説明

生理学的指紋を決定する生理学的生体認証を用いる身元確認システム、及び、身元確認方法

本発明は、個人からパスワード及び/又はランダムキーを取得し、個人の有望な身元を判定するために取得したパスワード及び/又はランダムキーを複数の既知のパスワード及び/又はランダムキーと比較する、個人の身元を照合するための方法を提供する。その方法は、呼吸、心臓、又はその他の生理的バイオメトリックを備える個人の特定の生体を測定し、測定された特定の生体を、個人の有望な身元を照合するために取得したパスワード及び/又はランダムキーと関連付けられた個人の既知の特定の生体と比較することとをさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人を照合するための方法に関する。さらに、本発明は、心臓、肺、その他の生体測定を用いて個人の身元を確認する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティ及びプライバシーを保証するために設計されたシステムは、様々な用途で使用することができる。その本来の用途には、個人の住居又は職場への入場及び移動についての規制を含む。また、上記の用途には、個人のコンピュータ・車両・銀行口座・その他の所有物へのアクセスの制御も含まれる。
【0003】
一般に、これらのシステムは、そのシステムが保護するよう設計されたあらゆる所有物に対してアクセスを許可する前に、権限を与えられた個人又はユーザといった個人の身元を確認するという考えを前提とする。一般的にセキュリティ・システムは、個人から識別子を要求する。個人は識別子を提供することで応答する。次に、提供された識別子と、システムに格納され個人のプロフィールと関連付けられた識別子とが比較される。識別子が一致すると、アクセス又はエントリが許可される。
【0004】
従来、セキュリティ・システムでは、権限を与えられた個人に固有であり、且つ、理論的には権限を与えられた個人のみが知り且つ所有するパスワード又はその他のランダムキーを要求することが一般的に取り入れられている。しかしながら、パスワード及びキーに関連するいくつかの課題は、権限を与えられた個人がパスワード及びキーを忘れてしまうか、さもなければその個人が利用できなくなる可能性もあるという事実も含んでいる。さらに、権限のない個人にパスワード及びキーを見つけられたり、知られたり、所有されたりする可能性もある。
【0005】
セキュリティ・システムは、また、設計する際に、生体の要求を単独で取り入れたり、又は、パスワードやランダムキーの要求と共に生体の要求を取り入れている。生体を使用するいくつかの利点としては、生体が適切に選択されれば、生体は比較的より正確かつ固有性がある個人の識別子として機能し、個人で識別子を記憶し、又は、所有することを必要としないという事実が含まれる。さらに、適切に選択された生体は、ある特定の個人の身元を独自に確認できるため、個人の生体が偽造されたり誤表示されたりする可能性は比較的低い。セキュリティ・システムにおいて現在利用される生体は、例えば、指紋、手や顔の形状や、網膜パターン等の外見上の解剖学的特徴、心臓パラメータ、代謝パラメータ、音声パラメータや、その他の生理学的特徴を含む。
【0006】
パスワード及び/又はキーと生体との組み合わせは、固有の個人の識別についての信頼性を増す。しかしながら、例え3つのパラメータが全て取り入れられていても、上記のセキュリティ・システムは、不正行為に対して依然として弱い場合がある。例えば、軍事の場面では、敵戦闘員が権限を与えられた個人からキーを盗み、その個人を拷問してパスワードを入手し、指を切断して指紋を得るなどして、軍事コンピュータ・システムへのアクセスを潜在的に得る可能性がある。
【0007】
生理学的データは、例えば、病院での利用、医院での利用、移動時の利用等を目的として設計された各種の生理学的モニタリング・システムから抽出することができる。しかしながら、制限も偏見もなく、以下の説明は、主に携帯用途に適したモニタリング・システムの要素である。
【0008】
通常の日常の歩行活動や就寝活動を行うために、モニタされる被験者は、必要な状態だけで拘束されるべきである。したがって、好適な実施例では、生理学的センサは、違和感がなく、快適で、且つ補助なしで使いやすい通常着用可能なアイテムそのもの、又は、その一部に、取り付けられ、付加され、担持され、又は、組み込まれる。適切な着用可能アイテムは、衣服、ジャケット、ベルト、宛て布等を含み、様々な素材、特に、心地よい装着感を確かにする伸縮性のある素材で作られており、ワンピースで着用可能なものもあれば、着用後に連結されるジッパー、ベルクロ(マジックテープ(登録商標))、やスナップボタン等が含まれる。センサは、多様な方法で衣服に組み込むことができ、例えば、衣服の生地に、織ったり、編んだり、編み込んだり、若しくは、衣服中に担持されたり、衣服に搭載されたり、衣服に取り付けられる。また、柔軟なセンサは、内部又は外部の衣類表面上に接着させたり、印刷したり、噴霧したり等が可能である。米国特許第6,551,252号(特許文献1)及び米国特許第6,047,203号(特許文献2)は、上記のような衣服を開示する。上記に記載の参考文献の全内容は、これらを参照することにより本明細書中に明示的に包含される。上述した参考文献の引用番号又は識別番号は、これ以降本明細書中のすべてのセクションにおいて、本発明に対する従来技術としてはみなされない。
【0009】
米国特許第5,719,950号(特許文献3)は、例えば、指紋等の特定の生体パラメータと、体温・心電図解釈・パルス等の特定されない生体パラメータとの要求を組み込む生体認証システムについて開示している。特定されない生体は、認証を求めている個人が不適格とされたり、切断されたり、消失したりしないかを保証するために選択される。
【0010】
米国特許第6,483,929号(特許文献4)は、指紋、筋肉・骨格組織の寸法、組織中の酸素及び二酸化炭素含有量、心周期、目の遅延反応、及び、与えられた刺激に対する神経系及び代謝系の他の反応を含む、個人の生理学的生体及び組織学的生体を使用する認証用の方法及び装置について開示している。
【特許文献1】米国特許第6,551,252号
【特許文献2】米国特許第6,047,203号
【特許文献3】米国特許第5,719,950号
【特許文献4】米国特許第6,483,929号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のように、例えば、呼吸パラメータや心臓パラメータを含む、多数の生理学的パラメータ及び個人の特性についての固有のセットを生体として測定する身元の認証及び確認の方法の必要性が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、個人の身元を照合するための方法を提供する。好適な実施の形態は、個人から取得するパスワード及び/又はランダムキーを取得し、そのパスワード及び/又はランダムキーを、その個人の有望な身元を決定するために複数の既知のパスワード及び/又はランダムキーと比較することを含む。この方法は、また、個人の特定の生体を測定し、個人の身元の見込みを認証するために取得したバスワード及び/又はランダムキーと関連付けられた個人の既知の基準の特定の生体と比較することを含む。既知の基準の呼吸生体は、値の範囲を含むことが好ましい。
【0013】
測定された特定の生体は、呼吸生体を含むことが好ましい。加えて、個人の呼吸生体は、呼吸数、換気量、一回換気量、吸気流量、呼気流量、咳の有無、無呼吸又は呼吸低下の有無、若しくはこれらの組み合わせを含むことが好ましい。呼吸生体の測定には、個人の胸部周囲の寸法及び/又は腹部周囲の寸法を含むことが好ましい。個人の周囲寸法は、誘導プレチスモグラフィにより測定されることが好ましい。
【0014】
ある実施の形態において、呼吸生体の測定は、1回以上の操作を個人に指示し、その操作の実行中に個人により提示された少なくとも1つの呼吸パターンを測定することが好ましい。測定された呼吸生体は、少なくとも1つの測定された呼吸パターンを含む。少なくとも1つの呼吸パターンは、操作の実行期間中に測定されることが好ましい。少なくとも1つの操作は、呼吸の所定のシーケンスを実行することを含むことが好ましく、さらに、少なくとも1つの操作は、身体移動の所定のシーケンスを実行することを含むことが好ましい。
【0015】
別の実施の形態では、特定の生体は、例えば、心臓パラメータ、姿勢/活動パラメータ、体温パラメータ、脳波(EEG: electroencephalogram)パラメータ、眼電(EOG:electro-oculogram)パラメータ、筋電(EMG:electromyogram)パラメータ、音声パラメータ、歩調パラメータ、若しくはこれらの組み合わせといった、その他の身体パラメータをさらに含むことが好ましい。特に、心臓パラメータは、心電図(ECG:electrocardiogram)パラメータを含むことが好ましい。
【0016】
さらに他の実施の形態において、この方法は、個人から指紋、網膜走査、心電図、DNAスキャンのうち少なくとも1つを取得し、この個人の有望な身元を決定するために取得した指紋、網膜走査、心電図、DNAスキャンのうち少なくとも1つを複数の既知の指紋、網膜走査、心電図、DNAスキャンと比較し、この個人の有望な身元を照合するために指紋、網膜走査、心電図、DNAスキャンと関連付けられた個人の既知の基準の生体及び測定した特定の生体とを比較することをさらに含む。
【0017】
また、本発明は、個人の特定の生体を測定するために構成された携帯型測定装置を個人に提供し、個人の特定の生体を測定し、個人の身元を照合するために測定された特定の生体を既知の基準の特定の生体のデータベースと比較することにより、個人の身元を照合するための方法とする。ある実施の形態では、特定の生体は、呼吸生体を含む。一方、他の実施の形態では、特定の生体は、心電図(ECG:electrocardiogram)パラメータを含む。この携帯型測定装置は、個人が着用する衣服を含むことが好ましい。
【0018】
本発明は、このように、個人の固有のパラメータ、又は、複数の生理的パラメータの設定を測定することを含む個人の身元を確認する方法を提供する。本発明は、また、本発明の方法を実装するためのソフトウェア製品を含む。本発明の方法を実行するために多様に構成されるハードウェア・システムもまた含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の好適な実施の形態は、個人の特定の生体のモニタリングを含み、例えば、時間を追って心臓機能及び肺機能、活動レベル、その他の生理的システム又はプロセスを含む。特定の実施の形態は、より少ない生理的システムをモニタリングすることができるが、他方の実施の形態では、携帯型、非侵襲性のセンサの有効性に応じて追加の生理的システムをモニタすることができる。
【0020】
多くのタイプのセンサは、着用可能でモニタリングする項目に組み込むことができる。一般的に、寸法センサと称される、ある有用な生理的センサは、例えば、胴体・首・四肢・又はこれらの一部といったモニタする被験者の身体の一部を表現する寸法指示に対する応答信号を収集する。寸法指示には、身体表面の選択した部分に沿った長さ、外周、直径、又は身体部分の断面積等を含むことができる。
【0021】
寸法センサ信号は、器官系機能についての情報を与えるために処理することもできる。例えば、腹部レベルや胸部レベル等、胴体のうち1つ以上のレベルでの寸法センサからの信号は、呼吸数、呼吸気量、呼吸現象等を決定するために、二つのコンポーネントからなる呼吸モデルを使用して解釈することができる。米国特許第6,551,252号(特許文献1)、米国特許第5,159,935号(特許文献5)、米国特許第4,777,962号(特許文献6)、及び米国特許出願第10/822,260号(特許文献7)は、上記の信号処理について開示している。胸部の中間にある寸法センサからの指示は、心拍出量及び/又は大動脈の脈動数を決定するために処理することができる。米国特許第6,783,498号(特許文献8)及び米国特許第5,178,151号(特許文献9)は、上記の信号処理について開示している。加えて、1本以上の肢についての寸法センサは、静脈又は動脈の脈動数、四肢の変化する寸法等に反応することができる。また、腹部の寸法センサは、腸の活動等に反応することができる。米国特許第5,040,540号(特許文献10)は、上記のセンサについて開示している。
【0022】
好適な寸法センサは、誘導プレチスモグラフィ(IP : Inductive plethysmographic)技術を基にしている。しなしながら、有用な寸法センサは、例えば、身体インピーダンス・センサ、水銀含有シラスティック(登録商標)ひずみゲージ、微分線形変換器、胴体径を検出する磁力計、圧電ひずみゲージ又は機械ひずみゲージ、磁気移動検出器、干渉分光法を含む各種光学技術、電気インピーダンス、表面の電気的又は磁気的活動、体壁運動又は胴体径の超音波測定及びドップラ測定、及び/又は、呼吸記録機器(pneumographs)、呼吸記録機器量、身体プレチスモグラフィ等を含むプレチスモグラフィ技術といった、その他様々な技術を基にすることが可能である。寸法センサの動作要素は、糸及び布地の技術を基にすることができる。布地の寸法センサは、例えば、導電糸の抵抗、透明な糸の光学的性質、局所的ひずみが円周全体のひずみに反映されるような織物の局所的ひずみ等を、測定することができる。
【0023】
誘導プレチスモグラフィ(IP)技術に基づいた好適なセンサに関して、導電素子のインピーダンスは、その素子の寸法と形状が反映することで知られている。このため、身体部位の一部に位置するように、又、身体部位の一部又は全体を囲むように、又、被験者の身体上に配置されることに構成される導電素子のインピーダンスは、例えば、呼吸、脈動、随意運動、心臓の活動等によって基本的な身体部位の寸法の変化により変化する。誘導プレチスモグラフィ(IP)技術は、このインピーダンスを測定し、その結果として上記の生理的機能を反映する。
【0024】
誘導プレチスモグラフィ(IP)センサは、導電素子を含み、その導電素子は、通常、ワイヤー又は導電糸のループであり、そのインピーダンスが好適には寸法及び形状を伴って略線形に変化するように配置される。誘導プレチスモグラフィ(IP)センサは、基本的な身体部位の寸法における変化を反映する信号を生成し、これらのセンサは、モニタされる身体部位にぴったりと合わさるよう単独若しくは衣服中に配置された弾性材料内に都合良く組み込まれる。弾性材料は、センサ・ワイヤ又は糸が織物業者で加工中又は加工後に、編まれ、織り込まれ、鉤針編みされ、又は、繊維製品に編みこまれるようにしてもよい。次に、センサ電子技術は、誘導プレチスモグラフィ(IP)センサの導電素子のインピーダンス、好適には略導電性インピーダンスを決定する。好適な実施の形態において、誘導プレチスモグラフィ(IP)センサは、共振回路に組み込まれ、共振周波数における変化は、例えば、計数発振器を使用することによって測定される。そして、時間と共に変化する共振周波数を反映するデジタル化されたデータは、生理的情報を処理するために出力される。
【0025】
呼吸及び/又は心臓の情報を提供する寸法センサに加えて、着用可能なアイテムは、モニタされる被験者の他の生理的パラメータ及び/又は非生理的パラメータに対する多様な追加のセンサを含むことができる。例えば、加速度計は、個人が歩く歩調又はペースに関連する信号を含む現在の活動レベルや身体の姿勢や位置を検知することができる。サーミスタは、皮膚体温又は中核体温を検知することができる。パルス酸素濃度計は、血中酸素濃度を検知することができる。さらに、被験者との電気的通信における電極は、心電図(ECG)信号、脳波(EEG)信号、眼電図(EOG)信号、(眼窩筋・顔面筋、その他の筋肉の)筋電図(EMG)信号、皮膚コンダクタンス又は皮膚抵抗等のような電気的活動を検知することができる。これらの電極は、布地又は柔らかい素材で作成されることが好ましく、例えば、ペースト、流動体といった導電率の向上を必要とせずに十分な電気的接続が提供されることが好ましい。追加のセンサには、音声及び身体音用のマイクロホンや、血流又は臓器脈動用の超音波変換器等を含めることができる。
[好適なモニタリング・システム]
生理的モニタリング・システムの好適な実施の形態は、処理するための信号を収集するセンサを含む。ある実施の形態では、このモニタリング・システムは、当業者に一般的に知られる技術の一つのように、非侵襲性の生理的検知に役立つ多くの既知の技術に従って構築することができるセンサを含む。選択したセンサは、振幅及び応答時間(すなわち帯域幅)の両方において十分な精確さと精度を有し、その結果、収集された信号は、生理的システム及び関心事項の処理を実際に反映することが好ましい。センサは、臨床的に確認された精確さと精度を有することが好ましい。
【0026】
生理的モニタリング・システムは、個人が制約を受けず且つ普通の日常の歩行や睡眠活動を行えるように構成される携帯型システムであることが好ましい。この携帯型モニタリング・システムは、また、医学的又はその他の訓練を受けた職員による補助なしで使用するように構築されることが好ましい。好適な携帯型生理的モニタリング・システムの構成には、例えば、衣服、ベルト、宛て布等のような着用可能なアイテム、例えば、違和感がなく、快適で、且つ好適にはセンサが組み込まれた制約されることのない生地で作られた、シャツの一部又はシャツ、ボディースーツの一部又はボディースーツ全体との結合を含む。
【0027】
携帯型生理的モニタリング・システムの好適な実施の形態は、図1に示される。本図は、静脈及び動脈の脈動数、個人の肺機能等を測定する性能を有する寸法センサ(他のセンサも同様)が広範囲にわたる配列で装備された衣服23を表す。とりわけ、個人の胸部周囲に配置された寸法センサ13は、その時点の解剖学的変化を測定し、呼吸機能に関連する信号を返す。加えて、剣状突起の胸部中央部にある寸法センサ29は、心臓の脈動要素を用いて信号を返す。この実施の形態は、2つのバッファ及び/又は処理ユニット(ここでは、携帯型データ・ユニット、PDUと称する)、ローカル・ユニット25と近傍ユニット27を備える。PDUは、モニタされる被験者が持ち運ぶのに十分にコンパクトで軽量であることが好ましい。PDUは、IPセンサ電子機器と、センサを操作するために好適な電子機器を含めることができ、さらに(必要な場合は)センサ・データを取り込みデジタル処理を行うことを含めることができる。このようなシステムは、米国特許第6,551,252号(特許文献1)に開示されている。
【0028】
本発明で使用するモニタリング・システムによって収集された信号は、遠隔配置され、又は、分散型で処理する能力を提供する1台以上の解析コンピュータによって処理されることが好ましい。この処理方法は、心肺機能のモニタリングを主目的とするモニタリング・システムから信号を処理する集積されたシステムにリンクすることが好ましい。ある実施の形態において、例えば、フィルタリングやデジタル化といった基本的信号処理は、ローカル・ユニット25のようなモニタリング・システムに対するローカル・ユニット上で実行される。本発明の方法による処理全体では、例えば、2GHz以上のプロセッサ、256MByte以上のメインメモリ、10GByte以上の外部記憶装置等、標準のインターフェース・ユニット等、現在のデスクトップPCと同等の処理能力を一般的に必要とする。ある実施の形態では、近傍ユニット27は、モニタリングされる個人の近くでその機能を提供する。一方、他の実施の形態では、この機能は、遠隔配置されたシステム33によって提供される。収集された信号データは、例えば、個人向けのワイヤレス・ネットワーク又は公共向けの携帯電話システムを用いて、マイクロ・ハード・ディスク、又は、フラッシュメモリカード等のようなメモリ・デバイスによる通常の手段によって、システム33及びユニット27に転送される。
【0029】
初期のセンサ信号処理は、フィルタリング、デジタル化、ノイズ制限、関連する信号要素の抽出等を含む。以下の初期処理、すなわち、呼吸寸法センサ信号の特定の処理は、較正、一回換気量信号の決定、一回換気量信号からの呼吸動作の抽出を含む。米国特許第6,413,225号(特許文献11)、米国特許第5,159,935号(特許文献5)、米国特許第4,834,766号(特許文献12)、及び米国特許第4,777,962号(特許文献6)、及び米国特許出願第10/822,260号(特許文献7)は、上記のような呼吸処理を開示している。心臓センサ信号処理には、心臓要素の抽出、心臓要素の向上、心拍出量の測定等が含まれる。米国特許第6,783,498号(特許文献8)、米国特許第5,178,151号(特許文献9)、米国特許第5,040,540号(特許文献10)、及び米国公開特許第10/991,877号(特許文献13)は、上記のような心臓の処理を開示している。
【0030】
追加センサからの信号は、適切に処理される。R波は、既知の方法を使用するECG信号で認識され、次に、心拍数と心拍変動が抽出される。ECG,EMG,EOC、及び同様の信号は、通常、後にマニュアルで選別及び解析するために格納される。加速度計信号は、低域通過フィルタと高域通過フィルタで姿勢情報と活動レベル情報を各々抽出することができる。米国特許出願第10/991,877号(特許文献13)は、上記の信号処理について開示している。
【0031】
本発明の方法は、ソフトウェア又はファームウェアでプログラム可能なシステムで実行される。ソフトウェア・プログラミングの場合、方法は、例えば、C、C++といった標準的なコンピュータ言語、又は、Matlab及び関連するツールボックス(Math Works, Natick, MA)といった高度なアプリケーション言語で、コード化される。コードは、次に、マイクロプロセッサ又は同様のデバイスを制御するために実行可能なコンピュータ命令に翻訳又はコンパイルされる。ファームウェア・プログラミングの場合は、例えば、VHDLといったソフトウェア言語又はハードウェア言語で書かれた、比較的高度のメソッド仕様は、一般的に、プログラミングされているハードウェア部分の製造者によって供給されるツールによってビットコードへと翻訳される。例えば、製造者のツールは、FPGAを構成するためのビット・ストリームを用意している。
【0032】
ソフトウェア又はファームウェアのプログラミングは、コンピュータに読み込み可能な媒体(例えば、CD−ROM、フラッシュ・カード等)や、交換ネットワーク接続等を通して、格納及び転送できる。このプログラミングは、一般的に、入手可能なプログラム製品として作成することが可能である。
[好適な身元識別方法]
本発明は、身元確認時に記録された生理的情報を予め記録した基準の生理的情報と比較する個人の身元を照合するための方法及びシステムを含むことが好ましく、この生理的情報は、上述した生理的モニタリング・システム及び方法についての実施の形態によって測定されることが好ましい。本発明は、セキュリティ・システムやアクセス制御システム等のような既存のシステム、又は新規のシステムに組み込むことができることが好ましく、これらのシステムは、様々な身元識別基準に合う個人のみに権限を与える。
【0033】
図2は、個人から識別子を要求及び取得することを含む個人を識別する従来技術の方法260の一例を示す。この方法は、ステップ200に示すようにパスワード及び/又はランダムキーを含むことができる。いくつかのケースでは、パスワードは、個人識別番号(Personal Identification Number : PIN)、又は、例えば、キーパッドで手入力されるか、システムが処理及び認識できるように個人によって大きな声で発音されるテキスト文字列といった英数字の組み合わせである。いくつかのケースでは、ランダムキーには、鍵穴に受け入れられるように構成された物理キー、又は、電子アクセスカード、バッジ、又は電子センサや電子読取装置で読み取れるように構成されるフォブ(fob)が含まれる。その他の実施の形態において、識別子は、デジタル画像、指紋、網膜スキャン、DNAスキャン及び/又は心電図の読み取り等を含むことができ、これらは本システムが処理を行うための既知の方法によって取得される。
【0034】
一旦、識別子が個人から取得されると、ステップ210に示すように、複数の既知の基準の識別子と比較され、本システムは、ステップ220に示すように、一致するかどうかを判定する。典型的に、これらの識別子は、予め記録され、システムの電子データベース中に格納される。この格納された識別子は、「権限を与えられた個人」、すなわち、例えば、エントリ又はアクセスの権限を与えられた人々についての、リスト又はプロフィールに対応している。
【0035】
個人から取得した識別子がデータベースに格納されている少なくとも1つの識別子と一致しない、又は、対応しない場合、この個人の識別子の要求は、ステップ230に示すように繰り返される。個人がデータベースに格納されている少なくとも1つの識別子と一致しない又は対応しない識別子を続けて提供する場合(例えば、2回以上)、この個人は、ステップ240に示すように「権限を与えられていない個人」として識別される。その結果、例えば、この方法がセキュリティ・システム中に組み込まれている場合、この個人は、システムが保護している所有物へのアクセス又はエントリを拒否されることになる。しかしながら、個人がデータベースに格納されている少なくとも1つの識別子と一致する又は対応する識別子を提供する場合、その個人は、「権限を与えられた個人」として認識され、ステップ250に示すように、アクセス又はエントリを許可される。
【0036】
しかしながら、上記のような身元識別についての従来技術の方法は、一般的には先述したように、多くの不都合に悩まされる。本発明は、個人が「有望な権限を与えられた個人」という最初の認識の後に、生理的測定から派生した指標に基づいて個人の身元を照合及び確認する追加のステップを用いて、既知の身元識別システムを補う。
【0037】
本発明の好適な実施の形態の方法を、図3に示す。ステップ300〜350は、図2に示す従来技術の方法260のステップ200〜250と同様であることが好ましい。具体的には、図3中の「予備識別子」を要求・比較するステップは、図2中の「識別子」を要求・比較するためのステップに類似し、さらに、図3において「有望な権限を与えられた個人」として個人を識別するステップは、図2において「権限を与えられた個人」として個人を識別するステップに類似している。
【0038】
ステップ350において有望な権限を与えられた個人として識別された後、好適な方法は、ステップ360に示すように、例えば、呼吸生体のような少なくとも1つの生理的バイオメトリックをさらに含み、有望な権限を与えられた個人の特定の生体を測定することをさらに含む。上述したように、呼吸生体は、呼吸数、換気量、一回換気量、吸気流量及び呼気流量、咳の有無、無呼吸又は低呼吸の有無、若しくはこれらの組み合わせを含むことが好ましい。呼吸生体は、有望な権限を与えられた個人の胸部及び/又は腹部の寸法又は胴回りを測定することによって測定されることが好ましい。上述したように、断面領域、外周、直径、又は個人の胸部及び/又は腹部について幾何学上同様の指示の変化を測定するため、衣服、又は同様の携帯型測定装置に組み込まれるIPセンサを使用することによって測定が為されるのが好ましい。
【0039】
個別、又は、単独の生理的パラメータを個人の特定の生体として測定することの他に、本方法はまた、個人の刺激に対する生理的反応、又は、その他の誘因に対する個人の生理的反応を測定することも含めることができる。ある実施例では、有望な権限を与えられた個人の呼吸生体は、有望な権限を与えられた個人の「生理的指紋」を提供するために、選択された期間にわたって一連の応答又は波計として測定される。
【0040】
個人に身体操作を行うように指示し、その個人がその操作を実行中に提示される、例えば、呼吸パターン等の少なくとも1つの生理的パラメータを測定することによって、上記のような生理的指紋が測定されることが好ましい。この個人は、呼吸パターンを取得する測定期間、例えば、5秒、10秒、30秒といった一定期間にわたって、一連の身体操作を実行するように指示を受けることができる。加えて、上記操作に対して個人が提示する応答、又は、上記操作からの個人の回復を捕えるため、個人が上記操作を行った後は一定期間にわたって測定を行うことができる。
【0041】
一例では、個人は、深呼吸、浅い呼吸といった一連の所定の吸息や呼息の呼吸パターンを行うように指示することができ、個人の吸気流量及び呼気流量が測定され、及び/又は、これらの能力が測定される。あるいは、その個人は、ジャンピング・ジャック、又は、静止状態のジョギングといった一連の所定の身体動作又は運動を実行するように指示することができ、運動を行っている間の個人の呼吸応答は、生体として測定される。生理的指紋は、また、有望な権限を与えられた個人の特定の生体として、他の生理的パラメータの測定に含めることができる。
【0042】
一旦、有望な権限を与えられた個人の特定の生体が測定されると、測定された特定の生体は、ステップ370に示すように、有望な権限を与えられた個人の予備識別子と関連付けられた複数の既知の基準の特定の生体と比較される。そして、ステップ380に示すように、システムは、一致するものがあるかどうかを判定する。これらの基準の特定の生体は、また、システムの電子データベースに格納される。この基準の特定の生体は、個人の正常な生理的パラメータを反映するため、個人が安定した生理的状態及び安定した健康状態を提示した時点で、事前に測定されることが好ましい。さらに、基準の特定の生体は、例えば、好ましくは5年以内に測定されたもので更新されていることが好ましく、さらには好ましくは、老化による予想される偏差を最小限にするため12か月以内に測定されたもので更新されることが好ましい。
【0043】
個人の基準の特定の生体は、個別の指標又は生理的指紋の範囲を限定するものとして格納されることが好ましい。例えば、その方法は、個人の呼吸数を測定し、この呼吸数を、呼吸数の範囲を含む、すなわち、測定された呼吸数の割合により上下の範囲を有する基準の特定の生体として格納することを含めることができる。その許容範囲は、特定の生理的パラメータについての健常者人口において予測することができる正規偏差に基づいて判定されることが好ましく、さらに、許容範囲は正規偏差より少ないことが好ましい。基準の特定の生体を制限された範囲として格納することによって、ステップ370における比較は、ステップ380において結果的に正確に一致する必要はない。どちらかといえば、個人の測定された特定の生体が基準の特定の生体の許容可能な耐性範囲内に収まる限り、一致すると判定される。
【0044】
呼吸の時系列測定値のような一連の生理的測定を含む生理的指紋の場合、この方法は、また、上記のような指紋の比較と既知のパターン認識技術によって一致の可能性を判定することを含むことが好ましい。例えば、Duda et al, Pattern Classification (パターン分類), 2000 2’nd ed.,(非特許文献1)を参照されたい。この技術は、例えば、統計学的分類又は神経ネットワーク等を基にすることができる。パターン認識技術の好適なタイプは、ECG認識に関して続いて開示している。呼吸の時系列測定値の場合は、重要な特徴が直ちに判定でき、また、開示された技術は、直ちに適応させることができる。
【0045】
有望な権限を与えられた個人の測定された特定の生体が、データベースに格納され且つその個人の予備識別子と関連付けられた基準の特定の生体の1つと一致又は対応しない場合、ステッ390に示すように、有望な権限を与えられた個人の特定の生体の測定は繰り返される。その測定が連続して試行(例えば、2回以上)された後、測定された特定の生体が、有望な権限を与えられた個人用のデータベースに格納された基準の特定の生体の1つと一致又は対応しなければ、有望な権限を与えられた個人は、ステップ400に示すように、権限を与えられていない個人として照合及び確認される。
【0046】
しかしながら、有望な権限を与えられた個人の測定された特定の生体は、データベースに格納された基準の特定の生体の1つと一致又は対応し、且つ、その個人の予備識別子と関連付けられる場合、ステップ410に示すように、有望な権限を与えられた個人の身元は、権限を与えられた個人であると照合及び確認される。その結果、例えば、この方法がセキュリティ・システムに組み込まれる場合、その個人は、アクセス又はエントリを許可されることとなる。
【0047】
他の実施の形態では、測定された特定の生体は、呼吸生体に加えて、又はその代わりとして、又は単独で、心臓パラメータ(心拍数、ECG測定値、及び血圧を含む)、姿勢及び活動パラメータ、体温パラメータ、EEG、EOG及びEMGパラメータ、発話及び咳パラメータ(ピッチ、周波数、及び振幅を含む)、歩調又は他の歩行パラメータ、又は、これらの組み合わせといった、その他の生理的パラメータを含むことが好ましい。これらの特定の生体は、上述したような既知の技術によって測定することができ、衣服又は他の携帯型装置に組み込まれたIPセンサの使用を含めることが好ましい。
[好適なパラメータ認識方法]
上述した身元識別方法は、当該技術分野で既知の標準的なパターン認識及び機械的学習ツールを基にするか又は組み込むことが好ましい。例えば、Duda et al, Pattern Classification (パターン分類), 2000 2’nd ed.(非特許文献2)、Vapnik, V., Statistical Learning Theory (統計学学習理論), Wiley, New York(1998)(非特許文献3)、及び、Hastie, T. et al., The Elements of Statistical Learning(統計学的学習の要素), Spring(2001)(非特許文献4)を参照されたい。
【0048】
パターン認識は、nと標示した分類の1つに属するものとして個人を適切に分類することができる自動化アルゴリズムを開発するものとして広く定義することができる。基本的なアプローチは、アルゴリズムを調整するための先験的データを含むことが好ましい。分類アルゴリズムに対するこのデータの提示は、各々存在する分類間で一般化するための分類項目を教えている。したがって、分類項目は、新規のデータポイントが分類項目に存在することができるように、判定境界の設定を作成することが好ましく、この分類項目は適宜標示することができる。図4は、パターン認識に使用するための分類システムを調整するための一実施の形態のステップ1〜ステップ5を示すフローチャートである。
【0049】
ステップ1は、関連する分類の指標を含めることが好ましい。これは、例えば、c1=1,・・・,nのように、n分類又は個人の各々に対して任意の整数ラベルを割り当てるだけである。ステップ2は、各分類を独自に識別するために使用されるデータから関連する特徴を抽出することを含めることが好ましい。多くの実施の形態において、特徴の設定は手動で選択され、図4の残りのステップでは、調整された分類項目の性能が十分かどうかを判定するために実行される。分類項目の性能が十分でない場合、特徴の異なる設定が手動で選択され、図4の処理が繰り返される。本発明の他の実施の形態では、自動的に特徴を選択し、その識別子の性能が十分であるかどうかを判定するために図4のステップが実行され、識別子の性能が十分でない場合は、ステップ2に戻り、この処理は別の自動的に判定される特徴の設定を繰り返すことが含まれる。抽出された特徴は、特徴ベクトルを形成するために組み合わされる。このベクトル、又は、特徴空間の次元Dは、使用される特徴の数であることが好ましく、特徴ベクトル中の各要素は、スカラ要素であることが好ましい。特徴の抽出に続いて、ステップ3では、適切な方法でデータを拡大縮小することを含めることが好ましい。ある実施の形態では、これは、データが[0;1]又は[−1;1]の範囲にあることを保証する単純な変換である。
【0050】
ステップ4の次元削減では、相関変数の数を、好適には主成分と称されるより少数の相関しない変数へと変換するための主成分分析を含めることが好ましい。これは、第1主成分がデータ中の変動の多くを占めることを可能にし、そして、続いて起こる各要素はできるだけ多くを残りの変動を占めることを可能にする。その結果、特徴空間において非常に少ない変動を占める要素を破棄することができる。
【0051】
最後のステップ5では、分類項目を調整するための適切な学習アルゴリズムを選択することが含まれる。調整に使用される拡大縮小及び削減される特徴ベクトルは、学習済みのアルゴリズムに対して提示される。すなわち、各分類に対して、トレーニング・データの代表的な設定は、その分類に属していることを提示すこことである。その時のアルゴリズムは、各分類間の高次元の判定境界に適合することが好ましい。身元確認のための好適な学習アルゴリズムは、1つの分類のサポートベクトルマシン(SVM)である。これについては、B. Scholkopf et al., Estimating the Support of High-Dimensional Distribution, Neural Computation (高次元分布のサポートの評価), 13:7, 1443-1471(2001)(非特許文献5)を参照されたい。本発明の実施の形態では、また、調整された分類項目の性能が十分になるまで、図4のステップが繰り返されることにより、重要な特徴を自動的に選択することが含まれる。
【0052】
一旦、システムが調整されると、図5に示すように、新規のデータを分類することができる。ステップ6〜ステップ8は、後のステップで判定された情報を前のステップが利用することを除けば、ステップ2〜ステップ4と概して同様である。具体的には、ステップ6〜ステップ8では、特徴を使用し、また、ステップ2及びステップ4それぞれのステップで調整中に判定された削減された次元の特徴も、有意且つ有用となるように使用される。ステップ4が主成分分析を適用する場合には、削減された次元の特徴が重要な主成分であり、この各々は、抽出された特徴のうち1つ以上の組み合わせである。さらに、ステップ9は、ステップ5で調整された分類項目を使用する。
【0053】
このように、分類ステップ6は、被験者を表現する入力信号を受信し、調整中に判定された重要な特定の特徴を抽出する。ステップ7は、ステップ3で実行された拡大縮小と同様の方法で抽出された特徴を拡大縮小する。ステップ8は、拡大縮小された特徴を、調整中に予め判定されて削減された次元の重要な特徴と組み合わせる。次に、ステップ9は、入力信号によって表現された被験者に対して(もしあれば)有望な分類を見つけるために、先に調整された分類項目をステップ8で判定された特徴に適用する。
【0054】
本発明において、試験を行っている被験者の分類は、この方法が調整した被験者の分類の一つであると判定される。このような各調整の分類は、その識別子によってさらに識別される。(図2を参照)。判定された分類が検査中の被験者によって提示された識別子によって識別された分類と一致する場合、その被験者は確認済となる。判定され且つ識別された分類が一致しない場合、又は、一致する見込みのある分類が見つからない場合、その被験者は確認済みとならない。
[ECGパラメータ認識]
特定の生体としてのECGを測定するための好適なパラメータ認識方法は、以下に詳述する。抽出した特徴は、測定された生理的パラメータを基準の生理的パラメータと比較するための一次表示又は指標として使用することが好ましい特徴ベクトルを形成するように組み合わせることができる。
【0055】
ECG特徴抽出における第一ステップは、各心拍を識別することであり、QRS群を識別することによって達成することができる。Kohler et al., The Principles of Software QRS Detection(ソフトウェアQRS検出の原理), IEEE Engineering in Medicine and Biology (2002)(非特許文献6)によって開示されたような、いくつかの標準的なR波検出及びQRS検出アルゴリズムが知られているが、いずれもQRS群を検出するのに適している。また、P波及びT波は、図6に示すように、単独の心拍はP波の始まりからT波の終わりまでと定義することができるように識別することも可能である。
【0056】
ECG特徴の正確な選択は、好適には、サンプリング且つデジタル化されたECG信号の分解能に依存することが好ましく、いくつかの要素は、低分解能システムでは適切に判定されない恐れがある。これは、ECG特徴の削減されたサブセットを結果的にもたらすが、以下に記載する同一の原理は、依然として適用される。ECG信号から抽出された特徴は、一般的に、以下の、(1)形態的特徴、(2)変換的特徴、(3)非線形特徴、(4)パラメータ・モデリング特徴の、4つのカテゴリのうち1つに分けることができる。
【0057】
形態的特徴は、基本的な幾何学的形状を記述する特徴を参照する。形態的特徴には、P−R間隔、S−T間隔、Q−T間隔、基準レベルの60%でのQRSピークの幅、基準レベルに対するP波の振幅、基準レベルに対するR波の振幅、基準レベルに対するT波の振幅、Q波に対する基準レベルの振幅、及び、Q−R点及びR−S点に適合する直線、及び、結果として生じる線と線との間の角度を計算する等といった、測定を含むことが好ましい。
【0058】
変換的特徴及び非線形特徴は、人の目にははっきり見えない細部(周波数成分、フラクタル特徴等)を表現する特徴を参照する。変換的特徴は、自己回帰(パラメトリック)モデルを使用して計算することが好ましい特定の周波数帯域における平均実行電力を含むことが好ましい。これは、例えば、周波数範囲1,・・・,Nにわたるスペクトルを計算し、その範囲をサブバンドに分割し、各サブバンドにおける電力を平均化し、各サブバンドに対して1−Nにわたる総合電力を正規化することが行われる。これら各処理は、結果として特徴ベクトルにおいて新規のスカラ特徴となる。変換的特徴は、また、ウェーブレット係数を含むことができる。ウェーブレット係数は、心拍をウェーブレット変換することにより取得され、且つ特徴ベクトルにおける要素として使用される係数のサブセットを選択することにより取得される。変換的特徴は、ケプストラム変換や離散コサイン変換といった、その他の変換も含む。非線形特徴に関して、全心拍のフラクタル次元、全心拍の相関次元、及びLuvpanov指数を含むことが好ましい。
【0059】
パラメータ・モデリングには、曲線への適合を参照し、その後、曲線適合の結果から得られた係数を削減した設定を使用する。これは、例えば、次数nの曲線に対して単純な線形予測又はAR(MA)モデルを適合し、その後、特徴ベクトルのサブコンポーネントとしてこれらのn点を使用することを含む。
【0060】
特徴抽出に続いて、このデータは、特徴抽出の結果を向上させるためにスケーリングや後処理を行わせることが好ましい。後処理は、例えば、主成分分析といった次元削減方法を含み、これは、上述したように主成分として知られた限定された重要な特徴の組み合わせの限定された設定を探し出すことである。また、後処理では、n回連続する心拍についてその分類を計算し、これら分類の所定の百分率(90%等)がすべて同じ結果になる場合に限り、その個人には分類指標又は識別子が割り当てられることができる。これは、人為的な結果(アーチファクト:artifact)と同様に不完全なQRS検出の多少の誤差を有利に許容する。また、前処理には、特徴抽出の前にn回の心拍を平均化することを含めることができる。さらに、後処理では、最終決定が為される前に、ECG認識の結果を、代替のバイオメトリックの結果と組み合わせることを含めることができる。
【0061】
本発明で用いられる特定の学習アルゴリズムでは、例えば、線形判別関数、確率分布、推定、および、クラスタリング、サポートベクターマシン及び他のカーネルマシン、神経ネットワーク、及び/又は、ブースティングアルゴリズムといった当該技術分野で既知の多数のアルゴリズムのうちの1つから選択することができる。上述したように、身元識別確認のための好適な学習アルゴリズムは、Scholkopf(Scholkopf et al.)らによる1クラスSVM(one-class SVM)であり、他のクラスについての情報をなしに単一のクラスに対する狭い範囲に適合するからである。このように、新たな特徴ベクトルがこの範囲内に入る場合、このベクトルは、このクラスに属するか又はこの個人と関連付けられる。特徴ベクトルがこの範囲内に入らない場合は、この特徴ベクトルは、このクラスであること、又は、この個人と関連付けられることは拒否される。
[話し方パラメータ認識]
パラメータ認識の他の実施例として、呼吸や話し方を特定の生体として組み合わせて測定する好適な方法を、より詳細に以下に説明する。これらの特徴のいくつかは、2006年1月5日に公開された国際公開特許第2006/002338号“Systems and Methods for Monitoring Cough(咳をモニタリングするためのシステム及び方法)”(特許文献14)により詳細に開示されている。マイクロホン、又は、その他の録音機は、提供された音声サンプルから、以下の特徴、(1)音声包絡線、(2)事象起点の記録(event marker trace)、(3)ピッチ、(4)音声エネルギー、(5)継続時間、及び(6)ピーク率を抽出し、関連付ける記録を作成するために、最初に使用されることが好ましい。
【0062】
音声包絡線(SE)は、好適には喉頭マイクロホン(MIC)から捕えられた音声信号の記録が、1500Hzから50Hzまでダウンサンプル(downsampled)される。低解像度の包絡線を与えるために、30データポイント毎に標準化され合計されることが好ましい。
【0063】
事象起点の記録(EVT)は、好適には音声包絡線SEの記録と同様の解像度で2値記録することが好ましい。3つの連続するサンプルに対して、音声包絡線SEの記録が閾値(例えば、60)より高く上昇する場合はONであり、音声包絡線SEの記録が他の閾値(例えば、30)より低く下降する場合はOFFとなる。
【0064】
ピッチは、未処理の喉頭マイクMICの記録のメル・ケプストラム(Mel cepstrum)を使用して評価される。ケプストラムは、それが信号であるかのように、デシベル・スペクトラム(decibel spectrum)をフーリエ変換(FT)した結果である。このケプストラムは、FT(信号のケプストラム=FT(log(FT(信号))+j2πm)の対数(アンラップ(unwrapped)された位相に関する)のFTとして定義されることが好ましい。mは、複素数対数関数の角度を適切にアンラップ(unwrap)するよう要求される整数である。
【0065】
実数ケプストラム及び複素数ケプストラムが存在する。実数ケプストラムは、実数値に対して定義される対数関数を使用することが好ましい。一方、複素数ケプストラムは、同様に、複素数値に対して定義される複素数対数関数を使用する。複素数ケプストラムは、初期スペクトルの振幅及び位相についての情報を保持し、信号の再構築を可能にする。実数スケプストラムは、スペクトルの振幅についての情報をのみを使用する。
【0066】
ケプストラムは、人間の音声及び音楽信号を示すための優れた特徴ベクトルである。上記の応用に対して、スペクトルは、メル(Mel)周波数帯域を使用して最小に変換されることが好ましい。その変換結果は、メル周波数ケプストラム係数(Mel Frequency Cepstral Coefficients)(MFCC)と称され、音声識別、ピッチ検出、及びその他の解析に使用することができる。これは、声道の残りの部分によって形成された歪んだ信号に由来する声帯振動から結果として生じるエネルギーを有利に分離するケプストラムの結果である。
【0067】
音声エネルギーは、EVTイベントの継続時間にわたる音声包絡線SEの記録の積分値である。継続時間は、EVT ON期間(即ち、音声イベント)のミリ秒単位の長さである。ピーク率は、EVT持続時間全体(例えば、(Peak location - start)/(End - Start)、(ピーク位置−開始)/(終了−開始))の割合として出現した各イベントについて音声包絡線SEの記録のピークを参照する。
【0068】
EVT記録は、次に、呼吸記録のマーク部分を使用することが好ましく、ここでは以下のような追加の特徴が抽出される。
【0069】
‐ViVol:EVTマークに先立ってちょうど開始される呼吸の一回換気量
‐Hfb:1Hz及び5Hzの間で帯域通過フィルタ処理された一回換気量範囲に対する未処理の腹部負担
‐Lfb:0.1Hz及び1Hzの間で帯域通過フィルタ処理された一回換気量範囲に対する未処理の腹部負担
‐最大偏差:Hfb及びLfbの両方について計算するもの。連続するピークの谷と、各EVT中にこれらフィルタ処理された記録に対して決定される谷との間の最大ピーク
‐呼気/吸気比(Insp / Exp. ratio):呼気中のEVT及び吸気中のEVTの割合の比率
‐中央率(Center fraction):イベントの割合として出現し、計算される最小谷の位置
‐転換点:EVT ONの期間中のピークと谷の数
‐AB基準線(AB baseline):イベントの前後5秒間の一回換気量範囲に対する腹部負担の平均値
‐位相:一回換気量範囲に対する胸郭負担と、一回換気量範囲に対する腹部負担との間の位相差
特徴抽出に続いて、データは拡大縮小(scaled)されることが好ましい。それは主成分分析といった次元削減処理の対象となるが、それは、すなわち、データ変化の大部分を占める、限られた数の有効な組み合わせを見つけ出すことである。これらすべての抽出された特徴の識別された組み合わせに基づいて、呼吸及び話し方を表現する次元を削減した特徴ベクトルは、識別子を記録するために作成及び処理される。
[実施例]
身元確認のための本発明は、以下にECG及び話し方のための生理的パラメータの特徴抽出の方法についての一例を示す。それは、単に説明を目的としており、本発明の範囲又は実施できる方法を制限するものとみなされるものではない。
[ECGパラメータの認識]
男性4名、女性2名の6人の被験者(即ち、クラス)には、それぞれVivometrics,Inc(カリフォルニア州、Ventura)製のLIFESHIRT(登録商標)携帯型モニタ衣服にECGセンサをつけて着用させ、30秒間記録するために静かに立たせた。各被験者は、1から6の異なるクラス・ラベルを与えられ、ECGは200Hzでサンプリングされた。上述した特徴のうちすべてが200Hzでは容易に区別可能というわけではないため、より高い比率でサンプリングされることが好ましい。図7は、被験者2についての典型的なECG記録の一部分を示す。
【0070】
サンプリング後、QRS検出が各被験者に対するECG信号上で実行された。その結果、例えば、被験者2について、図8に示すようなQRS群(QRS complexes)を抽出した。また、表1は、各被験者について抽出したQRS群の数を示す。
【0071】
【表1】

以下の11の特徴が、各ECG QRS群から抽出された(ここで、形態特徴のすべては、独立してスケーリングされるように、何らかの方法で正規化されることに留意されたい)。
【0072】
1.(R波ピーク−左ベースライン)/左ベースライン
2.(R-波ピーク−右ベースライン)/右ベースライン
3.(左ベースライン−Q波又はS波の最小値)/左ベースライン
4.(右ベースライン−Q波又はS波の最小値)/右ベースライン
5.(R波ピーク-Q波ピーク)/R波ピーク
6.(R波ピーク−S波ピーク)/R波ピーク
7.Q−R間隔/QRSの長さ
8.S波の位置/QRSの長さ
9.QRSの標準偏差/QRSの平均値
10.1−4Hz帯域におけるエネルギー/総エネルギー
11.4−16Hz帯域におけるエネルギー/総エネルギー
正規化、又は、拡大縮小(scaling)は、2つの基準線(baseline)を用いて為されることが好ましく、さらに、最初の20サンプル及び最後の20サンプルの平均値であることが好ましかった。こうして、特徴ベクトルは、14の次元を有した。各特徴は、0と1の間の値に対して拡大縮小され、次に、次元削減技術が適用された。この考案を示すために、2の次元に結果を減少させる主成分分析がデータ上で実行され、この結果、各被験者に対するプロットが作成できた。このようなプロットの例は図9に示されるが、これは、判定境界がデータ群の間で比較的容易に描写することができることを明確に示す。これらの境界は、より多くの要素の分析に対してさらに改善されるであろう。
【0073】
次の分類ステップにおいて、SVMと同様に5つの要素が使用された。パフォーマンスの測定を得るため、10群のクロス確認(cross validation)テストが実行された。これらの群のうち9の設定は、分類方法を記録するために使用され、残る1群の設定は、分類方法をテストするために使用された。多数の異なる記録とテストの設定の変化が使用された。記録データは、テストデータに全く含まれなかった。各試験の精度は、正しい分類の数/分類の総数であった。次に、そのデータは、試験の精度について単数を得るためにプールされた。
【0074】
その結果、2つの主成分を使用する総クロス確認の精度は、94.6632%であり、その一方で、5つの主成分を使用する総クロス確認の精度は、97.9003%であった。この精度は、心拍の原理によって心拍上に存在した。個人を分類するために、5つの連続した心拍のうち約4つは同じでなければならないと仮定すると、これは、おそらく約100%の精度まで増加するだろう。いくつかの誤判別の潜在的原因は、不完全なQRS検出及びノイズである。これは、被験者を静かに立たせ状態で最小限に抑えられ、また、おそらく異なるテスト及びサンプリング環境下で増加するだろう。
【0075】
このことは、小さなデータベースのシステムの有効性を確かに証明した。より高いサンプリング・レートは、個人(すなわち、分類)の数が増加する際には、より正確な特徴が提供されるだろう。
[話し方パラメータの認識]
男性2名と女性2名の4名の被験者(すなわち、分類)は、それぞれ15分間雑談した。各被験者には、腹部及び胸郭センサー・バンドのついたLIFESHIRT(登録商標)を着用させ、着席と起立の両方の姿勢をとらせた。各被験者には、異なる分類ラベル1〜4が与えられた。呼吸IPセンサは、50Hzでサンプリングされ、1500Hzでサンプリングされる喉頭マイクロホンが使用された。
【0076】
8次元のシンプルな特徴ベクトルが形成され、これには、ピッチ、Lfb偏差、Hfb偏差、ViVol、呼気/吸気比(Insp./Exp. ratio)、継続時間、転換点、及び中央率(Center fraction)が含まれた。各特徴は、0と1の間で拡大縮小(scaling)、又は、標準化され、その後、次元削減技術は、2の次元にデータを削減する主成分分析を行うことによって提供された。その結果、上記にリストされた話し方に関する特徴の抽出を含む上記パラメータ認識技術は、データの拡大縮小(scaling)及び次元削減に続いて、様々な分類、又は、人物についての話し方、又は、音声イベント間を十分に区別するために適用することができ、その結果、自動的に分類することができる。
【0077】
本明細書に使用される「約(about)」という用語は、一般的に対応する数と数の範囲を参照することであると理解すべきである。さらに、本明細書中のすべての数の範囲は、その範囲内にすべての整数を含まれると理解すべきである。
【0078】
ここで開示した本発明の実施の形態の例示では、当然のことながら、多数の変形例及び他の実施の形態は、従来の通常技術によって考案することができることは十分に理解されるであろう。本明細書で開示した実施の形態の特徴は、他の実施の形態を生みだすために組み合わせたり、分離したり、交換したり、及び/又は再構築することができる。したがって、添付の請求項は、上記のような本発明の範囲内にある変形例及び実施の形態をすべて網羅するように意図されている。
【0079】
多数の参考文献が本明細書において引用されているが、これら文献の開示のすべては、すべての目的のために参照することにより、本明細書中にすべて包含される。さらに、これらの参考文献はいずれも、上記でどのように特徴付けられたかに関わらず、本明細書で請求された主題の発明に先行するものと認められるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る携帯型複数パラメータモニタシステムの実施の形態を示す。
【図2】従来技術における既知の個人を識別する方法の一実施例を示す。
【図3】本発明に係る個人の身元を確認する方法についての一実施の形態を示す。
【図4】トレーニング・アルゴリズムの一実施の形態に関するフローチャートを示す。
【図5】アルゴリズムの分類についての一実施の形態に関するフローチャートを示す。
【図6】単一心拍の心電図ECG表示を示す。
【図7】心電図ECG記録の一部分を示す。
【図8】QRS群を示す。
【図9】主成分分析のプロットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人からパスワード及び/又はランダムキーを取得し、
前記個人の有望な身元を決定するために前記取得したパスワード及び/又はランダムキーを複数の既知のパスワード及び/又はランダムキーと比較し、
前記個人の特定の生体を測定し、
前記測定された特定の生体を、前記個人の有望な身元を照合するために取得したパスワード及び/又はランダムキーと関連付けられた前記個人の既知の基準の特定の生体と比較すること、を含むことを特徴とする個人の身元を確認するための方法。
【請求項2】
前記個人の前記測定された特定の生体は、呼吸生体を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記個人の呼吸生体は、呼吸数、換気量、一回換気量、吸気流量、呼気流量、咳の有無、無呼吸又は呼吸低下の有無、若しくはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記呼吸生体の測定には、前記個人の胸部周囲の寸法及び/又は腹部周囲の寸法を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記周囲の寸法は、誘導プレチスモグラフィ(inductive plethysmography)により測定されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記呼吸生体の測定は、
1回以上の操作を前記個人に指示し、
前記操作の実行中に前記個人により提示された少なくとも1つの呼吸パターンを測定し、前記測定された呼吸生体は少なくとも1つの測定された呼吸パターンを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの呼吸パターンは、前記操作の実行期間中に測定されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの操作は、呼吸の所定のシーケンスを実行することを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの操作は、身体移動の所定のシーケンスを実行すること含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記特定の生体は、心臓パラメータ、姿勢/活動パラメータ、体温パラメータ、脳波(EEG: electroencephalogram)パラメータ、眼電(EOG:electro-oculogram)パラメータ、筋電(EMG:electromyogram)パラメータ、音声パラメータ、歩調パラメータ、若しくはこれらの組み合わせを含む他の身体パラメータをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記心臓パラメータは、心電図(ECG:electrocardiogram)パラメータを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記個人から指紋、網膜スキャン、心電図、DNAスキャンのうち少なくとも1つを取得し、
前記個人の有望な身元を決定するために、前記少なくとも1つの取得した指紋、網膜スキャン、心電図、及びDNAスキャンを、複数の既知の指紋、網膜スキャン、心電図、及びDNAスキャンと比較し、
個人の有望な身元を照合するために、前記測定された特定の生体を、前記指紋、網膜スキャン、心電図、DNAスキャンと関連付られた前記個人の既知の基準の特定の生体と比較すること、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記既知の基準の特定の生体は、値の範囲を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記個人の特定の生体を測定するために構成された携帯型測定装置を個人に提供し、
前記個人の特定の生体を測定し、
前記個人の身元を照合するために、前記測定された特定の生体を既知の基準の特定の生体のデータベースと比較すること、を含むことを特徴とする個人の身元を照合するための方法。
【請求項15】
前記特定の生体は、呼吸生体を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記特定の生体は、心電図(ECG:electrocardiogram)パラメータを含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記携帯型測定装置は、前記個人により着用される衣服を備えることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記個人の前記特定の生体を測定する前に、
前記個人から少なくとも1つのパスワード、ランダムキー、及び/又は、心電図を取得し、
前記個人の有望な身元を決定するために、前記取得された少なくとも1つのパスワード、ランダムキー、及び/又は、心電図を、既知のパスワード、ランダムキー、及び/又は、心電図のデータベースと比較すること、をさらに含み、
前記測定された特定の生体は、前記個人の有望な身元を照合するために、前記少なくとも1つのパスワード、ランダムキー、及び/又は、心電図と関連付けられた既知の個人の基準の特定の生体と比較されることを特徴とする請求項14に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−525070(P2009−525070A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552495(P2008−552495)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/002488
【国際公開番号】WO2007/089751
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(507378525)ヴィヴォメトリクス・インク (8)
【Fターム(参考)】