説明

生物学的水処理設備からの汚泥の処理方法および設備

本発明は、余剰汚泥の発生につながる少なくとも1つの流出物生物学的浄化処理施設から得られる余剰汚泥を処理する方法であって、前記方法は、少なくとも1つの可溶化ステップ(4)と、少なくとも1つの汚泥消化ステップ(5)とを含む方法を提供する。前記方法は、少なくとも1つの可溶化汚泥に対する固液分離ステップ(6)、その後、液体分画に対する少なくとも部分的に消化ステップ(5)にかけられ、その後、前記汚泥生物学的処理の上流に送られ、一方、前記可溶化汚泥の固体分画は前記可溶化ステップ(4)に再度送られることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流出物、たとえば、排他的なものではないが特に都市廃水または工業廃水の生物学的浄化処理の分野に関する。より正確には、本発明は、これらの流出物の生物学的処理中に発生する汚泥の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
この種類の生物学的処理方法は、浄化すべき流出物と、その内部にある汚染物質を分解することができるバイオマスとを接触させることからなる。このような処理を使用すると、バイオマス量が徐々に増加し、余剰バイオマスを除去する必要性も増してくる。この余剰バイオマスを、以降「余剰汚泥」と呼ぶ。
【0003】
流出物の生物学的処理において発生する重要な問題の1つは、これらの余剰汚泥量が増加し続けていることにある。
【0004】
これらの量を削減するために種々の技術的解決法が考えられている。
【0005】
このような技術としては、焼却、乾燥、湿式酸化(OVH)、農業において使用することができる製品を得るための化学的および生物学的処理、消化、言い換えると実質的なメタン化(または嫌気性消化)、好熱性好気性安定化、または菌類の使用が挙げられる。
【0006】
メタン化および好熱性好気性消化は、余剰汚泥に含まれる揮発性物質(MV)の一部を分解することによって余剰汚泥の体積を減少させる。この分解は、汚泥の初期量の50%程度に達することができる。この揮発性物質の減少以外に、これらの方法は、余剰汚泥の消化および衛生化につながる。
【0007】
予備的な処理ステップによって、汚泥の消化効率を増加させる提案が、すでに最新技術において行われている。
【0008】
したがって、たとえば、嫌気性消化装置の上流側において、前記汚泥に対する機械的粉砕、または超音波処理からなる予備的な処理を行うことが提案されている。
【0009】
これらの予備的な処理は消化装置中の汚泥の滞留時間を短縮しながら、汚泥中の揮発性物質の大きな減量を維持する。しかし、この種類の予備的な処理は、せいぜい汚泥中の揮発性物質の60%を除去することからなり、このため、消化後に残留する余剰汚泥の除去が必要となる。さらに、比較的高価な装置を使用する必要がある。
【0010】
オゾンの作用に基づく別の解決法も提案されている。たとえば、欧州特許出願公開第0645347号明細書に記載の方法では、余剰汚泥の発生を減少させるために、生物学的処理槽中に再循環された混合液に対してオゾンを作用させることが開示されている。この技術の主要な欠点は、強力な酸化剤であるオゾンの使用に固有の難しさと、その実施のための費用である。
【発明の開示】
【0011】
本発明の主目的は、流出物の生物学的処理で発生する余剰汚泥の処理方法を提案することであり、これによって、必要であれば余剰汚泥の発生を大きく軽減することができる。
【0012】
この目的は、汚泥に対する少なくとも1つの可溶化ステップと、少なくとも1つの消化ステップとを含む種類の、余剰汚泥の発生につながる流出物の生物学的浄化処理のための少なくとも1つの設備から発生する余剰汚泥の処理方法であって、当該方法が、前記可溶化させた汚泥に対する少なくとも1つの固液分離ステップを含み、その後、その液体分画が少なくとも部分的に消化ステップにかけられ、その後、前記流出物に対する前記生物学的処理の上流側に送られ、一方、可溶化された汚泥の固体分画は、前記汚泥に対する前記可溶化ステップに再度送られることを特徴とする方法を開示する本発明によって実現される。
【0013】
本発明による方法を使用すると、消化時間が大きく短縮される。液相の消化には、約1日しか必要とせず、液相の消化が固相と混合されて実施する必要がある場合の約15〜20日とは対照的である。この程度の消化時間が、汚泥中に含まれる乾燥物質の加水分解に必要となる。
【0014】
さらに、好都合なことに、液相のみの消化は、消化のために必要な装置をより小型化することができることを意味する。可溶性CODに対する反応を実施するために必要な滞留時間は、粒子状CODの分解に必要な滞留時間よりも短いためである。
【0015】
さらに、消化装置は、比較的少ない乾燥物質を含有する相を処理する。これによって、設備費および運転費が削減され、より高い含有率で乾燥物質を含有する大量の処理が必要な消化装置よりも低い能力の消化装置を使用することが可能となる。
【0016】
この説明においては、用語「消化」とは、バイオマスによって汚泥を分解するための、当業者に公知のあらゆる方法を意味する。特に、この用語は以下のものを含む。
−嫌気性消化、メタン化とも呼ばれ、汚泥の有機分子をCO2、CH4、およびNH3に分解する。嫌気性消化は、中温性、すなわち、30℃〜37℃で変動する温度で実施することができるし、または好熱性、すなわちより高温で実施することもできる。
−好熱性好気性安定化、45℃〜70℃、好ましくは50℃〜65℃の温度で実施され、空気を撹拌槽に注入することによって実施される生物学的酸化からなる。
【0017】
一変形の解決法によると、本発明の方法は、前記汚泥が前記可溶化ステップに送られるよりも上流側において、前記固体分画を可溶化するための補足的な中間ステップを含む。この補足的な可溶化ステップでは、補足的な手段を使用することによって可溶化を促進するために、好ましくは、前記汚泥に対する主要な可溶化ステップで使用されるものとは異なる可溶化手段が使用される。したがって、前記汚泥に対する可溶化ステップで熱加水分解が可溶化手段として使用される場合、前記固体分画の中間可溶化ステップでは、機械的可溶化手段(超音波または粉砕など)または化学的可溶化手段(たとえばオゾンまたは酸など)を使用することができる。
【0018】
このようにして、本発明の方法によって、汚泥の発生をさらに軽減することができ、または完全に解消することさえできる。
【0019】
有利な解決法の1つによると、本発明の方法は、前記汚泥の前記主要可溶化ステップの上流側において、前記汚泥に対する濃縮ステップ、または脱水ステップさえを含む。
【0020】
この場合、前記濃縮ステップにおけるオーバーフローは好ましくは、前記流出物に対する前記生物学的処理の上流側に送られる。
【0021】
この方法による汚泥の濃縮によって、可溶化ステップが最も効果的となる。
【0022】
有利には、前記濃縮ステップが、ポリマーを添加することによって行われる。
【0023】
ポリマーの使用によって、汚泥の濃縮を促進することができる。
【0024】
濃縮の代わりに、汚泥の脱水を行うこともでき、これは特に、計画される可溶化ステップが熱加水分解である場合に特に実現可能である。
【0025】
好ましい解決法の1つによると、前記可溶化ステップが、以下の群の少なくとも1つのステップを含む。
−酸化性または非酸化性熱加水分解(熱加水分解とは、熱の作用下における粒子状有機材料の可溶化を意味する)。この加水分解は、酸化剤を使用または使用せずに行うことができる);
−化学的加水分解(酸、塩基、オゾン、または過酸化水素を使用);
−生物学的加水分解;
−酵素的加水分解;
−超音波処理;
−粉砕;
−電気穿孔法。
【0026】
これらの技術の数種類を組み合わせることによって、汚泥をさらに減少させることができる。
【0027】
好ましい解決法の1つによると、前記熱加水分解ステップが、50℃〜180℃の温度、および2〜40バールの圧力で実施される。
【0028】
好ましくは、前記熱加水分解ステップが、約175℃の温度および約15バールの圧力で実施される。
【0029】
熱加水分解ステップにおいて本発明で推奨される温度および圧力の条件は、湿式酸化(OVH)反応で一般に使用される条件よりもはるかに穏やかであり、後者の条件では、有機材料を破壊する目的で180℃〜300℃の温度、および最高で120バールの圧力が通常使用される。これらの条件は、バイオマスを非活性化させる可能性があり、これによって、細胞膜が破壊され、細胞液が可溶化して放出されるが、驚くべきことに、消化ステップにおいて除去することができず、このステップの機能を妨害し、そのため除去すべき汚泥の量の削減の可能性を制限する不溶性無機残留物(酸化物、カーボネート、サルフェートなど)が、大量に生成することはない。
【0030】
有利には、前記熱加水分解ステップは、10〜180分間実施される。好ましくは、前記熱加水分解ステップは約30分間実施される。
【0031】
しかし、上記で推奨される熱加水分解ステップは、特に処理される流出物に依存して、処理時間を変動させて使用することができる。
【0032】
有利には、前記酸化性熱加水分解ステップが、以下の群に属する少なくとも1つの酸化剤を使用して実施される。
−空気;
−酸素;
−酸素に富む空気;
−過酸化水素;
−オゾン。
【0033】
第1の実施形態によると、前記消化ステップが嫌気的である。
【0034】
第2の実施形態によると、前記消化ステップが好気的である。
【0035】
いずれかの実施形態によると、前記消化ステップが中温型(mesophilic)である。
【0036】
一別法によると、前記消化ステップが好熱型(thermophilic)である。
【0037】
いずれの場合でも、前記消化ステップは、有利には、遊離培養および/または固定培養を使用して実施される。
【0038】
有利には、前記消化ステップは1日〜20日間実施される。好ましくは、前記消化ステップは1日〜5日間実施される。
【0039】
本発明による方法を使用すると、消化ステップに必要な時間を、数日程度またはわずか1日までに大きく短縮することができ、可溶化させた汚泥を直接消化するために必要な時間の約20日とは異なる。
【0040】
好ましい解決法の1つによると、前記固液分離ステップが、遠心分離および/または濾過および/または脱水および/または沈降によって実施される。
【0041】
したがって、得られる結果は、特に沈降に関する他の技術よりもはるかに優れている。
【0042】
好ましくは、前記固液分離ステップは、凝集材を加えることによって実施される。
【0043】
本発明の一変形によると、生物学的処理は、分離膜技術と関連している。
【0044】
この種類の添加は、遠心分離効率の改善に役立つ。
【0045】
本発明は、生物学的流出物浄化ユニットを有し、前述のような方法を実施するための設備であって、
−前記汚泥に対する少なくとも1つの可溶化ユニットと、
−前記可溶化ユニットの上流側にある少なくとも1つの固液分離ユニットと、
−少なくとも1つの消化装置と、
を有し、
−前記固液分離ユニットから産出された液体分画を、前記消化装置に送る手段と、
−前記固液分離ユニットから産出された固体分画を、前記汚泥に対する前記可溶化ユニットに送る手段と、
−前記消化された液体分画を、前記流出物に対する前記生物学的処理ユニットに送る手段と、
を有することとを特徴とする設備にも関する。
【0046】
有利な解決法の1つによると、前記固液分離ユニットが、以下の手段の少なくとも1つを有する。
−加圧フィルター、
−遠心分離機、
−脱水テーブルまたはスクリュー、
−膜、
−降槽。
【0047】
好ましくは、前記可溶化ユニットが少なくとも1つの熱加水分解ユニットを有する。
【0048】
この酸化性熱加水分解ユニットは、非酸化性熱加水分解、化学的加水分解、生物学的加水分解、酵素的加水分解、超音波処理または粉砕などの他の可溶化技術で置き換えたり、これらと併用したりすることができる。
【0049】
第1の実施形態によると、前記可溶化ユニットが撹拌反応器を有する。
【0050】
第2の実施形態によると、前記可溶化ユニットが非撹拌反応器を有する。
【0051】
いずれの実施形態においても、前記消化装置は、固定培養型および/または遊離培養型である。
【0052】
したがって、消化は、ある1つの形態または他の形態、あるいは複合形態となりうることが理解できる。
【0053】
第1の変形によると、前記消化装置が、規則的なライニング(ordered lining)を有する種類のものである。
【0054】
別の変形によると、前記消化装置が、一体となったライニング(bulk lining)を有する種類のものである。
【0055】
好ましくは、前記消化装置が、ペレットを有する上昇流嫌気性汚泥床(UASB)型である。
【0056】
有利な解決法の一つによると、本発明の設備は、前記可溶化ユニットの上流側に、前記汚泥に対する少なくとも1つの濃縮装置を有する。
【0057】
この場合、本発明の設備は、前記濃縮装置から得られるオーバーフローを、前記流出物に対する前記生物学的浄化ユニットに送る手段を含む。
【0058】
有利には、本発明の設備は、前記汚泥に対する前記可溶化ユニットの上流側に、前記固体分画を可溶化するための中間ユニットであって、前記汚泥に対する可溶化ユニットに使用されるものとは異なる可溶化手段を有する中間ユニットを有する。
【0059】
本発明の他の特徴および利点は、以下の本発明による方法に使用される設備の2つの実施形態、およびこの設備を使用して行われる試験の説明、ならびに添付の図面を見ることによって、より明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
図1に示される設備を使用して、たとえばいわゆる活性汚泥方法を使用する生物学的処理設備1からの余剰汚泥を処理した。生物学的処理設備は、活性汚泥に限定されるものではなく、生物学的方法を、浸漬または非浸漬膜型(膜バイオリアクターの名称で知られている方法)であってよい膜分離技術と組み合わせる方法、または固定培養を用いる方法、複合培養を用いる方法にも利用可能である。
【0061】
一変形によると、前記設備は、膜(精密濾過、限外濾過、ナノ濾過)上の分離手段も有する。
【0062】
従来、生物学的処理設備は、清澄器2に連結され、この出口において、処理された水がパイプ3を通って回収される。図3に示される別の実施形態においては、この清澄器が膜を有することができる。
【0063】
この設備は、清澄器2からパイプ21を通る余剰汚泥のための熱加水分解ユニット4と、消化装置5とをも含む。
【0064】
本発明によると、熱加水分解ユニット4で可溶化された余剰汚泥が、固液分離ユニット6に送られ、ここで、可溶化された汚泥が、パイプ61を介して送られる液体分画と、固体分画62とに分離される。この固液分離ユニット6は、遠心分離などの脱水ステップを含む。
【0065】
液体分画は、パイプ61を介して消化装置5に送られた後、パイプ51を介して生物学的処理設備1に再度送られ、一方、固相はパイプ621を介して熱加水分解ユニット4に再度送られる。
【0066】
さらに、パイプ212が使用されて、清澄器2からの余剰汚泥の一部が直接生物学的処理設備1に再度送られる。
【0067】
固液分離ユニット6からのパイプ62から出てくる固相からの抽出は、抽出手段622を使用して実施することができる。
【0068】
図2に示される第2の実施形態によると、図1を参照して説明される装置と同一または類似した手段以外に、この設備は、パイプ211を介して送られた余剰汚泥のための濃縮装置7を含む。
【0069】
濃縮装置7は、濃縮スクリューと、これと連結したスクリューの上流側でポリマーを添加する手段とで構成される。
【0070】
この実施形態によると、濃縮装置からのオーバーフローは、パイプ72を介して生物学的処理設備または消化5に送られ、一方、アンダーフローはパイプ71を介して熱加水分解ユニット4に向けられる。
【0071】
今述べた第1および/または第2の実施形態の変形によると、分離ユニット6からの固相を可溶化し、パイプ621を介して熱加水分解ユニット4まで送るためのユニット4’を有することが可能であることを留意すべきである。
【0072】
このユニット4’では好ましくは、ユニット4で使用されるものとは異なる手段が使用される。これらの変形は図3および4に示されている。
【実施例】
【0073】
図2を参照して説明した装置の運転方法により試験を行った。結果を以下に示す。
【0074】
長期間通気されて運転される生物学的処理槽が取り付けられた都市残留水処理ステーションからの汚泥について試験を行った。これらの汚泥の濃度は濃縮前で4〜5gSS/Lである。
【0075】
濃縮スクリューを使用して濃縮を行いながら、上流側でポリマーを添加する(乾燥物質1トン当たり5〜6kgのポリマー)。濃縮して得られた汚泥の品質は以下の通りである。
−乾燥物質MS(g/L) 35〜50
−懸濁固形物SS(g/L) 34〜49
−全COD(mgO2/L) 35000〜50000
−可溶性COD(mgO2/L) 800〜1000
−全可溶性窒素(mg/L) 7〜15
−アンモニウム(mg/L) 1〜5
−全可溶性リン 10〜12
−ホスフェート(可溶性)(mg/L) 8〜10
−揮発性物質 乾燥物質の70〜75%。
【0076】
熱加水分解処理は、濃縮した汚泥に対して以下のように行うことができる。
温度: 175℃
圧力: 15バール
2/全COD比: 0.1
滞留時間: 40分
反応器容積: 400リットル。
【0077】
濃縮された汚泥の熱加水分解後の性質は以下の通りである。
乾燥物質MS(g/L) 35〜50
懸濁固形物SS(g/L) 25〜35
全COD(mgO2/L) 35000〜50000
可溶性COD(mgO2/L) 12000〜18000
全可溶性窒素(mg/L) 900〜12000
アンモニウム(mg/L) 200〜250
全可溶性リン 180〜200
ホスフェート(可溶性)(mg/L) 160〜180
揮発性物質 乾燥物質の60〜65%。
【0078】
固液分離試験を実験室で行った。熱処理した汚泥が十分に沈降しないことが観察されている。結果として、固液分離ステップのために遠心分離を選択した。
【0079】
ポリマーを添加せずに、遠心分離試験を実験室で実施すると、以下の性質を有する上澄み(または浮遊物)が得られた。
全COD(gO2/L) 15.7
可溶性COD(gO2/L) 16.1
乾燥物質(mg/L) 14300
懸濁固形物(mg/L) 540
【0080】
分離後、懸濁固形物の大部分を含有する固相が熱加水分解で再利用される。
【0081】
再循環のシミュレーション試験を、これらの懸濁固形物の可溶化を最大限にするために小型オートクレーブを使用して実験室で実施した。実験計画は以下の通りであった。
−濃縮した汚泥の熱処理(熱加水分解1)、
−遠心分離による固液分離、
−固相の熱処理(熱加水分解2)、
−遠心分離による固液分離、
−固相の熱処理(熱加水分解3)、
−など。
【0082】
7回の熱処理を連続して行い、そのそれぞれの間に汚泥を遠心分離した後、乾燥物質の可溶化を観察した。
【0083】
懸濁固形物の可溶化の結果は以下の通りである。
【表1】

熱処理nにおける可溶化(%)=(処理された汚泥の可溶性COD)/(処理された汚泥の全COD)
累積可溶化(%)=(n回目の熱処理後に可溶化されたCOD)/(初期の濃縮された汚泥の全COD)
【0084】
さらに、固液分離ステップ6から産出された液相に関して、生物学的処理試験を実験室で行った。
【0085】
これらの試験を、以下の流出物に対して実施した。
乾燥物質MS(g/L) 11.7
懸濁固形物SS(g/L) 0.61
揮発性物質MV(g/L) 9.7
懸濁揮発性物質MVS(G/L) 0.54
COD(gO2/L) 15.5
生物学的処理の種類:
−温度:30℃
−種類:液相上のメタン化
−pH:6.7〜7
CODの減少:70%。
【0086】
結論として、本発明によるこの種類のラインは、濃縮された汚泥のCODを大きく可溶化することができ(>60%)、この結果、次にこの可溶性CODを、消化ステップを介して減少させることができる。
【0087】
ラインの上流側で濃縮した汚泥は、35〜50g/Lの濃度の全CODと、35〜50g/Lの乾燥物質とを有した。ラインの下流側からステーション入口に戻された流出物は、4〜5g/Lの濃度の全CODと、5〜6g/Lの乾燥物質とを有した。
【0088】
可溶化されなかった懸濁固形物は、パージ点においてラインから抽出される。このパージは、ラインに入る乾燥物質の20〜40%である。結果として、発生した汚泥中の乾燥物質の減少は60%を超える。
【0089】
最後に、パイプ51を介して生物学的処理設備の入口に戻された相に対して水中でオゾン化ステップを行って、たとえば水を脱色することができる。
【0090】
大部分の懸濁固形物は、パイプ51を介するこの再循環物から分離されているため、処理に必要なオゾン消費は、全体の汚泥再循環物の処理に必要となる量よりも、はるかに少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】余剰汚泥が固液分離ユニットに向かう直前に可溶化される設備を示す。
【図2】余剰汚泥が、安定化される前に、あらかじめ濃縮または脱水される、本発明にかかる設備の第2の実施形態を示す。
【図3】可溶化された余剰汚泥の固体分画が、前に使用された手段とは異なることが好ましい別の可溶化を受ける、本発明にかかる設備の第一の実施形態を示す。
【図4】可溶化された余剰汚泥の固体分画が、前に使用された手段とは異なることが好ましい別の可溶化を受ける、本発明にかかる設備の第一の実施形態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥に対する少なくとも1つの可溶化ステップと、少なくとも1つの消化ステップとを含む種類の、余剰汚泥の発生につながる流出物の生物学的浄化処理のための少なくとも1つの設備から発生する余剰汚泥の処理方法であって、
前記方法が、前記可溶化させた汚泥に対する少なくとも1つの固液分離ステップを含み、その後、その液体分画が、少なくとも部分的に消化ステップにかけられ、その後、前記流出物に対する前記生物学的処理の上流側に送られ、可溶化された汚泥の固体分画は、前記汚泥に対する前記可溶化ステップに再度送られることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記汚泥が前記可溶化ステップに送られるよりも上流側において、前記固体分画に対する補足的な中間可溶化ステップであって、前記汚泥に対する前記可溶化ステップで使用されるものとは異なる可溶化手段が使用される中間可溶化ステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記汚泥に対する前記可溶化ステップの上流側において、前記汚泥に対する濃縮または脱水ステップを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記濃縮ステップにおけるオーバーフローが、前記流出物に対する前記生物学的処理の上流側に送られることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記濃縮ステップが、ポリマーを添加することによって実施されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記可溶化ステップが、以下の群、
−酸化性熱加水分解、
−非酸化性熱加水分解、
−化学的加水分解、
−酵素的加水分解、
−生物学的加水分解、
−超音波処理、
−粉砕、
−電気穿孔法、
の少なくとも1つのステップを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記熱加水分解ステップが、50℃〜180℃の温度、および2〜40バールの圧力で実施されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記熱加水分解ステップが、約175℃の温度および約15バールの圧力で実施されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記熱加水分解ステップが、10〜180分間実施されることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記熱加水分解ステップが、約30分間実施されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記酸化性熱加水分解ステップが、以下の群、
−空気、
−酸素、
−酸素に富む空気、
−過酸化水素、
−オゾン、
に属する酸化剤を少なくとも1つ使用して実施されることを特徴とする請求項6から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記消化ステップが嫌気的であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記消化ステップが好気的であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記消化ステップが中温型であることを特徴とする請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記消化ステップが好熱型であることを特徴とする請求項12または13に記載の方法。
【請求項16】
前記消化ステップが、有利には、遊離培地および/または固定培地を使用して実施されることを特徴とする請求項12から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記消化ステップが、1日〜20日間実施されることを特徴とする請求項12から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記消化ステップが、1日〜5日間で施されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記固液分離ステップが、遠心分離、濾過、脱水、沈降によって実施されることを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記固液分離ステップが、凝集材を加えて実施されることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記生物学的処理において、分離膜技術と関連した生物学的方法が使用されることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
生物学的流出物浄化ユニット(1)を有し、請求項1から21のいずれか1項に記載の方法を実施するための設備であって、
−前記汚泥に対する少なくとも1つの可溶化ユニット(4)と、
−前記可溶化ユニット(4)の下流側にある少なくとも1つの固液分離ユニット(6)と、
−少なくとも1つの消化装置(5)と、
を有し、
−前記固液分離ユニットから産出された液体分画(61)を、前記消化装置(5)に送る手段と、
−前記固液分離ユニットから産出された固体分画(621)を、前記汚泥に対する前記可溶化ユニット(4)に送る手段と、
−前記消化された液体分画(51)を、前記流出物に対する前記生物学的処理ユニットに送る手段と、
を有することを特徴とする設備。
【請求項23】
前記固液分離ユニット(6)が、以下の手段、
−加圧フィルター、
−遠心分離機、
−脱水テーブルまたはスクリュー、
−膜、
−沈降槽、
の少なくとも1つを有することを特徴とする請求項22に記載の設備。
【請求項24】
前記可溶化ユニット(4)が、少なくとも1つの酸化性または非酸化性熱加水分解ユニットを有することを特徴とする請求項22または23のいずれかに記載の設備。
【請求項25】
前記可溶化ユニット(4)が、撹拌反応器を有することを特徴とする請求項22から24のいずれか1項に記載の設備。
【請求項26】
前記可溶化ユニット(4)が、非撹拌反応器を有することを特徴とする請求項22から24のいずれか1項に記載の設備。
【請求項27】
前記消化装置(5)が、固定培養型および/または遊離培養型であることを特徴とする請求項22から26のいずれか1項に記載の設備。
【請求項28】
前記消化装置(5)が、規則的なライニングを有する種類のものであることを特徴とする請求項22から27のいずれか1項に記載の設備。
【請求項29】
前記消化装置(5)が、一体となったライニングを有する種類のものであることを特徴とする請求項22から27のいずれか1項に記載の設備。
【請求項30】
前記消化装置(5)が、ペレットを有するUASB型であることを特徴とする請求項29に記載の設備。
【請求項31】
前記可溶化ユニットの上流側に、前記汚泥に対する少なくとも1つの濃縮装置(7)を有することを特徴とする請求項22から30のいずれか1項に記載の設備。
【請求項32】
前記濃縮装置(7)からのオーバーフロー(72)を、前記流出物に対する前記生物学的浄化ユニット(1)に送る手段を有することを特徴とする請求項31に記載の設備。
【請求項33】
前記汚泥に対する前記可溶化ユニットの上流側に、前記固体分画を可溶化するための中間ユニットであって、前記汚泥の可溶化ユニットに使用されるものとは異なる可溶化手段を有する中間ユニットを有することを特徴とする請求項22から32のいずれか1項に記載の設備。
【請求項34】
膜上の分離手段(2’)を有することを特徴とする請求項22から33のいずれか1項に記載の設備。
【請求項35】
前記生物学的処理ユニットに戻された液体分画を、オゾン化するための手段を有することを特徴とする請求項22から34のいずれか1項に記載の設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−500198(P2006−500198A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−526978(P2004−526978)
【出願日】平成15年8月5日(2003.8.5)
【国際出願番号】PCT/FR2003/002469
【国際公開番号】WO2004/014809
【国際公開日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願人】(503289595)オテヴェ・ソシエテ・アノニム (25)
【Fターム(参考)】