説明

生理学的作用の発生を検出を容易にするためのバイオフィルターパッド、及びその方法、並びに胎児活性度看視装置

本発明は、身体部分に対して直接並置するための粘弾性の内部(23)を備えかつ生理学的作用に伴う周波数特徴の範囲の中央の機械的共振周波数を有するバイオフィルターパッド(2)により、自然周波数特徴で身体部分に変位を与える生理学的作用の発生を検出を容易にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用診断装置及び一般に生理学的作用、特に胎児の活性の発生を検出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
胎児の活性度は、非特許文献1に説明されたように、胎児の良好な予測変数として永く認識されている。胎児活性度看視技術は、妊娠した母親による胎児活性度の主観的な判断から腹部の動きを看視する胎児活性度看視装置を経て子宮の「内部観察」のための子宮内超音波に基づく技術までの段階を駆けてきた。胎児活性度看視装置は、妊娠した母親の自然周波数特徴である8−25Hzの範囲内の妊娠した母親の腹部の運動を看視するために設計された。かかる腹部の運動は、主に、子宮の収縮、呼吸運動、母親の姿勢の変動、及び同等の動きに対抗する胎児活性の結果であると考えられ、従って妊娠した母の8−25Hzの自然周波数特徴は、以後「自然胎児活性周波数特徴」と呼ぶこととする。
【0003】
腹部の動きを拾い上げるために妊娠した母親の腹部の左側と右側とに置かれた2個の可動コイル式の変換器を使用する胎児活性度看視装置の例が非特許文献2に説明される。この装置は、自然胎児活性周波数特徴の周波数の変換器の減衰を克服するために少なくも部分的に必要な胎児活性度検出用の約80dBの電気信号増幅を必要とし、電磁波障害(EMI)への装置の高感度を相殺する。
【非特許文献1】サドフスキイ、イー(Sadovsky,E), M.D., フィータル・ムーブメンツ・イン・ユテロ−ア・レビュー(Fetal Movements In utero−A review), Isr. J. Obstet. Gynecol.1922;3:27−36
【非特許文献2】アドラー・デー(Adler D )他、メジャーメント・オブ・フィータル・ムーブメンツ・バイ・ムービングコイル・トランスジューサー(Measurement of Fetal Movements by Moving−ciol Transducer), IEEE Transaction on Biomedical Engineering, Vol. BME−27,No.12, Dec.1980
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概説すれば、本発明は、生理学的作用の発生の検出を容易にするために、かかる作用の発生に伴う自然周波数特徴の範囲内の変位を物理的に増幅できるバイオフィルターパッドに向けられる。これは、自然周波数特徴の範囲の好ましくは中央の機械的共振周波数を有するバイオフィルターパッド、及びこれと直接機械的に結合しかつ変位の物理的増幅度を増加させるために好ましくは同じ機械的共振周波数に同調された変換器により達成され、これにより適切な生理学的活性度レコーダーに要求される電気信号増幅度を小さくする。本発明の実行に使用される変換器は、その共振周波数を容易に希望の周波数範囲に同調させることのできる、例えば可動コイル形変換器が好ましいが、その他の形式の変換器も使用することができる。
【0005】
今日では、本発明の第1の用途は、一般に胎児活性度を看視する目的のため、特に家庭用の胎児活性度看視の目的のために構想されたが、本発明のバイオフィルターパッドはスポーツ医学、治療訓練、及び同等の用途に適用することができる。胎児看視の目的につい
ては、バイオフィルターパッド及び変換器は、各が自然胎児活性周波数特徴の範囲の中央の同じ機械的共振周波数を有し、これにより腹部の変位の約20から約50の物理的増幅を生み得ることが好ましい。この物理的増幅のため、適切に同調された変換器及び胎児活性度レコーダーは、非特許文献2における従来要求された80dBの電気信号増幅度に対抗して組み合わせて約45dBの電気信号増幅度を要するだけであり、これにより非特許文献2によるEMI感度を本質的かつ有利に減らす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明を理解するため及びこれをいかに実施するか知るために、本発明を限定するためのものではない好ましい実施例が付属図面を参照し説明されるであろう。図面において、同様な部品は同様な番号が付けられる。
【0007】
図1は、典型的な自然胎児活性周波数特徴FS(図2参照)を有する妊娠中の母親の腹部の動きの検出に基づく胎児活性度の一般的なレベルに関する可視的な表示を提供するための家庭での使用に適した胎児活性度看視システム1を示す。胎児活性度看視システム1は、母親の腹部に外し得るように直接接着するようにされ、更に腹部の動きを拾い上げるために中央に配置された可動コイル式変換器3を有するバイオフィルターパッド2を備える。変換器3は、胎児活性度看視期間中の一般的な胎児活性度を、歴史的な情報に基づいて決定された胎児活性度レベルと比較するために、増幅器6、A/D変換器7、信号処理器8、メモリ9、出力インターフェース11、例えばRS−232、及び胎児活性度ディスプレイ12を有するクレジットカード状の電池式の胎児活性度レコーダー4に接続される。胎児活性度ディスプレイ12は3個のLED、即ち、通常レベルの胎児活性度を示す緑色LED13,通常レベルの胎児活性度より僅かに低いことを示す橙色LED14、及び通常レベルの胎児活性度よりかなり低いことを示す赤色LED16を持つ。変換器3及び胎児活性度レコーダー4は、約45±5dB台の組合せ電気信号増幅度を持つ。
【0008】
図3は、変換器3をバイオフィルターパッド2に機械的に直接結合するために下を滑り得る弾力的な弾性材料の拘束部材18が形成された上側17、及び妊娠している母親の腹部にバイオフィルターパッド2を外し得るように直接貼り付けることのできる接着面22を露出させるためのピールオフ保護ライナー21のある下側19を有するバイオフィルターパッド2を示す。バイオフィルターパッド2は、直径が約10cmから約25cmの範囲内の円形であり、かつ約1mmから約5mmの範囲内の厚さを有することが好ましい。バイオフィルターパッド2は粘弾性の内部23を有し、この内部は、胎児活性の全部ではなくとも大部分を検出でき、かつ変換器3に向けられた四肢の動きは検出せずに、変換器3に向かう腹部の動きから生じて内部に加えられる機械エネルギーの焦点を合わせるための集中部分を持つ(図4参照)。粘弾性内部23は、固体材料、ゲル状材料、流体材料、又はこれらの組合せより構成することができる。バイオフィルターパッド2は、変換器3を装着したときの胎児の自然周波数特徴の変位を物理的に増幅するために、12Hzの機械的共振周波数を持つ(図5参照)。バイオフィルターパッド2及び変換器3の機械的共振周波数は、これらを叩くことにより試験することができる。バイオフィルターパッド2と変換器3との間の機械的結合は、腹部の変位を約20倍から約50倍に物理的に増幅し、これにより自然胎児活性周波数の特徴を強調するような結合である。
【0009】
胎児活性度看視システムは、典型的に、他の通常の胎児活性度看視プログラムにおける妊娠中の母親の胎児活性度に対する主観的査定を置換する。そこで、この母親は、自分の胎児活性度看視プログラムに従って、バイオフィルターパッドからピールオフ保護ライナーを外し、バイオフィルターパッドを腹部に直接貼り付け、変換器をバイオフィルターパッドに結合し、そして自分の腹部の動きを記録するように進める。正常な場合は、緑色LEDが点灯し、特別な行動を取る必要はない。胎児活性度看視時間中に橙色LED又は赤色LEDが点灯した場合は、専門医の診断のために、すべての歴史的胎児活性度情報を記憶している胎児活性度レコーダーを専門医に持参する。
【0010】
図6は、胎児活性度レコーダー32が独立形であることを除いて胎児活性度看視システム1と同様な胎児活性度看視システム31を示す。これは、電力供給及びデータ処理用の遠隔サーバー34への接続の二つの目的で移動電話33への外し得る接続を意図する。このため、胎児活性度レコーダー32は、遠隔サーバー34に選択的に送信するために胎児活性度記録を圧縮するデータ圧縮プロセッサー36、及び移動電話のオーディオ入力に接続するためのオーディオ出力を備える。胎児活性度看視期間の結果は、移動電話のディスプレイ38上に表示するためにSMSにより送信されることが好ましい。
【0011】
本発明は限定された数の実施例について説明されたが、特許請求の範囲内で多くの変化、変更及びその他の応用が可能であることが認められるであろう。例えば、バイオフィルターパッドを楕円形とすることができ、また変換器をパッドの上側に並置させるために別の拘束技術を使うことができる。また、レコーダー、例えば、胎児活性度レコーダー4及び36を変換器と一体に形成することができえう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】バイオフィルターパッド、変換器及び胎児活性度レコーダーを有する本発明による胎児活性度看視システムの第1の好ましい実施例の図式的な表現である。
【図2】妊娠した母親の腹部の自然胎児活性周波数特徴を示しているグラフである。
【図3】図1のバイオフィルターパッドの絵画的表現である。
【図4】図3の線A−Aに沿った図1のバイオフィルターパッドの断面図である。
【図5】図1のバイオフィルターパッドの伝達応答曲線を示しているグラフである。
【図6】本発明による胎児活性度看視装置の第2の好ましい実施例の図式的な表現である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然周波数特徴で身体部分の変位を与える生理学的作用の発生の検出に使用するためのバイオフィルターパッドであって、身体部分に対して直接並置するための粘弾性の内部を備え、かつ生理学的作用と組み合わせられた周波数特徴の範囲の中央の機械的共振周波数を有するバイオフィルターパッド。
【請求項2】
身体部分上へのバイオフィルターパッドの外し得る直接接着に適した接着面を露出するためのピールオフ保護ライナーを更に備える請求項1によるパッド。
【請求項3】
前記粘弾性内部は、下にある身体部分の変位のためバイオフィルターパッドに加えられる機械的エネルギーを、身体部分から離れる方に向いている上側の中央に配置された変換器に向かって集中させるための集中部分を有する請求項1又は2のいずれかによるパッド。
【請求項4】
上側に変換器を取外し可能に直接機械的に結合させるために、上側に拘束部材を更に備える請求項1から3のいずれかによるパッド。
【請求項5】
前記拘束部材が前記変換器を摺動して受け入れる請求項4によるパッド。
【請求項6】
バイオフィルターパッドが、妊娠している母親の腹部と一致する寸法及び形状にされ、かつ胎児活性度看視の目的で自然胎児活性周波数特徴の中央の機械的共振周波数を有する請求項1から5のいずれかによるパッド。
【請求項7】
バイオフィルターパッドが患者1名に1回使用のために意図される請求項1から6のいずれらによるパッド。
【請求項8】
自然周波数特徴で身体部分に変位を与える生理学的作用の発生の検出方法であって:
(a)バイオフィルターパッドを身体部分に対して直接並置し、バイオフィルターパッドは粘弾性内部、及び生理学的作用と組み合わせられた自然周波数特徴の範囲の中央の機械的共振周波数を有し;
(b)身体部分の変位に応答して電気信号を作るためにバイオフィルターパッドの上側に対して少なくも1個の変換器を直接機械的に結合し;そして
(c)生理学的作用の発生を検出するために電気信号を処理する
諸段階を含む方法。
【請求項9】
段階(a)が、バイオフィルターパッドの下側からピールオフ保護ライナーを除去してバイオフィルターパッドの身体部分上への外し得る直接接着のために接着面を露出する段階を含む請求項8による方法。
【請求項10】
段階(b)が、バイオフィルターパッドの上側の拘束部材の下で変換器を取り外し可能に摺動させることを含む請求項8又は9による方法。
【請求項11】
下にある身体部分の変位のためバイオフィルターパッドに与えれる機械的エネルギーを変換器に向けて集中させる段階を更に含む請求項8から10のいずれかによる方法。
【請求項12】
バイオフィルターパッドが、妊娠中の母親の腹部に順応した寸法及び形状にされ、かつ胎児活性度看視の目的で自然胎児活性周波数特徴の中央の機械的共振周波数を有する請求項8ないし11のいずれかによる方法。
【請求項13】
バイオフィルターパッドが1患者1回使用に意図される請求項8ないし12のいずれかによる方法。
【請求項14】
妊娠中の母親の腹部の動きに応答して電気信号を作るために妊娠中の母親の腹部に対して直接並置する少なくも1個の変換器;及び胎児活性の発生を検出するために電気信号を処理するための胎児活性度レコーダーを備えた胎児活性度看視装置であって、
この装置が約45±5dBの電気信号増幅度を有する
ことを特徴とする装置。
【請求項15】
前記胎児活性度レコーダーが、これと一体に形成された前記少なくも1個の変換器を備える請求項14による装置。
【請求項16】
前記胎児活性度レコーダーが移動電話と相互作用するオーディオ出力を有する請求項14又は15のいずれかによる装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−518427(P2007−518427A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−525721(P2004−525721)
【出願日】平成15年7月24日(2003.7.24)
【国際出願番号】PCT/IL2003/000609
【国際公開番号】WO2004/012598
【国際公開日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【出願人】(506025198)バイオパツド・リミテツド (1)
【Fターム(参考)】