説明

生体観測用の画像情報生成装置および超音波診断システム

【課題】生体観測画像と共にマークを表示する際に、マークの表示を見易くすることを目的とする。
【解決手段】送受信部16はエコーデータを観測画像データ生成部18に出力する。生体観測画像データ生成部18は、観測画像データを生成し画像表示処理部20に出力する。画像表示処理部20は、キャリパマークの表示位置を基準として画像領域が定められた判定画像データを生体観測画像データから抽出する判定画像データ抽出部22と、判定画像データの画像値分布に基づいて、サフィックスマークについての表示位置を決定するサフィックスマーク位置決定部26と、決定された表示位置にサフィックスマークが表示されるよう、キャリパマークおよびサフィックスマークの各表示用データと生体観測画像データとを合成し、画像情報を生成する画像生成部28とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体観測用の画像情報生成装置に関し、特に、生体観測画像上にマークを表示する画像情報を生成する装置、およびそのような画像情報生成装置を備える超音波診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波の送受信により生体の超音波観測画像データを取得する超音波診断装置が広く用いられている。超音波診断装置は、超音波観測画像データに基づく画像をディスプレイに表示する。超音波診断装置は、一般に、ディスプレイに表示した画像に基づいて生体組織の大きさ、面積等を計測する計測機能を備えている。この計測機能は、表示画像上に複数の計測点を指定し、複数の計測点の幾何学的関係を求めるものである。例えば、表示画像が断層画像であれば、生体組織を示す領域上に2つの計測点を指定し、その2つの計測点間の距離を求めることで、生体組織上の2点間の距離を計測することができる。
【0003】
計測点の指定は、ユーザの操作に基づいて、キャリパマークと称される計測点表示用のマークを表示画像上に重畳表示することで行われる。超音波診断装置は、計測点として指定された位置にキャリパマークを表示する画像情報を生成する。そして、その画像情報に基づく画像を表示しつつ、指定された計測点の位置情報に基づいて所定の計測を行う。
【0004】
なお、以下に示す引用文献1および2には、キャリパマークの表示処理に基づいて超音波観測画像上に計測点を指定する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−82541号公報
【特許文献2】特開2009−297072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ディスプレイ上に複数のキャリパマークを表示する場合、各キャリパマークを区別できるよう表示することが好ましい。そのため、キャリパマークを特定する番号、符号等を表すサフィックスマークをそのキャリパマークの傍らに表示する技術が考え出されている。しかし、この技術においては、超音波観測画像の輝度分布とサフィックスマークの表示位置との関係によっては、サフィックスマークが見難くなるという問題があった。
【0007】
本発明は、生体観測画像と共にマークを表示する際に、マークの表示を見易くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、生体観測画像データを生成する生体観測画像データ生成手段と、第1マークの生体観測画像上における表示位置を基準として画像領域が定められた判定画像データを、前記生体観測画像データから抽出する判定画像データ抽出手段と、前記判定画像データの画像値分布に基づいて、第2マークについて前記判定画像データの画像領域上の表示位置を決定する第2マーク位置決定手段と、前記第2マーク位置決定手段によって決定された表示位置に前記第2マークが表示されるよう、前記第1マークおよび前記第2マークの各表示用データと前記生体観測画像データとを合成し、画像情報を生成する画像生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る画像情報生成装置は、望ましくは、前記第2マーク位置決定手段が、前記判定画像データの画像領域をなす複数の分割領域のそれぞれについて平均画像値を求め、当該複数の分割領域のうち平均画像値に基づいて選択された分割領域内に、前記第2マークの位置を決定する。
【0010】
また、本発明に係る画像情報生成装置は、望ましくは、前記第1マークは、前記生体観測画像上の計測点を示すキャリパーマークであり、前記第2マークは、前記第1マークを識別するサフィックスマークである。
【0011】
また、本発明に係る超音波診断システムは、前記画像情報生成装置と、生体に向けて超音波を送信し、生体において反射した超音波を受信する超音波送受信手段と、を備え、 前記生体観測画像データ生成手段は、前記超音波送受信手段が受信した超音波に基づいて、前記生体観測画像データを生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、生体観測画像と共にマークを表示する際に、マークの表示を見易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す図である。
【図2】キャリパマークおよびサフィックスマークの例を示す図である。
【図3】画像表示処理部が実行する処理を示すフローチャートである。
【図4】観測画像、キャリパマークおよびサフィックスマークを示す図である。
【図5】表示決定領域を選択する別の処理を示す図である。
【図6】応用処理を示すフローチャートである。
【図7】注目組織が現れた観測画像、キャリパマークおよびサフィックスマークを示す図である。
【図8】キャリパマーク、サフィックスマーク、判定画像領域およびサフィックス領域のその他の例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に本発明の実施形態に係る超音波診断装置10の構成を示す。この超音波診断装置10は、超音波プローブ14から生体に超音波を送信し、生体からの反射超音波に基づいて観測画像データを生成する。そして、観測画像データ、キャリパマークを表示するためのデータ、およびサフィックスマークを示すデータを合成した画像情報を生成し、その画像情報に基づく画像をディスプレイ32に表示する。キャリパマークは、計測点を指定する第1次的なマークであり、サフィックスマークはキャリパマークを識別するためにキャリパマークに付帯して表示される第2次的なマークである。
【0015】
超音波プローブ14および送受信部16は、生体に向けて超音波を送信し生体において反射した超音波を受信する超音波送受信手段として機能する。送受信部16は、システム制御部12の制御に従い超音波プローブ14に超音波を送信させる。超音波プローブ14は、生体で反射した超音波を受信し、受信した超音波を電気信号としての受信信号に変換する。送受信部16は、システム制御部12の制御に従い超音波プローブ14から出力された受信信号を取得する。送受信部16は、Bモード、Mモード等の動作モードに応じて例えば次のような処理を実行する。
【0016】
超音波プローブ14として複数のアレイ振動子が配列されたものを用い、生体の断層画像を取得するBモードで超音波診断装置10を動作させる場合、送受信部16は、送受信する超音波のビームフォーマおよびその走査手段として機能する。送受信部16は、超音波プローブ14によって形成される超音波ビームを平面内で走査し、各超音波受信ビームのエコーデータを観測画像データ生成部18に出力する。なお、超音波ビームの走査は、超音波プローブ14を機械的に走査することで行ってもよい。
【0017】
生体組織の動きを示す画像を取得するMモードで超音波診断装置10を動作させる場合、超音波プローブ14としては、必ずしも複数のアレイ振動子が配列されたものを用いなくてもよい。送受信部16は、超音波プローブ14において一定の方向で超音波が送受信されるよう、超音波プローブ14との間で信号を授受する。そして、超音波プローブ14から取得した受信信号に基づくエコーデータを観測画像データ生成部18に出力する。
【0018】
観測画像データ生成部18は、システム制御部12の制御に従い、動作モードに応じた観測画像データをエコーデータに基づいて生成する。そして、観測画像データを画像表示処理部20に出力する。ここで、観測画像データは、各画素の明るさを示す輝度値を画素データとして有する画素データからなるものとする。
【0019】
超音波診断装置10は、次に説明する構成および処理によって、観測画像データが示す画像にキャリパマークおよびサフィックスマークを重ねてディスプレイ32に表示する。
【0020】
操作部30は、ドラッグボール、ジョイスティック、マウス等の計測点を指定するデバイスを備える。操作部30は、ユーザによる操作に基づいてキャリパマークの表示位置情報を取得し、システム制御部12に出力する。システム制御部12は、表示位置情報を画像表示処理部20に出力する。
【0021】
画像表示処理部20は、キャリパマークの表示位置情報に基づいて、観測画像上にキャリパマークおよびサフィックスマークを重ねた画像を示す画像情報を生成する。そして、生成した画像情報に基づく画像をディスプレイ32に表示する。
【0022】
図2に超音波診断装置10が表示するキャリパマークおよびサフィックスマークの例を示す。図2に示されるキャリパマーク指示点36、破線、一点鎖線および二点鎖線は、説明の便宜上記載したものであり、必ずしもディスプレイ32に表示されなくてもよい。破線で囲まれた長方形のキャリパマーク領域34は、キャリパマーク指示点36を中心とした領域であり、キャリパマークがここに表示される。ここでは、キャリパマークとして「+」印が表示された例を示している。図2の一点鎖線で囲まれた領域は、キャリパマーク指示点36を基準としてその範囲が定められた判定画像領域38である。本実施形態では、判定画像領域38はキャリパマーク指示点36を中心とし、キャリパマーク領域34を含む長方形として判定画像領域38が定義されている。
【0023】
判定画像領域38は複数のサフィックス領域40を含む。図2では、判定画像領域38の中心で直交する縦方向および横方向の分割直線42によって判定画像領域38を分割することで、4つのサフィックス領域40を設定した例を示している。
【0024】
サフィックスマークは、4つのサフィックス領域40のうち輝度に応じて選択された領域内に表示される。図2は、サフィクスマークとして「2」が右下のサフィックス領域40内に表示された例を示している。サフィックス領域40を選択する処理は、低輝度モードによる表示を行うか、高輝度モードによる表示を行うかにより異なる。ここで低輝度モードは、4つのサフィックス領域40のうち輝度の平均値が最小の領域を選択し、その領域にサフィックスマークを表示するモードである。他方、高輝度モードは、4つのサフィックス領域40のうち輝度の平均値が最大の領域を選択し、その領域にサフィックスマークを表示するモードである。これらの表示モードは、後述のようにユーザの操作に基づいて設定される。
【0025】
このような表示処理を行うために画像表示処理部20が実行する具体的な処理について説明する。図3は、画像表示処理部20が実行する処理を示すフローチャートである。このフローチャートに基づく処理を実行する構成として、画像表示処理部20は、判定画像データ抽出部22、輝度分布算出部24、サフィックスマーク位置決定部26および画像生成部28を備える。
【0026】
図3のフローチャートの処理を実行する前に行う処理として、操作部30は、ユーザによる操作に基づいてキャリパマークの表示位置情報をシステム制御部12に出力する。システム制御部12は、表示位置情報を画像表示処理部20に出力する。また、操作部30は、ユーザによる操作に基づいて、表示モード情報をシステム制御部12に出力する。この表示モード情報は、サフィックスマークの表示を低輝度モードまたは高輝度モードのいずれで行うかを指定する情報である。
【0027】
画像表示処理部20は、観測画像データ生成部18から出力された観測画像データを取得する(S1)。観測画像データは、判定画像データ抽出部22および画像生成部28に入力される。
【0028】
判定画像データ抽出部22は、キャリパマークの表示位置情報に基づいて、観測画像上にキャリパマーク指示点36を設定する(S2)。そして、キャリパマーク指示点36を中心とする判定画像領域38を設定する(S3)。判定画像データ抽出部22は、判定画像領域38に対応する判定画像データを観測画像データから抽出し、輝度分布算出部24に出力する(S4)。
【0029】
輝度分布算出部24は、判定画像領域38を分割して得られる4つのサフィックス領域40に対応するデータを判定画像データから抽出する。そして、各サフィックス領域40における輝度平均値を求める(S5)。輝度分布算出部24は、サフィックス領域40を特定する情報と、そのサフィックス領域40における輝度平均値とを対応付けた情報をサフィックスマーク位置決定部26に出力する。
【0030】
サフィックスマーク位置決定部26は、システム制御部12から出力された表示モード情報が、いずれの表示モードを指定する情報であるかを判定する(S6)。そして、表示モード情報が、低輝度モードを指定する情報である旨の判定をした場合には、4つのサフィックス領域40のうち、輝度平均値が最小であるものをサフィックスマークを表示させる表示決定領域として選択する(S7)。他方、サフィックスマーク位置決定部26は、表示モード情報が高輝度モードを指定する情報である旨の判定をした場合には、4つのサフィックス領域40のうち、輝度平均値が最大であるものを表示決定領域として選択する(S8)。
【0031】
サフィックスマーク位置決定部26は、表示決定領域として選択したサフィックス領域40内にサフィックスマークの表示位置を決定し(S9)、決定した位置を示す表示位置情報を画像生成部28に出力する。
【0032】
画像生成部28は、キャリパマークの表示位置情報で定められる位置にキャリパマークが表示され、かつ、サフィックスマークの表示位置情報で定められる位置にサフィックスマークが表示されるよう、キャリパマークおよびサフィックスマークを表示する元となるデータと、観測画像データとを合成した画像情報を生成する(S10)。そして、生成した画像情報をディスプレイ32に出力する。この画像情報は、例えば、表示画像の情報を含むビデオ信号の形式で生成される。ディスプレイ32は、画像生成部28から出力された画像情報に基づく画像を表示する。
【0033】
このような表示処理によれば、次のような効果を期待することができる。生体組織の大きさ等を計測する場合、図4の観測画像上のキャリパマークAおよびBに示すように、生体組織を示す高輝度の領域(高エコー領域)と、生体組織外の領域を示す低輝度の領域(低エコー領域)との境界上にキャリパマークを表示させることがある。このとき、キャリパマークの位置に対して相対的に固定的に定められた位置にサフィックスマークを表示した場合、サフィックスマークの表示位置における観測画像の輝度によっては、サフィックスマークが見難くなる。例えば、常にキャリパマークの右下にサフィックスマークを表示すると、図4のキャリパマークAのサフィックスマーク「1」は高輝度領域に表示される。このときサフィックスマークを黄色、黄緑色等、高輝度領域と区別することが困難な色彩で表示するとサフィックスマークを識別することが困難となる。
【0034】
そこで、低輝度モードによる表示を行うことで、サフィックスマークを視認し易い領域にサフィックスマークを表示させることができる。図4においては、低輝度モードに従い、キャリパマークAの左上にサフィックスマーク「1」が表示されている。これによって、キャリパマークAのサフィックスマークを見易く表示することができる。
【0035】
他方、サフィックスマークを紺色、青色等、低輝度領域と区別することが困難な色彩で表示する場合には、高輝度モードによる表示を行うことで、サフィックスマークを見易く表示することができる。
【0036】
なお、4つのサフィックス領域40のうち輝度平均値が最小であるものを表示決定領域として選択するステップS7の処理は、図5(a)に示すフローチャートに従う処理に置き換えてもよい。
【0037】
この処理では、サフィックスマーク位置決定部26は、図3のステップS6の処理を実行した後、4つのサフィックス領域40に予め定められた低輝度閾値以下のものがあるか否かを判定する(S7−1)。そして、輝度平均値が低輝度閾値以下のものがある場合、輝度平均値が低輝度閾値以下のサフィックス領域40のうちいずれか、例えば、右上のサフィックス領域40を第1番目として反時計回りに順位を定めた場合において、最も順位の早いサフィックス領域40を表示決定領域として選択する(S7−2)。他方、4つのサフィックス領域40のうち、輝度平均値が低輝度閾値以下のものがない場合、サフィックスマーク位置決定部26は、4つのサフィックス領域40のうち輝度平均値が最小であるものを表示決定領域として選択する(S7−3)。
【0038】
同様に、輝度平均値が最大であるものを表示決定領域として選択するステップS8の処理は、図5(b)に示すフローチャートに従う処理に置き換えてもよい。
【0039】
この処理では、サフィックスマーク位置決定部26は、図3のステップS6の処理を実行した後、4つのサフィックス領域40に予め定められた高輝度閾値以上のものがあるか否かを判定する(S8−1)。そして、輝度平均値が高輝度閾値以上のものがある場合、輝度平均値が高輝度閾値以上のサフィックス領域40のうちいずれか、例えば、右上のサフィックス領域40を第1番目として反時計回りに順位を定めた場合において、最も順位の早いサフィックス領域40を表示決定領域として選択する(S8−2)。他方、4つのサフィックス領域40のうち、輝度平均値が高輝度閾値以上のものがない場合、サフィックスマーク位置決定部26は、4つのサフィックス領域40のうち輝度平均値が最大であるものを表示決定領域として選択する(S8−3)。
【0040】
このような処理によれば、見易さに問題がない場合サフィックス領域40が複数ある場合において、キャリパマークに対するサフィックスマークの相対的な表示位置を統一することができる。
【0041】
なお、上記では、低輝度モードまたは高輝度モードのうちいずれかの表示モードをユーザの操作によって選択する構成および処理について説明した。このような構成および処理の他、一方の表示モードによる表示のみを行う構成および処理としてもよい。例えば、低輝度モードによる表示のみを行う場合には、図3のフローチャートにおいて、ステップS5の処理の次にステップS7の処理を実行し、ステップS6およびS8の処理は実行しないフローに従う処理を実行すれものとすれよい。同様に、高輝度モードによる表示のみを行う場合には、図3のフローチャートにおいて、ステップS5の処理の次にステップS8の処理を実行し、ステップS6およびS7の処理は実行しないフローに従う処理を実行するものとすればよい。
【0042】
次に、ユーザの操作により、低輝度モードおよび高輝度モードに加え、中間輝度モードによる表示を行うことを可能にした応用処理について説明する。ここで、中間輝度モードは、サフィックスマークが最低輝度の領域に表示されることおよび最高輝度の領域に表示されることのいずれをも回避するものである。図6にこの応用処理を示すフローチャートを示す。図3に示すステップと同一のステップについては同一の符号を付してその説明を省略する。
【0043】
図6のフローチャートの処理を実行する前に行う処理として、操作部30は、ユーザによる操作に基づいてキャリパマークの表示位置情報をシステム制御部12に出力する。システム制御部12は、表示位置情報を画像表示処理部20に出力する。また、操作部30は、ユーザによる操作に基づいて、表示モード情報をシステム制御部12に出力する。この表示モード情報は、サフィックスマークの表示を低輝度モード、高輝度モードまたは中間輝度モードのいずれで行うかを指定する情報である。
【0044】
画像表示処理部20は、判定画像データ抽出部22および輝度分布算出部24が実行する処理によって、図3のステップS1〜S5に示した処理と同様の処理を実行する(S21)。
【0045】
サフィックスマーク位置決定部26は、システム制御部12から出力された表示モード情報が、いずれの表示モードを指定する情報であるか否かを判定する(S22)。そして、表示モード情報が、低輝度モードを指定する情報である旨の判定をした場合には、4つのサフィックス領域40のうち、輝度平均値が最小であるものを表示決定領域として選択する(S23)。他方、サフィックスマーク位置決定部26は、表示モード情報が高輝度モードを指定する情報である旨の判定をした場合には、サフィックスマーク位置決定部26は、4つのサフィックス領域40のうち、輝度平均値が最大であるものを表示決定領域として選択する(S24)。
【0046】
さらに、サフィックスマーク位置決定部26は、表示モード情報が中間輝度モードを指定する情報である旨の判定をした場合には、4つのサフィックス領域40について輝度平均値の順位を求める(S25)。そして、最初および最後のいずれでもない予め定められた順位(いまの場合、第2位または第3位)のサフィックス領域40を表示決定領域として選択する(S26)。
【0047】
この順位は、ユーザの操作に基づき操作部30からシステム制御部12を介してサフィックス位置決定部26に入力されるものとしてもよい。ここで、ユーザの操作に基づく順位は、最初から最後までの間の任意の順位が入力されるものとしてもよい。
【0048】
サフィックスマーク位置決定部26は、表示決定領域として選択したサフィックス領域40内にサフィックスマークの表示位置を決定し(S9)、サフィックスマークの表示位置情報を画像生成部28に出力する。画像生成部28は、図3のステップS10の処理と同様の処理に基づき画像情報を生成し(S10)、画像情報に基づく画像をディスプレイ32に表示する。
【0049】
中間輝度モードの表示処理によれば、輝度平均値が最小のサフィックス領域40および輝度平均値が最大のサフィックス領域40にサフィックスマークが表示されることを回避することができる。これによって、次のような効果を期待することができる。
【0050】
超音波診断装置10を用いて腫瘍等の注目組織を観測する場合には、注目組織を示す画像を詳細に観察することが重要となる。そのため、注目組織の領域にはサフィックスマーク等、注目組織以外のものを表示しないことが好ましい。一般に、図7に示すように、腫瘍等の注目組織44の領域は他の領域よりも輝度値が小さい領域となることが多い。そのため、輝度平均値が中間順位のサフィックス領域40にサフィックスマークを表示することで、注目組織44の領域にサフィックスマークが表示されることを回避することができる。図7は、注目組織44の領域と注目組織外の領域との境界上にキャリパマークを表示させた場合に、中間輝度モードによって注目組織外の領域にサフィックスマークが表示された例を示す。このような表示によって、注目組織44の画像を詳細に観察すると共にサフィックスマークを容易に視認することができる。
【0051】
なお、輝度平均値が最小の領域にサフィックスマークが表示されることを回避することを目的として、高輝度モードによる表示を行ってもよい。例えば、注目組織外の領域が注目組織の領域よりも輝度が高いものの、サフィックスマークの識別が困難となる程の高輝度ではない場合には高輝度モードを用いることができる。これによって、注目組織の画像を詳細に観察すると共に、注目組織の境界に表示させたキャリパマークに伴うサフィックスマークを容易に視認することができる。
【0052】
キャリパマーク、サフィックスマーク、判定画像領域38およびサフィックス領域40のその他の例について説明する。上記のようにキャリパマークは、計測点を指定する第1次的なマークであるのに対し、サフィックスマークはキャリパマークを識別するためにサフィックスマークに付帯して表示される第2次的なマークである。したがって、サフィックスマークは、キャリパマーク領域34の外周付近に表示されることが好ましい。そのため、判定画像領域38は、キャリパマーク指示点36を中心とし、キャリパマーク領域34外を囲む長方形以外の多角形、円形、楕円形等の領域として定義してもよい。
【0053】
また、サフィックスマークを表示する位置は、キャリパマークの形状に応じて、複数の位置に表示自在とすることが好ましい。したがって、サフィックス領域40は、キャリパマークの形状に応じた態様で判定画像領域38を複数の領域に分割することで決定することが好ましい。この場合、図3、図5および図6に示すフローチャートにおいて4つのサフィックス領域40について処理を行うところを、複数n個のサフィックス領域40に対して処理を行うこととすればよい。
【0054】
上記の実施形態では、キャリパマークとして「+」印を表示し、キャリパマーク指示点36を中心とし、キャリパマーク領域34を含むよう判定画像領域38が定義されている。また、サフィックス領域40は、判定画像領域38の中心で直交する縦方向および横方向の分割直線42によって、画素領域判定領域を4つのサフィックス領域40に分割することで設定されている。これによって、「+」印の中心に入り込んだ角の領域にサフィックスマークが表示される。
【0055】
このような例の他、サフィックス領域40は、図8(a)に示すようにキャリパマーク領域34内に二点鎖線で囲まれて定義された核領域46の外周と判定画像領域38の外周との間の領域を分割することで設定してもよい。図8(a)の例では、二点鎖線で示されるように、核領域46の外周と判定画像領域38の外周との間の領域を12個の領域に分割することでサフィックス領域40が設定されている。また、星形状、「X」、「Y」、「*」等、中心に入り込んだ形状を有するキャリパマークを用いる場合には、中心に入り組んだ領域にサフィックスマークが表示されるようサフィックス領域40を設定することでコンパクトな表示が可能となる。例えば、図8(b)に示すようにキャリパマークとして「*」印を表示する場合には、キャリパマーク指示点36を中心とし、キャリパマーク領域34を含むよう判定画像領域38を定義する。そして、判定画像領域38の中心で等角度間隔60°で交わる3本の分割直線42によって、画素領域判定領域を6つのサフィックス領域40に分割する。
【0056】
なお、上記の実施形態では、サフィックス領域40を選択するための画像値として画像の明るさを示す輝度値を用いた例について説明した。このような画像値としては、色の三属性(彩度、色相および明度)のうちいずれかを採用してもよい。
【0057】
また、上記では、低輝度モード、高輝度モードまたは中間輝度モードのうちいずれかの表示モードをユーザの操作によって選択する構成および処理について説明した。このような構成および処理の他、予め定められた一種類の表示モードによる表示のみを行う構成および処理としてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 超音波診断装置、12 システム制御部、14 超音波プローブ、16 送受信部、18 観測画像データ生成部、20 画像表示処理部、22 判定画像データ抽出部、24 輝度分布算出部、26 サフィックスマーク位置決定部、28 画像生成部、30 操作部、32 ディスプレイ、34 キャリパマーク領域、36 キャリパマーク指示点、38 判定画像領域、40 サフィックス領域、42 分割直線、44 注目組織、46 核領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体観測画像データを生成する生体観測画像データ生成手段と、
第1マークの生体観測画像上における表示位置を基準として画像領域が定められた判定画像データを、前記生体観測画像データから抽出する判定画像データ抽出手段と、
前記判定画像データの画像値分布に基づいて、第2マークについて前記判定画像データの画像領域上の表示位置を決定する第2マーク位置決定手段と、
前記第2マーク位置決定手段によって決定された表示位置に前記第2マークが表示されるよう、前記第1マークおよび前記第2マークの各表示用データと前記生体観測画像データとを合成し、画像情報を生成する画像生成手段と、
を備えることを特徴とする生体観測用の画像情報生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像情報生成装置において、
前記第2マーク位置決定手段は、
前記判定画像データの画像領域をなす複数の分割領域のそれぞれについて平均画像値を求め、当該複数の分割領域のうち平均画像値に基づいて選択された分割領域内に、前記第2マークの位置を決定することを特徴とする画像情報生成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像情報生成装置において、
前記第1マークは、
前記生体観測画像上の計測点を示すキャリパーマークであり、
前記第2マークは、
前記第1マークを識別するサフィックスマークであることを特徴とする画像情報生成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像情報生成装置と、
生体に向けて超音波を送信し、生体において反射した超音波を受信する超音波送受信手段と、
を備え、
前記生体観測画像データ生成手段は、
前記超音波送受信手段が受信した超音波に基づいて、前記生体観測画像データを生成することを特徴とする超音波診断システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図4】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−40130(P2012−40130A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183005(P2010−183005)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】