説明

生分解性ポリエステル混合物

本発明は、成分i〜iiの全量に対して5〜80質量%の脂肪族および芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジヒドロキシ化合物(成分i);成分i〜iiの全量に対して、20〜95質量%の粗原料(成分ii)および成分i〜iiの全量に対して0.1〜15質量%の成分iii、この場合、これらは、成分iおよび成分iiの双方と共有結合を形成するのに適しており、を含有する生分解性ポリエステル混合物に関する。さらに本発明は、生分解性ポリエステル混合物を製造するための方法、成形体、フィルムまたは繊維を製造するための生分解性ポリエステル混合物の使用、さらには生分解性ポリエステル混合物を含有するためのブレンド、成形体、フィルム、シートまたは繊維に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性ポリエステル混合物に関し、この場合、この混合物は、
成分i〜iiの全量に対して、脂肪族および芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジヒドロキシ化合物をベースとする少なくとも1種のポリエステル(成分i)を5〜80質量%、および
成分i〜iiの全量に対して、少なくとも1種の再生可能な原料(成分ii)を20〜95質量%、および
成分i〜iiの全量に対して、成分iおよび成分iiと共有結合を形成するのに適した成分iiiを0.1〜15質量%を含有する。
【0002】
さらに本発明は、生分解性ポリエステル混合物を製造するための方法、ブレンド、成形体、フィルム、シートまたは繊維を製造するための生分解性ポリエステル混合物の使用、生分解性ポリエステルを含有するブレンド、成形体、フィルム、シートまたは繊維に関する。
【0003】
合成ポリマー材料と、植物をベースとする天然由来の大部分が高分子またはポリマー材料から成る生分解可能な混合物、いわゆる再生可能な原料は知られている。このような混合物は、個々の成分の好ましい性質、たとえば、合成ポリマーの一般に良好な加工性および機械的特性と天然由来材料の通常のコストのかからない入手性、環境的に問題のない製造および廃棄物処理とを理想的な形で組み合わせたものである。
【0004】
しかしながら実際には、しばしば要求される性能の組合せを達成するのは困難である。それというのも、これらは確かに、経済的および環境的理由から望ましいが、前記混合物中において、可能な限り大部分を、低コストで入手可能な環境的に問題のない、再生可能な原料で達成する場合には、しばしば不十分な混和性を生じ、かつ、合成ポリマーの少ない割合により十分な加工性および十分な機械的特性を持ち合わせないものとなるためである。
【0005】
生分解可能な「共重合体(Interpolymer)」あるいは改善された成分の混和性を有する合成ポリマーと天然のポリマーとから成る混合物は、WO93/234576に開示されている。この文献の教示によれば、合成ポリマーとして、官能基を有する限りにおいてほぼすべての、さらに非生分解性のポリマーであっても適しており、この場合、これらは、反応混合機(Reaktiv-Blendings)を用いて、高められた温度で、天然ポリマー、たとえば炭水化物、たとえばデンプン、セルローズと共有および物理的結合により結合される。しかしながら、これらの「共重合体」もしくは混合物の欠点は、生分解性の性質が、合成ポリマーと、天然ポリマーおよび天然ポリマー成分との間の結合に対してのみ生じることであり;合成の、非生分解性のポリマーの任意の部分については非生分解性のままであることである。この点に関して、WO93/23456に開示された「共重合体」または混合物は、部分的にのみ生分解性である。
【0006】
脂肪族ヒドロキシカルボン酸基を含有する脂肪族ポリエステルおよび生物材料からの完全に生分解性の混合物は、EP−A2897943に記載されている。これら成分の完全な混和性は、不飽和カルボン酸の存在によって可能となり、この場合、熱および混練下で、一方では脂肪族ポリエステルとの共有結合および他方では生物材料との共有結合を形成する。このようなすべての混合物は、さらに脂肪族ヒドロキシカルボン酸基を含有する共有結合された脂肪族ポリエステルであり、これは確かに完全に生分解性であるけれども、しかしながら、混合物の分解速度は、多くの使用目的を考慮すれば、定義された時間内に分解される材料の量について改善すべきであるとされる。
【0007】
したがって本発明は、生分解性ポリマー混合物を、大きい割合で、コストおよび環境に考慮した再生可能な原料を使用可能にするといった課題に基づくものであって、この場合、これらのポリマーは、良好な加工性および機械的性質に加えて、改善された分解速度を有するものである。
【0008】
これらの課題は、前記に示した生分解性ポリエステル混合物(以下詳細に説明する)によって解決される。
【0009】
原則として、本発明による生分解性ポリエステル混合物を製造するためには、成分iとして、脂肪族および芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジヒドロキシ化合物をベースとするすべてのポリエステル、いわゆる部分芳香族ポリエステルが挙げられる。さらに成分iとして、このようなポリエステルの複数種の混合物も適していることは自明である。
【0010】
部分芳香族ポリエステルとして、本発明によればさらにポリエステル誘導体であってもよく、たとえばポリエーテルエステル、ポリエステルアミドまたはポリエーテルエステルアミドであってもよい。適した部分芳香族ポリエステルとしては、直鎖の、連鎖延長のないポリエステル(WO92/09654)が挙げられる。好ましくは連鎖延長のないおよび/または分枝の部分芳香族ポリエステルである。これについては、最初に挙げた文献、WO96/15173〜15176、21689〜21692、25446、25448またはWO98/12242から公知であり、これらに明記されている。種々の部分芳香族ポリエステルの混合物もまた同様に挙げられてもよい。
【0011】
特に好ましい部分芳香族ポリエステルとして、
本質的な成分として
A)a1)少なくとも1種の脂肪族または少なくとも1種の脂環式ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体またはこれらの混合物 30〜99モル%、
a2)少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体またはこれらの混合物 1〜70モル%、および
a3)スルホン化化合物 0〜5モル%
から成る酸成分、
B)少なくとも1種のC〜C12−アルカンジオールおよび少なくとも1種のC〜C10−シクロアルカンジオールまたはこれらの混合物から選択されるジオール成分を含有し、かつ場合によっては、さらに1種またはそれ以上の次の成分、
C)c1)式I
HO−[(CH−O]−H (I)
[式中、nは2、3または4であり、かつmは2〜250の整数を示す]を有する少なくとも1種のエーテル官能基含有ジヒドロキシ化合物、
c2)式IIaまたはIIb
【0012】
【化1】

[式中、pは1〜1500の整数であり、かつrは1〜4の整数を意味し、かつGはフェニレン、−(CH−(式中、qは1〜5の整数を意味する)、−C(R)H−および−C(R)HCH(その際、Rはメチルまたはエチルを示す)から成る群から選択された1個の基を示す]の少なくとも1種のヒドロキシカルボン酸、
c3)少なくとも1種のアミノ−C〜C12−アルカノールまたは少なくとも1種のアミノ−C〜C10−シクロアルカノールまたはこれらの混合物、
c4)少なくとも1種のジアミノ−C〜C−アルカン、
c5)少なくとも1種の一般式III
【0013】
【化2】

[式中、Rは単結合、(CH−アルキレン基(式中、z=2,3または4である)またはフェニル基を意味する]の2,2’−ビスオキサゾリン、
c6)天然のアミノ酸、4〜6個の炭素原子を有するジカルボン酸および4〜10個の炭素原子を有するジアミンとの重縮合によって得られるポリアミド、式IVaおよびIvb
【0014】
【化3】

[式中、sは1〜1500の整数およびtは1〜4の整数を意味し、かつTはフェニレン、−(CH(式中uは1〜12の整数を意味する)、−C(R)H−および−C(R)HCH(式中、Rはメチルまたはエチルを示す)から成る群から選択された基を意味する]の化合物および
反復単位V
【0015】
【化4】

[式中、式中Rは水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、非置換であるか、あるいはC〜C40アルキル基で3個まで置換されたフェニルであるか、あるいはテトラヒドロフリルを意味する]を有するポリオキサゾリンから成る群から選択された少なくとも1種のアミノカルボン酸またはc1)〜c6)から成る混合物から選択された成分、
および、
(D)d1)少なくとも3個のエステル形成可能な基を有する少なくとも1個の化合物、
d2)少なくとも1種のイソシアネート、
d3)少なくとも1種のジビニルエーテルまたはd1)〜d3)から成る混合物から選択された成分、を含有するポリエステルである。
【0016】
部分芳香族ポリエステルの酸成分Aは、好ましい実施態様において30〜70モル%、好ましくは40〜60モル%のa1および30〜70、好ましくは40〜60質量%のa2を含有する。
【0017】
脂肪酸および相当する誘導体a1として、一般には、2〜10個の炭素原子、好ましくは4〜6個の炭素原子を有するものが挙げられる。これは、直鎖または分枝であってもよい。本発明の範囲内で使用可能な脂環式ジカルボン酸は、7〜10個の炭素原子および特には8個の炭素原子を有する。しかしながら原則として、より多くの炭素原子を有するジカルボン酸、たとえば30個までの炭素原子を有するジカルボン酸を使用することもできる。
【0018】
挙げられてもよい例は:マロン酸、コハク酸、グルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸(suberin saeure)、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸および2,5−ノルボルナンジカルボン酸である。
【0019】
前記脂肪族または脂環式ジカルボン酸のエステル形成誘導体も同様に使用することができ、この場合、これは特にジ−C〜C−アルキルエステル、たとえばジメチル−、ジエチル−、ジ−n−プロピル、ジ−イソプロピル、ジ−n−ブチル、ジ−イソ−ブチル、ジ−t−ブチル、ジ−n−ペンチル、ジ−イソ−ペンチルまたはジ−n−ヘキシルエステルが挙げられる。同様にジカルボン酸無水物を使用することもできる。
【0020】
これに関して、ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体は、単独でかまたは2個またはそれ以上のこれらの混合物として使用することができる。
【0021】
特に好ましくは、アジピン酸またはセバシン酸またはこれらのそれぞれのエステル誘導体またはこれらの混合物を使用する。特に好ましくはアジピン酸またはこれらのエステル形成された誘導体、たとえばこれらのアルキルエステルまたはこれらの混合物を使用する。
【0022】
芳香族ジカルボン酸a2としては、一般には8〜12個、好ましくは8個の炭素原子を有するものが挙げられる。例としてはテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフトエ酸および1,5−ナフトエ酸ならびにこれらのエステル形成誘導体が選択される。これに関して特にジ−C〜C−アルキルエステル、たとえばジメチル−、ジエチル−、ジ−n−プロピル−、ジ−イソ−プロピル、ジ−n−ブチル−、ジ−イソ−ブチル、ジ−t−ブチル、ジ−n−ペンチル−、ジ−イソ−ペンチルまたはジ−n−ヘキシルエステルが挙げられる。ジカルボン酸a2の無水物も同様に適したエステル形成誘導体である。
【0023】
しかしながら原則として、より多くの炭素原子、たとえば20個までの炭素原子を有するジカルボン酸を使用することも可能である。
【0024】
芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体a2は、単独でかまたは2個またはそれ以上のこれらの混合物として使用することができる。特に好ましくはテレフタル酸またはそのエステル形成誘導体、たとえばジメチルテレフタレートを使用する。
【0025】
スルホン化化合物としては、通常は、スルホン化ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を使用し、好ましくは5−スルホイソフタル酸アルカリ金属塩またはこれらの混合物、特に好ましくはナトリウム塩を使用する。
【0026】
好ましい実施態様によれば、酸成分Aは40〜60モル%のa1、40〜60モル%のa2および0〜2モル%のa3を含有する。さらに好ましい実施態様によれば、酸成分Aは40〜59.9モル%のa1、40〜59.9モル%のa2および0.1〜1モル%のa3を含有し、特に好ましくは40〜59.8モル%のa1、40〜59.8モル%のa2および0.2〜0.5モル%のa3を含有する。
【0027】
一般に、ジオールBは、2〜12個、好ましくは4〜6個の炭素原子を有する分枝または直鎖のアルカンジオールであるか、あるいは、5〜10個の炭素原子を有するシクロアルカンジオールを選択する。
【0028】
適したアルカンジオールの例はエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、特にエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールおよび2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール);シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1、3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールまたは2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールである。さらに種々のアルカンジオールの混合物を使用することもできる。
【0029】
酸−またはOH−末端基の過剰量が好ましい場合にはこれに依存して、成分Aまたは成分Bを過剰量で使用することができる。好ましい実施態様によれば、使用された成分AとBとのモル比は0.4:1〜1.5:1、好ましくは0.6:1〜1.1:1の範囲であってもよい。
【0030】
成分AおよびBの他に、ポリエステルは、本発明によるポリエステル混合物をベースとし、他の成分を含有することもできる。
【0031】
ジヒドロキシ化合物c1として、好ましくはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラヒドロフラン(Poly−THF)、特に好ましくはジエチレングリコール、トリエチエングリコールおよびポリエチレングリコールを使用することができ、その際、さらにこれらの混合物または異なる変数nを有する化合物(式I参照)であってもよく、たとえばプロピレン単位(n=3)を含有するポリエチレングリコールであって、たとえば、自体公知の方法で最初にエチレンオキシドその後にポリプロピレンと重合することにより得られ、特に好ましくは、異なる変数nを有する、ポリエチレングリコールをベースとするポリマーを使用し、その際、その単位は主にエチレンオキシドから形成されている。ポリエチレングリコールの分子量(Mn)は一般には250〜8000、好ましくは600〜3000g/モルの範囲で選択される。
【0032】
好ましい実施態様によれば、たとえば、Bおよびc1のモル量に対して15〜98、好ましくは60〜99.5モル%のジオールBおよび0.2〜85、好ましくは0.5〜30モル%のジヒドロキシ化合物c1を、部分芳香族ポリエステルの製造のために使用することができる。
【0033】
好ましい実施態様において、ヒドロキシカルボン酸c2)として:グリコール酸、D−、L−、D,L−乳酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、その環式誘導体、たとえばグリコリド(1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)、D.L−ジラクチド(3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)、p−ヒドロキシ安息香酸ならびにそのオリゴマーおよびポリマー、たとえば3−ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシバレリアン酸、ポリラクチド(たとえばEcoPLA(R)(Cargill 社)として入手可能)ならびに3−ポリヒドロキシ酪酸とポリヒドロキシバレリアン酸との混合物(Biopol(R)の名称でZenecaから入手可能)が使用され、特に好ましくは、部分芳香族ポリエステルの製造のためにこれらの低分子量および環式誘導体を使用する。
【0034】
ヒドロキシカルボン酸は、AおよびBの量に対して、たとえば0.01〜50、好ましくは0.1〜40質量%の量で使用することができる。
【0035】
アミノ−C〜C12−アルカノールまたはアミノ−C〜C10−シクロアルカノール(成分c3)として、特に4−アミノメチルシクロヘキサンメタノールが含まれ、好ましくはアミノ−C〜C−アルカノール、たとえば2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペンタノール、6−アミノヘキサノールならびにアミノ−C〜C−シクロアルカノール、たとえばアミノシクロペンタノールおよびアミノシクロヘキサノールまたはこれらの混合物を使用する。
【0036】
ジアミノ−C〜C−アルカン(成分c4)として、好ましくはジアミノ−C〜C−アルカン、たとえば1,4−ジミノブタン、1,5−ジアミノペンタンおよび1,6−ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン、“HMD”)を使用する。
【0037】
好ましい実施態様によれば、Bのモル量に対して0.5〜99.5モル%、好ましくは0.5〜50モル%のc3およびBのモル量に対して0〜50、好ましくは0〜35モル%のc4を、部分芳香族ポリエステルの製造に使用する。
【0038】
一般式IIIの2,2’−ビスオキサゾリンc5は、一般にはAngew. Chem. Int. Edit., Vol. 11 (1972), S. 287-288からの方法によって得ることができる。特に好ましいビスオキサゾリンは、式中、Rが単結合、(CH−アルキレン基(式中、z=2、3または4)、たとえばメチレン、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイルまたはフェニレン基を意味するものである。特に好ましいビスオキサゾリンとして、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、ビス(2−オキサゾリニル)メタン、1,2−ビス(2−オキサゾリニル)エタン、1,3−ビス(2−オキサゾリニル)プロパンまたは1,4−ビス(2−オキサゾリニル)ブタン、特に1,4−ビス(2−オキサゾリニル)ベンゼン、1,2−ビス(2−オキサゾリニル)ベンゼンまたは1,3−ビス(2−オキサゾリニル)ベンゼンを挙げることができる。
【0039】
部分芳香族ポリエステルを製造するために、たとえばそれぞれ成分B、c3、c4およびc5のモル量の合計に対して、70〜98モル%のB、30モル%までのc3および0.5〜30モル%のc4および0.5〜30モル%のc5を使用することができる。他の好ましい実施態様によれば、AおよびBの全質量に対して0.1〜5、好ましくは0.2〜4質量%のc5であってもよい。
【0040】
成分c6として、天然のアミノカルボン酸を使用することができる。これに関しては、バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸(Aspartamsauere)、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、プロリン、セリン、チロシン(Tryosin)、アスパラギンまたはグルタミンが挙げられる。
【0041】
一般式IVaおよびIVbの好ましいアミノ酸は、式中sが1〜1000の整数であり、かつtが1〜4、好ましくは1または2の整数を示し、かつTがフェニレンおよび−(CH−(式中、uは1、5または12を意味する)の群から選択されたものである。
【0042】
さらにc6は、一般式Vのポリオキサゾリンであってもよい。しかしながらさらにC6は、異なるアミノカルボン酸および/またはポリオキサゾリンの混合物であってもよい。
【0043】
好ましい実施態様によれば、c6は成分AおよびBの全質量に対して0.01〜50、好ましくは0.1〜40質量%の量で使用することができる。
【0044】
他の成分は、場合により部分芳香族ポリエステルを製造するために使用することができ、この場合、少なくとも3個のエステル形成可能な基を含有する化合物d1が挙げられる。
【0045】
化合物d1は、好ましくは3個〜10個の官能基を有し、この場合、これらは、エステル結合を形成することが可能なものである。特に好ましい化合物d1は、分子中に3個〜6個までのこれらの種の官能基を有し、特に3個〜6個のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を有する。これらはたとえば、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリット、ポリエーテルトリオール、グリセリン、トリメシン酸、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸、ピロメリット酸二無水物およびヒドロキシイソフタル酸が挙げられる。
【0046】
化合物d1は、一般には成分Aに対して0.01〜15、好ましくは0.05〜10、特に好ましくは0.1〜4モル%の量で使用する。
【0047】
成分d2として、1個のイソシアネートまたは異なるイソシアネートの混合物を使用することができる。芳香族または脂肪族ジイソシアネートを使用することができる。さらに高官能性イソシアネートを使用することができる。
【0048】
芳香族ジイソシアネートd2として、本発明の範囲内においては、特に、
トルイレン−2,4−ジイソシアネート、トルイレン−2,6−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネートまたはキシレン−ジイソシアネートを挙げることができる。
【0049】
特に2,2’−、2,4’−ならびに4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを成分d2として使用することは好ましい。一般には、後者のジイソシアネートを混合物として使用する。
【0050】
3核のイソシアネートd2としては、さらにトリ(4−イソシアノフェニル)メタンが挙げられる。多核の芳香族ジイソシアネートは、たとえば1または2核のジイソシアネートの製造の際に生じる。
【0051】
副次的量、たとえば成分d2の全質量に対して5質量%までの量で、成分d2はさらにたとえばイソシアネート基を変性するためのウレチオン基(urethione)を含有している。
【0052】
脂肪族ジイソシアネートd2として、本発明の範囲内では、特に2〜20個の炭素原子、好ましくは3〜12個の炭素原子を有する直鎖または分枝のアルキレンジイソシアネートまたはシクロアルキレンジイソシアネート、たとえば1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートまたはメチレン−ビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)が含まれる。特に好ましい脂肪族ジイソシアネートd2は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートである。
【0053】
好ましいイソシアヌレートに関して、脂肪族イソシアヌレートが挙げられてもよく、この場合、これらは2〜20個の炭素原子、好ましくは3〜12個の炭素原子を有するアルキレンジイソシアネートまたはシクロアルキレンジイソシアネート、たとえばイソホロンジイソシアネートまたはメチレン−ビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)に由来する。これに関して、アルキレンジイソシアネートは直鎖または分枝であってもよい。特に好ましくは、n−ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとするイソシアヌレートであり、たとえばn−ヘキサメチレンジイソシアネートの環式トリマー、ペンタマーまたは高分子オリゴマーである。
【0054】
一般に、成分d2は、AおよびBの全モル量に対して0.01〜5、好ましくは0.05〜4モル%、特に好ましくは0.1〜4モル%の量で使用する。
【0055】
ジビニルエーテルd3として、一般には常用および市販のすべてのジビニルエーテルを使用することができる。好ましくは1,4−ブタンジオール−ジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオール−ジビニルエーテルまたは1,4−シクロヘキサンジメタノール−ジビニルエーテルまたはこれらの混合物を使用する。
【0056】
好ましくは、ジビニルエーテルをAおよびBの全質量に対して0.01〜5、好ましくは0.2〜4質量%の量で使用する。
【0057】
典型的な好ましい部分芳香族ポリエステルは、以下の成分をベースとするものである。
【0058】
【表1】

【0059】
さらにA、B、d1またはA、B、d2またはA、B、d1、d2をベースとする部分芳香族ポリエステルは特に好ましい。他の好ましい実施態様によれば、A、B、c3、c4、c5またはA、B、d1、c3、c5をベースとする部分芳香族ポリエステルである。
【0060】
挙げられた部分芳香族ポリエステルおよび本発明によるポリエステル混合物は、原則として生分解性である。
【0061】
したがって本発明の範囲内において、材料または材料混合物に関する「生分解性」の用語は、これらの材料または材料混合物が、少なくとも1個DIN V54900−2(Vornorm, Stand September 1998)中に定義された3つの方法のうち少なくとも1つの方法で、少なくとも60%の生分解度%を示す場合に該当するものとする。
【0062】
さらに一般に生分解性については、ポリエステル(混合物)が測定され、かつ検出可能な時間中の分解を提供する。この分解は酵素的、加水分解的、酸化的および/または電磁線、たとえばUV光線の作用によりおこなわれ、かつ少なくとも大部分は微生物、たとえば細菌、酵素、かびおよび藻類の作用を受ける。この生分解性は、たとえばポリエステルと堆肥を混合し、かつ測定時間に関して放置することによって定量する。たとえば、DIN V54900−2 方法3によれば、CO不含の空気を、堆肥化の間に成熟した堆肥に通し、かつこれを規定の温度プログラムに導く。その際、生分解性については、試料の正味のCO放出量(試料なしの堆肥によるCO−放出量を差引いて)と試料の最大CO−放出量(試料の炭素含量から算定して)との比によって、生分解性の度合いを%で規定する。生分解性ポリエステル(混合物)は、一般にはすでに堆肥化の数日後において、顕著な分解現象、たとえば菌類の発生、割れおよび破れの形成が生じる。
【0063】
生分解性を測定するための他の方法は、たとえばASTM D 5338およびASTM D 6400に記載されている。
【0064】
部分芳香族ポリエステルの製造は公知であるか、あるいは公知の方法によって実施することができる。
【0065】
好ましい部分芳香族ポリエステルは、1000〜100000、好ましくは9000〜75000、特に好ましくは10000〜50000g/モルの分子量(Mn)および60〜170、好ましくは80〜150℃の融点によって特徴付けられる。
【0066】
挙げられた部分芳香族ポリエステルは、ヒドロキシ−および/またはカルボキシ末端基をそれぞれ任意の比で有していてもよい。これらの部分芳香族ポリエステルはさらに末端変性されていてもよい。したがって、たとえばOH末端基をフタル酸、フタル酸無水物、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸またはピロメリット酸無水物との反応によって酸変性することができる。
【0067】
原則として、生分解性ポリエステル混合物の成分iiとしては、公知の再生可能な原料が適している。本発明によって使用することのできる再生可能な原料およびその製造方法は、当業者に公知であり、たとえばWO93/23456およびEP−A2897943で明確に記載されている。
【0068】
好ましい再生可能な原料としては、多糖植物由来である。再生可能な原料に含まれるのは、いわゆる穀類であり、この場合、これらはセルロース−、リグニン−、デンプン−および/または木材含有植物成分、たとえばさらに細断されたかまたは粉砕された穀類および穀類前駆体である。特に好ましい再生材料は、デンプン、セルロース、リグニンおよび木材の群から選択されるものであり、特にデンプンが適している。
【0069】
再生可能な原料は、天然の形と同様に誘導体、たとえばいわゆる分解デンプン(destrukturierte Staerke)も使用可能である。好ましくは、デンプンは天然の形であって、分解されていないものを使用する。この再生可能な原料は、たとえば繊維または粉末の形で使用することができる。
【0070】
基本的に、生分解性ポリエステル混合物の成分iiiとしては、成分iおよび成分iiと共有結合を形成することができる化合物が適している。本発明により使用可能なこの種の化合物およびその製造方法は当業者に公知であり、たとえばEP−A2897943に明確に記載されている。
【0071】
好ましくは成分iiiとして、公知の不飽和有機カルボン酸またはその誘導体が適している。特に好ましい成分iiiは、マレイン酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸、イタコン酸無水物、クロトン酸、イソクロトン酸、アンゲリカ酸、ソルビン酸およびアクリル酸から選択された1種またはそれ以上の化合物である。特に好ましくはマレイン酸無水物である。
【0072】
同様に好ましくは、成分iiiとして有機カルボン酸が適しており、この場合、これらは水を分離しながら、たとえば高められた温度下で、成分i、iiおよびiiiをニーダーまたは押出機中で混合することによって調整され、不飽和カルボンを形成することができる。これに関して特に好ましい成分iiiはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸およびアスコルビン酸である。
【0073】
他の好ましい成分iiiは、2種またはそれ以上のエポキシ基を分子中に含有する化合物である。特に適しているのはエポキシ化化合物のオリゴマーまたはポリマーであり、たとえば、ジ−またはポリカルボン酸のジ−またはポリグリシドエステルであるか、あるいは、ジ−またはポリオールのジ−またはポリグリシドエーテルであるか、あるいは、スチレンとグリシジル(メト)アクリレートとのコポリマー、たとえばMarke Joncryl(R)ADR4368(Johnson Polymer 社)として販売されているものである。同様に特にエポキシ化大豆油または亜麻仁油、たとえばEdenol(R)(Henkel 社)として販売されているものも適している。
【0074】
他の好ましい成分iiiは、少なくとも1個の炭素−炭素−二重結合または三重結合および少なくとも1個のエポキシ基を分子中に含有する化合物である。特に適しているのはグリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートである。
【0075】
本発明による生分解性ポリエステル混合物は、通常は5〜80質量%、好ましくは10〜70質量%、特に好ましくは15〜60質量%、さらに好ましくは20〜50質量%の成分iおよび20〜95質量%、好ましくは30〜90質量%、特に好ましくは40〜85質量%、さらに好ましくは50〜80質量%の成分iiを含有し、この場合、これらの質量%は成分i〜iiの全質量に対して示されるものであって、全部で100質量%となる。
【0076】
本発明による生分解性ポリエステル混合物は、さらに通常は0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは1〜10質量%の成分iiiを含有し、この場合、これらの質量%はそれぞれ成分i〜iiの全質量に対するものである。
【0077】
本発明による生分解性ポリエステル混合物は、さらに当業者に公知であるが本発明の本質的成分ではない成分を含有していてもよい。考えられうるこのような成分はたとえば、成分iおよびiiとは異なる生分解性ポリマー、たとえば、脂肪族ホモ−またはコポリエステル、たとえばポリアクチド、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエートまたは脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジオールのポリエステルであるか、あるいは、プラスチック工業において常用の添加剤、たとえば安定化剤、中和剤、滑剤および離型剤、粘着防止剤、染料または充填剤である。
【0078】
本発明による生分解性ポリエステル混合物のそれぞれの成分からの製造は、当業者に公知の方法によって実施することができる。このような方法は当業者に公知であり、たとえばEP−A2897943およびUS4762890に明確に記載されている。
【0079】
たとえば、すべての成分i、iiおよびiiiを1個の工程で、当業者に公知の混合装置中で、たとえばニーダーまたは押出機中で、高められた温度、たとえば120℃〜240℃で混合し、かつ反応させることができる。この反応は、好ましくはラジカル開始剤の存在下で実施する。ラジカル開始剤として適した化合物、たとえば有機性過酸化物またはアゾ化合物および量については当業者に公知であり、かつたとえばEP−A2897943に記載されている。
【0080】
しかしながら、さらに本発明による生分解性ポリエステル混合物を製造するために、第1工程で、成分iiiと成分iまたはiiのいずれか一方、好ましくは成分iを混合し、場合によってはラジカル開始剤の存在下で反応させ、第2工程で、添加されていない成分iiまたはiのいずれか一方、好ましくは成分iiを混合し反応させる。適した材料、装置および方法は当業者に公知であり、かつたとえばEP−A2897943に記載されている。
【0081】
本発明による生分解性ポリエステル混合物は、特にブレンド、成形体、フィルムまたは繊維を製造するのに適している。これらの製造は当業者に公知の方法で実施される。
【0082】
改善された分解速度を有する生分解性ポリエステル混合物の好ましい適用分野は、フィルム製造のための使用、特に農業用マルチフィルムである。このようなマルチフィルムは、大抵は農場において若い苗木を保護するために設置する。収穫後にこれらのマルチフィルムは、農場に放置するかまたは耕しておく。翌年の種まきの開始時までに、これらのマルチフィルムは無理なく完全に生分解可能である。
【0083】
本発明による生分解性ポリエステル混合物を使用して、大幅にコスト削減され、かつ環境的に問題のない再生材料を有する生分解性ポリマー混合物を提供することが可能であり、この場合、これらは良好な加工性および機械的性質に加えて、改善された分解性を示すものである。
【実施例】
【0084】
試験:
部分芳香族ポリエステルの分子量Mnについては以下のように測定した:
部分芳香族ポリエステル15mgを、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)10mlに溶解した。この溶液それぞれ125μlを、ゲル透過型クロマトグラフィー(GPC)を用いて分析した。この測定は室温でおこなった。溶離液としてHFIP+0.05質量%のトリフルオロ酢酸−Ka塩を使用した。溶離速度は0.5ml/分であった。その際、以下のカラムの組合せを使用した(すべてのカラム製造元showa Denko.Ltd,Japan):Shodex(R)HFIP−800P(直径8mm、長さ5cm)、Shodex(R)HFIP−803(直径8mm、長さ30cm)、Shodex(R)HFIP−803(直径8mm、長さ30cm)。部分芳香族ポリエステルを、RI−検出器(示差屈折計)を用いて検出した。キャリブレーションを微細に分散されたポリメチルメタクリレート−スタンダード(分子量Mn=505〜Mn=2.740.000)を用いて実施した。これらのインターバル外にある溶離範囲を、補外法により測定した。
【0085】
部分芳香族ポリエステルの溶融温度は、装置EXstet DSC 6200R(Seiko)を用いてDSC測定により測定した:
それぞれの試料10〜15mgを、窒素雰囲気下で20℃/分の加熱速度で、−70℃から200℃に加熱した。試料の溶融温度として、これにより観察された溶融ピークのピーク温度を定めた。参考のためにそれぞれの空試料バッチを使用した。
【0086】
成分i、iiおよびiiiの混合物ならびに比較のために製造された混合物の均一性を、これらの混合物を190℃でそれぞれ30μmの厚さのフィルムにプレスすることによって測定した。これらのフィルム中で、分散することなく存在する成分iiの量は、外観により判断した。
【0087】
生分解性ポリエステル混合物および比較のために製造された混合物の分解度については、以下のように測定した:
生分解性ポリエステル混合物および比較のために製造した混合物を、190℃でプレスすることによって、それぞれ30μmの厚さを有するフィルムを製造した。これらのフィルムはそれぞれ縁の長さ20cmを有する正方形の片に切断された。これらのフィルム片の質量を測定し、100質量%と定義した。4週間に亘って、フィルム片を、土壌で充填された槽を備えた耐候試験器中に置き、その際、土壌は、一日に一度、土壌の最大吸水量の約40%になるよう土壌湿分を調整した。この4週間、耐候試験器中を一定の周囲条件に調節した:温度30℃、相対的空気湿度約50%および急速暴露装置SUNTEST(Heraeus社)によるフィルムへの照射波長300〜800nm、照射強度765W/m。週毎に、それぞれ残存するフィルム片の質量を測定し、かつ質量%(比較のために測定され、かつ100質量%と定義された質量に対して)で換算した。
【0088】
供給材料:
成分i:
i−1:ポリエステルi−1を製造するために、ジメチルテレフタレート87.3kg、アジピン酸 80.3kg、1,4−ブタンジオール 117kgおよびグリセリン 0.2kgを、テトラブチルオルトチタネート(TBOT) 0.028kgと一緒に混合し、その際、アルコール成分と酸成分とのモル比は1.30であった。反応混合物を180℃の温度に加熱し、かつこの温度で6時間に亘って反応させた。引き続いて温度を240℃に上昇させ、かつ過剰量のジヒドロキシ化合物を減圧下で3時間に亘って留去した。その後に240℃で、ヘキサメチレンジイソシアネート0.9kgを1時間に亘って計量供給した。
【0089】
このようにして得られたポリエステルi−1は、融点119℃および分子量(Mn)23000g/モルを示した。
成分ii:
以下のものを成分iiとして使用する:
ii−1:平均粒径30μmを有する粉末状のジャガイモデンプン
ii−2:Abocell(R)型FD600−30(J. Rettenmaier & Soehne GmbH & Co.)の名称で市販されている、平均繊維長45μmおよび平均繊維厚25μmを有するセルロース繊維
成分iii:
以下のものを成分iiiとして使用する:
iii−1:マレイン酸無水物
他の成分:
本発明によらない混合物を製造するための成分として以下のものを使用した:
i−1−V:脂肪族ポリエステル、ポリアクチドNatureworks(R)2000D(Cargill-Dow 社)。
【0090】
本発明によるポリエステル混合物ならびに比較のための混合物の製造および試験:
ニーダーRheocord(R)(Haake 社)中で、50U/分の回転数で、かつ160℃の温度で、アルゴン雰囲気下で、それぞれ成分i−1 50gを溶解させ、成分iii−1を添加し、かつ混合物を10分に亘って混練した。引き続いて、成分ii−1を添加し、かつ160℃でさらに10分に亘って混練した。成分iii−1およびii−1のそれぞれの量は、第1表に示す組成物を生じるように選択した。これに関して成分iii−1は溶液の形で添加し、この場合、この溶液は、1質量部のiii−1、1質量部のメチルエチルケトンおよび0.03質量部のジ−t−ブチルペルオキシドから構成されていた。
【0091】
得られた混合物の前記方法によって測定された均一性については同様に、第1表に示した。
【0092】
【表2】

:成分i−1およびii−1の全質量に対する質量%
:多量の分散されていない成分ii−1を有する不均一な混合物
:わずかに分散されていない成分ii−1を有するほぼ均一な混合物
++:完全に分散された成分ii−1を有する均一な混合物。
【0093】
ニーダーRheocord(R)(Haake 社)中で、60U/分の回転数で、かつ160℃の温度で、アルゴン雰囲気下で、それぞれ成分i−1 50gを溶解させ、成分iii−1を添加し、かつ混合物を10分に亘って混練した。引き続いて、成分ii−2を添加し、かつ160℃でさらに10分に亘って混練した。成分iii−1およびii−2のそれぞれの量は、第2表に示す組成物を生じるように選択した。これに関して成分iii−1は溶液の形で添加し、この場合、この溶液は、1質量部のiii−1、1質量部のメチルエチルケトンおよび0.03質量部のジ−t−ブチルペルオキシドから構成されていた。
【0094】
得られた混合物の前記方法によって測定された均一性については同様に、第2表に示した。
【0095】
【表3】

:成分i−1およびii−1の全質量に対する質量%
:多量の分散されていない成分ii−2を有する不均一な混合物
:わずかに分散されていない成分ii−2を有するほぼ均一な混合物
++:完全に分散された成分ii−2を有する均一な混合物。
【0096】
ニーダーRheocord(R)(Haake 社)中で、60U/分の回転数で、かつ190℃の温度で、アルゴン雰囲気下で、それぞれ成分i−1またはi−1−V 50gを溶解させ、成分iii−1を添加し、かつ混合物を10分に亘って混練した。引き続いて成分ii−1を添加し、かつ190℃でさらに10分に亘って混練した。成分iii−1およびii−1のそれぞれの量は、第3表に示す組成物を生じるように選択した。これに関して成分iii−1を溶液の形で添加し、この場合、この溶液は、1質量部のiii−1、1質量部のメチルエチルケトンおよび0.03質量部のジ−t−ブチルペルオキシドから構成されていた。
【0097】
得られた混合物の前記方法によって測定された分解度**については同様に、第3表に示した。
【0098】
【表4】

:成分i−1(またはi−1−V)およびii−1の全質量に対する質量%
**:前記方法により定める分解度。
【0099】
これら試験により、多量の再生可能な原料を有する本発明によるポリエステル混合物が、良好な加工性および改善された分解度を有することが証明された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分i〜iiの全質量に対して、脂肪族および芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジヒドロキシ化合物をベースとする少なくとも1種のポリエステル(成分i) 5〜80質量%および
成分i〜iiの全質量に対して、少なくとも1種の再生可能な原料(成分ii) 20〜95質量%および
成分i〜iiの全質量に対して、成分iおよび成分iiと共有結合を形成するのに適した成分iii 0.1〜15質量%を含有する、生分解性ポリエステル混合物。
【請求項2】
成分iが、
A)a1)少なくとも1種の脂肪族または少なくとも1種の脂環式ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体またはこれらの混合物 30〜99モル%、
a2)少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体またはこれらの混合物 1〜70モル%、および
a3)スルホン化化合物 0〜5モル%
から成る酸成分、その際、成分a1)〜a3)のモル%は全部で100%になり、および
B)少なくとも1種のC〜C12−アルカンジオールおよび少なくとも1種のC〜C10−シクロアルカンジオールまたはこれらの混合物から選択されるジオール成分、
および場合によってはさらに1種またはそれ以上の成分から成り、この場合、これらの成分は、
C)c1)式I
HO−[(CH−O]−H (I)
[式中、nは2、3または4であり、かつmは2〜250の整数を示す]の少なくとも1種のエーテル官能基含有ジヒドロキシ化合物、
c2)式IIaまたはIIb
【化1】

[式中、pは1〜1500の整数であり、かつrは1〜4の整数を意味し、かつGはフェニレン、−(CH−(式中、qは1〜5の整数を意味し、−C(R)H−および−C(R)HCHであり、その際、Rはメチルまたはエチルを示す)から成る群から選択された1個の基を示す]の少なくとも1種のヒドロキシカルボン酸、
c3)少なくとも1種のアミノ−C〜C12−アルカノールまたは少なくとも1種のアミノ−C〜C10−シクロアルカノールまたはこれらの混合物、
c4)少なくとも1種のジアミノ−C〜C−アルカン、
c5)少なくとも1種の一般式III
【化2】

[式中、Rは単結合、(CH−アルキレン基であり、その際z=2,3または4であるか、あるいは、フェニル基を意味する]の2,2’−ビスオキサゾリン、
c6)天然のアミノ酸、4〜6個の炭素原子を有するジカルボン酸および4〜10個の炭素原子を有するジアミンの重縮合によって得られるポリアミド、式IVaおよびIvb
【化3】

[式中、sは1〜1500の整数およびtは1〜4の整数を意味し、かつTはフェニレン、−(CH(式中uは1〜12の整数を意味する)、−C(R)H−および−C(R)HCH(式中、Rはメチルまたはエチルを示す)から成る群から選択された基を意味する]の化合物および
反復単位V
【化4】

[式中、式中Rは水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、非置換であるか、あるいはC〜C40アルキル基で3個まで置換されたフェニルであるか、あるいはテトラヒドロフリルを意味する]を有するポリオキサゾリンから成る群から選択された少なくとも1種のアミノカルボン酸、またはc1)〜c6)から成る混合物から選択された成分、および、
(D)d1)少なくとも3個のエステル形成可能な基を有する少なくとも1個の化合物、
d2)少なくとも1種のイソシアネート、
d3)少なくとも1種のジビニルエーテルまたはd1)〜d3)から成る混合物から選択された成分、から選択される、請求項1に記載の生分解性ポリエステル混合物。
【請求項3】
成分iiがデンプン、セルロース、リグニン、木材および穀類の群から選択された少なくとも1種の材料である、請求項1または2に記載の生分解性ポリエステル混合物。
【請求項4】
成分iiiが不飽和カルボン酸またはその誘導体である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の生分解性ポリエステル混合物。
【請求項5】
成分iiiがマレイン酸無水物である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の生分解性ポリエステル混合物。
【請求項6】
成分iiiが、水を分離しながら不飽和カルボン酸を形成することができる有機カルボン酸である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の生分解性ポリエステル混合物。
【請求項7】
成分iiiが、分子中に2個またはそれ以上のエポキシ基を含有する化合物である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の生分解性ポリエステル混合物。
【請求項8】
成分iiiがグリシジルアクリレートおよび/またはグリシジルメタクリレートである、請求項1から4までのいずれか1項に記載の生分解性ポリエステル混合物。
【請求項9】
それぞれ成分iおよびiiの全質量に対して、成分i 10〜70質量%および成分ii 30〜90質量%を含有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の生分解性ポリエステル混合物。
【請求項10】
成分i〜iiの全質量に対して、成分iii 0.5〜10質量%を含有する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の生分解性ポリエステル混合物。
【請求項11】
成分i、iiおよびiiiを一工程で混合し、かつ場合によってはラジカル開始剤の存在下で反応させることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の生分解性ポリエステル混合物の製造方法。
【請求項12】
第1工程で成分iiiと成分iまたはiiのいずれか一方を混合し、かつ場合によってはラジカル開始剤の存在下で反応させ、かつ第2工程でそれぞれ添加されていない成分iiまたはiを混合し、かつ反応させることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の生分解性ポリエステル混合物の製造方法。
【請求項13】
ブレンド、成形体、フィルム、シートまたは繊維を製造するための、請求項1から10までのいずれか1項に記載の生分解性ポリエステル混合物の使用。
【請求項14】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の生分解性ポリエステルを含有する、ブレンド、成形体、フィルム、シートまたは繊維。

【公表番号】特表2007−533770(P2007−533770A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522315(P2006−522315)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008717
【国際公開番号】WO2005/017034
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】