説明

生体情報収集器

【課題】日常生活に全く支障をきたすことなく長時間の生体情報を得ることができる。
【解決手段】身体に着脱可能に接着される接着フィルム1と、生体情報を収集するセンサ44,45,46と、信号処理回路を構成するマイクロプロセッサ41およびローカルメモリ42を設けたICモジュールと、近距離通信用アンテナを兼ねるコイン型充電池3とを積層してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体情報収集器に関し、特に、身体表面に簡易に接着して生体情報を収集する生体情報収集器に関する。
【背景技術】
【0002】
身体に24時間以上の長時間装着して生体情報の一種である心臓からの電気情報を得るものとしてホルター心電計がある。これは、身体の前胸部に複数の電極を絆創膏等で貼り付け、各電極から延びるコードを腰に装着した記録計に接続して心電図を得るものである。
【0003】
また、特許文献1には、密閉空気式音センサーをベルトで身体に装着し、上記音センサーの空気袋中の空気圧を圧力センサーで検出して、生体の呼吸や心拍数(心拍周期)等の生体情報を計測する生体情報収集器が開示されている。圧力センサの電気信号は、リード線を経て上記ベルトに設けた無線通信機に出力され、外部の情報処理装置に送信される。
【特許文献1】特開2001−286448
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ホルター心電計や上記従来の生体情報収集器では、コードやリード線で接続された比較的大型の機器を身体に装着する必要があるため、長時間の装着は日常生活に支障をきたすという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、日常生活に全く支障をきたすことなく長時間の生体情報を得ることができる生体情報収集器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本第1発明では、身体に着脱可能に接着される接着層(1)と、生体情報を収集するセンサ(44,45,46)、信号処理回路(41,42)、近距離通信用アンテナ(3)を少なくとも設けたIC基板(2)と、電池ないし充電池(3)とを積層してなる。
【0007】
本第1発明においては、電池等としてコイン型のものを使用できるから、生体情報収集器全体をコインと同程度の大きさとすることができる。これにより、入院患者や高齢施設の入所者、独居高齢者、工場作業者等の被監視者の身体表面の任意箇所に接着層によって簡易に接着して、日常生活に全く支障をきたすことなく長時間の生体情報を収集することができる。したがって、被監視者の身体の様子をリアルタイムで監視することができるとともに、収集された生体情報より被監視者の疾患の有無等を判定することができる。
【0008】
本第2発明では、前記センサは、マイクアレイを構成する複数のマイクチップ(46)、体温センサチップ(44)、加速度センサチップ(45)の少なくとも一つである。
【0009】
本第3発明では、前記電池ないし充電池(3)の電極を前記近距離通信用アンテナとして使用する。
【0010】
なお、上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の生体情報収集チップによれば、日常生活に全く支障をきたすことなく長時間の生体情報を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1には生体情報収集器の分解斜視図を示す。生体情報収集器Eは例えば直径20mm、厚み3mm程度の円板状をしており、接着層たる円形の接着フィルム1、IC基板たる円形のICモジュール2、および円形のコイン型充電池3を、この順に積層して構成されている。接着フィルム1は裏面側がICモジュール2の表面側に接着固定され、一方、接着フィルム1の表面側は被監視者の身体表面に離脱可能に接着できるようになっている。充電池3はICモジュール2の裏面側に接着固定されている。
【0013】
ICモジュール2の絶縁基板21上には図2に示すように、信号処理回路を構成するマイクロプロセッサ41とローカルメモリ42の各ICチップが搭載されるとともに、ブルートゥース通信用の微弱無線モジュール43、体温センサチップ44、加速度センサチップ45、さらに板面上の4ヶ所にはマイクアレイを構成するシリコンマイクチップ46が設置されている。
【0014】
マイクロプロセッサ41はアナログポート付きのもので、図3に示すように、CPU411,ROMとRAMよりなるメモリ412,センサインターフェース(IF)413,通信IF414を備え、さらにA/Dコンバータ415を内蔵している。A/Dコンバータ415には体温センサ44、複数のシリコンマイクチップ46、加速度センサ45が接続されている。また、通信IF414には微弱無線モジュール43が接続されており、当該モジュール43は、アンテナを兼用させた充電池3の電極に導通接続されている。
【0015】
マイクロプロセッサ41はメモリ412を構成するROMに記憶されたプログラムによって作動させられ、体温センサ44で得られる被監視者の体温データを経時的に収集するとともに、加速度センサ45で得られる加速度データに基づいて被監視者の身体の消費エネルギーを算出し、あるいは上記加速度データを積分して、身体の移動速度や移動位置を算出する。さらに、マイクロプロセッサ41は、マイクアレイを構成する各シリコンマイクチップ46で得られた音声データより所望の臓器方向の音源を特定し、音声データを図4に示すような心音や呼吸音、その他の生体音に分離する。
【0016】
すなわち、4つのシリコンマイクチップ46で採取された生体音は逐次アナログ−デジタル(AD)変換されて音声データとされ、ノイズを除去された後、波形分離される。この場合のAD変換はマイクロプロセッサ41内のA/Dコンバータ415(図3)で行われ、ノイズ除去、および波形分離はソフト的に行われる。この波形分離は周波数分解やパターンマッチング等によって行われ、この結果、心音や呼吸音、その他の生体音が個別に得られる。
【0017】
測定された体温、算出された身体の消費エネルギー、身体の移動速度や移動位置、心音、呼吸音、その他の生体音の各データは、通信IF414から微弱無線モジュール43、およびアンテナとして機能する充電池3の電極を経て、病院等の施設内ではブルートゥースルータを介してナースステーション等の集中管理室へ送られる。なお、施設外ではブルートゥース対応の携帯電話等から公衆回線を介して集中管理室へ送られる。集中管理室では上記各データより、被監視者の身体の様子をリアルタイムで把握することができるとともに、蓄積される上記各データより、被監視者の疾患を探ることができる。
【0018】
上記実施形態において、体温センサ44や加速度センサ45、マイクチップ46は一例であり、これらセンサを省いて、あるいはこれらセンサに加えて他の生体情報収集用センサを設けることができる。また、充電池3に代えて電池を使用しても良い。さらに、充電池3等の電極をアンテナと兼用させるのに代えて、ICモジュール2の絶縁基板21上にマイクロストリップアンテナ等を形成するようにしても良い。また、ブルートゥースに限らず、他の短距離無線通信を使用しても良い。
【0019】
このように本実施形態で示した生体情報収集器によれば、被監視者の身体表面の任意箇所にコードやリード線が不要なコイン程度の小型のものを簡易に接着して、日常生活に全く支障をきたすことなく長時間の生体情報を収集することができる。これにより、入院患者や高齢施設の入所者、独居高齢者、工場作業者等の被監視者の、身体の様子をリアルタイムで監視できるとともに、収集された生体情報より被監視者の疾患の有無を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態を示す、生体情報収集器の分解斜視図である。
【図2】ICモジュールの平面図である。
【図3】マイクロプロセッサのブロック構成図である。
【図4】音声データの処理手順を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0021】
1…接着フィルム(接着層)、2…ICモジュール(IC基板)、3…充電池(近距離通信用アンテナ)、41…マイクロプロセッサ(信号処理回路)、42…ローカルメモリ(信号処理回路)、44…体温センサチップ、45…加速度センサチップ、46…シリコンマイクチップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体に着脱可能に接着される接着層と、生体情報を収集するセンサ、信号処理回路、近距離通信用アンテナを少なくとも設けたIC基板と、電池ないし充電池とを積層してなる生体情報収集器。
【請求項2】
前記センサは、マイクアレイを構成する複数のマイクチップ、体温センサチップ、加速度センサチップの少なくとも一つである請求項1に記載の生体情報収集器。
【請求項3】
前記電池ないし充電池の電極を前記近距離通信用アンテナとして使用した請求項1又は2に記載の生体情報収集器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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