説明

生理用品

【課題】ナプキンとかオムツ等の生理用品使用時に発生する肌のムレ、かゆみ等の悩み(不快感)を軽減する。
【解決手段】高活性酸化亜鉛系化合物をナプキンとかオムツ等の生理用品に添加することにより、亜鉛イオンを生成させて、荒れた肌の修復を促進させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生理用品に関する。さらに詳しくは、生理用ナプキン、タンポンおよびオムツ等に接触する肌の悩みを軽減する、酸化亜鉛系化合物を含有する生理用品に関する。
【背景技術】
【0002】
女性の生理期間中の対策として、ナプキンが広く使用されている。ナプキンの構造は、不織布、樹脂、紙等からできている。肌に接触する表面部分には不織布が使用され、中間層には、排出物を吸収する吸水性樹脂、綿、およびパルプ等が使用され、外側は樹脂シートでできている。
高性能の吸水性樹脂が開発されたため経血を素早く、且つ大量吸収できるようになったため、漏れる心配が少なくなってきた。しかも、コンパクトとなり使用感は大変改良されてきている。
オムツについてもナプキンとほぼ同様の構造、状況である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ナプキンは随分性能がよくなったがムレとか、かゆみ等の肌の不快感を持つ人が依然として多い。ムレは経血や汗により肌の表面の皮膚の最外部を形成する角層構造が乱されることにより、ふやける状態になることで生じる。ムレると、ナプキンとの摩擦に敏感となる。ナプキンによる摩擦からくる不快感をできるだけ軽減するため、不織布の表面に凹凸をもたせる構造にすることで、肌との接触面積を減らす工夫が行われている。しかし、この方法でも皮膚との接触を完全になくすことができないため、肌の悩みのさらなる改善は限界にきている。
生理用製品による肌の悩みは、オムツとかナプキンでもナプキンと同様であり、従来の考え方による改善では限界に達しつつある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は下記式(1)で表わされる酸化亜鉛系化合物
【化1】

(但し、式中、M3+は3価金属Alおよび/またはFeを示し、xは次の範囲、0≦x≦0.4にある)で表わされる酸化亜鉛系化合物を含有するナプキン、タンポンおよびオムツ等の生理用品を提供する。高活性な酸化亜鉛系化合物が水分に溶解して亜鉛イオンを生成し、これが肌表面細胞の再生に寄与することで、肌の悩みの改善を行う。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、ナプキン、オムツ等の生理用品に残された課題であるムレ、かゆみ等の肌の悩みをさらに改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、ナプキン、オムツ等の生理用品に高活性な酸化亜鉛系化合物を含有させることにより、経血、汗、尿、排便等に含まれる水分に酸化亜鉛系化合物の一部を溶解させる。水に溶解した亜鉛イオンの働きで細胞の修復作用をさせることにより、ただれた肌の修復を助ける。したがって本発明の技術を生理用品だけでなく、床ずれ、皮膚外傷治癒にも利用できる。
本発明で用いる式(1)の酸化亜鉛系化合物は、酸化亜鉛にAlおよび/またはFeが固溶した固溶体、または酸化亜鉛であり、好ましくは固溶体である。
固溶体の固溶範囲xは0<x<0.4であり、好ましくは0.01<x<0.3、特に好ましくは0.05<x<0.2の範囲である。
【0007】
酸化亜鉛は水に難溶であるが、1次粒子を超微粒子にすることによりppmレベルの水への溶解性を可能にできる。酸化亜鉛に固溶した3価金属が酸化亜鉛の1次粒子の成長を抑制するため、固溶体が1次粒子の微粒子化に好都合である。
1次粒子をBET比表面積で間接的に表わすことができる。BET比表面積で表わすと好ましくは30m/g以上、特に好ましくは40m/g以上である。このような条件を満たす高活性酸化亜鉛系化合物の水への溶解は、例えば、水に0.1%添加し、30℃で1時間経過後の亜鉛イオンの溶出量が、5ppm以上、好ましくは10ppm以上、特に好ましくは40ppm以上である。
【0008】
本発明のナプキン、オムツ等の生理用品は、酸化亜鉛系化合物を、経血、汗、尿、排便等由来の水分が到達できる範囲内の、任意の部分に含有させることができる。例えば、表面層を形成する不織布に接着剤により添着することにより、または樹脂に溶融混練後不織布に加工することにより使用できる。また、吸水性樹脂、パルプ、綿等から成る中間層に粉末状または顆粒状でそれらと混合して用いることもできる。
本発明で用いる酸化亜鉛系の使用量は、生理用品1個あたり0.01g以上、好ましくは0.1〜5gである。
【0009】
本発明で用いる酸化亜鉛系固溶体の製造は、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛等の水溶液に水酸化ナトリウム等のアルカリを加え共沈させた後、ろ過、水洗、乾燥、粉砕等の慣用の工程を適宜選択使用して水酸化物を製造した後、好ましくは300〜500℃で焼成することにより製造できる。
超微粒子酸化亜鉛は金属亜鉛を加熱蒸発させ、空気中の酸素で酸化して酸化亜鉛を生成させ、分級し、そのなかで最も粒子が細かいものを捕集する等の方法で製造できる。
【0010】
以下実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
塩化亜鉛と硝酸アルミニウムの混合水溶液(Zn=1.0モル/L,Al=0.01モル/L)と水酸化ナトリウムの水溶液(2.0モル/L)を、計量ポンプを用いてそれぞれ200ml/分、約200ml/分の流速で、容量2Lのオーバーフロー付き反応槽に攪拌下に供給し、水酸化ナトリウムの流量を調節してpHを約7〜7.5に保って共沈反応させた。
得られた白色沈殿を減圧ろ過後、0.5モル/Lの炭酸ソーダ水溶液で、ろ液が硝酸銀添加で白濁しなくなるまで洗浄し、水洗後噴霧乾燥機により造粒乾燥した。得られた粉末を電気炉に入れ、350℃で1時間焼成した。
【0012】
この粉末のX線回折パターンは酸化亜鉛のみであり、但し、わずかに高角度側にシフトしていた。したがってこの粉末は酸化亜鉛に酸化アルミニウムが固溶していることが分かる。
キレート滴定法でZnとAlを定量し、化学組成を決定した結果は次のとおりである。
(Zn)0.91(Al)0.09
液体窒素物理吸着による測定したBET比表面積は45m/gであった。レーザー回折法で測定した粒度分布は、平均2次粒子径が250μmであった。
焼成粉末200mgを脱イオン水200mlに加え、30℃で2時間静置後、ろ過し、ろ液中の亜鉛イオン濃度をキレート滴定法で測定した。その結果、溶出した亜鉛イオン濃度は71ppmであった。
【0013】
市販のナプキンの中間層にある高吸水性樹脂とパルプの混合された袋に上記酸化亜鉛系固溶体を2g混合したものを作成した。
これを20代の女性5人に生理期間中、使用してもらい、ムレ、カユミ等の不快感のレベルを従来のナプキンと比較してもらった。
その結果、この試作品が4人では、明らかに不快感が減少し、残り1人は変わらないという結果であった。
【実施例2】
【0014】
実施例1で作成した酸化亜鉛固溶体を直鎖低密度ポリエチレンに10重量%混合後、オープンロールを用いて約160℃で10分間溶融混練し、その後1mm厚さに圧縮成型した。この成型シートから、タテ4cm、ヨコ4cmの大きさに裁断し、これを2枚200mlの脱イオン水に入れ30℃で8時間静置後、水に溶出した亜鉛イオンをICPで分析した。その結果亜鉛イオン濃度は1.5ppmであった。
【0015】
[比較例1]
実施例2においてポリエチレン単独の成型シートについて、実施例2と同様の試験を行った。その結果、亜鉛イオンの溶出は0.1ppm以下であった。
【0016】
[比較例2]
亜鉛華1号を用いて、実施例1と同様にして水への亜鉛イオンの溶出を測定した結果、亜鉛オン濃度は0.9ppmであった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】

(但し、式中M3+はAl,Fe等の3価金属を示し、xは次の範囲0≦x<0.5にある)で表わされ、且つ、濃度0.1%、30℃、2時間後の水に対する亜鉛イオンの溶出量が5ppm以上である酸化亜鉛系化合物を有効成分として含有する生理用品。
【請求項2】
請求項1において、酸化亜鉛系化合物が肌に接する表面部を形成する不織布に含有されている請求項1記載の生理用品。
【請求項3】
請求項1において、酸化亜鉛系化合物が粉末状または顆粒状で、パルプおよび/または高吸水性樹脂と混合されて存在する請求項1記載の生理用品。
【請求項4】
請求項1において、酸化亜鉛系化合物の水に対する亜鉛イオンの溶出量が
10ppm以上である請求項1記載の生理用品。
【請求項5】
請求項1において、酸化亜鉛系化合物の水に対する亜鉛イオンの溶出量が20ppm以上である請求項1記載の生理用品。
【請求項6】
請求項1の式(1)において、xの範囲が0.05≦x≦0.2である酸化亜鉛系固溶体である請求項1記載の生理用品。


【公開番号】特開2012−75756(P2012−75756A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225306(P2010−225306)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(391001664)株式会社海水化学研究所 (26)
【出願人】(391047916)ブイテック株式会社 (4)
【Fターム(参考)】