説明

生体高分子を細胞に導入する方法および構成体

本発明は、標的生体高分子(例えば、核酸分子、タンパク質等)および他の化合物(例えば、ステロイド等の非ポリマー有機分子)を細胞(例えば、真核細胞)に導入する方法に関する。本発明は更に、標的生体高分子および他の化合物を含む構成体に関する。特定の態様において、本発明は、標的生体高分子を含有する混合物を表面上に沈着させ、その後任意に、これらの標的生体高分子を含有する混合物と細胞(例えば、真核細胞)とを接触させることに関する。更に、標的生体高分子が核酸分子である場合、標的生体高分子と接触する細胞によるこれら核酸分子の発現を、モニターまたは検出することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、標的生体高分子(例えば、核酸分子、タンパク質等)および他の化合物(例えば、ステロイド等の非ポリマー有機分子)を細胞(例えば、真核細胞)内に導入する方法に関する。本発明は更に、標的生体高分子および他の化合物を含む構成体に関する。特定の態様において、本発明は、標的生体高分子を含有する混合物を表面上に沈着させ、その後、これらの標的生体高分子を含有する混合物を細胞(例えば、真核細胞)と選択的に接触させることに関する。更に、標的生体高分子が核酸分子である場合、当該標的生体高分子と接触させた細胞におけるこれら核酸分子の発現を、モニターまたは検出することができる。
【0002】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2005年4月1日出願の、名称:「細胞に生体高分子を導入する方法および組成物」、発明者名:Henry Chiouら、代理人整理番号:INV-1006-PVの米国仮特許出願第60/667707号の優先権を主張するものであり、これを本願に引用して、援用が許容される権限においてその全体を援用する。
【背景技術】
【0003】
背景
ゲノムおよび発現配列タグ(EST)プロジェクトは、例えば、ヒトを含む高等生物の遺伝子の迅速なカタログ作出およびクローニングにつながる。新たな挑戦の一つは、遺伝子の機能的役割を判定、および所望の特質を備えた遺伝子産物を速やかに同定することである。遺伝子配列およびクローニングされたcDNAのコレクションが増えていることから、遺伝子産物を特徴付けするために、系統的にかつ処理能力が高い手法の開発が要求されている。転写プロファイリングのためのDNAマイクロアレイ、およびタンパク質間相互作用を判定するための酵母2ハイブリッドアレイの使用が、遺伝子産物を特徴付けする遺伝的取り組みの最近の例である(Schena, M. ら、Nature, 10:623(2000)(非特許文献1))。哺乳動物細胞内での多くの遺伝子セットの機能を分析する類似の方策は、現在開発中にすぎない。現在、インビボの遺伝子解析は通常、遺伝子産物の過剰発現、あるいは、その発現もしくは機能の阻害をもたらすDNA構築物で細胞をトランスフェクトすることにより、遺伝子-対-遺伝子(gene-by-gene)のスケールで行われる。細胞生理に対する遺伝子産物の量を変えるような効果を、次いで機能アッセイを用いて判定する。
【0004】
リン酸カルシウム共沈、エレクトロポレーションおよび陽イオン性リポソーム媒介トランスフェクション(例えば、リポフェクション)等の様々なトランスフェクション方法は、細胞に分子(例えば、核酸分子)を導入するのに使用でき、例えば、遺伝子調節および機能を研究するのに有用である。例えば、多くの核酸分子のセットをスクリーニングして、所定の特質を備えた産物をコードするものを同定するのに使用できる更なる方法、特に高処理能力アッセイで、かなりの時間と材料とが節約される。
【0005】
トランスフェクトした細胞アレイを、細胞の集団の平行トランスフェクションを行うのに用いてもよい。これは、トランスフェクションベクター等の少量の標的生体高分子、または他の化合物を支持体上にスポットし、その後その支持体に生細胞を「播種」することによって行ってもよい。ある状況下では、細胞が支持体の表面全体に付着するかもしれないが、スポット(すなわち、フィーチャー(feature))上に位置する細胞だけが、標的生体高分子に曝される。支持体が複数のスポットを含み、かつ各スポットが、例えば独自の標的生体高分子を含む場合に得られるのは、基本的に、異なる標的生体高分子がトランスフェクトされている細胞のアレイである。
【0006】
アレイに過剰発現を引き起こすために、例えば、収集プラスミドをLipofectamine(商標)2000等のトランスフェクション試薬と予備混合して、支持体上にスポットする。以下に説明するとおり、本発明者らは、タンパク質およびスクロース等、スポッティング溶液に他の物質を添加することは、有益な場合があるということが明らかであることを見出している。ノックダウンアレイは、RNAを用いて同様に調製できる。この方法は一般的にリバーストランスフェクションと称され、1インチ×3インチの顕微鏡スライド等の平らな支持体、またはマイクロタイタープレートのウェルの中で行うことができる。
【0007】
商業的に存立可能なトランスフェクトされた細胞アレイの調製は、再生産可能でかつ信頼性のあるトランスフェクトされた細胞アレイの生産を円滑にするアレイ化プロセスを厳密に制御する手段、および、アレイ化したトランスフェクション剤の長期安定性を制御する手段の実施に部分的に依存する。本明細書で、本発明者らはこれらの目的を達成するのに用いることができる処方および方法を記載する。
【0008】
【非特許文献1】Schena, M. ら、Nature, 10:623(2000)
【発明の開示】
【0009】
概要
本発明は一部、(1)標的生体高分子(例えば、核酸分子、タンパク質等)、および/または他の化合物(例えば、ステロイド等の非ポリマー有機化合物)、ならびに(2)支持体(例えば、固体支持体)を含む構成体に関する。本発明は更に、これらの構成体を使用して、標的生体高分子および/または他の化合物を細胞に導入する方法に関する。本発明はまた、標的生体高分子および/または他の化合物を細胞に導入し、その後その標的生体高分子および/または他の化合物の細胞に対する直接または間接的な活性を検出するための方法にも関する。更に、本発明は、標的生体高分子および/または他の化合物を含む細胞のアレイに関する。
【0010】
特定の態様において、本発明は、支持体内またはその上の異なる位置に配置する、ヌクレオチド配列が異なる複数の(例えば、2、3、4、5、10、15、20、50、70、100、300、500、1000、2000、5000、8000、10000個等)核酸分子を有する支持体を含む構成体に関する。特定の具体的な態様において、支持体は、ガラス顕微鏡スライド等の平らな固体支持体である。
【0011】
特定の態様において、本発明は、支持体および2つ以上のフィーチャーを含む構成体であって、少なくとも1つの非コントロールフィーチャーが2つ以上の標的生体高分子を含む構成体を包含する。
【0012】
他の特定の態様において、本発明は更に、支持体および2つ以上のフィーチャーを含む構成体であって、各フィーチャーが1個または複数個の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)炭水化物を含有する構成体を包含する。
【0013】
更なる特定の態様において、本発明は、2つ以上のフィーチャーを有する支持体(例えば、固体支持体)を含み、前記フィーチャーの各々が核酸分子を含有するウイルス粒子を含み、各フィーチャー中の前記核酸分子のヌクレオチド配列がそれぞれ異なる構成体を包含する。更に特定の態様において、ウイルス粒子および/またはウイルスは、1つまたは複数の沈着剤と共に支持体上のフィーチャーに共局在化させてよい。
【0014】
本発明の様々な態様で使用する沈着剤は、少なくとも1種(例えば、1、2、3、4、5、6、7種等)のタンパク質(例えば、フィーチャーのウイルス粒子および/またはウイルス粒子に通常会合するタンパク質以外のタンパク質)を含むことができる。沈着剤に存在するタンパク質には、陽イオン性タンパク質(例えば、プロタミン)が含まれる。沈着剤に存在することができるタンパク質の例として、アルブミン(例えば、ウシ血清アルブミン)、ヒストン(例えば、H1またはH4ヒストン)、またはフィブロネクチン(例えば、ウシフィブロネクチン)が挙げられる。
【0015】
本発明の様々な態様で使用する沈着剤は、少なくとも1種の単糖(例えば、グルコース、リボース、リブロース等)、二糖(例えば、スクロース、マルトース、ガラクトース等)、三糖、または多糖も含むことができる。同様に、沈着剤は、ガム(例えば、グアーガム、アラビアゴム、キサンタンガム、トラガカント、ローカストビーンガム等)、ペクチン、またはカラギーナン(例えば、κ-カラギーナン、λ-カラギーナン、ι-カラギーナン等)等の少なくとも1種の複合炭水化物を含むことができる。特定の態様において、沈着剤は少なくとも1種の親水コロイドガムを含むことができる。
【0016】
本発明の更なる態様において、少なくとも1つのフィーチャーのウイルス粒子および/またはウイルスは、1つまたは複数のトランスフェクション試薬と共に支持体上に共局在化される。
【0017】
本発明の構成体の支持体上にあるフィーチャーの数は、特定の用途によって変化することになる。例えば、フィーチャーがキナーゼを産生するように設計された発現ベクターを含むのであれば、フィーチャーの数は通常、支持体に接触する細胞型において試験することが望まれるキナーゼ、および、存在するコントロールフィーチャー(例えば、GFP、β-ラクタマーゼ、または他の好適なレポーターの発現を許容するように設計された発現ベクターを含むフィーチャー)の数に限られる。存在するフィーチャーの数は、約2〜約10,000、約10〜約10,000、約100〜約10,000、約500〜約10,000、約1,000〜約10,000、約2,000〜約10,000、約50〜約1,000、約500〜約2,000、約1,000〜約5,000、約1,000〜約2,000、約2,000〜約4,000、約1,500〜約5,000、約1,500〜約4,000、約30〜約500、約40〜約1,000、または約100〜約1,000である。
【0018】
当然、存在するフィーチャーの数は、支持体の大きさおよび形状ならびにフィーチャー密度等の因子にも依存する。フィーチャー密度は、(1)各フィーチャーに存在する標的生体高分子の量、(2)効果を検出するために細胞に導入しなければならない標的生体高分子の量、および(3)細胞集団の代表的なデータを作成するために、各フィーチャーに接触する必要がある細胞の数等の技術的因子によって限定される。最後の項目に関して、多くの場合、信頼性のあるデータを作成するために、標的生体高分子を特定数の細胞(例えば、少なくとも50個または100個の細胞)内に導入することが必要である。一例として、多くの場合、フィーチャーは、単一細胞がそれを含むような大きさであれば、そのフィーチャーに由来するデータは、単一細胞のトランスフェクションに起因する。多くの場合、一貫したデータが得られない。
【0019】
信頼性のあるデータを作成するために各フィーチャーと接触する必要のある細胞の数は、特定の実験、ならびに(1)各フィーチャー中の生体高分子の量、(2)標的生体高分子それ自体、(3)トランスフェクション効率、(4)フィーチャーと接触する細胞、および(5)他の条件等の因子に伴って変動する。通常、各フィーチャーと接触する細胞の平均数は、50を超える(例えば、少なくとも55、75、100、150、200、300等)。各フィーチャーに接触する細胞の平均数は、約50〜約2,000、約50〜約1,000、約50〜約500、約50〜約200、約100〜約2,000、約100〜約1,000、約100〜約500、約200〜約2,000、約200〜約1,000、または約200〜約500である。
【0020】
特定の実施形態において、本発明の支持体上のフィーチャーの密度は、約2〜約100個/cm2、約5〜約300個/cm2、約10〜約100個/cm2、約10〜約2,000個/cm2、約100〜約2,000個/cm2、約200〜約2,000個/cm2、約400〜約2,000個/cm2、または約800〜約2,000個/cm2である。
【0021】
本発明の支持体は、固体支持体または半固体支持体であることが多い。固体支持体の例として、ガラス顕微鏡スライド等のガラスプレートが挙げられる。半固体支持体の例として、アガロース表面が挙げられる。多くの場合、半固体支持体は、強固な表面上に位置する。
【0022】
本発明で用いることができる標的生体高分子として、核酸分子、タンパク質、または多糖等のポリマー分子が挙げられる。特定の実施形態において、本発明の支持体は、RNA分子もしくはDNA分子のいずれか、あるいは、RNA分子とDNA分子の組み合わせである核酸分子を有する少なくとも1つのフィーチャーを含むことができる。
【0023】
少なくとも1つのフィーチャー中の標的生体高分子が核酸分子である場合、この核酸分子は二本鎖RNAおよび/またはタンパク質をコードすることができる。この二本鎖RNAは、例えば、RNA干渉により遺伝子発現のノックダウンができることができる。更に、核酸分子は、リボザイム、転移RNA(tRNA)等の機能性RNAをコードすることができる。
【0024】
核酸分子がtRNAをコードする場合、例えば、細胞を核酸分子でトランスフェクトでき、次いで例えば、特定の表現型を作出するサプレッサ機能を必要とするようなそれらの細胞に対してスクリーニングする。具体的な例として、サプレッサtRNAをコードする核酸分子(例えば、DNA)を、抗生物質(例えば、テトラサイクリン)と共にフィーチャーの中に配置することができる。更に、異なるサポートフィーチャーが、異なる抗生物質を含むことができる。テトラサイクリン応答性調節エレメント(例えば、Invitrogen CorporationのT-Rex(商標)System、カタログ番号Kl030-02、V1033-20、およびK1020-01)の下流に位置するレポーター遺伝子を含む細胞。レポーター遺伝子は、抑制可能な終止コドンを含む。従って、細胞がサプレッサtRNAおよびテトラサイクリンをコードする両DNAを含むフィーチャーと接触すると、レポーター遺伝子活性を検出することができる。このように、本発明の方法を用いて、薬物スクリーニングを設計することができる。
【0025】
前記態様に、様々な変更を加えることができる。例えば、フィーチャーは、遺伝子発現の潜在的活性化剤および潜在的阻害剤を含む混合物を含有することができる。かかるフィーチャーを含むアレイを用いて、所定の活性化剤および/または阻害剤に応答する細胞をスクリーニングしてもよい。一例として、フィーチャーは、遺伝子発現を活性化できるタンパク質または他の分子、ならびに遺伝子発現の活性関連阻害についてスクリーニングすべき分子を含むことができる。更に具体的な例において、活性化剤はテトラサイクリンであってよく、前記のように、潜在的インヒビターはRNAi分子であってよい。アレイの異なるフィーチャーが異なるRNAi分子を含む場合、これらのフィーチャーを用いてRNAi分子が遺伝子発現をノックダウンする能力を定量化できる。例えば、標的遺伝子は、融合タンパク質として、フィーチャーと接触する細胞において発現することができ、融合タンパク質は、個々のフィーチャーのRNAi分子により潜在的に標的化される領域、およびレポーター活性(例えば、β-ラクタマーゼ活性、緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、シアニン蛍光タンパク質(CFP)等)を備えた領域を含む。
【0026】
以上記載した実施形態において、遺伝子発現の活性化剤は、使用する具体的な系に応じて変更することができる。活性化剤の一例はTNF-αであり、これを用いて、適切な応答配列を有する細胞における遺伝子発現を活性化できる。このような細胞の一例は、核の因子κB(NFB)応答配列の制御下に安定に組み込まれたβ-ラクタマーゼレポーター遺伝子を含む、CellSensor(商標)NFB-bla ME-180細胞系(Invitrogen. Corp.、カタログ番号Kl171)である。
【0027】
本発明はこのように、細胞効果について薬物および薬物候補物等の分子をスクリーニングするための方法を含む。これらの効果は、例えば、細胞ゲノム内に通常存在する遺伝子によって媒介されるものか、あるいは、組換え核酸技術(例えば、相同組換えによるレポーター遺伝子の導入)によって導入されると思われる。
【0028】
少なくとも1つの支持体フィーチャーの標的生体高分子がRNA分子である場合、このRNA分子は、別のRNA分子またはタンパク質もコードすることができる。更に、RNA分子それ自体は、転写または翻訳を行わずに、機能性を有してもよい。例えば、RNA分子は、RNA干渉を媒介できるリボザイムまたは二本鎖RNA分子であってよい。
【0029】
本発明の実施にて用いることができる炭水化物としては、単糖、二糖、三糖、および多糖(すなわち、4以上の単糖モノマーを含む炭水化物)が挙げられる。更に、これらの炭水化物は、ガム、ペクチン、またはカラギーナン等の複合炭水化物であってよい。特定の実施形態において、ガムは親水コロイドガム(例えば、グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム等)であってよい。本発明で用いる沈着剤は、前記の炭水化物や、他の炭水化物を含むことができる。
【0030】
フィーチャーは、1つまたは複数の標的生体高分子に加えて、少なくとも1種のトランスフェクション試薬を含むことができる。特定の実施形態において、フィーチャーは、1つまたは複数の標的生体高分子、1つまたは複数のトランスフェクション試薬、および1つまたは複数の炭水化物を含有する。
【0031】
本発明は更に、標的生体高分子および/または他の化合物を細胞に導入する方法を包含し、特定の実施形態で、当該方法は、2個以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、80、100、500、1000、2000個等)のフィーチャーを含む支持体に、細胞を接触させることを含み、当該細胞は、(a)標的生体高分子および/もしくは他の化合物ならびに少なくとも1種の炭水化物(例えば、少なくとも1種のガム)を含有する沈着剤、または(b)標的生体高分子および/もしくは他の化合物を含有するウイルス粒子および/もしくはウイルスのいずれかを含む支持体上の個々の位置に接触する。
【0032】
本発明の構成体について前述したように、フィーチャーがウイルス粒子および/またはウイルスを含む場合、これらのフィーチャーは、1つまたは複数のトランスフェクション試薬または他の好適な試薬もしくは化合物を含むことができる。
【0033】
本発明の構成体について前述したように、フィーチャーの標的生体高分子は、発現ベクター等の核酸分子であってよい。更に、これらの発現ベクターは、タンパク質または発現二本鎖RNA等の分子をコードすることができる。フィーチャーに含まれる核酸分子から発現されるか、あるいは、それ自体フィーチャーの中に存在している二本鎖RNA分子は、大きさが大幅に異なっていてもよい。更に、二本鎖RNA分子の大きさは、フィーチャーに接触する細胞型に依存することが多い。一例として、線虫(C. elegans)およびキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)のもの等の動物細胞は、約30ヌクレオチドの長さよりも大きい二本鎖RNA分子(すなわち、二本鎖領域の30ヌクレオチド)と接触した場合に通常アポトーシスを行わないが、哺乳動物細胞は一般に、このような二本鎖RNA分子に曝されるとアポトーシスを行う。従って、特定の実験の設計で、フィーチャーの核酸分子によりコードされるか、あるいは、その中に含まれる二本鎖RNA分子の大きさを決定することになる場合が多い。
【0034】
多くの場合、フィーチャーの核酸分子によってコードされるかまたはその中に含まれる二本鎖RNA分子の二本鎖領域は、約20〜約30ヌクレオチド、約20〜約40ヌクレオチド、約20〜約50ヌクレオチド、約20〜約100ヌクレオチド、約22〜約30ヌクレオチド、約22〜約40ヌクレオチド、約20〜約28ヌクレオチド、約22〜約28ヌクレオチド、約25〜約30ヌクレオチド、約25〜約28ヌクレオチド、約30〜約100ヌクレオチド、約30〜約200ヌクレオチド、約30〜約1,000ヌクレオチド、約30〜約2,000ヌクレオチド、約50〜約100ヌクレオチド、約50〜約1,000ヌクレオチド、または約50〜約2,000ヌクレオチドである。上記範囲は、二本鎖領域に存在するヌクレオチドの数で示す。従って、これらの範囲は、RNA分子自体の全長を反映するものではない。一例として、6ヌクレオチドのループを備えた全長50ヌクレオチドの単一転写物から形成される平滑末端化二本鎖RNA分子は、23ヌクレオチドの二本鎖領域を有する。
【0035】
本発明は更に、2つ以上のフィーチャーを備えた支持体を含む構成体を製造するための方法を包含する。一態様で、これらの方法は、支持体上に沈着ウイルス粒子および/またはウイルスを含み、各支持体上で当該2つ以上のフィーチャーを産生するものを包含する。別の態様で、これらの方法は、支持体上に、1つまたは複数の標的生体高分子と、1つまたは複数の炭水化物(例えば、1種または複数種のガム)を含有する沈着剤との沈着混合物を含み、2つ以上のフィーチャーを産生するものを包含する。
【0036】
本発明は更に、支持体上に2つ以上の乾燥スポットを含む標的生体高分子のアレイであって、各支持体上の少なくとも2の乾燥スポットは少なくとも1つの標的生体高分子、および1つまたは複数の炭水化物(例えば、1種または複数種のガム)を含有する沈着剤を含むアレイを包含する。本発明の他の構成体について前述したように、このようなアレイの1つまたは複数のフィーチャーは、1つまたは複数のトランスフェクション試薬を更に含むことができる。
【0037】
本発明は、標的生体高分子の少なくとも1種の活性についてスクリーニングする方法を更に包含する。特定の実施形態において、かかる方法は、(a)細胞の集団を、異なる生体高分子を各々含有する2つ以上のフィーチャーを含むアレイと接触させることと、(b)接触させた前記細胞への少なくとも1つの前記標的生体高分子の導入に関連する直接的または間接的な活性を検出することを含む。本明細書において別記するように、標的生体高分子以外の分子(例えば、薬物、薬物候補物等)を、本発明の本実施形態または他の実施形態における標的生体高分子と置換してもよい。一例として、ヒト細胞に対する非ステロイド性抗炎症薬物(NSAID)が有する効果を比較することが望まれるのであれば、本発明の方法で使用するためのかかる薬物のアレイを調製できるはずである。これらの手法で、炎症の苦痛の治療用に現在販売されているか、あるいは、近年販売されているかのいずれかであるNSAIDが(例えば、Bextra(商標)、Vioxx(商標)、Celebrex(商標)、Daypro(商標)、ナプロキシン等)現在およそ25種類存在する。従って、本発明は、薬物および薬物候補物を、細胞に対するこれら化合物の効果についてスクリーニングするための方法を包含している。
【0038】
場合により、本発明の方法および構成体を用いて細胞に接触する分子は、それらの効果を媒介するのに細胞へ入る必要はない。特に、これらの分子は、膜貫通シグナル伝達によってそれらの効果を媒介することができる。従って、本発明は、細胞効果を誘導するための方法および構成体を包含し、その効果は膜貫通シグナル伝達によって媒介される。
【0039】
本発明は更に、本明細書に言及するコンポーネントを含有するキットを包含する。特定の実施形態において、本発明は、(a)2つ以上のフィーチャーを有する支持体であって、前記フィーチャーの各々が、核酸分子を含有するウイルス粒子を含み、異なるフィーチャーの前記核酸分子のヌクレオチド配列が異なる固体支持体、(b)2つ以上のフィーチャーを有する固体支持体であって、そのフィーチャーごとに1つまたは複数の炭水化物を含有する固体支持体、または、(c)固体支持体上に2つ以上の乾燥スポットを含む標的生体高分子のアレイであって、少なくとも2つの前記乾燥スポットが、少なくとも1つの標的生体高分子および1つまたは複数のガムを含有する沈着剤を含むアレイからなる群より選択される構成体を含むキットを包含する。
【0040】
本発明のキットは更に、(a)1つまたは複数の細胞系と、(b)1つまたは複数の緩衝液;(c)1つまたは複数の酵素と、(d)1つまたは複数のトランスフェクション試薬と、(e)1つまたは複数の培養培地または培養培地成分と、(f)1つまたは複数のキットコンポーネントを用いるための1組または複数組の説明書のコンポーネントのうち1つまたは複数を含むことができる。
【0041】
本発明は更に、例えば、本発明の方法および構成体を含む製品を購入する顧客を誘引するように設計された製品、および工業的方法を包含し、特定の態様で、本発明は顧客に製品を供給するための方法を包含する。これらの方法は、(a)特定の製品を受注することと、(b)顧客に製品を供給することを含むものを包含する。多くの場合、製品はキット等、本明細書に記載の構成体である。本発明の方法は更に、製品の販売に関わる課金機能に関連する活動を含む。一例として、本発明の方法は、製品の顧客/購入者に請求書を提供するものを含む。このような請求書は、製品と一緒に発送してもよいし、あるいは、製品と別に送ってもよい。
【0042】
本発明は更に、製品を広告するための方法を包含する。特定の態様において、これらの方法は、(a)製品に対する広告を準備することと、(b)その広告を公開することを含む。多くの場合、製品は、前記キット等、本明細書に記載の構成体である。本発明の広告の例として、(a)雑誌広告、(b)顧客または潜在顧客に郵送するか別の方法で渡すように設計されたチラシまたは小冊子、(c)ウェブページまたはウェブで入手可能な文献、および(d)学会または他の公的行事で提示することになるように設計されたポスターが挙げられる。
【0043】
図面の簡単な説明
図1は、本発明の構成体の一例の形式を示す図である。この場合の支持体は、96個の黒円(2)および4個の白円(3、4)で表す100個のフィーチャーを備えたガラス顕微鏡スライド(1)である。黒円は、様々な非コントロール標的生体高分子を備えたフィーチャーを表す。白円は、コントロール標的生体高分子を備えたフィーチャーを表す。白円(3)のいくつかは、レポーターをコードする発現ベクター等のコントロール標的生体高分子、または他のコントロール化合物を含む。他の白円(4)は、接触する細胞に導入する標的生体高分子、または他の化合物を含んでいない。従って、これらの白円(4)はブランクである。
【0044】
図2A〜Eは、本発明の方法で使用することができるベクターフォーマットを示す図である。図2Aは、例えば単一転写物(例えば、mRNAs、tRNAs、リボザイム、二本鎖RNA分子等)を産生するのに使用することができるベクターフォーマットを示す図であり、図2B〜2Eは、例えば二本鎖RNA分子を生産するのに使用することができるベクターフォーマットを示す図である。「P」は、プロモーターを示す。「TS」は転写配列を示す。「TS-F」は、正方向の転写配列を示す。「TS-R」は逆方向の転写配列を示す。正および逆は本明細書で、好適な条件下で互いにハイブリダイズできる相補的RNA鎖の合成を可能にするフォーマットをいう。図2Cの「L」は、正転写配列と逆転写配列とを連結するリンカーを示す。
【0045】
図3は、「フィーチャー」とも称される、様々なグアーガム濃度にてアミン修飾ガラス顕微鏡スライド(GAPS II, Corning Inc., Acton, MA, カタログ番号40003)上に調製したトランスフェクションスポットの明視野画像を示す図である。フィーチャーは、30μg/mlのGFPプラスミド、180μg/mlのLipofectamine(商標)2000、100mMスクロースおよび0.5mg/mlのヒトフィブロネクチンを含む溶液から調製した。フィーチャーは、電気Raininピペッタ(EDP3-LTS 10型)を用いてスライド上に0.15μlのスポットを分配することによって手動で作出した。
【0046】
図4は、様々な濃度のグアーおよびキサンタンガムを用いてスポット(フィーチャー)上に準備したGripTite(商標)細胞(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA、カタログ番号R795-07)のGFPトランスフェクションを示す図である。画像は、蛍光顕微鏡(40×)によって得た。アレイは、DNA/脂質複合体(30μg/mlのGFPプラスミド、180μg/mlのLipofectamine(商標)2000、100mMスクロースおよび0.5mg/mlのヒトフィブロネクチン)をGAPS IIスライド上にスポットすることによって手動で調製した。乾燥スポットの平均径は1.2ミリで、スポットの間隔は、約2ミリの中心間距離であった。
【0047】
図5は、ある範囲の濃度にわたるトランスフェクション複合体に添加された様々なタンパク質で準備したスポット上のGripTite(商標)細胞のGFPトランスフェクションを示す図である。画像は、蛍光顕微鏡(40×)によって得た。
【0048】
図6は、GFPを含むレンチウイルスのスポット上のGripTite(商標)細胞のトランスインフェクションを示す図である。レンチウイルスアレイはグアーガムを用いて調製し、乾燥下に4℃で保存した。画像は、蛍光顕微鏡(40×)によって得た。つまり、使用したレンチウイルスは、GFPをコードする読み取り枠を含むウイルスであった。GripTite(商標)細胞に導入した後、GFP発現が細胞内で観察された。GAPS IIスライド上でレンチウイルススポットを作るために、スクロースおよびグアーを含有するDMEM培地にレンチウイルス試料を添加し、次いでその混合物の0.5μlをGAPS IIスライド上にスポットした。スライドは、リバーストランスフェクションを実施するまで、8週間を上限として乾燥下に4℃で保存した。
【0049】
図7は、GAPS IIスライド上で様々なマトリックスを用いた、293 GripTite(商標)細胞へのEmerald GFPベクターのLipofectamine(商標)2000リバーストランスフェクションを示す図である。0.15μl脂質/DNA混合物/スポット 混合液は、100mMスクロース、および前記濃度のフィブロネクチン(ウシ)またはポリブレンを含有する。混合液中の最終的なDNA濃度は、30ng/μlである。脂質は、Lipofectamine(商標)2000である。脂質/DNA比:6/1 脂質/DNA反応は、水中にて1時間で起こる。プリントしたスライドを3時間で乾燥させ、その後細胞により被覆した。細胞密度:quadriPERMディッシュ中6.2×105個/ml×8ml 写真は、リバーストランスフェクション後、20時間で撮影した。
【0050】
図8は、混合液が100mMスクロースおよびフィブロネクチン(ウシ)または胎児ウシ血清(FBS)を含有すること以外は図7の場合と同様のデータを示す図である。
【0051】
図9は、混合液が100mMスクロースおよびフィブロネクチン(ウシ)またはグリセロールを含有すること以外は図7および8の場合と同様のデータを示す図である。
【0052】
図10は、cDNAライブラリーを用いた発現クローニング対する、トランスフェクトされた細胞アレイに基づく取り組みの概略を示す図である。全体として、本明細書に示す技術はライブラリーを先ず播種し、個々のクローンをランダムに拾い、記録して集めることを除いて、古典的な同胞選択と類似である。集めたクローン(サブライブラリー)からの核酸分子は次いで、適切な沈着試薬および/またはトランスフェクションを円滑にする他の化合物(例えば、トランスフェクション試薬)と複合させ、アレイ上にスポットされる。サブライブラリーのフィーチャーを含むアレイ自体は、購入でき、かつ遺伝子スクリーニングアッセイで用いることができる市販品であってよい。「Hits」は、特定のフィーチャー(単数または複数)の核酸分子がトランスフェクトされた細胞によって呈示される、アッセイに特異的な表現型応答である。そのフィーチャーにおけるクローンの同一性は(全フィーチャー同様)、未知であってよい。フィーチャーの座標等の情報を知ることによって、フィーチャーに存在するサブライブラリーを含むクローンに対するID番号へ、インターネットまたは各アレイと共に供給されるデータベースファイルを通じてアクセスできる。各クローンは次いで、供給者から、例えばクローンID番号を参照することにより個々に注文できる。最後に使用者は、どの特定クローンが所望の表現型応答を誘発する原因となっていたかを判定するために、各クローンにつき別々に遺伝子スクリーニングアッセイを繰り返す必要があることが多い。そのクローンは次いで、配列決定および特徴付けがなされる。
【0053】
図11は、GAPS IIスライド上で様々なマトリックスを用いた、293 GripTite(商標)細胞へのEmerald GFPベクターのLipofectamine(商標)2000リバーストランスフェクションを示す図である。スポットは、GAPS IIスライド上に手でプリントした。0.15μl/スポットの脂質/DNA混合物を塗った。混合液は、100mMスクロース、および図に示す様々なマトリックスタンパク質を含有する。混合液中の最終的なDNA濃度30ng/μlであり、脂質/DNA比は6:1であった。脂質/DNA反応は水の中で起こった。プリントしたスライドを、密封アルミニウムバッグの中で乾燥剤を用い室温で3日間乾燥させた。スライドは次いで、quadriPERM 4チャンバーディッシュ(チャンバー当たりスライド1枚)の中で293 GripTite(商標)細胞により被覆した。細胞密度:quadriPERM 4チャンバーディッシュの1チャンバー当たり6.5×105個/ml×8.5ml 写真は、リバーストランスフェクション後、48時間で撮影した。
【0054】
図12は、顧客/購入者等の関係者に製品を提供するためのシステムの模式図を示す。
【0055】
図13は、製品の入手可能性に関して関係者に助言するためのシステムの模式図を示す。
【0056】
本特許または出願ファイルは、カラーで作成される少なくとも1つの図面を含む。カラーの図面を含む本特許または特許出願公開の写しは、要請に応じて特許庁により提供され、カラー図面を提供する権限での必要経費の支払いがなされることになる。
【0057】
詳細な説明
I.定義
本発明を更に説明する前に、本明細書で用いた所定の用語、実施例および添付の請求の範囲を、便宜のためにここにまとめる。
【0058】
本明細書で用いる場合、「沈着剤」の用語は、(1)細胞への導入が求められる1つまたは複数の標的生体高分子(例えば、核酸分子、タンパク質分子、多糖分子等)または他の化合物と混合され、(2)次いで支持体に添加することができる構成体を意味する。一般的に、沈着剤は(1)安価、(2)スポットすべき混合液をスポットする前に安定化が可能、(3)支持体上へ溶液を容易にスポットすることが可能、(4)支持体上でスポットを乾燥することが可能、(5)乾燥したスポットの安定性を増大、(6)生物学的高分子を含む支持体に接触する細胞による生物学的高分子の取り込みが可能、(7)支持体に接触する細胞のトランスフェクション試薬への曝露を促進する特性のうち1つまたは複数を有する。
【0059】
「沈着剤」の用語には、トランスフェクション試薬は含まれない。しかし、多くの場合、沈着剤はトランスフェクション試薬と混合される。
【0060】
本明細書で用いる場合、「トランスフェクション」の用語は、1つまたは複数の外来化合物(例えば、生物学的高分子)の細胞への導入をいう。
【0061】
本明細書で用いる場合、「複合炭水化物」の用語は、少なくとも10個の単糖の高分子炭水化物をいう。従って、複合炭水化物の用語には、ペクチン、ガムおよびデンプンが含まれる。複合炭水化物の他の単糖は、ペントースおよびヘキソースである。複合炭水化物の用語は、核酸を含まない。
【0062】
本明細書で用いる場合、「二糖」の用語は、2単糖で構成される炭水化物をいう。従って、二糖はスクロース、マルトース、およびガラクトースを含む。
【0063】
本明細書で用いる場合、「ガム」の用語は、親水性コロイドと称される親水性化合物のカテゴリーのメンバーである、植物由来の(浸出液または抽出物から単離された)多糖をいう。これらの化合物は通常、水と混合すると弾粘性を有するようになる。多くの場合、ガムは乾燥すると硬化する。
【0064】
本明細書で用いる場合、「トランスフェクション試薬」の用語は、核酸分子が細胞に入る能力を増強する化学組成物をいう。相当数のトランスフェクション試薬が当該技術分野で知られており、陽イオン性および陰イオン性脂質およびポリアミンが包含される。数多くの例示できるトランスフェクション試薬を、本明細書の別の箇所で述べる。トランスフェクション試薬の更なる例は、米国特許公開第2004/0077582号および第2004/0077888号に記載されており、それらの開示全体を本願に引用して援用する。
【0065】
本明細書で用いる場合、「核酸分子」の用語は、デオキシリボ核酸(DNA)等のポリヌクレオチド、あるいは、適切な場合にはリボ核酸(RNA)をいう。更にこの用語に包含されるのは、Stealth(商標)RNAi分子(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CAより入手可能)等の化学的に修飾された核酸分子である。
【0066】
本明細書で用いる場合、「cDNA」の用語は、mRNAの逆転写によって産生されるDNAで、これよりイントロンが除去されたものをいう。
【0067】
本明細書で用いる場合、「異種核酸」の用語は、存在するゲノムの一部として本来発生しない核酸、またはそのゲノムの一部として本来発生してはいるものの、導入される細胞に本来存在しない別の核酸分子の一部として導入されている核酸(例えば、DNAまたはRNA)をいう。従って、プラスミドクローニングベクターは、細胞の染色体のセグメントのヌクレオチド配列と一致するヌクレオチド配列を備えた核酸セグメントを有するインサートを含む場合でも、異種核酸と考えられる。
【0068】
本明細書で用いる場合、「ウイルス粒子」の用語は、核酸と、会合するウイルス外被タンパク質をいう。ウイルス粒子は、(1)1つまたは複数の核酸分子で、その各々が少なくとも1種のパッケージングシグナルを含むもの、および(2)少なくとも1種のウイルスタンパク質またはその修飾されたフォームで構成される。一般にパッケージングシグナルは、実質的にウイルスタンパク質(1種または複数種)との会合(例えば、これへの結合)のための核酸分子(1種または複数種)をマークする。多くの場合、核酸分子(1種または複数種)は、ウイルスタンパク質(1種または複数種)や、任意に他の成分(例えば、細胞性タンパク質、細胞性脂質等)で構成される三次元構造内に含まれることになる。例示されるウイルス粒子は、Invitrogen CorporationのVirapower(商標)レンチウイルスおよびアデノウイルスクローニングシステム(例えば、カタログ番号K4930-00、K4940-00、K4950-00およびK4960-00参照)の使用によって形成されるものである。場合により、細胞に導入することが意図される核酸分子は、ウイルス粒子の外側に付着される。このような場合には、ウイルス粒子は核酸を含んでも含まなくてもよい。従って、ウイルス粒子は「空」であってよい。
【0069】
本明細書で用いる場合、「標的生体高分子」の用語は、ポリマー有機分子をいう。ほとんどの場合、標的生体高分子は宿主細胞(すなわち、生体高分子が導入またはそれに接触する細胞)にトランスフェクトされる。多くの場合、標的生体高分子は、トランスフェクションアレイの成分となる。標的生体高分子が、宿主細胞の表現型に変化をもたらす能力を有することが多い。標的生体高分子は、例えば、タンパク質をコードする核酸分子(例えば、異種核酸分子)、またはメッセンジャーRNA以外のRNA(例えば、アンチセンスRNA、リボザイムまたは二本鎖RNA)であってもよい。標的生体高分子は、タンパク質または炭水化物であってもよい。異なる標的生体高分子の例として、発現調節配列(例えば、プロモーター)に作動可能に連結される核酸セグメントのヌクレオチド配列のみが異なる発現ベクターが挙げられる。
【0070】
本明細書で用いる場合、「フィーチャー」の用語は、宿主細胞への導入または接触が望まれる標的生体高分子または他の分子(1種または複数種)の存在に関して相対的に均質な支持体(例えば、固体支持体)の領域をいう。これは、標的生体高分子または他の分子の濃度が、フィーチャー全体で一致する必要があるという意味ではなく、同一の標的生体高分子(1種または複数種)または他の分子(1種または複数種)が存在することを意味する。一つのフィーチャーと別のフィーチャーの標的生体高分子または他の分子(1種または複数種)が異なる(例えば、異なるヌクレオチド配列、異なるアミノ酸配列、異なる炭水化物単量体組成物または配列等を有する)のであれば、これらのフィーチャーは互いに相違する。通常、フィーチャーの形態は、支持体上のスポット(例えば、トランスフェクションアレイ)の形態である。
【0071】
本明細書で用いる場合、「ベクター」の用語は、細胞内に輸送および/または細胞内で維持することができる核酸分子をいう。多くのベクターが、細胞内で自律複製でき、選択マーカーを有する。プラスミドは、ベクターの型の例である。
【0072】
本明細書で用いる場合、「作動可能に連結される」および「作動可能に結合される」の用語は、プロモーター、エンハンサー、転写および翻訳開始および終止部位、ならびに他のシグナル配列等の調節およびエフェクタヌクレオチド配列との核酸セグメントの機能的な関連性をいう。例えば、核酸セグメントのプロモーターとの作動可能な連結とは、このような核酸セグメントの転写が、その核酸セグメントを特異的に認識、結合、および転写するRNAポリメラーゼによってプロモーターから開始されるような、核酸セグメントとプロモーターとの間の物理的かつ機能的な関連をいう。
【0073】
本明細書で用いる場合、「発現」の用語は、核酸RNAに転写されて、任意にペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に翻訳されるプロセスを含むいくつかのステップをいう。核酸がゲノムDNAに由来する場合、適切な真核宿主細胞または生物が選択されるのであれば、発現にRNAのスプライシングを含むことができる。
【0074】
本明細書で用いる場合、「組換え細胞」の用語は、異種核酸の導入によって修飾されているあらゆる細胞を包含する。コントロール細胞は、組換え細胞と実質的に同一であるが、異種核酸によりコードされる産物の1つまたは複数を発現しない細胞を包含する。
【0075】
「タンパク質」、「ポリペプチド」、および「ペプチド」の用語は、本明細書で同義的に用いられる。
【0076】
本明細書で用いる場合、「細胞表面レセプター」の用語は、細胞の表面上に通常位置する、細胞外環境と相互に関わり、かつ、細胞内セカンドメッセンジャー活性もしくは特異的プロモーターの転写を変調できる様式で細胞内での環境に関連する情報を送信または伝達する分子をいう。細胞表面レセプターが媒介するシグナル伝達の結果、特異的遺伝子の転写が引き起こされることが多い。本発明は、細胞表面受容体を刺激して、細胞応答を生じさせることを可能とする方法および構成体を包含する。
【0077】
本明細書で用いる場合、「細胞外シグナル」の用語は、シグナルと直接的もしくは間接的に相互作用する細胞表面タンパク質を介して細胞内で伝達される環境の変化または分子をいう。細胞外シグナルまたはエフェクタ分子には、細胞表面タンパク質の活性を何らかの様式で変化させる、あらゆる化合物または物質が包含される。このようなシグナルの例として、限定しないが、アセチルコリン、成長因子およびホルモン、脂質、糖、ならびに細胞表面および/または細胞内受容体ならびにイオンチャンネルに結合して、かかる受容体およびチャンネルの活性を変調するヌクレオチド等の分子が挙げられる。この用語にはまた、細胞受容体の活性を変調させ、これにより細胞機能に影響を及ぼす未同定物質も更に包含される。このような細胞外シグナルは、特異的細胞表面受容体の活性を変調させることにより特定の疾患を治療するのに用いることができる潜在的薬理物質であり、本発明は、細胞外シグナルを含む、かつ/または、媒介するフィーチャーを包含する。
【0078】
本明細書で用いる場合、「レポーターベクター」の用語は、少なくとも1種の転写調節配列(例えば、プロモーター)に作動可能に連結される「レポーター遺伝子」を含む核酸をいう。レポーター遺伝子の転写は、それらに連結されるかかる配列によって制御される。レポーター遺伝子の例として、緑色蛍光タンパク質およびβ-ラクタマーゼが挙げられる。
【0079】
「シグナル伝達」は、細胞膜を通しての細胞環境からの物理的または化学的シグナルのプロセシングであり、酵素(プロテアーゼまたはリン酸化パターンもしくは他の翻訳後修飾を変化できる他の酵素等)の活性化/不活性化、イオンチャンネルまたは細胞内イオン貯蔵所の活性化、グアニンヌクレオチド結合タンパク質中間体を介するエフェクタ酵素活性化、イノシトールホスフェートの形成、アデニリルシクラーゼの活性化または不活性化、転写因子および/または活性化の直接活性化(または阻害)等の様々な機構の1つまたは複数によって起こる。
【0080】
II.序論
本発明は、支持体(例えば、固体支持体)に会合する標的生体高分子(例えば、核酸分子)を含む様々な構成体に関する。このような構成体は、いくつかの手段において用いることができる。これらの手段の一つは、細胞に対して特定の特性をもたらす標的生体高分子の高処理能力、機能スクリーニングのためのものである。細胞に与えることができるこれらの特性は、直接的に、あるいは、発現産物の生産の結果としてのいずれかで媒介されうる。
【0081】
細胞に対して間接的に特定の特性をもたらす核酸分子の能力についてスクリーニングできる標的生体高分子/支持体構成体の例は、例えば、Sabatiniら、米国特許第6,544,790号に記載されており、その開示全てを本願に引用して援用する。この特許に記載の構成体は、発現ベクターおよび固体支持体を含む。従って、これらの支持体に細胞を添加すると、核酸分子が細胞によって取り込まれ、所定の条件下に発現産物(例えば、緑色蛍光タンパク質)の産生を検出できる。
【0082】
細胞に対して直接的に特定のフィーチャーをもたらす核酸分子の特性についてスクリーニングできる核酸分子/支持体構成体の例は、例えば、Sabatini、米国特許公開第2003/0228601に記載されており、その開示全てを本願に引用して援用する。このように用いることができる構成体の例は、二本鎖RNA分子を含む支持体である。従って、これらの支持体に細胞をかぶせると、細胞によってRNA分子が取り込むことができ、所定の条件下に、RNAiで媒介される遺伝子発現のノックダウンを検出できる。これらのRNA分子は、RNAiで媒介されるノックダウンプロセスに直接関わるので、細胞に対して直接特性をもたらすといわれている。
【0083】
従って、本発明のアレイは、例えば、多くの遺伝子の細胞における機能を平行して分析するのに用いることができる。特定の実施形態において、異なる標的生体高分子(すなわち、フィーチャー)を含む溶液で規定位置にプリントしたガラススライドの上で細胞を培養する。フィーチャーの上で生育する細胞は標的生体高分子を取り込み、トランスフェクトされていない細胞の叢内に局在トランスフェクションのスポットを作出する。一例として、発現ベクターにクローニングした相補的DNA(cDNA)のセットをプリントすることにより、各位置で規定のcDNAを発現する生細胞の群を含むアレイを作出できる。本発明はこのような細胞アレイの他に、かかるアレイを作出するための方法を含む。トランスフェクトされた細胞アレイは、遺伝子、特にシグナル伝達および薬物発見等の領域で、遺伝子の高処理能力発現クローニングに対し広く有用なものにすることができる。
【0084】
本発明はまた部分的に、細胞に規定の標的生体高分子(例えば、DNA)を、表面上の別々の規定位置にリバーストランスフェクションによって導入する方法にも関する。すなわち、本発明の方法を用いて、これらの核酸分子をスライドまたはウェル底部等の支持体(すなわち、フィーチャー)上の特定の位置に付加し、そのフィーチャー上に播種し、細胞内に核酸分子を入れるのに適切な条件下に維持した細胞を成長させることにより、既知配列および/または材料の核酸分子を利用できる。
【0085】
本発明の特定の態様において、本発明者らは、グアーガム等の親水コロイド(ならびにペクチン、キサンタンガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、トラガカント、ガティガム、アルギン酸塩、カラヤガム、オポパナックス、ラッカーグッタペルカ、粘液(mucilage)、メスキートガム、キノガム、ブテアガム、チクルガム、サクラノキガム、寒天-寒天、アルバリウムガム、ガムオリバナム、ユーフォルビウムガム、キリン血、コニマ(conima)、アンモニアガム、グッタバラタ、ユーカリガム、赤色ガム、およびモミジバフウを含む関連材料)を、トランスフェクトされた細胞アレイの生産に使用してアレイの質と性能を向上できることを見出している。ガムをトランスフェクション複合体の溶液に添加して、a)アレイをスポットする前の溶液の安定性、b)支持体上に溶液をスポットするプロセス、c)支持体上のスポットの乾燥、d)乾燥したスポットの安定性、e)アレイの細胞培養の際のトランスフェクション複合体の特質、およびe)1つまたは複数のトランスフェクション試薬への細胞の曝露を有意に改善することができる。更に広義には、ガムの使用は、トランスフェクション試薬、核酸、タンパク質、ウイルス等の材料を単独または組み合わせてガムと混合し、細胞の播種に先駆けて基質として配設した場合に、トランスフェクション/送達用途のいずれにも有利であることが明らかであると思われる。ガムはまた、インビボの遺伝子療法等の様々な適用における送達のための半固体剤としても価値があると思われる。
【0086】
沈着剤に配合することができる天然ガムに加えて、化合物は、ガムと類似または同様の特性を有する合成化合物(例えば、天然ガムと同等であるが合成により生成される)、寒天等の炭水化物を含む。
【0087】
上述のとおり、本発明での使用に好適な親水コロイドは、天然材料に由来するものである必要はない。合成化合物を用いてもよい。このような合成化合物の例として、ポリブレン、ビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、アクリル系ポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、エチレンオキシドポリマー、ポリエチレンイミン(PEI)、完全および破砕したポリアミドアミンデンドリマー、アシアロ-オロソムコイド(AsOR)/ポリリジン、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリ(L-オルニチン)、DEAE-デキストラン、グラミシジンS、およびグリセロホスホエタノールアミンや、それらの誘導体(例えば、フッ素かしたグリセロホスホエタノールアミン)が挙げられる。
【0088】
タンパク質をトランスフェクション複合体に加えると、トランスフェクトされた細胞アレイの性能を改善することが過去に示されている(例えば、Sabatiniら、米国特許第6,544,790号、およびGhadiriら、米国特許公開第2004/0121333号参照)。特に、ゼラチンおよびフィブロネクチンは、成功裡に使用されており、アレイへの細胞の接着を助けると考えられている。本発明者らは、アルブミン等の一般的なタンパク質試薬が同程度に有効であることを見出している。
【0089】
トランスフェクション複合体混合液からアレイを調製するための本発明者らの改良法は、レンチウイルスも用いて試験した。こうして、本発明者らは、ウイルスのトランスフェクトされた細胞アレイの調製に成功している。
【0090】
III.概説
遺伝子、クローニングされるcDNA、および遺伝子の機能性細断片(例えば、RNAi分子)の収集の増加によって、機能を特徴付ける系統的かつ高処理能力アプローチの開発が生じている。転写プロファイリング用のDNAマイクロアレイや、タンパク質間相互作用の判定するための2ハイブリッドアッセイのDNAマイクロアレイが、遺伝子産物を特徴付けするゲノムアプローチでの近年使用されている例である。例えば、核酸分子を細胞に導入して、核酸分子によって細胞に与えられる機能的特性を同定することを可能とする、リバーストランスフェクションアレイも開発されている。
【0091】
本発明は一部、リバーストランスフェクションアレイの改良に関する。これらの改良のいくつかは、支持体上に位置する標的生体高分子組成物の変化に関する。例えば、支持体上に位置する核酸分子は、ウイルス粒子またはウイルスの中に存在することができる。更に、標的生体高分子は、1つまたは複数の特定のタンパク質、1つまたは複数の炭水化物(例えば、1種または複数種のガム)、または1つまたは複数の特定のタンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン等のアルブミン)と1つまたは複数の炭水化物の組み合わせと共に共局在化することができる。更に、1つまたは複数のトランスフェクション試薬がフィーチャーの中に存在することができる。
【0092】
支持体上に位置する核酸分子は、ウイルス粒子(例えば、レンチウイルス粒子、およびアデノウイルス粒子等)、またはウイルスの中に局在してもよい。核酸分子が支持体上でウイルス粒子またはウイルスの中に局在する場合、1つまたは複数のタンパク質(例えば、非ウイルスタンパク質)、1つまたは複数のガムまたは他の沈着剤、1つまたは複数のトランスフェクション試薬、1つまたは複数の陽イオン性脂質、または1つまたは複数の陰イオン性脂質の化合物の1つまたは複数が支持体上で共局在化することができる。
【0093】
本発明のアレイのフィーチャーは、小分子等の非ポリマー分子も含むことができる。小分子アレイは、米国特許公開第2003/0032203に記載されており、その開示の全てを本願に引用して援用する。本発明のアレイを調製するのに使用することができる小分子には、薬物候補物が包含される。これらの小分子は1,000未満の分子量であることが多い。
【0094】
よって本発明は一部、改良されたトランスフェクションアレイを提供する。本発明のよって提供される改良のいくつかに、生産費用の低減、トランスフェクションアレイ安定性の上昇、およびトランスフェクション効率の上昇が包含される。一態様で、本発明は、トランスフェクトされた細胞アレイへの親水コロイドガムの新規的な用途に関する。本発明者らが見出していることの一つは、緩衝液中にて核酸および脂質トランスフェクション試薬で製造したトランスフェクション複合体に、グアー等のガムを添加すると、従来のリバーストランスフェクションアレイ方法に対していくつかの明確な改善が得られるということである。図3は、スポットする前にトランスフェクション複合体溶液にグアーを添加すると、より均一なスポットが得られることを示している。スポットにガムが存在することで、細胞のトランスフェクションも増強された(図4)。
【0095】
本発明者らはまた、その生理的機能が細胞接着に関連しないタンパク質の添加が、トランスフェクトされた細胞アレイにも役立つことができることも立証している。図5は、フィブロネクチンとアルブミンを用いて調製したスポット上のトランスフェクションを比較するものである。トランスフェクション複合体へのタンパク質の添加の効果は、単にタンパク質の一般的な特性に起因すると思われる。従って、特定の態様において、本発明はアルブミンおよびフィブロネクチン等のタンパク質を含むフィーチャーの使用を包含する。通常、フィーチャーに存在するタンパク質(1種または複数種)は、標的生体高分子(1種または複数種)に悪影響を与えない。例えば、標的生体高分子がタンパク質であれば、タンパク質は通常、標的生体高分子に対してプロテアーゼ活性がないか、あるいは、ほとんどない。これらに沿って、特定の実施形態において、本発明のフィーチャーは多くの場合、プロテアーゼ活性(例えば、セリンプロテアーゼ活性等)、ヌクレアーゼ活性(例えば、DNAase活性および/またはRNAse活性等)、キナーゼ活性、メチラーゼ活性、グリコシル化活性等のうち1つまたは複数がないか、あるいは、ほとんどないタンパク質を含む。
【0096】
ガムの使用は、ウイルストランスフェクトされた細胞アレイにも拡張できる。緑色蛍光タンパク質をコードするレンチウイルスの混合物を、スクロースおよびグアーガムを用いて調製し、アレイ化して細胞に播種した。GFPの発現が細胞内で観察され、ウイルスアレイは3週間を超える有効期限を示した(図6)。トランスフェクション試薬の非存在下に、レンチウイルスによる細胞が感染し、タンパク質を添加した。リバーストランスフェクション手順の重要な利点は、複数のトランスフェクション(または感染)ベクターを用いて細胞系を同時にスクリーニングする能力にある。単一のアレイ上で試験できるベクターの数は、スポットサイズにより求められるアレイのスポット(すなわち、フィーチャー)密度、スポット間の間隔、アレイ面積、およびベクター当たりの複製物の数に依存する。例えば、Corning GAPS IIスライド(Corning Inc、Acton、MA、カタログ番号40003、40004、40005、および40006)上で、使用可能な表面積は、通常およそ20mm×60mm(12cm2)であり、スポットの直径は0.5mm(およそ1,000細胞に対応するとされる)であり、エッジ間距離は0.5mmであり、1,200スポット(20×60)アレイがこの領域内に適応できると思われる。これは、標準的な1インチ×3インチスライド上で100スポット/cm2の最高アレイ密度に対応する。コントロールスポット(例えば、陽性および陰性発現コントロール、信頼スポット)ならびに複製ベクタースポットは、各アレイに適用することができる独特のベクターの総数を決定する。
【0097】
IV.アレイおよびアレイフィーチャー
支持体上のフィーチャーの大きさおよび量(密度)は、その方法で使用する条件によって調整できる。例えば、フィーチャーは、約0.1ミリメートル(mm)から約5.0mmの直径(例えば、約0.1mm〜約4.5mm、約0.1mm〜約4.0mm、約0.1mm〜約3.5mm、約0.5mm〜約4.5mm、約0.5mm〜約2.0mm、約0.5mm〜約1.5mm、約1.0mm〜約4.5mm、約1.0mm〜約3.5mm、約1.0mm〜約3.0mm、約2.0mm〜約4.5mm、約2.0mm〜約4.0mm等)であってよく、支持体上にてエッジ間で測定して、約0.05mm〜約10mm離間する(例えば、約0.05mm〜約8.0mm、約0.05mm〜約6.0mm、約0.05mm〜約5.0mm、約0.05mm〜約4.0mm、約0.05mm〜約3.0mm、約0.05mm〜約2.0mm、約0.5mm〜約8.0mm、約0.5mm〜約6.0mm、約0.5mm〜約5.0mm、約0.5mm〜約4.0mm、約0.5mm〜約3.0mm、約1.0mm〜約8.0mm、約1.0mm〜約6.0mm、約1.0mm〜約5.0mm、約1.0mm〜約4.0mm、約2.0mm〜約8.0mm、約2.0mm〜約5.0mm等)ように添加できる。上述のフィーチャー密度および間隔は通常、ガラス顕微鏡スライド等の平らな支持体の特徴である。
【0098】
場合により、平らな支持体の代わりにマルチウェルプレートを用いることができる。支持体がマルチウェルプレート(例えば、6ウェルまたは96ウェルプレート)である場合、スポット大きさおよび密度は、上記と異なってよい。本発明の方法でマルチウェルプレートを用いる場合、フィーチャー間の距離は、通常プレートの仕様によって求められる。フィーチャー間の距離は、約2.0mm〜約35mm(例えば、約3.0mm〜約25mm、約5.0mm〜約30mm、約5.0mm〜約20mm等)である。
【0099】
本発明の方法は更に、「リバーストランスフェクション」と称される標的生体高分子または他の化合物が導入されている細胞の同定および/または検出を含む。一実施形態で、細胞に導入された核酸セグメントを、核酸セグメントを含む発現ベクターによって、あるいは、それより発現がなされる宿主細胞核酸に逆トランスフェクトされた核酸セグメントの統合によって、その細胞で発現させる。
【0100】
以下に説明するとおり、本発明の方法の選択可能な実施形態において、細胞内に導入された核酸セグメントは発現されないが、細胞成分および/または機能自体に影響を及ぼす。例えば、二本鎖RNAを細胞内に導入でき、1つまたは複数の細胞機能を変化させることができる。例えば、薬物に対する受容体をコードするmRNAの劣化を導くRNA干渉により促進される分解を媒介する二本鎖RNAを、リバーストランスフェクションを介して細胞内に導入できる。二本鎖RNAは、薬物受容体タンパク質の発現をノックダウンして、二本鎖RNAを含む細胞への薬物の結合の低下を起こすことができる。
【0101】
本発明の特定の方法において、対象の核酸分子(発現ベクターに組み込まれたcDNAまたはゲノムDNA等)、および沈着剤を含む混合液を支持体(例えば、スライドまたはマルチウェルプレートのウェルの底部等の他の平坦な表面)の表面上に、規定の、別々の(相違する)位置に沈着させ(例えば、スポットする、あるいは、規定の小領域に配置する)てから乾燥させ、その結果、DNAを含有する混合液を別々の規定置の表面に付加する。
【0102】
レシピエント細胞(リバーストランスフェクションにより導入される核酸分子を含む細胞)に対する効果(直接的または間接的効果のいずれか)の検出は、対象のタンパク質(例えば、逆トランスフェクトされた核酸分子によりコードされると考えられるタンパク質、または、逆トランスフェクトされた核酸分子の作用によって発現もしくは機能が変化されるタンパク質)に結合する蛍光標識した抗体を用いて、フィーチャーの上で成長する細胞にタンパク質が存在するか否かを判定する免疫蛍光等の様々な既知技術によって行うことができる。
【0103】
本発明の方法は、例えば、対象の核酸分子を同定するのに有用である(例えば、レシピエント細胞で発現するか、またはレシピエント細胞内の構成成分もしくは官能基に作用もしくは相互作用するDNAであって、そのDNAの当該細胞内での発現により所望の形質が当該細胞に付与される、DNA)。
【0104】
標的生体高分子は、マクロアレイおよびマイクロ-アレイを含む様々な様式で使用でき、例えば、核酸アレイを、タンパク質または細胞マイクロアレイ等、タンパク質または細胞アレイに変換できる。換言すると、細胞が一旦、異なる生体高分子を含むフィーチャーでトランスフェクトされる、本発明のアレイに対する様式の例を図1に示す。この場合、分子アレイは、ガラス顕微鏡スライド上にプリントされている。このアレイ(1)は、96の被験フィーチャー(2)、3のコントロールフィーチャー(3)、およびブランク(4)を含む。コントロールフィーチャーは、細胞(3)に侵入した後に直接的または間接的のいずれかで検出できる標的生体高分子または他の分子を含む。このブランク(4)は、沈着剤および/または他のフィーチャーの他の化合物のいずれかを含むことができるが、標的生体高分子または細胞内にトランスフェクトされるべき他の化合物を含んでいない。
【0105】
本発明のアレイの各フィーチャーは通常、細胞に入ることが望まれる少なくとも1つの標的生体分子または他の化合物(例えば、薬物候補物)を含む。
【0106】
多くの場合、フィーチャーは核酸分子を含む。これらの核酸分子(例えば、RNA、DNA等)は、それらの由来および構造が大幅に異なっていてもよい。本発明の実施で用いる核酸分子の例として、発現ベクター、相同組換カセット、および二本鎖RNA分子が挙げられる。
【0107】
上述のとおり、フィーチャーに含まれる核酸分子は、それらが侵入する細胞に対する直接または間接的いずれかの効果を奏するように設計することができる。本発明のアレイの1つまたは複数のフィーチャーに存在することができる核酸分子の例として、発現ベクターが挙げられる。発現ベクターは、mRNAまたは機能性RNA(例えば、tRNAリボザイム、RNA干渉を媒介する二本鎖RNA等)を生じるように設計することができる。
【0108】
特定の実施形態で、個々のフィーチャーは、発現ベクターのライブラリーの個々のメンバーを含むことができる。ライブラリーは、標準的な手順を用いて、ポリヌクレオチドをコードする配列または他の転写可能配列を発現ベクターのクローニング部位に連結させることによって生産できる。本発明に従って、発現ベクターのアレイを調製するのに、類似の手順またはその変法を容易に用いることができる。
【0109】
特定の実施形態で、フィーチャーは、特定のタンパク質の変異体のライブラリーまたは潜在的プロモーター配列のライブラリー等の、関連した変異配列のライブラリーのメンバーを含むことができる。コンビナトリアルライブラリーを作製するのに利用できる、様々な型の変異誘発がある。例えば、対象のタンパク質の相同体(アゴニストおよびアンタゴニスト型の両者)を産生し、例えばアラニンスキャニング変異誘発等(Rufら、(1994)Biochemistry 33:1565-1572;Wangら、(1994)J. Biol. Chem. 269:3095-3099)を用いてスクリーニングすることによりライブラリーから単離できる。
【0110】
他の実施形態で、フィーチャーは、小遺伝子断片(例えば、優性作用性合成遺伝因子(SGE)(例えば、それらが由来する遺伝子の機能を干渉する分子(アンタゴニスト)またはかかる遺伝子の優性構成的活性断片である分子(アゴニスト))をコードできる核酸セグメント)のライブラリーのメンバーを含む。本発明の方法により同定できるSGEとしては、限定しないが、阻害性アンチセンスRNA分子、リボザイム、核酸デコイ、RNA干渉を媒介する二本鎖RNA、およびポリペプチドをコードする核酸セグメントが挙げられる。
【0111】
本発明の方法によって同定されるSGEは、核酸のレベルで内在性遺伝子の機能を阻害するように(例えば、アンチセンスまたはデコイ機構による)、あるいは、タンパク質レベルでの干渉の機構により(例えば、天然タンパク質の優性の陰性断片)阻害性となるポリペプチドをコードすることにより機能してもよい。他方で、所定のSGEは、対応する内在性遺伝子の生物活性の少なくとも一部分を保持するポリペプチドをコードすることによって、内在性遺伝子の機能を強化する(模倣を含む)ように機能してもよく、あるいは、特定の場合には構成的に活性であってもよい。
【0112】
一実施形態で、最初のSGEライブラリーは、総cDNAから作出し、これを更に断片化してよく、発現ライブラリーの形式で提供される。多くの場合、ライブラリーのインサートの大きさは、約100〜約700塩基対または約200〜約500塩基対である。
【0113】
cDNAに由来するライブラリーについて、核酸ライブラリーは、遺伝子の発現のレベルにも関わらず、製造される細胞型で発現される各遺伝子に対応するクローンのほぼ同数を含む標準化ライブラリーであってよい。
【0114】
米国特許第5,702,898号は、一本鎖環に変換可能であり、相補的核酸分子を一本鎖環へと産生できるベクターで構築されるcDNAライブラリーを標準化する方法であって、(a)cDNAライブラリーを一本鎖環に変換することと、(b)相補的核酸分子を一本鎖環に作出することと、(c)ステップ(a)で変換した一本鎖環をステップ(b)の相補的核酸分子とハイブリダイズさせて、適切なCotに部分的二重鎖を産生させることと、(d)ハイブリダイズした一本鎖環からハイブリダイズしていない一本鎖環を分離させ、これにより標準化cDNAライブラリーを産生させることとを含む方法を開示している。本発明の実施で使用されるライブラリーは、センスおよびアンチセンスコーディング(および非コーディング配列)配列の両者を含むように産生することができる。更に、特定の実施形態で、これらのライブラリーは、減算cDNAライブラリーであってもよい。多くの戦略を用いて減算ライブラリーが作出されており、これらを本発明の実施における使用に容易に適応させることができる。一つの取り組みは、方向性クローニングされたcDNAライブラリーを開始材料として使用することに基づくものである(PalazzoloおよびMeyerowitz、(1987)Gene 52:197;Palazzoloら、(1989)Neuron 3:527;Palazzoloら、(1990)Gene 88:25)。この取り組みで、第1の材料組織または細胞系から調製したcDNAを、ベクターのバクテリオファージT7プロモーターの直下に直接挿入する。総ライブラリーDNAを調製して、T7RNAポリメラーゼを用いてインビトロで転写し、第1の材料組織からの本来のmRNAに対応するRNAを大量産生する。材料組織と、正常組織等および別の組織または細胞の双方に存在する配列は、以下のように減算する。第1の材料から調製した、インビトロ転写RNAを、天然mRNA、または第2の材料組織からのライブラリーRNAから調製したcDNAとハイブリダイズさせる。RNAに対するcDNAの相補性によって、互いにアニールさせることで共通配列を除去することが可能になり、ハイブリダイズせず、組織特異的なcDNAのその後の単離ができるようになると思われる。
【0115】
他の実施形態で、フィーチャーは、小ペプチド(例えば、4〜25アミノ酸残基の長さ)の多様な集団をコードしているライブラリーの特定メンバーを含む。このライブラリーは、総cDNA、もしくは単一の遺伝子のコーディング配列から産生されてよく、あるいは、配列がランダムまたは準ランダムなものであってもよい。タンパク質のわずかな部分のみに対応する小ペプチド断片は、インビボでそのタンパク質の機能を阻害できる。
【0116】
本発明の更なる態様において、本発明のアレイの1つまたは複数のフィーチャーは、2つ以上の標的生体高分子を含むことができる。これらのフィーチャーの標的生体高分子は、特徴付けされていても、部分的に特徴付けされていても、特徴付けされていなくても(例えば、発現が意図されている核酸のヌクレオチド配列が未知である)よい。「部分的に特徴付けされている」で意味するのは、フィーチャーの一つの標的生体高分子が特徴付けされた後、この一つの標的生体高分子の特性が既知になることである。従って、本発明のこの態様におけるアレイで作業を実施すると、フィーチャーの標的生体高分子が特徴付けされることになる。更に、既知の標的生体高分子が1つのフィーチャーの中に混合されると、それで標的生体高分子は「特徴付けられた」と称することもできる。
【0117】
本発明のこの態様の一例として、cDNAライブラリー(例えば、標準化ライブラリー、全長ライブラリー等)の核酸分子を細菌細胞において増幅してよく、細菌細胞の多数のクローン単離物から増幅した核酸分子は、次いでアレイの同じフィーチャーの中に配置することができる。このプロセスは次いで、他のフィーチャーに対して繰り返すことができる。
【0118】
細胞(例えば、真核細胞)を、接触細胞による核酸分子の取り込みを許容する条件下に上記のアレイに接触させることができる。その後、1つまたは複数の特異的表現型を発現する細胞を同定すればよい。核酸分子がその中で発現されている細胞に対して特定の表現型をもたらすアレイ上の核酸分子の位置(1種または複数種)は、細胞の集団をトランスフェクトし、特定の表現型を有する細胞を同定することによって同定することができる。
【0119】
具体的な一例において、図1に基本的に示すような様式で準備したガラススライド上にマイクロアレイを調製する。非コントロールフィーチャー(2)は各々、ヒトcDNAライブラリーの異なるメンバーを発現するように設計された20種類のベクターを含む。特に、cDNAライブラリーメンバーの核酸を、CMVプロモーターに作動可能に連結する。更に、フィーチャーは、cDNAライブラリーメンバーに加えてトランスフェクション試薬(例えば、Lipofectamine(商標)2000)およびゼラチンを含む。本発明のこの態様や、本発明の他の態様は、特定の沈着剤の使用に限定されない。
【0120】
上記のマイクロアレイが生産された後、次いで通常はタンパク質PD-L2を発現しないヒト細胞をフィーチャーに接触させて、蛍光標識した抗PD-L2抗体(Heら、Acta.Biochim. et. Biophysica Sinica、36(4):284-289(2004))を用いて、細胞表面にPD-L2の存在を示す細胞を同定する。PD-L2を発現する細胞が同定されると、PD-L2と表現型となったフィーチャー(1種または複数種)の位置を同定することができる。これらのフィーチャーは通常、PD-L2遺伝子自体を含むか、あるいは、直接的もしくは間接的のいずれかにてPD-L2産生に導く分子をコードする。フィーチャーの(1)本来の核酸分子が保存されている場合か、あるいは、(2)細胞もしくはフィーチャー自体のいずれかから回収できる場合に、フィーチャーの20の核酸分子を得ることが可能になる。通常、これらの本発明の方法は、実際に特定の表現型をもたらす単一の核酸分子を同定することを最終目的として、特定の表現型となる候補の核酸分子の数を限られたものにするよう設計される。
【0121】
前記の方法を用いて、少数のアレイ(例えば、1つのアレイ)に多数の標的生体高分子を配置することが可能である。これにより、多数の標的生体高分子の簡便なスクリーニングで、細胞に特定の特性をもたらす分子の数を低減することができる。通常、更なるスクリーニングを行って、細胞に対して1つまたは複数の特定の特性を得た特異的標的生体高分子が同定される。
【0122】
当業者は理解するとおり、前記アレイのフィーチャーは、いくつかの種類の標的生体高分子(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、18、20、30、50、100、200等)を含むことができる。本発明によるアレイの1つまたは複数のフィーチャーは、約2〜約200個、約2〜約100個、約2〜約50個、約2〜約25個、約10〜約200個、約10〜約100個、約10〜約50個、約10〜約25個、約20〜約200個、約20〜約100個、約20〜約75個、約20〜約50個、約40〜約200個、約40〜約150個、約40〜約100個、約40〜約75個、約50〜約200個、約50〜約150個、約50〜約100個等の種類の標的生体高分子を含むことができる。
【0123】
更に、各々の非コントロールフィーチャーにおける異なる標的生体高分子の数は同じでも、または異なっていてもよい。従って、50個の非コントロールフィーチャーが存在する場合、10個の非コントロールフィーチャーは32種類の標的生体高分子、12個の非コントロールフィーチャーは30種類の標的生体高分子、9個の非コントロールフィーチャーは25種類の標的生体高分子、10個の非コントロールフィーチャーは22種類の標的生体高分子、9個の非コントロールフィーチャーは18種類の標的生体高分子を含むことができる。標的生体高分子はまた、1つまたは複数の関連機能により、フィーチャーの中にクラスター形成してもよい。例えば、50個の非コントロールフィーチャーが存在するアレイを再び一例として挙げると、4個のフィーチャーはそれぞれ、8、12、13、および15種類のキナーゼをコードする核酸分子、3個のフィーチャーはそれぞれ、4、6、および12種類のプロテイナーゼをコードする核酸分子、3個のフィーチャーはそれぞれ、8、8、および8種類のペプチダーゼをコードする核酸分子、3個のフィーチャーはそれぞれ、3、5、および7種類のヌクレアーゼをコードする核酸分子を含むことができる。
【0124】
前記と同様に、フィーチャーは比較的関連性のない機能を有する異なる標的生体高分子を有することができる。例えば、フィーチャーは、キナーゼをコードする6種類の核酸分子、およびリン酸塩をコードする5種類の核酸分子を含むことができる。特定の細胞効果がこのようなフィーチャーによりもたらされる場合、キナーゼをコードする6種類の核酸分子を含む5個の新しいフィーチャーであって、各フィーチャーはホスファターゼをコードする異なる核酸分子の1つを含んでいるものを産生させてスクリーニングすることができる。ホスファターゼをコードする核酸分子を含むフィーチャーの1つが特定の細胞効果をもたらすことが示されるならば、次いで対象のホスファターゼをコードする核酸分子と、キナーゼをコードする個々の核酸分子の各々を含む6の更なるフィーチャーを産生することができる。
【0125】
前記の本発明の取り組みによって、コンビナトリアルスケールの標的生体高分子のスクリーニングが可能になり、互いに相互作用して細胞効果または表現型をもたらす標的生体高分子が同定される。従って、本発明は、標的生体高分子の相互作用性による細胞効果を同定するための反復スクリーニングプロセスを包含する。
【0126】
前記のような本発明の態様は、本発明のビジネス方法に特に好適であり、特に、顧客に供給される製品はアレイであってよい。顧客は次いで、アレイを用いて対象の細胞に対して1つまたは複数の特定の表現型をもたらすフィーチャーを同定する。これらのフィーチャーを同定した後、顧客はフィーチャーに存在する個々の核酸分子、またはフィーチャーに存在する核酸分子の混合物のいずれかを注文することができる。顧客は、その後核酸分子を細胞に導入し、特定の表現型をもたらす核酸分子を特異的に同定することができる。
【0127】
本明細書で示すとおり、多くの場合、ベクターは導入される宿主細胞において複製できることが望ましい。ベクターは、宿主ゲノムに組み込まれ、その後染色体DNAの一部として複製されるDNAであってよく、あるいは、エピソームプラスミドの場合のように自律的に複製するDNAであってよい。後者の場合、ベクターは、宿主で機能性を有する複製の起点を含むことができる。組み込みベクターの場合、ベクターは、組み込みを容易にする配列(例えば、宿主配列に相同な配列またはインテグラーゼコードする配列)を含むことができる。トランスフェクションアレイの構築体でのレトロウイルス末端反復配列(LTR)またはアデノウイルス逆方向末端反復配列(ITR)の使用は、例えば、構築体の染色体組み込みを容易にすることができる。
【0128】
相当数の発現ベクターが当該技術分野で知られており、数多くの更なる発現ベクターを構築できる。上述のとおり、通常、発現ベクターは発現が意図される核酸を導入できる挿入部位と、当該挿入部位に作動可能に連結された転写調節配列を含む。発現を細胞で安定に維持することが意図されるのであれば、選択マーカーと、それを導入することが意図される細胞(例えば、発現ベクターを含むフィーチャーに接触する細胞)で機能する複製の起点を更に含むことが多い。多くの場合、一過性トランスフェクションは、選択マーカーおよび機能性の複製起点を必要としない。
【0129】
前述したように、本発明で有用な発現ベクターとしては、染色体ベクター、エピソームベクターが挙げられる。このような発現ベクターに挿入した後、核酸インサートは、MMTVプロモーター、メタロチオニンプロモーター、RSVプロモーター、SV40プロモーター、hGHプロモーター、CMVプロモーター、U6プロモーター、H1プロモーター、およびユビキチンプロモーター等の適切なプロモーターに作動可能に連結されることが多い。当業者は、他の好適なプロモーターを知っている。従って、本発明の実施に使用されるプロモーターとして、RNAポリメラーゼI、II、またはIIIプロモーターが挙げられる。本発明で使用することができるベクターとして、Qiagenより入手可能なpQE70、pQE60およびpQE-9、Stratageneより入手可能なpBSベクター、Phagescriptベクター、Bluescriptベクター、pNH8A、pNH16a、pNHI8A、pNH46A;Invitrogen Corporation(Carlsbad、Calif.)より入手可能なpcDNA3;Pharmaciaより入手可能なpGEX、pTrxfus、pTrc99a、pET-5、pET-9、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5;ならびにInvitrogen Corporation(Carlsbad、Calif.)より入手可能な、pET-DEST42等のGateway(商標)ベクター、pDESTTM(商標)14、pBAD-DEST49、pYES-DEST52、pDEST(商標)8、pcDNA-DEST40、pT-REx-DEST30、pENTR 1A、pENTR 2B、pENTR3C、pDONR(商標)201、pDONR(商標)207、ならびにpSPORT1、pSPORT2およびpSV. SPORT1、pSPORT6等の他のベクターが挙げられる。他の好適なベクターは、当業者には容易に明らかとなり、哺乳類発現ベクターpcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2-dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko-neoおよびpHygやこれらのベクターに由来する他のベクターが包含される。
【0130】
更に、本発明の実施で使用する核酸分子は、1個または複数個の(例えば、1、2、3、4個等)組換え部位、または1つまたは複数のトポイソメラーゼ認識部位を含むことができる。通常、これらの組換え部位および/またはトポイソメラーゼ認識部位を用いて、フィーチャーにある核酸分子が構築される。
【0131】
組換え部位およびトポイソメラーゼを用いるクローニングシステムは、当該技術分野でよく知られており、Invitrogen CorporationのGateway(商標)およびトポイソメラーゼクローニングシステム(例えば、Invitrogen Corp.、Carlsbad、CAカタログ番号12535-019、12535-027、12535-035、11798-014、K4530-20、およびKNM4600-01参照)が含まれる。
【0132】
本発明の様々な態様で使用される核酸分子に存在することができる組換え部位としては、att部位(例えば、attB部位、attL部位、attR部位、attP部位等)、lox部位(例えば、loxP部位)、psi部位、dif部位、cer部位、およびfrt部位が挙げられる。
【0133】
フィーチャーに存在する核酸分子の大きさは、20ヌクレオチドまたは塩基対から2,000,000ヌクレオチドまたは塩基対までで変動することができる。本発明の実施で使用する核酸分子の大きさは、特定の用途に依存することが多い。一例として、核酸分子で、高等真核細胞でのRNA干渉によるノックダウン遺伝子発現を意図される場合、分子は通常、30塩基対未満の長さの二本鎖分子である。それらの大きさからも明らかなように、このような核酸分子は通常、細胞において一度で複製することができない。
【0134】
本発明の実施で使用される核酸分子は、自己複製ができなくても、できてもよい。自己複製できる核酸分子の例として、プラスミドが挙げられる。自己複製できない核酸分子はやはり、一旦細胞に導入されれば複製できる。例えば、このような分子は、宿主細胞核酸に組み込み、これらの宿主細胞核酸と共に複製することができる。
【0135】
自己複製できない他の核酸分子は通常、細胞に導入されると複製されない。このような核酸分子の例として、二本鎖RNAまたは化学的に修飾した核酸分子が挙げられ、これは一本鎖でも二本鎖でもよい。更に、二本鎖核酸分子は、細胞におけるRNA干渉を媒介するように設計されてよい。通常、かかる分子は複製の起点を含まず、宿主細胞に存在する核酸に組み込まれない。
【0136】
本発明の実施で用いることができる化学的に修飾した核酸分子の一例は、Stealth(商標)(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA)である。
【0137】
好適なプロモーターをいずれでも、本発明の核酸分子からのRNAの生産を制御するのに用いることができる。プロモーターは、いずれかのポリメラーゼ酵素によって認識されるものであってよい。例えば、プロモーターは、RNAポリメラーゼIIまたはRNAポリメラーゼIII(例えば、U6プロモーター、H1プロモーター等)に対するプロモーターであってよい。他の好適なプロモーターとして、限定しないが、T7プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、メタロチオニン、RSV(ラウス肉腫ウイルス)末端反復配列、SV40プロモーター、ヒト成長ホルモン(hGH)プロモーターが挙げられる。当業者によって他の好適なプロモーターが認識されており、これらは本発明の範囲に含まれる。
【0138】
RNAiを産生するように設計された構築体の一例を、図2Bに示す。この構築体では、両方の鎖に対応するRNAが2つの別々の転写物として産生されるように、DNAセグメントをベクターに挿入している。RNAiを産生するように設計された構築体の別の例を、図2Cに示す。この構築体では、分子内でハイブリダイズして「ヘアピン」RNA分子を産生することになる単一の転写物として両方の鎖に対応するRNAが生産されるように、DNAセグメントの2つのコピーをベクターに挿入している。RNAiを産生するように設計された更に別の構築体の例を図2Dに示す。この構築体では、両方の鎖に対応するRNAが再産生されるように、DNAセグメントの2つのコピーをベクターに挿入している。図2Eに示すベクター系の例には2つのベクターが包含され、各々が同じDNAセグメントのコピーを含んでいる。これらのDNAセグメントの1つの発現の結果としてセンスRNAが生産され、もう一方が発現される結果アンチセンスRNAが生産される。図2B〜2Eに表すベクターから生産されるRNA鎖は、このように相補的ヌクレオチド配列を有しており、通常、生理的条件下に分子内でハイブリダイズするか、あるいは、互いにハイブリダイズするかのいずれかである。
【0139】
図2B〜2Eに表すベクター等の、RNAiを産生するように設計された核酸セグメントは、全長の遺伝子または読み取り枠に対応する必要はない。例えば、核酸セグメントがORFに対応する場合、かかるセグメントはORFの一部(例えば、ORFの5'または3'端の25ヌクレオチド)に対応するのみであってよい。更に、図2B〜2EにRNAiを産生するように設計されたベクターを示すが、核酸セグメントは他のフォームでも(例えば、宿主細胞の染色体に挿入した場合)同じ機能を果たすことができる。例えばRNAiおよびアンチセンスRNA等の化合物の使用が関わる遺伝子サイレンシング方法は、遺伝子機能を同定するために特に有用である。更に詳細には、遺伝子サイレンシング方法を使用して、細胞または生物での1つまたは複数の遺伝子の発現を低減または防止することができる。遺伝子機能の選択的な阻害に関わる表現型の発現を次いで使用して、「サイレンスとなった」遺伝子または遺伝子への役割を特定できる。一例として、Chuangら、Proc. Natl. Acad. Sci.(USA)97:4985-4990(2000)は、RNAiのインビボでの生産がシロイヌナズナにおける遺伝子活性を変化させることができると立証している。従って、本発明は、細胞において核酸分子の発現を調節するための方法、ならびにRNAiおよびアンチセンスRNAの発現を包含する組織を提供する。本発明は更に、DNA分子の片方または両方の鎖に対応するRNAを産生するのに使用できる核酸分子を調製するための方法を提供する。
【0140】
いくつかの種類のウイルスベクター、ウイルス粒子および/またはウイルスでも、本発明の実施で使用することができる。例えば、レンチウイルス粒子および/またはウイルス内に含まれる核酸分子を、支持体上に配置することができる。これらの支持体は次いで、細胞と接触させることができる。レンチウイルスベクターを使用することに対する一つの利点は、それらを非分裂細胞にトランスフェクトできることにある。
【0141】
組換えウイルスは現在、多岐にわたる用途で使用されている。使用されている組換えウイルスの例として、限定しないが、ヘルペスウイルス(例えば、米国特許第5,672,344号参照)、ワクシニアウイルス等のpoxウイルス(例えば、Mossら、1997、Current Protocols in Molecular Biology、第16.15〜16.18章、John Wiley&Sons参照)、パピローマウイルス(例えば、米国特許第6,342,224号参照)、レトロウイルス(例えば、米国特許第6,300,118号参照)、アデノウイルス(例えば、米国特許第6,261,807号参照)、アデノ随伴ウイルス(AAV、例えば、米国特許第5,252,479号参照)、およびコクサッキーウイルス(例えば、米国特許第6,323,024号参照)が挙げられる。
【0142】
ウイルスベクター核酸が感染性でない場合、組換えウイルスの構築は、ウイルスが感染した細胞における、ウイルスベクターと、ウイルス配列に隣接する対象の配列を有する、同時にトランスフェクトされたプラスミドとの間のインビボ相同組換えに関連させることができる。ウイルス核酸が感染性である場合、修飾したウイルス核酸を調製して、宿主細胞にトランスフェクトすることができる。非感染性のウイルス核酸でも、感染性ウイルス核酸でも、本発明の実施で使用することができる。例えば、ウイルスベクターとの相同組換を行った細胞を得ることが求められる場合、非感染性ウイルス核酸を使用するのが有利であると考えられる。
【0143】
アデノウイルスは、30個より多くのタンパク質をコードする36kbのDNAゲノムを持つ無外皮ウイルスである。ゲノムの端部は、およそ100〜150の塩基対の逆方向末端反復配列(ITR)である。5'-ITRの次に位置するおよそ300塩基対の配列が、ウイルスカプシドにゲノムをパッケージ化ために必要である。ビリオンにパッケージ化する場合のゲノムは、直鎖状ゲノムの端部に共有結合する末端タンパク質を有する。
【0144】
アデノウイルスゲノムがコードする遺伝子は、ウイルスDNAの複製に対するそれらの発現の時期によって、初期および後期遺伝子に分けられる。初期遺伝子は、E1〜E4と称される、アデノウイルスゲノムの4つの領域から発現され、DNA複製の開始に先駆けて転写される。複数の遺伝子が、各領域から転写される。アデノウイルスゲノムの部分を、欠失ウイルスが感染性への影響を受けることのないように削除してもよい。領域E1、E2、およびE4から転写された遺伝子は、ウイルス複製に必須であるが、E3領域からのものは複製に影響を及ぼすことなく削除してもよい。必須領域からの遺伝子は、欠損ウイルスの増殖を可能とするようにトランスで供給できる。例えば、アデノウイルスゲノムのE1領域の欠失の結果、複製に欠損のあるウイルス核酸が生じる。この領域に欠失があるウイルスは、細胞のゲノムからのウイルスE1遺伝子を発現する293細胞上で生育する。本発明の実施で使用される核酸分子は、前記の1つまたは複数のアデノウイルス遺伝因子(例えば、1つまたは複数のアデノウイルス初期遺伝子、1つまたは複数のアデノウイルスパッケージングシグナル、1つまたは複数のITR等)を含むことができる。
【0145】
より安全な、複製が欠損したウイルスの構築を許容することに加えて、アデノウイルスゲノムの部分のトランスでの欠失および補完、ならびに/または非必須領域の欠失で、異種DNA配列の挿入のためのスペースがアデノウイルスに作出される。ウイルス粒子またはウイルス内へのウイルスDNAのパッケージングは、大きさが限定される場合が多く、そのほとんどがおよそ38kb以下のDNAである。挿入およびパッケージングできる異種DNAの量を最大にするために、ITRおよびパッケージング配列を除いた全てのウイルスゲノムを欠損するウイルスが構築されている(米国特許第6,228,646号参照)。複製およびパッケージ化に必要なウイルス機能の全てが、パッケージングシグナルで欠失している欠損ヘルパーウイルスからトランスにて提供される。
【0146】
いくつかのアデノウイルスベクターも本発明の実施で用いることができるが、アデノウイルス系の一具体例は、Invitrogen Corporation、Carlsbad、CA(see、例えば、カタログ番号K4930-00およびK4940-00)より入手可能なViraPower(商標)Adenoviral Expression Systemである。本発明の特定の実施形態において、アデノウイルス粒子を支持体(例えば、固体支持体)上に沈着させて、その後細胞と接触させる。
【0147】
バキュロウイルスベクターも、本発明の実施で用いることができる。バキュロウイルスは大きく、通常は節足動物に感染する外被ウイルスである。バキュロウイルスゲノムは、およそ130kbpの長さの二本鎖DNA分子である。バキュロウイルスは、このウイルスを培養するのに使用される昆虫細胞が天然生物の翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、アシル化等)に、より酷似しているかもしれないことから、タンパク質、特に真核生物(例えば、哺乳動物)からのタンパク質の発現系として広く普及している。
【0148】
組換えバキュロウイルスを利用する数多くの発現系が開発されている。異種タンパク質の発現用の組換えバキュロウイルスを構築するための一般的方法は、Piwnica-Wormsら、(1997)Expression of Proteins in Insect Cells Using Baculovirus Vectors,in Current Protocols in Molecular Biology、第16章、16.9.1〜16.11.12頁、Ausubelら、編、John Wiley&Sons、Incに見られる。他の発現系が知られており、例えば、米国特許第6,255,060号は、タグを含むヌクレオチド配列を発現するためのバキュロウイルス発現系バキュロウイルス発現系を開示している。米国特許第5,244,805号は、バキュロウイルスで天然に認められない、修飾型プロモーターを利用するバキュロウイルス発現系を開示している。米国特許第5,169,784号は、二重プロモーター(例えば、バキュロウイルス初期プロモーターおよびバキュロウイルス後期プロモーター)を利用するバキュロウイルス発現系を開示している。米国特許第5,162,222号は、バキュロウイルス最初期プロモーター(すなわち、IEN)から異種タンパク質を発現している安定細胞系または感染性ウイルスを作出するのに使用できるバキュロウイルス発現系を開示している。米国特許第5,155,037号は、昆虫細胞分泌シグナルを利用してプロセッシングの効率と異種遺伝子の分泌を改善するバキュロウイルス発現系を開示している。米国特許第5,077,214号は、安定な細胞系の発現異種遺伝子を構築するためのバキュロウイルス初期遺伝子プロモーターの使用を開示する。米国特許第4,879,239号は、異種遺伝子の発現を制御するためにバキュロウイルスポリヘドリンプロモーターを利用するバキュロウイルス発現系を開示している。
【0149】
組換えバキュロウイルスを構築する様々な方法が使用されている。よく使用される方法には、バキュロウイルスDNAと、異種配列に隣接するバキュロウイルス配列を含むプラスミドをトランスフェクトすることが含まれる。プラスミドとバキュロウイルスゲノムとの間の相同組換えの結果、異種配列を含む組換えバキュロウイルスが生じる。この結果、組換えおよび非組換えウイルスの混合集団が得られる。組換えバキュロウイルスは、プラーク精製によって非組換え体から単離してもよい。このようにして生産したウイルスは、純粋な株を得るのに何回かのプラーク精製を要するかもしれない。相同組換方法によって生産される非組換えウイルスのバックグラウンドを低減する方法が開発されている。例えば、致死的な欠失を含む線状化バキュロウイルスゲノム、BaculoGold(商標)が、BD Biosciences、San Jose、Califより市販されている。致死的な欠失は、ポリヘドリン座からのバキュロウイルス配列を含むプラスミドで相同組換えすることによって立て直される。
【0150】
バキュロウイルスゲノム内への外来配列の直接挿入を利用する方法も知られている。例えば、Peakmanらの(Nucleic Acids 20(3):495-500、1992)は、ゲノム内にlox部位を有するバキュロウイルスの構築を開示している。異種配列は、Creリコンビナーゼの存在下に、lox部位を有するプラスミドとバキュロウイルスゲノムとの間でのインビトロの部位特異的組換えによってゲノム内に移動することができる。米国特許第5,348,886号は、Tn7トランスポゾンに対する組換え部位を含むバクミド(バキュロウイルスゲノムおよび原核細胞の複製起点および選択マーカーを含むハイブリッド分子)を利用するバキュロウイルス発現系を開示している。バクミドを担持する原核細胞を、Tn7組換え部位を有するプラスミドと、Tn7部位との間の組換えを触媒するのに必要な活性を発現するプラスミドとで形質転換する。プラスミドに存在する異種配列を、Tn7部位との間の部位特異的組換えによってバクミドに導入する。組換えバクミドは、原核細胞宿主から精製して昆虫細胞に導入し、感染を惹起してもよい。異種配列を担持している組換えウイルスは、バクミドをトランスフェクトした細胞によって産生される。
【0151】
いくつかのバキュロウイルスベクターでも本発明の実施において使用することができるが、一つの具体的なアデノウイルス系が、Invitrogen Corporation、Carlsbad、CAより入手可能なBaculovirus Expression System(例えば、カタログ番号11827-011参照)である。本発明の特定の実施形態において、バキュロウイルスベクターを支持体(例えば、固体支持体)上に沈着させ、次いで細胞と接触させる。
【0152】
本発明の実施で使用することができるバキュロウイルス発現系の更なる例として、pVLに由来するベクター(pVL1392、pVL1393およびpVL941等)、pAcUWに由来するベクター(pAcUWl等)、およびpBlueBacに由来するベクター(β-gal含有pBlueBac III等)が挙げられる。このような系は、昆虫細胞に標的生体高分子を導入することが望ましい場合に使用することができる。
【0153】
レトロウイルス科は、1)オンコウイルス亜科、2)スプマウイルス亜科、3)レンチウイルス亜科の3種のサブファミリーを含む。レトロウイルス(例えば、レンチウイルス)は、DNA中間体を通じて複製するRNAゲノムを有するウイルスである。レトロウイルス粒子は通常、RNA-タンパク質ウイルスコアの中にウイルス複製酵素とRNAゲノムの2つのコピーを含む。コアは、ウイルスがコードする糖タンパク質、および宿主細胞膜で作出されるウイルス外被で囲まれている。感染の初期段階で、レトロウイルスはRNA-タンパク質複合体を標的細胞の細胞質に送達する。RNAは、二本鎖cDNAに逆転写され、そのcDNAを含む組み込み前複合体と、そのcDNAを標的細胞ゲノムに組み込むのに必要なウイルス因子が形成される。複合体は、標的細胞の核に移行して、そのcDNAが標的細胞のゲノムに組み込まれる。この組み込みの結果として、ウイルスゲノムに対応するDNA(およびウイルスゲノムに含まれるあらゆる異種配列)が複製されて、娘細胞に伝播される。これによって、細胞に異種配列を永続的に導入することが可能になる。
【0154】
例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)等の白血病ウイルス、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)等の免疫不全ウイルス等、多種多様なレトロウイルスが知られている。レトロウイルスの代表的な例として、限定しないが、テナガザル白血病イルス(GALV)、トリ肉腫-白血症ウイルス(ASLV)が挙げられ、限定しないが、含まれるのはラウス肉腫ウイルス(RSV)、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)、トリ赤血球症ウイルス(AEV)、ヘルパーウイルス、トリ骨髄球腫症ウイルス、トリ細網内皮症ウイルス、トリ肉腫ウイルス、ラウス関連ウイルス(RAV)、および骨髄芽球症関連ウイルス(MAV)である。
【0155】
レトロウイルスは、遺伝子療法ベクターとして多種多様な使用が認められている。遺伝子療法ベクターの伝送の危険性を減じるため、標的細胞に一旦導入されれば複製適格ウイルスの生産を妨げる修飾を有する遺伝子療法ベクターが開発されている。例えば、米国特許第5,741,486号は、宿主細胞での逆転写に際し、欠失が望まれる配列(例えば、シス作用性パッキングシグナル)に隣接する直接反復を含むレトロウイルスベクターを記載している。パッキングシグナルの欠失で、レトロウイルス粒子への組換えウイルスゲノムのパッケージングが妨げられることによって、複製適格ウイルスでの感染の場合に、非標的細胞へのレトロウイルスベクターの伝播が防止される。米国特許第5,686,279号、第5,834,256号、第5,858,740号、第5,994,136号、第6,013,516号、第6,051,427号、第6,165,782号、および第6,218,187号は、組換えレトロウイルスの高力価ストックを調製するためのレトロウイルスパッケージングシステムを記載している。組換えレトロウイルスゲノムのパッケージ化に必要なレトロウイルス機能をコードするプラスミドは、トランスにて提供される。パッケージ化された組換えレトロウイルスゲノムを回収し、所望の標的細胞を感染するのに用いることができる。
【0156】
いくつかのレトロウイルスベクターでも本発明の実施で使用することができるが、アデノウイルス系の一具体例は、Invitrogen Corporation、Carlsbad、CAより入手可能なViraPower(商標)Lentiviral Expression System(例えば、カタログ番号K4950-00およびK4960-00参照)である。本発明の特定の実施形態において、レンチウイルスベクターは支持体(例えば、固体支持体)上に沈着させ、次いで細胞と接触させる。
【0157】
ヘルペスウイルス科は、1)特にヒトヘルペスウイルス1を含むアルファヘルペスウイルス亜科、2)サイトメガロウイルスを含むベータヘルペスウイルス亜科、3)ガンマヘルペスウイルス亜科3種のサブファミリーを含む。ヘルペスウイルスは、外被DNAウイルスである。ヘルペスウイルスは、ほぼ球形の粒子であって、鎖状dsDNAの1つの分子とおよそ20個の構造タンパク質を含む粒子を形成する。数多くのヘルペスウイルスが、多種多様な宿主から単離されている。例えば、米国特許第6,121,043号には、シチメンチョウゲノムのヘルペスウイルスの非必須領域に挿入される外来DNAを含むシチメンチョウの組換えヘルペスウイルス、米国特許第6,410311号には、ネコヘルペスウイルスゲノムの3.0kbのEcoRI-SalI断片に対応する領域に挿入される外来DNAを含む組換えネコヘルペスウイルス、米国特許第6,379,967号には、ウイルスベクターとしてのヘルペスウイルスサイミリ、(HVS;リスザルのリンパ指向性ウイルス)、米国特許第6,086,902号には、組換えウシヘルペスウイルス1型ワクチンが記載されている。
【0158】
ヘルペスウイルスは、宿主細胞に外来核酸物質を送達するベクターとして使用されている。上述の例の他にも、米国特許第4,859,587号には組換え単純ヘルペスウイルス、ワクチンおよび方法、米国特許第5,998,208号にはヘルパーウイルスを含まないヘルペスウイルスベクターパッケージングシステム、米国特許第6,342,229号には融合タンパク質を含むヘルペスウイルス粒子およびそれらの調製物ならびに使用、米国特許第,631,9703号には必須糖タンパク質gH遺伝子が欠損し、遺伝子産物VP16の機能を損なう突然変異を有する単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)変異体等の二重変異ヘルペスウイルスを含む組換えウイルスベクターを記載している。
【0159】
フラビウイルス科およびトガウイルス科のもの等のRNAウイルスも、標的細胞に外来核酸を送達するために使用されている。例えば、トガウイルス科のアルファウイルス属のメンバーが、異種RNAおよびポリペプチドの高レベル発現のために操作されている(Frolovら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93:11371-11377(1996))。アルファウイルスは、ポジティブ鎖RNAウイルスである。単一のゲノムRNA分子が、ビリオンにパッケージングされる。RNA複製は、ポジティブ鎖ゲノムRNAの合成用、内部プロモーターより開始されるポジティブ鎖サブゲノムRNAの合成用の鋳型として用いられる全長のマイナス鎖RNA中間体の合成によって引き起こされる。サブゲノムRNAは、感染細胞に非常に高レベルで蓄積できることから、アルファウイルスが、一過性発現系として魅力あるものになっている。アルファウイルスの例として、シンドビスウイルスおよびセム力森林ウイルスが挙げられる。クンジンウイルスは、フラビウイルスの一例である。クンジンウイルスのサブゲノムレプリコンを操作して、異種ポリペプチドが発現されている(KhromykhおよびWestaway、J. Virol. 71:1497-1505(1997))。フラビウイルスおよびトガウイルスの双方のゲノムRNAは感染性であり、裸のゲノムRNAのトランスフェクションで、感染性ウイルスの産生が引き起こされる。
【0160】
従って、本発明は、ウイルス粒子および/またはウイルスを含むフィーチャーを備えたアレイや、細胞にウイルス粒子および/またはウイルスを導入する方法におけるこれらのアレイの使用を包含する。
【0161】
標的生体高分子は、基材が平らな表面である場合、行と列等のようにアドレス指定可能にアレイ化することができる。上述のとおり、様式の一例を図1に示す。
【0162】
上述のとおり、特定の実施形態で、フィーチャーは、各フィーチャー(例えば、少なくとも2種類の標的配列での宿主細胞のコトランスフェクションを促進するために)につき複数の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)異なる標的生体高分子を含むことができる。コトランスフェクションとは、同じ細胞に2つ以上の標的生体高分子を同時に導入することをいう。例えば、標的生体高分子がプラスミドまたは異なる遺伝子産物(例えば、異なるタンパク質、RNAもしくは他の遺伝子産物)の発現を指向する他の核酸構築体である場合には、細胞が両遺伝子産物を同時に発現することができる。
【0163】
細胞のコトランスフェクションには、いくつかの使用性がある。これらには、限定しないが、(1)マーカータンパク質(例えば、GFP、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、またはそれに対する特異抗体が入手可能な何らかのタンパク質)をコードする、共トランスフェクトされたプラスミドの発現を検出することにより遺伝子産物の発現を推測する能力、(2)同じ細胞のマルチサブユニット複合体のあらゆる成分(例えば、T-細胞レセプター)を発現する能力、(3)同じ細胞における経路(例えば、MAPキナーゼ経路等のシグナル伝達系路)のあらゆる成分を発現する能力および(4)小分子を合成する経路のあらゆる成分(例えば、ポリケチド合成酵素)を発現する能力が挙げられる。更に、共トランスフェクトする潜在力により、異なる標的生体高分子のコンビナトリアル組み合わせ(例えば、共発現プラスミド)を備えた支持体の作出が可能になる。この潜在力、ベイトおよびプレイタンパク質をコードするプラスミドを、支持体の1つのフィーチャーにそれらをスポットすることによって同一細胞へ共トランスフェクトする哺乳類2-ハイブリッドアッセイを実施するのに特に有用である。
【0164】
いずれの好適な支持体も、本発明の実施に使用できる。例えば、固体支持体を使用でき、核酸分子含有混合液を、この支持体の表面に塗布することができる。例として、支持体はガラス、プラスチック(ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルインデンジフルオリド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン等)、シリコン、金属、(金等)、膜(ニトロセルロース、メチルセルロース、PTFEまたはセルロース等)、紙、生体材料(タンパク質、ゼラチン、寒天等)、組織(皮膚、内皮組織、骨、軟骨等)、ミネラル類(ヒドロキシルアパタイト、グラファイト等)であってもよい。更なる化合物を、支持体の基材に添加して機能性をもたらすことができる。例えば、シンチラントをポリスチレン基材に添加でき、Scintillation Proximity Assaysが実施できる。
【0165】
支持体は、多孔性固体支持体でも、非多孔性固体支持体であってもよい。支持体は、凹凸領域、疎水性または親水性領域のパターン、回折格子、チャンネルまたは他のフィーチャーを備えた表面を有することができる。これらのフィーチャーのスケールは、メートルからナノメートルの範囲であってもよい。例えば、そのスケールは、微小流体チャンネルもしくは他のMEMSフィーチャーに対してはミクロンスケールであってよく、またはナノチューブもしくはバッキーボールに対してはナノメートルスケールであってもよい。表面は、平板状、隆起もしくは埋没がある平板状、球状(例えば、光学的にコードされたビーズ)、繊維状(例えば、光ファイバ束)、管状(内側もしくは外側両方)、三次元ネットワーク(連結しているロッド、チューブ、球等)または他の形状であってもよい。表面は、統合されたシステムの一部であってもよい。例えば、表面はマイクロタイターディッシュ、培養ディッシュ、培養チャンバーの底部であってもよい。レンズ、格子、および電極等の他のコンポーネントを、表面に組み込むことができる。一般に、支持体の材料、およびアレイの幾何学は、アレイ形成、培養および/または細胞の表現型の検出の自動化に有用となるように基準に基づいて選択される。
【0166】
更なる他の実施形態において、支持体は微小球体(ビーズ)、特にFACS選別可能なビーズである。場合によって、各ビーズは個々のフィーチャー(例えば、標的配列の均一な集団を有し、混合物中の他のビーズと異なっているもの)および所定のビーズを同定して標的配列を提示するために使用できる1つまたは複数のタグを有する。ビーズに付着した細胞の、FACSで検出可能な変化を誘発できる所定の標的配列の同定は、ビーズに会合したタグ(1種または複数種)から容易に判断できる。例えば、タグは、バイナリコードとして使用できるエレクトロフォアタグ付け分子(Ohlmeyerら、(1993)PNAS 90:10922-10926)であってもよい。タグの例として、フェムトモルのレベル未満で電子捕獲ガスクロマトグラフィー(ECGC)により、それらのトリメチルシリルエーテルとして検出可能なハロ芳香族アルキルエーテルが挙げられる。アルキル鎖の長さの変化や、芳香族ハライド置換基の性質および位置により、少なくとも40個のかかるタグの合成が可能になり、原則的に240(例えば、1012個以上)種類の分子をコードできる。
【0167】
更に、表面は、例えば陽イオン性部分で被覆できる。陽イオン性部分は、負に荷電した標的生体高分子に静電気的に結合できる正に荷電した種であってもよい。担体で使用するための陽イオン性部分の例として、ポリリジン(例えば、ポリ-L-リジン)、ポリアルギニン、ポリオルニチン、スペルミン等のポリカチオン、ヒストン(Chenら、(1994)FEBS Letters 338:167-169)、アビジン、プロタミン(例えば、Wagnerら、(1990)PNAS 87:3410-3414参照)等の塩基性タンパク質、修飾したアルブミン(すなわち、N-アシルウレアアルブミン)(例えば、Huckettら、(1990)Chemical Pharmacology 40:253-263参照)、およびポリアミドアミンカスケードポリマー(例えば、Haenslerら、(1993)Bioconjugate Chem. 4:372-379参照)が挙げられる。特に有用なポリカチオンの1つはポリリジン(例えば、3,800〜60,000ダルトンの範囲)である。あるいは、表面自体が正に荷電することもできる(γアミノプロピルシランまたは他のアルキルシラン等)。
【0168】
表面は、更なる機能のために分子を被覆してもよい。例えば、これらの分子は、抗体、ビオチン、アビジン、エピトープに結合するNi-NTA、アビジン、ビオチン化分子、または6-Hisタグ付けされた分子等の捕獲試薬であってもよい。あるいは、分子は、細胞外マトリックス、胎児ウシ血清、およびコラーゲン等の培養試薬であってもよい。
【0169】
V.沈着剤
多くの場合、本発明の実施で使用する核酸分子は、1個または複数個(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)の沈着剤と混合することができる。沈着剤は、(1)核酸分子を含む組成物に嵩を足すこと、(2)支持体に付着する核酸分子の能力を高めること、(3)支持体に付着する細胞の能力を高めること、または、(4)核酸分子(例えば、トランスフェクション試薬)を取り込む細胞の能力を高めることという目的のうち1つまたは複数に有用であるとされる化合物である。
【0170】
いくつかの化合物でも、沈着剤として用いることができる。かかる化合物の例として、核酸(例えば、RNA、DNA等)、タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン等)、脂質、炭水化物(例えば、砂糖、デンプン、ガム等)が挙げられる。特定の場合に、沈着剤はタンパク質(例えば、ゼラチン)および/または核酸ではない。
【0171】
特定の場合に、沈着剤は本発明の方法および構成体に存在しなくてもよい。例えば、細胞がウイルス粒子および/またはウイルスを含む支持体と接触すると、多くの場合、ウイルス粒子および/またはウイルスは、それらの粒子および/またはウイルスの細胞内への侵入に必要な成分を含む。このような場合、沈着剤を省略することができる。沈着剤の更に具体的な例として、デキストラン、キトサン、カラヤガム、ポリアクリルアミド、キサンタンガム、グアーガム、アカシアガム、ペクチン、デンプン、デンプン誘導体、ビニルアセテートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、アルギン、アルギンの誘導体、ポリアクリレート、ポリマレイン酸、無水ポリマレイン酸、アガロース、ポリウレタン、ポリウレア、アラビアゴム、ローカストビーンガム、修飾したグアーガム、マルトデキストリン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリAMPS、またはそれらの混合物を含有する組成物が挙げられる。
【0172】
このように、沈着剤には、天然ポリマー、合成ポリマー、親水性ポリマー、疎水性ポリマー、および親水コロイドポリマーを含有する組成物が包含される。
【0173】
ガムは、トランスフェクトされた細胞アレイの調製および使用に有利な多くの物性を有しており;乳化剤として作用し、これにより、スポットする前の溶液中の脂質-標的生体高分子複合体(例えば、脂質-DNA複合体)を安定化でき;高濃度で容易にゲルを形成することによって、スポットしたトランスフェクション複合体の乾燥を緩徐にでき、これによりスポットの形態および均一性が向上し;それらは親水性が高く、リバーストランスフェクションスポットの乾燥と、ひいては分解を防止でき;粘性があり、細胞培養中のトランスフェクション複合体の溶解および分散を緩徐にでき、これによりトランスフェクション効率を改善し;あるいは外来性、非毒性かつ非栄養性であるため、細胞成長に悪影響を及ぼすことがない。
【0174】
市販の材料より得られるフィブロネクチンおよびゼラチン等のタンパク質は、効果で、水溶液において不安定で、かつ、質が一定しない可能性がある。フィブロネクチン等のタンパク質の特異的細胞接着特性がトランスフェクションで役割を果たさない場合、インビトロ実験で通常使用するタンパク質(例えば、アルブミン、イムノグロブリン)が、安価で信頼性の高い選択肢を提供することができる。これらに沿って、本発明者らはウシ血清アルブミンがリバーストランスフェクション方法で良好に作用することを見出している。リバーストランスフェクションに対する別の取り組みは、ウイルスアレイである。本発明者らは、緑色蛍光タンパク質をコードするレンチウイルスのアレイを調製するのに成功しており、これらのアレイを用いて細胞を感染させている。トランスフェクション試薬なしで感染は発生するが、スポット溶液にタンパク質を添加することによると感染は発生しない。しかし、グアーガムおよび100mMスクロースの添加は有益である(すなわち、トランスフェクション効率が高まる)ことがわかった。
【0175】
沈着剤は、本発明の実施において、単独でまたは他の試薬(例えば、トランスフェクション試薬)と組み合わせて用いることができる。例えば、プラスミドDNAが固体支持体(例えば、ガラス顕微鏡スライド)上にスポットされる場合、Lipofectamine(商標)2000等のトランスフェクション試薬およびグアーガムと一緒に、DNAを組成物の中に配合することができる。
【0176】
更に、沈着剤の総濃度に対する核酸分子濃度の比は、体積対重量(μg/ml)で、かなり変動させることができる。例えば、沈着剤に対する核酸分子の比は5:1、10:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、50:1、60:1、80:1等であってよく更に、沈着剤に対する核酸分子の比は、5:1〜80:1、5:1〜40:1、5:1〜20:1、5:1〜10:1、10:1〜80:1、10:1〜60:1、10:1〜50:1、10:1〜40:1、15:1〜80:1、20:1〜40:1等であってよい。
【0177】
更に、本発明の実施において、別の試薬(例えば、トランスフェクション試薬)と組み合わせて沈着剤を用いる場合、沈着剤および他の試薬は、等量存在しても、異なる量存在してもよい。例えば、トランスフェクション試薬がガムと併せて存在する場合、トランスフェクション試薬は通常、沈着剤に含まれるガムと異なる濃度で存在する。
【0178】
本発明の方法および構成体で使用することができるトランスフェクション試薬は通常、陽イオン性および陰イオン性脂質を含む。トランスフェクション試薬の具体例として、Lipofectin(商標)(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA、カタログ番号18292-037)、Lipofectamine(商標)2000(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA、カタログ番号11668-019)、Lipofectamine(商標)(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA、カタログ番号18324-020)、Cellfectin(商標)(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA、カタログ番号10362-010)、Optifect(商標)(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA、カタログ番号12579-017)、TransFectin(商標)(Bio-Rad Laboratories,Inc.、Hercules、CA94547、カタログ番号170-3350)、siLentFect(商標)(Bio-Rad Laboratories,Inc.、Hercules、CA94547、カタログ番号170-3360)、SureFECTOR(商標)(B-Bridge International、Sunnyvale、CA94085、カタログ番号EM-101-001)、UniFECTOR(商標)(B-Bridge International、Sunnyvale、CA94085、カタログ番号EM-101-002)、Insect GeneJuice(登録商標)(Novagen、Madison、WI 53719、カタログ番号71259-3)、LipoTAXI(登録商標)(Stratagene、La Jolla、CA92037、カタログ番号204110)、FuGene(商標)6(Roche Diagnostics、Basel、Switzerland)、XtremeGENE Q2(Roche Diagnostics、Basel、Switzerland)、XtremeGENE siRNA(Roche Diagnostics、Basel、Switzerland)、Effectene(Qiagen Inc、Valencia、CA、カタログ番号301425)、Superfect(Qiagen Inc、Valencia、CA、カタログ番号301305)、Polyfect(Qiagen Inc、Valencia、CA、カタログ番号301105)、TransMessenger(Qiagen Inc、Valencia、CA、カタログ番号301525)、TransIT-LT1(Mirus、Madison、WI 53719、カタログ番号MIR 2304)、TransIT-LT2(Mirus、Madison、WI 53719、カタログ番号MIR 2404)、TransIT-TKO(Mirus、Madison、WI 53719、カタログ番号MIR 2154)、およびJetPEI(Avanti Polar Lipids,Inc. 例えば、カタログ番号101-05N参照)が挙げられる。本発明の実施で使用することができる更なるトランスフェクション試薬を、添付資料1に示す。いくつかのガムでも、本発明の実施において沈着剤として使用することができる。好適なガムの例として、キサンタンガム、グアーガム、およびローカストビーンガムが挙げられる。更なる好適なガムは、www.texturant-systems.com/texturant/html/e/products/prodover.htmのhttpアドレスから見出すことができる。
【0179】
本発明の実施において用いることができるガムの一具体例はグアーガムである。グアーガムの主鎖は、(1-4)結合β-Dマンノース残基、および(1-6)結合α-Dガラクトースの側鎖からなる。グアーガムはこのように、ガラクトース対マンノースの比が全体で、およそ2:1である。更に、ガラクトース置換基が、マンノース鎖に沿って規則的に分布している。
【0180】
本発明の実施において使用することができるガムの別の具体例はキサンタンガムである。キサンタンガムは高分子量のヘテロ多糖である。その主鎖は、グルコース単位で構成される。キサンタンガム側鎖は、β-D-グルクロン酸、アセチル基を含むα-D-マンノースおよびピルベート基に結合した末端β-D-マンノースユニットからなる三糖である。
【0181】
本発明の実施において使用することができる別のクラスの化合物はペクチンである。ペクチン分子は基本的に、ガラクツロン酸ユニットの鎖である。規則的な構造はメチルペントース、L-ラムノースの存在によって中断され、「ペクチンエルボー(pectic elbows)」と称される偏向が起きる。L-ラムノースは、炭素1および2によって結合されている。
【0182】
これらのガラクツロン酸の所定の比率のものは通常、メチルエステル型になっている。エステル化されているガラクツロン酸の率は、一般にエステル化度(DE)またはメトキシル化度(DM)と称される。高メトキシル(HM)ペクチンとは普通、50を超えるDEのものをいい、低メトキシル(LM)ペクチンは50未満のDEを有する。LMペクチンは、酸、またはアルカリで処理されたものであってもよい。更に、LMペクチンは、アミド化(LMA)されてもよく、あるいは、非アミド化(LMNA)されてもよい。このようなペクチンをいずれも、本発明の方法および構成体で使用することができる。
【0183】
本発明の実施において使用することができる別のクラスの化合物はカラギーナンである。多くの紅藻が、硫酸化ガラクトースユニットで構成される多糖を含有している。これらの多糖は、カラギーナンと称されることが多い。カラギーナンのガラクトースユニットは全て、典型的にD形である。更に、カラギーナンの硫酸塩含有量は一般に15〜40%である。
【0184】
本発明の実施において使用することができる別のクラスの化合物はローカストビーンガムである。多くのマメ科植物の種子が、類似の構造を有するガラクトマンナンを含有している。ローカストビーンから抽出されたものが、最も頻繁に使用される。主鎖は、(1-4)結合β-Dマンノース残基、側鎖は(1-6)結合α-Dガラクトースからなる。ガラクトース糖は鎖に沿って均等に分布しておらず、ブロックでまとまってクラスター形成する傾向がある。鎖は、「平滑」および置換された区域を交互に備えた不規則な構造を有している。
【0185】
本発明の実施において使用することができる別の沈着剤は、スクレログルカンである。スクレログルカンは、糸状菌Sclerotium rofsiiの発酵によって生産される水溶性天然ポリマーである(米国特許第4,647,312号参照、その開示全体を本願に引用して援用する)。
【0186】
VI.タンパク質
上述のとおり、フィーチャーは、核酸分子、タンパク質、および炭水化物等の標的生体高分子や、細胞への導入が望まれる他の化合物を含むことができる。
【0187】
標的生体高分子がタンパク質である場合、タンパク質はいかなる特性を備えていてよい。変化できるタンパク質の特性の例としては、大きさ、アミノ酸配列、および機能性活性が挙げられる。大きさに関しては、フィーチャーは、普通「ペプチド」と称される小さいタンパク質(例えば、約2〜約20個のアミノ酸)、中間大きさ(例えば、約20〜約200個のアミノ酸)のもの、または大きいタンパク質(例えば、約200〜約20,000個のアミノ酸)を含むことができる。フィーチャーに存在することができるタンパク質の大きさの例としては、約2〜約20個のアミノ酸、約10〜約30個のアミノ酸、約20〜約40個のアミノ酸、約30〜約80個のアミノ酸、約20〜約100個のアミノ酸、約50〜約100個のアミノ酸、約50〜約200個のアミノ酸、約50〜約500個のアミノ酸、約2〜約400個のアミノ酸、約100〜約1,000個のアミノ酸、または約200〜約2,000個のアミノ酸が挙げられる。
【0188】
更に、フィーチャーに含まれるタンパク質は、1本鎖または複数鎖(すなわち、マルチマー)であってよい。タンパク質、複数鎖タンパク質がフィーチャーの中に含まれる場合、これらのフィーチャーは実質的に、1個より多くのタンパク質(すなわち、複数鎖部分を形成する個々のタンパク質)を含む。
【0189】
本発明の実施で用いるタンパク質は、フィーチャーの核酸分子に含まれても、またはそれによりコードされても、融合タンパク質であってよい。例えば、1つのタンパク質のドメインが、別のタンパク質のドメインに結合されていてよい。このようなドメインとして、SH1ドメイン、SH2ドメイン、亜鉛フィンガードメイン、細胞表面タンパク質に結合するドメイン、および膜貫通ドメインが挙げられる。
【0190】
本発明の様々な態様で使用するタンパク質は、細胞膜を越えてタンパク質の転位置を可能とするドメインであってもよい。このようなドメインの一例は、シュードモナス外毒素のドメインII(例えば、Pastanら、米国特許第5,328,984号参照、その開示全体を本願に引用して援用する)である。膜転位置活性を備えたタンパク質の例としては、限定しないが、植物および細菌タンパク質毒素リシン、アブリン、モデッシン、ジフテリア毒素、コレラ毒素、炭疽菌毒素が挙げられる。毒素でないが、膜転位置活性を有するタンパク質の例として、ヒト免疫不全ウイルスのTATタンパク質、および単純ヘルペスウイルス1型のUL49遺伝子の産物であるタンパク質VP22が挙げられる。
【0191】
本発明はこのように、細胞膜を越えて転位置できるタンパク質を含むフィーチャーの使用を包含する。従って、本発明は、細胞膜を越えて転位置できるタンパク質を含むフィーチャーを有する支持体、更には、かかる支持体を用いる方法を包含する。
【0192】
VII.細胞
対象のアッセイを起こさせるために好適な宿主細胞として、原核生物、酵母、または、植物および動物細胞、特に哺乳動物細胞を含む高等真核細胞が挙げられる。原核生物には、グラム陰性またはグラム陽性生物が含まれる。特定の実施形態で、本発明の方法は、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞等の霊長類細胞)等、高等真核生物(例えば、後生動物)に由来する細胞を用いて行ってよい。哺乳動物細胞の種としては、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、マウスおよびラットラット細胞が挙げられる。
【0193】
本発明の方法で使用する動物細胞は、造血細胞、神経細胞、膵臓細胞、肝細胞、軟骨細胞、骨細胞、または筋細胞であってもよい。
【0194】
細胞は、完全に分化した細胞であることも、前駆/幹細胞であってもよい。更に、細胞は正常または疾患組織から、分化または未分化細胞から、胚性または成人型組織から由来したものであってよい。細胞は、培養液に分散させてもよいし、あるいは、臓器の微細構造のいくらかを維持する複数の細胞を含む組織試料であってもよい。
【0195】
特定の実施形態で、本発明の支持体は、標的細胞と共培養できる細胞をトランスフェクトするのに使用してもよい。特定の条件下に、フィーチャーから、遺伝子を発現している細胞によって、生物学的活性を有するタンパク質を分泌できることから、次いで、近傍の標的細胞に拡散して、特定の生化学的応答(例えば、増殖または分化、シグナル伝達系路の活性化で、他の表現型基準により直接検出されるもの等)を誘発される。同様に、所定の因子のアンタゴニストを、細胞が機能性アンタゴニストを生産して、培養培地に添加する外来因子の効果から近傍の細胞を保護する能力によって類似の方法で選択できる。宿主および標的細胞は、直接接触か、あるいは、例えば細胞培養インサート(例えば、Collaborative Biomedical Products、a division of Becton Dickinson、Bedford、MA、カタログ番号40446参照)によって分離させることもできる。
【0196】
適切な宿主細胞の選択は、検出シグナルおよび/または標的生体高分子の選択のような因子、ならびに研究が望まれる細胞型によっても影響を受ける。例えば、レポーター構築体は、標的核酸によって誘導される機能獲得もしくは機能喪失に伴って選択可能またはスクリーニング可能な形質を提供できる。レポーター遺伝子は、既に宿主細胞経路にある非修飾遺伝子であってもよいし、異種遺伝子(例えば、「レポーター遺伝子構築体」)であってもよい。他の実施形態において、細胞内カルシウムの動員またはリン脂質代謝等といった、セカンドメッセンジャー産生を検出段階で直接測定でき、この場合、宿主細胞はかかる経路の活性化に対する適切な開始表現型を有する必要がある。
【0197】
宿主細胞は、細胞内への標的生体高分子の導入/侵入のために適切な条件下、充分な密度で、支持体を担持するフィーチャーの上に播種(配置)することができる。場合によって、トランスフェクションが引き起こされることになる蓋然性を高めるため、あるいは、各フィーチャーからの標的生体高分子がトランスフェクトされた細胞の数を増加させるために、宿主細胞(適切な培地中)は、高密度(例えば、0.5〜1×105個/cm2のオーダー)でアレイ上に播種することができる。例えば、細胞の密度は、約0.3×105〜約3×105個/cm2であってよく、また具体的な実施形態において、細胞密度は約0.5×105〜約2×105個/cm2および約0.5×105〜約1×105個/cm2である。細胞への標的生体高分子の導入/侵入に対する適切な条件は、使用した細胞の質、系のトランスフェクション効率、および用いた特定の細胞等の因子に依存して変化する。
【0198】
VIII.ビジネス方法
本発明はまた、企業の製品を社外の関係者に提供するシステムおよび方法、例えば、顧客または製品販売業者に、1つまたは複数のフィーチャーを有する支持体を含むキット等の企業の製品を提供するためのシステムおよび方法も提供する。図12に、製品管理システムの模式図を示す。実際には、図12のブロックは、単一の建物または異なる建物の部署、コンピュータプログラムまたは1つまたは複数のコンピュータによって維持されているプログラムのパッケージソフト、従業員群、プリンタまたはファックス機等のコンピュータI/Oデバイス、それ以外には企業につながりのない第三者事業体または企業等を含むことができる企業内組織を表すことができる。
【0199】
図12に示すような製品管理システムを、企業100により例証する。企業100は、社外の関係者、例えば、販売業者150または顧客140から発注部署126への注文の形態、または、社外の関係者から材料および部品130の形態で入力情報を受け取り、発送部署119から販売業者150または顧客140に発送した製品の形態での出力情報を提供する。企業100システムは、注文の受領、および社外の関係者への製品(特に説明書または本発明のキット)の発送を費用効率が良いように至適化し、かかる製品の支払いを関係者から得るように組織化される。
【0200】
本発明の方法に関して、「材料および部品」の用語は、デバイス、他のコンポーネント、または製品を製造するのに使用される品目をいい、一般的に、企業が社外の関係者に販売するデバイス、他のコンポーネント、または製品である。このように、材料および部品としては、例えば、核酸分子、支持体、沈着剤、宿主細胞、酵素(例えば、ポリメラーゼ)、アミノ酸、培養培地、緩衝液、紙、インク、反応容器等が挙げられる。これに対し、「デバイス」、「他のコンポーネント」、および「製品」の用語は、企業が販売する品目をいう。デバイスの例としては、1つまたは複数のフィーチャーを含む支持体が挙げられる。他のコンポーネントの例としては、フィーチャーを含む支持体の調製および使用のための説明書を包含する説明書が挙げられる。他のコンポーネントは、キットに含められてよい品目であってもよい。このように、本明細書に規定する材料および部品として有用な品目は更に、企業により販売できる「他のコンポーネント」と考えることができることは認識される。「製品」の用語は、デバイス、他のコンポーネント、またはその組み合わせ(企業が社外の1つまたは複数の関係者に販売している、もしくは販売が望まれている、またはそれ以外では提供されている、更なる材料および部品との組み合わせを含む)をいう。本願における製品の例としては、フィーチャーを含む支持体およびキット(例えば、本発明に従う説明書を含むことができるキット)が挙げられる。
【0201】
図12を参照すると、企業100には、製造部110および運営部120が包含される。デバイス112および他のコンポーネント114は、製造部110において生産され、その中で別々に、デバイスストレージ113および他のコンポーネントストレージ115等にそれぞれ保管でき、あるいは、更に統合して製品ストレージ117に保管できる。材料および部品130は、外部供給元から企業100に供給可能であり、かつ/または材料および部品114は、企業で調製可能であって、デバイス112および他のコンポーネント116を生産するのに使用でき、次いで、統合して製品として販売できる。製造部110はまた、発送部署119も含み、注文に関して入力情報を受信すると、製品ストレージ117から発送すべき製品を得て、その製品を社外の関係者に送ることができる。
【0202】
本発明の目的のため、製品ストレージ117には、例えば、フィーチャーを備えた支持体の調製および使用に対する説明書や、かかる説明書および/またはキットの組み合わせを保管できる。例えば、顧客140がこのようなキットおよび説明書を発注しているとの入力情報を発注部署126から受信すると、発送部署119は製品ストレージ117から、かかるキットを発送用に得ることができ、更にキットに含めるように文書形態とした説明書を得ることができ、そのキットおよび説明書を顧客140に発送して、製品を発送した旨の入力情報を請求書発行部署124に提供するか、あるいは、発送部署119がキットを発送用に製品ストレージ117から得ることができ、更に説明書を顧客140に電子形態として、当該説明書を含む企業100のデータベースにアクセスすることにより提供でき、その説明書を顧客140にインターネット(図示せず)を介して送付する。
【0203】
更に図12に示すように、運営部120は発注部署126を含み、顧客140または販売業者150からの製品の注文書の形態で入力情報を受信する。発注部署126は次いで、説明書の形態で出力情報を発送部署119に提供し、注文を履行する(すなわち、顧客140または販売業者150の要請に応じて製品を送る)。発送部署119は、注文の履行に加えて、更に発送した製品の確認書の形態で入力情報を請求書発行部署124に提供する。請求書発行部署124は次いで、必要に応じ請求書の形態で出力情報を顧客140または販売業者150に提供でき、更に請求書が支払われた旨の入力情報を受信することができ、あるいは、そのような入力情報が受け取られなければ、更に当該支払いが延滞しているかもしれない旨の出力情報を顧客140または販売業者150に提供できる。企業100の更なる任意のコンポーネントは、顧客サービス部署122を含み、ここで顧客140から入力情報を受信することができ、フィードバックまたは情報の形態で出力情報を顧客140に提供できる。更に、図12には示さないが、顧客サービス122は入力情報を受信することができ、または出力情報を企業の他のコンポーネントに提供できる。例えば、顧客サービス部署122は、注文した製品を受け取っていないことを示す入力情報を顧客140から受信することができ、顧客サービス部署122は製品が行方不明であることに関する出力情報を発送部署119および/または発注部署126および/または請求書発行部署124に提供でき、このようにして顧客140の満足を保証する手段が提供される。顧客サービス部署122はまた、例えば、本発明の説明書が顧客140特定のニーズに適用できることを確認する入力情報も、顧客140から依頼技術情報の形態で受信することができ、依頼された技術情報に対する応答書の形態で出力情報を顧客140に提供できる。
【0204】
このように、企業100のコンポーネントは、相互通信をして、企業100内での材料および部品、デバイス、他のコンポーネント、製品、および情報の転送を円滑にするように、好適に構成されており、また企業100は、入力情報を外部の関係者から受信するよう、あるいは、出力情報を外部の関係者に提供するように更に好適に構成されている。例えば、発注部署126から好適な入力情報を受信すると、物理的経路を利用して製品を製品ストレージ117から発送部署119に転送できる。これに対し、発注部署126は、企業100内の他のコンポーネントと、例えば、イントラネット等の通信ネットワークによって電子的に接続することができ、更に、例えば、顧客140から電話ネットワークにより、メールまたは他のキャリアサービスにより、または、インターネットを介して入力情報を得るように構成できる。電子入力情報および/または出力情報については、特に企業100内で、また必要に応じ、販売業者150または材料または部品130提供者等とTlラインまたは直接無線通信等の直接電子リンクも確立できる。
【0205】
図示しないが、企業100は、例えば、パーソナルコンピュータ、コンピュータネットワーク、携帯情報端末(PDA)、音声記録媒体、文書入力された文書、データを受信できる好適なデバイス、または、これらのいずれかの組み合わせとして実現できる顧客データ集積システムを含め、1つまたは複数のデータ集積システムを体系化する。データ集積システムは、例えば、顧客の発送先住所および請求書発行先住所や、更に顧客の注文履歴および支払い履歴等の具体的な情報を含め、顧客140または販売業者150に関わるデータを集めるのに使用でき、このようなデータは、例えば、1つまたは複数の今後の購買での割引に相応しく充分な購買を顧客がしてきているかを判定するのに有用である。
【0206】
企業100は、多くのソフトウェアアプリケーションを利用して、企業100のコンポーネントに情報を提供でき、または企業100外の関係者へ、企業100の1つまたは複数のコンポーネントへのアクセス、例えば、発注部署126または顧客サービス部署122へのアクセスを可能にできる。このようなソフトウェアアプリケーションは、インターネット、ローカルエリアネットワーク、またはイントラネット等の通信ネットワークを含むことができる。例えば、インターネット経由のアプリケーションでは、顧客140が発注部署126への注文書の形態で入力情報を提供できるように、顧客140は、発注部署126と協働する好適なウェブサイトおよび/またはウェブサーバにアクセスできる。これに応じて、発注部署126は顧客140と通信して注文を受信したことを確認でき、更に発送部署119と通信でき、例えば、1つまたは複数のフィーチャーを有する支持体および使用説明書を含む本発明のキットのような製品を顧客140に発送すべきとの入力情報を提供する。このようにして、企業100のビジネスを効率的に進めることができる。
【0207】
ネットワーク構成体、請求書発行部署124および発送部署119は、例えば、それぞれのコンピュータシステムにより相互に通信できる。本明細書で用いる場合、「コンピュータシステム」の用語は、ネットワークサーバ、ラップトップシステム、デスクトップシステム、携帯型システム、携帯情報端末、コンピュータ設置キオスク等といった多目的コンピュータシステムをいう。同様に、既知の技術に従い、販売業者150は、ネットワーク、特に発注部署126へのオンライン通信を確立した後、企業100が維持するウェブサイトにアクセスでき、注文書の形態で入力情報を提供できる。必要に応じ、発注部署126が発行した注文書のハードコピーを、販売業者150に設置されるウェブブラウザアプリケーションから印刷できる。
【0208】
本発明の実施に関わる様々なソフトウェアモジュールを、企業100および必要に応じ企業100外の関係者に設置されるコンピュータシステムに好適にロードでき、またはフロッピーディスク、磁気テープもしくは光学ディスク等のコンピュータ読取可能媒体にソフトウェアコードを保存できる。オンライン導入に際し、企業100が維持するサーバおよびウェブサイトは、材料および部品130等の販売業者150等、遠隔のユーザに、ソフトウェアダウンロードを提供するように設定できる。ソフトウェアで実施する際、本発明の技術は、本明細書に記載の様々なプロセスタスクに関わるコードセグメントおよび説明書によって実行できる。
【0209】
従って、本発明は更に、製品の様々な態様(例えば、本発明のキットおよび/または説明書)や、本発明の様々な態様に関する情報を、図12で顧客140および販売業者150として示す関係者等、関係者に提供するための方法を包含する。こうして、顧客へのサポート、請求書発行、企業内の製品在庫管理等を含め、それらの販売に関連する方法が関わるような関係者に、本発明のデバイス、製品および方法を販売するための方法が提供される。このような方法の例を図12に示すが、これは例えば、企業100外の供給元(例えば、供給者)から材料および部品130を得て、製品ストレージ117の在庫として維持できる例えばキット等の本発明の構成体を準備するのに、あるいは、本発明の方法を実施するのに使用されるデバイスを準備するのに使用できる。デバイス112は、顧客および/もしくは販売業者(図示せず)に直接販売でき、または1つまたは複数の他のコンポーネント116と組み合わせて、複合製品として顧客および/または販売業者に販売できることを認識する必要がある。他のコンポーネント116は、企業100外の供給元から得ることができ(材料および部品130)または企業100内で準備できる(材料および部品114)。このように、「製品」の用語は、社外の関係者(顧客、販売業者等)に発送される物品を言及するのに本明細書で一般的に使用され、関係者に単独またはキット等のコンポーネントとして発送できるデバイス112等の物品が包含される。
【0210】
適時に、製品は、例えば発送部署119によって製品ストレージ117から取り出され、顧客140または販売業者150等の依頼者に発送される。通常、かかる発送は、発注している関係者に応じて生じ、その後、図12に示すように組織内に転送されることによって注文された製品がその関係者に発送されることになる。関係者への製品の発送に関するデータは、例えば発送部署119から請求書発行部署124へと、組織内で更に送信され、こうして順次、製品と共に、あるいは、製品発送後のいずれかの時点で、関係者に請求書を送付できる。更に、関係者が発送した製品に対する支払いを所定の期間(例えば、30日以内、45日以内、60日以内、90日以内、120日以内、30日〜120日以内、45日〜120日以内、60日〜120日以内、90日〜120日以内、30日〜90日以内、30日〜60日以内、30日〜45日以内、60日〜90日以内等)以内に行っていない場合、請求書を送ることができる。通常、請求書発行部署124も、関係者が行う支払い(1または複数)の処理に責任を持つ。例示した方法の変法を利用できることは認識され、例えば、顧客サービス部署122が関係者から注文を受け、その注文を発送部署119(図示せず)に送信することができることから、図12に示す機能が発注部署126および顧客サービス部署122によって履行される。
【0211】
本発明の方法はまた、製品、特に本発明のキットを用いて関係者に技術サービスを提供することを包含する。このような機能は、製品の研究開発に携わる個人によって実施できるが、技術サービスに関連する質問は通常、組織の管理部署(例えば、顧客サービス部署122)が処理し、方針決定し、および/または、指示をする。技術サービス(例えば、製品の個々のコンポーネントまたは製品の使用に関する問題の解決)に関連する通信には、顧客150と顧客サービス部署122との間の通信の経路を示唆する矢印で表すように、情報の相互交換が必要である場合が多い。
【0212】
上述のとおり、図12に示すプロセスの様々な変更が可能であり、本発明の範囲に含まれる。従って、本発明には、以下のステップを含む方法(例えば、ビジネス方法)が包含される。 (1)製品の製造 (2)製品の受注 (3)発注関係者への製品の配送 (4)配送した製品に対する支払い義務がある関係者に請求書送付および/または (5)関係者に配送した製品に対する支払いの受領 例えば、以下のステップの2つ以上を含む方法が提供される。
(a)供給者からの部品、材料、および/またはコンポーネントの入手 (b)1つまたは複数の第1の製品(例えば、1つまたは複数のフィーチャーを備えた1つまたは複数の支持体)の準備 (c)ステップ(b)の1つまたは複数の第1の製品の保管 (d)ステップ(b)の1つまたは複数の第1の製品を1つまたは複数の他のコンポーネントと併合して、1つまたは複数の第2の製品(例えば、キット)を形成 (e)ステップ(b)の1つまたは複数の第1の製品またはステップ(d)の1つまたは複数の第2の製品の保管 (f)ステップ(b)の第1の製品またはステップ(d)の第2の製品の注文の獲得 (g)ステップ(b)の第1の製品またはステップ(d)の第2の製品のいずれかの、ステップ(f)の発注元関係者への発送 (h)ステップ(g)で製品の配送を受けた関係者の勘定の金額に関するデータの追跡 (i)ステップ(g)で製品の配送を受けた関係者への請求書の送付 (j)ステップ(g)で発送した製品に対する支払いの受理(必ずではないが通常は、支払いは、ステップ(g)で製品の配送を受けた関係者によって行われる)ならびに (k)組織と、ステップ(d)で配送した製品を保有している関係者(通常、ステップ(g)で製品の配送を受けた関係者)との間の技術情報の交換。
【0213】
本発明の構成体および方法で使用される核酸分子は、通例使用される細胞型でそれらが効率的に複製しないように設計することができる。この利点は、購入者が、通例使用されるクローニングシステム(例えば、大腸菌系システム、酵母系システム等)で容易に核酸分子を増殖させることができないところにある。従って、例えば、本発明のアレイがプラスミドを含む場合、これらのプラスミドは以下の1つまたは複数を含むことができる。 (1)通例使用されるクローニングシステムに適合しない複製の起点(例えば、2ミクロンプラスミド起点または酵母の自律的に複製する配列等のグラム陽性生物または酵母でのみ機能する複製の起点等の非大腸菌の起点;米国特許公開第2003/0124555号(その開示全体を本願に引用して援用する)に記載のもの等、温度感受性の複製の起点;pir遺伝子が存在する場合のみ、大腸菌での増殖を可能とするのに使用することができるR6K-ガンマ複製の起点等) (2)tusを発現する大腸菌(tus-ter系は、米国特許公開第2003/0176644号(その開示全体を本願に引用して援用する)に記載)でのプラスミドの複製を妨げるように配向されたターミネーター配列 (3)特定の細胞に毒性を有するか、あるいは、特定の条件下に特定の細胞に毒性を有するかのいずれかの産物を発現する遺伝子(例えば、米国特許第6,818,441号;Jucovicら、Proc. Natl. Acad. Sci(USA)93:2343-2347(1996);およびRyeratら、Infection and Immunity 66:4011-4017(1998)(その開示全体を本願に引用して援用する)に記載の以下の遺伝子:ccdB、sacB、rpsL、tetAR、pheS、thyA、lacY、gata-1、コリシンE1、バルナーゼ等の1つまたは複数)または (4)転写調節配列(例えば、pBADプロモーターまたはメタロチオニンプロモーター等の誘導可能プロモーター;tetオペレーター等の抑制可能プロモーター等)で、(a)陽性選択マーカー(例えば、カナマイシン抵抗性遺伝子、アンピシリン抵抗性遺伝子、ハイグロマイシン抵抗性遺伝子、ZeocinTM抵抗性遺伝子、BlasticidinTM抵抗性遺伝子等)または(b)陰性選択マーカー(例えば、(3)に前記の遺伝子)に作動可能に連結されたもの 従って、本発明は、「コピーコントロール」システムに関する。当然、これらのコピーコントロール成分(1種または複数種)を、プラスミド以外の核酸分子と共に用いることができる。使用する配合コピーコントロール成分(1種または複数種)の選択は、例えば、本発明のアレイの核酸分子を増殖させるべく購入者が用いることができるクローニングシステム(1種または複数種)によって決定されることが多い。
【0214】
本発明はまた、製品(例えば、デバイス製品、キット製品等)の入手可能性についての情報を、キット製品の入手可能性に対して潜在的に関心のある関係者に提供するためのシステムおよび方法も提供する。このような本発明の方法は、製品、特に説明書および/または本発明のキットを含む製品の入手可能性を一般または特定の大衆に広告する方法を包含し、例えば、例えば広告主等の出力情報供給元に製品説明データを送信し、更に、潜在的に関心がある関係者にアクセス可能な媒体の中の製品情報データを公開するため、出力情報供給元に説明書を送信し、媒体の中のデータの公開を検出して製品の入手可能性に対して潜在的に関心がある関係者に製品の入手可能性についての情報を提供することによって実施できる。
【0215】
従って、本発明は、本発明のデバイス、製品および/または方法を、広告および/またはマーケティングするための方法を提供し、かかる方法は、このようなデバイス、製品および/または方法の売上げを誘導および/または増加させる利点を提供する。例えば、本発明の広告および/またはマーケティング方法は、デバイスおよび/もしくは製品の技術的仕様書および/もしくは説明書、デバイスおよび/もしくは製品を使用する方法ならびに/または方法を実施するため、および/もしくは、デバイスおよび/もしくは製品を使用するための説明書を潜在的に関心がある関係者、特に、顧客、販売業者等の製品の潜在的購入者に呈示する方法を包含する。特定の実施形態において、広告および/またはマーケティング方法は、潜在的に関心がある関係者に、このような有形または無形の情報を呈示することを含む。本明細書に開示され、当該技術分野でよく知られているように、「無形」の用語には、物理的に扱うことができない形態を意味し、例えば、電子媒体(例えば、e-メール、インターネットウェブページ等)、放送(例えば、テレビ、ラジオ等)、および直接接触(例えば、個人間、自動機械と個人間、機械間等の電話通話)が包含され、一方、「有形」の用語は、物理的に扱うことができる形態を意味する。
【0216】
本発明は更に、特注製品の設計に関わる方法を提供する。これらの方法は、例えば、(1)顧客から1つまたは複数のフィーチャーに特異的標的生体高分子を備えた支持体の注文を取るステップと、(2)1つまたは複数のフィーチャーに特定の特異的標的生体高分子を含む1つまたは複数の支持体を調製するステップと、(3)および(b)の支持体を顧客に提供する(例えば、発送する)ステップとを含む。更に、特定の実施形態において、支持体と共に顧客に送付されるか、あるいは、別途に送付される請求書によって、顧客に支持体に対する請求を求めることができる。
【0217】
図13に、本発明に包含される情報提供管理システムの模式図を示す。実際には、図13のブロックは、単一の建物または異なる建物の部署、コンピュータプログラムまたは1つまたは複数のコンピュータによって維持されているプログラムのパッケージソフト、従業員群、プリンタまたはファックス機等のコンピュータI/Oデバイス、それ以外には企業につながりのない第三者事業体または企業等を含むことができる企業内組織を表すことができる。
【0218】
図13に示すような情報提供管理システムを、企業200により例証する。企業200は、例えば、説明書、関心がある関係者に企業200が販売したいと望んでいる本発明のデバイスおよび/またはキットのような製品220を単独または組み合わせで提供する、デバイスおよび方法210を製造、販売、あるいは、利用できるようにする。この目的のために、製品説明230が作製され、潜在的ユーザが製品220はユーザにとって有用であると考えられるような情報を提供する。潜在的ユーザへの製品説明230の伝達を達成するために、製品説明230を、企業200から分離した事業体であってもよい広告代理店240、または、企業200の関連事業体、例えば子会社であってもよい広告部署260に提供する。製品説明230に基づいて広告250を作成して、製品の潜在的購入者260にアクセス可能な媒体に提供し、かかる潜在的購入者はその後、製品220を購入するために企業200に接触することができる。
【0219】
一例として、製品説明230は、広告代理店240および/または広告部署250に発送(例えば、郵送、宅配等)できる書面による説明等有形の形態であってよく、あるいは、データベース(例えば、コンピュータ上、電子媒体内等)に入れて保存し、電話線、Tlライン、無線ネットワーク等を介して広告代理店240および/もしくは広告部署250に送信するもの等無形の形態であってもよい。同様に、広告250は、それが好都合にかつ有効に、関心がある潜在的関係者(例えば、製品の潜在的購入者260)へ提供できるように、有形または無形の形態であってもよい。例えば、広告250は、チラシ(例えば、潜在的に関心がある関係者の会議もしくはその他集会における)、または、潜在的に関心がある関係者が読むことが知られている雑誌(例えば、業界誌、学術誌、新聞等)の印刷ページ(もしくはその一部分)として、印刷された形態で提供できる。更に、あるいは、その代わりに、広告250を、広告を含むコンピュータ用媒体(例えば、CD、DVD、フロッピーディスク等)またはeメール(すなわち、例えば製品220の潜在的ユーザを含む、もしくは、含む可能性が高い組織のメンバーと知られている関係者等の選択した関係者のみに送られるメールもしくはe-メール)のダイレクトメールの形態、ウェブページ(例えば、企業200が提供するウェブサイト、もしくは企業200が有するウェブサイトへのリンク)、または、製品の潜在的購入者260がアクセスすることが知られているウェブページのポップアップもしくはポップアンダー広告等の形態で提供できる。製品の潜在的購入者260は、例えば本発明のキット等の製品220の入手可能性を知ることができれば、その後企業200に接触でき、所望であれば、前記製品220を企業200に注文できる(図12参照)。
【0220】
IX.キットおよび説明
本発明は、キットも提供する。様々な態様において、本発明のキットは、1個または複数個の(例えば、1、2、3、4、5、6、7個等)以下のコンポーネントを含むことができる。 (1)例えば、本発明の方法を実施するため、または本発明の構成体を調製および/もしくは使用するための説明書を含む一組または複数組の説明書 (2)例えば、1つまたは複数の哺乳動物細胞を含む1つまたは複数の細胞 (3)1つまたは複数の支持体(1つまたは複数のフィーチャーを含むか、あるいは、含まない) (4)1つまたは複数の沈着剤 (5)本明細書に記載の1つまたは複数の標的生体高分子または他の化合物 (6)水(例えば、蒸留水)または他の水性もしくは液体材料を含む1つまたは複数の容器 (6)乾燥した粉末形態のもの、または2×、3×、4×、5×濃縮等の濃縮形態であるものを含め、水等の液体に再構成された緩衝液であってもよい1つまたは複数の緩衝液を含む1つまたは複数の容器 (7)1つまたは複数の培養培地および/または (8)1つまたは複数の塩(乾燥した粉末形態、または水等の液体で再構成されたものであってもよい、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム)を含む1つまたは複数の容器。
【0221】
上記で示唆したように、本発明のキットは、フィーチャーを有するか、あるいは、有しない1つまたは複数の支持体を含むことができる。従って、支持体は顧客に提供される前に「プリント」されていてもよく、あるいは、フィーチャーを備えない(すなわち、ブランクであってよい)、あるいは、顧客によって追加されるフィーチャーと共にいくつかのフィーチャーでプリントして顧客に提供することができる。
【0222】
ブランクの支持体が顧客に提供される場合、フィーチャーの内容物も提供することができる。このようにして、標的生体高分子が顧客に提供することができる。この内容物は、単独または支持体と併せて提供することができる。従って、本発明はフィーチャーの内容物を別々に包含している。フィーチャーの内容物が、1つまたは複数の沈着剤と共に提供される場合が多い。
【0223】
このように、特定の実施形態において、本発明は、1つまたは複数のフィーチャーに対する内容物、および1つまたは複数の沈着剤(例えば、1種または複数種のガムを含有する沈着剤)を含む製品を提供する。このタイプの製品が顧客に提供される場合、その顧客は別の供給元から支持体を得てもよく、その後その支持体にフィーチャーを添加してもよい。
【0224】
本発明のキットは説明書のセットを含むことができ、あるいは、キットと独立して提供することもできる。このような説明書は、(1)1つまたは複数のフィーチャーを備えた支持体または(2)トランスフェクトされた細胞の1つまたは複数のアレイの物品を、どのように製造または使用するかに関する情報を提供することができる。
【0225】
説明書は、例えば、キットと共に提供される記載書面もしくはコンピュータ読取可能形式でキットの中に提供することもでき、あるいは、例えばキットの提供者もしくは提供者の代理業者が特定したワールドワイドウェブ上のURL(ユニフォーム・リソース・リンク、すなわち、「アドレス」)で、インターネットを介してユーザにアクセス可能にすることもできる。このような説明書は、キットのユーザまたは他の関係者に、実施すべき特定のタスク、またはタスクを実施するための特定方法を指示する。一態様で、説明書は本発明の方法をどのように実施するかを指示する。特定の態様で、説明書は例えば、本明細書に開示の核酸分子を用いるインキュベーションの、例えば緩衝液、温度、および/または所要時間を含め、ノックダウン遺伝子発現の反応条件について、キットのユーザに指示できる。本発明の説明書は、例えば印刷書面もしくはそれ以外では刷り込み書面等の有形の形態、または、例えば規定のURLまたはアクセス可能なURL等のインターネットウェブページに存在する無形の形態であってもよい。従って、本発明は、本発明の方法を実施するための説明書、および/または本発明の構成体を調製するための説明書を包含する。説明書自体が本発明の一態様であるが、本発明は無形の形態の説明書も包含する。従って、本発明は、説明書を含むコンピュータ媒体(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、CD等)、および紙(例えば、単一の紙、冊子等)を包含する。
【0226】
本発明の方法を実施するための説明書の全文、または、説明書がキットに添えられる場合にはキットを使用するための説明書を提供する必要はないことは認識される。本発明のキットが例えば、このような説明書全文を含まない状況の一例は、提供される指示書がキットのユーザに、キットを使用できる方法を実施するための説明書がどこで得られるか知らせる場合である。従って、本発明の方法を実施するための説明書は、インターネットウェブページから入手できるか、別途販売または配布されるマニュアルまたは他の製品資料等であってもよい。本発明はこのように、直接梱包および/またはキットと共に配布されない説明書を見ることができる1つまたは複数の位置に、キットのユーザを指図するキットを包含する。このような説明書は、限定しないが、電子形態または印刷形態を含むいかなる形態でもありうる。
【0227】
本発明を更に、以下の実施例によって例示するが、これら実施例は限定的に解釈されるべきでない。
【0228】
実施例
トランスフェクトされた細胞マイクロアレイ調製および画像化 過剰発現実験用のトランスフェクションアレイを生産するのに使用する脂質-DNA複合体の試料は、リポフェクション試薬およびプラスミドDNAの予備混合物をタンパク質およびガムの予備混合物と合わせて、得られる溶液を顕微鏡スライド上に手動でアレイ化することによって調製した。かかる溶液を、先ずプラスミドを水(1μlの1mg/ml水性ストックと、7.4μlの水)で希釈し、次いでリポフェクション試薬(6μlのLIPOFECTAMINE(商標)2000、1mg/ml)を添加することによって調製した。室温で20分間インキュベーションした後、スクロース(2.1μlの1.6M水性ストック)を脂質-DNA予備混合物に添加した。この予備混合物の一定分量を、次いで同体積のタンパク質-ガム予備混合物に添加した。
【0229】
タンパク質-ガム予備混合物は、以下のように調製した。0.2mg/mlのBSAの水中のストック5μl(50mg/ml水性ストック;Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA、カタログ番号15561-020から調製)プラスグアーガムの0.2mg/ml水性ストック5μl(1mg/mlグアーストックは、以下のように調製した:10mgの固体グアー(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO、カタログ番号G-4129)を、50mlのコニカルチューブの中で10mlの水に激しく撹拌しながらゆっくり添加した。得られる混合物を4℃で終夜保持して、ガム粒子の水和を許容し、1mlずつ10の一定分量に分けて、1.5mlのスナプトップチューブの中で10分間、ミクロ遠心機にて最高速度で遠心分離した。得られた上清の上部800μlをピペットできれいな15mlコニカルチューブに移して併せ、使用前は4℃で保存した)。
【0230】
前記のように調製した試料は、直ちに顕微鏡スライド上にアレイ化し、そのアレイを乾燥させて使用前は室温で保存した。アレイは、電子ピペッタ(Rainin EDP3-LTS 10)を用いて手動により調製し:10μlの試料をピペットチップに汲み上げ、0.15μlをチップの先端に分配して、その先端をスライド表面に当てることによってスライドに移した。スライドの縁に沿って、チェックマークの線をカーバイドペンで描き、アレイのスポッティングの設計に用いることができる。このようにして調製した代表的なアレイは、1行当たり5〜8の複製スポットを備えた18行のスポットを有する。スポットの直径は、1.0〜1.5mmの範囲であり、スポット中心間の間隔はわずか2mmである。アレイを、いくつかの乾燥剤の包みを含む熱シールホイルポーチの中で室温にて終夜乾燥させた。
【0231】
アレイの細胞播種は、6.2×105個/mlの密度の細胞20mlを含む10cmペトリ皿の中にスライドのアレイ側を上にしてゆっくり下ろすことにより行った。固体表面に触れさせること、または液体を注ぐことのいずれかによるアレイとの直接接触を回避して、スポットの完全性を保存した。スライドは、37℃にて20〜48時間、ディッシュの中で保持した。
【0232】
CCDカメラを取り付けた倒立顕微鏡を用いてアレイを画像化し、画像取得/解析ソフトウェアで操作した。位相差顕微鏡下にアレイを可視化することによって、細胞播種の前にスポット形態を評価した(図3)。細胞のトランスフェクションはエピ蛍光顕微鏡によりGFP蛍光として定量した(図4-6)。
【0233】
本明細書において引用される各特許、特許出願、刊行物、および文献は、あらゆる表、図面、および図を含め、全体に亘り本願に引用して、援用が許容される管轄区域でその全体を援用する。本明細書において、全ての特許および刊行物は、各々が具体的かつ個々に引用して援用すべきと示唆されると同程度に、引用して援用する。上記の特許、特許出願、刊行物、および文献の引用は、いずれも関連する先行技術であるとは容認されず、これらの刊行物または文献の内容または刊行日付に関しても容認されない。本明細書に記載のあらゆる特許および刊行物は、本発明に関わる当業者の技術レベルを示すものである。
【0234】
本発明の範囲、精神および基本的態様から逸脱することなく、以上開示した本発明に修飾を実施することができる。1つまたは複数の具体的な実施形態を言及して充分詳細に本発明を記載しているが、当業者であれば、本願で具体的に開示した実施形態を変更してもよく、かつこれらの修飾および改良が本発明の範囲および精神に包含されることを認識する。当業者であれば、本発明は、その目的を遂行し、示した目的および利点や、それらに固有のものを得るのに、良好に適応することを容易に理解する。本明細書に提供する実施例は、具体的実施形態の代表であり、模範的なものであって、本発明の範囲を限定することは意図しない。
【0235】
本明細書に例示的に記載している本発明は、本明細書に具体的に開示しない何らかの要素(1種または複数種)が存在しなくても、好適に実施できる。従って、例えば、本明細書における各々の場合に、「含む」、「実質的に〜からなる」、および「からなる」の用語のいずれも、他の2つの用語のいずれかと置き換えてよい。従って、用いている用語および表現は、限定でなく説明に対する用語として使用されており、表示して記載した特徴の等価物、またはそれらの一部が除外されることはなく、また、本発明の範囲の中で様々な修飾が可能なことが認識される。本発明の実施形態を、以下の特許請求の範囲に示す。
【0236】
添付資料1:トランスフェクション試薬の非限定例








【図面の簡単な説明】
【0237】
【図1】本発明の構成体の一例の形式を示す図である。
【図2】は、本発明の方法で使用することができるベクターフォーマットを示す図である。
【図3】「フィーチャー」とも称される、様々なグアーガム濃度にてアミン修飾ガラス顕微鏡スライド(GAPS II、Corning Inc.、Acton、MA、カタログ番号40003)上に調製したトランスフェクションスポットの明視野画像を示す図である。
【図4】様々な濃度のグアーおよびキサンタンガムを用いてスポット(フィーチャー)上に準備したGripTite(商標)細胞(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA、カタログ番号R795-07)のGFPトランスフェクションを示す図である。
【図5】ある範囲の濃度にわたるトランスフェクション複合体に添加された様々なタンパク質で準備したスポット上のGripTite(商標)細胞のGFPトランスフェクションを示す図である。
【図6】GFPを含むレンチウイルスのスポット上のGripTite(商標)細胞のトランスインフェクションを示す図である。
【図7】GAPS IIスライド上で様々なマトリックスを用いた、293 GripTite(商標)細胞へのEmerald GFPベクターのLipofectamine(商標)2000リバーストランスフェクションを示す図である。
【図8】混合液が100mMスクロースおよびフィブロネクチン(ウシ)または胎児ウシ血清(FBS)を含有すること以外は図7の場合と同様のデータを示す図である。
【図9】混合液が100mMスクロースおよびフィブロネクチン(ウシ)またはグリセロールを含有すること以外は図7および8の場合と同様のデータを示す図である。
【図10】cDNAライブラリーを用いた発現クローニングへの、トランスフェクトされた細胞アレイに基づく取り組みの概略を示す図である。
【図11】GAPS IIスライド上で様々なマトリックスを用いた、293 GripTite(商標)細胞へのEmerald GFPベクターのLipofectamine(商標)2000リバーストランスフェクションを示す図である。
【図12】顧客/購入者等の関係者に製品を提供するためのシステムの模式図を示す。
【図13】製品の入手可能性に関して関係者に助言するためのシステムの模式図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上のフィーチャー(feature)を有する固体支持体を含み、フィーチャーの各々が核酸分子を含有するウイルス粒子を含み、異なるフィーチャー中の核酸分子のヌクレオチド配列がそれぞれ異なる、構成体。
【請求項2】
前記ウイルス粒子が、沈着剤と共に前記固体支持体上の前記フィーチャーに共局在化される、請求項1記載の構成体。
【請求項3】
前記沈着剤が、前記ウイルス粒子に通常会合するタンパク質以外の少なくとも1つのタンパク質を含有する、請求項2記載の構成体。
【請求項4】
前記タンパク質が、アルブミン、ヒストン、またはフィブロネクチンである、請求項3記載の構成体。
【請求項5】
前記沈着剤が、少なくとも1つの二糖を含有する、請求項2記載の構成体。
【請求項6】
前記二糖が、スクロース、マルトース、またはガラクトースである、請求項2記載の構成体。
【請求項7】
前記沈着剤が、少なくとも1つの複合炭水化物を含有する、請求項2記載の構成体。
【請求項8】
前記複合炭水化物が、ガム、ペクチン、またはカラギーナンである、請求項7記載の構成体。
【請求項9】
前記ガムが、親水コロイドガムである、請求項8記載の構成体。
【請求項10】
前記ガムが、グアーガム、キサンタンガムおよびローカストビーンガムからなる群より選択される、請求項8記載の構成体。
【請求項11】
少なくとも1つの前記フィーチャーの前記ウイルス粒子が、トランスフェクション試薬と共に前記固体支持体上に共局在化される、請求項1記載の構成体。
【請求項12】
少なくとも1つの前記フィーチャーの前記核酸分子が、RNA分子またはDNA分子のいずれかである、請求項1記載の構成体。
【請求項13】
少なくとも1つの前記フィーチャーの前記核酸分子が、二本鎖RNAをコードする、請求項1記載の構成体。
【請求項14】
前記二本鎖RNAが、RNA干渉により遺伝子発現をノックダウンできる、請求項1記載の構成体。
【請求項15】
前記固体支持体上の前記フィーチャーの数が、2〜10,000、10〜10,000、100〜10,000、500〜10,000、1,000〜10,000および2,000〜10,000からなる群より選択される範囲にある、請求項1記載の構成体。
【請求項16】
前記フィーチャーの密度が、2〜100フィーチャー/cm2、5〜300フィーチャー/cm2、10〜100フィーチャー/cm2、10〜2,000フィーチャー/cm2、100〜2,000フィーチャー/cm2、200〜2,000フィーチャー/cm2、400〜2,000フィーチャー/cm2および800〜2,000フィーチャー/cm2からなる群より選択される範囲にある、請求項1記載の構成体。
【請求項17】
前記固体支持体が、ガラスまたはプラスチックで構成される、請求項1記載の構成体。
【請求項18】
前記固体支持体が、ガラス顕微鏡スライドである、請求項17記載の構成体。
【請求項19】
固体支持体および2つ以上のフィーチャーを含み、各フィーチャーが1つまたは複数の炭水化物を含有する、構成体。
【請求項20】
前記炭水化物が、二糖である、請求項19記載の構成体。
【請求項21】
前記炭水化物が、複合炭水化物である、請求項19記載の構成体。
【請求項22】
前記複合炭水化物が、ガム、ペクチンまたはカラギーナンである、請求項21記載の構成体。
【請求項23】
前記ガムが、親水コロイドガムである、請求項22記載の構成体。
【請求項24】
前記ガムが、グアーガム、キサンタンガムおよびローカストビーンガムからなる群より選択される、請求項22記載の構成体。
【請求項25】
少なくとも1つの前記フィーチャーのウイルス粒子が、トランスフェクション試薬と共局在化される、請求項19記載の構成体。
【請求項26】
少なくとも1つのフィーチャーの核酸分子が、RNA分子またはDNA分子のいずれかである、請求項19記載の構成体。
【請求項27】
前記フィーチャーの数が、2〜10,000、10〜10,000、100〜10,000、500〜10,000、1,000〜10,000および2,000〜10,000からなる群より選択される範囲にある、請求項19記載の構成体。
【請求項28】
前記フィーチャーの密度が、2〜100フィーチャー/cm2、5〜300フィーチャー/cm2、10〜100フィーチャー/cm2、10〜2,000フィーチャー/cm2、100〜2,000フィーチャー/cm2、200〜2,000フィーチャー/cm2、400〜2,000フィーチャー/cm2および800〜2,000フィーチャー/cm2からなる群より選択される範囲にある、請求項19記載の構成体。
【請求項29】
前記固体支持体が、ガラスで構成される、請求項19記載の構成体。
【請求項30】
前記固体支持体が、ガラス顕微鏡スライドである、請求項29記載の構成体。
【請求項31】
前記細胞を2つ以上のフィーチャーを含む固体支持体と接触させる段階を含み、前記細胞を
(a)前記標的生体高分子および少なくとも1種のガムを含有する沈着剤、または
(b)前記標的生体高分子を含有するウイルス粒子
のいずれかを含む前記固体支持体上の位置に接触させる、標的生体高分子を細胞に導入する方法。
【請求項32】
前記標的生体高分子が、核酸である、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記核酸が、発現ベクターである、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記発現ベクターが、二本鎖RNAをコードする、請求項33記載の方法。
【請求項35】
コードされた前記二本鎖RNAが、20〜30個のヌクレオチドの長さである二本鎖領域を含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記核酸が、二本鎖RNAである、請求項31記載の方法。
【請求項37】
前記二本鎖RNAが、20〜30個のヌクレオチドの長さである、請求項36記載の方法。
【請求項38】
固体支持体上にウイルス粒子を沈着させて、2つ以上のフィーチャーを作製する段階を含む、2つ以上のフィーチャーを有する固体支持体を含む構成体の製造方法。
【請求項39】
固体支持体上に1つまたは複数の標的生体高分子および1つまたは複数のガムを含有する沈着剤の混合物を沈着させて、2つ以上のフィーチャーを作製する段階を含む、2つ以上のフィーチャーを有する固体支持体を含む構成体の製造方法。
【請求項40】
固体支持体上に2つ以上の乾燥スポットを含み、少なくとも2つの前記乾燥スポットが、少なくとも1つの標的生体高分子および1つまたは複数のガムを含有する沈着剤を含む、標的生体高分子のアレイ。
【請求項41】
前記少なくとも2つの乾燥スポットの各々が、トランスフェクション試薬を更に含む、請求項40記載のアレイ。
【請求項42】
細胞の集団を、異なる生体高分子を各々含有する2つ以上のフィーチャーを含むアレイと接触させる段階と、接触させた前記細胞を評価して、接触させた前記細胞への少なくとも1つの標的生体高分子の導入に関連する直接的または間接的な活性を検出する段階を含む、標的生体高分子の少なくとも1種の活性についてスクリーニングする方法。
【請求項43】
フィーチャーの各々が、核酸分子を含有するウイルス粒子を含み、異なるフィーチャー中の核酸分子のヌクレオチド配列がそれぞれ異なる、2つ以上のフィーチャーを有する固体支持体;
各フィーチャーが1つまたは複数の炭水化物を含有する、固体支持体および2つ以上のフィーチャー;ならびに
少なくとも2つの乾燥スポットが、少なくとも1つの標的生体高分子および1つまたは複数のガムを含有する沈着剤を含む、固体支持体上に2つ以上の乾燥スポットを含む標的生体高分子のアレイ;
からなる群より選択される構成体を含むキット。
【請求項44】
1つまたは複数の細胞系、1つまたは複数の緩衝液、1つまたは複数の酵素、1つまたは複数のトランスフェクション試薬、1つまたは複数の培養培地または培養培地成分、および1つまたは複数のキットコンポーネントを用いるための1組または複数組の説明書からなる群より選択される1つまたは複数のコンポーネントを更に含む、請求項43記載のキット。
【請求項45】
製品を受注する段階と、顧客に製品を供給する段階を含み、製品は請求項43記載のキットである、顧客に製品を供給するための方法。
【請求項46】
前記顧客が、前記製品に対する請求書もまた送付される、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記製品に対する広告を準備する段階と、前記広告を公開する段階を含み、前記製品は請求項43記載のキットである、製品を広告するための方法。
【請求項48】
前記広告が、雑誌広告、顧客または潜在顧客に郵送するためのチラシまたは小冊子、およびウェブページまたはウェブで入手可能な文献からなる群より選択される、請求項47記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2008−537882(P2008−537882A)
【公表日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504471(P2008−504471)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/012186
【国際公開番号】WO2006/110358
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(502221282)インヴィトロジェン コーポレーション (113)
【Fターム(参考)】