説明

生物学的サンプル中の磁性粒子の操作

本発明は、磁気供給体を有する処理装置と共に使用されるマイクロフルイディック装置であって、生物学的サンプルを受け入れ、少なくとも1つの磁気粒子を含むように構成されるチャンバと、処理装置によって読み取り可能な形式の磁気プロトコルを含む情報を記憶する記憶手段と、を有し、磁気供給体が、記憶手段から読み取られた磁気プロトコルに従って磁性粒子に磁気力を生成することが可能である、マイクロフルイディック装置に関する。本発明は更に、前記処理装置、前記マイクロフルイディック装置及び前記処理装置を有するシステム、並びに前記磁気プロトコルに従って磁気粒子を操作する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的サンプルに含まれる磁性粒子を磁気的に操作するシステム及び方法に関する。より具体的には、本発明は、生物学的サンプルが、磁気供給体(例えば永久磁石及び/又は電磁石)を含む処理装置と共に使用されるマイクロフルイディック装置(例えばカートリッジ)内にあるとき、(複数の)磁界を生成する磁気供給体(例えば磁石及び/又は電磁石)によって生成される少なくとも1つの磁界を磁性粒子に印加することに関する。概して、磁気供給体は、予め決められた磁気プロトコルに従って少なくとも1つの磁界を生成する。
【背景技術】
【0002】
マイクロフルイディック装置におけるこの磁気操作は、例えば生物学的サンプル中の磁性粒子を混合するために、又はマイクロフルイディック装置の特定の経路に従って磁性粒子をフローさせるために、又はマイクロフルイディック装置の検知表面との結合の観点で磁性粒子を駆動させるために、使用されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
後者のケースにおいて、マイクロフルイディック装置及び処理装置のアセンブリは、それが検知表面に結合される磁性粒子を検出することが可能な検出器を更に有する場合、バイオセンサでありうる。磁性粒子を使用するこのようなバイオセンサは、迅速且つ感度の高い診断に関して知られており、これらの磁性粒子によって又は磁性粒子に結合される他のタイプの標識(蛍光、染料、その他)によって標識化される生物学的ターゲットを検出するように設計されることができる。ターゲット分子を検出する際の磁性粒子アッセイの性能は、アッセイの間、粒子の動きを制御するために磁気供給体によって使用される磁気プロトコルに大きく依存する。
【0004】
一般に、磁気プロトコルは、磁気操作を実施する前に、処理装置にプログラムされる。
【0005】
上述の製品特性(例えばターゲット分子、アッセイタイプ、アッセイ条件、サンプルタイプ及びその他)の1又は複数が変更される場合、ユーザが、製品特性の前記変更に従って、測定の感度及び/又は精度を最大限にするように磁気プロトコルを変更することが可能であることが好ましい。
【0006】
従って、処理装置は、この処理を実施するために、ユーザインタフェースを備えることができる。
【0007】
これらの変更は、システム又はバイオセンサの使用のスピードを減速させ、エラーのリスクが増大する。これは、低い使いやすさ及び低いフェイルセーフ機能を意味する。
【0008】
本発明の目的は、上述の問題に鑑み、マイクロフルイディックシステム(すなわちマイクロフルイディック装置及び処理装置を有する)において磁気操作を実施するための改善された方法を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、特により簡素なユーザインタフェースと共に使用するのがより容易なシステムを提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、システムの使用のスピードを上げることである。
【0011】
本発明の他の目的は、このシステムを使用する際に達成されるべき所望の目的の感度及び精度を増大させる観点(例えば、このシステムがバイオセンサである場合は検出感度を高める)で、このシステムの磁気操作の制御を改善することである。
【0012】
本発明の他の目的は、システムの費用及び特に処理装置の費用を低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの及び他の目的は、独立請求項の特徴によって解決される。従属請求項は、本発明の好適な実施形態に向けられている。
【0014】
本発明は、使用されるマイクロフルイディック装置(又はカートリッジ又はカートリッジアセンブリ)と、前記装置に関して最適化される及び/又は例えばシステムに使用される他のパラメータに従って最適化される特定の磁気プロトコルとの間の、リンクを提供するという考えに基づくことができる。磁気プロトコルに関する情報は、カートリッジ内又はカートリッジ上に直接提供されることができ、又は例えばチップ上のカートリッジと共に入手することができる(例えば同じパッケージでカートリッジと共に販売される)。こうして、磁気プロトコルは、バイオセンサにプログラムされる必要はなく、これは、性能をスピードアップし、誤りを排除する。
【0015】
第1の実施形態として、本発明は、磁気供給体(すなわち永久磁石及び/又は電磁石のような磁界生成器)を有する処理装置と共に使用されるマイクロフルイディック装置を提案する。マイクロフルイディック装置は、生物学的サンプルを受け入れ、少なくとも1つの磁性粒子を含むように構成される。このマイクロフルイディック装置は、例えばサンプル入口、磁性粒子がサンプル中で駆動され及び/又は操作され及び/又は移動される少なくとも1つのチャンバ、及びサンプル入口と(複数の)チャンバとの間のマイクロフルイディック経路、を有することができる。付加の素子(例えばチャンバ上流で生物学的サンプルから生物学的要素を分離するフィルタ又はメンブレン)が設けられてもよい。磁性粒子は、マイクロフルイディック経路において、(複数の)チャンバ内に包含されることができ、又はサンプルがマイクロフルイディック装置によって受け入れられる前にサンプル中に加えられることができる。マイクロフルイディック装置は更に、処理装置によって読み取り可能な形式の磁気プロトコル情報を含む情報を記憶する記憶手段を有し、磁気供給体は、記憶手段から読み取られるこの磁気プロトコル情報に従って、磁性粒子に磁気力を生成することが可能である。目的は、明確に、この記憶された磁気プロトコル情報に従って磁性ビーズを操作することである。マイクロフルイディック装置におけるこの磁気操作は、例えば、生物学的サンプル中の磁性粒子を混合し又は生物学的サンプルと磁性粒子を混合するために、又はマイクロフルイディック装置内の特定の経路に従って磁性粒子をフローさせるために、又はバイオセンサの検知表面との結合の観点で磁性粒子を駆動させるために、使用されることができる。
【0016】
従って、磁性ビーズの操作のために使用される磁気プロトコルは、マイクロフルイディック装置に含まれる磁気プロトコル情報に依存する:磁性粒子を操作するプロセスは、磁気プロトコル情報がカートリッジに記憶される場合、少なくとも部分的に規定される。特に、この情報は、カートリッジ及びそれに含まれる任意のアッセイ/試薬を製造する方法、パラメータ及び条件を考慮することができる。更に、この磁気プロトコル情報は、磁気操作が行われる際に測定される温度に従って、磁気プロトコルを変化させることができるように規定されることもできる。この磁気プロトコル情報は更に、使用の(複数の)条件に関連付けられる複数の磁気プロトコルを規定することができ、それらの1つは、対応する(複数の)条件が満たされる場合に処理手段によって選択可能である。この(複数の)条件は、いかなる制限もなく、測定された温度、測定された湿度、処理装置に含まれる処理手段の電子構成又は精度でありうる。
【0017】
従って、磁気操作の感度及び/又は精度が改善されることができる。
【0018】
マイクロフルイディック装置のこの磁気操作は、例えば、生物学的サンプル中の磁性粒子を混合するために、及び/又はマイクロフルイディック装置内の特定の経路に従って磁性粒子をフローさせるために、及び/又はマイクロフルイディック装置の検知表面との結合の観点で磁性粒子を駆動させるために、使用されることができる。
【0019】
任意には、マイクロフルイディック装置は、生物学的サンプルに含まれる(複数の)磁性粒子及び/又はアナライトを特異的に捕捉する捕捉粒子を含む検知表面を有するチャンバを備える。(複数の)磁性粒子は、(複数の)アナライトと特異的に結合するように構成される。更に、マイクロフルイディック装置は、検知表面に結合された結合磁性ビーズの存在が、処理装置に設けられた検出器によって検出されることができるように、構成される。この場合、全体のシステム(マイクロフルイディック装置+処理装置)は、バイオセンサである。
【0020】
好適な実施形態において、磁気プロトコルは、磁気駆動プロトコル情報であり、較正情報と共に含められる。較正情報は、検出器によって受信される検出信号から、磁性粒子の評価された数を較正し、抽出するために使用されることができる。
【0021】
代替として又は上述した特徴と組み合わせて、マイクロフルイディック装置のチャンバは、生物学的サンプルがチャンバ内に受け入れられる場合に生物学的サンプル中に分散されるように、乾燥状態でその中に与えられる少なくとも1つの磁性粒子を含むことができる。
【0022】
任意には、マイクロフルイディック装置は、(複数の)磁性粒子が磁気供給体のすぐ近くに位置するように、処理装置内に少なくとも部分的に導入され保持されるように構成される。
【0023】
任意には、マイクロフルイディック装置は、単一の部分から作られることができ、記憶手段が、マイクロフルイディック装置内に又はその上に直接組み込まれる。マイクロフルイディック装置は、処理装置と共に使用されるとき、処理装置が記憶手段から前記情報を読み取ることが可能であるように構成される。代替として、マイクロフルイディック装置は、2つの部分からなる。第1の部分は、生物学的サンプルを受け入れ、(複数の)磁性粒子を含むように構成され、第2の部分は、記憶手段を有するチップを備える。チップは、それが処理装置のすぐ近くの又は処理装置内の適当なロケーションに配置されると、処理装置が記憶手段から自動的に前記情報を読み取ることが可能であるように構成される。
【0024】
任意には、前記情報は、RFID情報、バーコード、2Dバーコード、フラッシュメモリのようなソリッドステート電子記憶装置、集積回路カード又はこれらの任意の組み合わせの形で提供される。
【0025】
任意には、マイクロフルイディック装置は、前記情報を記憶するRFタグと、処理装置に前記情報を送るためのRFIDエミッタと、を有する。このRFIDタグは、読み取り/書き込みタグでありうる。RFIDタグは、受動タグ又は能動タグでありうる。
【0026】
任意には、前記情報は、以下の1又は複数を含む:各生成手段の周波数、振幅、デューティサイクル、極性及び/又はステータス;マイクロフルイディック装置に対する生成手段の位置;磁気力の繰り返しサイクルの数;プロトコルに含まれる磁気シーケンスの組み合わせ、タイプ及び/又は持続時間;各磁気供給体の位置。
【0027】
本発明は更に、マイクロフルイディック装置のチャンバに受け入れられる生物学的サンプル中の磁性粒子を操作するように構成される処理装置であって、
−磁性粒子を操作するために、少なくとも1つの磁気プロトコルに従って少なくとも1つの磁界を生成する磁気供給体と、
−マイクロフルイディック装置に含まれる記憶手段から、磁気プロトコル情報を含む情報を読み取るように構成されるリーダと、
−リーダ及び磁気供給体と共に、読み取られた磁気プロトコル情報に従って磁気供給体を制御するように構成されるプロセッサと、
を有する処理装置に関する。
【0028】
任意には、リーダは、マイクロフルイディック装置からRF形式の情報を受け取るためにRF受信機を有することができる。処理装置は更に、マイクロフルイディック装置にRFIDデータを送るためのRFエミッタを有することができる。
【0029】
上述の段落の代替として又はそれと組み合わせて、リーダは、マイクロフルイディック装置の記憶手段内のバーコードを読み取る光学的リーダを有する。
【0030】
本発明は更に、磁性粒子を操作するシステムであって、
−少なくとも1つの磁気プロトコルに従って少なくとも1つの磁界を生成する磁気供給体を有する処理装置と、
−処理装置と共に使用されるマイクロフルイディック装置であって、生物学的サンプルを受け入れ、磁気供給体によって磁気的に操作されることが可能な少なくとも1つの磁性粒子を含むように構成されるマイクロフルイディック装置と、
を有し、マイクロフルイディック装置は、処理装置によって読み取り可能な形式の磁気プロトコル情報を含む情報を記憶する記憶手段を有し、処理装置は、マイクロフルイディック装置が処理装置と共に使用されるとき、記憶手段から磁気プロトコル情報を読み取ることが可能なリーダと、リーダ及び磁気供給体と共に、読み取られた磁気プロトコル情報に従って磁気供給体を制御するように構成されるプロセッサと、を有する、システムに関する。
【0031】
本発明の特定の実施形態は、生物学的サンプル中のアナライトを検出するために、センサ(又は処理装置)と共に使用されるカートリッジアセンブリ(又はマイクロフルイディック装置)を有するバイオセンサであって、
・検出されるべき少なくとも1つのタイプのアナライトと結合することが可能な磁性粒子を含むように構成され、
・センサによるアナライトの検出の観点で磁性粒子及び/又はアナライトを捕捉するための捕捉手段を含むように処理された又は処理されるべき検知表面を有する、
カートリッジを有し、センサが、磁性粒子を操作するために磁気プロトコルに従って磁気力を生成する生成手段を有し、カートリッジアセンブリが、センサによって読み取り可能な形式で磁気プロトコルに対応する情報を記憶する記憶手段を有する、バイオセンサである。
【0032】
前記特定の実施形態の別の見地によれば、センサの磁性粒子を操作する方法であって、
a)磁性粒子を含む前記カートリッジアセンブリを準備するステップと、
b)磁性粒子の対応する磁性操作を実施するために磁気プロトコルに従って磁性力を生成する生成手段を有するセンサを準備するステップと、
c)カートリッジアセンブリのカートリッジの少なくとも一部をセンサ内に配置するステップと、
d)記憶手段から磁気プロトコルに関連する情報を読み取るステップと、
e)読み取られた情報に従って磁気操作を実施するステップと、
を含む方法が提供される。
【0033】
好適には、情報は、ワイヤレスに及び/又は光学的に及び/又は電子的に読み取り可能である。
【0034】
読み取りは、例えば、RFID、Bluetooth、Wi−Fi、IR、バーコード、レーザ又はそれらの任意の組み合わせを介して、実施されることができる。情報をワイヤレスに送信するための任意の他の知られている技法が使用されてもよい。特に、情報の光学的、音響的又は電磁的な送信が可能である。
【0035】
磁気駆動プロトコルに関する情報は、カートリッジとは分離したカートリッジアセンブリのチップ上に提供されることができる。チップは、カートリッジと共に入手されうる(例えば同じパッケージで販売される)。
【0036】
前記特定の実施形態の他の見地によれば、センサは、
−カートリッジアセンブリに埋め込まれる磁性粒子を操作するために、磁気プロトコルに従って磁気力を生成する生成手段と、
−カートリッジアセンブリに提供される特定の磁気駆動プロトコルに関する情報を読み取るように適応されたリーダと、
を備える。リーダは、RFIDタグ、バーコード、2Dバーコード、赤外線送信機及び/又はBluetooth装置を読み取るのに適した任意のリーダでありうる。特に好適には、リーダは、さまざまに異なって提供される情報を読み取るように適応される。
【0037】
全体のバイオセンサ(すなわち前記カートリッジアセンブリ及び前記センサ)が、上述の方法のいずれかを実施するために使用されることができる。特に、バイオセンサは、好適には、情報がカートリッジ上に提供されているか又はチップ上に提供されているか及びどの形式で提供されているかを自動的に検出し、前記検出の結果に従って読み取りを実施するように適応される。カートリッジもチップも、駆動プロトコルに関する必要な情報を提供すべきでない場合、バイオセンサは、プロトコルを実施することを拒否する。従って、情報がカートリッジ上に提供されるソリューションは、チップが利用可能でない(例えば紛失され又は置き間違えられる)場合、テストがなお実施されることができる点でチップにまさる利点を有する。更に、各テストランごとにチップを収容するという付加のステップが、無視されることができる。一般に、ステップ数及び複雑さの各々の低減は、テストの信頼性及び使いやすさを改善する。
【0038】
概して、駆動プロトコルは、多くの場合、カートリッジ群の全体について同じである。従って、カートリッジ群と共にただ1つのチップを提供することが可能でありうる。
【0039】
本発明は更に、センサ内の磁性粒子の磁気操作を実施する方法であって、
a)請求項1に記載のカートリッジアセンブリを準備するステップであって、カートリッジアセンブリが、
−カートリッジ群であって、各カートリッジが、
・検出されるべき少なくとも1つのタイプのアナライトと結合することが可能な磁性粒子と、
・センサによるアナライトの検出の観点で磁性粒子及び/又はアナライトを捕捉する捕捉手段を含むように処理された又は処理される検知表面と、
・識別参照と、
を有する、カートリッジ群と、
−前記カートリッジ群に対応するチップであって、センサによって読み取り可能な形式の磁気プロトコルに対応する情報を記憶し、任意にはカートリッジ群を識別するカートリッジ群参照を記憶する記憶手段を有するチップと、
を有する、ステップと、
b)カートリッジの少なくとも一部をその中に受け入れることが可能であるとともに、磁性粒子の対応する磁気操作を実施するための磁気プロトコルに従って磁気力を生成する生成手段を有するセンサを準備するステップと、
c)チップから磁気プロトコルに関する情報及び任意のカートリッジ群参照を読み取るステップと、
d)磁気プロトコル及び任意のカートリッジ群参照を記憶するステップと、
e)前記カートリッジ群のカートリッジの少なくとも一部をセンサ内に配置するステップと、
f)カートリッジから対応する識別参照を読み取るステップと、
g)識別番号に関する情報を記憶するステップと、
h)読み取られた識別番号に従って磁気操作を実施するステップと、
を含む方法に向けられる。
【0040】
言い換えると、磁気駆動プロトコルに関する情報は、カートリッジ群に対応するチップ上に一度だけ提供される。その後、情報は、バイオセンサに記憶される。プロトコルに関する情報と共に、対応するカートリッジ群を示す識別番号が記憶される。こうして、特定のカートリッジ群のカートリッジが、バイオセンサに導入されるときはいつも、カートリッジ群が、カートリッジ上に提供される識別番号を介して識別されることができる。バイオセンサは、単に、カートリッジ上に提供される識別番号を、駆動プロトコルに関する情報と共に記憶される識別番号と突き合わせる。従って、バイオセンサは、正しい又は対応するプロトコルを選択することができ、特定のカートリッジ群に属するカートリッジに適した磁気駆動プロトコルを実施することができる。
【0041】
すでに前述したように、磁気駆動プロトコルに関する情報は、好適には、以下の1又は複数を含む:各生成手段(例えば磁石)の周波数、振幅、デューティサイクル、極性及び/又はステータス;繰り返しサイクルの数;シーケンスの組み合わせ、タイプ及び/又は持続時間。好適には、情報は、チップからワイヤレスに及び/又は光学的に及び/又は電子的に読み取られる。更に好適には、カートリッジ上に提供される識別番号が、ワイヤレスに及び/又は光学的に及び/又は電子的に読み取られる。
【0042】
更に、カートリッジ群あたりのカートリッジの数が、識別番号と共に記憶されることも企図される。こうして、カートリッジ群の最後のカートリッジが使用されると、前記カートリッジ群に対応する駆動プロトコルに関する情報が、バイオセンサの記憶手段から削除されることができる。
【0043】
本発明は、従来技術にまさる幾つかの利点を提供する。重要な利点は、各テスト及び生成されたカートリッジの各ロットごとに、駆動プロトコルをカスタマイズする能力である。付加の重要な利点は、誤った結果を得る可能性の低減である。ユーザは、特定のテストタイプ及びその特徴に注意に支払う必要はない。ユーザが行う必要がある全ては、テストをリーダに挿入することである。リーダは、カートリッジ及び/又はチップ上の駆動プロトコル情報をスキャンし、正しいアッセイテスト方法を実施する。このような技法は、製品が例えば非技術的なユーザによる使用のために規制団体CLIAによる承認を予定される場合、重要である。
【0044】
本発明のバイオセンサのセンサは、例えばセンサが磁気的方法(例えば磁気抵抗、Hall、コイル)、光学的方法(例えばイメージング、蛍光、化学ルミネセンス、吸収、散乱、エバネセント場技法、表面プラスモン共鳴、ラマン、その他)、音波検出(例えば表面音響波、バルク音響波、カンチレバー、水晶等)、電気的検出(例えば導通、インピーダンス、アンペア測定、レドックスサイクリング)、これらの組み合わせ等によって検出することができる粒子の任意の特性に基づいて、磁性粒子及び/又はアナライトの存在を検出するための任意の適切なセンサでありうる。
【0045】
1つの特に好適なセンサは、漏れ内部全反射(FTIR)又は巨大磁気抵抗効果(GMR)検出の技法に基づく。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】バイオセンサの斜視図。
【図2】図1のバイオセンサの概略的な長手断面図。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、センサ10及びセンサ10に導入されるカートリッジ20を有するバイオセンサを概略的に表す。
【0048】
図2は、バイオセンサを概略的に表す。
【0049】
カートリッジ20は、生物学的サンプル(例えば尿、唾液又は血液)を受け入れ、流体経路を介して(例えば毛管現象チャネルによって又は横方向フローを通じて)検出ロケーション24(又は、チャンバ24)にそれをフローさせる手段を有する。磁性粒子(例えば各磁性粒子が、例えば検出ロケーション又はチャンバに又は流体経路に乾燥状態で与えられる、ポリマ材料に埋め込まれる超常磁性素子である)は、流体経路又は検出ロケーション24においてサンプルと混合され又は該サンプル内で分散される。これらの磁性粒子は、検出すべき少なくとも1つのタイプのアナライトに特異的に結合するように構成される結合手段(例えば抗体、抗原、リガンド)を具える。検出ロケーション24は更に、アナライト(サンドイッチアッセイ構造)又はアナライトに結合されない磁性粒子(競合アッセイ構造)を捕捉するように構成される捕捉手段22を有する検知表面25を具える。
【0050】
カートリッジ20は、磁気プロトコルを含む情報を記憶する記憶手段23を更に有する。この記憶手段23は、任意の種類の磁気プロトコルを記憶することができるとともに、センサ10によって読み取り可能である任意の種類の記憶手段でありうる。この記憶手段は、上述した記憶手段の1つでありうる(例えばRFIDタグ、バーコード、2Dバーコード、フラッシュメモリのようなソリッドステート電子記憶装置、集積回路カード又はそれらの任意の組み合わせ)。代替として、この記憶手段23は、カートリッジ20から分離したチップ内に埋め込まれることができ、カートリッジアセンブリの一部でありうる(例えばカートリッジ20及び記憶手段は、同じパッケージで販売される);この場合、チップは、センサ10のすぐ近くに位置するとき又はセンサ10の専用の場所に挿入されるとき、動作することができる。磁気プロトコルは、カートリッジ20に埋め込まれたコンポーネントの仕様、製造条件、カートリッジ上で実施される測定の条件又は他のパラメータを考慮して、カートリッジ20の製造中又は製造後に記憶手段23に記憶されることができる。
【0051】
センサ10は、磁気力を磁性粒子21に印加して磁性粒子を操作するために、カートリッジ20の検出ロケーション24の片側に又は両側に配置される或る数(例えば2、3又は4)の電磁石11−12を有する。操作は、さまざまな異なるステップを含むことができる;例えば:磁性粒子がサンプル中のアナライトと結合することを可能にするために磁気力を印加しない;検知表面25の方へ磁性粒子を引き寄せるために磁気力を印加する;検知表面25から、検知表面25に結合していない磁性粒子を反発させる磁気洗浄;検出を可能にするために磁気力を印加しない。
【0052】
センサ10は更に、記憶手段23から磁気プロトコルを読み取ることが可能なリーダ13と、磁気プロトコルを記憶する記憶手段14(例えば電子メモリ)と、記憶された磁気プロトコルに従って電磁石11−12を制御する処理手段(例えばコントローラ、プロセッサ)と、を備える。従って、磁気プロトコルは、ユーザ又は技術専門家が行動する必要なく、すなわちセンサ10に記憶された磁気プロトコルを訂正する必要なく、使用されるタイプのカートリッジ20に関して具体的に仕立てられる。
【0053】
センサ10は、好適には、よく知られた技法を使用する検出手段(例えばFTIR又は蛍光検出のような光学的検出、又は例えばGMR技法を使用する磁気的検出)を備える。
【0054】
記憶手段23は更に、アナライトに関する情報(例えば検知表面25に結合されたアナライトの量)を取り出すために、検出手段によって検出された信号を較正するために使用される較正データを記憶することができる。
【0055】
特定の実施形態において、カートリッジ10は、カートリッジ群の一部であり、記憶手段23は更に、カートリッジを識別するための参照を記憶する。代替として、記憶手段23が、カートリッジ20から分離した(前述したように)チップ内にある場合、この記憶手段が更に、カートリッジ群を識別する参照を記憶することができ、各カートリッジは、それを識別するための参照を記憶する第2の記憶手段を備えてもよい。更にリーダ13に加えて、センサ10は、カートリッジ20の参照を検出するための第2のリーダ(図示せず)を備えることもでき、又は代替として、同じリーダ13が、カートリッジの参照を検出し、チップの記憶手段23に含まれる情報を検出するために、使用される。
【0056】
本発明は、上述の説明において詳しく示され記述されているが、このような記述は、制限的なものではなく、説明的な又は例示的なものとして考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に制限されない。特に、本発明は、磁性粒子が、標識としてではなく、生物学的分子の操作(例えば分子抽出、輸送、濃度増加、精製、及びその他)のための担体として使用される他のバイオセンシングアッセイをも含む。例は、核酸検出/アッセイにおいて見出されることができる。この場合は更に、正確な磁気粒子の動きが必要とされ、駆動プロトコルを含むカートリッジが有利である。
【0057】
開示された実施形態に対する他の変更は、開示及び添付の請求項の検討から、請求項に記載の本発明を実施する際に当業者によって理解され、達成されることができる。請求項において、「含む、有する」という語は、他の構成要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数性を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項に列挙されるいくつかのアイテムの機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。請求項における任意の参照符号は、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気供給体を有する処理装置と共に使用されるマイクロフルイディック装置であって、
前記マイクロフルイディック装置は、生物学的サンプルを受け入れ、少なくとも1つの磁性粒子を含むように構成されるとともに、前記処理装置によって読み取り可能な形式の磁気プロトコル情報を含む情報を記憶する記憶手段を有し、
前記磁気供給体は、前記記憶手段から読み取られた前記磁気プロトコル情報に従って、前記磁性粒子に磁気力を生成することが可能である、マイクロフルイディック装置。
【請求項2】
前記マイクロフルイディック装置は、前記磁性粒子及び/又は前記生物学的サンプルに含まれるアナライトを特異的に捕捉するための捕捉粒子を含む検知表面を有するチャンバを有し、前記磁性粒子は、前記アナライトと特異的に結合するように構成され、前記マイクロフルイディック装置は、前記検知表面に結合される磁性粒子の存在が、前記処理装置に設けられる検出器によって検出されることができるように、構成される、請求項1に記載のマイクロフルイディック装置。
【請求項3】
前記チャンバは、前記生物学的サンプルが前記チャンバに受け入れられる場合に前記生物学的サンプル中に分散されるように、前記チャンバに乾燥状態で含められる少なくとも1つの磁性粒子を含む、請求項1又は2に記載のマイクロフルイディック装置。
【請求項4】
前記マイクロフルイディック装置は、前記チャンバが前記磁気供給体のすぐ近くに位置するように、前記処理装置に少なくとも部分的に導入され保持されるように構成される、請求項1に記載のマイクロフルイディック装置。
【請求項5】
前記マイクロフルイディック装置は、前記記憶手段を具えるチップを有し、
前記チップは、前記チップが前記処理装置のすぐ近くの又は前記処理装置内の適当なロケーションに配置される場合に前記処理装置が前記記憶手段から自動的に前記情報を読み取ることができるように、構成される、請求項1に記載のマイクロフルイディック装置。
【請求項6】
前記情報は、RFID情報、バーコード、2Dバーコード、フラッシュメモリのようなソリッドステート電子記憶装置、集積回路カード又はそれらの任意の組み合わせの形で提供される、請求項1に記載のマイクロフルイディック装置。
【請求項7】
前記情報を記憶するRFIDタグと、前記処理装置に前記情報を送るRFエミッタと、を有する、請求項1に記載のマイクロフルイディック装置。
【請求項8】
前記RFIDタグが読み取り/書き込みタグである、請求項7に記載のマイクロフルイディック装置。
【請求項9】
前記RFIDタグが受動又は能動タグである、請求項7に記載のマイクロフルイディック装置。
【請求項10】
前記情報は、
各生成手段の周波数、振幅、デューティサイクル、極性及び/又はステータス;
前記マイクロフルイディック装置に対する前記磁気供給体の位置;
前記磁気力の繰り返しサイクルの数;
磁気シーケンスの組み合わせ、タイプ及び/又は持続時間、
の1又は複数を含む、請求項1に記載のマイクロフルイディック装置。
【請求項11】
マイクロフルイディック装置のチャンバに受け入れられる生物学的サンプル中の磁性粒子を操作する処理装置であって、
前記磁気粒子を操作するために、少なくとも1つの磁気プロトコルに従って少なくとも1つの磁界を生成する磁気供給体と、
前記マイクロフルイディック装置に含まれる記憶手段から、前記磁気プロトコル情報を含む情報を読み取るリーダと、
前記リーダ及び前記磁気供給体と共に、前記読み取られた磁気プロトコル情報に従って前記磁気供給体を制御するプロセッサと、
を有する処理装置。
【請求項12】
前記リーダは、前記マイクロフルイディック装置からRF形式の情報を受け取るRF受信機を有する、請求項11に記載の処理装置。
【請求項13】
前記マイクロフルイディック装置にRFIDデータを送るRFエミッタを有する、請求項12に記載の処理装置。
【請求項14】
前記リーダが、前記マイクロフルイディック装置の前記記憶手段内のバーコードを読み取る光学的リーダを有する、請求項11に記載の処理装置。
【請求項15】
磁性粒子を操作するシステムであって、
少なくとも1つの磁気プロトコルに従って少なくとも1つの磁界を生成する磁気供給体を有する処理装置と、
前記処理装置と共に使用されるマイクロフルイディック装置であって、生物学的サンプルを受け入れ、前記磁気供給体によって磁気的に操作されることが可能な少なくとも1つの磁気粒子を含むように構成されるマイクロフルイディック装置と、
を有し、
前記マイクロフルイディック装置は、前記処理装置によって読み取り可能な形式の磁気プロトコル情報を含む情報を記憶する記憶手段を有し、
前記処理装置は、前記マイクロフルイディック装置が前記処理装置と共に使用される場合に前記記憶手段から前記磁気プロトコル情報を読み取ることが可能なリーダと、前記リーダ及び前記磁気供給体と共に、前記読み取られた磁気プロトコル情報に従って前記磁気供給体を制御するプロセッサと、を有する、システム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−521558(P2012−521558A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501449(P2012−501449)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051206
【国際公開番号】WO2010/109392
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】