説明

生体情報分析システム

【課題】良好なコンテンツ作成を補助できる生体情報分析システムを提供すること。
【解決手段】コンテンツに含まれる視差画像である右目用画像及び左目用画像を観察する観察者に装着される眼鏡5と、眼鏡5から取得される情報を分析する分析装置6とを備え、眼鏡5は、表示された右目用画像及び左目用画像を、観察者の右目及び左目にそれぞれ個別に透過させる右目用透過部54及び左目用透過部55と、観察者の生体情報を取得して時系列で記憶させる生体情報取得部584とを有し、分析装置6は、生体情報取得部584により取得された生体情報を取得して分析する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報分析システムに関し、詳しくは、立体視可能な画像の評価を行う基礎となる生体情報の変化を取得及び分析する生体情報分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、視差画像である右目用画像及び左目用画像を形成して、視差により立体視可能な画像を表示する画像表示装置が知られている。このような画像表示装置として、右目用画像を右目に入射させる右目用透過部と、左目用画像を左目に入射させる左目用透過部とを有し、観察者に装着される眼鏡を備えた画像表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の画像表示装置は、右目用画像を投射するプロジェクターと、左目用画像を投射するプロジェクターと、当該右目用画像と左目用画像とを形成する光をそれぞれ異なる回転方向の偏光光に変換する円偏光板とを有する。また、眼鏡が備える右目用透過部は、右目用画像の画像光のみを透過し、左目用透過部は、左目用画像の画像光のみを透過する。このような構成により、右目用画像が右目に入射され、左目用画像が左目に入射されて、これら画像が立体画像として視認される。
【0003】
また、特許文献1に記載の他の画像表示装置は、右目用画像と左目用画像とを交互に表示する。そして、液晶シャッターにより構成された右目用透過部及び左目用透過部を有する眼鏡は、右目用画像の表示タイミングで右目用透過部を透過状態にするとともに左目用透過部を遮蔽状態にし、左目用画像の表示タイミングで左目用透過部を透過状態にするとともに右目用透過部を遮蔽状態にする。このような構成により、前述の画像表示装置と同様に、右目用画像が右目に入射され、左目用画像が左目に入射されて、これら画像が立体画像として視認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−253777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、映画館等において、視差画像を含むコンテンツを鑑賞する機会が増えてきた。しかしながら、表示される視差画像の3D効果や、視差画像を長時間観察した場合等で生じる3D酔いと呼ばれる症状についての臨床的裏付けは不足している。このため、コンテンツ作成者は、経験によりコンテンツを作成しており、必ずしも、最新のコンテンツの3D効果が、以前のコンテンツの3D効果に比べて高いとはいえない。
このため、良好なコンテンツ作成のための3D効果及び3D酔いの臨床的裏付けが求められており、視差画像を観察した際の観察者の生体情報の取得及び分析を行なうことができる構成が要望されてきた。
【0006】
本発明の目的は、良好なコンテンツ作成を補助できる生体情報分析システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するために、本発明の生体情報分析システムは、コンテンツに含まれる視差画像である右目用画像及び左目用画像を観察する観察者に装着される眼鏡と、前記眼鏡から取得される情報を分析する分析装置とを備え、前記眼鏡は、表示された前記右目用画像及び前記左目用画像を、観察者の右目及び左目にそれぞれ個別に透過させる右目用透過部及び左目用透過部と、前記観察者の生体情報を取得して時系列で記憶させる生体情報取得部とを有し、前記分析装置は、前記生体情報取得部により取得された前記生体情報を取得して分析することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、観察者に装着される眼鏡は、当該観察者の生体情報を取得して時系列で記憶させる生体情報取得部を有し、分析装置は、生体情報取得部により取得された当該生体情報を取得して分析する。これによれば、時系列で記憶される生体情報と、コンテンツの経過(シーンの変化)とを比較することで、視差画像を含むコンテンツの良好な3D効果及び3D酔いの臨床的裏付けを取得できる。例えば、生体情報に基づいて、沈静状態から興奮状態に生体情報が変化した際のシーンを分析したり、或いは、その逆のシーンを分析等することにより、どのようなシーンが3D効果が高いと判断されるか、3D酔いの原因となり得るかを評価できる。従って、良好なコンテンツ作成を補助できる。
【0009】
本発明では、前記眼鏡は、現在時刻を計時する計時部と、前記生体情報取得部により取得された前記生体情報、及び、当該生体情報を取得した時刻を関連付けて記憶する眼鏡側記憶部と、を有することが好ましい。
本発明によれば、計時部により計時される現在時刻と、生体情報取得部により取得された生体情報とが関連付けて眼鏡側記憶部に記憶される。これによれば、生体情報の取得時(検出時)の時刻を取得できるので、当該生体情報を確実に時系列で記憶することができる。従って、コンテンツの再生開始時刻と対比することで、コンテンツの経過と生体情報の変化との対応を取りやすくすることができ、当該生体情報に変化があったコンテンツのシーンを適切に取得及び分析できる。
【0010】
本発明では、前記眼鏡は、前記観察者に音声を出力する音声出力部を有し、前記眼鏡側記憶部は、前記生体情報と、前記時刻及び前記音声出力部による音声出力の有無についての情報とを関連付けて記憶することが好ましい。
このような音声出力部は、眼鏡の大型化を抑制するために、骨伝導で聴取可能に音声を出力するエキサイター等を備える構成が好ましい。
ここで、コンテンツの臨場感は音響効果により大きく変化する。このため、音声出力部による音声出力の有無についての情報と、生体情報とを関連付けて記憶することにより、生体情報の変化の要因をより適切に把握できる。
【0011】
本発明では、前記分析装置は、取得された前記生体情報のピーク時を取得するピーク取得部と、取得されたピーク時の前後の波形のうち少なくともいずれかを取得する波形取得部と、を有することが好ましい。
なお、波形取得部により取得されるピーク時前後の波形は、予め設定した時間内の波形でもよい。
本発明によれば、波形取得部により、ピーク時前後の生体情報の波形が取得されるので、当該波形を分析することで、生体情報の変化をより適切に把握できる。従って、コンテンツの3D効果及び当該コンテンツによる3D酔いを臨床的に分析できる。
【0012】
本発明では、前記分析装置は、前記眼鏡を装着した前記観察者についての観察者情報と、当該眼鏡により取得された前記生体情報とを関連付けて記憶する第1記憶部を有することが好ましい。
なお、観察者情報としては、観察者の年齢や性別の他、映画館等における当該観察者の座席位置を例示できる
ここで、コンテンツの3D効果や当該コンテンツによる3D酔いの程度は、観察者の年齢、性別及び座席位置等により変化する。
このため、観察者の生体情報と、当該観察者についての観察者情報とを関連付けて記憶する第1記憶部の記憶内容を分析することにより、コンテンツの3D効果及び当該コンテンツによる3D酔いの程度を、より適切に評価できる。
【0013】
本発明では、前記分析装置は、前記生体情報と、前記コンテンツについてのコンテンツ情報とを関連付けて記憶する第2記憶部を有することが好ましい。
なお、コンテンツ情報としては、コンテンツの名称等を例示できる。
本発明によれば、第2記憶部が、コンテンツ情報と生体情報とを関連付けて記憶するので、コンテンツごとに生体情報を管理できる他、時系列で記憶される生体情報とコンテンツの経過との対応を取りやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンテンツ鑑賞システムを示す模式図。
【図2】前記実施形態におけるコンテンツ鑑賞システムの構成を示すブロック図。
【図3】前記実施形態における眼鏡を示す概要斜視図。
【図4】前記実施形態における分析処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るコンテンツ鑑賞システム1の利用状況を示す模式図である。また、図2は、コンテンツ鑑賞システム1の構成を示すブロック図である。
本実施形態に係るコンテンツ鑑賞システム1は、図1に示すように、映画館等の多人数がコンテンツを鑑賞する場で用いられ、右目用画像及び左目用画像を有する視差画像を含むコンテンツを再生するとともに、当該コンテンツを鑑賞する鑑賞者Vr(観察者)の生体情報を取得及び分析するシステムである。
このコンテンツ鑑賞システム1は、図2に示すように、コンテンツを再生する再生装置2と、当該コンテンツに含まれる視差画像を表示する表示装置3と、当該コンテンツに含まれる音声を出力する音声出力装置4と、それぞれの鑑賞者Vrに装着される視差画像観察用の眼鏡5と、当該眼鏡5から生体情報を取得して分析する分析装置6とを備える。
これらのうち、眼鏡5及び分析装置6により、本発明の生体情報分析システムが構成される。
【0016】
再生装置2は、記録媒体等に記録されたコンテンツを再生する。この再生装置2は、表示装置3及び音声出力装置4に、当該コンテンツに含まれる画像信号及び音声信号を出力する。
表示装置3は、入力される画像信号に応じた画像を表示するものであり、本実施形態では、スクリーンSC(図1参照)上に当該画像を投影するプロジェクターとして構成されている。この表示装置3は、当該画像信号に応じた右目用画像及び左目用画像をそれぞれ交互に投射する。また、表示装置3は、右目用画像及び左目用画像のいずれかの表示タイミングで同期信号を出力する。なお、表示装置3は、プロジェクターに限らず、ディスプレイとして構成してもよい。
音声出力装置4は、複数のスピーカーを備え、再生装置2から入力される音声信号に応じた音声を出力する。また、音声出力装置4は、鑑賞者の椅子St(図1参照)にそれぞれ設けられる重低音用のスピーカー(図示省略)を有し、当該スピーカーから重低音を出力して、コンテンツの臨場感を向上させている。
【0017】
〔眼鏡の構成〕
図3は、眼鏡5を示す概要斜視図である。
眼鏡5は、表示された右目用画像を鑑賞者の右目に、左目用画像を鑑賞者の左目にそれぞれ入射させて、当該右目用画像及び左目用画像を右目及び左目によりそれぞれ個別に視認させるものである。この眼鏡5は、図2及び図3に示すように、フレーム51(図2及び図3)と、電源部52(図2)と、受信部53(図2)と、右目及び左目に応じた位置にそれぞれ設けられる右目用透過部54及び左目用透過部55(図2及び図3)と、音声出力部56(図2)と、検出部57(図2及び図3)と、制御部58(図2)とを有する。
【0018】
電源部52は、一次電池又は二次電池により構成されている。
受信部53は、表示装置3から同期信号を受信して、制御部58に出力する。
右目用透過部54及び左目用透過部55は、それぞれ、制御部58による制御の下、入射される光を透過する透過状態と、当該光を遮蔽する遮蔽状態とに切り替わる液晶シャッターにより構成されている。これらのうち、右目用透過部54は、右目用画像の表示タイミングで透過状態となり、左目用画像の表示タイミングで遮蔽状態となる。また、左目用透過部55は、右目用画像の表示タイミングで遮蔽状態となり、左目用画像の表示タイミングで透過状態となる。これにより、右目用画像及び左目用画像が、右目及び左目にそれぞれ個別に入射される。
【0019】
音声出力部56は、制御部58から入力される音声信号に応じた音声を出力する。この音声出力部56は、骨伝導により音声を出力するエキサイターを有する。
検出部57は、眼鏡5を装着した鑑賞者の生体情報を検出するセンサーであり、フレーム51に複数設けられている。この検出部57は、例えば、鑑賞者の体温、脈拍、発汗及び血流を検出し、検出結果を制御部58に出力する。
【0020】
制御部58は、電源部52から供給される電力により動作する制御回路及びメモリーを有する。この制御部58は、当該メモリーにより構成される記憶部581の他、制御回路の機能部としての計時部582、動作制御部583及び生体情報取得部584を有する。
記憶部581は、制御部58の動作に必要な各種プログラム及びデータを記憶している不揮発性メモリーである。この記憶部581は、検出部57により検出された各種生体情報を時系列で記憶し、また、音声出力部56による音声出力の有無を時系列で記憶する。
【0021】
計時部582は、現在時刻を計時する。
動作制御部583は、眼鏡5全体の動作を制御する。例えば、動作制御部583は、受信された同期信号に基づいて、右目用透過部54及び左目用透過部55の透過状態及び遮蔽状態を切り替える。また、動作制御部583は、検出部57に各種生体情報を検出させる。更に、動作制御部583は、再生装置2から入力される音声情報に応じた音声信号を音声出力部56に出力するとともに、計時部582により計時される時刻と関連付けて、音声出力の有無を示す情報を記憶部581に時系列で記憶させる。
【0022】
生体情報取得部584は、検出部57により検出された各種生体情報を取得して、記憶部581に記憶させる。この際、生体情報取得部584は、各種生体情報と、当該生体情報が検出された時刻(計時部582により計時されている時刻)とを関連付けて記憶させる。すなわち、生体情報取得部584は、各種生体情報を時系列で記憶させる。
【0023】
〔分析装置の構成〕
分析装置6は、それぞれの眼鏡5から鑑賞者の生体情報を取得し、当該生体情報を分析する。この分析装置6は、図2に示すように、記憶部61、入力部62、情報取得部63、ピーク取得部64及び波形取得部65を有する。
記憶部61は、不揮発性メモリーにより構成され、分析装置6の動作に必要な各種プログラム及びデータを記憶している。また、記憶部61は、本発明の第1記憶部及び第2記憶部に相当し、それぞれの眼鏡5から取得される情報(生体情報、及び、音声出力の有無についての情報)の他、コンテンツ情報、鑑賞者情報(観察者情報)及び音響情報等を記憶する。
【0024】
入力部62は、キーボード及びポインティングデバイス等により構成され、使用者により操作される。この入力部62を用いて、使用者は、再生されたコンテンツの名称等のコンテンツ情報や、各眼鏡5が装着される鑑賞者の性別、年齢及び座席位置等の鑑賞者情報、更には、音声出力装置4による重低音出力についての音響情報を入力する。
【0025】
情報取得部63は、入力部62を用いて入力されたコンテンツ情報、鑑賞者情報及び重低音情報を記憶部61に記憶させる。この他、情報取得部63は、眼鏡5から当該眼鏡5が装着された鑑賞者の各種生体情報を取得し、当該各種生体情報を記憶部61に記憶させる。この際、情報取得部63は、それぞれ対応するコンテンツ情報及び鑑賞者情報が記憶部61に記憶されている場合には、これらコンテンツ情報及び鑑賞者情報に関連付けて、各種生体情報を記憶させる。この鑑賞者情報と生体情報との関連付けは、眼鏡5に設定された番号等の固有情報に基づいて行われる。
【0026】
ピーク取得部64は、取得されたそれぞれの生体情報のピーク値、及び、当該ピーク値が記録された時刻(個別ピーク時刻)を、鑑賞者ごとに取得する。また、ピーク取得部64は、各鑑賞者の生体情報のそれぞれに共通してピーク値を記録した時刻(共通ピーク時刻)を取得する。そして、ピーク取得部64は、ピーク値及び個別ピーク時刻を、前述の鑑賞者情報に関連付けて記憶させるとともに、共通ピーク時刻を記憶部61に記憶させる。なお、ピーク取得部64が取得するピーク値には、生体情報において最も高いピーク値と最も低いピーク値とが含まれる。
【0027】
波形取得部65は、ピーク取得部64により取得されたピーク値を記録した時刻前後の生体情報の波形を、鑑賞者ごとに取得する。例えば、波形取得部65は、個別ピーク時刻の前後5分間の生体情報の波形を取得する。そして、波形取得部65は、取得された生体情報の波形を、記憶部61に記憶させる。
【0028】
〔分析処理〕
図4は、眼鏡5及び分析装置6により実行される分析処理を示すフローチャートである。
眼鏡5及び分析装置6は、以下に示す生体情報の分析処理を実行する。
この分析処理では、図4に示すように、まず、コンテンツの再生時に、眼鏡5の動作制御部583が、検出部57に鑑賞者の各種生体情報を検出させる(ステップSA1)。このようにして検出された各種生体情報は、生体情報取得部584により取得され、当該生体情報取得部584が、生体情報の検出時刻とともに記憶部581に記憶させる(ステップSA2)。また、この際、動作制御部583が、音声出力の有無を時系列で記憶部581に記憶させる。
【0029】
一方、分析装置6では、情報取得部63が、入力部62を用いて入力されたコンテンツ情報、各鑑賞者情報及び音響情報を取得して、これらを記憶部61に記憶させる(ステップSB1,SB2)。
そして、コンテンツの再生及び鑑賞が終了し、鑑賞者の生体情報が記憶された眼鏡5がそれぞれ回収されると、情報取得部63が、当該各眼鏡5から生体情報を取得して、当該生体情報を、コンテンツ情報及び鑑賞者情報に関連付けて記憶部61に記憶させる(ステップSB3)。
【0030】
次に、ピーク取得部64が、それぞれの生体情報のピーク値及び個別ピーク時刻を鑑賞者ごとに取得し、当該ピーク値及び個別ピーク時刻を記憶部61に記憶させる(ステップSB4,SB5)。更に、ピーク取得部64が、各個別ピーク時刻に基づいて、共通ピーク時刻を取得し、当該共通ピーク時刻を記憶部61に記憶させる(ステップSB6)。
この後、波形取得部65が、各鑑賞者の個別ピーク時刻前後の生体情報の波形を、当該生体情報ごとに取得し、記憶部61に記憶させる(ステップSB7)。
以上により、分析処理が終了する。
【0031】
以上のように、眼鏡5の記憶部581には、当該眼鏡を装着した鑑賞者の各種生体情報、及び、音声出力の有無を示す情報が時系列で記憶され、分析装置6の記憶部61には、これら各情報の他、再生されたコンテンツについてのコンテンツ情報の他、音響情報、及び、鑑賞者についての鑑賞者情報が記憶される。また、当該記憶部61には、当該各種生体情報のピーク値、及び、ピーク時刻(個別ピーク時刻及び共通ピーク時刻)が記憶され、更に、個別ピーク時刻前後の生体情報の波形がそれぞれ記憶される。このような情報を用い、例えば、生体情報が変化するシーンを当該変化が生じた時刻に基づいて抽出することで、3D酔いを生じやすいシーンや、肯定的な反応が示される3D効果を有するシーンの傾向を取得できる他、3D効果及び3D酔いの臨床的裏付けを取得できる。従って、良好なコンテンツ作成の一助とすることができる。
【0032】
以上説明した本実施形態に係るコンテンツ鑑賞システム1によれば、以下の効果を奏することができる。
すなわち、鑑賞者Vrに装着される眼鏡5の生体情報取得部584は、当該鑑賞者Vrの生体情報を取得し、当該生体情報を記憶部581に時系列で記憶させる。また、分析装置6は、当該生体情報を眼鏡5から取得して記憶部61に記憶し、当該生体情報を分析する。これによれば、時系列で記憶される生体情報と、コンテンツの経過(シーンの変化)とを比較することで、視差画像を含むコンテンツの良好な3D効果及び3D酔いの臨床的裏付けを取得できる。そして、例えば、当該生体情報に基づいて、沈静状態から興奮状態に生体情報が変化した際のシーンを更に分析したり、或いは、その逆のシーンを更に分析等することにより、どのようなシーンが3D効果が高いと判断されるか、3D酔いの原因となり得るかを評価できる。従って、良好なコンテンツ作成を補助できる。
【0033】
計時部582により計時される現在時刻と、生体情報取得部584により取得された生体情報とは、互いに関連付けて記憶部581に記憶される。これによれば、生体情報の取得時刻(検出時刻)を取得できるので、当該生体情報を確実に時系列で記憶することができる。従って、コンテンツの再生開始時刻と対比することで、コンテンツの経過と生体情報の変化との対応を取りやすくすることができ、当該生体情報に変化があったコンテンツのシーンを適切に取得及び分析できる。
【0034】
ここで、コンテンツの臨場感は音響効果により大きく変化する。このため、音声出力部56による音声出力の有無についての情報と、検出部57により検出された生体情報とを関連付けて記憶部581が記憶し、更には、音響情報が記憶部61に記憶されることにより、これらの情報に基づいて、生体情報の変化の要因をより適切に把握できる。
【0035】
ピーク取得部64が、各生体情報のピーク値及びピーク時刻を鑑賞者ごとに取得し、波形取得部65が、ピーク時刻前後の生体情報の波形を取得する。これによれば、当該波形を分析することで、生体情報の変化をより適切に把握できる。従って、コンテンツの3D効果及び当該コンテンツによる3D酔いを臨床的に分析できる。
【0036】
ここで、コンテンツの3D効果や当該コンテンツによる3D酔いの程度は、鑑賞者の年齢、性別及び座席位置等により変化する。これに対し、記憶部61は、鑑賞者の生体情報と、当該鑑賞者についての鑑賞者情報とを関連付けて記憶する。このため、当該記憶部61の記憶内容を分析することにより、コンテンツの3D効果及び当該コンテンツによる3D酔いの程度を、より適切に評価できる。
また、記憶部61は、コンテンツ情報と生体情報とを関連付けて記憶するので、コンテンツごとに生体情報を管理できる他、時系列で記憶される生体情報とコンテンツの経過との対応を取りやすくすることができる。
【0037】
〔実施形態の変形〕
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、眼鏡5は、それぞれ液晶シャッターにより構成された右目用透過部54及び左目用透過部55を有するとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、当該右目用透過部54及び左目用透過部55に代えて、所定の偏光方向を有する偏光光を透過し、他の偏光方向を有する偏光光を遮蔽する偏光板を有する右目用透過部及び左目用透過部の構成を採用してもよい。例えば、p偏光及びs偏光のうち一方の直線偏光で右目用画像を形成し、他方の直線偏光で左目用画像を形成する場合には、右目用透過部は、当該一方の直線偏光を透過し、他方の直線偏光を遮蔽する偏光板を有し、左目用透過部は、当該一方の直線偏光を遮蔽し、他方の直線偏光を透過する偏光板を有するように構成すればよい。右目用画像及び左目用画像がそれぞれ異なる回転方向を有する円偏光により形成される場合も同様に、右目用透過部及び左目用透過部が、対応する回転方向を有する円偏光を透過し、他の回転方向を有する円偏光を遮蔽する偏光板を有する構成とすればよい。
【0038】
前記実施形態では、分析装置6は、コンテンツの再生終了後(鑑賞終了後)に回収された眼鏡5から時系列で記憶された生体情報を取得するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、コンテンツの再生中に、分析装置6が眼鏡5と通信して、当該眼鏡5から生体情報を取得する構成としてもよい。
【0039】
前記実施形態では、鑑賞者(観察者)の生体情報として、体温、脈拍、発汗及び血流を挙げたが、本発明はこれに限らない。例えば、これらのうちのいずれかを生体情報として取得する構成でもよい。また、他の情報を生体情報として取得する構成としてもよい。例えば、心拍、心電図、筋電、呼吸、皮膚電気反射(GSR:Galvanic Skin Reflex)、血圧、血中酸素飽和濃度、皮膚表面温度、脳波、並びに、体(頭及び目等)の動き等を取得する構成としてもよい。
【0040】
前記実施形態では、計時部582は、現在時刻を計時するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、受信部53による信号の受信(例えば、同期信号の受信)に応じて計時を開始する構成としてもよい。このような構成でも、視差画像を含むコンテンツの再生開始とともに、検出された生体情報と、当該再生開始後の経過時間とを関連付けて記憶させることができる。
【0041】
前記実施形態では、眼鏡5は、骨伝導により音声を出力する音声出力部56を有するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、音声出力は骨伝導に限定されるものではない。また、音声出力部56は無くてもよい。
前記実施形態では、分析装置6は、取得された生体情報のピーク値、個別ピーク時刻及び共通ピーク時刻を取得するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、他の方法により、生体情報を分析する構成でもよい。また、分析装置は、ピーク時前後の波形の他に、当該ピーク時前後のコンテンツのシーンを記憶する構成としてもよい。
【0042】
前記実施形態では、分析装置6は、コンテンツ情報として、コンテンツの名称を記憶する構成としたが、本発明はこれに限らない。例えば、コンテンツのジャンル等の情報も記憶する構成としてもよい。すなわち、コンテンツを分類可能であれば、他の情報でもよく、また、分析装置6がコンテンツ情報を必ずしも記憶する構成でなくてもよい。
【0043】
前記実施形態では、眼鏡5と分析装置6とは、それぞれ分離した構成として挙げたが、本発明はこれに限らない。すなわち、眼鏡5が、ピーク値、個別ピーク時刻、共通ピーク時刻及び生体情報の波形等の各種情報を取得及び記録する構成としてもよい。この際、眼鏡5は、生体情報を取得しつつリアルタイムで当該各種情報を取得及び記録してもよく、また、記憶された生体情報に基づいて、当該各種情報を取得及び記録する構成としてもよい。更に、これら情報の全てを取得及び記録する構成に限らず、いずれか1つでもよく、他の情報を取得及び記録する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、視差画像を含むコンテンツの3D効果及び3D酔いの定量的な臨床的裏付けを得るシステムとして利用でき、映画館等のコンテンツ観察環境で好適に利用できる。
【符号の説明】
【0045】
1…コンテンツ鑑賞システム(生体情報分析システム)、5…眼鏡、6…分析装置、
54…右目用透過部、55…左目用透過部、56…音声出力部、61…記憶部(第1記憶部、第2記憶部)、62…入力部、64…ピーク取得部、65…波形取得部、581…記憶部(眼鏡側記憶部)、582…計時部、584…生体情報取得部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツに含まれる視差画像である右目用画像及び左目用画像を観察する観察者に装着される眼鏡と、
前記眼鏡から取得される情報を分析する分析装置とを備え、
前記眼鏡は、
表示された前記右目用画像及び前記左目用画像を、観察者の右目及び左目にそれぞれ個別に透過させる右目用透過部及び左目用透過部と、
前記観察者の生体情報を取得して時系列で記憶させる生体情報取得部とを有し、
前記分析装置は、前記生体情報取得部により取得された前記生体情報を取得して分析する
ことを特徴とする生体情報分析システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生体情報分析システムにおいて、
前記眼鏡は、
現在時刻を計時する計時部と、
前記生体情報取得部により取得された前記生体情報、及び、当該生体情報を取得した時刻を関連付けて記憶する眼鏡側記憶部と、を有する
ことを特徴とする生体情報分析システム。
【請求項3】
請求項2に記載の生体情報分析システムにおいて、
前記眼鏡は、前記観察者に音声を出力する音声出力部を有し、
前記眼鏡側記憶部は、前記生体情報と、前記時刻及び前記音声出力部による音声出力の有無についての情報とを関連付けて記憶する
ことを特徴とする生体情報分析システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の生体情報分析システムにおいて、
前記分析装置は、
取得された前記生体情報のピーク時を取得するピーク取得部と、
取得されたピーク時の前後の波形のうち少なくともいずれかを取得する波形取得部と、を有する
ことを特徴とする生体情報分析システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の生体情報分析システムにおいて、
前記分析装置は、前記眼鏡を装着した前記観察者についての観察者情報と、当該眼鏡により取得された前記生体情報とを関連付けて記憶する第1記憶部を有する
ことを特徴とする生体情報分析システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の生体情報分析システムにおいて、
前記分析装置は、前記生体情報と、前記コンテンツについてのコンテンツ情報とを関連付けて記憶する第2記憶部を有する
ことを特徴とする生体情報分析システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−235952(P2012−235952A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107938(P2011−107938)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】