説明

生体接着性ジェルを提供する迅速に分散し得る膣錠剤

膣用医薬、例えば、殺菌剤、例えば、セルロースアセテート1,2−ベンゼンジカルボキシレート(CAP)0.01〜500mg、マンニトール粉末100〜500mg、不活性微結晶性セルロース50〜300mg、ヒドロキシプロピルメチルセルロース10〜80mg、グリセロール50〜250mg、および微生物汚染を防御し、膣内における酵母の増殖を抑制する少なくとも1種の保存剤2〜4mgを場合によって含む、膣内へ挿入するための錠剤。膣用医薬としてCAPを含む錠剤は、性交前に、HIV−1、HIV−2、ヘルペスウイルス、またはNeisseria gonorrhoeae、Chlamydia trachomatis、Trichomonas vaginalis、Haemophilus ducreyiおよびTreponema pallidumが原因の感染症の性行為感染を予防するための方法で経膣投与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、米国特許法119(e)の下、2007年5月24日に出願された米国仮出願第60/931,548号(この全体の内容は、参考として本明細書に援用される)に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
政府の権利
本発明は、米国国立衛生研究所の助成金第U19HD048957号およびU19AI076964号によって合衆国政府の援助を受けた。合衆国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、膣内に通常存在する限定された量の液体で迅速に崩壊し、迅速に生体接着性ジェルを形成する膣内に挿入するための錠剤を対象とする。より詳細には、本発明は、セルロースアセテート1,2−ベンゼンジカルボキシレート(「CAP」)を殺菌剤として含有する、膣内に挿入するための錠剤に関する。
【背景技術】
【0004】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1)の大流行は、主にウイルスの性行為感染によって起こり、その他の性行為感染症(「STD」)病原体による既往によって促進された。細菌由来のSTDは、世界中で非常に一般的な疾患原因であり、健康上、社会的および経済的に重大な結果を引き起こす。長期にわたる重大な合併症および結果を招き得る。4つの主要な根治的STD、梅毒、淋病、クラミジアおよびトリコモナス症の世界における年間推定発症数は約3億3千万件である。Haemophilus ducreyiが原因の別の治療可能なSTD、軟性下疳は、アフリカ、アジアおよびラテンアメリカの開発途上国でよく見られ、梅毒の発生数を上回っている。報告された研究によると、米国人口の少なくとも20%が主に性行為によって感染するヘルペスウイルス2型(HSV−2)に感染している。HSV−2の有病率は発展途上国ではさらに高い。最近の統計に基づくと、米国では毎年約1500万人がSTDに罹患すると予測され、米国におけるSTDの発症数は先進国中では最も高くなっている。近年、米国では少なくとも6600万人(15歳から65歳の大人の3人に1人を上回る)が少なくとも1種のSTDと共存している。
【0005】
今までに約6000万人が感染し、約2000万人が死亡することとなったHIV−1/AIDSの流行によって、STDの早急な伝染予防が必要であることが明白になった。AIDSは今や世界中において比類ない主要な致命的感染疾患である。ウイルスおよび非ウイルスSTDがHIV−1感染を助長するという所見は、HIV−1およびその他のSTDの伝染に対する予防的取組みが緊急に必要であることを強調する。このような取組みには、化学的な防御方法(例えば、局所的殺菌剤)の使用が含まれる。
【0006】
異性性交によるHIVの伝染は、特に女性を脅かす重大な問題である。HIV感染の約90%が異性性交によって生じると推定される。
【0007】
コンドームの利用は、性交中のHIV、ヘルペスウイルスおよびその他のSTD感染の伝染に対して十分な程度の防御をもたらすが、コンドームを使用しないと問題が生じる。さらに、コンドームの使用は、多くの国々で文化的および社会的に許容されない習慣であると思われる。
【0008】
男性は、コンドームを使用すればHIV、ヘルペスウイルスおよびその他のSTDの性行為感染から自分自身および相手を防御することができる。女性にとって、コンドームの使用を男性の性交相手を説得できないことが非常に多い。女性用コンドームはようやく利用されるようになってきたが、高価であり、使用される頻度も少ない。
【0009】
女性が一夫一婦の性的関係を維持したとしても、安全である保証はなく、その理由は、女性の男性相手が感染すればウイルスを女性に移すことは可能で、その逆もあり得るからである。女性が感染すればするほど、HIV−1の子孫への伝染が起こる可能性がある。
【0010】
STDを予防または治療するために、殺菌剤を含む膣用医薬を送達するためのジェルの代用として、膣内に指または適切なアプリケーターを使用して挿入することができる固形投与製剤(錠剤、ペッサリーまたは坐剤)を開発することが望まれてきた。既存の症状、例えば、膣鵞口瘡(酵母感染、カンジダ症)の治療のための膣用ペッサリーでは、医薬をゆっくり時間をかけて放出させることが可能である。しかし、殺菌錠剤が性交中のHIVおよびその他のSTD病原体の伝染の防御に有効になるには、錠剤は最小量の膣液の存在下で迅速に崩壊しなくてはならない。錠剤はまた、滑らかで、ざらつき感のない生体接着性のジェルを迅速に形成するべきで、このジェルは体液、すなわち、女性自身の分泌物または男性の精液と容易に混和しなくてはならない。また、ジェルはアルカリ性の精液が進入した後であっても膣内部を酸性pHに維持できることが望ましい。これは膣の酸性はHIVにとって快適ではなく、HIVを含む病原生物によるコロニー形成に抵抗する膣の能力に寄与するためである。
【0011】
したがって、膣への挿入に適した錠剤などの固形投与製剤は、前記の不可欠な要件を満たす特定の成分を含有するべきである。このような固形投与製剤によって形成されるジェルは、好ましくは(膣上皮を被覆し、ジェルが膣から漏出するのを防ぐために)所望する生体接着性を有し、(粘性、潤滑性およびざらつき感の欠如を含む)望ましい触「感」を備え、生体液に混和可能で、時間が経っても安定で、必要な生物学的活性を有するべきである。
【0012】
迅速に分散できる経口錠剤は周知で、広く使用されている。経口錠剤と膣用錠剤の間で共通の特性は迅速な分散性であり、共通の成分が必要であることを示している。前述のように、膣用錠剤は、以下のような他の特性を有さなくてはならない。
【0013】
(1)(利用性および成分の選択に重大な制約となる)ざらつき感がないこと、
(2)生体接着性(これらの特性は容易に嚥下されるべきであり、舌、喉などに付着するべきではない経口錠剤には望ましくない)、
(3)膣内滞留を支持するが、生体液との混和を可能にする適切な粘性/流動性、および
(4)安全性に関する増大する要件。
【0014】
局所殺菌剤を実用化するために最も速い方法は、その他の用途に既に承認されている薬物または医薬成分を適用することであろう。このような殺菌剤は、(a)好ましくは局所的適用後全身に広がらず、(b)安価で、(c)広く入手可能な原料から製造され、(d)いくつかのSTDの伝染の防御をもたらす広い特異性を有し、(e)よく確立され、立証された安全性の記録があり、かつ(f)「殺菌剤」という言葉にあるように、個々のSTD病原体の感染性を不活性化するべきである。CAPはこれらの規準を満たす。
【0015】
CAPは、「酢酸フタル酸セルロース」の省略名(現在、より正確にはセルロースアセテート1,2−ベンゼンジカルボキシレートと呼ばれる)である。CAPは安価で、容易に大量に入手可能で(経口錠剤用の広く使用されるコーティングとして製造される)、ヒトにおけるCAPの経口使用およびイヌにおける1年間にわたるCAPの大量の1日用量の経口適用から確立された十分立証された安全性の記録を有する。未希釈CAP製剤の安全性は、in vitroおよびex vivoアッセイにおいて立証された。さらに、膣に適用された未希釈CAP製剤の安全性は、3つのモデル系、(1)FAD承認の条件に従って実施されたウサギ膣刺激試験、(2)ブタオザルにおける詳細で正式な安全性試験、および(3)マカクにおける有効性評価の一部で示された。
【0016】
今日までの研究を考慮すると、当分野の専門家は、CAPが潜在的に安全で、殺菌剤として有効である(ただし、有効性は第III相ヒト有効性試験において示される)ことを容易に認める。
【0017】
CAPの可溶性で微粒子化した形態の安全性は、出版された文献ならびにCAPおよびCAPの微粒子化形態(Aquateric(登録商標))の製造者による安全性データそれぞれで示されたように今までに詳細に確立されている(Eastman Chemical Company、Kingsport、TN;FMC Corporation、Philadelphia、PA)。
【0018】
単回および反復投与の毒性および発癌性試験
単回投与毒性試験
CAPは、不活性成分ガイドに見出すことができ、ヒト使用のための経口用剤形として最近市場に出された承認薬剤賦形剤と定義されている。CAPの安全性は詳細に研究され、有害作用がないことが示された(Neurath AR、Strick N、Li YY、Lin K、Jiang S、「Design of a ‘microbicide’ for prevention of sexually transmitted diseases using ‘inactive’ pharmaceutical excipients」、Biologicals、17巻:11〜21頁(1999年))。
【0019】
FMC Corporation(Philadelphia、PA)(U.S. harmacopeial Convention, Inc. The U.S. Pharmacopeia;780〜781頁、(2000年))は、CAPの微粒子化形態、すなわち、Aquateric(登録商標)(微粒子化CAP66〜73重量%、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーおよび蒸留アセチル化モノグリセリドを含有する)について詳細な毒性試験を実施した。以下の表1および2は、FMC Corporation物質安全データシートのAquateric(登録商標)に関する毒性情報を含む。
【0020】
【表1】

反復投与の毒性および発癌性試験
ラット(経口試験)
Kotkoskieら(Kotkoskie LA、Freeman C、Palmieri MA、「Subchronic toxicity and developmental toxicity studies in rats with Aquateric(登録商標) aqueous enteric coating」、Internat. J. Toxicology、18巻:109〜116頁(1999年))は、Aquateric(登録商標)を0、5000、25000または50000ppm毎日90日間与えられた雌雄ラット各20匹の4群において、Aquateric(登録商標)(微粒子化セルロースアセテート1,2−ベンゼンジカルボキシレート(酢酸フタル酸セルロース、CAP)66〜73%を含有する)の亜慢性毒性を調べた。研究中、死亡は起こらず、処置に関連した臨床徴候も指摘されなかった。臨床化学研究では、毒性学的に深刻な発見は認められず、偶発的な発見はすべて、生理学的に許容可能な歴史的基準の範囲内であった。同様に、臓器重量または臓器対体重比に対する処置に関連した影響はなかった。これらの試験結果に基づいて、最大無毒性量(NOAEL;既定の曝露条件下で標的生物の形態、機能的能力、成長、発達または寿命に検出可能な有害な変化を引き起こさない、実験または観察によって認められた物質量の最大濃度;IUPAC Compendium of Chemical Terminology、第2版、1997年、65巻:2076頁(1993年)、http://www.iupac.org/goldbook/N04208.pdf)は、食餌中1日当たりAquateric(登録商標)50000ppmを上回る。これは雄ラットでは3604mg/kg/日および雌ラットでは4094mg/kg/日の平均投与量を表し、殺菌剤として使用したAquateric(登録商標)の予測された臨床的局所用量の約200倍である。
【0021】
【表2−1】

【0022】
【表2−2】

Hodge(Hodge H、「The chronic toxicity of cellulose acetate phthalate in rats and dogs」、J. Pharmacol. Exp. Therapeutics、80巻、250〜255頁(1944年))による慢性経口投与実験では、雌ラット20匹の4群それぞれに1年間自由に0、5、20および30%のCAPを与えた。食餌は、CAPを混合したPurina fox固形飼料から成り、自由に与えられた。CAPを多く摂取したラットでは成長速度の低下が示され、投与量と共に増加した。剖検中、異常は認められなかった。組織学的検査では、一貫した病理学的変化は示されなかった。全般的に、CAPの毒性効果はラットでは見出せなかった。
【0023】
イヌ(経口試験)
それぞれイヌ2匹の3群に1年間毎日CAPを1、4または16gm与えた。イヌは、実験を通して優れた健康状態のままであり、剖検では一貫した病理学的変化は発見されなかった。この試験では、CAPに関連した毒性効果の証拠はなかった(Hodge H、「The chronic toxicity of cellulose acetate phthalate in rats and dogs」、J. Pharmacol. Exp. Therapeutics、80巻、250〜255頁(1944年))。ラットまたはイヌに1年間CAPを給餌しても、標的臓器毒性の証拠は示されなかった。亜慢性試験において、ラットは90日間連日食餌中にAquateric(登録商標)(CAP67%を含有)0(対照)、5000、25000または50000ppm(3600〜4100mg/kg/日の用量範囲である)を投与された。どの処理群においても、死亡はなく、血液学的もしくは血清化学的パラメータ、体重、食餌消費量、眼科的検査または組織の組織化学的評価に対する毒性または有害な毒性効果の臨床徴候は指摘されなかった。
【0024】
以下の表3は、CAP反復投与の毒性および発癌性試験の概要である。
【0025】
変異原性
BattおよびKotkoski(Batt KJ、Kotkoskie LA、「An evaluation of genotoxicity tests with Aquateric aqueous enteric coating」、Internat. J. Toxicology、18巻:117〜122頁(1999年))は、エイムス試験、マウスリンパ腫変異アッセイおよびマウス小核試験において、微粒子化CAPの変異原性の可能性を調べた。3試験すべての結果は陰性で、微粒子化CAPはこの標準的な一連の試験では変異原性も遺伝毒性もないことが示唆された(以下の表4参照)。
【0026】
生殖毒性および発達毒性
Kotkoskieら(Kotkoskie LA、Freeman C、Palmieri MA、「Subchronic toxicity and developmental toxicity studies in rats with Aquateric(登録商標) aqueous enteric coating」、Internat. J. Toxicology、18巻:109〜116頁(1999年))は、ラットにおいて微粒子化CAPの発達毒性を調べた。25匹の妊娠したスプラーグドーリーラットの群は、妊娠期間の6日目から15日目まで食餌中において微粒子化CAP0、5000、25000または50000ppmを自由に摂取した。20日目に屠殺したとき、死亡は認められず、体重または妊娠子宮重量には有意な差は認められなかった。さらに、帝王切開パラメータにおいて処置に関連した有意な差はなく、肉眼的病変も認められなかった。1匹の胎児にのみ奇形が指摘されたが(小顎症)、擬似と考えられ、処置には関係なかった。胎児の外部の変異はなく、胎児または同腹仔における内臓または骨格の変化の発生率に統計学的な有意差はなかった。
【0027】
Kotkoskieら(Kotkoskie LA、Freeman C、Palmieri MA、「Subchronic toxicity and developmental toxicity studies in rats with Aquateric(登録商標) aqueous enteric coating」、Internat. J. Toxicology、18巻:109〜116頁(1999年))はまた、雄のスプラーグドーリーCDラット20匹において亜慢性毒性を調べた。ラットは、90日間連日食餌中に0、5000、25000または50000ppmの濃度で微粒子化CAPを投与された。微粒子化CAP5000ppmを投与された雄は、絶対的精巣重量が減少したが、相対的精巣重量(脳に対する精巣の重量比)は影響を受けなかった。絶対的精巣重量の減少に関連した組織化学的変化は存在しなかった。
【0028】
以下の表5は、CAP生殖毒性試験の概要である。
【0029】
【表3】

【0030】
【表4】

【0031】
【表5】

局所および光感作
モルモット(皮膚試験)
Aquateric(登録商標)CD−190(微粒子化セルロースアセテート1,2−ベンゼンジカルボキシレート(酢酸フタル酸セルロース:CAP)66〜73重量%を含有する)の製造者(FMC Corporation)は、その後ハートレイモルモットで誘発処理を行い、皮膚感作試験を実施した。Aquateric(登録商標)で処理した皮膚に1週間間隔で3回誘発処理した後、Aquateric(登録商標)をハートレイモルモットに局所投与しても感作しないことが確認された。誘発または曝露適用の後、試験動物において応答は示されなかった。曝露中、曝露対照モルモットものいずれにおいても刺激は示されなかった。陽性対照群の動物は、曝露適用後限定的な感作反応を示した。CAPの溶解性は、pH7以上でかなり高い。CAPは、pH6では最小限度しか溶解せず、pH6未満ではさらに溶解性が減少する。CAPの分光学的測定のために新たに開発された感作方法を使用して実施したより具体的な試験によって(Neurath AR、Strick N、「Quantitation of cellulose acetate phthalate in biological fluids as a complex with ruthenium red」、Anal. Biochem、288巻:102〜04頁(2001年))、CAPの溶解性はpH5.5では約7μg/mlで、pHを下げるとさらに減少することが明らかになった。ラットにおける90日間の試験によるNOAEL(Kotkoskie LA、Freeman C、Palmieri MA、「Subchronic toxicity and developmental toxicity studies in rats with Aquateric(登録商標) aqueous enteric coating」、Internat. J.
Toxicology、18巻:109〜116頁(1999年))は、約2450mg可溶性CAP/kg/日であった。環境がpHレベル≦5.5に維持されるならば、CAPの不溶性微粒子形態を使用する場合、このCAPの安全用量は実用上到達不可能である。
【0032】
特許文献1に開示されたように、実験によって微粒子化CAPの低pHでの驚くほど高い緩衝能力が示された。特許文献1で開示された結果は、CAP1グラム当たり>30mlの血液が、pHをCAPの溶解度が増加し始める(>7μg/mlまで)レベルにするために必要であることを示している。CAP1グラム当たり必要な月経の量は、血液に必要な量よりもずっと多いだろう。水分散性フィルムの形態のCAP(Neurath AR、Strick N、Li YY、「Water dispersible microbicidal cellulose acetate phthalate film」、BMC Infect. Dis.、3巻:27頁(2003年)、http://www.biomedcentral.com/content/pdf/1471−2334−3−27.pdf;Neurath AR、Strick、Li YY、「Water dispersible film」、米国出願番号第2005/0070501A1(2005年3月21日公開))448mgをこれらの実験で使用した。ヒトの血液と緩衝能力が類似しているウサギの血液をこれらの実験で使用した。シミュレートされた月経液は、Geshnizgani AM、Onderdonk AB、「Defined medium simulating genital tract secretions for growth of vaginal microflora」、J. Clin. Microbiol.、30巻:1323〜132頁(1992年))に記載されたように準備した。
【0033】
CAPは、微粒子形態で多くの生理学的環境で安全に使用することができる。その高い緩衝能力によって、CAPは低pHをもたらす。この新たな発見は、抗感染性/汎用衛生製品として明確に認識できる形態および製剤での微粒子化CAPの適用に必要不可欠である。
【0034】
微粒子化CAPの安全性はさらに、以下のような特許文献2に記載されているように確立された。微粒子化CAP130mgを含有する製剤1mlを毎日ウサギの膣に適用する14日間のウサギ刺激試験を実施した。これらの試験によって、使用した濃度および量のCAPはヒト使用に許容され得ると考えることができることが確立された。対照的に、ウサギを市販の膣用避妊薬製品「CONCEPTROL」膣用ジェルで処理すると、全ウサギにおいて膣刺激が生じ、ヒト使用には限界があり、許容されないと考えられる。
【0035】
微粒子化CAPのジェル製剤(130mg/g)をまた、アカゲザルの膣に適用した。血清化学、膣剖検、細菌培養および膣pHは、CAP製剤投与後正常限界の範囲内であることが測定された。末梢CD4:CD8細胞比または血漿および膣液中の炎症性サイトカイン/ケモカインのレベルにおいて、明瞭な変化は検出されなかった。膣頸管検査によって、CAP製剤は刺激性ではないことが決定された(Ratterree Mら、AIDS、19巻、1595頁(2005年))。
【0036】
新鮮に作製された、水をベースにしたCAPジェルを送達するための方法が開発された。この方法は、濃厚な非水性液体(グリセリン)に懸濁した固形のAquateric(登録商標)(CAP66〜73重量%、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーおよび蒸留したアセチル化モノグリセリドを含有する組成物である)(FMC Corporation、Philadelphia、PA)が破けやすいシールによって水をベースにした生体接着性ジェルから分離されている、2個の区画を有するアプリケーターを含む送達系を使用する。最終的なCAP含有ジェルは、このシールを破った後、粉末成分を生体接着性ジェルと手動で混合し、次いでさらなるシールを破った後、得られたジェル混合物を排出することによって形成される(特許文献1参照)。
【0037】
殺菌剤としてのCAPの使用は以下に開示されている。特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7および米国特許出願公開第2005/0070501号。
【0038】
殺菌剤としてのCAPに関連する前記段落で挙げた米国特許および米国特許出願公開で示されたように、微粒子化CAPはHIV−1ウイルス粒子に結合して、HIV−1 gp41 6ヘリックス束の形成、ウイルスの不活性化およびgp120外被糖タンパク質の遊離を導く。これは、感染力の迅速な消失をもたらす。このことは、R5株を含むHIVクレードおよび株(すなわち、宿主細胞のCCR5ケモカイン受容体に結合するHIV株)の範囲について示され、この株は今やウイルスの性行為感染において重要な役割を有すると考えられる。
【0039】
CAPはまた、HSV−2(性器ヘルペスに関与するウイルス)、Neisseria gonorrhoeae、Chlamydia trachomatis、Trichomonas vaginalis、Haemophilus ducreyiおよびTreponema pallidumを含むその他の性行為感染性病原体に対して有効である。CAPはまた、細菌性膣炎に関連したいくつかの細菌(G.vaginalis、M.hominis、M.curtisii、P.corporis)を不活性化する。CAPは、乳酸菌には影響を及ぼさず、乳酸菌は、健康なヒトの膣に見出される細菌叢の天然成分であり、いずれも性行為感染性病原体に対していくらかの防御をもたらす乳酸および過酸化水素を分泌する細菌である。
【0040】
前記発見は、in vitroの実験および(a)生殖器サル免疫不全ウイルス(SIV)感染のためのサルモデル、(b)性器ヘルペスウイルス感染のためのマウスモデル、および(c)サブタイプX4およびR5両方の性器感染のためのハイブリッドSIV/HIV−1ウイルス(SHIV)を使用したマカクモデルを含めた動物モデルを使用したin vivoでの試験からも得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0082035号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0082035号明細書
【特許文献3】米国特許第5985313号明細書
【特許文献4】米国特許第6165493号明細書
【特許文献5】米国特許第6462030号明細書
【特許文献6】米国特許第6572875号明細書
【特許文献7】米国特許第6596297号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0042】
本発明の目的は、膣内に容易に挿入することができ、膣液の存在下で迅速に生体接着性ジェルに変換する錠剤を提供することである。
【0043】
本発明の他の目的は、膣内に挿入するための殺菌錠剤を提供することである。
【0044】
本発明の他の目的は、女性の管理下で、性行為感染症、例えば、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヘルペスウイルスおよび細菌性膣炎の伝染またはNeisseria gonorrhoeae、Chlamydia trachomatis、Trichomonas vaginalis、Haemophilus ducreyiもしくはTreponema pallidumによって引き起こされる感染を予防するための安全で比較的安価な方法を提供することである。
【0045】
本発明の他の目的は、細菌性膣炎を治療または予防するための方法を提供することである。
【0046】
前記の目的は、その他の目的および利点と同様に、本発明によって実現する。
【課題を解決するための手段】
【0047】
前述のCAPに関連した製剤の問題は現在、CAPを含有できる膣用錠剤(固形剤形)を発明した本発明者によって解決された。
【0048】
膣内へ挿入する本発明の錠剤は以下を含む:少なくとも1種の膣用医薬(活性薬剤成分(「API」))、例えば、抗感染症薬0.01〜500mg、マンニトール粉末100〜500mg、不活性微結晶性セルロース50〜300mg、ヒドロキシプロピルメチルセルロース10〜80mg、グリセロール50〜250mg、および場合によって、微生物汚染を防御し、膣内におけるCandida albicans(酵母)の増殖を防止する少なくとも1種の保存剤2〜4mg。
【0049】
性交前に前述の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含むHIV−1またはHIV−2の性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬が少なくとも1種の殺菌剤、例えば、CAP、ポリナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、HIV複製阻害剤(例えば、抗レトロウイルス薬、例えば、テノホビル(PMPA)またはTMC−120)、gp120を標的としたHIV侵入阻害剤(HIV entry inhibitor)(例えば、CCR5またはCXCR4)、HIV吸着阻害剤または酸緩衝剤である、方法。
【0050】
性交前に前述の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含むHSV−1の性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬が、CAP、PNSAのナトリウム塩および酸緩衝剤からなる群より選択される、方法。
【0051】
性交前に前述の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含むHSV−2の性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬が、CAP、PNSAのナトリウム塩および酸緩衝剤からなる群より選択される、方法。
【0052】
性交前に前述の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含むヒトサイトメガロウイルスの性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬がCAPである、方法。
【0053】
前述の錠剤を必要とするヒト女性に前述の錠剤を経膣投与することを含む細菌性膣炎を治療または予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬がCAPである、方法。
【0054】
性交前に前述の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含むNeisseria gonorrhoeaeによって生じる感染症の性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬がCAPおよびPNSAのナトリウム塩からなる群より選択される、方法。
【0055】
性交前に前述のテーブルをヒト女性に経膣投与することを含むChlamydia trachomatisによって生じる感染症の性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬がCAPおよびPNSAのナトリウム塩からなる群より選択される、方法。
【0056】
性交前に前述の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含むTrichomonas vaginalisによって生じる感染症の性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬がCAPである、方法。
【0057】
性交前に前述の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含むHaemophilus ducreyiによって生じる感染症の性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬がCAPである、方法。
【0058】
性交前に前述の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含むTrepanema pallidumによって生じる感染症の性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬がCAPである、方法。
【0059】
性交前に前述の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含むヒトパピローマウイルス(「HPV」)の性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬がカラギーナンである、方法。
【0060】
性交前に前述の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含む受胎を予防するための方法であって、膣用医薬が殺精子薬である、方法。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】CAP錠剤から得られたジェルの様々な希釈に対する試験の結果を表した用量反応曲線を示した図である。これは、CAPをちょうど4mg含有する生理食塩水1mlが5分でHIV−1 BaLの約100%不活性化を引き起こすことを示している。HIV−1 BaLは、HIVのR5株で、ウイルスによる性行為感染において主要な役割を果たす種類である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明は、指またはアプリケーターによる膣内への挿入を容易にするための大きさ、形状および簡潔さである錠剤に関する。この錠剤は、錠剤内部に水を輸送する「ウィッキング効果(wicking effect)」によって、および高い表面/量比によって、膣内に通常存在する限定された量の液体で迅速に崩壊するように迅速に液体を吸収する。錠剤は、水と接触したとき迅速に滑らかで安定な生体接着性ジェルを形成するゲル化剤を含有する。
【0063】
本発明の錠剤は、必要な特性をすべて備えており、約2mlの液体中に入れて2〜3分以内に崩壊して安定で、滑らかな生体接着性水混和性抗感染ジェルを形成する。ジェルのpHは酸性で、ヒトの射精の一般的な精液量とin vitroで混合したときでも酸性(pH3〜5)を維持する。
【0064】
この錠剤は膣内で反復使用した後でもいかなる深刻な局所的または全身的有害作用も有さないと考えられる。
【0065】
膣内に挿入するための錠剤の成分には、少なくとも1種の膣用医薬0.1〜500mg、マンニトール粉末(迅速な錠剤の崩壊を促進する)100〜500mg、好ましくは200〜400mg、不活性微結晶性セルロース50〜300mg、好ましくは50〜150mg、ヒドロキシプロピルメチルセルロース10〜80mg、好ましくは25〜40mg、グリセロール50〜250mg、好ましくは75〜150mgおよび場合によって少なくとも1種の保存剤2〜4mgが含まれる。
【0066】
代表的な膣用医薬の好ましい量は以下の通りである。
【0067】
CAP 100〜500mg
PNSAのナトリウム塩 25〜50mg
テノホビル 30〜60mg
TMC−120 0.02〜2mg
クロトリマゾール 100〜500mg
エストラジオール 0.01〜0.1mg 。
【0068】
少なくとも1種の膣用医薬(活性薬剤成分(「API」))は、膣粘膜上または膣粘膜中に作用する医薬である。少なくとも1種の膣用医薬の種類の例には、少なくとも1種の殺菌剤、少なくとも1種の殺精子薬、少なくとも1種のホルモン、少なくとも1種の抗生物質および少なくとも1種の抗真菌剤が含まれる。少なくとも1種の膣用医薬には、単一の膣用医薬または同種もしくは異種の2種類以上の膣用医薬の組合せ(例えば、PNSAまたはCAP以外の抗レトロウイルス薬を含む酸緩衝液)を含めることができるが、ただし、2種類以上の膣用医薬の間に有害な相互作用はない。
【0069】
殺菌剤は、ウイルス、細菌、真菌または原生動物によって引き起こされる感染を予防または治療するための抗感染薬である。
【0070】
殺菌剤の非限定的例には以下が含まれる。
【0071】
(1)CAP、
(2)少なくとも1種のHIV複製阻害剤(抗レトロウイルス複製阻害剤)、例えば、PMPA(テノホビル)、TMC−120(ダピビリン)、MIC−150(PETT)およびUC−181、
(3)gp120を標的とする少なくとも1種のHIV侵入阻害剤、例えば、シアノビリン−N、BMS−378806および可溶性CD4とのキメラタンパク質(CD4−17b)、gp41を標的とする少なくとも1種のHIV侵入阻害剤、例えば、T20(フゼオン(登録商標)、C52Lまたはヒトモノクローナル抗体(例えば、2F5および4E10)、ならびに共受容体CCR5(例えば、マラビロック、アプラビロック、ビクリビロック、TAK779、NNY−RANTESおよびPSC−RANTES)およびCXCR4(例えば、AMD3100)を標的とする少なくとも1種のHIV侵入阻害剤、
(4)少なくとも1種のHIV吸着阻害剤、例えば、ポリナフタレンスルホン酸(「PNSA」)のナトリウム塩、カラギーナン(CaraGuard(商標))、ナフタレンスルホン酸ポリマー(PRO2000)およびデキストリン−2−硫酸(Emmelle(商標))、ならびに
(5)少なくとも1種の酸緩衝剤、例えば、Acidform(商標)およびBufferGel(商標)。
【0072】
CAPを殺菌剤として使用するとき、CAPの好ましい形態は、微粒子化セルロースアセテート1,2−ベンゼンジカルボキシレートを66〜73重量%含有し、残部がポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーおよび蒸留アセチル化モノグリセリドである組成物の形態の微粒子化(大きさが約1ミクロンの粒子)セルロースアセテート1,2−ベンゼンジカルボキシレートである。
【0073】
本発明の錠剤で使用するための殺精子薬(避妊薬)には、ノンオキシノール−9、塩化ベンザルコニウム、オクトキシノール−9、硫酸セルロース、G31G(Savvy(商標))(界面活性剤)およびドデシル硫酸ナトリウム(「SDS」)が含まれるがそれだけに限らない。
【0074】
本発明の錠剤で使用するためのホルモンの非限定的例には、エストロゲン(高齢の女性の膣上皮を若返らせるために使用することができる)およびプロゲスタゲンが含まれる。
【0075】
抗真菌薬および抗菌薬として、イミダゾール薬、例えば、クロトリマゾール(膣カンジダ症(鵞口瘡)に使用することができる)、エコナゾール、イソコナゾール、エネトロニダゾール(フラジール)およびミコナゾールを本発明の錠剤に使用することができる。
【0076】
マンニトール粉末は錠剤の物理的安定性に寄与し、「ウィッキング剤」として作用し、容易に水分を吸収し、錠剤の内部へ輸送する。マンニトール粉末の粒径は150ミクロンを上回らないことが好ましい。
【0077】
不活性微結晶性セルロースは、微粒子化CAPが少なくとも1種の膣用医薬として使用されるとき、効果的な懸濁液の形成を助長する揺変性ゲルを形成するのに役立つ。錠剤を使用する女性および相手の男性のいずれにも不快感を与えないように、不活性微結晶性セルロースは細かい粒子(すなわち、「ざらつき感」がない)である。不活性微結晶性セルロースの粒径は、20〜180ミクロンが好ましい。
【0078】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、得られたジェルが必要な粘性、流体力学的特性および生体接着性を確実に有するように迅速に溶解するゲル化剤として役立つ。HPMCの好ましい粘度は、3000〜4000cpsである。
【0079】
グリセロールは、錠剤の崩壊を促進するため、膣上皮から膣腔に液体を引き出す(漏出させる)のに必要な高浸透圧性をもたらす。
【0080】
少なくとも1種の保存剤の目的は、膣カンジダ症(酵母感染)の可能性を防ぐこと、および最適以下の条件下での錠剤の製造または保存における細菌汚染の可能性を防ぐことである。
【0081】
錠剤に含める少なくとも1種の膣用医薬、例えば、わずかに酢酸臭を有するCAPに応じて、膣用医薬の臭いを隠すために非アレルギー性香料(例えば、バニラ、ジャスミンまたはバラ)を使用することができる。
【0082】
錠剤の厚さおよび全体的形状は、最適な挿入および分散をもたらすように決定される。錠剤は、膣液の摂取を最適にするために十分に大きな面積/量比を備えるべきである。形状は、(i)端が半円の細長い長方形か、または(ii)細長い楕円であることが好ましい。端および両側は丸いことが好ましく、錠剤はいかなる鋭い末端も有さないことが好ましい。
【0083】
本明細書で記載した組成物の1g錠剤について、適切な寸法は以下の通りである。
【0084】
長さ:20〜50mm、好ましくは26〜32mm、より好ましくは30mm
幅:6〜16mm、好ましくは8〜12mm、より好ましくは10mm
厚さ:2〜10mm、好ましくは3〜4mm、より好ましくは3mm
錠剤の重量は、約400mgから2000mg、好ましくは400mgから1700mg、より好ましくは400mgから1200mgである。
【0085】
前述した、膣用医薬として少なくとも1種の殺菌剤(例えば、CAP、HIV複製阻害剤、gp120を標的とするHIV侵入阻害剤、HIV吸着阻害剤(例えば、PNSAのナトリウム塩)または酸緩衝剤)を含む錠剤は、HIV−1またはHIV−2の性行為感染を予防するために経膣投与することができる。
【0086】
前述した、膣用医薬としてCAP、PNSAのナトリウム塩または酸緩衝剤を含む錠剤は、HSV−1またはHSV−2の性行為感染を予防するために経膣投与することができる。
【0087】
前述した、膣用医薬としてCAPを含む錠剤は、Gardnella vaginalis、Mycoplasma hominis、Mycoplasma capricolum、Mobiluncus curtisiiおよびPrevotella corporisからなる群より選択される微生物が原因の細菌性膣炎を治療または予防するために経膣投与することができる。
【0088】
前述した、膣用医薬としてCAPまたはPNSAのナトリウム塩を含む錠剤は、ヒトサイトメガロウイルスの性行為感染またはTrichomonas vaginalis、Haemophilus ducreyi(軟性下疳の原因となる)、Treponema pallidum、Chlamydia trachomatisおよびNeisseria gonorrhoeaeからなる群より選択される微生物が原因の感染を予防するために経膣投与することができる。
【0089】
前述した、膣用医薬としてカラギーナンを含む錠剤は、ヒトパピローマウイルスを防御するために経膣投与することができる。
【0090】
前述した、殺精子薬を含む錠剤は、受胎を予防するために経膣投与することができる。
【0091】
錠剤を作製するために、錠剤加工は、錠剤の核は非常に軽く圧縮されているが(したがって、迅速に分散できる)、外層は物理的に強固な錠剤を形成するためにより強く圧縮されているように設定される。これは、標準的な器具によって実現可能である。
【0092】
本発明によるCAP錠剤は、以下の利点があると考えられる。
【0093】
(i)前述の生物の性行為感染の危険性を減少させ、
(ii)細菌性膣炎の治療に有益であり、かつ
(iii)膣の衛生学的処置の通常成分として有用である。
【0094】
本発明による殺菌錠剤のその他の利点には以下が含まれる。
【0095】
・ 水分を含まず、安定性が良好で、貯蔵寿命が長い。
【0096】
・ 製造が簡単で経済的、非常に標準的な錠剤化技術を使用し、したがって、特殊な技術を必要とする予め充填されたプラスチックアプリケーターに入れた予め準備されたゲルの場合よりも必要な高速の全体的製造速度の実現がはるかに容易である。
【0097】
・ 包装が簡単で経済的、プラスチックまたはアルミニウム内に収縮包装されるか、またはブリスター包装され、ゲルを手で触れたり、高価なプラスチックアプリケーター/シリンジを充填および密封したりしない。
【0098】
・ 嵩が小さく、したがって輸送、倉庫管理および地方配送が経済的である。
【0099】
・ 末端利用者による保存および使用が簡単で、後処理は包装するだけでよい。
【0100】
・ ジェル/アプリケーター殺菌剤と比較して消費者にとって低費用である。
【0101】
・ 指によって挿入される膣用錠剤は、アプリケーター/シリンジによって挿入されるゲルよりも多くの女性にとって許容されるものと思われる(例えば、インドおよびサハラ砂漠以南のアフリカにおいて立証されている)。
【0102】
・ 多様な様式は、様々な使用者の状況および様々な文化的集団の注意を喚起する必要があるという殺菌剤に関する専門家のこれまでの見解。
【0103】
・ FDA、EMEAおよび発展途上国の権威は治療的使用としての膣用錠剤に慣れているので、規制上の優位性がある。
【0104】
・ 単一薬剤または組合せ、例えば、CAPおよびヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)または非ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)またはその他の抗レトロウイルス薬に使用できる。
【実施例】
【0105】
(実施例1)
CAP膣用錠剤
錠剤重量:1g
Aquateric(登録商標)34.3重量% 343mg(CAP241mgを含有する)
Aquatericは、CAP(膣用錠剤の活性薬剤成分)約67重量%を含有する、例えば、FMC Corporation、Philadelphia、Pennsylvania製の市販の微粒子化製品である。残部には、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーおよび蒸留アセチル化モノグリセリドが含まれる。
【0106】
マンノゲム30.9重量% 309mg
これは、SPI Polyols,Inc.、New Castle、Delawareによって製造されたマンニトール粉末である。
【0107】
アビセル14.3重量% 143mg
アビセルは、不活性微結晶性セルロースである。粒径が約20ミクロンのアビセルPH−105型は、FMC BioPolymer、1735 Market Street、Philadelphia、PA 19103、USAまたはAvenue Louise 480−B9、1050 Brussels、Belgiumから入手する。
【0108】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)3.4重量% 34mg
信越化学工業株式会社、日本東京都千代田区大手町2丁目6−1から入手した粘度4000cpsのメトローズ、等級90SH−4000SRを使用することが好ましい。
【0109】
グリセロール17.1重量% 171mg
保存剤:
安息香酸ナトリウム 0.1重量% 1mg
メチルパラベンナトリウム 0.2重量% 2mg
プロピルパラベンナトリウム 0.03重量% 0.3mg
マンノゲム、アビセルおよびグリセロールを含む前記の組合せは、生体接着性ジェルに変換し、水性媒体が迅速に浸透し、崩壊を加速する錠剤を生じる。
【0110】
全成分は、錠剤に圧縮する前に効果的かつ均一に混合される。
【0111】
錠剤は以下の方法によって製造することができる。
【0112】
固形粉末成分は、ビーカー内で手動で徹底的に混合し、次いでグリセロールを添加して、再度手動で徹底的に混合する。この混合物の重量を測定したもの(本明細書で記載した実施例によって1グラムまたは0.4グラム)を手動錠剤(ペレット)圧縮機に入れる。
【0113】
錠剤は、Parr Instrument Company、211 Fifty Third Street、Moline、Illinois 61265から購入したパンチおよびダイス型を備えたペレット圧縮器(モデル番号2811)を使用して調製した。錠剤を製造するための成分を含有する混合物を直径1/2インチ、高さ1インチのダイス型に充填した。パンチがダイス型に約1/2インチ入るように、手動によって適切な圧力でレバーを押し下げた。次に、完成した錠剤をダイス型から取り出すのを可能にするために、レバーを上部位置まで上げた。
【0114】
(実施例2)
CAP膣用錠剤
以下の錠剤を手法に従い、実施例1と同様の成分を使用して作製した。
【0115】
錠剤重量:1g
Aquateric(登録商標) 30重量%
マンノゲム 41重量%
アビセル 10重量%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 4重量%
グリセロール 15重量%
安息香酸ナトリウム 0.1重量%
メチルパラベンナトリウム 0.2重量%
プロピルパラベンナトリウム 0.03重量%
香料(任意選択)
(実施例3)
ポリナフタレンスルホン酸のナトリウム塩を含有する膣用錠剤
少し変更を加えて、前記の取組みを使用して、迅速に分散可能な高速ゲル化膣用錠剤としてその他の殺菌剤を製剤化することができる。例えば、ポリナフタレンスルホン酸(PNSA)のナトリウム塩は、CAPの代わりに使用することができる。PRO2000ゲルの形態のPNSAは現在、HIVの危険性が高い社会における2つの大規模有効性試験(それぞれ、米国国立衛生研究所および英国医学研究審議会によって支援されている)の対象である。PNSAのナトリウム塩を利用した錠剤製剤化の例は以下の通りである(錠剤重量0.4g)。
【0116】
ポリナフタレンスルホン酸のナトリウム塩 12.5重量% 50mg
マンノゲム 47.5重量% 190mg
アビセル 14.2重量% 57mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」) 6.2重量% 25mg
グリセロール 18.7重量% 75mg
安息香酸ナトリウム 0.2重量% 1mg
メチルパラベンナトリウム 0.4重量% 2mg
プロピルパラベンナトリウム 0.06重量% 0.3mg
香料(任意選択)
(実施例4)
テノホビルを含有する膣用錠剤
以下の膣用錠剤は、実施例1で記載した方法に従って、以下の組成物を含んで製造することができる。
【0117】
テノホビル(ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤) 30mg
マンニトール 190mg
微結晶性セルロース 57mg
HPMC 25mg
グリセロール 75mg
安息香酸ナトリウム 1mg
メチルパラベンナトリウム 2mg
プロピルパラベンナトリウム 0.3mg
香料(任意選択)
(実施例5)
クロトリマゾールを含有する膣用錠剤
以下の膣用錠剤は、実施例1で記載した方法に従って、以下の組成物を含んで製造することができる。
【0118】
クロトリマゾール 300mg
マンニトール 410mg
微結晶性セルロール 100mg
HPMC 40mg
グリセロール 150mg
(実施例6)
エストラジオールを含有する膣用錠剤
以下の膣用錠剤は、実施例1で記載した方法に従って、以下の組成物を含んで製造することができる。
【0119】
エストラジオール 0.025mg
マンニトール 220mg
微結晶性セルロース 70mg
HPMC 27mg
グリセロール 80mg
安息香酸ナトリウム 1mg
メチルパラベンナトリウム 2mg
プロピルパラベンナトリウム 0.3mg
(実施例7)
膣用錠剤中のCAPの抗HIV活性
CEMx174 5.25M7細胞における主要なHIV−1単離物による感染に対する膣用錠剤中のCAPの阻害活性は、既に記載されたように測定した(Luら、AIDS Res. Hum. Retroviruses 22巻:411〜418頁、2006年)。実施例2のCAP錠剤30mgをPBS1mlに懸濁し、次いでCAP濃度4mg/mlに維持するためRPMI−1640培地で希釈した。連続的に4倍希釈したCAP含有試料50μlを同量の(NIH AIDS Research and Reference Reagent Programから入手した)初代HIV−1単離物と感染効率(MOI)0.01で、37℃で30分間インキュベートし、その後CEMx174 5.25M7細胞(5×10/ml)100μlを添加した。37℃で一晩インキュベーションした後、培養上清を新鮮培地と交換した。感染して3日後、細胞を収集し、ルシフェラーゼアッセイキット(Promega、Madison、Wisconsin)およびルミノメータ(Model:Ultra386、Tecan、Durham、North Carolina)を使用して、製造元の指示に従ってルシフェラーゼ活性を分析するために可溶化した。ルシフェラーゼ活性のパーセント阻害およびIC50値およびIC90値は、以前に記載されたように計算した(Luら、AIDS Res. Hum. Retroviruses 22巻:411〜418頁、2006年)。表6に示したように、膣用錠剤中のCAPは、サブタイプA、B、C、EおよびEAおよび生物型(R5、X4およびX4R5)を含む異なる遺伝子型の初代HIV−1単離物による感染を効果的に阻害し、膣用錠剤中のCAPは効力および広範な抗HIV−1活性を保持していることが示唆された。
【0120】
【表6】

(実施例8)
膣用錠剤中のCAPの安定性
様々な温度(それぞれ、4℃、室温、30℃および40℃)で1〜3週間保存した実施例2の膣用錠剤中のCAPの安定性を測定するために、加速安定性試験を実施した。CAPについての高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、Waters 996光ダイオードアレイ検出器(254nmで検出)および20mMホウ酸塩、pH8.5(緩衝液A)で平衡化したVYDAC 301 VHP 575カラムを備えたWaters 600Eマルチソルベント送液系で実施した。試料を緩衝液Aで希釈し、次いでpHを8.5に調節し、3000×gで5分間遠心した。上清(20μl)をカラムに添加し、その後直線勾配(緩衝液A→緩衝液B:緩衝液Aに溶かしたNaCl 1M)で、1ml/分の流速で溶出した。それぞれ加水分解の結果としてCAPから遊離した遊離フタル酸の滞留時間は、2分未満で、CAPは6分と10分の間であった。表7に示したように、CAPの85%超が4℃、室温(「RT」)および30℃で3カ月保存した膣用錠剤中で検出可能で、一方、錠剤を40℃で2カ月超保存したとき、CAPの約30%が分解した。これらの結果は、熱帯地方を除いて世界中のほとんどの居住地域における通常の温度で保存した膣用錠剤中でCAPが安定であることを示唆している。
【0121】
【表7】

本明細書は限定ではなく例示のために記載されており、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく様々な改変および変更を行うことができることを理解されたい。
【0122】
特に指示しない限り、成分の量を表す数すべて、本明細書および特許請求の範囲で使用した分子量、反応条件などの特性が、すべての場合に「約」という語で修飾されるものと理解すべきである。したがって、逆の指示のない限り、明細書および添付の特許請求の範囲で記載された数値パラメータは、本発明によって得られるように求められる所望の特性に応じて変化可能な概算値である。少なくとも、特許請求の範囲への同等物の原則の適用を制限しようとすることなく、各数値パラメータは少なくとも、報告された有効桁の数を考慮して、通常の四捨五入法を適用することによって解釈するべきである。本発明の広範な範囲を記載する数値的範囲およびパラメータは概算値であるにもかかわらず、特定の実施例で記載した数値は可能な限り正確に報告されている。しかし、いかなる数値も本質的に、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じるある種の誤差をやむを得ず含有する。
【0123】
本発明を説明する文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈)で使用される「a」、「an」、「the」という用語および類似の指示対象は、本明細書で特に指示しない限り、または文脈と明らかに矛盾していない限り、単数および複数の両方をカバーすると解釈されるべきである。本明細書の範囲の記述は、単に範囲内に含まれるそれぞれ別個の値を個々に言及する簡略化方法として使用されるものである。本明細書で特に指示しない限り、個々の値はそれぞれ、あたかも本明細書において個々に記載されているように、本明細書に組み込まれる。本明細書で記載した方法はすべて、本明細書で特に指示しない限り、または文脈と明らかに矛盾していない限り、任意の適切な順番で実施することができる。本明細書中で使用したあらゆる例または例示的な言い回し(例えば「など」)の使用は、単に本発明をより明確にするためのものであり、別の形で特許請求された本発明の範囲に制限を設けるものではない。本明細書中のいかなる言い回しも、本発明の実施に不可欠である、特許請求されていない要素を示すものと解釈すべきではない。
【0124】
本明細書で開示した本発明の他の要素または実施形態の分類は、限定を意味するものではない。各群の要素は、個々に、あるいはその群のその他の要素または本明細書で見出されるその他の要素と組み合わせて言及し、特許請求することができる。群の1個または複数の要素が、利便性および/または特許上の理由のため群に含まれたり、または群から削除されたりすることができるものと予測される。このような包含および削除が生じるときは、明細書は変更された群を含むものとみなされ、添付の特許請求の範囲で使用されるすべてのマーカッシュ群の記述を満たす。
【0125】
本発明を実施する本発明者らに公知の最良の形態を含む、本発明の特定の実施形態が本明細書で記載される。もちろん、これらの記載された実施形態の変更は、前述の説明を読めば当業者には明らかになろう。本発明者は、当業者がこのような変更を適宜使用することを期待しており、本発明者らは特に本明細書で記載された以外の方法で本発明が実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用可能な法律によって許可されるように、添付の特許請求の範囲に列挙された対象のすべての変更および等価物を含む。さらに、本明細書で特に指示しない限り、または文脈と明らかに矛盾していない限り、それらの可能な変更すべてにおける前述の要素の組合せは本明細書に包含される。
【0126】
さらに、本明細書全体を通して、特許および印刷された出版物に数多くの言及がなされている。前記で引用した文献および印刷された出版物のそれぞれは個々に、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0127】
最後に、本明細書で開示した本発明の実施形態は、本発明の原理を例示するものであることを理解されたい。使用することができるその他の変更は本発明の範囲内である。したがって、例として、限定ではなく、本発明の代わりとなる構成を本明細書の教示に従って使用することができる。したがって、本発明は、示され、記載された通りのものに正確には限定はされない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.01〜500mgの少なくとも1種の膣用医薬、
100〜500mgのマンニトール粉末、
50〜300mgの不活性微結晶性セルロース、
10〜80mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース、および
50〜250mgのグリセロール
を含む、膣に挿入するための錠剤。
【請求項2】
2〜4mgの、膣内での酵母の増殖を防止する少なくとも1種の保存剤をさらに含む、請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
前記少なくとも1種の膣用医薬が、少なくとも1種の殺菌剤、少なくとも1種の殺精子薬、少なくとも1種のホルモン、少なくとも1種の抗生物質および少なくとも1種の抗真菌剤からなる群より選択される、請求項1に記載の錠剤。
【請求項4】
前記少なくとも1種の膣用医薬が、CAP、PNSAのナトリウム塩、少なくとも1種のHIV複製阻害剤、少なくとも1種のHIV侵入阻害剤および少なくとも1種の酸緩衝剤からなる群より選択される殺菌剤である、請求項1に記載の錠剤。
【請求項5】
前記少なくとも1種の膣用医薬が微粒子化セルロースアセテート1,2−ベンゼンジカルボキシレートを含む、請求項1に記載の錠剤。
【請求項6】
前記少なくとも1種の膣用医薬が、66〜73重量%の微粒子化セルロースアセテート1,2−ベンゼンジカルボキシレートを含有し、残部がポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーおよび蒸留アセチル化モノグリセリドである、請求項5に記載の錠剤。
【請求項7】
前記少なくとも1種の保存剤が、安息香酸ナトリウム、メチルパラベンナトリウムおよびプロピルパラベンナトリウムからなる群より選択される、請求項2に記載の錠剤。
【請求項8】
香料をさらに含む、請求項1に記載の錠剤。
【請求項9】
長さが20〜50mm、幅が6〜16mm、および厚さが2〜10mmである、請求項1に記載の錠剤。
【請求項10】
長さが26〜32mm、幅が8〜12mm、および厚さが3〜4mmである、請求項1に記載の錠剤。
【請求項11】
形状が半円の端を備えた細長い長方形である、請求項1に記載の錠剤。
【請求項12】
形状が細長い楕円である、請求項1に記載の錠剤。
【請求項13】
前記少なくとも1種の膣用医薬がポリナフタレンスルホン酸のナトリウム塩である、請求項1に記載の錠剤。
【請求項14】
性交前に請求項1に記載の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含むHIV−1またはHIV−2の性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬が少なくとも1種の殺菌剤である、方法。
【請求項15】
前記少なくとも1種の殺菌剤が、CAP、PNSAのナトリウム塩、少なくとも1種のHIV複製阻害剤、少なくとも1種のHIV侵入阻害剤および少なくとも1種の酸緩衝剤からなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
性交前に請求項1に記載の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含むHSV−1の性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬が、CAP、PNSAのナトリウム塩および酸緩衝剤からなる群より選択される、方法。
【請求項17】
性交前に請求項1に記載の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含むHSV−2の性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬が、CAP、PNSAのナトリウム塩および酸緩衝剤からなる群より選択される、方法。
【請求項18】
性交前に請求項1に記載の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含むヒトサイトメガロウイルスの性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬がCAPである、方法。
【請求項19】
請求項1に記載の錠剤を必要とするヒト女性に請求項1に記載の錠剤を経膣投与することを含む細菌性膣炎を治療または予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬がCAPである、方法。
【請求項20】
性交前に請求項1に記載の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含むNeisseria gonorrhoeaeによって生じる感染症の性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬がCAPおよびPNSAのナトリウム塩からなる群より選択される、方法。
【請求項21】
性交前に請求項1に記載の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含むChlamydia trachomatisによって生じる感染症の性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬がCAPおよびPNSAのナトリウム塩からなる群より選択される、方法。
【請求項22】
性交前に請求項1に記載の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含むTrichomonas vaginalisによって生じる感染症の性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬がCAPである、方法。
【請求項23】
性交前に請求項1に記載の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含むHaemophilus ducreyiによって生じる感染症の性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬がCAPである、方法。
【請求項24】
性交前に請求項1に記載の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含むTreponema pallidumによって生じる感染症の性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬がCAPである、方法。
【請求項25】
性交前に請求項1に記載の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含むヒトパピローマウイルスの性行為感染を予防するための方法であって、少なくとも1種の膣用医薬がカラギーナンである、方法。
【請求項26】
性交前に請求項1に記載の錠剤をヒト女性に経膣投与することを含む受胎を防止するための方法であって、膣用医薬が殺精子薬である、方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−528052(P2010−528052A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509573(P2010−509573)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/064737
【国際公開番号】WO2008/148018
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(509051222)ニューヨーク ブラッド センター, インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】