡散特性を設定し、解析の対象となる生体構造を有限要素法に基づいて決定し、前記基準拡散特性定数を用いて前記決定した生体構造における拡散を有限要素法に基づいて演算し、該生体内における拡散の有限要素法に基づく演算結果にかかる演算拡散特性と有限要素法によらないで決定した前記基準拡散特性とを比較し、前記演算拡散特性と前記基準拡散特性との偏差が最小となるように基準拡散特性定数を補正して有限要素法に基づく最適拡散特性係数を算出することを特徴とする生体内拡散のシミュレーション方法である。
【0003】
また、極めて精確且つ高速に部位決定できる心臓の電気的活動の部位決定方法についての技術が存在する(特許文献2参照)。かかる心臓の電気的活動の部位決定方法は、多チャンネル測定装置を用いて、心臓の電気的活動によって生じた体表面電位が複数の測定点で測定されて、各測定点の前記体表面電位の特徴を示す値が記憶され、体表面電位の特徴を示す値がデータバンク内に記憶されている比較値と比較され、その際、比較値は、心臓での部位が分かっている比較心臓の電気的活動に起因する比較表面電位を示しており、心臓の電気的活動の比較値が、体表面電位の特徴を示す値と共に極めて大きな類似性を有している、比較心臓の電気的活動の部位は、心臓の電気的活動の部位決定結果として送出される方法において、比較値を、胸郭モデル内に設けた心臓モデルを用いて求めるようにしたことを特徴とする心臓の電気的活動の部位決定方法である。
【0004】
さらに、関連する技術として、生体パラメータセットを入力として受け取り、細胞をシミュレーションし活動電位波形情報を取得するシミュレーション装置がある(非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平08−016551(第1頁、第1図等)
【特許文献2】特開平08−280644(第1頁、第1図等)
【非特許文献1】皿井伸明、野間昭典「simBio:生物学的ダイナミックモデル開発基盤」日本エム・イー学会雑誌BME,vol.18,No.2,p.3−11,2004(2004年2月発行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の生体パラメータ決定装置においては、精度高く、高速に適切な1以上の生体パラメータからなる生体パラメータセットを得ることができなかった、という課題があった。
【0006】
具体的には、特許文献1について、薬物の生体組織内での拡散現象を解析する方法であり、活動電位情報から生体パラメータセットが得られるものではなかった。
【0007】
また、特許文献2について、体表面電位を用いて心臓の電気的活動部位を決定する方法であって、活動電位情報から生体パラメータセットが得られるものではなかった。
【0008】
さらに、非特許文献1のシミュレーション装置における技術は、生体パラメータ決定装置の一構成要素として組み込むことができる技術である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本第一の発明の生体パラメータ決定装置は、生体のパラメータである生体パラメータを1以上有する生体パラメータセットを2組以上格納している生体パラメータセット格納部と、前記2組以上の生体パラメータセットの中から一の生体パラメータセットを選択するパラメータセット選択部と、当該パラメータセット選択部が選択した一の生体パラメータセットを入力にして、心臓の活動をシミュレーションし、心臓の活動電位を示す情報である活動電位情報を所定の時間間隔で得るシミュレーション実行部と、前記シミュレーション実行部の出力である活動電位情報の変化から、シミュレーション対象の心臓の活動状態が定常状態になったか否かを判断する定常状態判断部と、前記定常状態判断部がシミュレーション対象の心臓の活動状態が定常状態になったと判断した場合の前記シミュレーション実行部の出力である活動電位情報を取得する活動電位情報取得部と、動物実験の結果の活動電位情報である実験活動電位情報を格納している実験活動電位情報格納部と、前記活動電位情報取得部が取得した活動電位情報と、前記実験活動電位情報との相違度を算出する相違度算出部と、前記相違度算出部が算出した相違度を用いて、前記一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットであるか否かを決定する許容パラメータセット決定部と、前記許容パラメータセット決定部が前記一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットでないと判断した場合に、前記パラメータセット選択部に未選択の生体パラメータセットの中から一の生体パラメータセットを選択するように指示する制御部と、前記許容パラメータセット決定部が前記一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットであると判断した場合に、当該一の生体パラメータセットを出力する許容パラメータセット出力部を具備する生体パラメータ決定装置である。
【0010】
かかる構成により、精度高く生体パラメータセットを得ることができる。
【0011】
また、本第二の発明の生体パラメータ決定装置は、第一の発明に対して、前記相違度算出部は、前記活動電位情報取得部が取得した活動電位情報が示す活動電位の値と、前記実験活動電位情報が示す活動電位の値との差に関する情報である絶対値差情報を取得する絶対値差情報取得手段と、前記活動電位情報取得部が取得した活動電位情報が示す活動電位の変化の値と、前記実験活動電位情報が示す活動電位の変化の値との差に関する情報である変化差情報を取得する変化差情報取得手段と、前記絶対値差情報および前記変化差情報を用いて、前記活動電位情報取得部が取得した活動電位情報と、前記実験活動電位情報との相違度を算出する相違度算出手段を具備する生体パラメータ決定装置である。
【0012】
かかる構成により、活動電位情報と実験活動電位情報と相違度が精度高く得ることができる結果、より精度高く生体パラメータセットを得ることができる。
【0013】
また、本第三の発明の生体パラメータ決定装置は、第一、第二いずれかの発明に対して、前記実験活動電位情報格納部に格納されている実験活動電位情報に対してノイズを除去する処理である前処理を行い新たな実験活動電位情報を得る前処理部をさらに具備し、前記相違度算出部は、前記活動電位情報取得部が取得した活動電位情報と、前記前処理部が得た実験活動電位情報との相違度を算出する生体パラメータ決定装置である。
【0014】
かかる構成により、さらに精度高く生体パラメータセットを得ることができる。
【0015】
また、本第四の発明の生体パラメータ決定装置は、第三の発明に対して、前記前処理部は、前記活動電位情報取得部が取得した活動電位情報が示す電位の最大値と前記実験活動電位情報が示す電位の最大値が合致するように、前記実験活動電位情報が示す電位の値をスケーリングするスケーリング手段を具備する生体パラメータ決定装置である。
【0016】
かかる構成により、さらに精度高く生体パラメータセットを得ることができる。
【0017】
また、本第五の発明の生体パラメータ決定装置は、第三、第四いずれかの発明に対して、前記前処理部は、前記実験活動電位情報が示す電位の値に対して、移動平均を算出し、当該算出した移動平均の値を新たな実験活動電位情報が示す電位の値とする平滑化手段を具備する生体パラメータ決定装置である。
【0018】
かかる構成により、さらに精度高く生体パラメータセットを得ることができる。
【0019】
また、本第六の発明の生体パラメータ決定装置は、第一の発明に対して、前記パラメータセット選択部は、前記2組以上の生体パラメータセットを構成する1以上の各パラメータの値の範囲を用いて、当該1以上の各パラメータの範囲を限定し、当該限定した範囲の情報を有する探索空間を決定する探索範囲決定手段と、前記探索範囲決定手段が決定した探索空間に存在する1組以上のパラメータセットから、一のパラメータセットを選択するパラメータセット選択手段を具備する生体パラメータ決定装置である。
【0020】
かかる構成により、高速に、精度高く生体パラメータセットを得ることができる。
【0021】
また、本第七の発明の生体パラメータ決定装置は、第六の発明に対して、前記探索範囲決定手段は、前回の探索範囲を構成するn個のパラメータの値の範囲を2分割し、当該2分割したn個のパラメータの組み合わせの値の範囲を有する2個の探索範囲を取得し、当該2個の各探索範囲の代表的なパラメータセットのうちで、最も相違度の小さいパラメータセットを有する探索範囲を前回の探索範囲として、探索範囲を狭めてゆく生体パラメータ決定装置である。
【0022】
かかる構成により、高速に、精度高く生体パラメータセットを得ることができる。
【0023】
また、本第八の発明の生体パラメータ決定装置は、第六の発明に対して、前記探索範囲決定手段は、前回の2以上のパラメータセットを構成する各パラメータの値の範囲の情報を保持しており、前記2以上のパラメータセットのうち、前回に最も相違度の小さいパラメータセットを中心に、前記各パラメータの値の範囲の半分の範囲を次回の探索範囲として、探索範囲を狭めてゆく生体パラメータ決定装置である。
【0024】
かかる構成により、高速に、精度高く生体パラメータセットを得ることができる。
【0025】
また、本第九の発明の生体パラメータ決定装置は、第一から第八いずれかの発明に対して、前記許容パラメータセット決定部は、前記相違度算出部が算出した相違度に対して、応答曲面法を用いて前記一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットであるか否かを決定する生体パラメータ決定装置である。
【0026】
かかる構成により、人手を煩わすことなく、容易に、高速に、かつ精度高く生体パラメータセットを得ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明による生体パラメータ決定装置によれば、精度高く生体パラメータセットを得ることができる。また、本発明による不整脈危険性評価装置によれば、動物評価試験データを用いて、対象薬物のヒト心臓に対する不整脈危険性の度合いを推測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、生体パラメータ決定装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
(実施の形態)
【0029】
本実施の形態において、動物実験の結果である活動電位の情報を入力することにより、生体パラメータを出力する生体パラメータ決定装置等について述べる。そして、この生体パラメータ決定装置を利用し、薬物投入前の活動電位の情報から生体パラメータセットを取得し、かつ、薬物投入後の活動電位の情報から生体パラメータセットを取得すれば、薬物投入の効果を定量的に得ることができる。なお、薬物投入の効果は、薬物投入前後の生体パラメータセットの差から求められる。
【0030】
図1は、本実施の形態における生体パラメータ決定装置のブロック図である。
【0031】
生体パラメータ決定装置は、生体パラメータセット格納部101、パラメータセット選択部102、シミュレーション実行部103、定常状態判断部104、活動電位情報取得部105、実験活動電位情報格納部106、前処理部107、相違度算出部108、許容パラメータセット決定部109、制御部110、許容パラメータセット出力部111を具備する。
【0032】
パラメータセット選択部102は、探索範囲決定手段1021、パラメータセット選択手段1022を具備する。
【0033】
前処理部107は、スケーリング手段1071、平滑化手段1072を具備する。
【0034】
相違度算出部108は、絶対値差情報取得手段1081、変化差情報取得手段1082、相違度算出手段1083を具備する。
【0035】
生体パラメータセット格納部101は、生体のパラメータである生体パラメータを1以上有する生体パラメータセットを2組以上格納している。生体パラメータには細胞の種々のチャネル(たとえば、Naチャネル、Caチャネル、KATPチャネル、Krチャネル、K1チャネル、Ksチャネルなど)を流れる電流や、各チャネルの開閉速度や、イオン親和性、細胞内外のイオン濃度など、数百にも及ぶパラメータがある。生体パラメータは、通常、生体パラメータを識別する生体パラメータ識別子とパラメータの値を有する。ただし、生体パラメータセット中で、生体パラメータの列挙の順序が決まっている場合、生体パラメータは値だけでも良い。生体パラメータセットは、予め格納されていても良いし、図示しない手段により、算出されても良い。各生体パラメータの採りえる値の範囲の情報を保持しており、図示しない手段が、各生体パラメータの採りえる値の範囲から、各生体パラメータの一の値を決定して、生体パラメータセットを構築しても良い。生体パラメータセット格納部101は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
【0036】
パラメータセット選択部102は、2組以上の生体パラメータセットの中から一の生体パラメータセットを選択する。一の生体パラメータセットを選択するアルゴリズムは問わない。任意に一の生体パラメータセットを選択しても良いし、予め決められたアルゴリズムで、一の生体パラメータセットを選択しても良い。パラメータセット選択部102は、探索範囲決定手段1021とパラメータセット選択手段1022の処理により、一の生体パラメータセットを選択することは好適である。一の生体パラメータセットを選択するアルゴリズムの例は後述する。パラメータセット選択部102は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。パラメータセット選択部102の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0037】
探索範囲決定手段1021は、2組以上の生体パラメータセットを構成する1以上の各パラメータの値の範囲を用いて、当該1以上の各パラメータの範囲を限定し、当該限定した範囲の情報を有する探索空間を決定する。なお、パラメータの値の範囲は、通常、予め決められており、その範囲の情報は、記録媒体に格納されている。また、探索範囲決定手段1021は、例えば、前回の探索範囲を構成するn個(nは1以上の整数)のパラメータの値の範囲を2分割し、当該2分割したn個のパラメータの組み合わせの値の範囲を有する2個の探索範囲を取得し、当該2個の各探索範囲の代表的なパラメータセットのうちで、最も相違度の小さいパラメータセットを有する探索範囲を前回の探索範囲として、探索範囲を狭めていっても良い。探索範囲決定手段1021は、例えば、前回の2以上のパラメータセットを構成する各パラメータの値の範囲の情報を保持しており、2以上のパラメータセットのうち、前回に最も相違度の小さいパラメータセットを中心に、各パラメータの値の範囲の半分の範囲を次回の探索範囲として、探索範囲を狭めていっても良い。探索範囲決定手段1021は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。探索範囲決定手段1021の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0038】
パラメータセット選択手段1022は、探索範囲決定手段1021が決定した探索空間に存在する1組以上のパラメータセットから、一のパラメータセットを選択する。パラメータセット選択手段1022は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。パラメータセット選択手段の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0039】
シミュレーション実行部103は、パラメータセット選択部102が選択した一の生体パラメータセットを入力にして、心臓の活動をシミュレーションし、心臓の活動電位を示す情報である活動電位情報を所定の時間間隔で得る。生体パラメータセットを入力にして、活動電位情報を所定の時間間隔で得るシミュレーションの技術は公知技術であるので、詳細な説明は省略する。なお、活動電位情報は、例えば、心臓の活動の電位を示す情報と時刻または時間を示す情報の対の集合である。また、例えば、活動電位情報は、心臓の細胞内の各種のイオン濃度(カリウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオンなど)の情報を含んでも良い。また、例えば、活動電位情報は、活動電位持続時間(例えば、APD90、APD60、APD30)等の情報でも良い。また、活動電位情報のデータ構造は問わない。また、上記の「所定の時間間隔」とは、定期的とは限らず、また、予め決められている必要もなく、ランダムな間隔(乱数発生などにより取得した間隔)でも良い。シミュレーション実行103部は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。シミュレーション実行部103の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0040】
定常状態判断部104は、シミュレーション実行部103の出力である活動電位情報の変化(例えば、カリウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオンなどイオン濃度の変化)から、シミュレーション対象の心臓の活動状態が定常状態になったか否かを判断する。定常状態判断部104は、例えば、時刻tのシミュレーション実行部103の出力であるカリウムイオン濃度、または/およびナトリウムイオン濃度、または/およびカルシウムイオン濃度と、時刻(t+1)のシミュレーション実行部103の出力であるカリウムイオン濃度、または/およびナトリウムイオン濃度、または/およびカルシウムイオン濃度を比較し、予め決められた差より小さい差しかない場合に、心臓の活動状態が定常状態になったと判断する。また、定常状態判断部104は、例えば、時刻tのシミュレーション実行部103の出力である活動電位情報(V)と、時刻(t+1)のシミュレーション実行部103の出力である活動電位情報(Vt+1)を比較し、予め決められた差より小さい差しかない場合に、心臓の活動状態が定常状態になったと判断する。定常状態判断部104は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。定常状態判断部104の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0041】
活動電位情報取得部105は、定常状態判断部104がシミュレーション対象の心臓の活動状態が定常状態になったと判断した場合のシミュレーション実行部103の出力である活動電位情報を取得する。活動電位情報取得部105は、通常、定常状態になったと判断した際の活動電位情報や、シミュレーション実行部103の最終の出力結果である活動電位情報を得る。活動電位情報取得部105は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。活動電位情報取得部105の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0042】
実験活動電位情報格納部106は、動物実験の結果の活動電位情報である実験活動電位情報を格納している。実験活動電位情報は、人手による入力を受け付けた情報でも良いし、外部の装置から受信した情報でも良い。実験活動電位情報格納部106は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
【0043】
前処理部107は、実験活動電位情報格納部106に格納されている実験活動電位情報を読み出し、当該実験活動電位情報に対してノイズを除去する処理である前処理を行い、新たな実験活動電位情報を得る。前処理は、いくつかの種類の処理が有り得、1以上の処理を組み合わせて行っても良い。前処理の例は、後述するスケーリングや平滑化の処理である。前処理部107は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。前処理部107の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。なお、前処理部107が行う前処理は、後述する相違度の算出の精度向上のために必要であるが、必須の処理ではない。
【0044】
スケーリング手段1071は、活動電位情報取得部105が取得した活動電位情報が示す電位の最大値と、実験活動電位情報が示す電位の最大値が合致するように、実験活動電位情報が示す電位の値を変更する。かかる処理をスケーリングという。スケーリング手段1071は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。スケーリング手段1071の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0045】
平滑化手段1072は、実験活動電位情報が示す電位の値に対して、移動平均を算出し、当該算出した移動平均の値を新たな実験活動電位情報が示す電位の値とする。かかる処理を平滑化という。移動平均を算出する処理は公知技術であるので、詳細な説明を省略する。平滑化手段1072は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。平滑化手段1072の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0046】
相違度算出部108は、活動電位情報取得部105が取得した活動電位情報と、実験活動電位情報との相違度を算出する。ここで、「相違度」とは、活動電位情報取得部105が取得した活動電位情報と、実験活動電位情報との差(違い)という意味であり、類似度でも良い。「相違度が小さい(低い)」とは、「類似度が大きい(高い)」と同意義であることは言うまでもない。相違度算出部108は、活動電位情報取得部105が取得した活動電位情報と、前処理部107が得た実験活動電位情報との相違度を算出することが好適である。相違度算出部108は、通常、相違度を算出するための算出式の情報を図示しない記録媒体に保持しており、かかる算出式の情報を読み出し、当該算出式に、活動電位情報取得部105が取得した活動電位情報と、実験活動電位情報から得られる情報をパラメータとして代入し、演算を行い、相違度を得る。相違度算出部108は、後述する絶対値差情のみ、または変化差情報のみ、またはその他の情報を用いて、活動電位情報取得部105が取得した活動電位情報と、前処理部107が得た実験活動電位情報との相違度を算出しても良い。相違度算出部108は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。相違度算出部108の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0047】
絶対値差情報取得手段1081は、活動電位情報取得部105が取得した活動電位情報が示す活動電位の値と、実験活動電位情報が示す活動電位の値との差に関する情報である絶対値差情報を取得する。絶対値差情報取得手段1081が、2つの活動電位の情報が示す値の集合のうち、どの範囲の差の絶対値を取得するかは問わない。絶対値差情報取得手段1081は、例えば、2つの活動電位のVm(細胞膜電位)およびRMP(静止膜電位)の差の絶対値の累積を得ても良いし、2つの活動電位のVmの差の絶対値の累積のみを得ても良い。絶対値差情報取得手段1081は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。絶対値差情報取得手段1081の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0048】
変化差情報取得手段1082は、活動電位情報取得部105が取得した活動電位情報が示す活動電位の変化の値と、実験活動電位情報が示す活動電位の変化の値との差に関する情報である変化差情報を取得する。この変化とは、時間的な変化である。時間的な変化とは、時間の経過とともに生じる変化である。変化差情報取得手段1082は、例えば、活動電位情報取得部105が取得した活動電位情報を時間微分した値と、実験活動電位情報が示す活動電位の情報を時間微分した値との差の累積を算出し、取得する。変化差情報取得手段1082は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。変化差情報取得手段1082の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0049】
相違度算出手段1083は、絶対値差情報および変化差情報を用いて、活動電位情報取得部が取得した活動電位情報と、実験活動電位情報との相違度を算出する。相違度算出手段1083は、例えば、絶対値差情報および変化差情報に重み付けをして、その和を相違度として得る。相違度算出手段1083は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。相違度算出手段1083の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0050】
許容パラメータセット決定部109は、相違度算出部108が算出した相違度を用いて、一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットであるか否かを決定する。許容パラメータセット決定部109は、例えば、相違度算出部108が算出した相違度に対して、応答曲面法を用いて一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットであるか否かを決定する。応答曲面法については、公知技術であるので、説明を省略する。また、許容パラメータセット決定部109は、例えば、相違度と一の生体パラメータセットをユーザに出力し、ユーザから許容範囲か否かを示す指示の入力を受け付け、当該指示の情報(許容範囲を示す情報または許容範囲外を示す情報)を得る処理を行っても良い。ユーザの指示を受け付ける場合、実質的な決定はユーザが行うこととなり、許容パラメータセット決定部109は、ユーザの指示を受け付け、保持する処理を行う。許容パラメータセット決定部109は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。許容パラメータセット決定部109の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0051】
制御部110は、許容パラメータセット決定部109が一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットでないと判断した場合に、パラメータセット選択部102に未選択の生体パラメータセットの中から一の生体パラメータセットを選択するように指示する。なお、制御部110は、許容パラメータセット決定部109が一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットであると判断した場合にも、他の許容範囲にある生体パラメータセットを得るために、パラメータセット選択部102に未選択の生体パラメータセットの中から一の生体パラメータセットを選択するように指示する構成でも良い。かかる場合、例えば、生体パラメータセット格納部101の全パラメータセットに対して、許容範囲か否かを判断することとなる。また、かかる場合、例えば、所定数(例えば、「5」)の許容範囲のパラメータセットが見つかるまで、制御部110は、パラメータセット選択部102に未選択の生体パラメータセットの中から一の生体パラメータセットを選択するように指示することとなる。制御部110は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。制御部110の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0052】
許容パラメータセット出力部111は、許容パラメータセット決定部109が一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットであると判断した場合に、当該一の生体パラメータセットを出力する。ここで、出力とは、ディスプレイへの表示、プリンタへの印字、音出力、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積等を含む概念である。許容パラメータセット出力部111は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。許容パラメータセット出力部111は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
【0053】
次に、生体パラメータ決定装置の動作について図2から図4のフローチャートを用いて説明する。
【0054】
(ステップS201)パラメータセット選択部102は、2組以上の生体パラメータセットの中から一の生体パラメータセットを選択する。パラメータセット選択部102は、例えば、生体パラメータセット格納部101に格納されている生体パラメータセットの中から、格納されている順に一の生体パラメータセットを読み出す。
【0055】
(ステップS202)シミュレーション実行部103は、パラメータセット選択部102が選択した一の生体パラメータセットを入力にして、心臓の活動をシミュレーションし、心臓の活動電位を示す情報である活動電位情報を所定の時間間隔で得て、出力する。所定の時間間隔とは、等間隔とは限らない。
【0056】
(ステップS203)定常状態判断部104は、ステップS202におけるシミュレーション結果の2以上の活動電位情報の変化から、シミュレーション対象の心臓の活動状態が定常状態になったか否かを判断する。通常、直前の活動電位情報と現在の活動電位情報との変化が全くない場合、または所定の差以内の少ない差の場合、定常状態判断部104は、定常状態になったと判断する。定常状態になっていればステップS204に行き、定常状態になっていなければステップS202に戻り、シミュレーション実行部103によるシミュレーションを続行する。なお、通常、ステップS202に戻った際に、再度、パラメータセット選択部102が選択した一の生体パラメータセットを入力する処理は行わず、シミュレーション実行部103によるシミュレーションを続行するだけである。
【0057】
(ステップS204)活動電位情報取得部105は、定常状態判断部104がシミュレーション対象の心臓の活動状態が定常状態になったと判断した場合のシミュレーション実行部103の出力である活動電位情報を取得する。
【0058】
(ステップS205)前処理部107は、メモリ上に、実験活動電位情報格納部106の実験活動電位情報を読み込む。
【0059】
(ステップS206)前処理部107は、ステップS205で読み込んだ実験活動電位情報に対して前処理を行う。前処理の詳細について、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0060】
(ステップS207)相違度算出部108は、ステップS204で取得した活動電位情報と、ステップS206で前処理を行った結果である実験活動電位情報との相違度を算出する。2つの活動電位情報の相違度を算出するアルゴリズムの詳細について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0061】
(ステップS208)相違度算出部108は、選択されている生体パラメータセットと、ステップS207で算出した相違度の組を、図示しない記録媒体(主メモリでも良い)に格納する。
【0062】
(ステップS209)許容パラメータセット決定部109は、ステップS207で算出した相違度を用いて、選択した一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットであるか否かを決定する。許容範囲か否かは、ユーザが決定し、図示しない入力手段により入力しても良いし、自動的に応答曲面法を用いて決定しても良い。許容範囲であればステップS210に行き、許容範囲外であればステップS212に行く。
【0063】
(ステップS210)制御部110は、処理を終了するか否かを判断する。処理を終了するか否かは、一つの許容範囲にある生体パラメータセットが見つかれば処理を終了すると判断しても良いし、所定数の許容範囲にある生体パラメータセットが見つかれば処理を終了すると判断しても良いし、ユーザの終了指示の入力により処理を終了すると判断しても良い。その他、処理を終了すると判断するアルゴリズムは問わない。処理を終了すると判断した場合はステップS211に行き、処理を終了しないと判断した場合はステップS213に行く。
【0064】
(ステップS211)許容パラメータセット出力部111は、許容パラメータセット決定部109が許容範囲にある生体パラメータセットであると判断した生体パラメータセットを読み出し、出力する。処理を終了する。
【0065】
(ステップS212)制御部110は、許容範囲にない生体パラメータセットを削除する。
【0066】
(ステップS213)制御部110は、次の生体パラメータセットを選択するように、パラメータセット選択部102に指示する。ステップS201に戻る。
【0067】
なお、図2のフローチャートにおいて、生体パラメータセットの選択アルゴリズムは、他のアルゴリズムでも良い。
【0068】
次に、生体パラメータ決定装置の前処理(ステップS206)について図3のフローチャートを用いて説明する。
【0069】
(ステップS301)スケーリング手段1071は、活動電位情報取得部105が取得したシミュレーション結果の活動電位情報が示す電位の静止膜電位の平均値(VSRMP)、および最大値(VSH)を、活動電位情報を構成する値から取得する。なお、活動電位情報を構成する情報は、例えば、電圧(mV)と時間の情報を対に有する。
【0070】
(ステップS302)スケーリング手段1071は、実験活動電位の情報のうちの静止膜電位の平均値(VERMP)、および最大値(VEH)を取得する。
【0071】
(ステップS303)スケーリング手段1071は、実験活動電位の情報の最大値(VEH)を最大値(VSH)に、最低値(VERMP)を最低値(VSRMP)に変更する。
【0072】
(ステップS304)スケーリング手段1071は、カウンタiに1を代入する。
【0073】
(ステップS305)スケーリング手段1071は、実験活動電位の情報の中に、i番目の値があるか否かを判断する。i番目の値があればステップS306に行き、i番目の値がなければステップS309に行く。
【0074】
(ステップS306)スケーリング手段1071は、i番目の値(V)を、VSL、VSH、VERMPSRMPを用いて変更する。具体的には、i番目の値を、(V−VERMP)×(VSH−VSRMP)/(VEH−VERMP)+VSRMPにより決定する。なお、スケーリング手段1071は、演算式(V−VERMP)×(VSH−VSRMP)/(VEH−VERMP)+VSRMPの情報を保持しており、当該演算式の情報を読み込み、取得したパラメータを演算式に代入し、スケーリングしたi番目の値を得る。
【0075】
(ステップS307)スケーリング手段1071は、ステップS306で得た新しいi番目の値(V)を格納する。
【0076】
(ステップS308)スケーリング手段1071は、カウンタiを1、インクリメントする。ステップS305に戻る。
【0077】
(ステップS309)平滑化手段1072は、カウンタiに1を代入する。
【0078】
(ステップS310)平滑化手段1072は、実験活動電位の情報の中に、i番目の点(値)があるか否かを判断する。i番目の点があればステップS311に行き、i番目の値がなければ上位関数にリターンする。
【0079】
(ステップS311)平滑化手段1072は、i番目の点の移動平均を算出する。
【0080】
(ステップS312)平滑化手段1072は、ステップS311で算出したi番目の点の移動平均を格納する。
【0081】
(ステップS313)平滑化手段1072は、カウンタiを1、インクリメントする。ステップS310に戻る。
【0082】
なお、図3のフローチャートにおいて、ステップS301からステップS308の処理は、スケーリング処理である。また、ステップS309からステップS313の処理は、平滑化処理である。
【0083】
また、図3のフローチャートにおいて、スケーリング処理の演算式は、上記の式に限られない。
【0084】
次に、生体パラメータ決定装置の相違度算出処理(ステップS207)について図4のフローチャートを用いて説明する。
【0085】
(ステップS401)相違度算出部108は、図示しない記録媒体に格納されている相違度の演算式の情報を読み出す。
【0086】
(ステップS402)絶対値差情報取得手段1081は、初期化処理を行う。初期化処理とは、カウンタiに1を代入する処理である。また、相違度を算出するための元になる変数の値を「0」にする処理である。相違度を算出するための元になる変数は、ここでは、絶対値差情報を格納するための変数である絶対値差情報変数がある。
【0087】
(ステップS403)絶対値差情報取得手段1081は、活動電位情報取得部105が取得した活動電位情報または/および実験活動電位情報に、i番目の値が存在するか否かを判断する。なお、活動電位情報取得部105が取得した活動電位情報または/および実験活動電位情報は、活動電位の値と、時刻または時間の情報の対の集合である。
【0088】
(ステップS404)絶対値差情報取得手段1081は、2つの活動電位情報のi番目の値(活動電位)を取得する。2つの活動電位情報とは、活動電位情報取得部105が取得した活動電位情報と実験活動電位情報である。
【0089】
(ステップS405)絶対値差情報取得手段1081は、ステップS404で取得したi番目の値に対応する点がRMPとして取得した点であるか否かを判断する。RMPとして取得した点であればステップS406に行き、RMPとして取得した点でなければステップS409に行く。
【0090】
(ステップS406)絶対値差情報取得手段1081は、ステップS404で取得したi番目の値に対応する点が最初のRMPとして取得した点であるか否かを判断する。最初のRMPとして取得した点であればステップS407に行き、最初のRMPとして取得した点でなければステップS409に行く。
【0091】
なお、ここで、絶対値差情報取得手段1081は、2つの活動電位情報のRMPの差を算出しても良い。
【0092】
(ステップS407)絶対値差情報取得手段1081は、2つの活動電位情報のi番目の値の差の絶対値を算出する。そして、絶対値差情報取得手段1081は、算出した値を一時格納する。
【0093】
(ステップS408)絶対値差情報取得手段1081は、カウンタiを1、インクリメントする。テップS403に戻る。
【0094】
(ステップS409)絶対値差情報取得手段1081は、ステップS404で取得した2つの活動電位情報のi番目の値の差の絶対値を取得する。
【0095】
(ステップS410)絶対値差情報取得手段1081は、ステップS409で算出した値を加算する。ステップS408に行く。
【0096】
(ステップS411)変化差情報取得手段1082は、2つの活動電位情報の時間微分を算出する。
【0097】
(ステップS412)変化差情報取得手段1082は、初期化処理を行う。初期化処理とは、カウンタiに1を代入する処理である。また、相違度を算出するための元になる変数の値を「0」にする処理である。相違度を算出するための元になる変数は、ここでは、変化差情報を格納するための変数である変化差情報変数がある。
【0098】
(ステップS413)変化差情報取得手段1082は、活動電位情報取得部105が取得した活動電位情報または/および実験活動電位情報に、i番目の値が存在するか否かを判断する。i番目の値が存在すればステップS414に行き、i番目の値が存在しなければステップS417に行く。
【0099】
(ステップS414)変化差情報取得手段1082は、i番目の値に対応する、2つの活動電位情報の時間微分の値を取得し、当該2つの時間微分の値の差に関する情報を算出する。この2つの時間微分の値の差に関する情報は、変化率ともいう。
【0100】
(ステップS415)変化差情報取得手段1082は、ステップS414で取得した変化率(値)を加算する。
【0101】
(ステップS416)変化差情報取得手段1082は、カウンタiを1、インクリメントする。テップS412に戻る。
【0102】
(ステップS417)相違度算出部108は、ステップS401で読み出した演算式にパラメータを代入し、相違度を算出する。パラメータとは、ここでは、ステップS407、ステップS410、ステップS415で算出した値である。
【0103】
(ステップS418)相違度算出部108は、ステップS417で算出した相違度を、記録媒体に格納する。
【0104】
なお、図4のフローチャートにおいて、ステップS402からステップS410までのステップにおける処理は、絶対値差情報を算出する処理である。また、絶対値差情報を算出する処理の中で、ステップS406、ステップS407の処理は、RMPの差の情報(以下、適宜、「静止膜距離情報」という)を取得する処理であり、ステップS409、ステップS410の処理は、再分極相の差の情報報(以下、適宜、「再分極相距離情報」という)を取得する処理である。また、ステップS411からステップS416までのステップにおける処理は、変化差情報を算出する処理である。図4のフローチャートにおいて、相違度を算出する場合に、絶対値差情報と変化差情報を算出し、この2つの情報(値)に基づいて、相違度を算出した。しかし、相違度の算出は、絶対値差情報、または変化差情報のどちらか一方の情報を使用するだけでも良い。また、絶対値差情報の算出には、静止膜距離情報と再分極相距離情報を使用したが、再分極相距離情報のみを使用しても良い。さらに、静止膜距離情報と再分極距離情報に分離しなくとも、すべてのカウンタiにおいて、絶対値差情報を算出してもよい。
【0105】
また、図4のフローチャートにおいて、ステップS401において、パラメータセット選択部102は、1組以上の生体パラメータセットの中から、任意に一の生体パラメータセットを選択した。しかし、パラメータセット選択部102は、以下のアルゴリズムで、一の生体パラメータセットを選択しても良い。このアルゴリズムは、例えば、以下で説明する単純2分割法である。単純2分割法の概念図を図5に示す。単純2分割法は、前回の探索範囲を構成するn個のパラメータの値の範囲をそれぞれ2分割し、当該2分割したn個のパラメータの組み合わせの値の範囲を有する2個の探索範囲を取得し、当該2個の各探索範囲の代表的なパラメータセットのうちで、最も相違度の小さいパラメータセットを有する探索範囲を前回の探索範囲として、探索範囲を狭めてゆく方法である。さらに具体的には、単純2分割法のアルゴリズムについて、図6、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0106】
(ステップS601)探索範囲決定手段1021は、各パラメータの探索範囲の情報を読み出す。各パラメータの探索範囲の初期値は、予め決められており、記録媒体に格納されている、とする。
【0107】
(ステップS602)探索範囲決定手段1021は、ステップS601で読み出した各パラメータの探索範囲の探索範囲の情報から、各パラメータの探索範囲を2分割した値を取得する。例えば、一のパラメータの範囲は「1〜10」であれば、探索範囲決定手段1021は、例えば、「1〜5」と「6〜10」に分割する。探索範囲決定手段1021は、全パラメータ(n個とする)に対して、その範囲を2分割する。そして、探索範囲決定手段1021は、n個の全パラメータを2分割し、それらの組み合わせである「2」個の探索範囲を得る。
【0108】
(ステップS603)パラメータセット選択手段1022は、カウンタiに1を代入する。
【0109】
(ステップS604)パラメータセット選択手段1022は、i番目の探索範囲があるか否かを判断する。i番目の探索範囲があればステップS605に行き、i番目の探索範囲がなければステップS607に行く。
【0110】
(ステップS605)パラメータセット選択手段1022は、i番目の探索範囲に対して、最適解を得る。最適解とは、相違度が最小の生体パラメータセットである。最適解を得るアルゴリズムについて、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0111】
(ステップS606)パラメータセット選択手段1022は、カウンタiを1、インクリメントする。ステップS604に戻る。
【0112】
(ステップS607)パラメータセット選択手段1022は、(i−1)の探索範囲で得た最適解の相違度の中で最も小さい相違度の解(生体パラメータセット)を取得する。
【0113】
(ステップS608)パラメータセット選択手段1022は、ステップS607で選択した生体パラメータセットを構成する各パラメータの探索範囲の情報を取得する。
【0114】
(ステップS609)パラメータセット選択手段1022は、処理を終了するか否かを判断する。処理を終了するならばステップS610に行き、処理を終了しないならステップS611に行く。なお、処理を終了するか否かの判断は、2個の探索範囲のすべてのパラメータセットを取得したか否かの判断であり、すべてのパラメータセットを取得していた場合に処理を終了すると判断しても良い。また、処理を終了するか否かの判断は、ユーザが行っても良い。つまり、必要な探索範囲のみのパラメータセットをユーザーが指定して選択し、選択した探索範囲のパラメータセットを取得した時点で修了してもよい。かかる場合、ユーザに選択を促す手段(画面上に選択するためのメニューや入力画面を表示する手段)、およびユーザの入力を受け付ける手段を具備する。
【0115】
(ステップS610)パラメータセット選択手段1022は、ステップS607で取得した生体パラメータセット(最適解)を出力する。処理を終了する。
【0116】
(ステップS611)パラメータセット選択手段1022は、パラメータ選択処理を再帰的に行う。
【0117】
なお、図6のフローチャートは、再帰的な処理になっている。
【0118】
次に、最適解を得るアルゴリズムについて、図7のフローチャートを用いて説明する。図7のフローチャートにおいて、図2のフローチャートと同一のステップについては説明を省略する。
【0119】
(ステップS701)パラメータセット選択手段1022は、探索範囲の中で最適解を探索するための、n種類のパラメータセットを取得する。n種類のパラメータセットは、ユーザが入力しても良いし、探索範囲の中で、自動的に決定しても良い。自動的に決定するアルゴリズムとして、例えば、あるパラメータの探索範囲は「4〜6」までの場合、「1」の等間隔で「4」「5」「6」を取得するアルゴリズムでも良い。
【0120】
(ステップS702)パラメータセット選択手段1022は、カウンタiに1を代入する。
【0121】
(ステップS703)パラメータセット選択手段1022は、「i<=n」であるか否かを判断する。「i<=n」であればステップS704に行き、「i<=n」でなければステップS706に行く。
【0122】
(ステップS704)パラメータセット選択手段1022は、n種類のうちで、i番目のパラメータセットを読み出す。ステップS202に行く。
【0123】
(ステップS705)パラメータセット選択手段1022は、カウンタiを1、インクリメントする。
【0124】
(ステップS706)パラメータセット選択手段1022は、n種類のパラメータセットのうちで、最小の相違度を有するパラメータセットを取得する。上位関数にリターンする。
【0125】
次に、パラメータセット選択部102が行う、他の生体パラメータセットを選択するアルゴリズムについて述べる。本アルゴリズムは、範囲縮小法という。範囲縮小法の概念図を図8に示す。図8において、(1)、(2)、(3)と探索範囲は半分に狭まっていっている。範囲縮小法は、前回の2以上のパラメータセットを構成する各パラメータの値の範囲の情報を保持しており、前記2以上のパラメータセットのうち、前回に最も相違度の小さいパラメータセットを中心に、前記各パラメータの値の範囲の半分の範囲を次回の探索範囲として、探索範囲を狭めてゆく方法である。
【0126】
具体的な範囲縮小法のアルゴリズムについて、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0127】
(ステップS901)探索範囲決定手段1021は、前回の各パラメータの探索範囲を読み出す。前回が無い場合(初回の場合)は、予め格納された各パラメータの探索範囲を読み出す。
【0128】
(ステップS902)探索範囲決定手段1021は、最適解を読み出す。最適解は、予め記録媒体に格納されていたり、ユーザーが入力したりした情報である。最適解は、生体パラメータセットである。
【0129】
(ステップS903)探索範囲決定手段1021は、ステップS901で読み出した探索範囲の幅の半分を、各パラメータに対して算出し、ステップS902で取得した最適解を中心点として、各パラメータの半分した幅の範囲を、パラメータごとに算出する。ただし、一番最初に格納されていた範囲、あるいはユーザーが指定する探索範囲を超えないように範囲を算出する。もし一番最初に格納されていた範囲、あるいはユーザーが指定する探索範囲を超える場合は、各パラメータの半分した幅の範囲を保持したまま、最適解の中心点を含む範囲を算出する。ステップS605に行く。
【0130】
(ステップS904)パラメータセット選択手段1022は、処理を終了するか否かを判断する。処理を終了するのであればステップS905に行き、処理を終了しないのであればステップS906に行く。処理を終了するか否かを判断は、予め本処理のループ回数を決めていても良いし、ユーザからの指示等でも良い。
【0131】
(ステップS905)パラメータセット選択手段1022は、ステップS605で算出した最適解を出力する。処理を終了する。
【0132】
(ステップS906)パラメータセット選択手段1022は、パラメータセット選択処理を再帰的に行う。
【0133】
以下、本実施の形態における生体パラメータ決定装置の具体的な動作について説明する。
【0134】
まず、生体パラメータ決定装置は、図示しない手段により、図10の各生体パラメータの採り得る範囲、および刻み幅の情報を、生体パラメータごとに保持している。ここで、生体パラメータは、「IKr」、「IK1」、および「IKs」で識別されるパラメータを例として挙げている。また、図10において、生体パラメータ「IKr」は、「0.0,0.1,0.2,・・・4.8,4.9,5.0」と採り得ることを示す。なお、「IKr」は、急速活性化遅延整流性カリウムチャネル(Krチャネル)を流れる電流、「IK1」は内向き整流性カリウムチャネル(K1チャネル)を流れる電流、「IKs」は緩除活性化遅延整流性カリウムチャネル(Ksチャネル)を流れる電流である。
【0135】
そして、生体パラメータ決定装置は、図示しない手段により、図10の各生体パラメータの採り得る範囲、および刻み幅の情報を元に、生体パラメータセットを生成し、生体パラメータセット格納部101に蓄積する。かかる生体パラメータセットを管理する生体パラメータセット管理表を図11に示す。図11において、「ID」と「IKr」、「IK1」、「IKs」などの生体パラメータの値の組からなる生体パラメータセット(表のレコード)を1以上管理している。「ID」は、レコードを識別する情報であり、表におけるレコード管理のために存在する。
【0136】
つまり、本生体パラメータ決定装置は、図11の生体パラメータセットの中から、許容範囲にある生体パラメータセットを取得する装置である。
【0137】
また、図12は、実験活動電位情報格納部106に格納されている実験活動電位情報をグラフで表示したデータである。実験活動電位情報は、時間(ms)と電位(mV)を対に有する情報の集合であり、動物実験の結果の活動電位の情報の集合である。
【0138】
まず、パラメータセット選択部102は、図11の生体パラメータセット群の中で、最初「ID=1」の生体パラメータセット「IKr:0.0,IK1:0.20,IKs:1.00,・・・・」を読み出す。
【0139】
次に、シミュレーション実行部103は、パラメータセット選択部102が選択した一の生体パラメータセットを入力にして、心臓の活動をシミュレーションし、心臓の活動電位を示す情報である活動電位情報を所定の時間間隔で得て、出力する。
【0140】
次に、定常状態判断部104は、シミュレーション実行部103におけるシミュレーション結果の2以上の活動電位情報の変化から、シミュレーション対象の心臓の活動状態が定常状態になったか否かを判断し、定常状態になった場合の活動電位情報を得る。この定常状態の活動電位情報をグラフで表示した図は、図12と類似した形状を有する。
【0141】
次に、活動電位情報取得部105は、シミュレーション対象の心臓の活動状態が定常状態になったと判断した場合のシミュレーション実行部103の出力である活動電位情報を取り出す。
【0142】
なお、図13は、実験活動電位情報のグラフ(Experiment data)と、シミュレーション実行部103の出力である活動電位情報(Simulation)のグラフを重ねた図である。図13の縦軸は電位(mV)、横軸は時間(msec)である。
【0143】
次に、前処理部107は、メモリ上に、実験活動電位情報格納部106の実験活動電位情報を読み込み、前処理を行う。つまり、前処理部107のスケーリング手段1071は、活動電位情報取得部105が取得したシミュレーション結果の活動電位情報が示す電位の静止膜電位の平均値(VSRMP)、および最大値(VSH)を、活動電位情報を構成する値から取得する。そして、スケーリング手段1071は、実験活動電位の情報のうちの静止膜電位の平均値(VERMP)、および最大値(VEH)を取得する。次に、スケーリング手段1071は、実験活動電位の情報の最大値(VEH)を最大値(VSH)に、静止膜電位の平均値(VERMP)を静止膜電位の平均値(VSRMP)に変更する。スケーリング手段1071は、最大値、静止膜電位が実験活動電位の値に合致するように、他の点のデータも、スケーリングする。その結果、図14に示すように、実験活動電位情報の電位幅が、シミュレーション結果の活動電位情報の電位幅と同じになる。スケーリング処理により、活動電位の最大振幅をシミュレーションに合うように実験データ(Experiment data)を縦方向にスケーリングでき、適切な相違度の算出が可能となる。図14の縦軸は電位(mV)、横軸は時間(msec)である。
【0144】
次に、平滑化手段1072は、スケーリング処理を行った実験活動電位情報と、シミュレーション結果の活動電位情報に対して、以下の平滑化処理を行う。つまり、平滑化手段1072は、スケーリング処理を行った実験活動電位情報の全部の点(電位(mV)と時間(ms)からなる情報)に対して、移動平均の値を算出し、その値を、実験活動電位情報の点の値とする。同様に、平滑化手段1072は、シミュレーション結果の活動電位情報の全部の点(電位(mV)と時間(ms)からなる情報)に対して、移動平均の値を算出し、その値を、シミュレーション結果の活動電位情報の点の値とする。図15は、平滑化処理後の活動電位情報を示す。平滑化処理により、実験データのノイズを除去できる。図15は、段階的に移動平均を取ることで、実験データのノイズを除去した結果を示す。上部のライン(a)は、10.0msecの間隔で移動平均をとったデータ群である。また、ラインの一つ外側の帯(b)は、1.0msecの間隔で移動平均をとったデータ群である。また、さらに外側の帯(c)は、0.1msecの間隔で移動平均をとったデータ群である。さらに、(d)は、移動平均を取る前の生データである。
【0145】
以上のスケーリング処理と平滑化処理が完了した際の実験活動電位波形の薬物投与前(Before)と薬物投与後(After)の波形を図16に示す。図16の縦軸は電位(mV)、横軸は時間(msec)である。
【0146】
次に、相違度算出部108は、シミュレーション結果であり、取得した活動電位情報と、前処理を行った結果である実験活動電位情報との相違度を、以下のようにして算出する。
【0147】
まず、相違度算出部108は、図示しない記録媒体に格納されている相違度の演算式の情報を読み出す。ここでは、相違度の算出式を、例えば、数式1である、とする。また、図17は、相違度を算出する算出式とその元情報の対応を示す図であり、相違度の概念を示す図である。
【数1】

【0148】
数式1において、パラメータA,B,Cは、重み付けの係数であり、通常、正の値である。また、パラメータA,Bがそれぞれかかっている第1項、第2項は、シミュレーション結果の活動電位情報と、実験活動電位情報との距離である絶対値差情報を算出する項である。また、第1項は、静止膜電位(RMP)の距離である静止膜距離情報を算出する項である。第2項は、再分極相の距離である再分極相距離情報を算出する項である。また、Cがかかっている第3項は、シミュレーション結果の活動電位情報と、実験活動電位情報との距離を規格化して算出される変化差情報を算出する項である。
【0149】
また、数式1において、RMPmodelは、シミュレーション結果の活動電位情報のうちの静止膜電位(RMP)の平均値であり、RMPexpは、実験活動電位情報のうちの静止膜電位(RMP)の平均値であることは好適である。
また、数式1において、Vmmodelはシミュレーション結果の活動電位、Vmexpは実験活動電位情報が有する活動電位である。また、phase2とは、活動電位の膜電位が最大値に達した点(時間と膜電位)のことを示す。phase3とは、活動電位の膜電位が最大値となった点(Phase2の開始点)から静止膜電位にまで再分極(静止膜電位に近づく)しきる点(Phase3の終了点)を示す。従って、数式1の第2項のPhase2からPhase3までのVmの絶対値差情報の和を計算するとは、Phase2の開始点からPhase3の終了点までに含まれる活動電位情報(時間、膜電位)の絶対値差情報を計算することをさす。
さらに、数式1において、dVm/dtmodelは、Vmmodelを時間微分した値、dVm/dtexpは、Vmexpを時間微分した値である。
【0150】
そして、絶対値差情報取得手段1081は、シミュレーション結果の活動電位情報と、実験活動電位情報を、数式1の第1項、および第2項に入力し、絶対値差情報を算出し、記録媒体に一時格納する。かかる処理の詳細は、図4のフローチャートで述べた通りである。次に、変化差情報取得手段1082は、シミュレーション結果の活動電位情報と、実験活動電位情報を、数式1の第3項に入力し、変化差情報を算出し、記録媒体に一時格納する。
【0151】
そして、相違度算出部108は、数式1の第1項、第2項および第3項の演算結果を記録媒体から読み出し、それらの和を算出し、相違度を得る。相違度は、値が小さいほど、シミュレーション結果の活動電位情報と、実験活動電位情報が類似していることとなる。
【0152】
次に、許容パラメータセット決定部109は、算出した相違度を用いて、選択した一の生体パラメータセット(図11の「ID=1」の生体パラメータセット)が許容範囲にある生体パラメータセットであるか否かを決定する。許容パラメータセット決定部109は、応答曲面法を用いて決定係数を算出し、その決定係数が許容範囲にあるかどうかで、生体パラメータセットが許容範囲内であるか否かを決定することが好適である。なお、応答曲面法を用いる場合、生体パラメータセット格納部101に格納されている生体パラメータセットとその相違度(相違度算出部108で算出した相違度)の組が2組以上、応答曲面法を計算するために必要となる。また、応用曲面法を用いれば、応答曲面法の計算結果として、最適解と予測される生体パラメータセットを算出することができる点好適である。
【0153】
そして、許容パラメータセット出力部111は、許容範囲にある生体パラメータセットを出力する。ここで、出力とは、ディスプレイへの表示や、記録媒体への蓄積や、外部装置への送信等の概念を含む。
【0154】
次に、生体パラメータ決定装置は、図11の「ID=2」以降の生体パラメータセットに対して、上記と同様の処理を行い、許容範囲にある生体パラメータセットを得る。
【0155】
なお、上記具体例において、許容範囲にある生体パラメータセットを選択する場合、候補となる全生体パラメータセットを処理したが、図6や図9に示すパラメータ選択方法(単純2分割法や範囲縮小法)により、効率的に最適な生体パラメータセットを取得するようにしても良い。
【0156】
以上、本実施の形態によれば、動物実験の結果の活動電位情報である実験活動電位情報から、精度高く生体パラメータセットを得ることができる。
【0157】
また、本実施の形態によれば、応答曲面法を用いて一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットであるか否かを決定するので、人手を煩わすことなく、容易に、高速に、かつ精度高く生体パラメータセットを得ることができる。
【0158】
なお、本実施の形態において、相違度を算出する場合に、活動電位情報の時間微分(dVm/dt)の情報を用いた。これは、活動電位情報の時間微分(dVm/dt)の情報は、各電流系の変化により特徴的な変化を示す(図18)ことから、薬物による活動電位波形変化を入力として、投与した薬剤の各電流系への直接的な影響を評価することが可能となるからである。なお、図18は、各チャネルのパラメータを0−200%まで変化させた場合のdVm/dt波形変化を示す。具体的には、図18(a)は、生体パラメータ「ICaL」のdVm/dt波形変化、図18(b)は、生体パラメータ「IKr」のdVm/dt波形変化、図18(c)は、生体パラメータ「IK1」のdVm/dt波形変化、図18(d)は、生体パラメータ「IKs」のdVm/dt波形変化を示す。
【0159】
また、本実施の形態における生体パラメータ決定装置を利用し、薬物投入前の活動電位の情報から生体パラメータセットを取得し、かつ、薬物投入後の活動電位の情報から生体パラメータセットを取得すれば、薬物投入の効果や副作用を定量的に得ることができる。なお、薬物投入の効果は、薬物投入前後の生体パラメータセットの差から求められる。
【0160】
さらに、本実施の形態における処理は、ソフトウェアで実現しても良い。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布しても良い。また、このソフトウェアをCD−ROMなどの記録媒体に記録して流布しても良い。なお、このことは、本明細書における他の実施の形態においても該当する。なお、本実施の形態における生体パラメータ決定装置を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータに、格納している2組以上の生体パラメータセットの中から一の生体パラメータセットを選択するパラメータセット選択ステップと、当該パラメータセット選択ステップで選択した一の生体パラメータセットを入力にして、心臓の活動をシミュレーションし、心臓の活動電位を示す情報である活動電位情報を得るシミュレーション実行ステップと、前記シミュレーション実行ステップにおける出力である活動電位情報の変化から、シミュレーション対象の心臓の活動状態が定常状態になったか否かを判断する定常状態判断ステップと、前記定常状態判断ステップでシミュレーション対象の心臓の活動状態が定常状態になったと判断した場合の前記シミュレーション実行ステップにおける出力である活動電位情報を取得する活動電位情報取得ステップと、前記活動電位情報取得ステップで取得した活動電位情報と、格納している実験活動電位情報との相違度を算出する相違度算出ステップと、前記相違度算出ステップで算出した相違度を用いて、前記一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットであるか否かを決定する許容パラメータセット決定ステップと、前記許容パラメータセット決定ステップで前記一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットでないと判断した場合に、前記パラメータセット選択部に未選択の生体パラメータセットの中から一の生体パラメータセットを選択するように指示する制御ステップと、前記許容パラメータセット決定ステップで前記一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットであると判断した場合に、当該一の生体パラメータセットを出力する許容パラメータセット出力ステップを実行させるためのプログラム、である。
【0161】
また、上記プログラムにおける前記相違度算出ステップは、前記活動電位情報取得ステップで取得した活動電位情報が示す活動電位の値と、前記実験活動電位情報が示す活動電位の値との差に関する情報である絶対値差情報を取得する絶対値差情報取得ステップと、前記活動電位情報取得ステップで取得した活動電位情報が示す活動電位の変化の値と、前記実験活動電位情報が示す活動電位の変化の値との差に関する情報である変化差情報を取得する変化差情報取得ステップと、前記絶対値差情報および前記変化差情報を用いて、前記活動電位情報取得部が取得した活動電位情報と、前記実験活動電位情報との相違度を算出する相違度算出ステップを具備することは好適である。
【0162】
また、上記プログラムは、コンピュータに、前記実験活動電位情報に対してノイズを除去する処理である前処理を行い新たな実験活動電位情報を得る前処理ステップをさらに実行させ、前記相違度算出ステップは、前記活動電位情報取得ステップで取得した活動電位情報と、前記前処理ステップで得た実験活動電位情報との相違度を算出することは好適である。
【0163】
また、上記プログラムにおける前処理ステップは、前記活動電位情報取得ステップで取得した活動電位情報が示す電位の最大値と前記実験活動電位情報が示す電位の最大値が合致するように、前記実験活動電位情報が示す電位の値をスケーリングするスケーリングステップを具備することは好適である。
【0164】
また、上記プログラムにおける前処理ステップは、前記実験活動電位情報が示す電位の値に対して、移動平均を算出し、当該算出した移動平均の値を新たな実験活動電位情報が示す電位の値とする平滑化ステップを具備することは好適である。
【0165】
また、上記プログラムにおける前記パラメータセット選択ステップは、前記2組以上の生体パラメータセットを構成する1以上の各パラメータの値の範囲を用いて、当該1以上の各パラメータの範囲を限定し、当該限定した範囲の情報を有する探索空間を決定する探索範囲決定ステップと、前記探索範囲決定ステップで決定した探索空間に存在する1組以上のパラメータセットから、一のパラメータセットを選択するパラメータセット選択ステップを具備することは好適である。
【0166】
また、上記プログラムにおける前記探索範囲決定ステップは、前回の探索範囲を構成するn個のパラメータの値の範囲を2分割し、当該2分割したn個のパラメータの組み合わせの値の範囲を有する2個の探索範囲を取得し、当該2個の各探索範囲の代表的なパラメータセットのうちで、最も相違度の小さいパラメータセットを有する探索範囲を前回の探索範囲として、探索範囲を狭めてゆくことは好適である。
【0167】
また、上記プログラムにおける前記探索範囲決定ステップは、前回の2以上のパラメータセットを構成する各パラメータの値の範囲の情報を保持しており、前記2以上のパラメータセットのうち、前回に最も相違度の小さいパラメータセットを中心に、前記各パラメータの値の範囲の半分の範囲を次回の探索範囲として、探索範囲を狭めてゆくことは好適である。
【0168】
また、上記プログラムにおける前記許容パラメータセット決定ステップは、前記相違度算出ステップで算出した相違度に対して、応答曲面法を用いて前記一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットであるか否かを決定することは好適である。さらに応答曲面法から算出された最適解と予測される生体パラメータセットを選択しても良い。
【0169】
また、図19は、本明細書で述べたプログラムを実行して、上述した種々の実施の形態の生体パラメータ決定装置を実現するコンピュータの外観を示す。上述の実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムで実現され得る。図19は、このコンピュータシステム340の概観図であり、図20は、コンピュータシステム340のブロック図である。
【0170】
図19において、コンピュータシステム340は、FD(Flexible Disk)ドライブ、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブを含むコンピュータ341と、キーボード342と、マウス343と、モニタ344と、マイク345とを含む。
【0171】
図20において、コンピュータ341は、FDドライブ3411、CD−ROMドライブ3412に加えて、CPU(Central Processing Unit)3413と、CPU3413、CD−ROMドライブ3412及びFDドライブ3411に接続されたバス3414と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM(Read−Only Memory)3415と、CPU3413に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶するとともに一時記憶空間を提供するためのRAM(Random Access Memory)3416と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するためのハードディスク3417とを含む。ここでは、図示しないが、コンピュータ341は、さらに、LANへの接続を提供するネットワークカードを含んでも良い。
【0172】
コンピュータシステム340に、上述した実施の形態の生体パラメータ決定装置の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM3501、またはFD3502に記憶されて、CD−ROMドライブ3412またはFDドライブ3411に挿入され、さらにハードディスク3417に転送されても良い。これに代えて、プログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ341に送信され、ハードディスク3417に記憶されても良い。プログラムは実行の際にRAM3416にロードされる。プログラムは、CD−ROM3501、FD3502またはネットワークから直接、ロードされても良い。
【0173】
プログラムは、コンピュータ341に、上述した実施の形態の生体パラメータ決定装置の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティープログラム等は、必ずしも含まなくても良い。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいれば良い。コンピュータシステム340がどのように動作するかは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0174】
また、上記各実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0175】
以上のように、本発明にかかる生体パラメータ決定装置は、精度高く生体パラメータセットを得ることができるという効果を有し、薬物投入の効果や副作用を推定する装置の前処理を行う生体パラメータ決定装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】実施の形態における生体パラメータ決定装置のブロック図
【図2】同生体パラメータ決定装置の動作について説明するフローチャート
【図3】同前処理の動作について説明するフローチャート
【図4】同相違度算出処理について説明するフローチャート
【図5】同単純2分割法の概念図
【図6】同単純2分割法について説明するフローチャート
【図7】同最適解を得るアルゴリズムについて説明するフローチャート
【図8】同範囲縮小法の概念図
【図9】同範囲縮小法について説明するフローチャート
【図10】同生体パラメータの情報の例を示す図
【図11】同生体パラメータセット管理表を示す図
【図12】同実験活動電位情報のグラフを示す図
【図13】同実験活動電位情報のグラフとシミュレーション結果の活動電位情報のグラフを重ねた図
【図14】同スケーリング処理結果を示す図
【図15】同平滑化処理結果を示す図
【図16】同前処理の前後の波形を示す図
【図17】同相違度を算出する算出式とその概念を示す図
【図18】同各チャネルのパラメータを0−200%まで変化させた場合のdVm/dt波形変化を示す図
【図19】同生体パラメータ決定装置を実現するコンピュータの外観図
【図20】同生体パラメータ決定装置を実現するコンピュータシステムのブロック図
【符号の説明】
【0177】
101 生体パラメータセット格納部
102 パラメータセット選択部
103 シミュレーション実行部
104 定常状態判断部
105 活動電位情報取得部
106 実験活動電位情報格納部
107 前処理部
108 相違度算出部
109 許容パラメータセット決定部
110 制御部
111 許容パラメータセット出力部
1021 探索範囲決定手段
1022 パラメータセット選択手段
1071 スケーリング手段
1072 平滑化手段
1081 絶対値差情報取得手段
1082 変化差情報取得手段
1083 相違度算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体のパラメータである生体パラメータを1以上有する生体パラメータセットを2組以上格納している生体パラメータセット格納部と、
前記2組以上の生体パラメータセットの中から一の生体パラメータセットを選択するパラメータセット選択部と、
当該パラメータセット選択部が選択した一の生体パラメータセットを入力にして、心臓の活動をシミュレーションし、心臓の活動電位を示す情報である活動電位情報を得るシミュレーション実行部と、
前記活動電位情報を取得する活動電位情報取得部と、
動物実験の結果の活動電位情報である実験活動電位情報を格納している実験活動電位情報格納部と、
前記活動電位情報取得部が取得した活動電位情報と、前記実験活動電位情報との相違度を算出する相違度算出部と、
前記相違度算出部が算出した相違度を用いて、前記一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットであるか否かを決定する許容パラメータセット決定部と、
前記許容パラメータセット決定部が前記一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットでないと判断した場合に、前記パラメータセット選択部に未選択の生体パラメータセットの中から一の生体パラメータセットを選択するように指示する制御部と、
前記許容パラメータセット決定部が前記一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットであると判断した場合に、当該一の生体パラメータセットを出力する許容パラメータセット出力部を具備する生体パラメータ決定装置。
【請求項2】
前記シミュレーション実行部の出力である活動電位情報の変化から、シミュレーション対象の心臓の活動状態が定常状態になったか否かを判断する定常状態判断部をさらに具備し、
前記活動電位情報取得部は、
前記定常状態判断部がシミュレーション対象の心臓の活動状態が定常状態になったと判断した場合の前記シミュレーション実行部の出力である活動電位情報を取得する請求項1記載の生体パラメータ決定装置。
【請求項3】
前記相違度算出部は、
前記活動電位情報取得部が取得した活動電位情報が示す活動電位の値と、前記実験活動電位情報が示す活動電位の値との差に関する情報である絶対値差情報を取得する絶対値差情報取得手段と、
前記活動電位情報取得部が取得した活動電位情報が示す活動電位の変化の値と、前記実験活動電位情報が示す活動電位の変化の値との差に関する情報である変化差情報を取得する変化差情報取得手段と、
前記絶対値差情報および前記変化差情報を用いて、前記活動電位情報取得部が取得した活動電位情報と、前記実験活動電位情報との相違度を算出する相違度算出手段を具備する請求項1または請求項2記載の生体パラメータ決定装置。
【請求項4】
前記実験活動電位情報格納部に格納されている実験活動電位情報に対してノイズを除去する処理である前処理を行い新たな実験活動電位情報を得る前処理部をさらに具備し、
前記相違度算出部は、
前記活動電位情報取得部が取得した活動電位情報と、前記前処理部が得た実験活動電位情報との相違度を算出する請求項1から請求項3いずれか記載の生体パラメータ決定装置。
【請求項5】
前記前処理部は、
前記活動電位情報取得部が取得した活動電位情報が示す電位の最大値と前記実験活動電位情報が示す電位の最大値が合致するように、前記実験活動電位情報が示す電位の値をスケーリングするスケーリング手段を具備する請求項4記載の生体パラメータ決定装置。
【請求項6】
前記前処理部は、
前記実験活動電位情報が示す電位の値に対して、移動平均を算出し、当該算出した移動平均の値を新たな実験活動電位情報が示す電位の値とする平滑化手段を具備する請求項4または請求項5記載の生体パラメータ決定装置。
【請求項7】
前記パラメータセット選択部は、
前記2組以上の生体パラメータセットを構成する1以上の各パラメータの値の範囲を用いて、当該1以上の各パラメータの範囲を限定し、当該限定した範囲の情報を有する探索空間を決定する探索範囲決定手段と、
前記探索範囲決定手段が決定した探索空間に存在する1組以上のパラメータセットから、一のパラメータセットを選択するパラメータセット選択手段を具備する請求項1記載の生体パラメータ決定装置。
【請求項8】
前記探索範囲決定手段は、
前回の探索範囲を構成するn個のパラメータの値の範囲を2分割し、当該2分割したn個のパラメータの組み合わせの値の範囲を有する2個の探索範囲を取得し、当該2個の各探索範囲の代表的なパラメータセットのうちで、最も相違度の小さいパラメータセットを有する探索範囲を前回の探索範囲として、探索範囲を狭めてゆく請求項7記載の生体パラメータ決定装置。
【請求項9】
前記探索範囲決定手段は、
前回の2以上のパラメータセットを構成する各パラメータの値の範囲の情報を保持しており、前記2以上のパラメータセットのうち、前回に最も相違度の小さいパラメータセットを中心に、前記各パラメータの値の範囲の半分の範囲を次回の探索範囲として、探索範囲を狭めてゆく請求項7記載の生体パラメータ決定装置。
【請求項10】
前記許容パラメータセット決定部は、
前記相違度算出部が算出した相違度に対して、応答曲面法を用いて前記一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットであるか否かを決定する請求項1から請求項9いずれか記載の生体パラメータ決定装置。
【請求項11】
コンピュータに、
格納している2組以上の生体パラメータセットの中から一の生体パラメータセットを選択するパラメータセット選択ステップと、
当該パラメータセット選択ステップで選択した一の生体パラメータセットを入力にして、心臓の活動をシミュレーションし、心臓の活動電位を示す情報である活動電位情報を得るシミュレーション実行ステップと、
前記シミュレーション実行ステップにおける出力である活動電位情報を取得する活動電位情報取得ステップと、
前記活動電位情報取得ステップで取得した活動電位情報と、格納している実験活動電位情報との相違度を算出する相違度算出ステップと、
前記相違度算出ステップで算出した相違度を用いて、前記一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットであるか否かを決定する許容パラメータセット決定ステップと、
前記許容パラメータセット決定ステップで前記一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットでないと判断した場合に、前記パラメータセット選択部に未選択の生体パラメータセットの中から一の生体パラメータセットを選択するように指示する制御ステップと、
前記許容パラメータセット決定ステップで前記一の生体パラメータセットが許容範囲にある生体パラメータセットであると判断した場合に、当該一の生体パラメータセットを出力する許容パラメータセット出力ステップを実行させるためのプログラム。
【請求項12】
コンピュータに、
前記シミュレーション実行部の出力である活動電位情報の変化から、シミュレーション対象の心臓の活動状態が定常状態になったか否かを判断する定常状態判断ステップをさらに実行させ、
前記活動電位情報取得ステップは、
前記定常状態判断部がシミュレーション対象の心臓の活動状態が定常状態になったと判断した場合の前記シミュレーション実行部の出力である活動電位情報を取得する請求項11記載のプログラム。
【請求項13】
前記相違度算出ステップは、
前記活動電位情報取得ステップで取得した活動電位情報が示す活動電位の値と、前記実験活動電位情報が示す活動電位の値との差に関する情報である絶対値差情報を取得する絶対値差情報取得ステップと、
前記活動電位情報取得ステップで取得した活動電位情報が示す活動電位の変化の値と、前記実験活動電位情報が示す活動電位の変化の値との差に関する情報である変化差情報を取得する変化差情報取得ステップと、
前記絶対値差情報および前記変化差情報を用いて、前記活動電位情報取得部が取得した活動電位情報と、前記実験活動電位情報との相違度を算出する相違度算出ステップを具備する請求項11または請求項12記載のプログラム。
【請求項14】
コンピュータに、
前記実験活動電位情報に対してノイズを除去する処理である前処理を行い新たな実験活動電位情報を得る前処理ステップをさらに実行させ、
前記相違度算出ステップは、
前記活動電位情報取得ステップで取得した活動電位情報と、前記前処理ステップで得た実験活動電位情報との相違度を算出する請求項11から請求項13いずれか記載のプログラム。
【請求項15】
前記パラメータセット選択ステップは、
前記2組以上の生体パラメータセットを構成する1以上の各パラメータの値の範囲を用いて、当該1以上の各パラメータの範囲を限定し、当該限定した範囲の情報を有する探索空間を決定する探索範囲決定ステップと、
前記探索範囲決定ステップで決定した探索空間に存在する1組以上のパラメータセットから、一のパラメータセットを選択するパラメータセット選択ステップを具備する請求項11記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図19】
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【図20】
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【図5】
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【図8】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−222313(P2007−222313A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45670(P2006−45670)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【出願人】(000004156)日本新薬株式会社 (46)
【Fターム(参考)】