説明

生体測定装置

【課題】身体の状態に基づいて生活機能体力年齢を測定する生体測定装置を提供する。
【解決手段】生体測定装置1は、身体の特定部位の生体電気インピーダンスを測定する部位インピーダンス測定部200を備え、CPU170は、身体の特定部位の筋量に比例した部位筋量率を取得する。第1記憶部120は部位筋量率と生活機能体力年齢との対応関係を示す生活機能体力年齢推定基礎データを予め記憶する。CPU170は、生活機能体力年齢推定基礎データを参照し、部位筋量率部位筋量率に対応する生活機能体力年齢を演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加齢に伴う生活機能低下の指標を測定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
健康な日常生活を維持するためには、生活環境に適応できる身体能力が必要とされる。年を重ねること(以下、加齢と称する)により、身体能力は低下する。高齢者における個人間の身体能力の差異には骨格筋機能の関与が大きく、一般的には加齢に伴って骨格筋が萎縮することが知られている(。
また、健康に関する指標を簡便に測定する装置として体脂肪計が知られている。体脂肪計は、体重や身体部位間の生体電気インピーダンスを測定することによって全身の体脂肪に関する値(例えば、全身の脂肪率)を推定する。さらに、全身を9個の部位に細分化して、生体電気インピーダンスを測定することも知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】WO2002/043586号公報(図1及び図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の体脂肪計では、体脂肪率などの健康状態を知ることができても、体脂肪について知識のない被験者にとっては、自らの健康状態を理解することが難しかった。また、肥満の程度について示唆があったとしても、そのグレーディングは、それほど細かいものではなかった。さらに、自己の体力を客観的に知るには、力を振り絞る体力測定が必要であり、特に、お年寄りの被験者にとっては、負荷が重く、故障のリスクが高いものであった。このため、厚生労働省の体力測定ガイドにおいても、測定項目から背筋力測定が削除されるに至った。
そこで、本発明は、生活に必要な機能を発揮させる体力を年齢に換算した生活機能体力年齢を被験者に負荷をかけることなく生成する生体測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明に係る生体測定装置は、生活に必要な機能を発揮させる体力を年齢に換算した生活機能体力年齢を生成するものであって、身体の特定部位の生体電気インピーダンスを測定する測定手段と、身体の特定部位の筋量に比例した部位筋量率を取得する部位筋量率取得手段と、部位筋量率と生活機能体力年齢との対応関係を示す生活機能体力年齢推定基礎データを予め記憶する生活機能体力年齢推定基礎データ記憶手段と、前記生活機能体力年齢推定基礎データ記憶手段に予め記憶した生活機能体力年齢推定基礎データを参照し、前記部位筋量率取得手段により取得した部位筋量率に対応する生活機能体力年齢を演算する生活機能体力年齢演算手段とを備える。
【0006】
人の骨格筋は加齢に伴って萎縮するので、筋量は次第に減少する。この発明よれば、筋量を生体インピーダンスに基づいて測定するので、簡易な構成で部位筋量率を演算により求めることができ、さらに部位筋量率と生活機能体力年齢との対応関係を記憶しているので、生活機能体力年齢を生成することができる。
【0007】
ここで、前記部位筋量率は、下肢筋量/体重、下肢筋量/身長、上肢筋量/体重、上肢筋量/身長、上肢筋量/下肢筋量、下肢左右差筋量/下肢左筋量、下肢左右差筋量/下肢右筋量、下肢左右差筋量/下肢(左右和)筋量、体幹腹部筋量/体重、体幹腹部筋量/身長、下肢除脂肪量/体重、下肢除脂肪量/身長、上肢除脂肪量/体重、上肢除脂肪量/身長、上肢除脂肪量/下肢筋量、上肢筋量/下肢除脂肪量、上肢除脂肪量/下肢除脂肪量、下肢左右差除脂肪量/下肢左筋量、下肢左右差除脂肪量/下肢右筋量、下肢左右差除脂肪量/下肢(左右和)筋量、下肢左右差筋量/下肢左除脂肪量、下肢左右差筋量/下肢右除脂肪量、下肢左右差筋量/下肢(左右和)除脂肪量、体幹腹部除脂肪量/体重又は体幹腹部除脂肪量/身長の少なくとも一つであることが好ましい。なお、下肢(左右和)筋量とは、下肢左筋量と下肢右筋量との和を意味する。また、下肢(左右和)除脂肪量とは、下肢左除脂肪量と下肢右除脂肪量との和を意味する。
【0008】
また、前記部位筋量率は、下肢近位筋量/体重、下肢近位筋量/身長、上肢近位筋量/体重、上肢近位筋量/身長、上肢近位筋量/下肢近位筋量、下肢近位左右差筋量/下肢近位左筋量、下肢近位左右差筋量/下肢近位右筋量、下肢近位左右差筋量/下肢近位(左右和)筋量、下肢近位除脂肪量/体重、下肢近位除脂肪量/身長、上肢近位除脂肪量/体重、上肢近位除脂肪量/身長、上肢近位除脂肪量/下肢近位筋量、上肢近位筋量/下肢近位除脂肪量、上肢近位除脂肪量/下肢近位除脂肪量、下肢近位左右差除脂肪量/下肢近位左筋量、下肢近位左右差除脂肪量/下肢近位右筋量、下肢近位左右差除脂肪量/下肢近位(左右和)筋量、下肢近位左右差筋量/下肢近位左除脂肪量、下肢近位左右差筋量/下肢近位右除脂肪量又は下肢近位左右差筋量/下肢近位(左右和)除脂肪量の少なくとも一つであることが好ましい。なお、下肢近位(左右和)筋量とは左大腿筋量と右大腿筋量との和を意味し、下肢近位(左右和)除脂肪量とは、下肢近位左除脂肪量と下肢近位右除脂肪量との和を意味する。
【0009】
また、前記部位筋量率は、近位筋量と遠位筋量との比、右大腿筋量と右下腿筋量との比、左大腿筋量と左下腿筋量との比、左右大腿筋量の平均と左右下腿筋量の平均との比、右上腕筋量と右前腕筋量との比、左上腕筋量と左前腕筋量との比、左右上腕筋量の平均と左右前腕筋量の平均との比の少なくとも一つであることが好ましい。近位筋量/遠位筋量等は筋量の比であるため、個々人の筋繊維構造の違いや質的個人差を除去できる。したがって、生活機能体力年齢を高い精度で取得することが可能となる。よって、老齢に差し掛かる前の壮年期において、予兆的な微小な加齢変化を個々人の自己管理用の情報として有効に活用することができる。
【0010】
さらに、前記部位筋量率は、左肢筋量及び右肢筋量の差分、左下肢筋量及び右下肢筋量の差分、左上肢筋量及び右上肢筋量の差分、右大腿筋量及び左大腿筋量の差分、右下腿筋量及び左下腿筋量の差分、右上腕筋量及び左上腕筋量の差分、右前腕筋量及び左前腕筋量の差分の少なくとも一つであることが好ましい。加齢に伴い左右の筋量のバランスが崩れるので、これを検知することによって、老齢に差し掛かる前の壮年期において、予兆的な微小な加齢変化を個々人の自己管理用の情報として有効に活用することができる。
【0011】
上述した生体測定装置において、前記部位筋量率取得手段は、身体の特定部位の長さを示す部位長を取得する部位長取得手段と、部位インピーダンス及び部位長と部位筋量との対応関係を示す部位筋量推定基礎データを予め記憶する部位筋量推定基礎データ記憶手段と、前記部位筋量推定基礎データ記憶手段を参照し、前記部位インピーダンス測定手段により測定した部位インピーダンス及び前記部位長取得手段により取得した部位長に対応する部位筋量を演算する部位筋量演算手段と、前記部位筋量演算手段による演算に基づく部位筋量を体重又は身長で除して部位筋量率を演算する部位筋量率演算手段とを備えることが好ましい。
【0012】
また上述した生体測定装置において、被験者の実際の年齢を入力する入力手段と、前記被験者の実際の年齢と前記生活機能体力年齢とに基づいて、前記被験者の健康向上のための助言を示すアドバイス情報を生成するアドバイス情報生成手段とを備えることが好ましい。このアドバイス情報生成手段は、実際の年齢と生活機能体力年齢とに基づいてアドバイス情報を生成するので、現在の健康状態について的確な助言を行うことができる。
【0013】
また上述した生体測定装置は、左肢筋量及び右肢筋量の差分、左下肢筋量及び右下肢筋量の差分、左上肢筋量及び右上肢筋量の差分、右大腿筋量及び左大腿筋量の差分、右下腿筋量及び左下腿筋量の差分、右上腕筋量及び左上腕筋量の差分、右前腕筋量及び左前腕筋量の差分の少なくとも一つに基づいて、将来の生活機能体力年齢を推定する推定手段を備え、推定された将来の生活機能体力年齢を前記被験者の健康向上のための助言を示すアドバイス情報として生成するアドバイス情報生成手段とを備えることが好ましい。筋量の左右差は、壮年期においては小さくても、加齢に伴って左右差が拡大し、将来的に筋力の弱い側の関節に故障を抱えることになる確率が高い。この発明によれば、筋量の左右差に基づいて、このまま推移した場合の将来の生活機能体力年齢を推定するので、故障が発生する前に、問題点を被験者に明らかにして、健康状態の自己管理を強く促すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<1.第1実施形態>
<1−1:生体測定装置の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る生体測定装置1の構成を示すブロック図である。この生体測定装置1は、体重を測定すると共に装置全体の動作を管理する管理部100と、被験者の各部位の生体電気インピーダンスを測定する生体電気インピーダンス測定部200とを備える。管理部100は、体重計110、第1記憶部120、第2記憶部130、印刷部140、入力部150、並びに表示部160を備える。これらの構成要素は、バスを介してCPU(Central Processing Unit)170と接続されている。CPU170は、装置全体を制御する制御中枢として機能する。なお、CPU170は図示せぬクロック信号発生回路からクロック信号の供給を受けて動作する。また、各構成要素には図示せぬ電源スイッチがオン状態になると、電源回路から電源が供給される。
【0015】
体重計110は、被験者の体重を測定して体重データをバスを介してCPU170に出力する。第1記憶部120は、不揮発性のメモリであって、例えばROM(Read Only Memory)で構成される。第1記憶部120には、装置全体を制御する制御プログラムが記憶されている。CPU170は、制御プログラムに従って後述する所定の演算を実行することにより、被験者の生活機能体力年齢を生成する。
ここで、生活機能体力年齢とは、生活機能体力に着目して人の老化の程度を示す年齢であって、実際の年齢とは異なる。人が健康な生活を営むためには、基礎となる体力が必要となる。例えば、歩くことや物を持ち上げるためには、筋力が必要とされるが、加齢に伴い筋力は次第に衰える。しかしながら、その程度は個々人によってばらつく。すなわち、60歳代であっても40歳代の体力を維持している人もいれば、40歳代であっても50歳代の体力の人もいる。生活機能体力年齢は、生活機能体力に依拠した加齢の程度を示す指標である。
【0016】
第2記憶部130は、揮発性のメモリであり、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等によって構成される。第2記憶部130はCPU170の作業領域として機能し、CPU170が所定の演算を実行する際にデータを記憶する。また、印刷部140は、体重や生活機能体力年齢といった測定結果やアドバイス情報を、CPU170の制御の下、用紙に印刷して出力する。
【0017】
入力部150は、各種のスイッチから構成され、被験者がスイッチを操作すると、身長、年齢、及び性別といった情報が入力される。表示部160は、体重や生活機能体力年齢といった測定結果やアドバイス情報を知らせる機能、あるいは被験者に各種の情報の入力を促すメッセージを表示する機能を有し、例えば、液晶表示装置などで構成される。
【0018】
次に、インピーダンス測定部200は、生体電気インピーダンスを測定する。インピーダンス測定部200は、交流電流出力回路210、基準電流検出回路220、電位差検出回路230、A/D変換器240、電極切換回路251及び252を備える。
交流電流出力回路210は、制御プログラムで定められた周波数の交流信号を、制御プログラムで定められた実効値となるように基準電流Irefを生成する。基準電流検出回路220は、被測定対象に流れる基準電流Irefの大きさを検出して電流データDiとしてCPU170に出力するとともに、被験者(人体)に基準電流Irefを通電する。この場合、電極切換回路252は、電流電極X1〜X4の中から2つを選択して電流を供給する。
さらに、電位差検出回路230は、電圧電極Y1〜Y12の中から選択された2つの電圧電極の間の電位差を検出して電位差信号ΔVを生成する。A/D変換器240は電位差信号ΔVをアナログ信号からデジタル信号に変換し電圧データDvとしてCPU170に出力する。CPU170は電圧データDvと電流データDiとに基づいて生体電気インピーダンスZ(=Dv/Di)を計算する。
【0019】
第1記憶部120は、次ぎの各種データを少なくとも予め記憶する。
1)身長を含む身体特定情報(身長、身長と性別、身長と年齢、又は身長と性別と年齢)と各種の部位長(上肢長、下肢長、体幹長)との対応関係を示す部位長推定基礎データ。より具体的には、部位長推定基礎データは、身長が高くなるに従って各種の部位長も長くなるといった身体を構成する関係に基づいて表されるデータ(相関式又は相関テーブルの形式)である。
2)各部位のインピーダンス及び部位長と、当該部位の筋量との対応関係を示す部位筋量推定基礎データ。より具体的には、部位筋量推定基礎データは、部位インピーダンスをZf、部位長をLf、部位筋量をMf、α1、β1を定数として、以下に示す式(1)で与えられる。
Mf=α1×Lf/Zf+β1…(1)
なお、身体の部位としては、体幹、右大腿、右下腿、右上腕、右前腕、左大腿、左下腿、左上腕、及び左前腕が含まれる。また、部位インピーダンスを上肢、下肢に分けて測定する場合には、部位長を上肢長、下肢長として記憶する。
3)各部位筋量/体重と生活機能体力年齢との対応関係を示す生活機能体力年齢推定基礎データ。より具体的には、生活機能体力年齢推定基礎データは、相関式又は相関テーブルの形式で与えられる。
【0020】
CPU170は、体重、各種の部位インピーダンス(例えば、上肢インピーダンス、下肢インピーダンス、体幹インピーダンス)、各種の部位長(例えば、上肢長、下肢長、体幹長)、部位筋量、部位筋量/体重、生活機能体力年齢等を演算し、かつ、各種の入出力、測定、演算等について制御する。なお、部位インピーダンスなどに基づいて、内臓脂肪/皮下脂肪、内臓脂肪量、皮下脂肪率、皮下脂肪量、全身の脂肪率、身体の各部位の脂肪率(上肢脂肪率、下肢脂肪率、体幹脂肪率など)を演算することもできる。
さらに、CPU170は、各種の部位インピーダンスに基づいて、各部位の除脂肪量を算出することができる。この場合、第1記憶部120は、各部位インピーダンスと各部位の除脂肪量との対応関係を示す部位除脂肪量推定基礎データを記憶する。より具体的には、体重、身長、性別、年齢、BMI(体重/身長)の少なくとも1つをパラメータとし、部位インピーダンスをパラメータとする回帰式により求めることができる。そのような回帰式は、例えば、式(2)で与えられる。
DF=α2×Zf+β2×Wt+γ2…(2)
但し、DFは、各部位の除脂肪量、Wtは体重、α2、β2、及びγ2は重回帰により得られた定数である。
【0021】
図2に、生体測定装置1の外観例を示し、図3に電極の配置を示す。生体測定装置1は、チェア型をしており、足先に電流電極X1及びX3が配置され、掌の部分に電流電極X2及びX4が配置される。このような電極配置によって、身体の各部位の生体電気インピーダンスを詳細に測定することが可能となる。なお、座面の下部には、体重計110が配置されており、被験者が座ると、体重が測定できるようになっている。
【0022】
<1−2:生体測定装置の動作>
図4は、生体測定装置1の動作を示すフローチャートである。まず、入力部150における電源スイッチ(図示省略)がオンされると、図示せぬ電力供給部から電気系統各部に電力を供給し、表示部160により身長を含む身体特定情報(身長、性別、年齢など)を入力するための画面を表示する(ステップS1)。
続いて、入力部150から身長、性別、年齢等が入力されると、体重計110により体重が測定され、CPU170は体重を取得する(ステップS2)。
【0023】
この後、インピーダンス測定部200により、各種の部位インピーダンス(上肢インピーダンス、下肢インピーダンス、体幹インピーダンス)に基因する電圧データDvと電流データDiを測定し、CPU170は、これらに基づいて部位インピーダンスを各々演算する(ステップS3)。続いて、CPU170は、生活機能体力年齢を演算する(ステップS4)。
【0024】
図5に生活機能体力年齢の演算処理の内容を示す。CPU170は、第1記憶部120に予め記憶した部位長推定基礎データを参照し、入力部150から入力された身長を含む身体特定情報(身長、身長と性別、身長と年齢、又は身長と性別と年齢)に対応する各種の部位長(上肢長、下肢長、体幹長)を演算する(ステップS11)。
次に、CPU170は、先に演算した下肢インピーダンスとこの演算した下肢長とを第1記憶部120に予め記憶した部位筋量推定基礎データ(式(1))に代入することによって、下肢筋量を演算する(ステップS12)。続いて、CPU170は、演算した下肢筋量を先に演算した体重で除すことによって下肢筋量/体重を演算する(ステップS13)。さらに、CPU170は、続いて、第1記憶部120に予め記憶した生活機能体力年齢推定基礎データ(図6)を参照し、この演算した下肢筋量/体重(例えば、a2)に対応する生活機能体力年齢(例えば、b2)を演算する(ステップS14)。
この後、CPU170は、演算で得られた生活機能体力年齢を表示部160に表示すると共に、アドバイス情報を表示する。アドバイス情報は、被験者に生活上の注意を促すものや、健康面で自信に繋がる情報である。具体的には、CPU170は、生活機能体力年齢と実年齢の差分を演算し、この差分と生活機能体力年齢に基づいて、アドバイス情報を生成する。第1記憶部120には、差分及び生活機能体力年齢とアドバイス情報とが対応付けられて記憶されている。例えば、実年齢が48歳で生活機能体力年齢が50歳の場合には、「適度な運動を心がけましょう。毎日の運動が老化を防止します。」といったものである。
【0025】
本実施形態で着目したのは、下肢筋量であって、大腿筋量と下腿筋量との合計である。日常生活における運動は、重力に抗して身体を動かすことにある。そして、体重を支える下肢筋量は、加齢に伴って減少する傾向にある。このため、下肢筋量は、生活機能体力年齢と相関が認められる。よって、本実施形態によれば、生活機能体力年齢を推定することができる。
【0026】
なお、生体測定装置1においては、下肢筋量/体重を部位筋量率として取得したが、他の抗重力部位筋量率(好ましくは、下肢筋量/身長、下肢除脂肪量/体重、下肢除脂肪量/身長、下肢近位筋量/体重、下肢近位筋量/身長、下肢近位除脂肪量/体重、下肢近位除脂肪量/身長)を部位筋量率として取得してもよい。ここで、下肢近位とは、下肢の中で体幹に近い部分である。具体的には、下肢を膝から上の大腿と膝から下の下腿とに分けた場合、大腿を意味する。大腿筋は、特に、重力に抗して身体を支える役割を担うので、加齢との相関が高い。よって、大腿筋量によって生活機能体力年齢の精度を向上させることができる。
【0027】
<2.第2実施形態>
第2実施形態に係る生体測定装置1は、図5を参照して説明した生体機能体力年齢の演算処理を除いて、第1実施形態の生体測定装置1と同様に構成されている。図7に第2実施形態に係る生体機能体力年齢の演算の処理内容を示す。
【0028】
まず、CPU170により、第1記憶部120に予め記憶した部位長推定基礎データを参照し、入力部150から入力された身長、身長と性別、身長と年齢、又は身長と性別と年齢に対応する上肢長及び下肢長を演算する(ステップS21)。
続いて、CPU170により、先に演算した下肢インピーダンスとこの演算した下肢長とを第1記憶部120に予め記憶した部位筋量推定基礎データ(式(1))に代入することによって、下肢筋量を演算し、また、先に演算した上肢インピーダンスとこの演算した上肢長とを第1記憶部120に予め記憶した部位筋量推定基礎データに代入することによって、上肢筋量を演算する(ステップS22)。なお、下肢筋量と上肢筋量とを演算する場合には、上述した式(1)において定数が相違する。
【0029】
次に、CPU170は、これら演算した下肢筋量と上肢筋量とをそれぞれ先に取得した体重で除すことによって下肢筋量/体重及び上肢筋量/体重を演算する(ステップS23)。
続いて、CPU170により、この演算した下肢筋量/体重が、下肢筋量/体重と生活機能体力年齢との対応関係を示す生活機能体力年齢推定基礎データ(図6)を作った際に、下肢筋量/体重に対して、病的者が多かった範囲、標準者が多かった範囲、アスリート者が多かった範囲に区分される範囲うちの標準者が多かった範囲に属しているか否かを判定する(ステップS24)。
【0030】
続いて、CPU170により、標準者が多かった範囲に属していない場合には(ステップ24でNO)、第1記憶部120に予め記憶した下肢筋量/体重と生活機能体力年齢との対応関係を示す生活機能体力年齢推定基礎データ(図6)を選択参照し(ステップS25)、この演算した下肢筋量/体重(例えば、a2)に対応する生活機能体力年齢(例えば、b2)を演算し(ステップS27)、このモードを抜ける。
【0031】
一方、標準者が多かった範囲に属している場合には(ステップS24でYES)、第1記憶部120に予め記憶した上肢筋量/体重と生活機能体力年齢との対応関係を示す生活機能体力年齢推定基礎データ(図8)を選択参照し(ステップS26)、この演算した上肢筋量/体重(例えば、a4)に対応する生活機能体力年齢(例えば、b4)を演算し(ステップS27)、このモードを抜ける。
【0032】
本実施形態の生体測定装置1によれば、下肢部位における筋量率の属する範囲(標準者が多かった範囲であるか否か)を判定した後、標準者が多かった範囲であった場合には、更に、上肢部位における部位筋量率を考慮して生活機能体力年齢を演算するため、標準者が多かった範囲についての生活機能体力年齢をより細やかに推定することができる。これは、下肢部位は抗重力の機能を有するため、アスリートや病弱者と、標準者とでは筋力に大きな相違が見られるため、標準者の範囲が狭いのに対し、上肢部位の筋量は、アスリート、標準者、及び病弱者の間で大きな相違が見られないからである。
【0033】
なお、第2実施形態の生体測定装置においては、下肢筋量/体重と上肢筋量/体重とを部位筋量率として取得したが、他の抗重力部位筋量率(好ましくは、下肢筋量/身長、下肢除脂肪量/体重、下肢除脂肪量/身長、下肢近位筋量/体重、下肢近位筋量/身長、下肢近位除脂肪量/体重、下肢近位除脂肪量/身長)と、他の非抗重力部位筋量率(好ましくは、上肢筋量/身長、上肢除脂肪量/体重、上肢除脂肪量/身長、上肢近位筋量/体重、上肢近位筋量/身長、上肢近位除脂肪量/体重、上肢近位除脂肪量/身長)とを部位筋量率として取得してもよい。
【0034】
<3.第3実施形態>
第3実施形態に係る生体測定装置1は、図5を参照して説明した生体機能体力年齢の演算処理を除いて、第1実施形態の生体測定装置1と同様に構成されている。図9に第3実施形態に係る生体機能体力年齢の演算の処理内容を示す。
まず、CPU170により、第1記憶部120に予め記憶した部位長推定基礎データを参照し、入力部150から入力された身長、身長と性別、身長と年齢、又は身長と性別と年齢に対応する上肢長及び下肢長を演算する(ステップS31)。
【0035】
続いて、CPU170により、先に演算した下肢インピーダンスとこの演算した下肢長とを第1記憶部120に予め記憶した部位筋量推定基礎データに代入することによって、下肢筋量を演算し、また、先に演算した上肢インピーダンスとこの演算した上肢長とを第1記憶部120に予め記憶した部位筋量推定基礎データに代入することによって、上肢筋量を演算する(ステップS32)。
【0036】
続いて、CPU170により、この演算した下肢筋量を先に取得した体重で除すことによって下肢筋量/体重を演算し、また、この演算した上肢筋量をこの演算した下肢筋量で除すことによって上肢筋量/下肢筋量を演算する(ステップS33)。
【0037】
続いて、CPU170により、この演算した下肢筋量/体重が、下肢筋量/体重と生活機能体力年齢との対応関係を示す生活機能体力年齢推定基礎データ(図6)を作った際に、下肢筋量/体重に対して、病的者が多かった範囲、標準者が多かった範囲、アスリート者が多かった範囲に区分される範囲うちの病的者が多かった範囲に属しているか否かを判定する(ステップS34)。
【0038】
続いて、CPU170により、病的者が多かった範囲に属している場合には(ステップS34でYES)、第1記憶部120に予め記憶した下肢筋量/体重と生活機能体力年齢との対応関係を示す生活機能体力年齢推定基礎データ(図6)を選択参照し(ステップS36)、この演算した下肢筋量/体重(例えば、a1)に対応する生活機能体力年齢(例えば、b1)を演算し(ステップS37)、このモードを抜ける。
【0039】
一方、病的者が多かった範囲に属していない場合には(ステップS34でNO)、第1記憶部120に予め記憶した上肢筋量/下肢筋量と生活機能体力年齢との対応関係を示す生活機能体力年齢推定基礎データ(図10)を選択参照し(ステップS35)、この演算した上肢筋量/下肢筋量(例えば、a5)に対応する生活機能体力年齢(例えば、b5)を演算し(ステップS37)、このモードを抜ける。
【0040】
本実施形態の生体測定装置は、抗重力部位筋量率の属する範囲(病的者が多かった範囲であるか否か)を判定した後、病的者が多かった範囲でなかった場合には、更に、非抗重力部位筋量率(上肢筋量/下肢筋量)を考慮して生活機能体力年齢を演算するため、病的者が多かった範囲でない範囲についての生活機能体力年齢をより正確に推定することができる。
【0041】
なお、第3実施形態の生体測定装置1においては、部位筋量率の取得において、下肢筋量/体重と上肢筋量/下肢筋量とを部位筋量率として取得したが、他の抗重力部位筋量率(好ましくは、下肢筋量/身長、下肢除脂肪量/体重、下肢除脂肪量/身長、下肢近位筋量/体重、下肢近位筋量/身長、下肢近位除脂肪量/体重、下肢近位除脂肪量/身長)と、他の非抗重力部位筋量率(好ましくは、上肢近位筋量/下肢近位筋量、上肢除脂肪量/下肢筋量、上肢筋量/下肢除脂肪量、上肢除脂肪量/下肢除脂肪量、上肢近位除脂肪量/下肢近位筋量、上肢近位筋量/下肢近位除脂肪量、上肢近位除脂肪量/下肢近位除脂肪量)とを部位筋量率として取得してもよい。
【0042】
<4.第4実施形態>
第4実施形態に係る生体測定装置1は、図5を参照して説明した生体機能体力年齢の演算処理を除いて、第1実施形態の生体測定装置1と同様に構成されている。図11に第4実施形態に係る生体機能体力年齢の演算の処理内容を示す。
まず、CPU170により、第1記憶部120に予め記憶した部位長推定基礎データを参照し、入力部150から入力された身長、身長と性別、身長と年齢、又は身長と性別と年齢に対応する近位部位長及び遠位部位長を演算する(ステップS41)。ここで、近位部位は大腿と上腕であり、遠位部位は下腿と前腕である。近位部位長は、右大腿、左大腿、右上腕、及び左上腕の長さの合計であり、遠位部位長は、右下腿、左下腿、右前腕、及び左前腕の長さの合計である。
【0043】
続いて、CPU170により、先に演算した近位部位インピーダンスとこの演算した近位部位長とを第1記憶部120に予め記憶した部位筋量推定基礎データに代入することによって、近位筋量を演算し、また、先に演算した遠位部位インピーダンスとこの演算した遠位部位長とを第1記憶部120に予め記憶した部位筋量推定基礎データに代入することによって、遠位筋量を演算する(ステップS42)。
【0044】
続いて、CPU170により、近位筋量を遠位筋量で除すことによって近位筋量/遠位筋量を演算する(ステップS43)。さらに、CPU170は、第1記憶部120に予め記憶した近位筋量/遠位筋量と生活機能体力年齢との対応関係を示す生活機能体力年齢推定基礎データを選択参照し(ステップS44)、この演算した近位筋量/遠位筋量(例えば、図12に示すa6)に対応する生活機能体力年齢(例えば、b6)を演算する(ステップS45)。
【0045】
第4実施形態によれば、体重で除する演算が不要となるので、演算処理が簡素化されるともに、体重を測定しなくてもよい。したがって、生体測定装置1において体重計110を除くこともできる。しかも、近位筋量及び遠位筋量を生体電気インピーダンス法によって推定したので、簡易に測定を行うことが可能となる。
また、近位筋量/遠位筋量は筋量の比であるため、個々人の筋繊維構造の違いや質的個人差を除去できる。したがって、生活機能体力年齢を高い精度で取得することが可能となる。よって、老齢に差し掛かる前の壮年期において、予兆的な微小な加齢変化を個々人の自己管理用の情報として有効に活用することができる。これは、基礎的体力に比較的余裕のある段階で、将来のウイークポイントになりえることを知ることができるので、体力余裕に自信を持ちながら改善に取り組むことが可能となる。
【0046】
<5.第5実施形態>
第5実施形態に係る生体測定装置1は、図5を参照して説明した生体機能体力年齢の演算処理を除いて、第1実施形態の生体測定装置1と同様に構成されている。図13に第5実施形態に係る生体機能体力年齢の演算の処理内容を示す。
まず、CPU170により、第1記憶部120に予め記憶した部位長推定基礎データを参照し、入力部150から入力された身長、身長と性別、身長と年齢、又は身長と性別と年齢に対応する大腿長及び下腿長を演算する(ステップS51)。
【0047】
続いて、CPU170により、先に演算した右大腿インピーダンスとこの演算した右大腿長とを第1記憶部120に予め記憶した部位筋量推定基礎データに代入することによって、右大腿筋量を演算し、また、先に演算した右下腿インピーダンスとこの演算した右下腿長とを第1記憶部120に予め記憶した部位筋量推定基礎データに代入することによって、右下腿筋量を演算する(ステップS52)。
【0048】
続いて、CPU170により、右大腿筋量を右下腿筋量で除すことによって右大腿筋量/右下腿筋量を演算する(ステップS53)。さらに、CPU170は、第1記憶部120に予め記憶した右大腿筋量/右下腿筋量と生活機能体力年齢との対応関係を示す生活機能体力年齢推定基礎データを選択参照し(ステップS54)、この演算した右大腿筋量/右下腿筋量(例えば、図14に示すa7)に対応する生活機能体力年齢(例えば、b7)を演算する(ステップS55)。
【0049】
大腿筋は、重力下で身体を支える最も重要な筋であり、しかも他の筋と比較して加齢に伴う筋量の低下が著しい。したがって、生活機能体力年齢を特定するのに好適な指標である。よって、第5実施形態によれば、生活機能体力年齢をより高い精度で推定することができる。しかも、上肢に関しては生体電気インピーダンスを測定する必要がないので、図2、図3に示す電圧電極Y4〜Y6、及びY10〜Y12を省略することができる。
【0050】
第5実施形態は、以下の変形が可能である。
(1)第5実施形態においては、右大腿筋量/右下腿筋量を算出したが、この替わりに左大腿筋量/左下腿筋量を用いて、生活機能体力年齢を特定してもよい。さらに右大腿筋量及び左大腿筋量の平均と左下腿筋量及び左下腿筋量の平均との比を用いて、生活機能体力年齢を特定してもよい。この場合には、さらに精度を向上させることができる。
【0051】
(2)第5実施形態においては、右大腿筋量/右下腿筋量に基づく生活機能体力年齢と、左下腿筋量/左下腿筋量に基づく生活機能体力年齢とを算出し、これらを同時に表示してもよい。これにより、左右のどちらにウイークポイントがあるかを被験者は知ることができる。
【0052】
(3)さらに、CPU170は、図15に示す差分処理を実行してもよい。まず、CPU170は、右大腿筋量と左大腿筋量との差分を演算し(スッテプT11)、右大腿筋量と左大腿筋量と平均を演算する(ステップT12)。この後、CPU170は、差分値を平均値で除して、差分/平均を演算し(ステップT13)、差分/平均が所定範囲内であるかを判定する(ステップT14)。所定範囲は、例えば、10%である。そして、所定範囲内である場合には、健常人であると判定して、上述した実施形態及び変形例で生成した生活機能体力年齢と共に、差分に基づくアドバイス情報を表示部160に表示する(ステップT15)。一方、所定範囲内にない場合には、健常人と識別したアドバイス情報を表示部160に表示する(ステップT16)。すなわち、加齢に伴う左右差を越えている場合には、何らかの障害や、スポーツなどで左右一方の筋肉を異常に鍛えていることが考えられる。このような場合には、一般的な生活機能体力年齢の推定からはずれてしまう。そこで、本実施形態では健常人と区別したアドバイス情報を表示する。そのようなアドバイス情報としては、例えば、「左腕に過去に障害があった可能性があります。医師の助言を受けてください。」といったものである。 ところで、大腿筋の左右のバランスが崩れると、筋力の弱い膝に負荷がかかる。このため、変形性膝関節症に進む可能性がある。変形性膝関節症は図16に示すように間接軟骨の磨耗が原因でとなるが、初期の変形では、自覚的な症状がほとんどない。軟骨の磨耗がある程度進むと、膝の曲げ伸ばしや歩行時に膝に係る負担によって関節炎が生じる。さらに、軟骨の磨耗が進行すると大腿骨と脛骨とが直接ぶつかり、激しい痛みを感じるようになる。大腿筋の左右差は軟骨の磨耗の原因となるので、磨耗が進行する前に適切なアドバイス情報を提示することにより、変形性膝関節症を予防することが可能となる。
【0053】
<6.第6実施形態>
第6実施形態に係る生体測定装置1は、図5を参照して説明した生体機能体力年齢の演算処理を除いて、第1実施形態の生体測定装置1と同様に構成されている。図17に第6実施形態に係る生体機能体力年齢の演算の処理内容を示す。
まず、CPU170により、第1記憶部120に予め記憶した部位長推定基礎データを参照し、入力部150から入力された身長、身長と性別、身長と年齢、又は身長と性別と年齢に対応する上腕長及び前腕長を演算する(ステップS61)。
【0054】
続いて、CPU170により、先に演算した右上腕インピーダンスとこの演算した右上腕長とを第1記憶部120に予め記憶した部位筋量推定基礎データに代入することによって、右上腕筋量を演算し、また、先に演算した右上腕インピーダンスとこの演算した右前腕長とを第1記憶部120に予め記憶した部位筋量推定基礎データに代入することによって、右前腕筋量を演算する(ステップS62)。
【0055】
続いて、CPU170により、右上腕筋量を右前腕筋量で除すことによって右上腕筋量/右前腕筋量を演算する(ステップS63)。さらに、CPU170は、第1記憶部120に予め記憶した右上腕筋量/右前腕筋量と生活機能体力年齢との対応関係を示す生活機能体力年齢推定基礎データを選択参照し(ステップS64)、この演算した右上腕筋量/右前腕筋量(例えば、図18に示すa8)に対応する生活機能体力年齢(例えば、b8)を演算する(ステップS65)。
【0056】
第6実施形態によれば、下肢に関しては生体電気インピーダンスを測定する必要がないので、図2、図3に示す電圧電極Y1〜Y3、及びY7〜Y9を省略することができる。
【0057】
第6実施形態は、以下の変形が可能である。
(1)第6実施形態においては、右上腕筋量/右前腕筋量を算出したが、この替わりに左上腕筋量/左前腕筋量を用いて、生活機能体力年齢を特定してもよい。さらに右上腕筋量及び左上腕筋量の平均と右前腕筋量及び左前腕筋量の平均との比を用いて、生活機能体力年齢を特定してもよい。この場合には、さらに精度を向上させることができる。
【0058】
(2)第6実施形態においては、右上腕筋量/右前腕筋量に基づく生活機能体力年齢と、左前腕筋量/左前腕筋量に基づく生活機能体力年齢とを算出し、これらを同時に表示してもよい。これにより、左右のどちらにウイークポイントがあるかを被験者は知ることができる。さらに、CPU170は、第5実施形態と同様に示す差分処理を実行してもよい。この場合、大腿を上腕、下腿を前腕に置き換えればよい。
【0059】
<7.変形例>
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に述べる各種の変形が可能である。
(1)CPU170は、部位筋量率として、左肢筋量及び右肢筋量の差分、左下肢筋量及び右下肢筋量の差分、左上肢筋量及び右上肢筋量の差分、右大腿筋量及び左大腿筋量の差分、右下腿筋量及び左下腿筋量の差分、右上腕筋量及び左上腕筋量の差分、右前腕筋量及び左前腕筋量の差分の少なくとも一つを算出し、算出した部位筋量率に基づいて、生活機能体力年齢を演算してもよい。上述したように左右の筋量の差分は加齢と共に大きくなる傾向があるので、これに基づいて生活機能体力年齢を算出することができる。
さらに、CPU170は、部位筋量率として、下肢左右差筋量/下肢左筋量、下肢左右差筋量/下肢右筋量、下肢左右差筋量/下肢(左右和)筋量、下肢左右差除脂肪量/下肢左筋量、下肢左右差除脂肪量/下肢右筋量、下肢左右差除脂肪量/下肢(左右和)筋量、下肢左右差筋量/下肢左除脂肪量、下肢左右差筋量/下肢右除脂肪量、下肢左右差筋量/下肢(左右和)除脂肪量、下肢近位左右差筋量/下肢近位左筋量、下肢近位左右差筋量/下肢近位右筋量、下肢近位左右差筋量/下肢近位(左右和)筋量、下肢近位左右差除脂肪量/下肢近位左筋量、下肢近位左右差除脂肪量/下肢近位右筋量、下肢近位左右差除脂肪量/下肢近位(左右和)筋量、下肢近位左右差筋量/下肢近位左除脂肪量、下肢近位左右差筋量/下肢近位右除脂肪量、又は下肢近位左右差筋量/下肢近位(左右和)除脂肪量の少なくとも一つを算出し、算出した部位筋量率に基づいて、生活機能体力年齢を演算してもよい。
くわえて、加齢に伴って、腹筋や背筋などの体幹部の筋量は減少し、逆に、体幹部の脂肪量は増加する傾向にある。そこで、CPU170は、体幹腹部筋量/身長、下肢除脂肪量/体重、体幹腹部除脂肪量/体重又は体幹腹部除脂肪量/身長の少なくとも一つを算出し、算出した部位筋量率に基づいて、生活機能体力年齢を演算してもよい。
【0060】
(2)また、左右の筋量に差があると、強い方の筋が弱い方の筋を庇うので、筋量の差は加齢と共に加速的に拡大する。そこで、現在の筋量の左右差に基づいて、将来の生活機能体力年齢を推定してもよい。より具体的には、CPU170は、左肢筋量及び右肢筋量の差分、左下肢筋量及び右下肢筋量の差分、左上肢筋量及び右上肢筋量の差分、右大腿筋量及び左大腿筋量の差分、右下腿筋量及び左下腿筋量の差分、右上腕筋量及び左上腕筋量の差分、右前腕筋量及び左前腕筋量の差分の少なくとも一つに基づいて、将来の生活機能体力年齢を推定する処理を実行し、推定された将来の生活機能体力年齢をアドバイス情報として生成する処理を実行することが好ましい。
さらに、将来の生活機能体力年齢の決定は、全身構成部位中の一番弱い部位で決定される。よって、細分化して部位別に推定情報を出すことも可能と成るわけで、将来の生活機能体力に対する強みと弱みをより詳細に認識して頂ける様なアドバイス情報にまで進化させられる可能性をも有していることになる。
【0061】
(3)また、上述した実施形態1乃至6では、図2に示すようにチェアータイプの生体測定装置1を一例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図19に示す座位式の生体測定装置であってもよい。この場合には、6個の電圧電極Y1、Y2、Y6、Y7、Y8及びY12によって、下肢について遠位近位に分けた生体電気インピーダンスの測定が可能となる。なお、他の電圧電極は表示部160の側面からコードにより引き出し可能なような形態にし、身体の特定部位に柔軟に接触(手首と足首とに接触など)させることができるようにしてもよい。
【0062】
また、下肢部位について遠位・近位のインピーダンス測定では、図3に示す電極配置において、以下のようにしてインピーダンスを求めてもよい。
1)電流電極X3及びX1を選択し、電圧電極としてY7及びY1を選択し、インピーダンスZ1を測定する。Z1=ZLL2+ZLL1+ZLR2+ZLR12)電流電極X3及びX1を選択し、電圧電極としてY8及びY9を選択し、インピーダンスZ2を測定する。Z2=ZLL2+ZLL1、これが近位下肢の部位インピーダンスとなる。
3)遠位下肢の部位インピーダンスをZ3とすると、Z3=Z2−Z1
この場合には、2個の電流電極X1及びX3と、4個の電圧電極Y1、Y2、Y7及びY8によって必要な部位インピーダンスを測定可能であり、電圧電極Y3、Y4、Y9、及びY10を省略することができる。
【0063】
また、上肢部位について遠位・近位のインピーダンス測定では、図3に示す電極配置において、以下のようにしてインピーダンスを求めてもよい。
4)電流電極X4及びX2を選択し、電圧電極としてY12及びY6を選択し、インピーダンスZ4を測定する。Z4=ZUL2+ZUL1+ZUR2+ZUR1
5)電流電極X4及びX2を選択し、電圧電極としてY11及びY5を選択し、インピーダンスZ5を測定する。Z5=ZUL1+ZUR1、これが近位上肢の部位インピーダンスとなる。
6)遠位上肢の部位インピーダンスをZ6とすると、Z6=Z4−Z5
この場合には、2個の電流電極X2及びX4と、4個の電圧電極Y12、Y11、Y5及びY6によって必要な部位インピーダンスを測定可能であり、電圧電極Y3、Y4、Y9、及びY10を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係わる生体測定装置の電気的構成について示すブロック図である。
【図2】本発明に係わる生体測定装置の外観例を示す斜視図である。
【図3】本発明に係わる生体測定装置の電極配置を示す説明図である。
【図4】本発明に係わる生体測定装置の操作及び動作処理の流れについて示すメインフローチャートである。
【図5】第1実施形態の生活機能体力年齢の演算処理について内容を示すサブルーチンフローチャートである。
【図6】下肢筋量/体重と生活機能体力年齢との対応関係を示すグラフである。
【図7】第2実施形態の生活機能体力年齢の演算処理について内容を示すサブルーチンフローチャートである。
【図8】上肢筋量/体重と生活機能体力年齢との対応関係を示すグラフである。
【図9】第3実施形態の生活機能体力年齢の演算処理について内容を示すサブルーチンフローチャートである。
【図10】上肢筋量/下肢筋量と生活機能体力年齢との対応関係を示すグラフである。
【図11】第4実施形態の生活機能体力年齢の演算処理について内容を示すサブルーチンフローチャートである。
【図12】近位筋量/遠位筋量と生活機能体力年齢との対応関係を示すグラフである。
【図13】第5実施形態の生活機能体力年齢の演算処理について内容を示すサブルーチンフローチャートである。
【図14】右大腿筋量/右下腿筋量と生活機能体力年齢との対応関係を示すグラフである。
【図15】第5実施形態の変形例である差分処理について内容を示すサフローチャートである。
【図16】変形性膝関節症の進行を説明する説明図である。
【図17】第6実施形態の生活機能体力年齢の演算処理について内容を示すサブルーチンフローチャートである。
【図18】上腕筋量/前腕筋量と生活機能体力年齢との対応関係を示すグラフである。
【図19】変形例に係る電極配置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 生体測定装置
110 体重計
120 第1記憶部
150 入力部
170 CPU
200 部位インピーダンス測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生活に必要な機能を発揮させる体力を年齢に換算した生活機能体力年齢を生成する生体測定装置であって、
身体の特定部位の生体電気インピーダンスを測定する測定手段と、
身体の特定部位の筋量に比例した部位筋量率を取得する部位筋量率取得手段と、
部位筋量率と生活機能体力年齢との対応関係を示す生活機能体力年齢推定基礎データを予め記憶する生活機能体力年齢推定基礎データ記憶手段と、
前記生活機能体力年齢推定基礎データ記憶手段に予め記憶した生活機能体力年齢推定基礎データを参照し、前記部位筋量率取得手段により取得した部位筋量率に対応する生活機能体力年齢を演算する生活機能体力年齢演算手段とを、
備える生体測定装置。
【請求項2】
前記部位筋量率は、下肢筋量/体重、下肢筋量/身長、上肢筋量/体重、上肢筋量/身長、上肢筋量/下肢筋量、下肢左右差筋量/下肢左筋量、下肢左右差筋量/下肢右筋量、下肢左右差筋量/下肢(左右和)筋量、体幹腹部筋量/体重、体幹腹部筋量/身長、下肢除脂肪量/体重、下肢除脂肪量/身長、上肢除脂肪量/体重、上肢除脂肪量/身長、上肢除脂肪量/下肢筋量、上肢筋量/下肢除脂肪量、上肢除脂肪量/下肢除脂肪量、下肢左右差除脂肪量/下肢左筋量、下肢左右差除脂肪量/下肢右筋量、下肢左右差除脂肪量/下肢(左右和)筋量、下肢左右差筋量/下肢左除脂肪量、下肢左右差筋量/下肢右除脂肪量、下肢左右差筋量/下肢(左右和)除脂肪量、体幹腹部除脂肪量/体重又は体幹腹部除脂肪量/身長の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1記載の生体測定装置。
【請求項3】
前記部位筋量率は、下肢近位筋量/体重、下肢近位筋量/身長、上肢近位筋量/体重、上肢近位筋量/身長、上肢近位筋量/下肢近位筋量、下肢近位左右差筋量/下肢近位左筋量、下肢近位左右差筋量/下肢近位右筋量、下肢近位左右差筋量/下肢近位(左右和)筋量、下肢近位除脂肪量/体重、下肢近位除脂肪量/身長、上肢近位除脂肪量/体重、上肢近位除脂肪量/身長、上肢近位除脂肪量/下肢近位筋量、上肢近位筋量/下肢近位除脂肪量、上肢近位除脂肪量/下肢近位除脂肪量、下肢近位左右差除脂肪量/下肢近位左筋量、下肢近位左右差除脂肪量/下肢近位右筋量、下肢近位左右差除脂肪量/下肢近位(左右和)筋量、下肢近位左右差筋量/下肢近位左除脂肪量、下肢近位左右差筋量/下肢近位右除脂肪量又は下肢近位左右差筋量/下肢近位(左右和)除脂肪量の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1記載の生体測定装置。
【請求項4】
前記部位筋量率は、近位筋量と遠位筋量との比、右大腿筋量と右下腿筋量との比、左大腿筋量と左下腿筋量との比、左右大腿筋量の平均と左右下腿筋量の平均との比、右上腕筋量と右前腕筋量との比、左上腕筋量と左前腕筋量との比、左右上腕筋量の平均と左右前腕筋量の平均との比の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1記載の生体測定装置。
【請求項5】
前記部位筋量率は、左肢筋量及び右肢筋量の差分、左下肢筋量及び右下肢筋量の差分、左上肢筋量及び右上肢筋量の差分、右大腿筋量及び左大腿筋量の差分、右下腿筋量及び左下腿筋量の差分、右上腕筋量及び左上腕筋量の差分、右前腕筋量及び左前腕筋量の差分の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1記載の生体測定装置。
【請求項6】
前記部位筋量率取得手段は、
身体の特定部位の長さを示す部位長を取得する部位長取得手段と、
部位インピーダンス及び部位長と部位筋量との対応関係を示す部位筋量推定基礎データを予め記憶する部位筋量推定基礎データ記憶手段と、
前記部位筋量推定基礎データ記憶手段を参照し、前記部位インピーダンス測定手段により測定した部位インピーダンス及び前記部位長取得手段により取得した部位長に対応する部位筋量を演算する部位筋量演算手段と、
前記部位筋量演算手段による演算に基づく部位筋量を体重又は身長で除して部位筋量率を演算する部位筋量率演算手段とを備える、
ことを特徴とする請求項1記載の生体測定装置。
【請求項7】
被験者の実際の年齢を入力する入力手段と、
前記被験者の実際の年齢と前記生活機能体力年齢とに基づいて、前記被験者の健康向上のための助言を示すアドバイス情報を生成するアドバイス情報生成手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の生体測定装置。
【請求項8】
左肢筋量及び右肢筋量の差分、左下肢筋量及び右下肢筋量の差分、左上肢筋量及び右上肢筋量の差分、右大腿筋量及び左大腿筋量の差分、右下腿筋量及び左下腿筋量の差分、右上腕筋量及び左上腕筋量の差分、右前腕筋量及び左前腕筋量の差分の少なくとも一つに基づいて、将来の生活機能体力年齢を推定する推定手段を備え、
推定された将来の生活機能体力年齢を前記被験者の健康向上のための助言を示すアドバイス情報として生成するアドバイス情報生成手段とを備えることを特徴とする請求項5に記載の生体測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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