説明

生物学的な汚染物質を含有している水溶液を処理するための装置および方法

生物学的な汚染物質を含有している水溶液を処理するための方法、装置、および物品。本方法は、生物学的汚染物質を含有している水溶液を、不溶性希土類元素含有化合物を含む凝集組成物と接触させ、活性な生物学的汚染物質の欠如した溶液を生成する工程を含む。凝集組成物は10.01重量%以上の不溶性希土類元素含有化合物を含む。不溶性希土類元素含有化合物は、セリウム、ランタン、またはプラセオジムのうちの1つ以上を含むことが可能である。適切な不溶性セリウム含有化合物は、炭酸セリウム、シュウ酸セリウム、またはセリウム塩に由来することが可能である。組成物は、セリウム酸化物と、随意では、ポリマーバインダ/流動補助剤と、のみからなる。組成物は、組成物が焼結されるとき、イットリウム、スカンジウム、およびユウロピウムからなる群から選択される2つ以下の元素を含む。様々な流体処理用途が意図されるが、そのような用途には、詳細には、水中の生物学的汚染物質の除去または不活性化が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に流体および溶液処理の分野に関し、特に、水溶液を処理するための方法および装置に関する。さらに特定的な態様では、本発明は、水溶液における細菌およびウィルスを除去または不活性化するのに有用な方法、装置、および物品に関する。
【背景技術】
【0002】
水その他の水溶液の精製およびろ過は、安全なまたは飲用に適した飲料水の提供、精製されたフィードを必要とする工業プロセス、廃流の取扱い、ならびに、船舶、航空機、および宇宙船などに見出される、再循環の前に流体を処理する必要のある環境など、多くの用途において必要である。最近では、精製された溶液の必要性の増加によって、小粒子、アレルゲン、微生物、生体毒素、農薬、ならびに、鉛、水銀、およびヒ素などの有毒金属を除去することを目的とする、数々のろ過製品が開発されている。
【0003】
水溶液を精製する既知の方法には、逆浸透、蒸留、イオン交換、化学吸着、凝固、凝集、およびろ過または滞留が含まれる。一部の用途では、そのような溶液を精製するには、複数の技術を組み合わせることが必要とされる。この実例には、正負に帯電した化学種の両方を除去する混合イオン交換樹脂や、酸化剤を用いて粒子状物質を発生させ、続いてその粒子状物質をろ別する、酸化/ろ過法の使用が含まれる。これらの精製方式は、高価でエネルギ効率が悪く、大小の規模のいずれにおいても、実施には相当なノウハウや知識が必要である。その結果、多くの高度な流体精製技術では、都市用途または工業用途以外の用途は限定されたものであった。
【0004】
一部の汚染物質は、膜または粒状材料からなる層の使用によってろ過される。例えば、細菌および菌類など生物学的な汚染物質は、限外濾過によって流体から除去可能であるが、ウィルスは一般に小さすぎるので、ろ過は精製の有効な手段ではない。ろ過は一部の生物学的汚染物質の除去にしか有効でないため、化学添加物を用いる処理が、多様な生物学的汚染物質を含有している水溶液を精製するために選択される方法となる傾向がある。化学添加物の例には、酸化剤、凝集剤、および沈殿剤が含まれる。例として、細菌、ウィルス、および菌類などの生物学的汚染物質は、典型的には、塩素、過酸化水素、オゾン、または4級アミン塩などの強酸化剤の作用によって、溶液から除去されるかまたは不活性化される。しかしながら、化学添加物の使用は高価であることや、特別な取扱い、輸送、および貯蔵が必要なことがあり、多くの用途において、それらの使用をあまり望ましくないものにしている。さらに、化学的な処理法には、処理済みの溶液の入念な管理および監視が必要である。例えば、用途が飲用水システムである場合、化学薬品の錠剤または液体が水に添加され、その水が最終的に消費される。そのような化学薬品を投与する際には、その化学薬品が完全に水を処理するような適切な条件が存在することを保証する必要がある。化学薬品の添加が多すぎるまたは少なすぎると、生物学的汚染物質を適切に処理するのに失敗したり、腐食性の薬品に対する不要な暴露を生じたりすることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その結果、水溶液から生物学的汚染物質を除去するための単純化された手段が所望される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、本発明によって、生物学的汚染物質を含有している水溶液を処理する
ための方法を提供する。本方法は、生物学的汚染物質を含有している水溶液を、不溶性希土類元素含有化合物を含む凝集組成物と接触させ、活性な生物学的汚染物質の欠如した溶液を生成する工程を含む。
【0007】
水溶液は、凝集組成物を通じて水溶液を流すことと、水溶液の表面の上に凝集組成物を分配することと、水溶液中に凝集組成物を封入した流体透過性の容器を沈降させることとのうちの1つ以上によって、凝集組成物と接触してよい。凝集組成物は容器中に配置され、水溶液は重力および圧力のうちの1つ以上の影響下で組成物を通じて流れてよい。組成物は、固定床、流動床、撹拌タンク、およびフィルタのうちの1つ以上に配置されてよい。また、組成物は取り外し可能な容器中に配置されてもよく、方法は取り外し可能な容器を断続的に交換する工程を含んでよい。
【0008】
水溶液は水溶液の三重点より高い温度で組成物と接触する。一部の場合には、水溶液は約100℃未満の温度で組成物と接触し、他の場合には、約80℃未満の温度で組成物と接触する。他の場合には、水溶液は約100℃より高い温度、水溶液のうちの少なくとも一部を液相に維持するのに充分な圧力で、組成物と接触する。
【0009】
方法は、随意で、活性な生物学的汚染物質の欠如した水溶液を凝集組成物から分離する工程と、活性な生物学的汚染物質の欠如した水溶液を感知する工程と、凝集組成物からの残余の水溶液を蒸発させる工程と、断続的に凝集組成物を交換する工程と、水溶液を凝集組成物と接触させた後に凝集組成物を滅菌する工程と、のうちの1つ以上を含んでよい。組成物を滅菌する工程は、熱、放射線、および化学薬品のうちの1つ以上で凝集組成物を処理することによって達成されてよい。水溶液が溶液中に存在し得る菌類およびウィルスを酸化させる目的で空気、酸素豊富化した空気、オゾン、または過酸化水素で処理される場合、溶液はそのような処理の前に凝集組成物と接触してよい。
【0010】
不溶性希土類元素含有化合物は、他の希土類元素含有化合物に加え、特に、セリウム、ランタン、またはプラセオジムのうちの1つ以上を含んでよい。不溶性希土類元素含有化合物はセリウム含有化合物を含む場合、セリウム含有化合物は、炭酸セリウムの熱分解、シュウ酸セリウムの分解、およびセリウム塩の沈殿のうちの1つ以上に由来してよい。不溶性希土類元素含有化合物はセリウム酸化物を含んでよく、一部の場合には、前記凝集組成物は、1つ以上のセリウム酸化物と、随意では、ポリマーバインダおよび流動補助剤のうちの1つ以上と、のみからなってよい。
【0011】
凝集組成物は10.01重量%を超える不溶性希土類元素含有化合物を含み、95重量%を超える不溶性希土類元素含有化合物を含んでよい。不溶性希土類元素含有化合物は、約1m/g以上の平均表面積を有する粒子を含んでよい。不溶性希土類元素含有化合物が粒子の形態であるとき、粒子は約1nm以上の平均粒子寸法を有してよい。凝集組成物は、約1μm以上の平均凝集寸法を有する凝集した粒子を含んでよい。凝集組成物は、焼結されるとき、イットリウム、スカンジウム、およびユウロピウムからなる群から選択される2つ以下の元素を含む。
【0012】
別の実施形態では、本発明によって、生物学的汚染物質を含有している水溶液を処理するための装置を提供する。装置は、水溶液の流体流路を有する容器と、流体流路に配置された凝集組成物とを備える。前記容器は、固定床、流動床、撹拌タンク、およびフィルタのうちの1つ以上を含んでよい。一部の場合、容器は装置から取り外されるように適合しており、そのような容器はインレットおよびアウトレットを有し、インレットおよびアウトレットの各々は装置から取り外されるときに封止されるように適合している。他の実施形態では、容器は凝集組成物を封入した流体透過性の外壁を含む。
【0013】
装置は、流体流路において凝集組成物の下流に配置されたフィルタを備えてよい。装置は、随意で、凝集組成物を交換する必要があるときを示すための視覚的なインジケータと、容器から流出する流れを感知するためのセンサと、凝集組成物を滅菌するための手段とのうちの1つ以上を備えてよい。組成物を滅菌するための手段には、凝集組成物を加熱するための手段、凝集組成物を照射するための手段、および流体流路へ化学薬品を導入するための手段のうちの1つ以上が含まれる。
【0014】
凝集組成物は、水溶液における生物学的汚染物質を除去または不活性化するための不溶性希土類元素含有化合物を含む。凝集組成物は10.01重量%を超える不溶性希土類元素含有化合物を含む。不溶性希土類元素含有化合物は、他の希土類元素含有化合物に加え、特に、セリウム、ランタン、またはプラセオジムのうちの1つ以上を含んでよい。不溶性希土類元素含有化合物はセリウム含有化合物を含む場合、セリウム含有化合物は、炭酸セリウムの熱分解、シュウ酸セリウムの分解、およびセリウム塩の沈殿のうちの1つ以上に由来してよい。希土類元素含有化合物はセリウム酸化物を含んでよく、一部の場合には、前記凝集組成物は、1つ以上のセリウム酸化物と、随意では、ポリマーバインダおよび流動補助剤のうちの1つ以上と、のみからなってよい。不溶性希土類元素含有化合物が粒子の形態であるとき、粒子は約1nm以上の平均粒子寸法を有してよい。不溶性希土類元素含有化合物は、約1m/g以上の平均表面積を有する粒子を含んでよい。
【0015】
凝集組成物は、約1μm以上の平均凝集寸法を有する凝集した粒子を含んでよい。凝集組成物は、焼結されるとき、イットリウム、スカンジウム、およびユウロピウムからなる群から選択される2つ以下の元素を含む。
【0016】
別の実施形態では、本発明は、内部空間を形成する1つ以上の壁を有する容器と、内部空間に配置された流動可能な凝集組成物とを含む物品を提供する。容器は、凝集組成物を用いて生物学的汚染物質を含有している水溶液を処理するための説明書きを含む。
【0017】
凝集組成物は10.01重量%を超える不溶性希土類元素含有化合物を含む。不溶性希土類元素含有化合物は、他の希土類元素含有化合物に加え、特に、セリウム、ランタン、またはプラセオジムのうちの1つ以上を含んでよい。不溶性希土類元素含有化合物はセリウム含有化合物を含む場合、セリウム含有化合物は、炭酸セリウムの熱分解、シュウ酸セリウムの分解、およびセリウム塩の沈殿のうちの1つ以上に由来してよい。不溶性希土類元素含有化合物はセリウム酸化物を含んでよく、一部の場合には、前記凝集組成物は、1つ以上のセリウム酸化物と、随意では、ポリマーバインダおよび流動補助剤のうちの1つ以上と、のみからなってよい。不溶性希土類元素含有化合物が粒子の形態であるとき、粒子は約1nm以上の平均粒子寸法を有してよい。不溶性希土類元素含有化合物は、約1m/g以上の平均表面積を有する粒子を含んでよい。
【0018】
凝集組成物は、約1μm以上の平均凝集寸法を有する凝集した粒子を含んでよい。凝集組成物は、焼結されるとき、イットリウム、スカンジウム、およびユウロピウムからなる群から選択される2つ以下の元素を含む。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の代表的な実施形態を以下に記載する。明瞭さのために、本明細書においては実際の実施形態の全ての特徴が必ずしも記載されている訳ではない。当然の事ながら、そのような実際の実施形態の開発においては、実施毎に異なるシステムや業種に関連した制約に準拠することなど、開発者の特定の目標を達成するために数々の実施に特異的な判断を行う必要があることが認められる。さらに、そのような開発努力は複雑で時間を必要とする場合があるとしても、本開示の利点を有する分野の当業者にはルーチン作業であることが認められる。
【0020】
本明細書において用いられる「1つ以上」および「少なくとも1つ」は、X、Y、およびZまたはX−X、Y−Y、およびZ−Zなど、幾つかの要素または要素のクラスの前に置かれる場合、X、Y、Zから選択される1つの要素、同じクラスから選択される要素の組み合わせ(XおよびXなど)や、2つ以上のクラスから選択される要素の組み合わせ(YおよびZなど)を参照することが意図される。
【0021】
本明細書に記載の方法、装置、または物品を用いて、生物学的汚染物質を含有している水溶液を処理すること、特に、そのような溶液中に見出され得る細菌および/またはウィルスなどの生物学的汚染物質を除去または不活性化することが可能であることが理解される。有効に処理することの可能な溶液の例には、特に、飲用水システム、廃水処理システムにおける溶液、および様々な工業プロセスのフィード、処理流、または廃棄流が含まれる。記載の方法、装置、および物品は、多様な体積および流速特性を有する溶液から、生物学的な汚染物質を除去するために用いられることが可能であり、様々な固定、移動、および携帯用途に適用されることが可能である。本明細書における開示の一部では水、特に飲用水流からの生物学的汚染物質の除去について記載しているが、そのような参照は例示であって、限定として解釈されるものではない。
【0022】
用語「除去」または「除去する」には、水溶液中に存在し得る細菌、ウィルス、菌類、および原虫類などの病原性その他の微生物の吸着、沈殿、変換、および死滅が含まれる。用語「不活性化する」または「不活性化」には、例えば、微生物を死滅させることによってなど、ヒトその他の動物に対し非病原性のものとすることが含まれる。記載の方法、装置、および物品は、処理された溶液が、例えば、AOAC(American Organization of Analytical Chemists)、世界保健機関(WHO)、および米国環境保護庁(EPA)を含む、様々な組織および/または機関によって確立された水純度に関する規格を満たすまたは超えるように、生物学的汚染物質を除去または不活性化することが意図される。有利には、記載の方法および装置によって処理された水は、さらに消毒剤(例えば、塩素または臭素)を添加することなくそのような規格を満たすことが可能である。
【0023】
用語「ばい菌」、「微生物」、「生物学的汚染物質」などには、水溶液中に見出されることのある細菌、菌類、原虫類、ウィルス、藻類、および他の生物学的存在および病原性の種が含まれる。生物学的汚染物質の特定の非限定的な例には、大腸菌(Escherichia coli)、大便連鎖球菌(Streptococcus faecalis)、赤痢菌(Shigella spp)、レプトスピラ(Leptospira)、レジオネラ・ニューモフィラ (Legimella pneumophila)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、クレブシェラ・テリゲナ(Klebsiella terrigena)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、チフス菌(Salmonella typhi)などの細菌、A型肝炎、ノロウイルス、ロタウイルス、および腸内ウイルスなどのウィルス、赤痢アメーバ (Entamoeba histolytica)、鞭毛虫(Giardia)、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium parvum)などの原虫類が含まれる。生物学的汚染物質には、一般に非病原性であるが水の美感を改良するために除去されることが有利である菌類または藻類など、様々な種も含まれてよい。そのような生物学的汚染物質はどのようにして水溶液中に存在するに至ったか(自然発生によってまたは故意もしくは故意でない汚染によって)は、本発明を限定するものではない。
【0024】
本発明の一実施形態では、生物学的汚染物質を含有している水溶液を処理するための方法を提供する。本方法は、生物学的汚染物質を含有している水溶液を、不溶性希土類元素含有化合物を含む凝集組成物と接触させる工程を含む。本明細書において用いられる「不溶性」は、水に不溶であるか、多くとも、標準状態の温度および圧力下において水にわずか(sparingly)にしか溶けない物質を表すことが意図される。水溶液と凝集組成物との、およびそれらの間の接触によって、生物学的汚染物質が除去および/または不活性化され、活性な生物学的汚染物質の欠如した溶液が得られる。
【0025】
凝集組成物は10.01重量%を超える不溶性希土類元素含有化合物を含む。不溶性希土類元素含有化合物の量は、凝集組成物の約11重量%より多く、約12重量%より多く、または約15%重量%より多くを構成してよい。一部の場合には、より高い濃度の希土類元素化合物が望ましい。用途に応じて、この組成物は、不溶性希土類元素含有化合物の約20重量%以上、他の場合には約50重量%以上、さらに他の場合には約75重量%以上、さらにまた他の場合には95%重量以上を構成してよい。
【0026】
不溶性希土類元素含有化合物は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウムエルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテチウムを含む、リアアースのうちの1つ以上を含んでよい。一部の実施形態では、不溶性希土類元素含有化合物は、セリウム、ランタン、またはプラセオジムのうちの1つ以上を含んでよい。不溶性希土類元素含有化合物は市販されており、任意の供給源から、または当業者に知られている任意の製法によって得ることができる。凝集組成物は単一の希土類元素含有化合物を含む必要はなく、2つ以上の不溶性希土類元素含有化合物を含んでよい。そのような化合物は同じ希土類元素を含有しても異なる希土類元素を含有してもよく、混合した原子価または酸化状態を含んでよい。例として、不溶性希土類元素含有化合物がセリウムを含むとき、凝集組成物はCeO(IV)およびCe(III)など1つ以上のセリウム酸化物を含んでよい。
【0027】
不溶性希土類元素含有化合物がセリウム含有化合物を含む一実施形態では、セリウム含有化合物はセリウム塩の沈殿に由来してよい。別の実施形態では、不溶性セリウム含有化合物は炭酸セリウムまたはシュウ酸セリウムに由来してよい。より詳細には、不溶性セリウム含有化合物は、空気の存在する炉中において、約250℃〜約350℃の温度で炭酸セリウムまたはシュウ酸セリウムを熱的に分解することによって調製されてよい。この温度および圧力の条件は、出発物質であるセリウム含有物質の組成と、不溶性希土類元素含有化合物の所望の物理的特性とに応じて変更されてよい。炭酸セリウムの熱分解は次のように要約できる:
Ce(CO+1/2O→2CeO+3CO
この生成物は、残留する炭酸塩を除去するために酸で処理され洗浄されてもよい。様々な特徴を有するセリウム酸化物を生成する熱分解方法は、米国特許第5,897,675号明細書(比表面積)、米国特許第5,994,260明細書号(一様なラメラ構造を有するポア)、米国特許第6,706,082号明細書(特定の粒径分布)、および米国特許第6,887,566号明細書(球状粒子)に記載されている。それらの記載を引用によって本明細書に援用する。炭酸セリウムおよび炭酸セリウムを含有している物質は市販されており、当業者に知られている任意の供給源から得ることができる。
【0028】
不溶性希土類元素含有化合物がセリウム含有化合物を含む複数の実施形態では、不溶性セリウム含有化合物は、CeOなどのセリウム酸化物を含んでよい。特定の一実施形態では、凝集組成物は、1つ以上のセリウム酸化物と、随意では、ポリマーバインダおよび流動補助剤のうちの1つ以上と、のみからなってよい。
【0029】
不溶性希土類元素含有化合物は、凝集組成物中に、粒、結晶、晶子、粒子または他の粒子(本明細書では一般に「粒子」と呼ぶ)のうちの1つ以上の形態で存在してよい。不溶性希土類元素含有化合物の粒子は、約0.5nm以上〜約1μmまたはそれより大きな平均粒子寸法を有してよい。詳細には、そのような粒子は、約0.5nm以上の、一部の場合には約1nmより大きい、他の場合には約5nm以上の、さらに他の場合には約10nm以上の、またさらに他の場合には約25nm以上の平均粒子寸法を有してよい。他の実施形態では、この粒子は、約100nm以上、詳細には約250nm以上、より詳細には約500nm以上、またさらに詳細には約1μm以上の平均粒子寸法を有してよい。
【0030】
溶液中における希土類元素含有化合物と生物学的汚染物質との相互作用を促進するために、凝集組成物は、約5m/g以上の平均表面積を有する不溶性希土類元素含有化合物の凝集された粒子を含んでよい。用途に応じて、より大きな表面積が望ましい場合もある。詳細には、凝集した粒子は、約70m/g以上、他の場合には約85m/gより大きな、さらに他の場合には約115m/gより大きな、さらにまた他の場合には約160m/gより大きな表面積を有してよい。加えて、記載の方法、装置、および物品において、より大きな表面積を有する粒子が有効であることも想定される。当業者には、凝集組成物の表面領域は水溶液の流体力学に影響を与えることが認められる。その結果、表面積の増大による利益と生じ得る圧力降下などの欠点との考量が必要な場合がある。
【0031】
凝集組成物における使用に適切な随意の成分には、1つ以上の可溶性希土類元素含有化合物、第2の殺生物剤、吸着剤、流動補助剤、バインダ、および基剤などが含まれてよい。そのような随意の成分は、組成物の意図される使途および/または所望の特性に応じて、凝集組成物に含められてよい。
【0032】
随意の成分には、1つ以上の可溶性希土類元素含有化合物が含まれてよい。可溶性希土類元素含有化合物は、様々な活性および効果を有することが可能である。例として、一部の可溶性希土類元素含有化合物は、静菌性または抗菌性の効果を有するものとして認められている。塩化セリウム、硝酸セリウム、無水硫酸セリウム、および塩化ランタンは、そのような活性を有するものとして、「セリウム、ランタン、およびタリウムの静菌活性(The Bacteriostatic Activity of Cerium, Lanthanum, and Thallium)」(バークス(Burkes)ら、Journal of Bateriology、54:417−24、1947年)に記載されている。同様に、硝酸セリウム、酢酸セリウム、硫酸セリウム、セリウムハロゲン化物、およびそれらの誘導体などの可溶性セリウム塩やシュウ酸セリウムの使用は、米国特許第4,088,754号明細書において熱傷治療における使用について記載されている。そのような記載を引用によって本明細書に援用する。他の可溶性希土類元素含有化合物は、性質が有機であるか無機であるかにかかわらず、組成物に他の望ましい特性を与える場合があるので、随意に用いられてよい。
【0033】
第2の殺生物剤は、随意では、特定の生物学的汚染物質を対象とするため、または凝集組成物の一般的な能力を強化して生物学的汚染物質を除去するために含まれる。第2の殺生物剤としての使用に適切な物質には、そのような物質が少量しか存在しないときでも生物学的汚染物質の除去または不活性化のための活性を有することが知られている化合物が含まれるそのような物質には、次に限定されないが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アクチノイド、ならびにそれらの誘導体および混合物が含まれる。二次殺生物剤の特定の非限定的な例には、銀、亜鉛、銅、鉄、ニッケル、マンガン、コバルト、クロム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、ヒ素、鉛、ビスマス、スカンジウム、チタン、バナジウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、カドミウム、インジウム、ハフニウ
ム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、タリウム、トリウムなどの単体または化合物が含まれる。そのような剤の誘導体には、酢酸塩、アスコビル酸塩、安息香酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、クエン酸塩、ハロゲン化物、水酸化物、グルコン酸塩、乳酸塩、硝酸塩、酸化物、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、スルファジアジン塩、およびそれらの組み合わせが含まれる。凝集組成物が随意で酸化チタンなどのチタン含有化合物を含むとき、不溶性希土類元素含有化合物に対するチタン含有化合物の重量比は約2:1未満である。不溶性希土類元素含有化合物が焼結されて凝集組成物を形成するとき、組成物は、イットリウム、スカンジウム、およびユウロピウムからなる群から選択される2つ以下の元素を含む。凝集組成物がアルミニウム含有化合物を含む一実施形態では、不溶性希土類元素含有化合物に対するアルミニウム含有化合物の重量比は約10:1未満である。遷移金属、遷移金属酸化物、および遷移金属塩からなる群から選択される第2の殺生物剤を含む一実施形態では、凝集組成物は、重量で約0.01%未満の銀および銅の金属ナノ粒子の混合物を含む。
【0034】
第2の殺生物剤としての使用に適切であり得る他の物質には、4級アンモニウム塩(米国特許第6,780,332号明細書に記載)および有機ケイ素化合物(米国特許第3,865,728号明細書に記載)など、有機剤が含まれる。生物学的汚染物質を不活性化することが知られている他の有機物およびそれらの誘導体も用いられてよい。例として、ポリ酸は、液体から生物学的汚染物質を除去する場合に効果的であると、米国特許第6,723,349号明細書に記載されている。この特許文献では、有効なポリ酸の例を記載するものとして、「M. T. in Heteropoly and Isopoly
Oxometalates」(Springer Verlag、1983年)およびChemical Reviews(第98巻、第1号、pp.1−389、1998年)が参照されている。上記引用文献におけるそれらの有機殺生物剤に関する記載を引用によって本明細書に援用する。
【0035】
凝集組成物は、随意で1つ以上の流動補助剤を含んでもよい。流動補助剤は、部分的には、凝集組成物を通じたまたは凝集組成物における流体の流体力学を改良するため、凝集組成物の成分の分離を防止するため、微粒子の沈降を防止するため、また一部の場合には凝集組成物を適所に保持するために用いられる。適切な流動補助剤には、有機物および無機物の両方が含まれる。無機流動補助剤には、硫酸鉄、塩化鉄、硫酸鉄、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、ポリ塩化アルミニウム、三塩化アルミニウム、シリカ、珪藻土などが含まれる。有機流動補助剤には、ポリアクリルアミド(カチオン性、非イオン性、およびアニオン性)、EPI−DMA(エピクロルヒドリン−ジメチルアミン)、DADMAC(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ジシアンジアミド/ホルムアルデヒドポリマー、ジシアンジアミド/アミンポリマー、天然グアーゴムなど、当技術分野において知られている有機綿状物が含まれる。存在する場合、流動補助剤は、凝集組成物の形成中に不溶性希土類元素含有化合物およびポリマーバインダと混合されてよい。これに代えて、凝集組成物および流動補助剤の粒子が、混合物の全体を通じて流動補助剤が一様に分散された物理的な混合物を与えるように混合されてもよい。さらに別の代替案では、流動補助剤が凝集組成物の上流および下流の1つ以上の異なる層に配置されてもよい。存在する場合、流動補助剤は、一般に低濃度、すなわち、凝集組成物の重量の約20%未満、一部の場合には15%未満、他の場合には10%未満の、さらに他の場合には約8%未満で用いられる。
【0036】
他の随意の成分には、イオン交換材料(合成イオン交換樹脂、活性炭、ゼオライト(合成または天然に得られる)など)、クレイ(ベントナイト、スメクタイト、カオリン、ドロマイト、モンモリロナイト(montmorillinite)、およびそれらの誘導体など)、金属ケイ酸塩および鉱物(リン酸塩および酸化物のクラスなど)を含む様々な無機剤が含まれてよい。特に、高濃度のリン酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、酸化鉄
、および/または酸化マンガンと、低濃度の炭酸カルシウムおよび硫酸カルシウムとを含有している鉱物組成物が適切なな場合がある。これらの物質は、様々な組成および特性の混合物を与えるように、数々の方法によって焼成および処理されてよい。
【0037】
バインダは、所望の寸法、構造、密度、孔隙率および流体の特性を有する凝集組成物の形成のために随意で含まれてよい。バインダの使用に加えて、または代えて、凝集組成物に支持を提供するための基剤が含まれてもよい。適切なバインダおよび基剤は、使用条件下において、不溶性希土類元素含有化合物を拘束および/または支持する任意の材料を含んでよい。そのような材料は、一般に、組成物の全重量に基づき約0wt%〜約90wt%の量で凝集組成物に含まれる。適切な材料には、天然に得られるポリマーおよび合成ポリマー、セラミックス、金属、炭素、鉱物およびクレイなど有機物および無機物を含むことが可能である。当業者には、バインダまたは基剤は、特に、凝集される成分、そのような成分の特性、それらの結合特性、最終組成物の所望の特性、使用方法などの因子に応じて選択されることが認められる。
【0038】
適切なポリマーバインダには、天然に得られるポリマーおよび合成ポリマーの両方や、天然に得られるポリマーの合成修飾物が含まれてよい。一般に、約50℃〜約500℃の間で溶融するポリマー、より詳細には約75℃〜約350℃の間、さらに詳細には約80℃〜約200℃の間で溶融するポリマーが、組成物の成分を凝集させる際に使用するために適切である。非限定的な例には、約85℃〜約180℃の範囲において軟化または溶融するポリオレフィン、約200℃〜約300℃の範囲において軟化または溶融するポリアミド、および約300℃〜約400℃の範囲において軟化または溶融するフッ素化ポリマーが含まれる。
【0039】
組成物の所望の特性に応じて、ポリマーバインダは、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、エラストマーとして一般に分類される1つ以上のポリマー、またはそれらの組み合わせや、セルロース性ポリマーおよびガラスを含んでよい。適切な熱硬化性ポリマーには、次に限定されないが、ポリウレタン、シリコーン、フルオロシリコーン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド、および尿素ホルムアルデヒドが含まれる。適切な熱可塑性プラスチックには、次に限定されないが、ナイロンその他のポリアミド、LDPE、LLDPE、HDPEを含むポリエチレンおよび他のポリオレフィンとのポリエチレンコポリマー、ポリ塩化ビニル(可塑化および非可塑化の両方)、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、酢酸酪酸セルロースなどのセルロース樹脂、ポリアクリラートおよびポリメチルメタクリラートなどのアクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンまたはアクリロニトリル−スチレンなどの熱可塑性プラスチックブレンドまたはグラフト、ポリカルボナート、ポリビニルアセタート、エチレンビニルアセタート、ポリビニルアルコール、ポリオキシメチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタラートなどのポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、およびレゾールおよびノボラックなどのフェノール−ホルムアルデヒド樹脂が含まれる。適切なエラストマー(elasomer)には、次に限定されないが、天然ゴムおよび/または合成ゴム(スチレン‐ブタジエンゴム、ネオプレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、シリコーン、ポリウレタン、アルキルクロロスルホン化ポリエチレン、ポリオレフィン、クロロスルホン化ポリエチレン、ペルフルオロエラストマー、ポリクロロプレン(ネオプレン)、エチレン−プロピレン−ジエンテルポリマー、塩素化ポリエチレン、フルオロエラストマー、およびZALAK(商標)(Dupont−Dowエラストマー))が含まれる。当業者には、上述の熱可塑性プラスチックのうちの一部は架橋の程度に応じて熱硬化性となること、各々の一部はその機械的特性に応じてエラストマーである場合があることが理解される。上述において用いた分類は理解を容易にするためのものであり、限定または制御と見なされるものではない。
【0040】
セルロース性ポリマーには、綿、紙、および樹木など天然に得られるセルロースおよびセルロースの化学修飾物が含まれる。特定の一実施形態では、不溶性希土類元素含有化合物は紙パルプに混合されるなど、紙繊維へ組み合わされ、不溶性希土類元素含有化合物を含む紙ベースのフィルタを形成してよい。
【0041】
ポリマーバインダには、ガラス繊維、ビーズ、およびマットなど、ガラス材料も含まれてよい。ガラス固体は、不溶性希土類元素含有化合物の粒子と混合され、この固体が軟化するまで、または粘着性になり不溶性希土類元素含有化合物がガラスに付着するまで、加熱されてもよい。同様に、押出または紡糸されたガラス繊維は、不溶性希土類元素含有化合物の粒子でコーティングされてもよく、この際、ガラスは溶融状態または部分的に溶融した状態にあるか、接着剤が用いられる。これに代えて、ガラス組成物は製造中、不溶性希土類元素含有化合物でドープされてもよい。基質材料に不溶性希土類元素含有化合物を堆積または付着させるための技術は、米国特許第7,252,694号明細書およびガラス研磨に関する他の参照文献に記載されている。例えば、電気堆積技術および金属接着剤の使用は、米国特許第6,319,108号明細書に記載されており、ガラス研磨の分野において有用である。そのような技術に関する記載を引用によって本明細書に援用する。
【0042】
凝集組成物の制御された放出が望ましい一部の用途では、米国特許第5,330,770号明細書、米国特許第6,143,318号明細書、および米国特許第6,881,766号明細書に記載されているような水溶性ガラスが適切なポリマーバインダである場合がある。上記引用文献におけるそうしたガラスに関する記載を引用によって本明細書に援用する。他の用途では、次に限定されないが、合成されたポリアクリル酸、およびポリアクリルアミドや、セルロース誘導体など天然に得られる有機ポリマーなどのポリマーを含む、流体の吸収によって膨潤する物質も用いられてよい。ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ラクチドグリコリドコポリマーなどの生分解性高分子が、ポリマーバインダとして用いられてもよい。
【0043】
ベントナイト、スメクタイト、カオリン、ドロマイト、モンモリロナイト(montmorillinite)などの鉱物およびクレイならびにそれらの誘導体は、適切なバインダまたは基剤として働く場合もある。
【0044】
滅菌によって凝集組成物を再生することが望ましい場合、選択されるバインダまたは基剤は滅菌条件下で安定であり、その他、その滅菌法に適合したものである。高温への暴露を伴う滅菌法に適切なポリマー性バインダの特定の非限定的な例には、硝酸セルロース、ポリエーテルスルホン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、および混合セルロースエステルが含まれる。これらのバインダを用いて調製される組成物は、既知の基準にしたがって、その調製時にオートクレーブ滅菌されることが可能である。望ましくは、この凝集組成物は、複数の滅菌法の組み合わせが効率的かつ効果的な再生に必要である場合、蒸気滅菌またはオートクレーブ滅菌や、酸化または還元化学種との接触による化学滅菌に対し、安定である。滅菌に酸化または還元化学種の電気化学的な生成が含まれる一実施形態では、この組成物を電極のうちの1つとして用いることによって、該化学種の生成に必要な電位を得ることが可能である。例えば、通常の絶縁性ポリマー性バインダを含有している組成物は、粒状活性炭、カーボンブラック、または金属粒子など充分に高レベルの導体粒子を含めることによって、導電性とすることが可能である。これに代えて、所望のレベルの炭素その他の粒子が絶縁性ポリマーを導電性にするには充分に高くない場合、元々導電性であるポリマーをバインダ材料に含めてもよい。マイクロポーラスガラスビーズおよび繊維など様々なガラスは、組成物が定期的に再生される場合の基剤またはバインダとしての使用に特に適合されている。
【0045】
凝集組成物の他の随意の成分には、粒子表面改質添加剤、カップリング剤、可塑剤、フ
ィラー、発泡剤、繊維、帯電防止剤、開始剤、懸濁化剤、増感剤、潤滑剤、湿潤剤、界面活性剤、色素、染料、UV安定化剤、および懸濁化剤などの添加剤が含まれる。これらの物質の量は所望の特性を提供するために選択される。そのような添加剤は、バインダまたは基剤へ組み込まれてもよく、別個のコーティングとして適用されてもよく、凝集組成物の構造内に保持されてもよく、それらの組み合わせであってもよい。
【0046】
凝集組成物は、押出、成型、焼成、焼結、小型化、バインダまたは基剤、接着剤の使用、および/または当技術分野において知られている他の技術のうちの1つ以上によって、形成されてよい。なお、凝集組成物を形成するにはバインダおよび基剤のいずれも必要でないが、そのような成分は意図される用途によっては所望される場合がある。水溶液が凝集組成物からなる床を通じて流される複数の実施形態では、得られる組成物が大きな表面積および比較的開放した構造の両方を有するように、組成物にポリマーバインダが組み込まれてよい。そのような凝集組成物では、処理した溶液に対し有意な圧力低下を与えることなく、生物学的汚染物質を除去または不活性化するための高い活性が維持される。凝集組成物がより大きな表面積を有することが望ましい実施形態では、焼結は凝集組成物を形成するのにあまり望ましい技術ではない。不溶性希土類元素含有化合物は、焼結されて凝集組成物を生成するとき、イットリウム、スカンジウム、およびユウロピウムからなる群から選択される2つ以下の元素を含む。
【0047】
一実施形態では、凝集組成物は、不溶性希土類元素含有化合物または不溶性希土類元素含有化合物の焼成された凝集物を、ポリオレフィン、酢酸セルロース、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、PTFE、マイクロポーラスガラスなどのバインダまたは基剤と組み合わせることによって、生成される。不溶性希土類元素含有化合物は、好適には、表面積の大きな粒子の形態であり、固体のバインダ材料と混合される。この混合物は、次いで、固体のバインダ物質が軟化するまたは粘着性となるバインダ物質のガラス転移温度などの温度まで加熱される。軟化したまたは粘着性のバインダを得るのに必要な温度に応じて、混合物は高圧で加熱されてもよい。混合物は、次いで、その混合物がバインダに付着した不溶性希土類元素含有粒子と凝集物を形成するように、冷却される。
【0048】
ガラス繊維またはビーズがバインダまたは基剤として用いられる場合、ガラス固体は、冷却時に不溶性希土類元素含有化合物がガラスに付着するように、不溶性希土類元素含有化合物の粒子と完全に混合され、ガラスが軟化を開始するまたは粘着性となるまで加熱されてもよい。これに代えて、ガラス組成物はガラス固体の製造中、不溶性希土類元素含有化合物でドープされてもよい。基剤に不溶性希土類元素含有化合物を堆積または付着させるための技術は、米国特許第7,252,694号明細書およびガラス研磨に関する他の参照文献に記載されている。例えば、電気堆積技術および金属接着剤の使用は、米国特許第6,319,108号明細書に記載されており、ガラス研磨の分野において有用である。そのような技術に関する記載を引用によって本明細書に援用する。
【0049】
流体処理の当業者には、凝集組成物の成分、物理的寸法、および形状は様々な用途に対し変更されてよいこと、それらの変数の変化によって流速、背圧、および生物学的汚染物質を除去または不活性化するための組成物の能力が変更されることが理解される。その結果、凝集組成物の寸法、形態、および形状を、使用方法に応じて相当変化させることができる。カラムその他の容器においてなど凝集組成物を通じて水溶液が流される場合、凝集組成物は、大きな流体透過性および/または小さな密度を与える管路または孔を備える、比較的開放された構造を有することが望ましい。
【0050】
凝集組成物には、粒状物、ビーズ、粉体、繊維、または同様の形態による、凝集粒子が含まれてよい。そのような凝集粒子は、約1μm以上、詳細には約5μm以上、より詳細には約10μm以上、およびさらに詳細には約25μm以上の平均凝集物寸法を有してよ
い。他の実施形態では、この凝集物は、約0.1mm以上の、詳細には約0.5mm以上の、より詳細には約1mm以上の、さらに詳細には約2mm以上の、またさらに詳細には5.0mmを超える平均凝集物寸法を有してよい。凝集組成物は、所望の粒子寸法を得るために、砕化、チョップ、または粉化され、次いで篩によって分けられてよい。そのような凝集粒子は、固定もしくは流動床または反応器、撹拌反応器、またはタンクにおいて用いられても、粒子フィルタ中に分散されても、膜、メッシュ、スクリーン、フィルタまたは他の流体透過性構造内に封入または封止されても、フィルタ基質上に堆積されてもよく、さらに、様々な用途のシート、フィルム、マット、またはモノリス(monolith)など、所望の形状へと成形されてよい。
【0051】
加えて、凝集組成物はフィルタ基質へ組み込まれてもよく、基剤上にコーティングされてもよい。適切な基剤は、焼結させたセラミックス、焼結させた金属、マイクロポーラスカーボン、ガラス、および綿、紙、および樹木などのセルロース系繊維などの材料から形成されてよい。基剤の構造には、用途に応じて異なるが、多孔質膜、フィルタ、または他の流体透過性構造の形態の、織布および不織布が含まれてよい。また、基剤には、所望の形状および物理的な寸法を有する多孔質の流体透過性固体が含まれてよい。そのような基剤には、メッシュ、スクリーン、チューブ、ハニカム構造、モノリス、ならびにシリンダおよびトーラスを含む様々な形状のブロックが含まれる。特定の一実施形態では、凝集組成物は、フィルタブロックまたは向流式フィルタにおいて用いられるモノリスへ組み込まれてもよく、フィルタブロックまたはモノリス上にコーティングされてもよい。
【0052】
凝集組成物は、生物学的汚染物質を含有している水溶液を、組成物と接触させることによって処理するために用いられる。溶液と組成物との間の接触は、混合または撹拌しながらまたはせずに、組成物を通じて溶液を流すことによって、または溶液に組成物を添加することによって得られてよい。水溶液が、その溶液中の菌類、ウィルス、または他の生物学的汚染物質を湿式酸化する目的で、空気、酸素豊富化した空気、オゾン、または過酸化水素で処理される場合、水溶液は、そうした空気、酸素豊富化した空気、オゾン、または過酸化水素による処理の前に凝集組成物と接触させられる。凝集組成物との接触は、溶液中の生物学的汚染物質を除去または不活性化するのに充分であり、溶液中の汚染物質を湿式酸化する目的でオゾンまたは他の薬剤を用いて水溶液を処理することは全くの随意である。
【0053】
一部の実施形態では、凝集組成物は溶液の表面の上に分配され、重力の影響下で溶液を通じて沈降させられる。そのような応用は、蒸発タンク、都市の水処理システム、噴水、池、湖、および他の天然または人工の水の集合体において見出される溶液中の生物学的汚染物質を減少させるのに、特に有用である。そのような実施形態では、必須ではないが、組成物をろ過することその他、廃棄または再生および再使用のために溶液から分離することが好適である。
【0054】
他の実施形態では、凝集組成物は、導管、パイプなどを通じることなどによって、水溶液の流れへ導入されてよい。処理された溶液を組成物から分離することが望ましい場合、凝集組成物はフィルタの上流において溶液へ導入され、フィルタにおいて溶液から分離され回収されてよい。そのような一実施形態の特定の一例は、粒状濾床の上流において組成物が水処理システムへ注入される、都市の水処理操作に見出される。
【0055】
他の実施形態では、凝集組成物は容器中に配置され、溶液は組成物を通じて流されてよい。水溶液は、重力、圧力その他の手段の影響下で、撹拌または混合されながらまたはされずに組成物を通じて流れてよい。さらに他の実施形態では、容器は凝集組成物を封入した流体透過性の外壁を含んでよく、溶液は沈められたときに組成物を通じる複数の流路を有する。様々な付属物、接続部品、ポンプ、バルブ、マニホールドなどを用いて、所与の
容器における組成物を通じた溶液の流れを制御することができる。
【0056】
水溶液はその水溶液の三重点より高い温度で凝集組成物と接触する。一部の場合、約100℃未満の温度で溶液を組成物と接触させ、他の場合には、約100℃より高い温度で、ただし水溶液のうちの少なくとも一部を液相に維持するのに充分な圧力で接触させる。組成物は、室温で生物学的汚染物質を除去および不活性化するのに有効である。他の場合には、水溶液を、その水溶液の温度および圧力の超臨界条件下で組成物と接触させる。
【0057】
水溶液が凝集組成物と接触する圧力は、用途に応じて相当異なることがある。小径カラム内、流速約273L/h(約1.5gpm)未満で接触の起きる小体積用途では、圧力は0〜約0.414MPa(ゲージ圧)(約60psig)の範囲であってよい。より大きな容器やより大きな流速が用いられる用途では、より高い圧力が必要な場合がある。
【0058】
水溶液を接触させた後、凝集組成物が活性な生物学的汚染物質および不活性化された生物学的汚染物質を含有してもよい。その結果、再使用または廃棄の前に組成物を滅菌することが有利な場合がある。さらに、使用前に存在し得る汚染物質を除去するために、水溶液を接触させる前に組成物を滅菌することが望ましい場合がある。滅菌処理法には、組成物を高温、高圧またはその両方に暴露する熱処理、紫外線、赤外線、マイクロ波、およびイオン化放射を用いる処理を含む、組成物を高放射レベルにさらす放射線滅菌、ならびに高レベルの酸化剤、還元剤その他の化学物質に組成物を暴露する化学滅菌が含まれる。化学滅菌において用いられ得る化学物質には、ハロゲン、活性酸素種、ホルムアルデヒド、界面活性剤、金属や、エチレンオキシド、臭化メチル、β−プロピオラクトン、およびプロピレンオキシドなどの気体が含まれてよい。これらの方法の組み合わせも用いられてよく、そうした滅菌処理法が組成物の使用中に散発的に用いられても連続的に用いられてもよいことが認識される。
【0059】
方法には、随意で、組成物を交換することが適切なときを判定または計算するために、活性な生物学的汚染物質の欠如した水溶液を感知する工程が含まれてよい。溶液の感知は、蛍光性または放射性物質を用いて水溶液中の汚染物質にタグを付けて検出すること、流速、温度、圧力を測定すること、微粒子の存在を感知すること、サンプリングおよび伝導度測定用アレイなど、従来の手段によって達成されてよい。また、血清学試験または分析において用いられる技術も、活性な生物学的汚染物質の欠如した溶液を感知するのに適切な場合がある。
【0060】
方法には、随意で、活性な生物学的汚染物質の欠如した溶液を組成物から分離する工程が含まれてよい。組成物は、次に限定されないが、フィルタ、膜、沈澱槽、遠心分離、サイクロン装置などを含む、従来の液体−固体分離技術によって溶液から分離されてよい。分離された活性な生物学的汚染物質の欠如した溶液は、次いで、さらなる処理、貯蔵、または使用に供されてよい。
【0061】
別の実施形態では、本発明は、生物学的汚染物質を含有している水溶液を処理するための装置に関する。この装置は、流体流路を有する容器と、流体流路に配置された本明細書に記載の凝集組成物とを備える。詳細には、凝集組成物は10.01重量%を超える不溶性希土類元素含有化合物を含み、凝集組成物が焼結されたとき、イットリウム、スカンジウム、およびユウロピウムからなる群から選択される2つ以下の元素を含む。凝集組成物の詳細については本明細書の別の箇所に記載しているので、ここでは繰り返さない。
【0062】
容器は、カラム、様々なタンクおよび反応器、フィルタ、濾床、ドラム、カートリッジ、流体透過性の容器などを含む様々な形態を取ってよい。一部の実施形態では、容器は、水溶液が組成物と接触する固定床、流動床、撹拌タンクまたは反応器、およびフィルタの
うちの1つ以上を含む。容器は、所定の流体のインレットおよび流体のアウトレットを備えた設計によって単一山道を有することが可能であるか、または凝集組成物を囲むか封入する流体透過性の外壁を有することが可能である。容器が柔軟であることが望ましい場合、流体透過性の外壁は、様々な非水溶性材料からなる織布または不織布から形成されてよく、溶液は沈められたときに組成物を通じる複数の流路を有する。より硬質な構造が好適な場合、容器は、使用条件下で所望の形状を維持する金属、PVCまたはアクリル樹脂などのプラスチックその他、不溶性の材料から形成されてよい。
【0063】
水溶液は、重力、圧力その他の手段の影響下で、撹拌または混合されながらまたはされずに組成物および容器を通じて流れてよい。様々な付属物、接続部品、ポンプ、バルブ、マニホールドなどを用いて、容器へのおよび組成物を通じた溶液の流れを制御することができる。
【0064】
容器は、組成物の使用および交換を容易とすべく、装置または処理流の中へ挿入されるように、またはそこから除去されるように適合されてよい。そのような容器は、容器および組成物の安全な取扱、輸送、ならびに貯蔵を可能とすべく、装置から除去されるときその他の非使用時において封止されるように適合したインレットおよびアウトレットを有してよい。凝集組成物が定期的に滅菌される場合、組成物および容器は、容器から組成物を除去する必要なく、1つのユニットとして除去され滅菌されてもよい。加えて、そのような容器は、長期貯蔵を行うように、または溶液から除去された生物学的汚染物質の廃棄ユニットとして機能するように構築されてもよい。
【0065】
装置は、処理された溶液を組成物から分離するためのフィルタを備えてよい。このフィルタは凝集組成物を封入してもよく、組成物の下流に配置されてもよい。さらに、フィルタは、組成物が容器の外に流出することを防止するための容器の機能であってもよく、容器の下流に配置された装置の機能であってもよい。フィルタには、織布または不織布、メッシュや、凝集組成物に対する流体透過性のバリアを提供するマット、床、または層に配置されている繊維または粒子が含まれてよい。凝集組成物が固定床に配置される場合、適切なフィルタには、容器内において組成物の下流に配置された珪藻土の層が含まれる。
【0066】
また、装置は、随意で、組成物を交換または再生する必要があるときを示すための視覚的なインジケータと、容器から流出する流れを感知するためのセンサと、組成物を滅菌するための手段とのうちの1つ以上を備えてよい。組成物を滅菌するための手段には、本技術分野において知られているような、組成物を加熱するための手段、組成物を照射するための手段、および流体流路へ化学酸化剤を導入するための手段のうちの1つ以上が含まれてよい。
【0067】
さらに別の実施形態では、本発明は、内部空間を形成する1つ以上の壁を有する容器と、内部空間に配置された流動可能な凝集組成物とを含む物品を提供する。本明細書において詳細に記載されているように、流動可能な凝集組成物は10.01重量%を超える不溶性希土類元素含有化合物を含み、凝集物が焼結されたとき、イットリウム、スカンジウム、およびユウロピウムからなる群から選択される2つ以下の元素を含む。加えて、容器は、凝集組成物を用いて生物学的汚染物質を含有している水溶液を処理するための説明書きを含む。この特定の実施形態では、容器は、流動可能な凝集組成物が小売業者、配給者、または末端消費者に販売される、バッグその他のバルク製品パッケージである。そのような容器は様々な寸法、形状、および形態を取ることができるが、通常、プラスチックまたは様々な織物から形成される。容器は、溶液中の汚染物質を除去または不活性化する目的で、容器の内容物を有効に用いて、生物学的汚染物質を含有している水溶液を処理することが可能であることを示す、指示書きを備えている。
【0068】
以下の実施例を、本発明の特定の実施形態を示すために提供する。当業者には、以下の実施例により開示される方法は単に本発明の代表的な実施形態を表しているに過ぎないことが認められる。しかしながら、本開示に照らして、当業者には、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、記載の特定の実施形態において多くの変更がなされても、依然として同様のまたは類似の結果が得られることが認められる。
【0069】
[実施例]
15mlのCeO(Molycorp社のMountain Pass施設から得た)を内径約2.2cm(7/8インチ)のカラムに配置した。
【0070】
脱塩素化水および3.5×10/mlのM2を含有している600mlの流入液を、CeO床を通じて流速6ml/min、10ml/min、および20ml/minで流した。大腸菌ホストを用いる重層寒天法を用いた試料採取の5分以内に連続希釈法およびめっきを実行し、37℃で24時間、インキュベートした。
【0071】
これらの試料の結果をテーブル1に示す。
【0072】
【表1】

【0073】
MS−2含有溶液で処理したCeO床を上流に向けフラッシュした(upflush)。約600mlの脱塩素化水および2.0×10/mlのクレブシエラ・テリゲナ(Klebsiella terrgena)からなる溶液を調製し、流速10ml/min、40ml/min、および80ml/minでカラムを通した。クレブシエラは、アイデックス(Idexx)社のQuanti−Trayを用いて定量し、37℃で24時間を超えて、さらにインキュベーションした。
【0074】
これらの試料の結果をテーブル2に示す。
【0075】
【表2】

【0076】
MS−2およびクレブシエラ・テリゲナに以前さらしたCeO床を、流速を増大させて第2のMS−2の暴露にさらした。約1000mlの脱塩素化水および2.2×10
/mlのMS−2からなる溶液を調製し、流速80ml/min、120ml/min、および200ml/minで床を通した。大腸菌ホストを用いる重層寒天法を用いた試料採取の5分以内に連続希釈法およびめっきを実行し、37℃で24時間、インキュベートした。
【0077】
これらの試料の結果をテーブル3に示す。
【0078】
【表3】

【0079】
上述において開示した特定の実施形態は例示に過ぎず、本明細書における教示の利点を有し、異なってはいても均等であることが当業者には明らかである手法により、本発明が変更および実施されてもよい。さらに、本明細書に示した構成または設計の詳細は、添付の特許請求の範囲において記載される以外、限定を意図したものではない。したがって、上述において開示した特定の実施形態が変更されてよいこと、またそのような変化はすべて本発明の範囲および精神内であると考えられることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的汚染物質を含有している水溶液を処理するための方法であって、
生物学的汚染物質を含有している水溶液を凝集組成物と接触させ、活性な生物学的汚染物質の欠如した溶液を生成する工程を含み、前記凝集組成物は10.01重量%以上の不溶性希土類元素含有化合物を含み、前記凝集組成物は、前記凝集組成物が焼結されたとき、イットリウム、スカンジウム、およびユウロピウムからなる群から選択される2つ以下の元素を含む、方法。
【請求項2】
前記活性な生物学的汚染物質の欠如した水溶液を前記凝集組成物から分離する工程と、
前記活性な生物学的汚染物質の欠如した水溶液を感知する工程と、
前記水溶液を前記凝集組成物と接触させた後、熱、放射線、および化学薬品のうちの1つ以上で前記凝集組成物を処理することによって、前記凝集組成物を滅菌する工程と、
前記凝集組成物からの残余の水溶液を蒸発させる工程と、
断続的に前記凝集組成物を交換する工程と、のうちの1つ以上を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
随意で、前記水溶液中に存在し得る菌類およびウィルスを酸化させるのに充分な量の空気、酸素豊富な空気、オゾン、および過酸化水素のうちの1つ以上で前記水溶液を処理する前に、前記水溶液を前記凝集組成物と接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
約100℃未満の温度で前記凝集組成物を前記水溶液と接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
約100℃より高い温度、かつ、前記水溶液のうちの少なくとも一部を液相に維持するのに適切な圧力で、前記凝集組成物を前記水溶液と接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
次のうちの1つ以上、すなわち、
前記凝集組成物を通じて前記水溶液を流すことと、
前記水溶液の表面の上に前記凝集組成物を分配することと、
前記水溶液中に前記凝集組成物を封入した流体透過性の容器を沈降させることと、のうちの1つ以上によって、前記水溶液を前記凝集組成物と接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記凝集組成物は容器中に配置され、前記水溶液は前記凝集組成物を通じて流れることによって前記凝集組成物と接触する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記容器は取り外し可能であり、前記方法は、前記取り外し可能な容器を断続的に交換する工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記凝集組成物は、固定床、流動床、撹拌タンク、およびフィルタのうちの1つ以上に配置された、流動可能な粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記不溶性希土類元素含有化合物は、セリウム、ランタン、およびプラセオジムのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記不溶性希土類元素含有化合物は、炭酸セリウムの熱分解、シュウ酸セリウムの分解、およびセリウム塩の沈殿のうちの1つ以上に由来するセリウム含有化合物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記不溶性希土類元素含有化合物はセリウム酸化物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記凝集組成物は、1つ以上のセリウム酸化物と、随意では、ポリマーバインダおよび流動補助剤のうちの1つ以上と、のみからなる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記不溶性希土類元素含有化合物は、約5m/g以上の平均表面積を有する粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記不溶性希土類元素含有化合物は、約1nmより大きい平均粒子寸法を有する粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記凝集組成物は、約1μm以上の平均凝集寸法を有する凝集した粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
生物学的汚染物質を含有している水溶液を処理するための装置であって、
水溶液の流体流路を有する容器と、
前記流体流路に配置された凝集組成物と、を備え、
前記凝集組成物は10.01重量%以上の不溶性希土類元素含有化合物を含み、前記凝集組成物は、前記凝集組成物が焼結されたとき、イットリウム、スカンジウム、およびユウロピウムからなる群から選択される2つ以下の元素を含む、装置。
【請求項18】
前記凝集組成物の下流に配置されたフィルタと、
前記凝集組成物を交換する必要があるときを示すための視覚的なインジケータと、
前記容器から流出する流れを感知するためのセンサと、
前記凝集組成物を加熱するための手段、前記凝集組成物を照射するための手段、および前記流体流路へ化学薬品を導入するための手段のうちの1つ以上を含む、前記凝集組成物を滅菌するための手段と、を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記容器は装置から取り外されるように適合しており、前記容器はインレットおよびアウトレットを有し、前記インレットおよびアウトレットの各々は前記装置から取り外されるときに封止されるように適合している、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記容器は、固定床、流動床、撹拌タンク、およびフィルタのうちの1つ以上を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
前記不溶性希土類元素含有化合物は、セリウム、ランタン、およびプラセオジムのうちの1つ以上を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項22】
前記不溶性希土類元素含有化合物は、炭酸セリウムの熱分解、シュウ酸セリウムの分解、およびセリウム塩の沈殿のうちの1つ以上に由来するセリウム含有化合物を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記不溶性希土類元素含有化合物はセリウム酸化物を含む請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記凝集組成物は、1つ以上のセリウム酸化物と、随意では、ポリマーバインダおよび流動補助剤のうちの1つ以上と、のみからなる、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記不溶性希土類元素含有化合物は、約5m/g以上の平均表面積を有する粒子を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項26】
前記不溶性希土類元素含有化合物は、約1nmより大きい平均粒子寸法を有する粒子を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項27】
前記凝集組成物は、約1μm以上の平均凝集寸法を有する凝集した粒子を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項28】
前記容器は前記凝集組成物を封入した流体透過性の外壁を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項29】
内部空間を形成する1つ以上の壁を有する容器と、
前記内部空間に配置された流動可能な凝集組成物と、を備える物品であって、
前記凝集組成物は10.01重量%以上の不溶性希土類元素含有化合物を含み、前記凝集組成物は、前記凝集組成物が焼結されたとき、イットリウム、スカンジウム、およびユウロピウムからなる群から選択される2つ以下の元素を含み、前記容器は前記流動可能な凝集組成物を用いて生物学的汚染物質を含有している水溶液を処理するための説明書を含む、物品。

【公表番号】特表2011−502046(P2011−502046A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532160(P2010−532160)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/081092
【国際公開番号】WO2009/058681
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(510120056)モリーコープ ミネラルズ エルエルシー (5)
【氏名又は名称原語表記】MOLYCORP MINERALS LLC
【Fターム(参考)】