説明

生体測定装置

【課題】基礎代謝量に基づいて得られる、基礎代謝基準値及び推定エネルギー必要量の各指標につき、楽しめる表現又は分かりやすい表現で表示する生体測定装置を提供する。
【解決手段】
本発明の生体測定装置は、基礎代謝量に基づいて基礎代謝基準値及び推定エネルギー必要量を取得し、基礎代謝基準値については、小児でも容易に理解でき且つ楽しんで測定できるように、被験者と同じ基礎代謝基準値を持つ動物に置換して表示することによって、小児の成長をイメージしやすくすることを可能とし、また、推定エネルギー必要量については、特に、小児のエネルギー蓄積量を考慮して正確性高く求めた推定エネルギー必要量に応じたバランスの良い食事量を自動で選択して表示することによって、一日に必要な摂取量を一目で知ることを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎代謝基準値や推定エネルギー必要量の表示に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基礎代謝量を体重で除して得られる基礎代謝基準値につき、一般健常者の基礎代謝基準値の年齢別区分に基づいて、被験者の基礎代謝基準値が何歳に相当するかを判定し、相当する年齢を「代謝年齢」なる指標として表示する生体測定装置があった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、基礎代謝量と年齢別に区分した身体活動レベルとに基づいて、被験者が一日に必要とするエネルギー摂取量(以下、「推定エネルギー必要量」と言う。)を演算する方法が開示されている。この演算方法は、18歳以上の成人の推定エネルギー必要量を演算する場合には、「推定エネルギー必要量=基礎代謝量×身体活動レベル(式1)」なる式から求めるとされるものである。また、成長期とされる17歳以下の小児の場合には、身体活動に必要なエネルギーに加えて、組織の合成及び増加に要するエネルギー(以下、「エネルギー蓄積量」と言う。)を更に摂取する必要があるため、推定エネルギー必要量は、「推定エネルギー必要量=基礎代謝量×身体活動レベル+エネルギー蓄積量(式2)」なる式から求めるとされるものである(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
更に、1日に何をどれだけ食べたら良いか、食事の目安を示す「食事バランスガイド」が公表されている。この「食事バランスガイド」は、上述したような推定エネルギー必要量を演算すること無しに、推定エネルギー必要量の目安として設定したタイプ1(1800±200kcal)、タイプ2(2200±200kcal)、タイプ3(2600±200kcal)の3つのタイプの中から、一日の身体活動レベル、性別及び所定範囲で複数区分した年齢による場合分けに基づいて、被験者をタイプ別に分類するステップ1と、各タイプに応じて、主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品及び果物の各料理区分を、栄養のバランス良く組み合わせた食事の目安を示すステップ2と、からなる対応表によって、被験者の食事の目安が一目で分かる、とするものである(例えば、非特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−41811号公報
【非特許文献1】厚生労働省策定,「日本人の食事摂取基準」,2005年度版,第一出版編集部,P.28〜37
【非特許文献2】「食事バランスガイド」,財団法人食生活情報サービスセンター
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記「代謝年齢」のように、生体情報を年齢で置き換えた指標としては、特許文献1にも記載されている内臓脂肪年齢、その他脳年齢や肌年齢等多数存在するため、使用者が、どの生体情報を示す年齢なのかを混同してしまう場合があった。
【0006】
また、前記「代謝年齢」の表示は、単に年齢を示す数値の増減が表示されるだけのものであるため、表現の多様性に欠け、測定の継続意欲に繋がるものではなかった。特に、代謝が高いほど年齢が低く表されるものであるため、小児の場合、同年代でも代謝の高い小児ほど幼い年齢で表現されてしまい、成長度合いを表すイメージにそぐわない場合があった。
【0007】
また、推定エネルギー必要量を演算する装置は、必要とするエネルギー摂取量をエネルギー量の単位で数値表示することができるものであるが、被験者が、その数値から、どのような食べ物をどのくらい食べたら良いかを知ることは容易ではなかった。
【0008】
更に、前記「食事バランスガイド」は、前述したようにステップ1及びステップ2から食事の目安を得るための対応関係を被験者が覚えておくことは難しく、常に対応表を見なければならないため、使い勝手の悪いものであった。その上、前記分類されるタイプによって推定エネルギー必要量がどの程度かを大まかに知ることはできるが、例えば、非特許文献1に示したように、成長期である小児の推定エネルギー必要量を、エネルギー蓄積量を考慮して演算した場合には、前記分類されるタイプが対応表と異なる場合があった。
【0009】
従って、本発明は、上述の問題を解決し、基礎代謝量に基づいて得られる基礎代謝基準値又は推定エネルギー必要量の各指標(以下、「基礎代謝量関連データ」と言う場合がある。)につき、各指標が持つ意味合いをイメージしやすい表現で表示する生体測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は、被験者の基礎代謝基準値を取得する基礎代謝基準値取得手段と、動物種別に設定した、基礎代謝基準値の範囲に基づいて、基礎代謝基準値を段階的に複数区分した動物代謝テーブルを記憶する動物代謝テーブル記憶手段と、取得した被験者の基礎代謝基準値と動物代謝テーブルとを比較して、前記被験者の基礎代謝基準値が、動物代謝テーブルの何れの基礎代謝基準値の区分に該当するかを判定して、該当する動物を選定する動物判定手段と、選定された動物を表示する表示手段とを備える生体測定装置を提供する。
【0011】
また、被験者の推定エネルギー必要量を取得する推定エネルギー必要量取得手段と、複数区分した推定エネルギー必要量に応じて、栄養バランスに基づく複数の食品グループ毎の食品及びその量たる食事量を設定した食事量テーブルを記憶する食事量テーブル記憶手段と、取得した被験者の推定エネルギー必要量と食事量テーブルとを比較して、前記被験者の推定エネルギー必要量が、食事量テーブルの何れの推定エネルギー必要量の区分に該当するかを判定して、該当する食事量を選定する食事量判定手段とを更に備え、前記表示手段は、選定された食事量を更に表示する。
【0012】
また、被験者の性別を入力する性別入力手段を更に備え、前記動物代謝テーブルは、基礎代謝基準値の各区分の内の少なくとも1区分に、性別に関連付けた2種の動物を設定して成り、前記動物判定手段は、前記被験者の基礎代謝基準値と性別とに基づいて、前記該当する動物を選定し、また、前記食事量テーブルは、各食品グループに複数の食品を設定して成り、更に前記複数の食品の内の少なくとも一つに、前記動物代謝テーブルに設定されている動物に関連付けた食品を設定して成り、前記食事量判定手段は、前記被験者の推定エネルギー必要量と前記動物判定手段にて選定された動物とに基づいて、該当する食事量を選定する。
【0013】
また、被験者の年齢を入力する年齢入力手段と、年齢別の標準的な基礎代謝基準値を記憶する標準値記憶手段とを更に備え、前記動物判定手段は、前記入力された年齢での標準的な基礎代謝基準値と動物代謝テーブルとを比較して、何れの動物種の基礎代謝基準値の範囲に該当するかを判定して、前記標準的な基礎代謝基準値に該当する動物を、被験者の年齢における標準的な動物として選定する。
【0014】
また、被験者の年齢を入力する年齢入力手段を更に備え、前記動物判定手段は、前記入力された年齢が小児と判断される年齢か否かを更に判定し、小児と判断される年齢であると判定された場合には、前記選定された動物よりも基礎代謝基準値が小さい動物を成長目標となる動物として選定する。
【0015】
更に、前記表示手段は、前記選定された動物を表示すると共に、前記動物代謝テーブルにおける前記選定された動物の前後に区分されている複数の動物を更に表示する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の生体測定装置は、被験者の基礎代謝基準値を取得する基礎代謝基準値取得手段と、動物種別に設定した、基礎代謝基準値の範囲に基づいて、基礎代謝基準値を段階的に複数区分した動物代謝テーブルを記憶する動物代謝テーブル記憶手段と、取得した被験者の基礎代謝基準値と動物代謝テーブルとを比較して、前記被験者の基礎代謝基準値が、動物代謝テーブルの何れの基礎代謝基準値の区分に該当するかを判定して、該当する動物を選定する動物判定手段と、選定された動物を表示する表示手段とを備えることから、一般にヒトの基礎代謝基準値が加齢に伴い小さくなる傾向にあるとされるのに対し、動物の基礎代謝基準値は、体重の重い動物、すなわち、体の大きな動物ほど小さくなる傾向にある、という発明者の発見に基づき、ヒトの加齢に伴い体の大きな動物が前記該当する動物として選定される。特に、小児にとっては、成長に伴って体の大きな動物が選定されるため、成長をイメージさせやすいものとなる上に、小児の代謝は成人に比べて急激に変化するものであり、これに応じて表示される動物も大きく変化するため、日々楽しみながら測定でき、測定の継続意欲に繋げることを可能とする。また、成人の場合には、代謝の変化に成長の要因が影響しなくなることから、該当動物が体の大きな動物になるに従って、体重値の増加をイメージしやすいものとなり、ダイエット又は基礎代謝を高めるためきっかけを提供することを可能とする。
【0017】
また、被験者の推定エネルギー必要量を取得する推定エネルギー必要量取得手段と、複数区分した推定エネルギー必要量に応じて、栄養バランスに基づく複数の食品グループ毎の食品及びその量たる食事量を設定した食事量テーブルを記憶する食事量テーブル記憶手段と、取得した被験者の推定エネルギー必要量と食事量テーブルとを比較して、前記被験者の推定エネルギー必要量が、食事量テーブルの何れの推定エネルギー必要量の区分に該当するかを判定して、該当する食事量を選定する食事量判定手段とを更に備え、前記表示手段は、選定された食事量を更に表示することから、取得した推定エネルギー必要量に対してわざわざ食事量の対応表を見るといった手間がかからず、一日に必要な摂取量を一目で知ることを可能とする。特に、小児においては、エネルギー蓄積量を考慮して正確性高く求めた推定エネルギー必要量に応じて、バランスの良い食事量を自動で選択して表示されるため、適正な食事の量とバランスとを知って自分自身で食事をコントロールする力を養うことができるため、やせや肥満を防止でき、将来の生活習慣病予防にも役立たせることを可能とする。
【0018】
また、被験者の性別を入力する性別入力手段を更に備え、前記動物代謝テーブルは、基礎代謝基準値の各区分の内の少なくとも1区分に、性別に関連付けた2種の動物を設定して成り、前記動物判定手段は、前記被験者の基礎代謝基準値と性別とに基づいて、前記該当する動物を選定し、また、前記食事量テーブルは、各食品グループに複数の食品を設定して成り、更に前記複数の食品の内の少なくとも一つに、前記動物代謝テーブルに設定されている動物に関連付けた食品を設定して成り、前記食事量判定手段は、前記被験者の推定エネルギー必要量と前記動物判定手段にて選定された動物とに基づいて、該当する食事量を選定することから、より多彩な表現での表示を可能とする。
【0019】
また、被験者の年齢を入力する年齢入力手段と、年齢別の標準的な基礎代謝基準値を記憶する標準値記憶手段とを更に備え、前記動物判定手段は、前記入力された年齢での標準的な基礎代謝基準値と動物代謝テーブルとを比較して、何れの動物種の基礎代謝基準値の範囲に該当するかを判定して、前記標準的な基礎代謝基準値に該当する動物を、被験者の年齢における標準的な動物として選定することから、特に、小児であれば、代謝について、自分が標準よりも成長しているのか否かが一目で分かる。
【0020】
また、被験者の年齢を入力する年齢入力手段を更に備え、前記動物判定手段は、前記入力された年齢が小児と判断される年齢か否かを更に判定し、小児と判断される年齢であると判定された場合には、前記選定された動物よりも基礎代謝基準値が小さい動物を成長目標となる動物として選定することから、小児にも分かりやすくイメージしやすい目標値が設定され、より測定の継続意欲に繋げることを可能とする。
【0021】
更に、前記表示手段は、前記選定された動物を表示すると共に、前記動物代謝テーブルにおける前記選定された動物の前後に区分されている複数の動物を更に表示することから、より分かりやすい表現での表示を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の生体測定装置は、被験者の基礎代謝基準値を取得する基礎代謝基準値取得手段と、動物種別に設定した、基礎代謝基準値の範囲に基づいて、基礎代謝基準値を段階的に複数区分した動物代謝テーブルを記憶する動物代謝テーブル記憶手段と、取得した被験者の基礎代謝基準値と動物代謝テーブルとを比較して、前記被験者の基礎代謝基準値が、動物代謝テーブルの何れの基礎代謝基準値の区分に該当するかを判定して、該当する動物を選定する動物判定手段と、選定された動物を表示する表示手段とを備える。
【0023】
また、被験者の推定エネルギー必要量を取得する推定エネルギー必要量取得手段と、複数区分した推定エネルギー必要量に応じて、栄養バランスに基づく複数の食品グループ毎の食品及びその量たる食事量を設定した食事量テーブルを記憶する食事量テーブル記憶手段と、取得した被験者の推定エネルギー必要量と食事量テーブルとを比較して、前記被験者の推定エネルギー必要量が、食事量テーブルの何れの推定エネルギー必要量の区分に該当するかを判定して、該当する食事量を選定する食事量判定手段とを更に備え、前記表示手段は、選定された食事量を更に表示するものである。
【0024】
また、被験者の性別を入力する性別入力手段を更に備え、前記動物代謝テーブルは、基礎代謝基準値の各区分の内の少なくとも1区分に、性別に関連付けた2種の動物を設定して成り、前記動物判定手段は、前記被験者の基礎代謝基準値と性別とに基づいて、前記該当する動物を選定し、また、前記食事量テーブルは、各食品グループに複数の食品を設定して成り、更に前記複数の食品の内の少なくとも一つに、前記動物代謝テーブルに設定されている動物に関連付けた食品を設定して成り、前記食事量判定手段は、前記被験者の推定エネルギー必要量と前記動物判定手段にて選定された動物とに基づいて、該当する食事量を選定するものである。
【0025】
また、被験者の年齢を入力する年齢入力手段と、年齢別の標準的な基礎代謝基準値を記憶する標準値記憶手段とを更に備え、前記動物判定手段は、前記入力された年齢での標準的な基礎代謝基準値と動物代謝テーブルとを比較して、何れの動物種の基礎代謝基準値の範囲に該当するかを判定して、前記標準的な基礎代謝基準値に該当する動物を、被験者の年齢における標準的な動物として選定するものである。
【0026】
更に、被験者の年齢を入力する年齢入力手段を更に備え、前記動物判定手段は、前記入力された年齢が小児と判断される年齢か否かを更に判定し、小児と判断される年齢であると判定された場合には、前記選定された動物よりも基礎代謝基準値が小さい動物を成長目標となる動物として選定するものである。
【0027】
更に、前記表示手段は、前記選定された動物を表示すると共に、前記動物代謝テーブルにおける前記選定された動物の前後に区分されている複数の動物を更に表示するものである。
【実施例】
【0028】
本発明の実施例は、基礎代謝量に基づいて基礎代謝基準値及び推定エネルギー必要量を取得し、基礎代謝基準値については、小児でも容易に理解でき且つ楽しんで測定できるように、被験者と同じ基礎代謝基準値を持つ動物に置換して表示し、また、推定エネルギー必要量については、特に、小児のエネルギー蓄積量を考慮して正確性高く求めた推定エネルギー必要量に応じたバランスの良い食事量を自動で選択して表示する生体測定装置を例示するものである。
【0029】
まず、図1を用いて生体測定装置1の構成を説明する。図1は、生体測定装置1の電気回路構成の概要を示すブロック図である。生体測定装置1は、体重測定部2及び生体電気インピーダンス測定部3が、生体測定装置1を制御する制御部を兼ねるCPU4に接続して成り、体組成データや基礎代謝量関連データ等を取得するための演算を行なう演算部5、前記演算された体組成データや基礎代謝量関連データ等に基づいて後述する動物判定及び食事量判定を含む各種比較判定を行なう判定部6、前記演算及び判定に要する式や動物代謝テーブル及び食事量テーブル等を予め記憶し及び各種取得したデータを記憶する記憶部7、各種データ及び判定結果を表示する表示部8、身体データ及び身体活動レベルを入力する入力部を兼ね、生体測定装置1の操作を行なう操作部9及び電力供給源たる電源10を備えて成る。
【0030】
操作部9は、電源スイッチを兼ねる個人識別スイッチを複数個備え、記憶部7において、各スイッチにデータを関連付けて記憶するものとする。
【0031】
次に、図2乃至図7を含めて、生体測定装置1の動作を説明する。図2は、生体測定装置1の動作のメインルーチンのフローチャートを示す図である。図3は、基礎代謝量関連データの演算及び判定サブルーチンのフローチャートを示す図である。図4は、各動物の基礎代謝基準値に基づく動物代謝テーブルを示す図である。図5は、各動物の基礎代謝基準値を示す図である。図6及び図7は、表示例である。
【0032】
図2のメインルーチンにおいて、操作部9の個人識別スイッチの内一つを押して電源オンすると、ステップS1において、個人識別のための各種個人データが登録済みか否か、すなわち、前記個人識別スイッチに関連付けされた各種個人データが記憶部7に記憶されているか否かが判定される。記憶されていない場合にはNOに進み、ステップS2〜ステップS4において、前記個人データたる身体データ及び身体活動レベルを、操作部9を用いて入力し及び前記個人識別スイッチに関連付けて記憶させる。
【0033】
ステップS2では、身体データとして、性別、年齢及び身長を入力する。また、ステップS3では、身体活動レベルとして、レベル1(低い)、レベル2(普通)及びレベル3(高い)から選択して入力するものである。ここで、身体活動レベルの場合分けについては、前述の非特許文献1にて公知のため説明を省略する。更に、ステップS4では、前記入力された身体データ及び身体活動レベルを、電源オンする際に押した個人識別スイッチに関連付けて、記憶部7に記憶することで個人登録を行なう。
【0034】
前記記憶された個人データは、ステップS5において、表示部8に表示される。また、前記ステップS1にて個人登録済みであると判断された場合にはYESに進み、前記ステップS5にて記憶された個人データを表示部に表示する。
【0035】
前記個人データが表示された後、ステップS6において、操作部9の設定スイッチが押されたか否かが判定される。押された場合YESに進み、ステップS2からの個人データの入力及び記憶によって個人データを変更するものであり、押されていない場合NOに進み、ステップS7において、体重測定部2にて、体重測定に足る所定値以上の荷重が検出されたか否かが判定される。荷重が検出されなければNOに進み、再び、ステップS5に戻って個人データの表示を続けると共に、ステップS6にて前記設定スイッチの判定をし、荷重が検出されるまで繰り返す。また、荷重が検出されるとYESに進み、ステップS8において、体重測定部2にて体重を測定し及び生体電気インピーダンス測定部3にて生体電気インピーダンスを測定し、続くステップS9において、測定した体重及び生体電気インピーダンス並びに入力した身体データに基づいて、各種体組成データを演算し、これら体組成データに基づいて被験者の体組成に係る各種判定がなされ、これら測定し又は演算した各データを前記個人識別スイッチに関連付けて記憶部7に記憶する。ここで、ステップS8及びステップS9に関しては、公知であるため詳細な説明を省略する。
【0036】
ステップS10は、図3の基礎代謝量関連データ演算及び判定のサブルーチンを示すフローチャートを用いて後述するが、基礎代謝量及び基礎代謝量関連データの演算並びにこれらの表示に係る各種判定テーブルとの比較判定を行なうものであり、このサブルーチンを抜けると、ステップS11において、前記測定又は演算したデータや前記比較判定されたデータ等を表示部8に表示し、操作部9を用いた電源オフ操作により電源オフして終了する。ここで、この表示部8の表示は、以下に示す、基礎代謝量関連データ演算及び判定のサブルーチンの動作を説明した後に、図6及び図7を用いて説明する。
【0037】
以下、前記図3のフローチャートにより、基礎代謝量関連データ演算及び判定のサブルーチンの動作を説明する。前記図2のステップS10から、このサブルーチンに移行すると、ステップS21において、演算部5にて基礎代謝量を演算する。この基礎代謝量は、予め記憶部7に記憶してある公知の演算式、例えば、
BMR=a×FFM+b×FFM+c×(1/年齢)+d×体重+e
なる式で演算される。ここで、BMRは、基礎代謝量(kcal/日)であり、FFMは、前記図2のメインルーチンのステップS9にて演算された体組成データの内の除脂肪量(kg)であり、a,b,c及びdは、定数である。
【0038】
続くステップS22において、前記演算した基礎代謝量に基づいて、基礎代謝量関連データの内、基礎代謝基準値を演算部5にて演算する。基礎代謝基準値は、予め記憶部7に記憶してある公知の演算式、
基礎代謝基準値=基礎代謝量/体重
なる式で演算される。
【0039】
ステップS23及びステップS24は、前記演算した被験者の基礎代謝基準値と予め設定して記憶部7に記憶してある図4の動物代謝テーブルとを比較して、被験者の基礎代謝基準値がどの動物の持つ基礎代謝基準値に相当するかを比較判定し及び該当する動物(以下、「該当動物」と言う。)を選定する、動物判定に係るステップである。以下、まずは、前記動物代謝テーブルについて詳述する。
【0040】
一般に生物学者の間では、ヒトを含む動物の安静時の代謝率と動物の体のサイズとの関係について、縦軸を代謝率、横軸を体重とする両対数グラフをとると、一本の直線を示す関係であることが知られている。本発明の発明者は、これを鑑み、動物の基礎代謝基準値と体のサイズとの間に、図5に示す関係があることを見出した。図5は、動物種別の平均的な体重値(kg)及び基礎代謝量(kcal/日)から求めた基礎代謝基準値をプロットした図であり、縦軸方向を基礎代謝基準値とし、横軸方向を体重の増減傾向としてプロットしたものである。すなわち、体の小さな動物ほど基礎代謝基準値が大きくなり、体の大きな動物ほど基礎代謝基準値が小さくなるという傾向にあることを示したものである。
【0041】
また、発明者は、前記図5にプロットした関係のみならず、動物種毎に、体重及び代謝量の個体のばらつきを考慮して、各々基礎代謝基準値の範囲を設定することにより、基礎代謝基準値を段階的に区分し、これを、図4に示す動物代謝テーブルとしたものである。
【0042】
ここで、これらの根拠となる動物の体重及び基礎代謝量に関する実測データ等は、以下の参考文献1及び2を参照したものである。
参照文献1:K.シュミットニールセン著,下澤楯夫他2名訳,「スケーリング:動物設計論−動物の大きさは何で決まるのか−」,コロナ社,1998, p.64-65
参照文献2:FRANCIS G. BENEDICT,「VITAL ENERGETICS A STUDY IN COMPARATIVE BASAL METABOLISM」, WASHINGTON,D.C, CARNEGIE INSTITUTION OF WASHINGTON, 1938, p.118(FIG.29), p.175-176(TABLE 4)
【0043】
つまり、ステップS23において、前記動物代謝テーブルを記憶部7から読み込み、判定部6にて、前記演算した被験者の基礎代謝基準値が、前記動物代謝テーブルのどの区分に該当するかを比較判定し、ステップS24において、該当した区分の基礎代謝基準値を持つ動物を選定し及び選定された動物(以下、「該当動物」と言う。)を記憶部7に記憶するものである。例えば、被験者が、体重:18(kg)で基礎代謝量:1001(kcal)の6歳男児である場合、基礎代謝基準値は、55.6(kcal/kg)と演算されることから、前記該当動物は、前記動物代謝テーブルにおいて、基礎代謝基準値:xが55≦x<60である「雌ニワトリ」が選定され及び記憶されるものである。
【0044】
このとき、ヒトの基礎代謝基準値については、加齢に伴って、値が小さくなる傾向にあることが知られている。また、図4の動物代謝テーブルに示す通り、基礎代謝基準値が小さくなるに従って体重の重い動物が該当動物となる。すなわち、前記該当動物は、ヒトの加齢に伴って、体の大きな動物が選定される傾向にある。特に、小児にとっては、成長に伴って、体の大きな動物が該当動物として選定されるため、成長をイメージさせやすいものとなる。
【0045】
また、ステップS25において、前記ステップS21にて演算した基礎代謝量に基づいて、基礎代謝量関連データの内、推定エネルギー必要量を演算部5にて演算する。このとき、背景技術にて述べた通り、成人と小児とで推定エネルギー必要量の演算式が異なることから、各演算式及び年齢区分別に設定した小児のエネルギー蓄積量を、予め記憶部7に記憶しておくものであるとし、前記身体データとして入力された年齢に適する演算式を選択し、前記年齢が17歳以下であった場合には、更に年齢に応じたエネルギー蓄積量も合わせて選択して、推定エネルギー必要量を演算するものであるとする。
【0046】
ステップS26及びステップS27は、前記演算した推定エネルギー必要量と予め設定して記憶部7に記憶してある食事量テーブルとを比較して、被験者の推定エネルギー必要量に応じて、1日に何をどれだけ食べたら良いかを示す食事量たる、栄養バランスに基づく複数の食品グループ毎の食品及びその量を選定する食事量判定に係るステップである。ここでは、推定エネルギー必要量に応じた食事量を選定するための食事量テーブルとして、背景技術に示した、厚生労働省及び農林水産省が公表した「食事バランスガイド」に当てはめるものとし、これに則って食事量を設定するものであるとする。
【0047】
つまり、ステップS26において、前記食事量テーブルたる食事バランスガイドを記憶部7から読み込み、判定部6にて、前記演算した被験者の推定エネルギー必要量が前記食事バランスガイドのタイプ1、2及び3の内の何れのタイプに相当するかを比較判定する。続くステップS27において、前記推定エネルギー必要量の各タイプに応じて設定されている、各食品グループ(ここでは、主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品及び果物)毎の食品及びその量たる食事量を選定して、選定された食事量を記憶部7に記憶するものである。例えば、前記演算された被験者の推定エネルギー必要量が1616(kcal)であるとすると、前記食事バランスガイドとの比較により、被験者の推定エネルギー必要量は、1600〜2000(kcal)の範囲を有するタイプ1に相当すると判定され、前記タイプ1に対応して設定されている食事量として、前記食事バランスガイドにてSV(食事提供量の単位)で表される食事量に相当する料理例を、各食品グループ毎に選定し及び記憶するものである。すなわち、主食4(SV)に相当する「ごはん中盛り」4杯、副菜5(SV)に相当する「野菜サラダ」5皿、主菜3(SV)に相当する「ハンバーグステーキ」1皿、牛乳・乳製品2(SV)に相当する牛乳瓶1本、果物2(SV)に相当する「りんご」1個が、選定され及び記憶されるものである。これらの選定及び記憶が完了すると、図3のサブルーチンを抜けて、再び、図2のメインルーチンに戻る。
【0048】
ここで、前述した通り、図2のフローチャートのステップS11に示した表示について、図6及び図7の表示例を用いて説明する。前記動物代謝テーブルを用いて判定された基礎代謝基準値に係る該当動物に関しては、図6の表示例の如く、演算部5にて演算された基礎代謝量を表示すると共に、絵柄により該当動物を表示する。この表示例では、前記図3のステップS24にて選定及び記憶された該当動物を表示すると共に、動物代謝テーブルにおける前記該当動物の前後の複数の動物を参照表示するものである。例えば、該当動物が「雌ニワトリ」であった場合には、「野鳥」、「ネコ」及び「サル」が表示され、「雌ニワトリ」を点滅させて表示することで該当動物を示すものである。
【0049】
また、前記食事量テーブルを用いて判定された推定エネルギー必要量に係る食事量に関しては、図7の表示例の如く、演算部5にて演算された推定エネルギー必要量を表示すると共に、絵柄により栄養バランスに基づく前記各食品グループの組合せを表示する。この表示例では、前記図3のステップS27にて選定及び記憶された具体的な各食品グループの料理例を図示するものである。このとき、図6及び図7に例示した表示は、操作部9で表示を切替えて表示できるものであるとする。
【0050】
なお、図4に示す動物代謝テーブルは、基礎代謝基準値の各区分の内、少なくとも1区分に、ヒトの性別に関連付けた2種の動物を設定して成るものとし、図3のフローチャートのステップS24の該当動物の選定に際し、被験者の基礎代謝基準値に該当すると判定された前記動物代謝テーブルの区分において、判定部6にて、前記性別に関連付けた2種の動物が設定されているか否かを更に判定し、設定されていると判定された場合には、身体データとして入力した被験者の性別によって、更に動物を選定しても良い。これにより、該当動物を被験者自身の性別と関連付けてイメージしやすい。
【0051】
また、食事量テーブルは、各食品グループに複数の食品を設定して成るものであるとし、更に、各食品グループの内、少なくとも1グループに、前記動物代謝テーブルに設定してある動物に関連付けた食品を設定して成るものとし、ステップS27の食事量の選定に際し、被験者の推定エネルギー必要量に基づいて選定された食事量において、判定部6にて、前記該当動物に関連付けた食品が設定されているか否かを更に判定し、設定されていると判定された場合には、前記該当動物の内、前記該当動物に応じた食品を選定しても良い。例えば、前記食事量テーブルが、食品グループ「果物」において、グループ内に複数設定されてある果物の内、「バナナ」に前記動物代謝テーブルに設定されてある「サル」を関連付けて設定して成るとすると、前記該当動物に「サル」が選定された場合に、果物のグループでは「バナナ」が選定されるとするものである。
【0052】
また、前記該当動物は、被験者の基礎代謝基準値に該当する動物を選定したものであったが、前記記憶部7は、年齢別の標準的な基礎代謝基準値を更に記憶しておくものであるとし、判定部6にて、被験者の年齢に応じた基礎代謝基準値を呼び出し、前記動物代謝テーブルと比較することにより、その年齢における標準的な動物を提示することも可能であり、表示部8にて、該当動物と共に表示しても良い。
【0053】
更に、図6の表示例において、該当動物の表示と共に、動物代謝テーブルのその前後に区分されている複数の動物を参照表示するものとしたが、前述したように、ヒトの加齢に伴って該当動物は体の大きな動物になる傾向があり、小児の成長をイメージさせるものであることから、例えば、判定部6は、入力された年齢が小児と判断される年齢であるか否かを更に判定するものであるとし、小児と判定された場合に、前記表示部8は、前記参照表示した動物の内、現在の該当動物よりも基礎代謝基準値が小さい動物、すなわち、体の大きな動物を次の成長目標となる動物として示しても良い。表示例では、「ネコ」又は「サル」を目標となる動物とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】生体測定装置1の電気回路構成の概要を示すブロック図である。
【図2】生体測定装置1の動作のメインルーチンのフローチャートを示す図である。
【図3】基礎代謝量関連データの演算及び判定サブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図4】各動物の基礎代謝基準値に基づく動物代謝テーブルを示す図である。
【図5】各動物の基礎代謝基準値を示す図である。
【図6】表示例
【図7】表示例
【符号の説明】
【0055】
1 生体測定装置
2 体重測定部
3 生体電気インピーダンス測定部
4 CPU
5 演算部
6 判定部
7 記憶部
8 表示部
9 操作部
10 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の基礎代謝基準値を取得する基礎代謝基準値取得手段と、
動物種別に設定した、基礎代謝基準値の範囲に基づいて、基礎代謝基準値を段階的に複数区分した動物代謝テーブルを記憶する動物代謝テーブル記憶手段と、 取得した被験者の基礎代謝基準値と動物代謝テーブルとを比較して、前記被験者の基礎代謝基準値が、動物代謝テーブルの何れの基礎代謝基準値の区分に該当するかを判定して、該当する動物を選定する動物判定手段と、
選定された動物を表示する表示手段とを備えることを特徴とする生体測定装置。
【請求項2】
被験者の推定エネルギー必要量を取得する推定エネルギー必要量取得手段と、
複数区分した推定エネルギー必要量に応じて、栄養バランスに基づく複数の食品グループ毎の食品及びその量たる食事量を設定した食事量テーブルを記憶する食事量テーブル記憶手段と、 取得した被験者の推定エネルギー必要量と食事量テーブルとを比較して、前記被験者の推定エネルギー必要量が、食事量テーブルの何れの推定エネルギー必要量の区分に該当するかを判定して、該当する食事量を選定する食事量判定手段とを更に備え、
前記表示手段は、選定された食事量を更に表示することを特徴とする請求項1記載の生体測定装置。
【請求項3】
被験者の性別を入力する性別入力手段を更に備え、
前記動物代謝テーブルは、基礎代謝基準値の各区分の内の少なくとも1区分に、性別に関連付けた2種の動物を設定して成り、
前記動物判定手段は、前記被験者の基礎代謝基準値と性別とに基づいて、前記該当する動物を選定することを特徴とする請求項1又は2記載の生体測定装置。
【請求項4】
前記食事量テーブルは、各食品グループに複数の食品を設定して成り、更に前記複数の食品の内の少なくとも一つに、前記動物代謝テーブルに設定されている動物に関連付けた食品を設定して成り、
前記食事量判定手段は、前記被験者の推定エネルギー必要量と前記動物判定手段にて選定された動物とに基づいて、該当する食事量を選定することを特徴とする請求項1又は2記載の生体測定装置。
【請求項5】
被験者の年齢を入力する年齢入力手段と、
年齢別の標準的な基礎代謝基準値を記憶する標準値記憶手段とを更に備え、
前記動物判定手段は、前記入力された年齢での標準的な基礎代謝基準値と動物代謝テーブルとを比較して、何れの動物種の基礎代謝基準値の範囲に該当するかを判定して、前記標準的な基礎代謝基準値に該当する動物を、被験者の年齢における標準的な動物として選定することを特徴とする請求項1乃至4記載の生体測定装置。
【請求項6】
被験者の年齢を入力する年齢入力手段を更に備え、
前記動物判定手段は、前記入力された年齢が小児と判断される年齢か否かを更に判定し、小児と判断される年齢であると判定された場合には、前記選定された動物よりも基礎代謝基準値が小さい動物を成長目標となる動物として選定することを特徴とする請求項1乃至4記載の生体測定装置。
【請求項7】
前記表示手段は、前記選定された動物を表示すると共に、前記動物代謝テーブルにおける前記選定された動物の前後に区分されている複数の動物を更に表示することを特徴とする請求項1乃至6記載の生体測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−131977(P2008−131977A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318355(P2006−318355)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【Fターム(参考)】