説明

生物学的サンプル中のヘモグロビンの存在を検出するための装置及び方法

生物学的サンプル中のヘモグロビンの存在、さらに特定的には上部又は下部胃腸管出血の表示としての、糞便サンプル中の血液の存在を検出するための装置及び方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、生物学的サンプル中のヘモグロビンの存在を検出するための装置及び方法に関する。より具体的には本発明は、生物学的サンプル中の血液の存在を、さらに具体的には上部及び下部胃腸管出血の表示としての、糞便サンプル中の血液の存在を検出するための装置及び方法を提供する。本発明の方法は、とりわけ、腸管出血を検出することにより検出されることができる胃腸管疾患の診断のために有用である。
【背景技術】
【0002】
腸中への出血は、(結腸直腸癌としても知られている)腸癌の現在最良の早期表示である。腸中への出血の徴候についての試験は通常、血液の存在について糞便をスクリーニングすることにより達成される。この試験はしばしば(“FOBT”と称せられる)便潜血試験として称される。
【0003】
化学試験がFOBTのために最も広く使用されている。これらの試験は、典型的には、酸化の際に色を変化させる、グアヤク又は3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)のような色原体指示薬で含浸された紙に適用されるべき糞便を必要とする。展開用溶液をその紙に適用したときに、陽性の結果に関して青い色が発現する。グアヤク試験は、費用がかからず、そして実施することが容易である利点を有するが、しかし正確さが低く(ヒトの血液に対して特異性でない)、望まれる感受性より低い感受性である。それにもかかわらず、幾つかの国際的研究は、これらの試験を用いて患者をスクリーニングすることによって前癌性及び癌性の損傷の早期の検出により、生命を救うことができることを示した。通常使用されるグアヤク試験はヘモグロビンのヘムを検出し、そしてこれは小腸における分解に対して比較的に抵抗性であるので、これらの試験は腸管内の何処かでの出血を検出することができる。結腸直腸癌のスクリーニングのために、これは、これらの腫瘍が大腸に限定されるので不利であろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近、結腸直腸癌についてのスクリーニングにおいて血液を検出することの正確さを改良する可能性を有するさらに感受性のある且つ特異的な免疫学的試験(例えば免疫クロマトグラフィー試験)が開発された。これらの試験は、上部胃腸管を通過して生き残れないたんぱく質である、ヘモグロビンのグロビンたんぱく質を典型的に検出する。それ故、陽性の免疫学試験は下部胃腸管の出血を示す。しかしながら、すべての免疫学をベースとする試験に共通して、これらの試験は、高い水準の分析物で重大な出血が見落とされる可能性がある程度までに試験が阻止される、“前置帯(prozone)”又は“高量フック(high dose hook)”作用に付される。
【0005】
ヘモグロビンからのヘムは、過酸化物基質の分解及び酸素の放出に触媒的に作用するプソイドペルオキシダーゼ活性を有する。放出された酸素は、酸化の際に色を変化させるグアヤク及びテトラメチルベンジジン(TMB)のような適当な色原体指示薬により検出することができる。便潜血試験類(FOBTs)は、この反応を使用して、赤血球のヘモグロビンからのヘムを検出することにより腸出血を検出し、そしてそのような試験のための種々の形式が当業界において知られている(例えば、米国特許第3,996,007号;同第4,225,557号;同第4,789,629号;同第5,064,766号;同第5,100,619号;同第5,106,582号;同第5,171,528号;同第5,171,529号;同第5,182,191号参照)。典型的には、FOBTsはグアヤク含浸紙上に糞便サンプルを塗り付け、そして過酸化物を含有する展開用溶液を加えることを包含する。
【0006】
これらの試験の欠点として以下の点が挙げられる:
・糞便サンプルは、摂取した食事からのペルオキシダーゼ又はプソイドペルオキシダーゼをも含有する可能性があり、そしてこれらは腸管からのヒトの血液の不存在において(偽性)陽性反応を起こす可能性がある;
・摂取した食肉からのヘムは偽性陽性反応をも起こす可能性がある;
・陽性試験で発色した青い色は、糞便の暗色の背景に対して読み取らなくてはならず、その結果、より低いヘム濃度では結果が不正確である可能性がある:
・陽性結果に関して、糞便サンプルから色が拡散し去り、色強度が弱くなり、消えてしまう可能性がある(色変化の一時的性質は試験結果の解釈を困難なものにするか、又は信頼できないものにする可能性がある);
・過酸化物及び他の試薬を含有する展開用溶液は、上部胃腸管出血と下部胃腸管出血との間の示差についてこの試験と一緒に用いることができたはずの免疫化学試験と干渉する可能性がある(例えば、任意の腸出血を検出するための色原体試験と下部腸管出血のみを検出するための免疫化学試験とを組み合わせるEnterix Inc.の国際特許公開WO 00/29852号を参照)。
【0007】
紙のマトリックスにおいて乾燥されたクメンヒドロペルオキシドのような過酸化物試薬を有するFOBTsも記載されている(例えば米国特許第4,071,318号参照)。この場合において、試験紙を水に直接加えることができ、そしてヘムが水中に存在する場合に色を現わすであろう。これらのFOBTは、典型的には糞便から水中に放出された血液を検出するために腸運動の後に、糞便を含有する便器に加えられる。
【0008】
これらの試験の欠点として下記の点が挙げられる:
・糞便上の又はその中の血液は検出を可能にするために十分な濃度で水中に拡散しない可能性がある;
・その試験は、解釈を困難にする糞便及びトイレットペーパーの背景に対して読み取らなければならない;
・その試験はまた、糞便と試験紙との直接の接触が存在する場合に、食事のヘム又はペルオキシダーゼからの干渉を受ける可能性がある;
・発色していない試験紙は、試験紙における過酸化物試薬の分解及び色の発現を防止するために乾燥保存された状態で製造後に貯蔵されなければならない。
【0009】
発明の概要
以下の、この明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって、文脈が他のようにすることを必要としない限り、“含む(comprise)”と言う用語及び/又は“含む(comprises)”又は“含んでいる(comprising)”と言うような変形は、規定されて整数又は工程、あるいは複数の整数のグループ又は複数の工程のグループを包含することを意味するが、しかし任意の他の整数又は工程あるいは他の複数の整数のグループ又は他の複数の工程のグループを排除することを意味しない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの局面において、本発明は、生物学的サンプル、特に糞便サンプル中のヘモグロビンの検出において使用するための装置であって、
(i)上記生物学的サンプルを受容するためのサンプル適用区域;
(ii)該サンプル適用区域と液体伝導連絡しているか又は該サンプル適用区域と組み合わされている基質区域であり、そして該基質区域に適用された又は該基礎質区域に含浸されたプソイドペルオキシダーゼ基質を有する基質区域であって、前記プソイドペルオキシダーゼ基質が過酸化物又はヒドロペルオキシド試薬を含む、上記基質区域;及び
(iii)該基質区域と液体伝導連絡しているか又は該基質区域と組み合わされている指示薬区域であり、そして該指示薬区域に適用された又は該指示薬区域に含浸された指示薬を有する指示薬区域であって、前記指示薬がヘム及び前記プソイドペルオキシダーゼ基質の存在下に検出可能な応答を生成する、上記指示薬区域;
を含む担体マトリックスを含む、上記装置を提供する。
【0011】
本発明のこの局面の1態様において、該サンプル適用区域と該基質区域とは1つに組み合わせることができる。その1つの組み合わされたサンプル適用/基質区域はそれに適用された又はその中に含浸されたプソイドペルオキシダーゼ基質を有する。しかしながら、好ましい態様において、サンプル適用区域及び基質区域は、液体伝導連絡している、担体マトリックスの別々の区域である。
【0012】
他の態様において、基質区域と指示薬区域とは1つに組み合わされることができ、その1つの組み合わされた基質/指示薬区域は、それに適用された又はその中に含浸されたプソイドペルオキシダーゼ基質及び指示薬の両方を有する。しかしながら、好ましくは、該基質区域と該指示薬区域とは、液体伝導連絡している、担体マトリックスの別々の区域である。
【0013】
他の局面において、本発明はまた、生物学的サンプル、特に糞便サンプル中のヘモグロビンの検出のための方法を提供し、その方法は:
(i)サンプル適用区域、基質区域及び指示薬区域を含む担体マトリックスの該サンプル適用区域に上記生物学的サンプルを適用し;
(ii)上記生物学的サンプルを、該基質区域と接触させ、その基質区域において上記サンプルがペルオキシダーゼ又はヒドロペルオキシダーゼ試薬を含むプソイドペルオキシダーゼ基質と接触され;そして
(iii)前記サンプル及びプソイドペルオキシダーゼ基質を該指示薬区域と接触させ、その指示薬区域において上記サンプル及び基質がヘム及び前記プソイドペルオキシダーゼ基質の存在下に検出可能な応答を生成する指示薬と接触せられる;
諸工程を含む。
【0014】
本発明のこの局面の1つの態様において、生物学的サンプルを、担体マトリックスの単一の組み合わされたサンプル適用/基質区域におけるプソイドペルオキシダーゼ基質と接触させ、その後に指示薬区域への該サンプル及び基質の流れを可能にさせるか、又はその流れを生じさせることができる。しかしながら、好ましい態様において、サンプル適用区域及び基質区域は、液体伝導連絡している、担体マトリックスの別々の区域であることができ、そして生物学的サンプルはサンプル適用区域に適用され、その後に、基質区域へのサンプルの流れを可能にするか、又はその流れを生じさせる。
【0015】
他の態様において、サンプル適用区域から基質/指示薬区域へのサンプルの流れを可能にするか、又はその流れを生じさせることにより、生物学的サンプルを、担体マトリックスの単一の組み合わされた基質/指示薬区域におけるプソイドペルオキシダーゼ基質及び指示薬と接触させることができる。しかしながら、好ましい態様において、基質区域及び指示薬区域は、液体伝導連絡している、担体マトリックスの別々の区域であり、そして生物学的サンプルをサンプル適用区域に適用して、その後に基質区域へのサンプルの流れを可能にするか、又はその流れを生じさせ、次に指示薬区域への該サンプル及び基質の流れを可能にするか、又はその流れを生じさせる。
【0016】
特に好ましい態様において、本発明の装置及び方法は、上に広く概略された生物学サンプル中のヘムの検出を、グロビンの検出のための免疫化学試験と組み合わせ、それにより、結腸直腸癌のような下部胃腸管疾患の検出のために特に有用である、上部及び下部の胃腸管出血の間の示差のための二重試験を提供することができる。
【0017】
この好ましい態様において、上に広く記載したような装置の担体マトリックスは、さらに下記を含む:
(iv)サンプル適用区域と液体伝導連絡をしている第2基質区域であり、そして該第2基質区域に適用されているか又は該第2基質区域に含浸されている検出可能な抗グロビン免疫相互作用性分子(antiglobin immunointeractive molecule)を有する第2基質区域であって、該免疫相互作用性分子が、グロビンの存在下に検出可能なグロビン−抗グロビン複合体を形成する、上記第2基質区域;及び
(v)該第2基質区域と液体伝導連絡している検出区域であり、そして該検出区域内に固定されている抗グロビン免疫相互作用性分子を有する検出区域であって、上記固定されている免疫相互作用性分子が上記検出可能なグロビン−抗グロビン複合体を固定保持する、上記検出区域。
【0018】
同様に、この好ましい態様において、上に広く記載されたような本発明の方法は、さらに下記の諸工程をさらに包含する:
(vi)上記生物学的サンプルを、第2基質区域と接触させ、この第2基質区域において上記サンプルが、検出可能な抗グロビン免疫相互作用性分子と接触されて、グロビンの存在下に検出可能なグロビン−抗グロビン複合体を形成し;
(vii)上記検出可能なグロビン−抗グロビン複合体を検出区域と接触させ、この検出区域において上記検出可能なグロビン−抗グロビン複合体が、固定化抗グロビン免疫相互作用性分子と接触されて、上記検出可能なグロビン−抗グロビン複合体を固定する。
【0019】
好ましくは、生物学的サンプルは、サンプル適用区域から、このサンプル適用区域と液体伝導連絡している第2基質区域へ流れることが可能にされるか、又はその流れが起こされ、そして検出可能なグロビン−抗グロビン複合体は、第2基質区域から、この第2基質区域と液体伝導連絡している検出区域へ流れることが可能にされるか、又はその流れが起こされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
発明の詳細な記載
本発明は、腸管出血の表示としてヘモグロビンの検出のために特に適しているヘモグロビンの検出のための改良された試験形式を提供する。その形式はまた、上部及び下部腸管の出血の間の示差について二重試験が実施可能であるように、グロビンの検出のための免疫化学試験と両立することができるように計画される。
【0021】
本発明は、ヘムの検出のために必要とされる試薬を含有する1つ以上の区域中を通過して、適用の点から(血液を含有することを疑って)液体サンプルの横方向流れの使用を包含する。その試験形式の成分の横方向の流れのレイアウトは以下の利点を有する:
・陽性の結果を有して生成された色は、流れが担体マトリックスの末端に到達するにつれて蓄積し、色を濃厚にし、そして読み取りの容易性を助長する;
・陽性反応の色には、全く糞便又は他の不明確な背景物質が存在しない;
【0022】
・食肉からのヘム又は食物からのペルオキシダーゼ類のような食事汚染物質は多くの場合においてそれらの限界検出水準よりも下にまで横方向流れ上で希釈される;
・サンプルの適用区域は、下流の試験成分によるヘムの正確性及び感受性検出を増進する強化剤を含有することができる;
・相容れることができないか又は相互に不安定である複数の構成成分又は試薬(例えば基質試薬と指示薬試薬)は別々の区域に配置することができ、特別の製造又は貯蔵の注意用心をすることなしに長期間の貯蔵を可能にする;
・全ての試薬を別々の区域に含浸することができるので、水、水/エタノール混合物又は他の任意の不活性な試薬を試験の展開のために用いることができる;
・それ故、(何らかの腸管出血を検出する)色原体ヘム試験は、1つの試験サンプルについて、上部及び下部の腸管の間の出血を識別することを可能にするように、(下部腸管出血に対して特異的である)免疫化学試験と組み合わせることができる。
【0023】
本発明は、生物学的サンプル、特に糞便サンプル中のヘモグロビンの検出において使用するための、担体マトリックスを含む試験装置を提供し、その担体マトリックスは下記を含む:
(i)上記生物学的サンプルを受容するためのサンプル適用区域;
(ii)該サンプル適用区域と液体伝導連絡しているか又は該サンプル適用区域と組み合わされている基質区域であり、そして該基質区域に適用された又は該基質区域中に含浸されたプソイドペルオキシダーゼ基質を有する基質区域であって、前記プソイドペルオキシダーゼ基質が過酸化物又はヒドロペルオキシド試薬を含む、前記基質区域;及び
(iii)該基質区域と液体伝導連絡しているか又は該基質区域と組み合わされている指示薬区域であって、そして該指示薬区域に適用された又は該指示薬区域に含浸された指示薬を有する指示薬区域であって、上記指示薬がヘム及び前記プソイドペルオキシダーゼ基質の存在下に検出できる応答を生成する上記指示薬区域。
【0024】
本発明はまた生物学的サンプル、特に糞便サンプル中のヘモグロビンの検出のための試験方法を提供し、その方法は下記の諸工程を含む:
(i)サンプル適用区域、基質区域及び指示薬区域を含む担体マトリックスの該サンプル適用区域に上記生物学的サンプルを適用し;
(ii)上記生物学的サンプルを該基質区域と接触させ、その基質区域において上記サンプルがペルオキシダーゼ又はヒドロペルオキシダーゼ試薬を含むプソイドペルオキシダーゼ基質と接触され;そして
(iii)上記サンプル及びプソイドペルオキシダーゼ基質を上記指示薬区域と接触させ、その指示薬区域において前記サンプル及び基質が、ヘム及び前記プソイドペルオキシダーゼ基質の存在下に検出可能な応答を生成する指示薬と接触される。
【0025】
“生物学的サンプル”について、それは糞便、粘液、尿、生体組織検査被検物及び、例えば肺洗浄後に肺から抜き取られた塩水溶液又は浣腸から回収された溶液のような動物の体内に導入され、次に取り出される液体のような、しかしそれらに限定されない、動物から由来する生物学的材料の任意のサンプルに言及するものとして理解されるべきである。本発明の方法に従って試験される生物学的サンプルは、直接試験されることができるか、又は試験の前に或る形の処理を必要としてもよい。例えば、生体組織検査サンプルは、試験の前に均質化を必要とするだろう。さらに生物学的サンプルが液体形にない限り(例えばそれは固体、半固体又は脱水液体サンプルであってよく)、それはそのサンプルを可動化するために、緩衝液のような試薬の添加を必要とするだろう。可動化用(mobilizing)試薬は、担体マトリックスへの生物学的サンプルの適用の前に、そのサンプルと混合することができるか、又はその試薬は、そのサンプルを担体マトリックスに適用した後にそのサンプルに適用することができる。可動化用試薬の使用はまた、担体マトリックスに沿ってサンプルの横方向流れ(排出(wicking))を容易にするために必要とされるだろう。好ましくは、生物学的サンプルは胃腸管サンプルである。“胃腸管サンプル”とは、胃腸管から由来する任意のサンプルを意味する。例えばそれは、糞便、粘液(例えば直腸粘液拭き取りからの粘液)、浣腸溶液又は胃腸管生検サンプルである。最も好ましくは、生物学的サンプルは糞便サンプル又は糞便を含有する便器からの水のサンプルである。
【0026】
本明細書において用いられるものとして“動物”という用語は、ヒト、霊長類、家畜動物(例えばヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ロバ)、研究室試験動物(例えばサル、マウス、ラット、ウサギ、モルモット)、コンパニオン動物(例えば、イヌ及びネコ)、捕獲野性動物(例えばキツネ、カンガルー、シカ)、鳥類(例えばニワトリ、ガチョウ、アヒル、エミュー、ダチョウ)、爬虫類又は魚類を包含する。しかしながら、好ましくは動物はヒトである。
【0027】
好ましくは、本発明の試験装置を形成するにあたって用いられる担体マトリックスは、マトリックスの種々の帯域又は区域間での液体伝導連絡を可能にする適当な材料の試験細片の形にある。特に好ましい材料は、連続気泡化の化学的に不活性なマトリックスのような、毛細管流動を可能にする材料であり、多孔質プラスチック材料、濾紙及びガラス繊維が好ましい。他の適当な材料は当業界に周知であり(例えばLAMへの米国特許第4,071,318号参照)、そして本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0028】
好ましくは担体マトリックスのサンプル適用区域は、ヘモグロビンを放出するように、パッドへの結合を最少にするように、そしてパッドからのサンプル流動を促進するように、サンプル中に存在するすべての赤血球を溶解するための試薬で含浸されている不織ポリエステルパッドのような吸収剤パッドを包含する。特に適当な溶解試薬は(Triton X100のような)洗浄剤である。サンプルをパッドに適用した後に、サンプル中の何らかのヘム(及びグロビン)を可動化させ、そして基質区域(1つ又は複数)への、担体マトリックス中を通過する毛細管作用により、サンプルに流れを又は排出(wick)を可能にさせる化又は生じさせるために、水又は水/エタノール混合液のような可動化用剤を該パッドに適用することができる。
【0029】
基質区域に存在するプソイドペルオキシダーゼ基質は、随意的に、当業者に知られている補助的な安定剤、強化剤及び促進剤と一緒に、主要な試薬としてペルオキシダーゼ又はヒドロペルオキシダーゼ試薬を含む。適当なペルオキシダーゼ又はヒドロペルオキシダーゼ試薬は、例えばt−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、パラメンタンヒドロペルオキシド、又はそれらの混合物を含む。これらの中でクメンヒドロペルオキシドが最も好ましいことが分かった。適当な安定剤及び強化剤はまた、当業界に周知であり、そして安定剤としてホウ酸トリメタノールアミン、ホウ酸トリエタノールアミン及びホウ酸トリ(n−プロパノール)アミンのようなホウ酸エステル、そして強化剤として6−メトキシキノリンを包含する(LAMへの米国特許第4,071,318号参照)。
【0030】
ヘム及びプソイドペルオキシダーゼ基質の存在下に検出できる応答を生成するために指示薬区域において存在する指示薬は、グアヤク、又はベンジジン化合物、例えばベンジジン、o−トリジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)、2,7−ジアミノフルオレン又は種々の割合でのこれらの混合物のような色原体が好ましい。また、当業者に周知である安定剤及び/又は強化剤がその指示薬に包含されることができる。
【0031】
好ましくは、本発明の方法を実施するにあたって、ヘモグロビンを放出させるためにサンプルパッド中の洗浄剤又は他の溶解剤によりサンプル中のいずれの赤血球をも溶解させるサンプル適用区域における吸収剤サンプルパッドに、サンプルが適用される。次に、試験を進展させるために、そして基質区域に配置された(クメンペルオキシドのような)乾燥されたプソイドペルオキシダーゼ基質、及び他の安定剤及び強化剤を溶解するための可動化剤として水又は水/エタノールを使用して、サンプルパッドから基質区域への毛細管作用により、サンプルは流動が可能にされるか又は流動が起こされる。次に、サンプル中のヘムの存在がグアヤク又はTMBのような色原体と反応して検出できる色変化を生じることにより検出される指示薬区域への毛細管作用により、該サンプル及びプソイドペルオキシダーゼ基質は流動が可能にされるか又は流動が起こされる。
【0032】
本発明の好ましい面において、上に詳細に記載されたように、生物学的サンプル中のヘムの検出は、試験サンプル中の上部腸管及び下部腸管の間の出血の示差を可能にする“二重試験”において免疫化学試験と組み合わされる。
【0033】
したがって、この局面において、本発明は担体マトリックスがさらに下記を含む、上に広く記載されたような試験装置を提供する:
(iv)サンプル適用区域と液体伝導連絡している第2基質区域であり、そして該第2基質区域に適用されているか又は該第2基質区域に含浸されている検出可能な抗グロビン免疫相互作用性分子を有する第2基質区域であって、上記免疫相互作用性分子がグロビンの存在下に、検出可能なグロビン−抗グロビン複合体を形成する、上記第2基質区域;及び
(v)該第2基質区域と液体伝導連絡している検出区域であり、そして該検出区域内に固定されている抗グロビン免疫相互作用性分子を有する検出区域であって、上記固定された免疫相互作用性分子が上記検出可能なグロビン−抗グロビン複合体を固定保持する、上記検出区域。
【0034】
本発明の試験装置の担体マトリックスは、上に特別に記載された区域に追加の区域をも含むことができる。例えば、試験を進展させるために、お互いに液体伝導連絡している、それぞれの区域中を通過してサンプル適用区域から可動化用液体前面を引き入れるために、指示薬区域及び/又は検出区域の後に配置された1つの吸収剤パッド又は複数の吸収剤パッドをも含むことができる。
【0035】
好ましい局面において、本発明はまた、さらに下記の諸工程を含む上に広く概略された方法を提供する:
(vi)上記生物学的サンプルを第2基質区域と接触させ、この第2基質区域において上記サンプルが、検出可能な抗グロビン免疫相互作用性分子と接触されて、グロビンの存在下に検出可能なグロビン−抗グロビン複合体を形成し;そして
(vii)上記検出可能なグロビン−抗グロビン複合体を検出区域と接触させ、この検出区域において上記検出可能なグロビン−抗グロビン複合体が、固定化抗グロビン免疫相互作用性分子と接触されて上記検出可能なグロビン−抗グロビン複合体を固定する。
【0036】
この明細書全体を通して“免疫相互作用性分子”について、それは、抗原結合部分を含む任意の分子又はこの分子の誘導体に言及するものとして理解されるべきである。本発明のこの面により意図される分子の例は、(合成抗体を包含する)単クローン性抗体及び多クローン性抗体、ハイブリッド抗体、ヒト化抗体、触媒抗体及びT細胞抗原結合分子を包含するが、しかしそれらに限定されない。好ましくは、前記免疫相互作用性分子は抗体である。
【0037】
第2基質区域に存在する適当な検出可能な抗グロビン免疫相互作用性分子の十分な詳細及び検出区域に存在する適当な固定された抗グロビン免疫相互作用性分子の十分な詳細は、Enterix Inc.の名称での国際特許公開第WO00/29852号(この公開の内容を参照することにより本明細書に組み入れる)に記載されている。
【0038】
グロビン−抗グロビン複合体の形成を“検出すること”は、当業者に知られている任意の都合の良い方法によることができる。本明細書に記載された本発明の好ましい方法において、排出している(wicking)生物学的サンプル前面により再懸濁化される抗グロビン抗体はコロイド金と複合化される。グロビン−抗グロビン/コロイド金複合体が、担体マトリックスの検出区域に含浸された抗グロビン捕獲抗体により捕獲されるにつれて、この点でのその複合体の捕獲中にコロイド金は、その増大していく濃度の故にピンク色のバンドとして視ることができるようになる。別法として、抗グロビン抗体は、グロビンが存在する場合に基質の添加の際に色変化が観察されるように、放射線同位元素標識化するか、又は酵素的に標識化することができる。
【0039】
本発明の“二重試験”局面の1つの好ましい態様において、詳細に上記したようにしてヘムの検出を行う。生物学的サンプルにおけるグロビンの検出は、第2基質区域及び検出区域を含むクロマトグラフィー試験細片を用いて行われる。第2基質区域は、通過している液体前面により再懸濁されることができるコロイド金粒子にカップリングされた固定化抗グロビン抗体の領域であり、その一方、検出区域は固定化抗グロビン捕獲抗体の領域である。
【0040】
本発明のこの好ましい局面において、サンプル適用区域に適用される生物学的サンプルは、第2基質区域へ流動するか又は排出し(wicks)、そしてこの第2基質区域でサンプル中に存在する任意のヘモグロビンのグロビン成分は、コロイド金粒子にカップリングされた抗グロビン抗体により結合される。通過している生物学的サンプル前面が、これらの抗体を再懸濁し、そしてグロビン−抗グロビン複合体は検出区域に流れ且つ排出し、その検出区域においてサンプル中に存在し且つグロビン−抗グロビン複合体に結合された任意のヘモグロビンのグロビン成分が、固定された抗グロビン捕獲抗体に結合され、そこでそれが検出されることができる。
【0041】
この二重試験の局面において本発明は、血液の存在について糞便サンプルを分析することにより胃腸管出血を診断するために用いることができる。本発明を働きの何らの理論にも又は様式にも限定することなしに、色原体試験がヘモグロビンのヘム成分を検出し、そしてヘム成分が小腸(上部胃腸管)においての分解に対して比較的に抵抗性があるので、色原体試験は胃腸管の任意の部分(即ち、胃腸管の上部区域及び下部区域の両方)からの出血を陽性として同定確認するだろう。しかしながら、ヘモグロビンのグロビン成分は、上部胃腸管中を通過して生き残れない。それ故、糞便サンプル中の陽性グロビン結果は出血が下部胃腸管において起こったことを示す。従って、組み合わされた二重の、免疫及び非免疫をベースとする試験を適用することにより、陰性グロビン結果と一緒に陽性ヘム結果は上部胃腸管出血を示し、そして陽性グロビン結果と一緒に陽性ヘム結果は下部胃腸管出血を示す、上部及び下部の胃腸管間の出血を示差することが可能である。これは、例えば徴候が下部胃腸管出血を包含する結腸直腸癌の診断にとって特に重要である。
【0042】
本発明の試験装置及び方法の追加の特徴を、添付図面に関して以下にさらに十分に記載する。
【0043】
好ましい態様の記載
図1は、単一の試験細片において液体伝導連絡している、以下に示すような構成部分を含む、本発明に従う二重試験細片の形式を概要的に示す:
・TMB含浸指示薬紙(1);
・基質(例えばクメンペルオキシド)含浸紙(2);
・サンプルパッド(例えば洗浄剤、例えばTriton X100で含浸された不織ポリエステル)(3);
・共役パッド(例えば金標識化抗−ヒトグロビン抗体)(4);
・固体相(固定された抗−ヒトグロビン抗体ライン及び処置(procedure)コントロールラインを有するニトロセルロース膜)(5);
・吸収剤パッド(6)。
【0044】
構成部分1、2及び3は、本発明の試験装置の基礎的な構成部分を構成する。種々の試薬の貯蔵安定性を与えるように気をつけるように用心することを条件として所望に応じて構成部分1と2とを組み合わせることができる。構成部分4、5及び6は下部腸管出血の表示としてのヒトのグロビンを検出するための免疫化学試験細片を包含するこの発明の好ましい態様の追加の構成部分を構成する。
【0045】
サンプル、例えばデジタル直腸検査(DRE)からの糞便サンプル、又は便器中の糞便の周囲から取られた水サンプルを、サンプルパッド3に適用し、そこで何らかの赤血球は、そのサンプルパッドに含浸された洗浄剤により溶解され、そして展開用溶液が加えられる。展開用溶液は水であることができ、又は緩衝液、エタノール、及び反応を助け且つ両方のタイプの試験と相容れることができる他の試薬を含むことができる。サンプルパッドから、その展開用溶液は、赤血球から放出された全てのヘモグロビンを可動化し、そして両方向に試験細片の側面に位置する区域中を通過してパッド3から横方向に移動する。
【0046】
存在する場合のヘムは、基質区域2中のプソイドペルオキシダーゼ基質と混合し、次に指示薬区域1中の色原体指示薬と混合し、その区域1において色が区域1の末端で蓄積する。
【0047】
存在する場合のグロビンは、基質区域4中の金標識化抗体共役体を用いての標識化後に、検出区域5において検出される。過剰の展開用溶液及び他の試薬は吸収剤パッド6において蓄積する。
【0048】
明らかに、図1に例示された二重試験細片は、指示薬区域1及び検出区域5における結果の視覚的又は器具による検出のための設備(例えば、窓又は同様な開き口)を設けた、パッド3上のサンプルの受容のために適したハウジング中に入れられることができる。
【実施例】
【0049】
例1
以下のように、LAMへの米国特許第4,071,318号に基づいて試薬溶液を調製した:
溶液A:
水 10mL
クエン酸三ナトリウム 213mg
クエン酸 147mg
EDTA 6.7mg
ラウリル硫酸ナトリウム 67mg
メチルスルホン 667mg
アセトン 1.67mL。
溶液B(指示薬):
ジメチルスルホキシド 1.67mLに溶解された
テトラメチルベンジジン(TMB) 26.7mg
溶液C(基質):
クメンヒドロペルオキシド 133.3mg
6−メトキシキノリン 33.3mg
ホウ酸トリエタノールアミン 667mg
溶液A 5mL。
【0050】
反応性紙を調製するために、使用直前に溶液A、B及びCを混合し、そして紙がひたされるまで、ワットマン(Whatmans)#1紙に加えた。含浸された反応性紙を垂直につり下げて過剰の液体を徐々に排出させ、そして約30分間温かい空気の流れ中で乾燥した。指の突き刺しから得られた血液を水中に希釈し、そしてその希釈液を反応性紙の小片に加えることにより反応性紙の活性を確認した。1/100の希釈は直ちに強い青緑色を与え、1/1000希釈は強い青い色を生成し、1/10,000希釈はゆっくりと発色している緑色を生成するのに対して、1/100,000希釈は1〜2分後に、境界線上にある淡い青色を生成した。反応性紙に加えられた水単独では、乾燥するまで放置したときでさえ、色を生成しなかった。
【0051】
図2A(FOBT試験細片)及び図2B(ハウジング中にあるFOB試験細片)において示されるように構成された装置において反応性紙を試験した。FOBT試験細片は、白色プラスチック(高密度(high impact)ポリスチレン)基材(D)に、二重側面接着剤(ミネソタ州3M社の3M#465)を用いて図2Aにおいて示されるようなパッドA、B、C及びDを積層し、その積層物を約10mm幅の試験細片に切断することにより、FOBT試験細片を調製した。次にサンプル及び試薬添加のための入口(E)及び窓(F)を有する耐水性厚紙ハウジング(G)中にその試験細片を入れた。試験結果の読み取りを容易にするために、試験ハウジング(G)の観察窓(F)においてパッドBとCとの間の界面が中心にくるようになるように配置した。
【0052】
図2Aにおいて示される試験細片において:
・パッドA:0.1%Triton X100洗浄剤で含浸されたポリエステル
不織布(例えば、ペンシルベニア州のAhlstrom社製の
Ahlstrom 6613);
・パッドB:反応性紙;
・パッドC:白色プラスチックバリヤーテープ;
・パッドD:基材。
【0053】
この試験細片において、パッドAはサンプル適用パッドであり、そしてパッドBは、組み合わされた基質/指示薬区域である。
【0054】
サンプル入口(E)を介して図2Aの試験細片のパッドAに、水中に1/1000に希釈した血液を適用し、次に3滴の水を適用した。パッドAからパッドBを経て液体が移動して、その結果、25秒内にパッドCの白色不透過性バリヤーに対してパッドBの末端で強い青色が蓄積した。パッドAに加えられた単独での水は試験窓において色を生成しなかった。
【0055】
例2
FOBT試験細片の長期間安定性のために基質区域及び指示薬区域を調製し、そして試験細片において別々に積層して、図2Aにおいて示される試験細片の変形として図3において示されるように構成した。
【0056】
図3の試験細片において、パッドAはサンプル適用パッドであり、パッドB1は基質区域であり、そしてパッドB2は指示薬区域である。以下のように、反応性紙Bの代わりに、基質紙B1及び指示薬紙B2を用いて、試験細片を例1において記載されているように調製する:
・基質紙B1:溶液Cを調製し、ワットマン(Whatman)の#1濾紙中に浸し、そして滴下乾燥させた。
・指示薬紙B2:溶液A及びBを混合し、ワットマンの#1濾紙中に浸し、そして滴下乾燥させた。
次に紙B1及びB2の両方を低い熱で強制空気中で十分に乾燥させた。
【0057】
水中に1/1000に希釈されたヒト血液の10μLを図3の試験細片のパッドAに加え、次に40mMのホウ酸ナトリウム緩衝液(pH8.5)中の親ウシ血清アルブミン(3%)、エタノール(10%)及びアジ化ナトリウムからなる試薬の3滴を加えた。膜B2とCとの界面で青い色が蓄積した。水サンプル単独を用いて色は表れなかった。
【0058】
別の態様において、製造中に、基質溶液CをパッドA中に導入し、そしてパッドB1を試験細片から省くことができる。
【0059】
例3
例1のために記載されたようなFOBT試験細片を市販の免疫化学(ICT)試験細片(ニュージャージー州のEnterix Inc.製のInSureFIT)と組み合わせて使用した。これらのICT試験細片は下部腸管出血の表示体としてのヒトグロビンの検出のために用いられる。
【0060】
ICT細片の始めが、例1において記載されたような試験細片のパッドAと接触しているように、2つの試験細片(FOBT及びICT)を、端と端とを接触させて置いた。水中のヒト血液の1/1000希釈液の10μLをパッドAに加え、次に例2において記載された試薬の4滴を加えた。サンプルは適用の点から両方の方向に移動した、そして両方の試験は陽性の結果を現した。牛肉サンプルから取られ希釈された血液を含有する水を同じ方法で試験した場合、それはFOBT試験細片を用いて陽性の結果を与えた(即ちヘモグロビンについては陽性)が、しかしICT試験を用いて陰性の結果を与えた(即ち、ヒトグロブリンについては陰性)。水単独では両方の試験を用いて陰性の結果を与えた。
【0061】
本明細書に記載された本発明は、特定的に記載された事項以外に変更及び修正を行なう余地があることを当業者は認識するだろう。本発明はそのような変更及び修正の全てを包含することが理解されるべきである。本発明はまた、個々に、又は集約的にこの明細書において言及された又は示された工程、特徴、組成及び化合物のすべて、及び前記工程又は特徴の任意の2つ以上の任意の組み合わせ及び全ての組み合わせを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の好ましい態様に従う“二重試験”装置の概要図である。
【図2A】本発明に従う別の装置の概要図であって、FOBT試験細片を示す。
【図2B】本発明に従う別の装置の概要図であって、ハウジング内にあるFOBT試験細片を示す。
【図3】本発明に従う追加の別の装置の概要図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的サンプル中のヘモグロビンの検出のための装置であって、
(i)上記生物学的サンプルを受容するためのサンプル適用区域;
(ii)該サンプル適用区域と液体伝導連絡しているか又は該サンプル適用区域と組み合わされている基質区域であり、そして該基質区域に適用された又は該基質区域に含浸されたプソイドペルオキシダーゼ基質を有する基質区域であって、上記プソイドペルオキシダーゼ基質が過酸化物又はヒドロペルオキシド試薬を含む、上記基質区域;及び
(iii)該基質区域と液体伝導連絡しているか又は該基質区域と組み合わされている指示薬区域であり、そして該指示薬区域に適用された又は該指示薬区域に含浸された指示薬を有する指示薬区域であって、前記指示薬がヘム及び前記プソイドペルオキシダーゼ基質の存在下に検出可能な応答を生成する、上記指示薬区域;
を含む担体マトリックスを含む、上記装置。
【請求項2】
サンプル適用区域及び基質区域が、担体マトリックスの、組み合わされたサンプル適用/基質区域に組み合わされている、請求項1の装置。
【請求項3】
サンプル適用区域及び基質区域が、液体伝導連絡している担体マトリックスの別々の区域である、請求項1の装置。
【請求項4】
基質区域及び指示薬区域が、担体マトリックスの組み合わされた基質/指示薬区域に組み合わされている、請求項1の装置。
【請求項5】
基質区域及び指示薬区域が、液体伝導連絡している担体マトリックスの別々の区域である、請求項1の装置。
【請求項6】
担体マトリックスがさらに、
(viii)サンプル適用区域と液体伝導連絡している第2基質区域であり、そして該基質区域に適用されているか又は該基質区域内に含浸されている検出可能な抗グロビン免疫相互作用性分子を有する第2基質区域であって、前記免疫相互作用性分子がグロビンの存在下に検出可能なグロビン−抗グロビン複合体を形成する、前記第2基質区域;及び
(ix)該第2基質区域と液体伝導連絡している検出区域であり、そして該検出区域内に固定されている抗グロビン免疫相互作用性分子を有する検出区域であって、上記固定された免疫相互作用性分子が上記検出可能なグロビン−抗グロビン複合体を固定保持する、上記検出区域、
を含む、請求項1の装置。
【請求項7】
生物学的サンプル中のヘモグロビンの検出のための方法であって、
(i)サンプル適用区域、基質区域及び指示薬区域を含む担体マトリックスの該サンプル適用区域に上記生物学的サンプルを適用し、
(ii)上記生物学的サンプルを該基質区域と接触させ、その基質区域において上記サンプルがペルオキシダーゼ又はヒドロペルオキシダーゼ試薬を含むプソイドペルオキシダーゼ基質と接触され;そして
(iii)上記サンプル及びプソイドペルオキシダーゼ基質を上記指示薬区域と接触させ、その指示薬区域において上記サンプル及び基質が、ヘム及び上記プソイドペルオキシダーゼ基質の存在下に検出可能な応答を生成する指示薬と接触される、
諸工程を含む、前記方法。
【請求項8】
生物学的サンプルを、担体マトリックスの組み合わされたサンプル適用/基質区域中のプソイドペルオキシダーゼ基質と接触させる、請求項7の方法。
【請求項9】
生物学的サンプルを、サンプル適用区域と液体伝導連絡している担体マトリックスの別の基質区域中のプソイドペルオキシダーゼ基質と接触させる、請求項7の方法。
【請求項10】
担体マトリックスのサンプル適用区域から基質区域への流れを生物学的サンプルに可能にするか又は生じさせることにより該生物学的サンプルを、基質区域中の基質と接触させる、請求項9の方法。
【請求項11】
生物学的サンプルを、担体マトリックスの組み合わされた基質/指示薬区域中のプソイドペルオキシダーゼ基質及び指示薬と接触させる、請求項7の方法。
【請求項12】
生物学的サンプル及び基質を、基質区域と液体伝導連絡している担体マトリックスの別の指示薬区域中の指示薬と接触させる、請求項7の方法。
【請求項13】
担体マトリックスの基質区域から指示薬区域へのサンプル及び基質の流れを可能にするか又は生じさせることにより、生物学的サンプル及び基質を、指示薬区域における指示薬と接触させる、請求項12の方法。
【請求項14】
(vi)前記生物学的サンプルを第2基質区域と接触させ、この第2基質区域において上記サンプルが、検出可能な抗グロビン免疫相互作用性分子と接触されて、グロビンの存在下に検出可能なグロビン−抗グロビン複合体を形成し;
そして
(vii)上記検出可能なグロビン−抗グロビン複合体を検出区域と接触させ、この検出区域において上記検出可能なグロビン−抗グロビン複合体が、固定化抗グロビン免疫相互作用性分子と接触されて上記検出可能なグロビン−抗グロビン複合体を固定する;
の諸工程をさらに含む、請求項7の方法。
【請求項15】
第2基質区域がサンプル適用区域と液体伝導連絡しており、そして生物学的サンプルが、サンプル適用区域から第2基質区域へ流れるのを可能にされるか又はその流れが起こされる、請求項14の方法。
【請求項16】
検出区域が第2基質区域と液体伝導連絡しており、そして検出可能なグロビン−抗グロビン複合体が第2基質区域から検出区域へ流れるのを可能にされるか又はその流れが起こされる、請求項14の方法。
【請求項17】
前記生物学的サンプルが患者の胃腸管から由来するサンプルである、請求項7の方法。
【請求項18】
サンプルが、糞便(fecal)サンプルである、請求項17の方法。
【請求項19】
サンプルが、糞便(stool)サンプル又は糞便を含有する水のサンプルである、請求項18の方法。
【請求項20】
患者がヒトである、請求項17の方法。
【請求項21】
患者が家畜動物である、請求項17の方法。
【請求項22】
家畜動物がウマである、請求項21の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−535665(P2007−535665A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509831(P2007−509831)
【出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000613
【国際公開番号】WO2005/106498
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(504367195)エンテリックス プロプライエタリ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】