説明

生理用ナプキン

【課題】
ナプキン本体の肌側表面に弾性収縮力を発揮する隆起部が設けられた生理用ナプキンにおいて、女性の股部の湾曲形状に倣うように湾曲しやすい構造とする。
【解決手段】
生理用ナプキン1は、液吸収層を有するナプキン本体2の肌側表面に、縦方向に弾性収縮力を発揮する第1の隆起部31と第2の隆起部15とが設けられている。第1の隆起部31は前方起端34と後方起端35との間で弾性収縮力を発揮し、第2の隆起部15は前方起端13aと後方起端14aとの間で弾性収縮力を発揮する。重複領域(i)では第1の隆起部31と第2の隆起部15の双方の弾性力が作用する。よってナプキン本体2は、重複領域(i)において小さい曲率となるように曲げ変形されやすくなり、女性の股部の形状に沿うようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、女性の股部分の湾曲形状にフィットして、前記股部分の各部位との間に隙間が形成されにくく、経血の洩れを防止する効果を発揮しやすい生理用ナプキンに関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキンには、液吸収層を有するナプキン本体と、ナプキン本体の肌側表面から隆起する隆起部とが設けられたものが存在している。前記隆起部は、縦方向に弾性収縮力を発揮し、この弾性収縮力により、ナプキン本体は肌側表面が窪むように変形し、且つ隆起部がナプキン本体から立ち上がるように構成されている。
【0003】
特許文献1に記載の生理用ナプキンは、肌側表面に現れる表面層の中央部分が肌側表面において折り畳まれて突堤が形成されている。この突堤の左右両側部に縦方向に延びる弾性部材が設けられている。特許文献2に記載の生理用ナプキンは、ナプキン本体の肌側表面に、液透過性シートで形成された立体壁が設けられており、この立体壁は断面がT字形状である。前記立体壁には、縦方向への収縮力を発揮する弾性部材が設けられている。
【0004】
前記特許文献1と特許文献2に記載のものは、いずれも前記弾性部材の縦方向の弾性収縮力によってナプキン本体が、その肌側表面が窪むように変形させられ、その結果、縦方向中心線に沿うように設けられた前記突堤または立体壁が、ナプキン本体の肌側表面から立ち上がるように構成されている。前記突堤または前記立体壁が、ナプキン本体の肌側表面から離れることにより、この突堤または立体壁が膣に当たりやすくなり、膣から排出された経血を前記突堤または前記立体壁で捕捉しやすくするというものである。
【0005】
特許文献3に記載のおむつは、その両側部において、縦方向に延びる立体ガードが設けられ、この立体ガードには、縦方向に弾性収縮力を発揮する弾性糸が設けられている。この弾性糸の弾性収縮力によって、おむつ本体はその肌側表面が窪むように変形し、その結果、前記立体ガードがおむつ本体の肌側表面から立ち上がる。ナプキン本体の左右両側部から立ち上がる前記立体ガードが身体の股部に当たることにより、尿などの横漏れを防止するというものである。また、特許文献3には、おむつ本体の前方部分の曲げ剛性を高くし、後方部分の曲げ剛性を低くして、曲げ剛性の低い部分でおむつ本体を屈曲させやすくする手段が開示されている。
【0006】
特許文献4には、2種類の弾性部材を有する吸収性製品が開示されている。この吸収性製品は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁用パッドなどとして使用されるものと記載されている。
【0007】
特許文献4に記載の吸収性製品は、製品本体の左右両側部に、縦方向に延びる立体ギャザー部が設けられ、この立体ギャザー部の縦方向への弾性収縮力により、製品本体は肌側表面が窪むように変形する。また、製品本体の後端部には、吸収体にエンボス加工を施すなどして折曲部が形成され、この折曲部に弾性部材が設けられて、前記折曲部が身体に向けて凸状に変形しやすくしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−313529号公報
【特許文献2】特開2002−320638号公報
【特許文献3】特開2003−93442号公報
【特許文献4】特開2002−301097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献1と特許文献2に記載のものは、突堤または立体壁に設けられた弾性部材の弾性収縮力が、ナプキン本体の前端部と後端部に作用しているため、ナプキン本体の前端部から後端部にかけて、ナプキン本体にほぼ同じ曲げ応力が作用する。
【0010】
しかし、女性の股部の縦方向での湾曲形状は、膣の前後領域において曲率半径が比較的大きく、膣口の中心から後方に60mm程度離れた付近で前記曲率半径が小さくなり、さらに膣口の中心から後方に120mm程度離れた付近では、その曲率半径が、膣の前後領域よりも小さく且つ前記60mm程度後方の付近よりも大きくなる。
【0011】
前記特許文献1または特許文献2に記載の生理用ナプキンは、前端部と後端部との間でナプキン本端に作用する曲げ応力がほぼ均一であるため、前記のように場所によって曲率の相違する女性の股部の各部位に必ずしも確実に密着できず、いずれかの部位で身体とナプキン本体との間に隙間が形成されやすく、その結果、経血などの漏れが生じる心配がある。
【0012】
前記特許文献3に記載のおむつは、立体ガード10の縦方向の弾性収縮力をおむつ本体の前端部と後端部に作用させ、おむつ本体の前方部分と後方部分とで剛性差をもたせることによって、おむつ本体の曲率を場所よって変化させている。しかし、おむつ本体の屈曲形状をおむつ本体の剛性差に頼っているため、前方の剛性の高い部分が股部の前方部分において湾曲できず、その結果、前方部分が身体に確実に密着できないおそれがある。
【0013】
また、特許文献4には、立体ギャザー部を形成するための弾性部材と、製品本体の後端部を折り曲げるための弾性部材の双方が設けられているが、前記両弾性部材は互いに異なる位置に配置され、一方の弾性部材は立体ギャザー部を立ち上げる機能のみを発揮し、他方の弾性部材は折曲部の形状を維持する機能を発揮するのみである。そして、製品本体の曲げ形状は立体ギャザー部に設けられた弾性部材のみで決まるため、製品本体が、身体の股部の形状に合うように変形できるものではない。
【0014】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、ナプキン本体の肌側表面に設けられた隆起部の組み合わせによって、ナプキン本体を、身体の股部の各部分の湾曲形状に倣うように変形しやすくした生理用ナプキンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、液を吸収保持する液吸収層を有するナプキン本体と、前記ナプキン本体の肌側表面に設けられた隆起部とを有する生理用ナプキンにおいて、
縦方向に間隔を開けて位置する前方起端と後方起端との間で弾性収縮力を発揮して、ナプキン本体を肌側表面が窪むように変形させるとともに、ナプキン本体の肌側表面から隆起する第1の隆起部と、縦方向に間隔を開けて位置する前方起端と後方起端との間で弾性収縮力を発揮して、ナプキン本体を肌側表面が窪むように変形させるとともに、ナプキン本体の肌側表面から隆起する第2の隆起部とを有しており、
前記第1の隆起部と前記第2の隆起部とが、横方向に重なる重複領域を有していることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の生理用ナプキンは、第1の隆起部の弾性収縮力と第2の隆起部の弾性収縮力によってナプキン本体が湾曲させられるが、前記重複領域に、第1の隆起部の弾性収縮力と第2の隆起部の弾性収縮力の双方が作用する。よって、ナプキン本体に作用する曲げ応力を場所によって相違させることができ、ナプキン本体の各部位を異なる曲率で湾曲させることが可能になる。
【0017】
本発明は、例えば、前記第1の隆起部は、ナプキン本体の縦方向中心線に沿って位置し、前記第2の隆起部は、縦方向中心線から横方向の両側に離れて位置しているものである。
【0018】
上記発明では、第1の隆起部が臀裂部に対向し、または臀裂部と肛門に対向し、あるいは膣に対向して、これら各部位に密着しやすくなる。また、第2の隆起部は、ナプキン本体に与えられた液の横漏れを防止する防漏壁として機能する。
【0019】
また、本発明は、前記第1の隆起部と第2の隆起部は共に、ナプキン本体の肌側表面から立ち上がるシートと、前方起端と後方起端との間で弾性収縮力を発揮して前記シートを立ち上がらせる弾性部材とを有しているものである。
【0020】
本発明においては、前記第1の隆起部における前記前方起端と後方起端との中間点が、前記第2の隆起部における前方起端と後方起端との中間点よりも後方に位置していることが好ましい。
【0021】
例えば、前記第2の隆起部は、前記第1の隆起部よりも前方に位置し、前記重複領域で、第2の隆起部の一部と前記第1の隆起部の一部が重なっているものである。
【0022】
この場合に、前記重複領域の前方において第2の隆起部が設けられている領域を前方領域、前記重複領域の後方において第1の隆起部が設けられている領域を後方領域としたときに、隆起部がナプキン本体に与える曲げ応力は、前方領域よりも重複領域の方が大きく、且つ後方領域よりも重複領域の方が大きいことが好ましい。さらには、前方領域において隆起部がナプキン本体に与える曲げ応力は、後方領域での前記曲げ応力と同じかまたはそれ未満であることが好ましい。
【0023】
上記のように構成することにより、ナプキン本体は重複領域において小さい曲率半径となるように曲がりやすくなり、女性の股部の湾曲形状に倣いやすくなる。
【0024】
また、ナプキン本体には、少なくとも前記前方領域に、縦方向に延びる圧縮線が設けられているものが好ましい。この圧縮線が設けられていると、ナプキン本体の前方領域が曲がりにくくなって、前方領域を比較的大きな曲率半径の湾曲形状に設定しやすくなる。
【0025】
また、前記重複領域を前後に二分する中間点は、ナプキン本体の膣対向基準線よりも後方に位置していることが好ましく、前記第1の隆起部の前方起端は、前記膣対向基準線の後方120mm離れた位置よりも前方に存在することが好ましい。このように設定することにより、ナプキン本体は、膣よりも後方において対向する部分が、小さな曲率半径となるように曲がりやすくなる。
【0026】
さらに本発明は、縦方向に間隔を開けて位置する前方起端と後方起端との間で弾性収縮力を発揮して、ナプキン本体を肌側表面が窪むように変形させる第3の隆起部が設けられており、
前記第1の隆起部における前記前方起端と後方起端との中間点および、前記第3の隆起部における前記前方起端と後方起端との中間点は、前記第2の隆起部における前方起端と後方起端との中間点よりも後方に位置しているものであってもよい。
【0027】
この場合には、前記第1の隆起部と前記第2の隆起部、および前記第3の隆起部が、横方向に重なる重複領域を有しており、前記第3の隆起部は、前記第1の隆起部と前記第2の隆起部との間に位置していることが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、隆起部の位置を組合せることにより、ナプキン本体に作用する曲げ応力が、場所によって相違するようになる。よって、ナプキン本体の曲がりやすさを場所によって変えることができ、ナプキン本体を女性の股部の形状に合わせるように変形させることが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態の生理用ナプキンの自由状態を示す斜視図、
【図2】前記第1の実施の形態の生理用ナプキンを平面状に展開した状態を肌側表面から示す平面図、
【図3】図1のIII−III線の断面図、
【図4】図1のIV−IV線の断面図、
【図5】前記第1の実施の形態の生理用ナプキンの自由状態を示す側面図、
【図6】女性の股部の形状を示す断面図、
【図7】本発明の第2の実施の形態の生理用ナプキンを示す断面図、
【図8】本発明の第3の実施の形態の生理用ナプキンを示す断面図、
【図9】本発明の第4の実施の形態の生理用ナプキンを示す断面図、
【図10】本発明の第5の実施の形態の生理用ナプキンを示す断面図、
【図11】(A)(B)は第2の隆起部の変形例を示す部分断面図、
【図12】本発明の第6の実施の形態の生理用ナプキンを平面状に展開した状態を肌側表面から示す平面図、
【図13】本発明の第7の実施の形態の生理用ナプキンの自由状態を示す斜視図、
【図14】図13のXIV−XIV線の断面図、
【図15】図13のXV−XV線の断面図、
【図16】本発明の第8の実施の形態の生理用ナプキンを平面状に展開した状態を肌側表面から示す平面図、
【図17】第8の実施の形態の生理用ナプキンの自由状態を示す側面図、
【図18】本発明の第9の実施の形態の生理用ナプキンを平面状に展開した状態を肌側表面から示す平面図、
【図19】第9の実施の形態の生理用ナプキンの自由状態を示す側面図、
【図20】本発明の第10の実施の形態の生理用ナプキンの自由状態を示す斜視図、
【図21】図20のXXI−XXI線の断面図、
【図22】図20のXXII−XXII線の断面図、
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は本発明の第1の実施の形態の生理用ナプキンを示すものであり、外力が作用していない自由状態を示す斜視図である。図2は、前記生理用ナプキンを平坦な状態に展開した状態を示す平面図である。図3は図1のIII−III線の断面図、図4は図1のIV−IV線の断面図である。図5は前記生理用ナプキンに外力が作用していない自由状態を示す側面図、図6は女性の股部の形状を示す断面図である。
【0031】
以下においては、生理用ナプキン1を構成する各要素の2つの表面のうち、身体に向く表面を「肌側表面」と呼び、反対側の表面を「着衣側表面」と呼ぶ。また、生理用ナプキンの長手方向を「縦方向」と呼び、前記縦方向と直交する方向を「横方向」と呼ぶ。各要素の寸法は、特に明記しない限り、縦方向に測定した寸法を「長さ寸法」とし、前記横方向に測定した寸法を「幅寸法」と呼ぶ。
【0032】
第1の実施の形態の生理用ナプキン1は、ナプキン本体2と、ナプキン本体2の肌側表面に位置して第1の隆起部31を形成する第1の表面構成要素3、およびナプキン本体2の肌側表面に位置して第2の隆起部15を形成する一対の第2の表面構成要素10を有している。
【0033】
図3と図4に示すように、前記ナプキン本体2は、着衣側表面に位置する液遮断性の裏面シート21と、その上に設置された液吸収層22と、前記液吸収層22を覆う液透過性の表面シート23とを有している。前記第1の表面構成要素3は、縦方向中心線Oy上に設けられており、前記表面シート23の一部によって構成されている。
【0034】
図2に示すように、ナプキン本体2は、曲線形状の前縁部4と同じく曲線形状の後縁部5を有している。ナプキン本体2は、その長さ寸法L1が280〜450mmの縦長形状である。前記液吸収層22も縦長形状であり、液吸収層22は、前記前縁部4よりもやや後方に位置する曲線形状の前端部22aと、前記後縁部5よりもやや前方に位置する曲線形状の後端部22bとを有している。また液吸収層22の左右両側端部22c,22cは、縦方向中心線Oyと平行な直線形状である。
【0035】
ナプキン本体2の両側部の形状は、前方において、前記液吸収層22の両側端部22c,22cよりも左右両側に突出した前方フラップ部6,6と、前記前方フラップ部6,6よりも後方において左右両側に突出した折り返しフラップ部7,7と、前記折り返しフラップ部7,7よりもさらに後方において、左右両側に突出した後方フラップ部8,8とを有している。
【0036】
ナプキン本体2の肌側表面の両側部には液遮断性あるいは撥水性の側部シート11が設けられている。前記液吸収層22の両側端部22c,22cの外側において、側部シート11と前記裏面シート21は、ホットメルト型接着剤で接着されている。図3と図4に示すように、前記側部シート11の一部は、液吸収層22の両側部において前記表面シート23の肌側表面に接着されて、側部シート11の一部によって前記第2の表面構成要素10が形成されている。
【0037】
一対の第2の表面構成要素10,10は、縦方向中心線Oyに対して横方向に均一な間隔を開けて形成されており、第2の表面構成要素10と第2の表面構成要素10とで挟まれた領域に表面シート23が現れて、主な液吸収領域となっている。
【0038】
図2に示すX1は、膣対向基準線であり、この膣対向基準線X1は、ナプキン本体2の前縁部4から後方へ100〜200mm離れた範囲に位置している。
【0039】
ここで言う膣対向基準線X1とは、この生理用ナプキン1を装着するときに、ほぼ膣の中心に一致させる目安となる位置を意味している。この目安は、生理用ナプキンを肌側表面から見たときの全体形状や、肌側表面に形成されている圧縮線の形状などの全体のデザインによって誘導するものである。この実施の形態のように、左右両側に突出する折り返しフラップ部7,7が存在し、さらにナプキン本体2の肌側表面に縦方向に延びる圧縮線41が形成されている場合には、通常はこの折り返しフラップ部7,7を縦方向に二分する中心位置が、膣口の中心部に対向させるための目安となる。あるいは、圧縮線41の横方向の間隔が最も狭くなる部分が前記目安となる。
【0040】
この実施の形態では、圧縮線41の間隔が最も狭い位置を膣対向基準線X1としている。また、膣対向基準線X1は、折り返しフラップ部7,7のほぼ中心を通っている。
【0041】
図2に示すX2は、肛門対向基準線であり、前記膣対向基準線X1を膣口の中心位置に一致させたときに、前記肛門対向基準線X2が肛門に対向する。この肛門対向基準線X2は、着用者の身体によって相違するが、通常は前記膣対向基準線X1から後方へ距離L2=30〜70mmだけ離れた位置にある。
【0042】
前記ナプキン本体2を構成している前記裏面シート21は、坪量が23g/m2程度のポリエチレン樹脂などのフィルムであり、好ましくは透湿性のものが使用される。前記液吸収層22は、粉砕パルプと高吸収性ポリマー(SAP)とが混合され、さらに親水性のティッシュペーパで包まれているものであり、粉砕パルプの目付けは400g/m2程度である。前記側部シート11は、芯部がポリプロピレンで鞘部がポリエチレンの芯鞘型複合合成繊維で形成されたスパンボンド不織布である。
【0043】
前記表面シート23は、第1の液透過性シート23aと第2の液透過性シート23bとが重ねられて構成されている。前記第1の液透過性シート23aと前記第2の液透過性シート23bは、それぞれ目付けが25g/m2程度のスルーエア不織布である。このスルーエア不織布を構成する繊維は、芯部がポリエチレンテレフタレート樹脂で、鞘部がポリエチレン樹脂の芯鞘型の複合合成繊維であり、前記芯部に酸化チタンなどの無機フィラーが混入されたものが使用される。前記第1の液透過性シート23aと第2の液透過性シート23bは、親水性油剤をコーティングした親水性の繊維が80%と、撥水性の油剤をコーティングした撥水性繊維20%とが混綿されたもので形成されている。
【0044】
前記第1の液透過性シート23aと前記第2の液透過性シート23bは、液の透過を妨げない程度の坪量(例えば2g/m2)で塗工されたホットメルト型接着剤によって互いに離れないように接着されている。
【0045】
前記表面シート23を構成する前記液透過性シートは、スルーエア不織布に限られず、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布あるいはスパンボンド不織布などであってもよいが、液の透過性を良好にするために繊維密度は0.12g/cm3以下であることが好ましい。前記液透過性シートは多数の液透過孔が形成された樹脂フィルムであってもよいし、第1の液透過性シート23aを液透過孔を有する前記樹脂フィルムで形成し、第2の液透過性シート23bを、スルーエアなどの不織布で形成してもよい。また、表面シート23にドット状のエンボス加工を施したり、表面シート23を波状に賦形してもよい。
【0046】
図3と図4に示すように、縦方向中心線Oyの左右両側に等距離を空けた位置に、縦方向に並行に延びる接合境界線37,37が設けられている。この接合境界線37,37よりも左右両外側において、前記表面シート23は、液吸収層22の肌側表面に接着されている。そして、接合境界線37と37との間では、表面シート23が液吸収層22に接合されておらず、接合境界線37と37との間に位置する表面シート23の一部によって、前記第1の表面構成要素3が形成されている。
【0047】
第1の表面構成要素3では、縦方向中心線Oy上に延びる弾性部材36が、第1の液透過性シート23aと第2の液透過性シート23bとの間に挟まれてホットメルト型接着剤によって接着されている。弾性部材36は、図1に示す前方起端34よりも前方に延びる部分が、ナプキン本体2の肌側表面から離れないように接合され、後方起端35よりも後方に延びる部分が、ナプキン本体2の肌側表面から離れないように固定されている。
【0048】
図3に示すように、前方起端34とナプキン本体2の前縁部4との間では、接合境界線37と接合境界線37との間に位置する表面シート23が扁平に折り畳まれて前方偏平部32が形成されている。この前方偏平部32は、ナプキン本体2の肌側表面から離れないように固定されている。後方起端35とナプキン本体2の後縁部5との間では、表面シート23が偏平に折畳まれて後方偏平部33が形成され、この後方偏平部33は、ナプキン本体2の肌側表面から離れないように固定されている。
【0049】
前記弾性部材36の弾性収縮力によって、前方起端34と後方起端35とを接近させる弾性張力が作用し、図1に示すように、ナプキン本体2は肌側表面が窪むように湾曲変形する。その結果、前方起端34と後方起端35との間で、弾性部材36がナプキン本体2の肌側表面から離れ、表面シート23を構成する第1の液透過性シート23aと第2の液透過性シート23bとが、前記接合境界線37,37を起線として立ち上がって立体形状となる。そして、第1の表面構成要素3では、前方起端34と後方起端35との間に、図4に示すように内部が空洞の第1の隆起部31が形成されている。第1の隆起部31では、弾性部材36が設けられている部分が頂部31aとなり、この頂部31aは、縦方向中心線Oy上に形成される。
【0050】
第1の表面構成要素3では、第1の液透過性シート23aと第2の液透過性シート23bとの間に、一対の側部弾性部材39が接合されている。図3に示すように、前方偏平部32と後方偏平部33では、側部弾性部材39が、折畳まれた各偏平部32,33の両側縁部に位置している。
【0051】
前方扁平部32では、それぞれの側部弾性部材39の前方部分がナプキン本体2に接合固定されているが、この側部弾性部材39がナプキン本体2から離れる起点となる前方接続部は、前記前方起端34よりも後方に位置している。同様に後方扁平部33では、それぞれの側部弾性部材39の後方部分がナプキン本体2に接合固定されているが、この側部弾性部材39がナプキン本体2から離れる後方接続部は、前記後方起端35よりも前方に位置している。
【0052】
前記前方接続部と後方接続部との間で、それぞれの側部弾性部材39がナプキン本体2の肌側表面から離れ、図4に示すように、側部弾性部材39,39は横方向に互いに離れて位置し、且つ前記弾性部材36よりもナプキン本体2の肌側表面に近い位置となる。
【0053】
前記弾性部材36および側部弾性部材39は、ポリウレタン弾性糸で形成されている。前方起端34と後方起端35との間に作用する弾性部材36の弾性張力は、前方接続部と後方接続部との間に作用する個々の側部弾性部材39の弾性張力よりも小さいことが好ましい。前記弾性部材36の繊度は240〜10000dtex、好ましくは1800〜8000dtexである。前記側部弾性部材39の繊度は120〜6000dtex、好ましくは240〜4000dtexである。また、中央弾性部材36と側部弾性部材39として、細い弾性糸を束ねたり縒ったものを使用することができ、この場合、個々の弾性部材は、細い弾性糸の繊度の合計が前記範囲内にあればよい。
【0054】
前記弾性部材36および側部弾性部材39は、天然ゴムや合成ゴムで形成された糸ゴムなどであってもよいし、または伸縮性のフィルム、伸縮性の不織布、発泡ウレタン樹脂などの伸縮性の発泡樹脂を細く裁断したものであってもよい。前記弾性部材36および側部弾性部材39は、縦方向に1.2倍以上、好ましくは1.5倍伸ばされた状態で前記第1の液透過性シート23aと第2の液透過性シート23bとの間に接着固定されている。
【0055】
図3と図4に示すように、液吸収層22の両側部の肌側表面で、前記側部シート11が2枚重ねに折畳まれて、前記第2の表面構成要素10が形成されている。第2の表面構成要素10では、2枚重ねの側部シート11の間に、4本の弾性部材12a,12b,12cおよび12dが挟まれてホットメルト型接着剤で接着されている。
【0056】
図2に示すように、第2の表面構成要素10では、ナプキン本体2の前方に、斜めに延びる前方接合線13が形成され、前方接合線13から前縁部4までの間が前方接合部16となっている。この前方接合部16では、側部シート11が折畳まれてナプキン本体2の肌側表面に接着固定されている。ナプキン本体2の後方には、斜めに延びる後方接合線14が設けられ、この後方接合線14から後縁部5までの間が後方接合部17となっている。この後方接合部17では、側部シート11が折畳まれて、ナプキン本体2の肌側表面に接着固定されている。
【0057】
図4には、後方接合部17が示されているが、この後方接合部17では、弾性部材12aが横方向の外側に向けられ、弾性部材12cと弾性部材12dの部分で側部シート11が折られてナプキン本体2の肌側表面に固定されている。前方接合部16においても同様に、側部シート11が折畳まれて接合されている。
【0058】
前方接合線13の一端である前方起端13aと、後方接合線14の一端である後方起端14aとの間に、前記弾性部材12a〜12dの弾性収縮力が作用し、ナプキン本体2に、前方起端13aと後方起端14aとを接近させようとする曲げ応力が作用し、ナプキン本体2は、肌側表面が窪むように湾曲変形させられる。そして、前方起端13aと後方起端14aとの間で、弾性部材12a〜12dが、ナプキン本体2の肌側表面から離れ、側部シート11が、ナプキン本体2の肌側表面から立ち上がって第2の隆起部15が形成される。
【0059】
図3に示すように、第2の隆起部15は、弾性部材12aが設けられた部分が頂部15aとなり、弾性部材12cが設けられた部分が屈曲部15bとなって、第2の隆起部15は、断面形状がほぼくの字形状の防漏壁となる。
【0060】
前記弾性部材12a〜12dは、前記弾性部材36および側部弾性部材39に関して説明したものと同種のものが使用可能である。弾性部材12a〜12dのそれぞれの弾性張力は、第1の隆起部31に設けられた弾性部材36の弾性張力よりも小さいことが好ましい。例えば弾性部材12a〜12dのそれぞれは、繊度が120〜6000dtex、好ましくは240〜4000dtexのポリウレタン弾性糸で形成される。前記弾性部材12a〜12dは、前記前方起端13aと前記後方起端14aとの間において、縦方向に1.2倍以上、好ましくは1.5倍伸ばされた状態で前記側部シート11に接着固定されている。
【0061】
図1と図2に示すように、第1の隆起部31の前方起端34は、ナプキン本体2の膣対向基準線X1と同じ位置、またはその近傍に位置している。また、後方起端35は、膣対向基準線X1よりも後方に120〜250mm程度離れた位置にある。この生理用ナプキン1が女性に装着されると、前方起端34が膣口またはその近傍に対向し、後方起端35が尾てい骨またはその近傍に対向する。そして、第1の隆起部31は、膣口から肛門さらには肛門よりも後方の臀裂部に対向する。
【0062】
第2の隆起部15のそれぞれの前方起端13aは、膣対向基準線Xよりも前方に位置し、第1の隆起部31の前方起端34よりも前方に位置している。また、第2の隆起部15のそれぞれの後方起端14aは、肛門対向基準線X2よりも後方で、且つ第1の隆起部31の後方起端35よりも前方に位置している。
【0063】
図2に示すように、ナプキン本体2の裏面シート21を平面な状態としたときの、第1の隆起部31の前方起端34から後方起端35までの長さ寸法Laは、例えば190mmであり、前記Laは50〜250mmの範囲で設けられることが好ましい。それぞれの第2の隆起部15の前方起端13aから後方起端14aまでの長さ寸法Lbは200であり、前記Lbは50〜250mmの範囲で設けられることが好ましい。そして、長さLcで示す重複領域において、第1の隆起部31と第2の隆起部15は横方向において重なって位置している。
【0064】
第1の隆起部31の前方起端34と後方起端35との間の距離を二分する中間点は、肛門対向基準線X2よりも後方に位置している。第2の隆起部15の前方起端13aと後方起端14aとの間の距離を二分する中間点は、膣対向基準線X1と同じ位置、または膣対向基準線X1と肛門対向基準線X2との間に設けられている。また、第1の隆起部31の前記中間点は、第2の隆起部15の前記中間点よりも後方に位置している。
【0065】
第1の隆起部31に設けられた弾性部材36と側部弾性部材39とによって、前方起端34と後方起端35とを引き付ける力、すなわち第1の隆起部31の弾性収縮力は0.5〜6Nである。1つの第2の隆起部15に設けられた弾性部材12a〜12dの張力の合計によって前方起端13aと後方起端14aとを引き付ける力、すなわち1つの第2の隆起部15の弾性収縮力は0.15〜2Nであり、一対の第2の隆起部15による前記弾性収縮力の合計は、0.3〜4Nである。一対の第2の隆起部15による前記弾性収縮力の合計は、第1の隆起部31の弾性収縮力よりも小さいことが好ましい。
【0066】
前記のように設定すると、第1の隆起部31の弾性収縮力によってナプキン本体2を、肌側表面が窪むように湾曲変形させることができ、第2の隆起部15によっても、ナプキン本体2を、肌側表面が窪むように湾曲させることができる。
【0067】
図5では、第1の隆起部31と第2の隆起部15とが横方向に重なる重複領域が(i)で示されている。また、第1の隆起部31の前方起端34から、第2の隆起部15の前方起端13aまでの前方領域が(ii)で示され、第1の隆起部31の後方起端35から、第2の隆起部15の後方起端14aまでの後方領域が(iii)で示されている。ナプキン本体2を湾曲させるように作用する力は、前方領域(ii)<後方領域(iii)<重複領域(i)であり、ナプキン本体2に作用する曲げ応力も、前方領域(ii)<後方領域(iii)<重複領域(i)である。
【0068】
よって、図5に示すように、生理用ナプキン1を、外力を与えない自由状態としたときに、ナプキン本体2の肌側表面の個々の位置での曲率半径の平均値は、「前方領域の曲率半径の平均値(Rii)」>「後方領域の曲率半径の平均値(Riii)」>「重複領域の曲率半径の平均値(Ri)」となる。あるいは、自由状態において各部位の曲率が前記の不等式の関係にならなくても、生理用ナプキン1を下着の内面に接着して身体に装着したときに、ナプキン本体2は、「前方領域の曲率半径の平均値(Rii)」>「後方領域の曲率半径の平均値(Riii)」>「重複領域の曲率半径の平均値(Ri)」となるように変形しやすくなる。
【0069】
図2に示すように、ナプキン本体2を平坦な状態としたときの、重複領域(i)の長さLcは、15〜200mmの範囲であることが好ましく、さらには30mm以上であることが好ましい。前記範囲に設定すると、前述のように、重複領域(i)と前方領域(ii)および後方領域(iii)において、曲率半径の平均値の関係を前記のように設定しやすくなる。
【0070】
図6は、身長168cmで体重が56kg、BMI19.8の女性の股部の形状を断面で示すものである。なお。BMIは、(体重(kg)÷(身長(m))2)で求められる無次元の係数である。
【0071】
図6に示す内側曲線51は、女性の股間部から臀裂部57の溝の底部に向って延びる断面線であり、外側曲線52は、大腿部の付け根から臀部の表面に向って延びる線である。前記内側曲線51の前方に存在する膣を符号54で示す。同様に、肛門を符号55で示し、尾てい骨を符号56で示している。前記膣54は大陰唇を有する範囲を意味している。
【0072】
図6に示すように、前記内側曲線51に沿って、膣口中心(b)から後方へ60mm離れた位置を(a)とし、膣口中心(b)から後方へ120mm離れた位置を(c)としたときに、内側曲線51と外側曲線52の双方において、その曲率半径は、位置(a)<位置(c)<膣口中心(b)の順である。
【0073】
よって、図5に示す重複領域(i)を、前記位置(a)を含む領域に対向させ、前方領域(ii)を、膣口中心(b)を含む領域に対向させ、後方領域(iii)を、前記位置(c)を含む領域に対向させると、図5に示す湾曲形状の生理用ナプキン1が、女性の股部の各部位の湾曲形状に倣うようにフィットしやすくなる。
【0074】
生理用ナプキン1が図6に示すような女性の股部にフィットしやすくするためには、前記重複領域(i)が、図2に示す膣対向基準線X1よりも後方に60mm離れた位置に存在していることが好ましく、または少なくとも膣対向基準線X1よりも後方に40mm離れた位置から120mm離れた位置までの間に、重複領域(i)の少なくとも一部が存在していることが好ましい。すなわち、第1の隆起部31の前方起端34が、膣対向基準線X1から後方へ120mm以上離れることがなく、第2の隆起部15の後方起点14aが、膣対向基準線X1よりも後方へ40mm以上離れた位置にあり、且つ長さLcが15mm以上で好ましくは30mm以上の重複領域(i)が形成されていることが好ましい。
【0075】
また、ナプキン本体2の肌側表面から、第1の隆起部31の頂部31aまでの高さ寸法H1(図5参照)の最大値は10〜60mmの範囲が好ましい。前記範囲であれば、図6に示す臀裂部57の溝内に第1の隆起部31を密着させやすい。また、図4に示している第1の隆起部31の頂部31aの幅寸法(弾性部材36が設けられている部分の幅寸法)W2を1〜3mmの範囲に設定すると、第1の隆起部31の頂部31aが臀裂部57内に入り込みやすくなる。
【0076】
また、ナプキン本体2の肌側表面から第2の隆起部15の頂部15aまでの高さ寸法H2(図5参照)の最大値は、5〜50mm程度であることが好ましい。前記範囲であると、第2の隆起部15の頂部15aが、膣54の両側部において肌に接触して、経血の横漏れを抑制するための防漏壁として機能しやすくなる。
【0077】
図1ないし図4に示すように、ナプキン本体2の肌側表面には、前記表面シート23と液吸収層22を一緒に圧縮して加熱して形成した圧縮線41が形成されている。この圧縮線41は、第2の隆起部15の前方起端13aの前方から、第1の隆起部31の後方起端35よりも後方の位置まで連続して形成されている。圧縮線41は、液吸収層22を高密度に圧縮した部分とそれよりも低い密度に圧縮した部分とが、縦方向に向けて交互に形成されている。
【0078】
圧縮線41は剛性付与要素として機能し、この圧縮線41を設けることによって、ナプキン本体2が、弾性部材36と側部弾性部材39、および弾性部材12a〜12dの弾性収縮力に対抗する剛性を得ることができる。また、この圧縮線41は必ずしも前記範囲に形成されている必要はないが、少なくとも前記前方領域(ii)に設けられていることが好ましい。前方領域(ii)に圧縮線41が設けられていると、前方領域(ii)の曲率半径の平均値(Rii)を比較的大きい状態に設定しやすくなる。
【0079】
図3と図4に示すように、ナプキン本体2では、前記裏面シート21の着衣側表面に、下着に固着させるための感圧接着剤層24が設けられている。前記感圧接着剤層24は、縦方向中心線Oyの左右両側において前記縦方向中心線Oyと並行に設けられている。また、図示省略するが、前記折り返しフラップ部7,7が形成されている領域、および前記後方フラップ部8,8が形成されている領域においても、前記裏面シート21の着衣側表面に感圧接着剤層が設けられている。
【0080】
前記生理用ナプキン1を使用するときには、ナプキン本体2の着衣側表面に設けられた感圧接着剤層24を下着の内面に接着する。また、折り返しフラップ部7,7を下着のクロッチ部の両側縁部から外面に向けて折り返し、折り返しフラップ部7,7の着衣側表面に設けられた感圧接着剤層をクロッチ部の外面に接着する。また後方フラップ部8,8の着衣側表面に設けられた感圧接着剤層を下着の後身頃の下部内面に接着する。
【0081】
使用者が前記生理用ナプキン1を下着に固着するときには、前記膣対向基準線X1を位置決めの目安とし、前記中心位置がほぼ膣の前後方向での中心部に一致するように着用される。この生理用ナプキン1は、外力を与えない自由な状態で、図5に示すように、膣対向基準線X1よりも後方に位置する重複領域(i)が小さな曲率半径の平均値(Ri)となるように変形しやすい。または、下着と共に身体に装着した時点で、重複領域(i)が小さな曲率半径となるように変形しやすくなる。
【0082】
よって、ナプキン本体2が図6に示す女性の股部の各部位の曲面形状に沿って装着されやすくなる。すなわち、前方領域(ii)が比較的大きな曲率半径で膣およびその周辺に対向し、第1の表面構成要3の前方偏平部32および第1の隆起部31の前方部分が膣に対向する。また第2の隆起部15が、膣の両側部で立ち上がって股間部に安定して密着できるようになる。また生理用ナプキン1の重複領域(i)が肛門の後方に位置する身体の小さな曲率半径の湾曲部に対向し、後方領域(iii)が、身体のさらに後方に対向する。そして、第1の隆起部31が肛門および臀裂部57に密着しやすくなる。
【0083】
膣口から出た経血は、前記液透過性シート23a,23bの繊維間を自重で通過し、その下に位置する液吸収層22の親水力によって速やかに吸収保持される。第1の隆起部31が臀裂部に密着しやすく、前記第2の隆起部15が防漏壁として機能するため、経血は液吸収層22で吸収されやすくなり、横漏れや後方への漏れが生じにくくなる。
【0084】
次に、本発明の生理用ナプキンの他の実施の形態を説明する。
図7は本発明の第2の実施の形態の生理用ナプキン101を示すものであり、図4に相当する断面図である。
【0085】
第2の実施の形態の生理用ナプキン101は、ナプキン本体2が前記第1の実施の形態と同じ構造であるが、第1の表面構成要素103では、第1の液透過性シート23aと第2の液透過性シート23bとの間に、2本の弾性部材36,36が接着固定されている。そして、弾性部材36と弾性部材36との中間に位置する前記表面シート23の一部が、液吸収層22の肌側表面に接着されている。
【0086】
その結果、前方起端34と後方起端35との間において、ナプキン本体2の肌側表面から2つの第1の隆起部131が立ち上がった形状となる。また、第2の表面構成要素10および第2の隆起部15の構成は、第1の実施の形態と同じである。
【0087】
図8は本発明の第3の実施の形態の生理用ナプキン201を示すものであり、図4に相当する断面図である。
【0088】
第3の実施の形態の生理用ナプキン201の表面構成要素203は、前方起端34と後方起端35との間の少なくとも一部において、第1の隆起部231がナプキン本体2の肌側表面から離れており、第1の隆起部231がナプキン本体2上で横方向へ自由に動くことができるようになっている。
【0089】
第1の隆起部231では、縦方向中心線Oy上に位置する弾性部材36が、前記第1の液透過性シート23aと第2の液透過性シート23bとの間に挟まれて接着固定されている。また、第1の液透過性シート23aと第2の液透過性シート23bの縁部どうしが接合されて、第1の隆起部231は、内部が空洞の筒構造となっている。
【0090】
また、ナプキン本体202は、液吸収層22の肌側表面が液透過性の表面シート123で覆われている。前記表面シート123は、前記第1の液透過性シート23aや第2の液透過性シート23bと同等の素材で形成されている。
【0091】
前記前方起端34よりも前方、および後方起端35よりも後方では、前記第1の液透過性シート23aと第2の液透過性シート23bとが、扁平状態に折畳まれて、第1の実施の形態と同様の前方扁平部32と後方扁平部33とが形成されている。
【0092】
第3の実施の形態の生理用ナプキン201では、第1の隆起部231が臀裂部などに密着した状態で、身体と下着とが位置ずれし、下着に固着されたナプキン本体202が左右両側に動いたとしても、第1の隆起部231は身体に密着した状態を維持しやすい。
【0093】
図9は本発明の第4の実施の形態の生理用ナプキン301を示している。
この生理用ナプキン301のナプキン本体202は、前記図8に示した第3の実施の形態と同じものである。この実施の形態の表面構成要素303においても、前方起端34と後方起端35との間の少なくとも一部において、第1の隆起部331がナプキン本体202の肌側表面から離れて自由に動けるようになっている。
【0094】
第1の隆起部331は、断面形状が逆Vの字形状であり、液透過性シート323が折り返されて形成されている。この液透過性シート323の間には、縦方向中心線Oy上に位置する弾性部材36が固定されているとともに、この弾性部材36の左右両側に等距離を空けた位置に側部弾性部材336,336が設けられ、この側部弾性部材336,336も液透過性シート323の間に固定されている。
【0095】
図10は、第5の実施の形態の生理用ナプキン401を示している。
この生理用ナプキン401では、ナプキン本体2の構造が第1の実施の形態と同じである。第1の表面構成要素403で形成される第1の隆起部431は、表面シート23によって、断面がT字形状となるように形成されている。
【0096】
図11(A)(B)は、第1の表面構成要素で形成される第2の隆起部の他の実施の形態を示している。
【0097】
図11(A)に示す生理用ナプキン501Aでは、第2の隆起部115の構造として、側部シート11内に弾性部材としてシート状弾性体112が設けられ、このシート状弾性体112により、前方起端と後方起端とが引き付けられている。シート状弾性体112は、合成ゴムバンド、伸縮性不織布、伸縮性のある発泡樹脂シートなどである。
【0098】
図11(B)に示す生理用ナプキン501Bでは、第2の隆起部215が、複数の弾性部材212を有して、断面がT字形状に立ち上がる。
その他、第2の隆起部の立体形状はどのようなものであってもよい。
【0099】
図12は、本発明の第6の実施の形態の生理用ナプキン601を示すものであり、図2にと同様に平面形状に展開した平面図である。
【0100】
この生理用ナプキン601は、ナプキン本体602の肌側表面に、実施例1と同じ第1の表面構成要素3および第1の隆起部31と、第2の表面構成要素10および第2の隆起部15とが設けられている。
【0101】
第6の実施の形態のナプキン本体602と第1の実施の形態のナプキン本体2との相違点は、ナプキン本体602の肌側表面に設けられた圧縮線の形状のみである。図12に示すナプキン本体602では、図2に示すのと同じパターン形状の圧縮線41の左右両側に補助圧縮線142,142が設けられている。補助圧縮線142は、膣対向基準線X1を中心とする前後方向の所定範囲に形成されている。すなわち、補助圧縮線142は、第1の隆起部31の前方起端34よりも前方に延びているとともに、補助圧縮線142の後端142aは、第1の隆起部31と第2の隆起部15とが横方向において重複している長さLcの重複領域内の途中位置まで延びている。図12に示す実施の形態では、前記後端142aが、前記重複領域の長さ寸法Lcのほぼ中心に位置している。
【0102】
前方起端34よりも前方において第2の隆起部15の弾性収縮力が作用する前方領域では、圧縮線141と補助圧縮線142とが設けられて、ナプキン本体602の曲げ剛性が比較的高くなっているため、この前方領域では湾曲形状に変形したときの曲率半径が比較的大きくなる。また、長さLcの重複領域では、その前方部分に圧縮線141と補助圧縮線142が設けられ、後方部分に補助圧縮線142が設けられていない。よって、重複領域では、前方補助圧縮線142の後端142aを境としてナプキン本体602が屈曲しやすくなる。
【0103】
そのため、ナプキン本体602は、肛門対向基準線X2またはそれよりもやや後方部分において、小さい曲率半径となるように湾曲しやすくなり、女性の股部の湾曲形状にフィットしやすくなる。
【0104】
図13は、本発明の第7の実施の形態の生理用ナプキン701に外力が作用していない状態を示す斜視図であり、図14は図13のXIV−XIV線の断面図、図15は図13のXV−XV線の断面図である。
【0105】
生理用ナプキン701のナプキン本体702は、前記第1の実施の形態と実質的に同じである。
【0106】
第2の表面構成要素10および第2の隆起部15の形状は、第1の実施の形態と同じであり、第2の表面構成要素10は、側部シート11に、弾性部材12a〜12dが接合されて構成されている。そして、第2の隆起部15は、前方起端13aと後方起端14aとの間で、ナプキン本体2の肌側表面から立ち上がって防漏壁が形成されている。第2の隆起部15の長さはLbである。
【0107】
第1の表面構成要素3および第1の隆起部31の形状も、第1の実施の形態とほぼ同じであり、第1の表面構成要素3は、表面シート23と弾性部材36および一対の側部弾性部材39によって構成されている。第1の表面構成要素3は、前方起端34と後方起端35との間でナプキン本体2の肌側表面から隆起して第1の隆起部31が形成されている。前方起端34の前方には前方扁平部32が形成され、後方起端35よりも後方には後方扁平部33が形成されている。図13では、第1の隆起部31の長さをLa1で示している。この長さLa1は、図2に示す第1の隆起部31の長さLaよりもわずかに短く、図13では、前方起端34が、膣対向基準線X1よりもやや後方で肛門対向基準線X2の近傍に位置している。
【0108】
図13に示す生理用ナプキン701では、第1の隆起部31と第2の隆起部15とが横方向に重なる重複領域の長さ寸法がLc1である。前述のようにこの長さLc1は、15mm以上であることが好ましく、30mm以上であることがさらに好ましい。
【0109】
この生理用ナプキン701では、ナプキン本体2の肌側表面に、一対の第3の表面構成要素703が設けられている。この第3の表面構成要素703は、縦方向中心線Oyを挟んで左右両側に位置し、且つ第1の表面構成要素3と第2の表面構成要素10との間に位置している。
【0110】
図14と図15に示すように、ナプキン本体702の肌側表面の両側部には、表面シート23の上に第2の表面シート723が設けられている。この第2の表面シート723は、親水性で液透過性であり、前記表面シート23と同様に、第1の液透過性シートと第2の液透過性シートとが積層されて構成されている。また、第3の表面構成要素703では、前記第1の液透過性シートと第2の液透過性シートとの間に、複数の弾性部材736が縦方向に伸ばされた状態で接合されている。
【0111】
図13と図15に示すように、第3の表面構成要素703では、前方起端734と後方起端735との間で、前記弾性部材736および第2の表面シート723が、ナプキン本体702の肌側表面から立ち上がって一対の第3の隆起部731が形成されている。
【0112】
図13では、第3の隆起部731の長さ寸法をLdで示している。第3の隆起部731の前方起端734は、第1の隆起部31の前方起端34と前方においてほぼ同じ位置にある。その結果、第3の隆起部731の前方起端734と後方起端735を前後に二分する中間点は、第2の隆起部15の中間点よりも後方に位置している。また、長さLc1の重複領域では、第1の隆起部31と第2の隆起部15および第3の隆起部731の全てが横方向において重なっている。さらに、第2の隆起部15の後方起端14aよりも後方では、第1の隆起部31の一部と第3の隆起部731の一部とが横方向において重なって配置された領域が存在している。
【0113】
この生理用ナプキン701では、長さLc1の重複領域に、第1の隆起部31と第2の隆起部15および第3の隆起部731の弾性収縮力が全て作用することで、前記重複領域においてナプキン本体2に大きな曲げ応力が作用する。また第2の隆起部15の後方起端14aよりも後方領域には、第1の隆起部31と第3の隆起部731の双方の弾性収縮力が作用し、また第1の隆起部31の前方起端34よりも前方領域では、第2の隆起部15の弾性収縮力のみが作用する。
【0114】
よって、ナプキン本体2に作用する曲げ応力は、重複領域>後方領域>前方領域となるように設定しやすくなり、ナプキン本体2は、肛門対向基準線X2よりも後方において小さな曲率半径で変形し、図6に示す女性の股部の形状にフィットしやすくなる。
【0115】
なお、前記第3の隆起部731の前方起端734は、必ずしも第1の隆起部31の前方起端34と同じ位置にある必要はなく、前方起端734が前方起端34のよりも前方に位置し、または後方に位置してもよい。ただし、第1の隆起部31と第2の隆起部15および第3の隆起部731との重複領域が、15mm以上存在していることが好ましく、さらに好ましくは30mm以上である。
【0116】
この生理用ナプキン701が装着されると、第1の隆起部31が肛門から後方の臀裂部内に入り込んで密着しやすくなるとともに、その両側で第3の隆起部731が、臀部の表面に密着するため、就寝時などにおける経血の後方での漏れを防止しやすくなる。
【0117】
図16は本発明の第8の実施の形態の生理用ナプキン801を平面状態に展開した平面図、図17は前記生理用ナプキン801に外力を作用させていない自由状態を示す側面図である。
【0118】
第8の実施の形態の生理用ナプキン801のナプキン本体2は、第1の実施の形態に設けられたものと実質的に同じである。また、第1の表面構成要素3および第1の隆起部31の形状、および第2の表面構成要素10および第2の隆起部15の基本的な構造は第1の実施の形態と同じである。ただし、第1の隆起部31と第2の隆起部15の長さ寸法が第1の実施の形態と相違している。
【0119】
図16に示すように、生理用ナプキン801では、第1の隆起部31の長さ寸法Leが、図2に示した第1の実施の形態での長さ寸法Laよりもやや短く、生理用ナプキン801では、前方起端34が肛門対向基準線X2と同じ位置またはその近傍に位置している。また、生理用ナプキン801では、第2の隆起部15の長さ寸法Lfが第1の実施の形態での長さ寸法Lbよりもやや長く、その後方起端14aは、前記第1の隆起部31の後方起端35とほぼ同じ位置にある。
【0120】
その結果、第1の隆起部31の前方起端34よりも前方領域では、ナプキン本体2に第2の隆起部15の弾性収縮力のみが作用し、第1の隆起部31が設けられている領域はその長さLeの全長において、第2の隆起部15と重なる重複領域となっている。
【0121】
この実施の形態では、ナプキン本体2に作用する曲げ応力が、重複領域>前方領域であり、図17に示すように、生理用ナプキン801は、前方起端34よりも前方において比較的曲率半径が大きく、前方起端34と後方起端35の間において、比較的小さい曲率半径で変形しやすくなる。前方よりも後方において小さい曲率半径となるように変形しやすくすることにより、図6に示す女性の股部において、生理用ナプキン801がフィットしやすくなる。
【0122】
図18は本発明の第9の実施の形態の生理用ナプキン901を平面状態に展開した平面図、図19は生理用ナプキン901を、外力を作用させない自由状態で示した側面図である。
【0123】
第9図の実施の形態の生理用ナプキン901のナプキン本体902は、裏面シート21、液吸収層22および表面シート23および側部シート11を有し、前方フラップ部906、折り返しフラップ部907および後方フラップ部908を有している。
【0124】
ただし、ナプキン本体902は、前縁部904から後縁部905までの長さ寸法が、図2に示す第1の実施の形態のナプキン本体2の長さ寸法L1よりも短い。そして、折り返しフラップ部907が縦方向における中央部分に形成されており、膣対向基準線X1は、ナプキン本体902を前後に二分する中心位置にある。この生理用ナプキン901は、膣対向基準線X1を、図6に示す膣口の中心位置(b)に対向させたときに、前縁部904が恥骨のやや前方に対向し、後縁部905が、肛門55よりもやや後方の位置(a)付近またはそれよりもやや後方に対向する。
【0125】
ナプキン本体902の肌側表面には、表面シート23によって縦方向中心線Oy上に位置する第1の表面構成要素903が形成されている。この第1の表面構成要素903は、表面シート23と、図3に示したのと同様の弾性部材36および側部弾性部材39で構成されている。
【0126】
図18に示すように、第1の表面構成要素903は、前方に第1の前方起端934aと第1の後方起端935aとを有しており、図19に示すように、第1の前方起端934aと第1の後方起端935aとの間において、第1の隆起部931aが縦方向へ弾性収縮力を発揮するとともに、ナプキン本体902の肌側表面から立ち上がる。第1の表面構成要素903では、後方に第2の前方起端934bと第2の後方起端935bとが設けられ、図19に示すように、第2の前方起端934bと第2の後方起端935bとの間で、他の第1の隆起部931bの弾性収縮力が作用し、他の第1の隆起部931bがナプキン本体902の肌側表面から立ち上がる。
【0127】
第1の後方起端935aと第2の前方起端934bは、膣対向基準線X1から前後に同じ距離だけ離れて位置し、第1の後方起端935aと第2の前方起端934bとの間では、第1の表面構成要素903が折畳まれて中央扁平部936が形成されている。また、第1の前方起端934aよりも前方には前方扁平部932が設けられ、第2の後方起端935bよりも後方には後方扁平部933が設けられている。
【0128】
ナプキン本体902の肌側表面の両側部には、第2の表面構成要素910が設けられている。この表面構成要素910は、図3および図4に示したものと同様に、側部シート11と、弾性部材12a〜12dによって構成されている。それぞれの表面構成要素910は、前方起端913aと後方起端914aとの間において、図3に示したのと同様にナプキン本体902の肌側表面から立ち上がっている。第2の隆起部915の前方起端913aと後方起端914aは、膣対向基準線X1から前後に同じ距離だけ離れて位置している。
【0129】
前方に位置する第1の隆起部931aと後方に位置する第1の隆起部931bの長さは共に同じ寸法Lgであり、第2の隆起部915の長さ寸法はLhである。そして、前方に位置する第1の隆起部931aの後方部分と、第2の隆起部915の前方部分とが横方向に重なって前方重複領域が形成されており、後方に位置する第1の隆起部931bの前方部分と、第2の隆起部915の後方部分とが横方向に重なって後方重複領域が形成されている。図19では、それぞれの重複領域を(iv)で示している。この重複領域(iv)の長さ寸法は15mm以上であることが好ましく、さらに好ましくは30mm以上である。
【0130】
図19に示すように、前記重複領域(iv)が、膣対向基準線X1から前後に離れた位置にあるため、膣対向基準線X1が存在している中央領域においてナプキン本体902に作用する曲げ応力が比較的小さく、前記重複領域(iv)では曲げ応力が比較的大きくなる。よって、膣に対向する中央領域では、ナプキン本体902が湾曲形状に変形しいたときの曲率半径が比較的大きく、前後の重複領域(iv)においては小さい曲率半径で屈曲変形しやすくなる。そのため、中央領域が膣にフィットしやすく、重複領域(iv)が、膣よりも前方の恥骨部分、および肛門よりも後方において身体が小さい曲率半径で湾曲している部分にフィットしやすくなる。
【0131】
また、図18に示すように、後方起端935aと前方起端934aとの間の中央領域には、圧縮線941と補助圧縮線942の双方が設けられているため、中央領域が湾曲しにくくなり、中央領域の曲率半径を比較的大きな状態に保ちやすくなる。
【0132】
図20は本発明の第10の実施の形態の生理用ナプキン1001の自由状態を示す斜視図、図21は図20のXXI−XXI線の断面図、図22は図20のXXII−XXII線の断面図である。
【0133】
図21と図22に示すように、この生理用ナプキン1001のナプキン本体1002は、裏面シート21と液吸収層22および表面シート23を有している。前縁部4および後縁部5では、表面シート23が液吸収層22の肌側表面に接着されている。前縁部4と後縁部5を除いた部分では、図21および図22に示すように、表面シート23は、液吸収層22の両側縁部22c,22cに接着され且つその外側では裏面シート21に接着されている。そして、液吸収層22の肌側表面には表面シート23が接着されておらず、表面シート23が肌側表面から離れることが可能となっている。
【0134】
生理用ナプキン1001の前方部分では、図21に示すように、側部弾性部材1039,1039が縦方向において所定の長さの範囲に設けられている。側部弾性部材1039は横方向に間隔を開けて配置されており、その前方接続部と後方接続部との間で縦方向の弾性収縮力を発揮し、液吸収層22の肌側表面から離れることができるようになっている。そして側部弾性部材1039,1039が設けられている部分に、第2の隆起部1015,1015が形成されている。
【0135】
生理用ナプキン1001の後方部分では、縦方向中心線の位置に中央弾性部材1036が設けられている。この中央弾性部材1036はその前方接続部と後方接続部との間で、縦方向に弾性収縮力を発揮し、液吸収層22の肌側表面から離れている。
【0136】
よって、生理用ナプキン1001の後方部分では、中央弾性部材1036が設けられている部分が第1の隆起部1031となる。
【0137】
図20に示すように、第1の隆起部1031の前方部分と、第2の隆起部1015の後方部分は、膣対向基準線X1よりも後方において横方向に重なっており重複領域が形成されている。
【0138】
図21と図22に示すように、表面シート23の裏側には補強シート1005が設けられており、中央弾性部材1036および側部弾性部材1039が前記補強シート1005で覆われている。補強シート1005は親水性の素材または液透過性の素材で剛性を有するものであり、例えば、エアーレイドパルプ、開口を有する樹脂フィルム、紙材、またはスルーエア不織布などで形成されている。
【0139】
前記補強シート1005が設けられていると、図21に示すように前方部分では、第2の隆起部1015と第2の隆起部1015の間で表面シート23が平面形状を保ちやすくなる。また図22に示すように、後方では、第1の隆起部1031の三角形状を保ちやすくなる。
【0140】
この生理用ナプキン1001も、第1の隆起部1031と第2の隆起部1015とが重なっている重複領域と、この重複領域よりも前方に位置して第2の隆起部1015,1015が設けられた前方領域と、重複領域よりも後方に位置して第1の隆起部1031が設けられた後方領域を有している。そして、ナプキン本体1002に作用する曲げ応力は、重複領域>後方領域>前方領域となるように設定されている。
【0141】
なお、前記各実施の形態では、ナプキン本体に作用する曲げ応力が、重複領域>後方領域>前方領域であることが好ましいとして説明したが、重複領域>後方領域=前方領域であってもよいし、重複領域>前方領域>後方領域であってもよい。
【符号の説明】
【0142】
1 生理用ナプキン
2 ナプキン本体
3 第1の表面構成要素
10 第2の表面構成要素
11 側部シート
12a〜12d 弾性部材
13a 前方起端
14a 後方起端
15 第2の隆起部
21 裏面シート
22 液吸収層
23 表面シート
31 第1の隆起部
32 前方扁平部
33 後方扁平部
34 前方起端
35 後方起端
36 弾性部材
39 側部弾性部材
41 圧縮線
42 補助圧縮線
(i) 重複領域
(ii) 前方領域
(iii)後方領域
X1 膣対向基準線
X2 肛門対向基準線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液を吸収保持する液吸収層を有するナプキン本体と、前記ナプキン本体の肌側表面に設けられた隆起部とを有する生理用ナプキンにおいて、
縦方向に間隔を開けて位置する前方起端と後方起端との間で弾性収縮力を発揮して、ナプキン本体を肌側表面が窪むように変形させるとともに、ナプキン本体の肌側表面から隆起する第1の隆起部と、縦方向に間隔を開けて位置する前方起端と後方起端との間で弾性収縮力を発揮して、ナプキン本体を肌側表面が窪むように変形させるとともに、ナプキン本体の肌側表面から隆起する第2の隆起部とを有しており、
前記第1の隆起部と前記第2の隆起部とが、横方向に重なる重複領域を有していることを特徴とする生理用ナプキン。
【請求項2】
前記第1の隆起部は、ナプキン本体の縦方向中心線に沿って位置し、前記第2の隆起部は、縦方向中心線から横方向の両側に離れて位置している請求項1記載の生理用ナプキン。
【請求項3】
前記第1の隆起部と第2の隆起部は共に、ナプキン本体の肌側表面から立ち上がるシートと、前方起端と後方起端との間で弾性収縮力を発揮して前記シートを立ち上がらせる弾性部材とを有している請求項1または2記載の生理用ナプキン。
【請求項4】
前記第1の隆起部における前記前方起端と後方起端との中間点は、前記第2の隆起部における前方起端と後方起端との中間点よりも後方に位置している請求項1ないし3のいずれかに記載の生理用ナプキン。
【請求項5】
前記第2の隆起部は、前記第1の隆起部よりも前方に位置し、前記重複領域で、第2の隆起部の一部と前記第1の隆起部の一部が重なっている請求項4記載の生理用ナプキン。
【請求項6】
前記重複領域の前方において第2の隆起部が設けられている領域を前方領域、前記重複領域の後方において第1の隆起部が設けられている領域を後方領域としたときに、隆起部がナプキン本体に与える曲げ応力は、前方領域よりも重複領域の方が大きく、且つ後方領域よりも重複領域の方が大きい請求項5記載の生理用ナプキン。
【請求項7】
前方領域において隆起部がナプキン本体に与える曲げ応力は、後方領域での前記曲げ応力と同じかまたはそれ未満である請求項6記載の生理用ナプキン。
【請求項8】
ナプキン本体には、少なくとも前記前方領域に、縦方向に延びる圧縮線が設けられている請求項6または7記載の生理用ナプキン。
【請求項9】
前記重複領域を前後に二分する中間点は、ナプキン本体の膣対向基準線よりも後方に位置している請求項1ないし8のいずれかに記載の生理用ナプキン。
【請求項10】
前記第1の隆起部の前方起端は、前記膣対向基準線の後方120mm離れた位置よりも前方に存在する請求項9記載の生理用ナプキン。
【請求項11】
縦方向に間隔を開けて位置する前方起端と後方起端との間で弾性収縮力を発揮して、ナプキン本体を肌側表面が窪むように変形させる第3の隆起部が設けられており、
前記第1の隆起部における前記前方起端と後方起端との中間点および、前記第3の隆起部における前記前方起端と後方起端との中間点は、前記第2の隆起部における前方起端と後方起端との中間点よりも後方に位置している請求項1ないし3のいずれかに記載の生理用ナプキン。
【請求項12】
前記第1の隆起部と前記第2の隆起部、および前記第3の隆起部が、横方向に重なる重複領域を有している請求項11記載の生理用ナプキン。
【請求項13】
前記第3の隆起部は、前記第1の隆起部と前記第2の隆起部との間に位置している請求項11または12記載の生理用ナプキン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−5342(P2011−5342A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232507(P2010−232507)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【分割の表示】特願2004−378874(P2004−378874)の分割
【原出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】