説明

生活支援報知システム

【課題】住居人に検出の手間をかけることなく排泄行動のし忘れを容易に検知でき、排泄行動のし忘れを住居人に対して報知できる生活支援報知システムを提供する。
【解決手段】人感センサ4がトイレ内で人の存在を検知すると、無線送信装置3が人感センサ4の人体検知信号を制御装置1へ無線送信する。制御装置1は、排泄行動が行われる時間情報及び所定時間帯に排泄行動が行われる回数情報のうち少なくとも何れか一方を含む行動予定情報を記憶する行動予定情報記憶部を備え、人感センサ4の検知結果をもとに住居人の排泄行動を検知し、排泄行動の検知結果および検知時刻をもとに行動予定情報で予定された排泄行動が検知できなければ排泄行動忘れと判定し、排泄行動忘れを報知する報知メッセージをテレビ2から住居人に対して出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活支援報知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者人口の増加に伴い、高齢者の独居世帯が増加する傾向にある。高齢者が一人暮らしをしていると、いわゆる認知症が進みやすく、認知症の初期症状として物忘れが多くなる場合がある。物忘れが多くなると、生活する上で欠かせない基本的な生活行動さえ忘れてしまうようになり、例えば排尿や排便などの排泄を忘れて失禁してしまうという問題があった。このような状況を放置しておくと物忘れがひどくなって、認知症が進行する可能性があり、また排泄を忘れて失禁すると、当人の自尊心が傷つくとともに、後始末の作業が増えて介護者の負担が増加するという問題もある。同居人がいれば同居人が声かけをすることで、排泄のし忘れは起きにくいが、高齢者の独居世帯では高齢者の日常生活を見てくれる同居人がいないため、排泄のタイミングを高齢者に気付かせることができなかった。
【0003】
ところで、住居人が排泄をしたか否かを検出する方法としては、排泄の前後でそれぞれ体重を測定し、その体重差から排泄行為が行われたことを検出する方法が考えられるが、物忘れのひどい住居人の場合は、体重計に乗って体重を測定する行為そのものを忘れる可能性があるため、住居人の負担が多い割には、食事忘れを確実に検知できない可能性がある。
【0004】
そこで、住居人に測定の負担をかけさせることなく、排泄行動を検出するトイレセンサ装置として、便座に加わる圧力から利用者が便座に座っていることを検出するセンサと、センサが着座を検出した時点から便座より立ち上がるまでの時間を計時するタイマと、タイマの計時した利用時間と基準時間とを比較し、利用時間が基準時間よりも長ければ利用者が排泄行為を行ったと判断する信号処理部を備えて、利用者がトイレを利用したときの利用時間や利用回数を自動的に検出するものが従来提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−237098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたトイレセンサ装置は、利用者がトイレを利用した利用時間や利用回数を検出しているだけで、住居人が排泄行動を忘れていることを検知できるものではなく、排泄行動のし忘れを住居人に気付かせて、住居人に排泄行動を促すことはできなかった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、住居人に検出の手間をかけることなく排泄行動のし忘れを容易に検知でき、排泄行動のし忘れを住居人に対して報知できる生活支援報知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トイレへの入室を検知する入室検知手段と、入室検知手段の検知結果をもとに住居人の排泄行動を検知する排泄検知手段と、現在時刻を計時する計時手段と、排泄行動が行われる時間情報及び所定時間帯に排泄行動が行われる回数情報のうち少なくとも何れか一方を含む行動予定情報を記憶する行動予定情報記憶手段と、排泄検知手段の検知結果および計時手段の計時時刻をもとに行動予定情報で予定された排泄行動が検知できなければ排泄行動忘れと判定する排泄行動忘れ判定手段と、排泄行動忘れ判定手段が排泄行動忘れと判定すると住居人に対して排泄行動忘れを報知する報知手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、行動予定情報とは、住居人の生活リズムに応じて排泄行動が行われると想定された時間帯の情報であり、排泄行動忘れ判定手段は、時間帯に排泄行動が検知できなければ排泄行動忘れと判定することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、行動予定情報とは、排泄行動の時間間隔の情報であり、排泄行動忘れ判定手段は、前回検知時から時間間隔が経過するまでの間に排泄検知手段が排泄行動を検知しなければ排泄行動忘れと判定することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、行動予定情報とは、所定の時間帯に排泄行動が行われると予測される予定回数の情報であり、排泄行動忘れ判定手段は、排泄検知手段が時間帯において予定回数以上排泄行動を検知しなければ排泄行動忘れと判定することを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1つの発明において、入室検知手段が入室状態を継続して検知している時間を計時する計時手段を備えるとともに、行動予定情報記憶手段には小便および大便のそれぞれについて行動予定情報が記憶されており、排泄検知手段は、計時手段の計時結果と所定の閾値時間との長短を比較することで排泄行動が小便又は大便の何れであるかを判断し、排泄行動忘れ判定手段は、排泄検知手段の検知結果および計時手段の計時時刻をもとに、行動予定情報で予定された小便の排泄行動および大便の排泄行動が両方とも検知できなければ排泄行動忘れと判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、入室検知手段がトイレへの入室を検知したことから排泄行動を検知し、行動予定情報で予定された排泄行動が検知できなければ、排泄行動忘れ判定手段が排泄行動忘れと判定しており、排泄行動忘れを検出するために住居人自身が何らかの測定を行う必要がないから、住居人に測定の煩わしさを感じさせることなく、排泄行動忘れを確実に検出することができる。しかも、排泄行動忘れ判定手段が排泄行動忘れと判定すると、報知手段が住居人に対して排泄行動忘れを報知しているので、住居人に対して排泄行動をし忘れていることを気付かせることができ、住居人に排泄行動を行うことを促すことができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、住居人の生活リズムから予想される時間帯に排泄行動が検知できなかったことから、排泄行動忘れと判断することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、前回検知時から所定の時間間隔が経過するまでの間に排泄行動が検知できなかったことから、排泄行動忘れと判断することができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、所定の時間帯に排泄行動を予定回数以上検知できなかったことから、排泄行動忘れと判断することができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、行動予定情報でそれぞれ予定された小便の排泄行動および大便の排泄行動が何れも検知できなければ、排泄行動忘れと判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1のシステム構成図である。
【図2】同上の無線送信装置のブロック図である。
【図3】同上の制御装置のブロック図である。
【図4】同上の動作を説明するフローチャートである。
【図5】実施形態2の制御装置のブロック図である。
【図6】同上の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る生活支援報知システムは、独居の住居人が住居内で行う排泄行動を検出し、住居人が排泄行動をし忘れていると判断すると、住居人或いは住居人の家族や住居人の訪問介護を行う訪問介護者に対して排泄行動のし忘れを報知するシステムであり、以下に生活支援報知システムの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(実施形態1)
本発明の実施形態1を図1〜図4に基づいて説明する。図1は実施形態1の概略的なシステム構成図であり、住居人が多くの時間を過ごす部屋、例えばテレビ(TV)2の置かれた居間R1に設置される制御装置1と、トイレR2内に設置されてトイレR2への入室を検知する人感センサ4と、トイレR2内に設置され人感センサ4からの人体検知信号を制御装置1に無線送信する無線送信装置3とを主要な構成として備えている。
【0021】
人感センサ4は、人体から放射される熱線を検出することによって検知エリアにおける人の存在を検知する焦電型の赤外線検出素子と、トイレR2内に設定した検知エリアからの熱線を赤外線検出素子に集光させる受光レンズとを備え、トイレR2に入室した人の動きによって熱線の受光量が変化すると、電圧信号からなる人体検知信号を無線送信装置3に出力する。
【0022】
無線送信装置3は、図2のブロック図に示すように、無線送信装置3の全体的な制御を行うCPU30と、人感センサ4からの入力信号をA/D変換してCPU30に出力するA/D変換部31と、制御装置1へ送信する送信データを一時格納する送信データ格納部32と、小電力無線の無線通信モジュールからなり送信データ格納部32に格納されたデータを変調しアンテナ33aを介して制御装置1へ無線送信する無線部33とを備えている。無線送信装置3のCPU30は、A/D変換部31の出力を常時監視しており、人感センサ4から人体検知信号が入力されると、送信データ格納部32に人体検知データを格納させ、無線部33から送信データ格納部32に格納された人体検知データを無線送信させている。
【0023】
また制御装置1は、図3のブロック図に示すように、全体的な制御を行うCPU10と、小電力無線の無線通信モジュールからなりアンテナ11aを介して無線信号(電波信号)を送受信する無線部11と、無線部11が受信した受信データを格納する受信データ格納部12と、受信データ格納部12に格納された受信データをもとにトイレR2の人感センサ4が人に反応した回数(検知回数)を格納する人感センサ反応回数格納部13と、人感センサ4の反応回数の閾値を記憶する人感センサ反応閾値格納部14と、排泄行動の時間間隔の基準値(以下、排泄予定間隔時間という。)が予め登録された行動予定情報記憶部15と、排泄行動忘れを検出した際に排泄行動を促す表示を行った時刻を記憶する排泄促し表示時刻格納部16と、テレビ2との間でHDMI(High Definition Multimedia Interface)規格の通信を行うHDMI通信部17と、HDMI通信部17からテレビ2へ出力させる制御データを格納するHDMI制御データ格納部18と、HDMI通信部17からテレビ2へ出力させる映像、音声の信号(AVデータ)を格納するHDMIAVデータ格納部19と、現在時刻を計時する計時手段たるRTC(Real Time Clock)20とを備えている。なお、制御装置1のHDMIAVデータ格納部19には、排泄行動のし忘れを報知するためにテレビ2に出力させる報知データ(画像データおよび音声データ)として、「トイレにしばらくいっていないようですね」という文字メッセージや、同じく「トイレにしばらくいっていないようですね」という内容の音声メッセージが予め登録されている。
【0024】
制御装置1では、無線部11が無線送信装置3から送信された無線信号を受信すると、受信データを人体検知データに復調して受信データ格納部12に一時格納させる。制御装置1のCPU10は、受信データ格納部12に人体検知データが格納される毎に所定の時間間隔(例えば1分間隔)での人感センサ4の反応回数をインクリメントしており、各時間間隔における人感センサ4の反応回数(検知回数)を求めて、人感センサ反応回数格納部13に記憶させる。以下の表1は人感センサ反応回数格納部13の格納データの構成を示し、当日の0時0分から24時0分まで1分間隔で人感センサ4の反応回数のカウント値が格納されている。
【0025】
【表1】

【0026】
ところで本システムは、住居人が行う生活行動のうち排泄行動が行われたか否かを検出し、排泄行動をし忘れている場合には排泄行動の行動忘れを住居人に対して報知することを目的としているが、排泄行動を実際に行っていることを検出するのは難しい。そこで、制御装置1のCPU10は、排泄行動に伴って発生する事象としてトイレR2への入室を検知することで、住居人が排泄行動を行っているものと推定しており、排泄行動を前回検知した時点より所定の排泄予定間隔時間(例えば3時間)が経過するまでの間、排泄行動を検知できなければ排泄行動を忘れているとの判定を行っている。
【0027】
すなわち、制御装置1のCPU10は、人感センサ反応回数格納部13に格納された各時間間隔での反応回数を、人感センサ反応閾値格納部14に格納された閾値と比較し、反応回数が閾値以上であれば、在室状態が継続していることから排泄行動を行っていると判断する。ここにおいて、人感センサ4によりトイレR2への入室を検知する入室検知手段が構成され、制御装置1のCPU10により排泄検知手段が構成される。
【0028】
そして、排泄行動忘れ判定手段たるCPU10は、排泄行動の検知結果およびRTC20の計時時刻をもとに、行動予定情報で予定された排泄行動が検知できなければ排泄行動忘れと判定している。本実施形態では行動予定情報として排泄行動の時間間隔(排泄予定間隔時間)の情報が行動予定情報記憶部15に登録されているので、制御装置1のCPU10は、排泄行動を前回検知した時点から行動予定情報記憶部15に格納された排泄予定間隔時間が経過するまでの間に排泄行動を検知できなければ、住居人が排泄行動を忘れていると判断して、排泄行動のし忘れを住居人に報知している。
【0029】
ここで、本システムにより排泄行動の行動忘れを検知して、排泄行動のし忘れを報知する処理について、図4のフローチャートに基づいて説明する
制御装置1のCPU10では、無線部11からの入力を常時監視しており、無線部11が無線送信装置3からの無線信号を受信すると、受信データを復調して得た人体検知信号を受信データ格納部12に格納させるとともに、受信データ格納部12に格納された人体検知信号に基づいて、人感センサ4の1分毎の反応回数をインクリメントして人感センサ反応回数格納部13に格納させている。
【0030】
また制御装置1のCPU10では、一定時間毎(例えば1分毎)に排泄忘れの判定処理を開始しており、先ず人感センサ反応回数格納部13を参照し(処理S1)、現時刻から排泄予定間隔時間前までの期間で、1分間の反応回数が所定の閾値を超えた時間帯があるか否かの判定を行う(処理S2)。
【0031】
ここで、反応回数が閾値以上となる時間帯があれば、制御装置1のCPU10は、排泄予定間隔時間が経過するまでの間に排泄行動が行われたと判断して、判定処理を終了する。
【0032】
一方、処理S2の判定で反応回数が閾値以上となる時間帯がなければ、制御装置1のCPU10は、住居人が排泄行動をし忘れていると判断し、前回行動忘れを報知してから30分が経過したか否かを判断する(処理S3)。ここで、前回報知時から30分が経過していれば、制御装置1のCPU10は、HDMI通信部17によりテレビ2との間で通信を行わせることによってテレビ2の電源がオンになっているか否かを判断する(処理S4)。そして、テレビ2の電源がオンになっていれば、制御装置1のCPU10は、HDMIAVデータ格納部19から排泄行動忘れを報知するための報知データを読み出すとともに、HDMI入力の表示モードにテレビ2を切り替える制御データをHDMI制御データ格納部18から読み出し、制御データおよび報知データをHDMI通信部17からテレビ2に送信させて、テレビ2から映像や音声でトイレに行くことを促すメッセージを出力させる(処理S5)。その後、制御装置1のCPU10は、報知動作を行った時刻を排泄促し表示時刻として排泄促し表示時刻格納部16に格納させて(処理S6)、判定処理を終了する。尚、一般的に高齢者はテレビを視聴する時間が長いと考えられるので、本システムではテレビ2を報知手段として利用しているが、ラジオを聴く時間が長い住居人の場合は、ラジオを報知手段として利用すればよいし、居室内の特定の場所に居る時間が長い住居人の場合は、住居人が長くいる場所にスピーカやディスプレイなどの報知装置を設置し、人感センサによりその場所に住居人がいることを検知すれば、上記の報知装置を利用して行動忘れの報知を行えばよい。また制御装置1は、住居人に対して報知動作を行っているが、例えば住居人の家族や住居人の訪問介護を行う訪問介護者が所持する携帯電話に報知メッセージを送信するようにしてもよい。
【0033】
またS3の判定処理で前回の表示から30分が経過していない場合や、報知手段であるテレビ2の電源がオフになっている場合、制御装置1のCPU10は報知動作を行わずに、判定処理を終了する。
【0034】
以上のように本実施形態の生活支援報知システムでは、制御装置1のCPU10が、人感センサ4の1分毎の反応回数と所定の閾値とを比較し、反応回数が閾値以上であれば、トイレR2内に人がいることから排泄行動を行ったと判断する。そして、CPU10では、所定の排泄予定間隔時間が経過する間、排泄行動の検知がなければ、住居人が排泄行動をし忘れていると判断しており、排泄行動忘れを検出するために住居人自身が何らかの測定を行う必要がないので、住居人に測定の煩わしさを感じさせることがなく、排泄行動忘れを確実に検出することができる。しかも、制御装置1のCPU10が排泄行動忘れと判定すると、テレビ2を用い住居人に対して排泄行動忘れを文字や音声のメッセージで報知しているので、住居人に対して排泄行動をし忘れていることを気付かせることができ、住居人に排泄行動を行うことを促すことができる。
【0035】
また制御装置1のCPU10では、所定の排泄予定間隔時間が経過する間、排泄行動を検知できなければ、排泄行動を忘れていると判断して報知動作を行わせるとともに、その後排泄行動を検知できるまで、所定の報知間隔(例えば30分間隔)で報知動作を繰り返し行っているので、住居人に対して排泄行動のし忘れを確実に知らしめ、トイレに行くことをより確実に促すことができる。
【0036】
なお本実施形態では、住居人の生活リズムをもとに住居人や住居人の介護者が決定した排泄行動の時間間隔(排泄予定間隔時間)を行動予定情報として行動予定情報記憶部15に予め記憶させ、制御装置1のCPU10では、前回検知時から排泄行動の時間間隔が経過するまでの間に排泄行動を検知できなければ、すなわち現在時刻から排泄行動の時間間隔前までの間に排泄行動を検知できなければ、排泄行動をし忘れていると判断しているが、行動予定情報を排泄行動の時間間隔に限定する趣旨のものではなく、行動予定情報として、排泄行動が行われる時間情報及び所定時間帯に排泄行動が行われる回数情報のうち少なくとも何れか一方を含む情報を登録しておき、行動予定情報で予定された排泄行動が検知できなければ、住居人が排泄行動をし忘れていると判断すればよい。
【0037】
例えば、住居人の生活リズムに応じて住居人や住居人の介護者が排泄行動の行われる時間帯を想定した時間帯の情報を行動予定情報として行動予定情報記憶部15に予め記憶させ、制御装置1のCPU10が、行動予定情報記憶部15に記憶された時間帯に排泄行動が検知できなければ、排泄行動をし忘れていると判定してもよい。また、住居人の生活リズムに応じて住居人や住居人の介護者が所定の時間帯(例えば1日24時間)に排泄行動が行われる予定回数を想定し、その予定回数を行動予定情報として行動予定情報記憶部15に予め記憶させておき、制御装置1のCPU10が、所定の時間帯において排泄行動を予定回数以上検知できなければ、排泄行動をし忘れていると判定してもよい。
【0038】
(実施形態2)
本発明の実施形態2を図5及び図6に基づいて説明する。図5は制御装置1のブロック図であり、実施形態1の制御装置1では、小便、大便の両方を含めた排泄行動の時間間隔を行動予定情報として行動予定情報記憶部15に記憶させているのに対して、本実施形態では、小便の時間間隔である小便予定間隔時間(例えば3時間)を小便についての行動予定情報として格納する小便予定間隔格納部15aと、大便の時間間隔である大便予定間隔時間(例えば24時間)を大便についての行動予定情報として格納する大便予定間隔格納部15bを制御装置1に設けてある。なお、行動予定情報記憶部15に代えて、小便予定間隔格納部15aおよび大便予定間隔格納部15bを制御装置1に設けた以外は実施形態1の生活支援報知システムと同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0039】
制御装置1のCPU10は、人感センサ反応回数格納部13に格納された1分毎の反応回数と所定の閾値とを比較し、反応回数が閾値以上であればトイレR2に人が在室していると判断しているが、人が在室していると判断した場合には、入室状態を継続して検知している時間と所定の閾値時間との長短を比較することで、排泄行動が小便又は大便の何れであるかを判断する。すなわち大便の方が小便に比べて長い時間を要するので、入室状態を継続して検知している時間が閾値時間以上であれば、CPU10は排泄行動が大便であると判断する。
【0040】
そして、制御装置1のCPU10は、排泄行動(小便又は大便)の検知結果およびRTCの計時時刻をもとに、小便予定間隔格納部15aに記憶された小便の時間間隔が経過するまでの間に小便の排泄行動が検知できず、且つ、大便予定間隔格納部15bに記憶された大便の時間間隔が経過するまでの間に大便の排泄行動が検知できなければ、排泄行動をし忘れていると判定する。
【0041】
ここで、大便予定間隔格納部15bには大便の時間間隔として例えば24時間が登録されているので、人感センサ反応回数格納部13には現在時刻から24時間前までの反応回数のデータを記憶させておく必要がある。以下の表2は人感センサ反応回数格納部13の格納データの構成を示し、前日および当日の0時0分から24時0分まで1分間隔で人感センサ4の反応回数が格納されており、CPU10は、当日の23時59分から24時0分までのデータを人感センサ反応回数格納部13に格納し終わると、当日分の反応回数のデータを全て前日分のデータに上書きして、翌日分のデータの格納に備える。尚、人感センサ反応回数格納部13には現在時刻から大便の時間間隔前までのデータを格納しておく必要があるので、大便の時間間隔が24時間よりも長く且つ48時間以下の時間に設定されている場合は、前々日分のデータを格納する領域を人感センサ反応回数格納部13に用意し、23時59分から24時0分までのデータを人感センサ反応回数格納部13に格納し終わると、当日分及び前日分の反応回数のデータをそれぞれ前日分、前々日分のデータ格納領域に全て移し替えればよい。
【0042】
【表2】

【0043】
以下に、本システムにより排泄行動の行動忘れを検知して、排泄行動のし忘れを報知する処理について、図6のフローチャートに基づいて説明する
制御装置1のCPU10では、無線部11からの入力を常時監視しており、無線部11が無線送信装置3からの無線信号を受信すると、受信データを復調して得た人体検知信号を受信データ格納部12に格納させるとともに、受信データ格納部12に格納された人体検知信号に基づいて、人感センサ4の1分毎の反応回数をインクリメントして人感センサ反応回数格納部13に格納させている。
【0044】
また制御装置1のCPU10では、一定時間毎(例えば1分毎)に排泄忘れの判定処理を開始しており、先ず現時刻から小便予定間隔時間前(現時刻から3時間前)までの期間T1で人感センサ反応回数格納部13の格納データを参照し(処理S11)、上記の期間T1において1分間の反応回数が所定の閾値を超えた時間帯があるか否かの判定を行う(処理S12)。ここで、反応回数が閾値以上となる時間帯がなければ、制御装置1のCPU10は、上記期間T1内に小便が行われていないと判断して、小便促し要求フラグをセットした後(処理S13)、小便の判定処理を終了する。一方、反応回数が閾値以上となる時間帯があれば、制御装置1のCPU10は、上記期間T1内に小便が行われたと判断して、小便の判定処理を終了する。
【0045】
次に、制御装置1のCPU10は、現時刻から大便予定間隔時間前(現時刻から24時間前)までの期間T2で人感センサ反応回数格納部13の格納データを参照し(処理S14)、上記の期間T2において1分間の反応回数が所定の閾値を超えた時間帯が連続3回以上あるか否かの判定を行う(処理S15)。ここで、反応回数が閾値以上となる時間帯が連続3回以上なければ、制御装置1のCPU10は、上記期間T2内に大便が行われていないと判断して、大便促し要求フラグをセットした後(処理S16)、大便の判定処理を終了する。一方、反応回数が閾値以上となる時間帯が連続3回以上あれば、つまり入室状態を継続して検知している時間が閾値時間(3分間)以上であれば、制御装置1のCPU10は、上記期間T2内に大便が行われたと判断して、大便の判定処理を終了する。
【0046】
そして、小便及び大便の判定処理が終了すると、制御装置1のCPU10は、前回の報知時から30分が経過したか否かの判定を行うとともに(処理S17)、HDMI通信部17によりテレビ2との間で通信を行わせることによってテレビ2の電源がオンになっているか否かの判定を行い(処理S18)、前回報知時から30分が経過し且つテレビ2の電源がオンになっている場合は、小便促し要求フラグおよび大便促し要求フラグの値をもとに、大便促し要求と小便促し要求の両方もしくは何れか一方の要求があるか、或いは何れの要求もないかを判断する(処理S19〜S21)。ここで、制御装置1のCPU10は、大便促し要求と小便促し要求の両方がある場合、テレビ2に報知するメッセージとしてHDMIAVデータ格納部19から大便及び小便を促すメッセージ(例えば「大便がないようですが大丈夫ですか?トイレにもしばらくいってないようですね」)を選択し(処理S22)、大便促し要求のみがある場合は報知メッセージとしてHDMIAVデータ格納部19から大便を促すメッセージ(例えば「大便がないようですが大丈夫ですか?」)を選択し(処理S23)、小便促し要求のみがある場合は報知メッセージとしてHDMIAVデータ格納部19から小便を促すメッセージ(例えば「トイレにしばらくいってないようですね」)を選択する(処理S24)。
【0047】
以上のようにして報知メッセージが選択されると、制御装置1のCPU10は、HDMI入力の表示モードにテレビ2を切り替える制御データをHDMI制御データ格納部18から読み出し、選択された報知メッセージと制御データをHDMI通信部17からテレビ2に送信させて、テレビ2から映像や音声で所定の報知メッセージを出力させた後(処理S25)、報知動作を行った時刻を排泄促し表示時刻として排泄促し表示時刻格納部16に格納させて(処理S26)、判定処理を終了する。またS17の判定処理で前回の表示から30分が経過していない場合や、S18の判定処理でテレビ2の電源がオフになっている場合や、S19〜S21の判定処理で大便促し要求および小便促し要求の何れの要求もない場合、制御装置1のCPU10は報知動作を行わずに、判定処理を終了する。
【0048】
尚、一般的に高齢者はテレビを視聴する時間が長いと考えられるので、本システムではテレビ2を報知手段として利用しているが、ラジオを聴く時間が長い住居人の場合は、ラジオを報知手段として利用すればよいし、居室内の特定の場所に居る時間が長い住居人の場合は、住居人が長くいる場所にスピーカやディスプレイなどの報知装置を設置し、人感センサによりその場所に住居人がいることを検知すれば、上記の報知装置を利用して行動忘れの報知を行えばよい。また制御装置1は、住居人に対して報知動作を行っているが、例えば住居人の家族や住居人の訪問介護を行う訪問介護者が所持する携帯電話に報知メッセージを送信するようにしてもよい。
【0049】
上述のように本実施形態の生活支援報知システムでは、制御装置1のCPU10が、人感センサ4の1分毎の反応回数と所定の閾値とを比較し、反応回数が閾値以上であれば、トイレR2内に人がいることから排泄行動を行ったと判断し、さらに入室状態を継続して検知する時間が閾値時間以上であれば大便、閾値時間より短ければ小便と判断する。そして、CPU10では、所定の小便予定時間間隔が経過する間、小便の排泄行動を検知できなければ、住居人が小便をするのを忘れていると判断し、所定の大便予定時間間隔が経過する間、大便の排泄行動を検知できなければ、住居人が大便をするのを忘れていると判断しており、小便或いは大便の排泄行動忘れを検出するために住居人自身が何らかの測定を行う必要がないので、住居人に測定の煩わしさを感じさせることがなく、小便および大便のそれぞれについて排泄行動忘れを確実に検出することができる。しかも、制御装置1のCPU10が排泄行動忘れと判定すると、大便のみ、小便のみ、或いは大便・小便の両方を促す報知メッセージをテレビ2から文字或いは音声で出力させているので、住居人に対して排泄行動をし忘れていることを気付かせることができ、住居人に排泄行動を行うことを促すことができる。
【0050】
また制御装置1のCPU10では、所定の小便予定間隔時間および大便予定時間間隔が経過する間、小便および大便の排泄行動を検知できなければ、排泄行動を忘れていると判断して報知動作を行わせるとともに、その後排泄行動を検知できるまで、所定の報知間隔(例えば30分間隔)で報知動作を繰り返し行っているので、住居人に対して排泄行動のし忘れを確実に知らしめ、トイレに行くことをより確実に促すことができる。
【符号の説明】
【0051】
1 制御装置
2 テレビ(報知手段)
3 無線送信装置
4 人感センサ(入室検知手段)
10 CPU(排泄検知手段、排泄行動忘れ判定手段、報知手段)
11 無線部
11a アンテナ
12 受信データ格納部
13 人感センサ反応回数格納部
14 人感センサ反応閾値格納部
15 行動予定情報記憶部
16 表示時刻格納部
17 HDMI通信部
18 HDMI制御データ格納部
19 HDMIAVデータ格納部
20 RTC(計時手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレへの入室を検知する入室検知手段と、入室検知手段の検知結果をもとに住居人の排泄行動を検知する排泄検知手段と、現在時刻を計時する計時手段と、排泄行動が行われる時間情報及び所定時間帯に排泄行動が行われる回数情報のうち少なくとも何れか一方を含む行動予定情報を記憶する行動予定情報記憶手段と、排泄検知手段の検知結果および計時手段の計時時刻をもとに行動予定情報で予定された排泄行動が検知できなければ排泄行動忘れと判定する排泄行動忘れ判定手段と、排泄行動忘れ判定手段が排泄行動忘れと判定すると住居人に対して排泄行動忘れを報知する報知手段とを備えたことを特徴とする生活支援報知システム。
【請求項2】
行動予定情報とは、住居人の生活リズムに応じて排泄行動が行われると想定された時間帯の情報であり、排泄行動忘れ判定手段は、時間帯に排泄行動が検知できなければ排泄行動忘れと判定することを特徴とする請求項1記載の生活支援報知システム。
【請求項3】
行動予定情報とは、排泄行動の時間間隔の情報であり、排泄行動忘れ判定手段は、前回検知時から時間間隔が経過するまでの間に排泄検知手段が排泄行動を検知しなければ排泄行動忘れと判定することを特徴とする請求項1記載の生活支援報知システム。
【請求項4】
行動予定情報とは、所定の時間帯に排泄行動が行われると予測される予定回数の情報であり、排泄行動忘れ判定手段は、排泄検知手段が時間帯において予定回数以上排泄行動を検知しなければ排泄行動忘れと判定することを特徴とする請求項1記載の生活支援報知システム。
【請求項5】
入室検知手段が入室状態を継続して検知している時間を計時する計時手段を備えるとともに、行動予定情報記憶手段には小便および大便のそれぞれについて行動予定情報が記憶されており、排泄検知手段は、計時手段の計時結果と所定の閾値時間との長短を比較することで排泄行動が小便又は大便の何れであるかを判断し、排泄行動忘れ判定手段は、排泄検知手段の検知結果および計時手段の計時時刻をもとに、行動予定情報で予定された小便の排泄行動および大便の排泄行動が両方とも検知できなければ排泄行動忘れと判定することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の生活支援報知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−220761(P2010−220761A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70484(P2009−70484)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】