説明

生物試料の診断検査方法及び装置

生物から得られる試料の診断的検査方法であって、前記試料の音波との相互作用を特徴付ける、前記試料の少なくとも一つの物理量を測定する工程と、少なくとも一つの診断的特徴を取得するために、前記少なくとも一つの物理量を、前記試料又は前記生物の少なくとも一つの状態を特徴付ける基準データと相関付ける工程と、を含む、方法が記載されている。さらに、このような方法を用いて生物試料を検査するための診断装置が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物試料の検査及び診断評価のための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト及び獣医学では、重要な診断方法は、検査すべき生物から取得された試料中の特異的な成分又はマーカー物質の定性的検出又は定量的測定を基礎としている。試料は、身体組織、又は血液、血清、液体、脳脊髄液などの体液から採取され、又は調製される。典型的には、化学分析、電気、磁気又は測光法の結果が、診断的決定の基礎として使用される。一例として、疾病の早期段階においてさえ、特異的な成分の抗体反応に基づいて、癌を検出することができる。
【0003】
従来の診断方法の一般的な欠点は、以下の特徴からなる。それらの技術はかなり単純であるため、それらの結果は、かなり非特異的であり、高度な指標とはならないか、又は、それらの技術は、診断的相関のために必要とされる、特徴的な成分の検出及び定量的推計のために比較的多大な努力を必要とする。
【0004】
体液用の典型的な分析法は、体液の分光検査であるが、試料の濁りによって妨害されることが多い。一例として、脳脊髄液中のタンパク質濃度は、λ=280nmの光学密度(OD)を測定することによって決定できる。試料中の吸光値は、試料中のタンパク質含量が増加するにつれて増大する。しかしながら、この値を病的状態と信頼性よく相関付けるためには、吸光値の特異性は不十分である。
【発明の概要】
【0005】
ヒト又は動物の複雑な疾病についても、診断的な特徴の収集を容易にする新規診断方法及び装置を提供することが、本発明の目的である。
【0006】
この目的は、それぞれ請求項1、請求項15に記載されている特徴を有する方法及び装置によって達成される。本発明の有利な実施態様及び応用は、従属項において特徴付けられる。
【0007】
本発明の第一の側面によれば、診断方法は、生物試料の少なくとも一つの巨視的物理量を決定し、評価する工程を含み、該量が前記試料の力学的又は熱力学的特性(特に、音パラメータ)を特徴付け、前記試料又は対応する生物の少なくとも一つの診断情報の直接的な導出を可能とする。本発明者らは、驚くべきことに、少なくとも一つの物理量の高解像度測定が、高い感度での診断的特徴の決定を可能とすることを見出した。診断すべき生物の疾病その他任意の症状によって引き起こされる、何らかの成分の存在及び濃度の変化が、試料の巨視的な力学的又は熱力学的特性に感度よく影響を与えることを見出した。この結果の予期せぬ高感度の故に、診断的な洞察は、測定された物理量から、高い精度と再現性で直接導出し得る。
【0008】
本明細書において、生物試料又は生物から得られた試料とは、一般に、生きたヒト、動物又は植物から得られた試料を表す。好ましくは、前記生物試料は、生物の組織又は流体(例えば、血液、脳脊髄液)を加工又は調製することによって作製され得る、ヒト又は動物の身体から得られる流体を含む。
【0009】
従来の診断法は、主として、ある種の病的状態にとって特徴的なマーカー物質又は成分の発生又は濃度など、分子レベルでの特性の決定に向けられている。しかしながら、本発明の基礎は、微量であるが、必要不可欠な成分が感度よく推定される、ある種の巨視的物理特性を使用することである。巨視的物理特性には、試料全体の特徴である特性、すなわち、試料を形成する全原子又は分子の集合的特性が含まれる。
【0010】
好ましくは、前記一以上の物理量の評価は、少なくとも一つの診断情報を取得するために、前記試料又は前記生物の少なくとも一つの症状を特徴付ける基準データに、前記量を相関付けることによって提供される。この相関付けに使用される基準データは、さらに、診断すべき疾病を有する個体から収集された測定データ(例えば、光学密度など)又は経験的データを含み得る。
【0011】
診断的特徴又は診断情報という用語は、ある病的状態(疾病又は疾病群)に固有且つ直接的に関連する任意の情報又は化学的/物理的データを表す。この文脈において、例えば血液凝固の測定として、物理量を測定することを基礎とする従来の診断方法は、ある疾病の特徴を示す診断データをもたらさない。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記測定すべき少なくとも一つの物理量は、試料の力学的又は熱力学的特性に密接に関連する物理的パラメータの群に属する。一般に、前記少なくとも一つの物理量は、試料と音波との相互作用を特徴付ける。好ましくは、前記量には、音速、吸音、及び、例えば、音響共振器の少なくとも一つの共鳴周波数、音波の波長、音波の圧縮性、密度及び屈折率などの、直接的に関連する量が含まれる。これらの量を測定する具体的な利点は、対応する高解像度測定方法を利用可能なことである。
【0013】
好ましくは、前記少なくとも一つの物理量は、10−3を上回る相対精度で測定されるが、10−4から10−6を上回る相対精度が特に好ましい。例えば、10−3の相対精度とは、前記少なくとも一つの物理量を、0.1%未満の系統的及び統計的誤差で測定することを意味する。上記相対精度での測定は、導出された診断的相関付けの特異性及び再現性を向上させるという具体的な利点を有する。
【0014】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、少なくとも二つの物理量、好ましくは、一連の物理量が測定されるが、試料の実際の状態は様々である。一例として、前記物理量は、前記試料の様々な温度及び/又は圧力下で、測定される。有利には、この修正は、感度及び特異性の増加をもたらし得る。
【0015】
本発明の方法のさらなる変形によれば、試料値と基準試料値との差又は比のような、いわゆる相対値が測定される。一例として、検査すべき体液、例えば、水又は緩衝溶液中での音速の差が、本発明に従って評価すべき物理量として測定される。相対値を測定することによって、測定の精度をさらに向上させることができる。さらなる修正として、異なる試料条件、例えば、前記試料及び基準試料の異なる温度及び/又は圧力で、前記相対値を測定することもできる。
【0016】
好ましくは、前記試料中で測定された前記少なくとも一つの測定物理量は、測定された少なくとも一つの基準値又はその他の方法で基準系において得られた基準値と、この量を比較することによって評価される。この比較によって、有利には、前記試料の物理的特性が、十分に確立された病的症状に、直接診断的に相関付けられる。一例として、測定された音速又は吸音(又は対応する相対値若しくは関連データ)を所定の閾値と単純に比較して、病的状態を検出し、その経過を予測することができる。比較段階の付与は、本発明の方法を実装する診断装置の構造及び管理の点で、利点を提供する。
【0017】
本発明の特に好ましい実施形態に従えば、前記少なくとも一つの物理量を取得するプロセスは、前記試料中の少なくとも一つの重要な成分の定性的検出を含み、一部の事例においては、定量的検出を含む。このような重要な成分は、生体分子であり、例えば、ある種の病的状態の特徴を特異的に示し、前記少なくとも一つの物理量を測定することによって検出され得るタンパク質、多糖、脂質、バイオポリマーである。有利には、本発明は、全体的な物理量の形態で、このような特徴的情報を提供する。本発明より前には、このような情報は、複雑な分析法によらなければ入手できなかった。
【0018】
生体分子によって影響を受ける物理的特性の検出が、特に好ましい。生体分子を含有する水系の巨視的物理特性は、該生体分子の種類、構造及び会合特性に、感度よく依存することが明らかとなった。生体分子は、周囲の水分子との相互作用を生じ、この相互作用は、温度又は圧力などの試料条件に感度よく依存する。換言すれば、生体分子の周囲に水和層が形成され、この水和層が試料流体の力学的及び熱力学的特性を決定する。プロトン化、脱プロトン化、解離、構造変化、会合及び凝集などの、水和の変化によって特徴付けられる、分子レベルでの全てのプロセスは、本発明の測定によって、定量的に検出することが可能である。生体分子の混合物を前記試料中で検出すべき場合には、異なる生体分子の効果は、測定条件(例えば、温度)を変えることによって分離され得る。
【0019】
前記少なくとも一つの測定された全体的物理量から病的症状を直接検出できれば、マーカー成分の特異的決定という、労力を要する複雑なプロセスと比較して、非常に大きな利点が得られる。本発明の該実施形態は、とりわけ、例えば、アルツハイマー病(AD);クロイツフェルトヤコブ病(CJD)、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病、ウシ海綿状脳症(BSE)、内因性鬱病などの、体液中の特徴的生体分子によって特徴付けられる神経変性疾患とともに使用することができる。
【0020】
本発明のさらなる変形によれば、必要な場合には、測定段階の前に、調製工程を提供することができる。例えば、添加物の添加、試料の精製又は濃縮及び/又は試料からの少なくとも一つの成分の分離を含む、この調製によって、前記物理量を、増加した精度と解像度で測定することが可能となる。
【0021】
本発明の第二の側面によれば、本発明の診断方法を実施するための診断装置が提供される。この診断装置は、前記少なくとも一つの巨視的物理量を測定するための測定装置と、測定された値を評価し、前記少なくとも一つの診断的相関付けを得るための評価装置とを備える。この装置の操作を完全に自動化することができ、このため、従来の分析操作と比べて極めて便利であることが、本発明の極めて大きな利点である。
【0022】
測定装置は、好ましくは、前記試料の音パラメータを測定するための共振器系を備える。これには、温度及び/又は圧力の変更及び管理を可能とする装置が備え付けられていることが好ましい。このような装置を用いると、上記に概説されている適切な力学的又は熱力学的特性を測定することができる。
【0023】
本発明の別の主題は、音速の高解像度測定(10−3を上回る相対精度)及び疾病を検出するための関連値を使用する方法である。
【0024】
本発明は、以下の本質的な利点を有する。本発明は、検査されているヒトの特異的な何らかの特性(例えば、抗体反応)とは独立した診断検査を可能とする。本発明の診断検査は、汎用的な方法である。さらに、本診断検査は、識別的な診断を可能とする。従来の手法は、あるヒトが一定の疾病を有するか否かの指標をもたらす。これに対して、本発明は、一回の測定だけで、様々な病的症状の一つの指標を提供する。
【0025】
ここで、好ましい実施形態を例示する添付の図面を参照しながら、例示のために、本発明を説明する。
【発明の好ましい態様】
【0026】
本発明の方法及び装置は、図1及び図2に、基本的に例示されている。以下に記載されているように、音波と試料の相互作用を特徴付ける物理的特性は、本発明の範囲内で測定される好ましい物理量である。
【0027】
本発明の好ましい実施形態において、図1に示されているように、第一の段階として調製工程10が実施される。生物から試料を採取した後、該試料は、重要な物理的特性にとって不可欠な、生体分子物質の他に、細胞、細胞成分、又は塩、アミノ酸、小ペプチド若しくは他の有機分子などの単純な物質を含有する水溶液からなり得る。調製工程は、例えば、ある種の成分の分離又は物質の添加を伴い得る、精製を含むことができる。添加された物質は、例えば、試料中の不可欠な生体分子物質との特異的な反応を惹起することを意図することができる。本発明は、測定すべき具体的な物理量によっては、調製工程10を行わずに操作することが強調される。
【0028】
試料調製の後、測定工程20が実施される。測定工程20は、それ自体公知である手法を用いて、物理的パラメータ、例えば、音速(超音波速度)の推計を含む。音波測定は、例えば、RESOSCAN(R)システム(RESONIC Instruments AG, Germany)又はUltrasonic PVTシステム(RESONIC Instruments AG, Germany)を用いて実施される。RESOSCAN(R)システムは、音速及び吸音の測定時に、温度の変更が可能である。Ultrasonic PVTシステムは、温度及び圧力の変更時に音速及び吸音を測定する。一例として、RESOSCANシステムは、特に、共振器セルの清掃、プロセスパラメータの調節及び慎重な操作に関する、本装置の操作マニュアルによって提示されているような測定のために使用される。
【0029】
音速又は一連の音速値を測定した後、評価工程30の間に、その結果を評価する。比較又は相関評価に基づいて、以下に概説されているように、診断情報が取得される。評価段階30は、測定の相対精度を決定することを含み得る。この決定に応じて、測定段階20が、条件を変更して反復され得る(破線矢印参照)。
【0030】
図2に従えば、本発明の診断装置は、測定装置1及び評価装置2を備える。測定装置1は、試料3を収容し、適切な物理的値を測定するように適合されている。一例として、前記測定装置1は、RESOSCANシステムとすることができる(上記参照)。測定された値を評価し、前記少なくとも一つの診断情報を取得するように適合されている評価装置2には、コンピュータが実装されていることが好ましく、これは測定装置1の管理下で統合することができる。さらに、システム全体を操作するために、ディスプレイ及びコントロール装置4を与えることができる。図2に示されている全ての要素は、単一の装置に統合することができる。
【実施例】
【0031】
実験結果
(1)試料の調製
以下の実験データは、脳脊髄液(中枢脊髄液、以下CSF。)の液体サンプルの検査で得られた結果を示している。CSF試料は、慣用の生検法を用いて、ヒトから収集された。例として、2.0mLのCSFを、2.0mLのPPS緩衝溶液(pH7.4)と混合する。試料調製のために(調製工程10)、アルブミンと免疫グロブリンをCSFから分離する。この分離は、Aurum serum protein Minikit(company Biorad, Germany)を用いて実施される。さらなる段階として、残存するタンパク質の含量を測光法によって測定する(λ=280nmでの吸光測定)。調製後、調製された試料を、4℃の低温で保存する。基準試料として、BioRad緩衝溶液を調製した。
【0032】
Hamiltonシリンジを用いて、RESOSCANシステムの共振器セル中に、この試料(180μL)又は基準試料(180μL)を導入し、泡又は不均一領域がない試料を得た。RESOSCANシステムによって与えられる温度プログラムは、例えば、300mK/分でスキャンされる10℃から60℃の温度範囲および−300mK/分でスキャンされる60℃から10℃の温度範囲を含む。
【0033】
(2)相関測定
図3は、複数の異なる試料のタンパク質含量の測光測定値と対応する音速量との相関を示している。全ての測定は、同じ温度(25℃)で実施した。測定された速度量の相関評価のための基準データとして、吸光値を使用する。吸光値(OD)は、測定された音速の相対値Δu(Δuは、CSF試料中での音速と基準試料中での音速との差を表す。)と相関付けられる。CSF試料は、健康な患者(N)、様々な疾病、すなわち、アルツハイマー病(A)、クロイツフェルトヤコブ病(CJD)、多発性硬化症(MS)を有する患者から取得した。
【0034】
図3のデータの相関は、相関付けられたデータが、ダイアグラムの異なる領域中に集中していることを示している。アルツハイマー患者は、健康な患者又はアルツハイマー病以外の疾病を有する患者と比較して、別の光学密度及び音速の相関を示す。
【0035】
さらに、図3は、280nmにおける光学密度及び前記試料中における25℃での超音波速度の相関が、様々な疾病の強力な指標となることを示している。
【0036】
(3)音速の温度依存性
図4から7において、Δu値は、それぞれ、試料の超音波速度と緩衝溶液の超音波速度の差である。実験データは、体液、特にCSF中の、疾病を引き起こすある種のタンパク質に対する直接又は間接的な指標として、測定された相対音速を使用できることを示している。このケースでは、それぞれの疾病を有する患者の経験的に収集されたデータが、測定された速度量の相関評価のための基準データとして、使用されている。
【0037】
図4では、下方の曲線群4.1は、健康者のデータを含んでいる。温度は、10℃から60℃までのスキャン及び10℃に戻すスキャンが行われ、それぞれのケースで、増加する温度及び減少する温度でのΔu値間の差を示している。より高い温度でタンパク質が変性すると、減少する温度でのΔu値が低くなる。上方の曲線4.2は、多発硬化症を有する患者の試料を表す。
【0038】
図4のデータを、それぞれ図3、5及び6のデータと比較すると、単一の温度(例えば、20℃)における相対超音波速度の測定が、多発性硬化症の明確な指標をもたらし得ることが示される。
【0039】
図5によると、下方の曲線群5.1は健康者に属するのに対して、上方の曲線5.2は、内因性鬱病患者のCSF試料を用いて測定された。このデータは、音速の測定された単一の相対値(例えば、25℃)に基づいて、又は曲線の形状を評価することによって、選択的な鬱病の検出が可能であることを示している。温度依存性は、両曲線5.2で最大を示しており、内在性鬱病の選択的指標としてこれを使用することが可能である。
【0040】
図6によると、上方の曲線群6.1は、健康者のデータを示しているのに対して、下方の曲線群6.2は、アルツハイマー病患者から得た試料のデータである(図3と比較せよ。)。Δu値及び曲線の形状は、アルツハイマー病に対する特徴を示す。
【0041】
本データは、生体分子、特に、CSF試料中のタンパク質の含量が、超音波速度に影響を与えることを示している。これらの影響は、試料の成分間の分子間相互作用に起因する。このような分子間相互作用は、これらの成分の水和の変化をもたらし、この変化が、音波と試料との相互作用を特徴付ける物理量の変化によって表される試料の力学的特性及び熱力学的特性の変化を引き起こす。病的症状に関して特徴となる生体分子は、低濃度でさえ、巨視的挙動に影響を与えるという驚くべき観察によって、本発明の本質的な利点が与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の好ましい実施形態に係る診断検査法の特徴の模式図。
【図2】本発明の好ましい実施形態に係る診断装置の模式図。
【図3】本発明に係る診断方法の高感度を示す相関図。
【図4】健康なヒト及び様々な疾病を有する患者のCSF試料における温度走査時の超音波速度の測定結果を表す図。
【図5】健康なヒト及び様々な疾病を有する患者のCSF試料での温度走査時における超音波速度の測定結果を表す図。
【図6】健康なヒト及び様々な疾病を有する患者のCSF試料での温度走査時における超音波速度の測定結果を表す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物から得られる試料の診断的検査方法であって、
−前記試料と音波との相互作用を特徴付ける、前記試料の少なくとも一つの物理量を決定する工程と、
−少なくとも一つの診断的特徴を取得するために、前記少なくとも一つの物理量を、前記試料又は前記生物の少なくとも一つの状態を特徴付ける基準データと相関付ける工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記決定工程が、音波の共鳴周波数、音波長、音速、吸音、粘度、圧縮性、密度、S波パラメータ、音響インピーダンス及び音波の屈折率を含む群から得られる少なくとも一つの物理量を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記決定工程が、10−3を上回る相対精度で、前記少なくとも一つの物理的値を測定することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記決定工程が少なくとも二つの物理量を測定することを含み、前記少なくとも二つの量が前記試料の異なる温度及び/又は圧力で測定される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記決定工程が、前記少なくとも一つの物理的値の少なくとも一つの相対量を測定することを含み、前記少なくとも一つの相対量が、前記試料を用いて得られた第一の測定量と基準試料を用いて得られた第二の測定量との差又は比として測定される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記決定工程が少なくとも二つの相対量を測定することを含み、前記少なくとも二つの相対量が、それぞれ、前記試料及び前記基準試料の異なる温度及び/又は圧力で測定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記相関付け工程が、前記少なくとも一つの診断情報を取得するために、前記一以上の物理量、対応する相対量、又は前記量若しくは相対量の曲線形状を、少なくとも一つの閾値基準量又は基準曲線形状と比較する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも一つの診断的特徴を取得する前記工程が、前記試料中の少なくとも一つの生体分子を検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記検出が、前記試料中の少なくとも一つのタンパク質、脂質又は多糖の存在を測定する工程を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも一つの診断的特徴を取得する前記工程が、前記生物の疾病を検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記検出工程が、前記生物の体液中に特徴的な生体分子を産生する神経変性疾患を含む群の、少なくとも一つの疾病を検出する工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記測定工程の前に、前記試料を調製する工程をさらに含み、該調製工程が、前記試料への添加物の添加、前記試料の精製及び前記試料からの少なくとも一つの成分の分離、から得られる一以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ヒト又は動物から得られるCSF液試料の診断検査方法であって、
−少なくとも一つの温度及び/又は圧力で、前記調製された試料において少なくとも一つの音速値を測定する工程と、
−前記少なくとも一つの音速の値、対応する相対値、又は前記値若しくは相対値の曲線形状を評価し、前記試料中に所定の生体分子を産生する疾病を検出する工程と、
を含む、方法。
【請求項14】
前記測定工程の前に、アルブミン及び免疫グロブリンの分離を含む、前記試料を調製する工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
生物の試料を検査するための診断装置であって、
−前記試料と音波との相互作用を特徴付ける、前記試料の少なくとも一つの物理量を決定するための測定装置と、
−前記少なくとも一つの物理的値を評価し、少なくとも一つの診断情報を取得するために、前記少なくとも一つの物理量を、前記試料又は前記生物の少なくとも一つの状態を特徴付ける基準データと相関付けるための評価装置と、
を備える診断装置。
【請求項16】
前記測定装置が、音波共振器セルと音周波数検出回路とを備える、請求項15に記載の診断装置。
【請求項17】
前記測定装置が、温度又は圧力調節装置を備える、請求項15に記載の診断装置。
【請求項18】
前記評価装置が、比較及び/又は相関回路を含有する計算回路を備える、請求項15に記載の診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−523303(P2006−523303A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504757(P2006−504757)
【出願日】平成16年3月19日(2004.3.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002910
【国際公開番号】WO2004/083804
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(505353722)ティーエフ・インストゥルメンツ・ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】