説明

生理食塩水の製造方法、コンタクトレンズ洗浄器、及びこれに使用される塩カプセル

本発明は生理食塩水の製造方法、コンタクトレンズ洗浄器、及びこれに使用される塩カプセルに関するもので、コンタクトレンズを収容するレンズ収容部と、前記レンズ収容部内に形成された陰電極、及び前記陰電極と所定距離離隔するように前記レンズ収容部内に配列された陽電極を備えた電極部と、前記陰電極及び前記陽電極に電源を供給する電源供給部とを含み、前記陰電極及び前記陽電極に電源を供給してその間で電気分解を誘導し、これにより生成された酸化体により前記レンズ収容部に載置されたコンタクトレンズに付着したタンパク質と異物質を除去、洗浄、消毒し、ウイルスなどを滅菌するコンタクトレンズ洗浄器及びこれに使用される塩カプセルを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理食塩水の製造方法及びコンタクトレンズ洗浄器に関し、特に、使用者や消費者のレベルで生理食塩水を迅速かつ簡便に製造でき、携帯が便利であり、コンタクトレンズの洗浄及び消毒機能に優れた生理食塩水の製造方法及びコンタクトレンズ洗浄器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、生理食塩水とは、浸透圧を人の体液と同一にした、塩化ナトリウムの濃度が0.85w/v%〜0.095w/v%である無色透明な塩水をいい、pH範囲は4.5〜8.0である。特に、不純物を濾過して滅菌した生理食塩水は、鼻炎患者の鼻の洗浄とコンタクトレンズの洗浄及び殺菌などの用途に使用される。
【0003】
このような生理食塩水は、図1に示す手順で製造される。すなわち、約121℃の高温、高圧で約30分間加熱して、大容量の蒸留水を滅菌する滅菌段階(S1)と、滅菌した蒸留水に浸透圧調整剤として塩化ナトリウム(NaCl)を加えて、人の体液と同一の浸透圧を有する塩水を製造する塩水製造段階(S2)と、酸度がpH6.5〜8.0になるようにpH緩衝剤を加えるpH緩衝剤投入段階(S3)と、塩水中の細菌が所定範囲以上に繁殖することを防止するように防腐剤を加える防腐剤投入段階(S4)と、不純物を除去するためにフィルタで濾過する濾過段階(S5)と、濾過した食塩水を包装容器に充填して保管する段階(S6)とから構成される。
【0004】
前記滅菌段階(S1)は、高温高圧で蒸留水を加熱しなければならない。
【0005】
前記塩水製造段階(S2)は、浸透圧調整剤として、薬用の塩化ナトリウム(NaCl)を使用する代わりに、薬用の塩化カリウム(KCl)を使用することもでき、塩濃度を人の体液と同一に約0.9%にする。
【0006】
前記pH緩衝剤投入段階(S3)は、塩水にホウ酸、クエン酸、リン酸などのpH緩衝剤を加えることにより、pH範囲を人の体液と類似に調整する。
【0007】
前記防腐剤投入段階(S4)は、高温高圧で滅菌した蒸留水を使用して生理食塩水を製造するので製造当時には滅菌状態を維持するが、長期間保管する過程で食塩水中に細菌が繁殖することを防止するために、ソルベート、ダイメッドなどの防腐剤を加える。
【0008】
前述のような従来の生理食塩水の滅菌段階は、高温、高圧の状態で行われるので、高圧に耐えることのできる圧力容器を備えなければならない。しかしながら、高圧に耐えることのできる圧力容器を備えることは、現実的に生理食塩水を専門的に製造するメーカに限って可能であり、一般の使用者や消費者が高圧の圧力容器を備えるということは不可能であるので、従来の高温、高圧方式による生理食塩水の滅菌方式は、一般の使用者や消費者が生理食塩水を直接製造して直ちに使用できるようにすることはできなかった。
【0009】
すなわち、従来は専門的なメーカに限って生理食塩水を製造することができたので、大きい圧力容器を用いて大規模で生理食塩水を製造し、このように製造された生理食塩水は所定の包装容器に充填されて市販されるが、使用者の購買の便宜と包装容器コストの制約により、通常、約1リットル以上の大きい包装容器に充填されて販売される。しかしながら、包装容器に充填されて市販される生理食塩水は、包装容器開封後3〜4日が経過すると大気に露出することによって汚染されるので、汚染される前に限って使用しなければならない使用上の制約があった。しかしながら、市販される生理食塩水を購入して使用する使用者は、開封後3〜4日が経過すると廃棄しなければならないにもかかわらず、廃棄せずに継続して使用する場合が多いので、汚染された生理食塩水の使用を放置する結果を招いた。また、生理食塩水に加えられた防腐剤は、一部の使用者にはアレルギーなどの副作用を起こすという問題もあった。
【0010】
これらの理由から、新鮮な生理食塩水を使用できるようにする必要性がますます高まっている。
【0011】
一方、一般にコンタクトレンズは眼球と直接接触して着用されるので、レンズの表面には眼球から脂肪質が付着したり、外部から各種異物質が付着するので、食塩水や薬品を利用してきれいに洗浄して使用しないと、眼球が汚染されて各種疾患にかかる恐れがある。従って、コンタクトレンズの着用において可能な限り頻繁に洗浄して着用することが要求されるので、効果的なコンタクトレンズの洗浄方法について継続的に研究が行われている。
【0012】
Lim Sung Mukが考案して大韓民国特許庁に出願し、第279,074号で特許された「コンタクトレンズの洗浄及び殺菌装置」は、振動子から発生した超音波の振動と紫外線ランプを利用して、食塩水が入った容器内部のコンタクトレンズを洗浄、殺菌することを開示している。しかし、電気的振動力を利用した紫外線による殺菌は、ハードタイプのコンタクトレンズには損傷の恐れがあるため適用できず、ソフトタイプのコンタクトレンズにのみ適用できるという限界があった。
【0013】
また、レンズ表面上に付着するか、又は食塩水に浮遊するバクテリアやウイルスの除去においては、紫外線による殺菌では、十分な効果を得にくいという問題があった。
【0014】
従って、携帯が便利で、コンタクトレンズのタイプによらず洗浄、殺菌でき、バクテリアやウイルスの除去効果の高いコンタクトレンズ洗浄器の必要性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明は、メーカに限らず、使用者や消費者のレベルで生理食塩水を簡便に製造して、使用者が直ちに生理食塩水を使用できるようにする、生理食塩水の製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
本発明の他の目的は、新鮮な生理食塩水を製造して直ちに使用できるようにすることにより、生理食塩水を長期間保管しなければならないため要求される防腐剤の使用を抑制し、使用者が汚染された生理食塩水を使用することによって発生する諸般の問題を未然に防止することにある。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、使用者や消費者のレベルで生理食塩水を迅速に製造できるようにすることにより、生理食塩水の製造に必要な製造時間を大幅に短縮した生理食塩水の製造方法を提供することにある。
【0018】
本発明のさらに他の目的は、より強い電気分解により酸化体を短時間で多量に生成することによって、レンズの表面に付着した異物質を分離するだけでなく、細菌やバクテリアを短時間で殺菌できる、コンタクトレンズ洗浄器を提供することにある。
【0019】
本発明のさらに他の目的は、前記コンタクトレンズ洗浄器の機能を簡単な構成で実現することにより、小型化が可能であるので携帯が便利であり、どの場所でもコンタクトレンズを洗浄でき、コンタクトレンズ洗浄器をより安価に製造できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的を達成するために、本発明は、水に塩化ナトリウムを入れて塩水を製造する塩水製造段階と、前記塩水を電気分解して滅菌する滅菌段階と、滅菌した前記塩水の不純物を除去する濾過段階とを含むことを特徴とする生理食塩水の製造方法を提供する。
【0021】
この発明は、塩水を電気分解して酸化体(オゾン、過酸化水素、HOCl、OHラジカルなど)により塩水を滅菌することにより、従来に大規模な設備を必要とした高温高圧の滅菌過程を簡素化し、特に、約0.9%の濃度を有する塩水を電気分解した場合は、電気分解がより活発に行われることによって、酸化体の生成がより迅速に行われるので、生理食塩水の製造に必要な時間を大幅に短縮するためのものである。
【0022】
前記滅菌段階は、前記塩水中に少なくとも一つの陰電極と少なくとも一つの陽電極とを離隔して設置し、前記陰電極及び前記陽電極に電流を印加して塩水を電気分解することによって生成されたオゾン(O)、過酸化水素(H)、OHラジカル、HOClなどの酸化体により行われる。これ以後、陽電極と陰電極を“電極ユニット”という。前記電気分解による酸化体の生成と滅菌過程は、次の(1)〜(5)の工程により行われる。
【0023】
(1)オゾン生成経路は、水(HO)の電気分解から開始し、OとOの結合で終了する。
【0024】
O → H + (OH)ads + e
(OH)ads → (O)ads + H + e
2(OH)ads → O + 2H + 2e
2(O)ads → O
(O)ads + O → O
【0025】
(2)過酸化水素は、酸素の電気分解による直接的な経路と、オゾン分解により生成された中間産物であるOHラジカルの結合による間接的な経路とにより生成される。すなわち、
【0026】
+ e → O・−
+ 2H + 2e → H
のような直接的な経路と、
【0027】
OH・ + OH・ → H
のような間接的な経路とにより生成される。
【0028】
(3)HOClは、水中に存在するCl−イオンがCl2に結合した後にH2Oと反応して生成される。すなわち、
【0029】
2Cl → Cl + 2e
2HO + 2e → H + 2OH
Cl + HO → HOCl + H + Cl
【0030】
(4)OHラジカルは、瞬間的に生成されてから消滅するため直接的な測定は不可能であるが、オゾンが水中に存在する場合、OH−又は過酸化水素の共役塩基であるHO2−と反応してラジカル連鎖サイクルを形成し、最終的にはOHラジカルを生成する。
【0031】
+ OH → ラジカル連鎖反応 → OH・
+ HO2−(Hの共役塩基)→ OH・
【0032】
(5)水中に存在する微生物(Microorganisms)は、生成された酸化体により不活性化になるか又は除去され、他の微生物は、電気的吸着(electroadsorption)により除去され、また他の微生物は、e−との直接的な電気分解反応により除去される。
【0033】
すなわち微生物に関しては、M(微生物)→電気的吸着 → 不活性化
また、
M(微生物)+O → 不活性化
M+OH・ → 不活性化
M+HOCl → 不活性化
【0034】
また、他の微生物(Microorganics)に関しては、M(Microorganics)+e− → M−
M(Microorganics)+O → プロダクト(Product)
M+OH・ → プロダクト
M+HOCl → プロダクト
【0035】
すなわち、電気分解が行われる間、前記(1)〜(5)の工程で生成された混合された酸化体(O、H、HOCl、OHラジカル)により酸化及び殺菌作用が円滑に行われ、電気分解が行われた後は、残留性の高いHOClにより高い殺菌力が維持される。
【0036】
このとき、前記陰電極及び前記陽電極には、端部が尖った円錐状の突起が対向するように形成され、より多くの電荷が前記突起に集中して電気分解反応がさらに促進される。
【0037】
一方、前記滅菌段階の前に、前記食塩水の不純物を除去する濾過段階をさらに含むことができる。これにより、電気分解による滅菌過程時に電極部に不純物が付着するなどして電極部が汚染されることを効果的に防止することができる。
【0038】
また、前記水は必ず蒸留水である必要はなく、水道水又は地下水を適用することもできる。従って、一般の使用者が簡便に水道水又は地下水を溜め、短時間の反応により生理食塩水を簡便に製造することができる。ここで、蒸留水又は精製水を使用する場合は、濾過工程を行わなくてもよい。
【0039】
前記塩水製造段階は、1リットル以下の小容量の生理食塩水のみを必要とする場合は、容器に水を入れておき、塩濃度が約0.9%になるように、前記容器内に入った水の量に比例して前記容器内に飽和塩水を注ぎ、前記水と混合することにより行われる。これは、直接薬用の塩化ナトリウムを加えて塩水を製造することもできるが、塩化ナトリウム粉末の量を正確に計測して混合することより、別途の飽和塩化ナトリウム溶液を入れることが、作業上容易であるためである。また、塩化ナトリウムの飽和溶液は、下記の表1に示すように、周辺温度に比べて溶解度の変化がほとんどない。すなわち、塩が溶解される量は、温度の変化に応じて若干の増減はあるが、その割合が極めて微細であるので、容器内の水の量に応じて一定の飽和塩化ナトリウム溶液を加えても、生理食塩水として使用できる程度の塩水を製造することができる。
【0040】
【表1】

【0041】
一方、1リットル以上の大容量の生理食塩水を製造する場合は、前述のように飽和塩化ナトリウム溶液を入れて混合するのではなく、約1gのタブレットタイプの薬用塩塊を入れて混合することにより製造することもできる。すなわち、薬用塩タブレットを0.5g単位で製造し、約1〜1.2リットルの生理食塩水を製造する場合は0.5gの薬用塩タブレットを2つを入れ、約2.0〜2.3リットルの生理食塩水を製造する場合は0.5gの薬用塩タブレットを4つ入れて混合することにより、適正な塩水を製造することができる。
【0042】
そして、前記滅菌段階は、前記塩水中に陰電極と陽電極とを離隔して設置し、前記陰電極及び前記陽電極に所定の時間電流を印加して塩水を電気分解することによって生成された酸化体により行われ、前記陰電極及び前記陽電極には、端部が尖った陰極突起及び陽極突起が対向するように形成される。これは、一定の電荷を流しても前記陰電極及び前記陽電極の尖った突起の先端部に多くの電荷が集まるようにするため、電気分解をさらに促進させることができる。従って、同一の電気分解を誘導しようとする場合、より小容量の電源供給部を備えてもよく、特に、小容量のバッテリを使用することもできる。ここで、前記陰極突起及び前記陽極突起は、電気分解を最も活発に反応させることのできる白金(Pt)、チタン(Ti)、黒鉛などで形成又はメッキされたものであることが好ましい。また、前記陰極突起及び前記陽極突起のメッキ層の厚さは、他の部分のメッキ層の厚さよりも厚く形成されることが、反応寿命を高める面で効果的である。
【0043】
一方、本発明は、コンタクトレンズを収容するレンズ収容部と、前記レンズ収容部内に形成された陰電極、及び前記陰電極と所定距離離隔するように前記レンズ収容部内に配列された陽電極を備えた少なくとも一つの電極部と、前記陰電極及び前記陽電極に電源を供給する電源供給部とを含むことを特徴とするコンタクトレンズ洗浄器を提供する。
【0044】
これは、電極ユニットに電源を供給してその間で電気分解を誘導し、これにより生成された酸化体により前記レンズ収容部に載置されたコンタクトレンズに付着したタンパク質と異物質を除去、消毒し、ウイルスやバクテリアなどを滅菌するためである。
【0045】
ここで、前記陰電極及び前記陽電極には、陰極突起及び陽極突起が対向するように形成されているため、より多くの電荷が前記陰極突起及び前記陽極突起に集中して、その間でより強い電気分解を誘導する。
【0046】
すなわち、所定距離離隔して設置された前記陰極突起及び前記陽極突起に電源を印加すると、前記陰極突起と前記陽極突起との間の水が電気分解される。このとき、オゾン(O)、過酸化水素(H)、OHラジカル、HOClなどの酸化体が生成され、その酸化体により微生物、細菌、バクテリアなどが殺菌される。電気分解による酸化体の生成と殺菌過程は、前述した(1)〜(5)の工程により行われる。
【0047】
ここで、電気分解中に生成される過酸化水素(H)は、フリーラジカル(HO・+ O・)を生成することができるが、そのフリーラジカルは、タンパク質を低分子量のペプチド、アミノ酸に分解して水溶性物質にし、二重結合部位に集まってエポキシドを生成する。(例えば、C=C−R構造はC−C−R構造となる)より具体的には、過酸化水素で生成されたフリーラジカルは、反応性が非常に大きいが、自体の安定のためにタンパク質などの他の有機質分子を攻撃することにより、過酸化水素の酸化作用によりタンパク質をアミノ酸に分解して水溶性物質にするため、コンタクトレンズの表面に付着したタンパク質を除去する。
【0048】
このように、電気分解により生成された酸化体を利用してコンタクトレンズを洗浄することにより、従来、損傷の恐れがあるため使用できなかったハードタイプのコンタクトレンズにも適用できるだけでなく、コンタクトレンズの洗浄と滅菌を簡単な構成で実現することができ、コンタクトレンズ洗浄器の小型化に寄与することができる。
【0049】
ここで、前記陰電極及び前記陽電極は板状に形成され、その対向面には、端部が尖った円錐状の突起又は柱状の突起が対向するように形成されており、より多くの電荷が前記突起に集中して電気分解反応がさらに促進される。また、単位設置空間でより多くの電気分解を誘導できるように、前記陰電極及び前記陽電極は、複数の対をなす板又は棒で形成することが好ましい。
【0050】
一方、板状に形成された前記陰電極及び前記陽電極の板面から分岐板が突出形成され、前記陰電極から分岐した分岐板と前記陽電極から分岐した分岐板とは、1つずつ順次対向するように配列され、対向する前記分岐板には、それぞれ陰極突起及び陽極突起が形成される。これにより、最小限の空間で電気分解が行われる領域を最大に確保することができる。また、前記分岐板からさらに他の分岐板が形成され、陽電極及び陰電極から延びたさらに他の分岐板の対向面にそれぞれ陰極突起及び陽極突起が形成されるように構成することもできる。
【0051】
ここで、前記陰極突起と前記陽極突起との間でより強い電気分解反応が行われるようにするために、前記陰極突起及び前記陽極突起は、白金で形成するか、又は白金メッキを施して形成することが好ましい。ここで、白金メッキ層は、電極部全体にわたって形成することができるが、陰極突起及び陽極突起にはより厚くメッキすることがより効果的である。
【0052】
一方、前記陽極突起及び前記陰極突起を形成する代りに、その周辺に溝を形成して所定部分に電荷を集中させることにより、同一の効果を得ることもできる。
【0053】
また、前記陰極突起及び前記陽極突起が白金で形成され、所定サイズ以上である場合は、螺合などの方法により突起のみを交換できるように形成することもできる。一方、コストの低減のために、前記陰極突起及び前記陽極突起は、チタンメッキを施して形成するか、或いはチタン又はカーボンで形成することもできる。
【0054】
また、前記コンタクトレンズ洗浄器の外装ケースの前面には作動ボタンが形成される。従って、使用者が使用したコンタクトレンズをレンズ収容部に載置して作動ボタンを押すと、洗浄に必要な設定された時間だけ電極部に電源が印加されて電極部の間で強い電気分解が行われることによって、電気分解により生成された酸化体がレンズ収容部内のコンタクトレンズを洗浄して滅菌する。
【0055】
本発明によるコンタクトレンズ洗浄器は、電極部での電気分解により生成された酸化体でコンタクトレンズを洗浄、滅菌すると同時に、超音波を発生する振動子を備えることにより、コンタクトレンズをより迅速に洗浄することができる。
【0056】
また、電気分解により生成された酸化体の殺菌効果を、鼻炎患者などが自分の鼻の中に殺菌水を噴霧する用途にも使用できるように、電気分解により殺菌されるレンズ収容部に連通してコンタクトレンズ洗浄器の外部に殺菌水を噴霧する噴霧器をさらに含むこともできる。
【0057】
使用者の便宜のために、市中で簡便に購入できるバッテリにより電源を供給するように構成することが好ましい。前記バッテリは充電可能なものを使用することもできる。
【0058】
また、前記電極部から発生した熱を外部に排出するために、前記レンズ収容部又は前記電極部の周辺に熱を放出する少なくとも一つの放熱フィンを形成し、前記放熱フィンに伝達された熱を外部に迅速に放出する送風ファンを取り付けることもできる。
【0059】
また、前記レンズ収容部内には、前記レンズ収容部内の水を循環させる循環ファンが形成されており、前記電極部の周辺で殺菌された殺菌水をレンズの周りに迅速に循環させる。ここで、前記循環ファンは、前記電極部に電源が印加されるときにのみ回転することが効果的である。これにより、レンズ洗浄をより迅速に行えるだけでなく、前記レンズ収容部の内部を無菌状態に維持することができる。
【0060】
本発明では、各電極を固定するために少なくとも一つの電極支持部を含む。この電極支持部には電流を流すことができるスロットが形成されている。陰電極と陽電極は前記スロットに挿入することにより容易に固定することができ、形成された電極ユニットは、レンズ収容部に容易に設置することができる。また電極ユニットは容易に交換することができる。
【0061】
一方、前記電源供給部は、前記電極部に印加する電源の印加方向を反転可能に構成される。すなわち、所定期間には、陽電極として作用する第1電極部に陽極電源を印加し、陰電極として作用する第2電極部に陰極電源を印加した後、逆に、前記第1電極部に陰極電源を印加し、前記第2電極部に陽極電源を印加することもできるということである。これにより、電気分解過程でそれぞれの電極部に固溶物が付着することを防止することができる。前記所定期間は、1〜10回などのように回数で設定することもでき、2〜5日などのように時間で予め設定することもできる。
【0062】
また、前記外装ケースには、塩溶液カプセル又は塩粉末またはタブレットを収容する収容部が形成されており、使用者は必要なときに、前記収容部の塩溶液カプセル又は塩を使って、食塩水を簡便に製造することができる。
【0063】
また、前記レンズ収容部を開閉するように前記外装ケースに回動可能に形成されたレンズカバーをさらに含む。ここで、前記レンズカバーの底面には、前記レンズ収容部を密封するようにゴムパッキングが形成されており、前記レンズカバーが閉じている状態では、外部の空気が前記レンズ収容部に流入することができない。これにより、洗浄及び殺菌消毒されたコンタクトレンズを長期間汚染されない状態に維持することができる。
【0064】
さらに、前記レンズカバーには、前記レンズ収容部と外部を選択的に連通するように開閉バルブを形成することができる。これは、本発明によるコンタクトレンズ洗浄器を使用する場合は、前記開閉バルブを開放して前記レンズ収容部から発生したガスを外部に放出できるようにすると共に、コンタクトレンズの洗浄及び殺菌消毒作業を終了した場合は、外部の空気が前記レンズ収容部に侵入して前記レンズ収容部内の水とコンタクトレンズを汚染することを防止するためである。
【0065】
そして、前記水としては、水道水、地下水、蒸留水のいずれか1つ以上を使用することもでき、より強い電気分解反応を誘導するために塩水を使用することもできる。塩水を使用する場合、市中で販売される食塩水を使用することもできるが、前記レンズ収容部に水道水を満たした後、満たされた水道水の量に応じて塩溶液を適当量混合することにより、食塩水にすることができる。約0.7%〜1.5%の濃度を有する食塩水を使用した場合、水道水に比べてコンタクトレンズの表面に形成された微細な孔に加えられる損傷を最小限に低減できるという利点があり、より強い電気分解によりレンズの洗浄をより迅速に行うことができる。ここで、市中で販売される食塩水を使用した場合、食塩水に混ざっている防腐剤によりアレルギーなどの副作用が発生することがあるので、これを防止するために、水道水などの水に塩を混ぜて使用することがより効果的である。
【0066】
一方、本発明は塩カプセルを提供する。コンタクトレンズ洗浄器のための生理食塩水の代わりに、小さいカプセルまたはアンプルを携帯し、使用者が望むときに何時でも何処でもコンタクトレンズを洗浄することができる。
【0067】
ここで、包装された塩溶液の量は、前記レンズ収容部に満たされた水が0.7%〜1.5%の濃度、好ましくは、約0.9%の濃度を有する塩水になるようにその濃度を考慮して、必要な量がカプセル又はアンプルに入れられる。これにより、使用者は1回のコンタクトレンズの洗浄のために、1つのカプセル又は1つのアンプル内の塩溶液を前記レンズ収容部に入れるだけで、食塩水に該当する濃度を有する塩水を簡便に製造することができる。ここで、塩溶液は、飽和塩溶液でもよいが、コンタクトレンズを収容するレンズ収容部に入る水の量が多くないので、前記レンズ収容部に入る水の量に鑑みて0.9%の濃度を有する塩溶液を製造できることが好ましい。
【0068】
一方、より大きなサイズの容器によって、より多量の飽和塩溶液、塩顆粒、または塩溶液を混合し、約0.9%生理食塩水を製造することもできる。
【発明の効果】
【0069】
以上説明したように、本発明は、水に塩化ナトリウムを入れて塩水を製造する塩水製造段階と、前記塩水の不純物を1次除去する1次濾過段階と、前記塩水を電気分解して滅菌する滅菌段階と、滅菌した前記塩水の不純物を2次除去する2次濾過段階とを含むことにより、従来に滅菌に必要な高温高圧に耐えることのできる圧力容器を備える代わりに、滅菌に必要な電極部とフィルタのみを備えればよいので、一般の使用者は何時でも何処でも食塩水を直接簡便に製造することができる。
【0070】
これにより、従来に生理食塩水を長期間保管しなければならないため要求される防腐剤を使用しなくてもよいので、防腐剤に敏感な反応を示す人も、拒否感なく本発明により製造された生理食塩水を利用することができる。
【0071】
そして、陰極突起及び陽極突起を備えた電極部で塩水を電気分解することによって、酸化体の急激な生成を誘導することができるので、基準に合う飲用水だけ備えれば、わずか2〜3分内外で生理食塩水を製造できる、生理食塩水の製造方法を提供する。
【0072】
本発明は、レンズの消毒や殺菌のための充分な酸化体を生成するのに電極部に突起を備えることにより、小さな容量の電源供給部でよいので、小容量のバッテリも適用可能になる。
【0073】
さらに、前述のように滅菌した生理食塩水は、電気分解後にも残存するHOClが殺菌力を有することによって長期間滅菌状態を保ち、製造された滅菌水は火傷部位や感染部位を消毒する医療用に活用することができる。
【0074】
また、本発明は、コンタクトレンズを収容するレンズ収容部と、前記レンズ収容部内に形成された少なくとも一つの陰電極、及び前記陰電極と所定距離離隔するように前記レンズ収容部内に配列された少なくとも一つの陽電極を備えた電極部と、前記陰電極及び前記陽電極に電源を供給する電源供給部とを含み、前記陰電極及び前記陽電極に電源を供給してその間で電気分解を誘導し、これにより生成された酸化体により前記レンズ収容部に載置されたコンタクトレンズを殺菌・消毒する。本発明はまた、その中に塩を含む塩カプセル(収容部に入る形状の)を提供する。
【0075】
ここで、前記陰電極及び前記陽電極には、陰極突起及び陽極突起が対向するようにそれぞれ形成されており、前記陰極突起と前記陽極突起との間で酸化体を短時間に生成することによってウイルス、カビやバクテリアを殺菌することができる、電気分解を利用したコンタクトレンズ洗浄器を提供する。
【0076】
そして、本発明によるコンタクトレンズ洗浄器は、水道水や地下水などの飲用水を利用することもでき、これら各種の水に適当な濃度を有する塩溶液を適当量混合することにより、簡単に約0.9%の濃度を有する食塩水を製造して使用することもできるので、使用者の便宜を図る。
【0077】
また、本発明によるコンタクトレンズ洗浄器は、コンタクトレンズに付着したウイルスを滅菌して消毒できるという効果を有する。
【0078】
さらに、本発明によるコンタクトレンズ洗浄器は、振動子による洗浄方法に限らず、電気分解により得られた酸化体を利用するので、ソフトタイプのコンタクトレンズだけでなくハードタイプのコンタクトレンズにも使用できるという利点を有する。
【0079】
さらに、本発明によるコンタクトレンズ洗浄器は、その構成が簡単で小型化が可能であるので、製造コストが安価であり、携帯用にも活用することができる。
【0080】
そして、電極部での電気分解により生成された殺菌水を外部に噴霧する噴霧器を装着することにより、本発明によるコンタクトレンズ洗浄器は、鼻炎患者の鼻の洗浄などに使用することもできる。
【0081】
また、前記電極部に陰極突起及び陽極突起が形成されており、電荷がそれぞれの電極突起に集中することにより、より小容量の電源供給部によっても十分な殺菌効果を得ることができる。
【0082】
一方、本発明は、塩溶液を含む塩カプセルを提供し、使用者はコンタクトレンズの洗浄に必要な重い食塩水を携帯するのではなく、小さいカプセル又はアンプルを携帯するだけでよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0083】
本発明の目的、特徴、効果は、添付の図面を参照しつつ以下の詳細な説明によりさらに明らかにする。
ただし、本発明の説明において、公知の機能又は構成に関する具体的な説明は本発明の要旨を明瞭にするために省略する。
【0084】
図2に示すように、本発明の一実施形態による生理食塩水の製造工程は、水道水に所定の塩化ナトリウムを混合して塩水を製造する塩水製造段階(S10)と、製造された塩水をフィルタで1次濾過して不純物を除去する1次濾過段階(S20)と、1次濾過した塩水を電気分解して滅菌する滅菌段階(S30)と、滅菌した塩水をフィルタで2次濾過して不純物を除去する2次濾過段階(S40)とを含む。
【0085】
前記塩水製造段階は、0.9%の塩水を製造しようとする容器内に水道水200mlを入れた状態で1.8gの塩化ナトリウムを入れる。このとき、混合する塩化ナトリウムの量を計測する秤を使用者が持っていない場合が多いので、塩化ナトリウム溶液の溶解度が35.8であることに鑑みて、1.8gの塩化ナトリウムを含有する5.0mlの飽和塩化ナトリウム溶液を加えることにより、適切な濃度を有する塩化ナトリウム溶液を得ることができる。このような飽和塩化ナトリウム溶液の量は、内径の小さい測定容器に付けられた目盛りを読んで簡便に計測して混合することにより、塩水を簡便に製造することができる。
【0086】
前記1次濾過段階(S20)は、電気分解による滅菌段階(S30)の前に予め不純物を1次除去することにより、電気分解工程で電極部に不純物が付着することを未然に防止するためである。
【0087】
前記滅菌段階(S30)は、図3に示す殺菌装置100により行われる。殺菌装置100は、水道水111を収容する容器100と、電源を供給する電源供給部120と、電源供給部120から電源供給線121、122を介して電源が供給されて水道水を電気分解する電極部130とを含む。
【0088】
ここで、電極部130は、図4〜図8に示すように、電源供給部120から陰極電源が供給されるように接続された陰電極板131と、電源供給部120から陽極電源が供給されるように接続された陽電極板132と、これら電極板131、132が設置された支持台133とから構成される。また、それぞれの陰電極板131と陽電極板132の対向面には、図6に示すように、十分な厚さで白金メッキが施された、尖った円錐状の陰極突起131aと陽極突起132aが、所定の距離d1だけ離隔するように複数形成される。
【0089】
前述のように構成された殺菌装置100は、生理食塩水を製造する滅菌段階(S20)に至ると、電源供給部120から電極板131、132に電源が供給され、電源が供給されることによって、各電極板131、132に形成された陰極突起131a及び陽極突起131bに電荷が集中する。従って、各突起131a、131bの間で水道水の電気分解が強く行われ、わずか2〜3分間の電気分解により発生した酸化体(オゾン、過酸化水素、OHラジカルなど)が水道水中の微生物を除去して、殺菌性を高めた滅菌した食塩水を製造することができる。
【0090】
より具体的には、Oは強力な酸化、細菌やウイルスの殺菌を行い、OHはアルカリとして殺菌及び重金属の除去を行い、Oは水中溶存酸素を増加させ、Oは強い殺菌力でウイルス、細菌、胞子などの除去を行う。従って、細菌が100個/g又は100個/ml以下であり、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌が検出されてはならないという生理食塩水に要求される微生物許容値を満足することができる。
【0091】
前記2次濾過段階(S40)は、滅菌した塩水をさらに濾過して不純物を再び除去することにより、飲用水の基準にも合う食塩水を製造することができる。
【0092】
前記の工程により製造される生理食塩水は、水道水で製造しても生理食塩水の基準条件であるpH4.5〜8.0の範囲を満足し、陰極突起及び陽極突起がそれぞれ形成された電極板に電荷を流すことにより水道水の電気分解を誘導して滅菌するため、大規模な設備を備えなくても家庭や病院などの場所でも使用者のレベルで食塩水を簡便に製造することができる。
【0093】
一方、塩化ナトリウムを含有する塩水は、一般の蒸留水に比べてより強い電気分解が行われるので、酸化体の量を増加させる。図11は0.98%濃度とpH6.39を有する塩水に5V、2.2Aの電流を流して電気分解による塩素イオンの増加量を測定して示す実験データグラフである。図11の実験結果に示すように、塩水に対してはより強い電気分解が行われるので、滅菌段階(S30)が迅速に行われる。さらに、本発明の一実施形態による電極板131、132には電荷を集中させる突起131a、132aが形成されているので、図11の実験結果より強い電気分解が行われて滅菌にかかる時間がはるかに短縮される。
【0094】
一方、本発明の一実施形態は、塩水製造段階(S10)、1次濾過段階(S20)、滅菌段階(S30)、及び2次濾過段階を順次含むように構成されるが、前記滅菌段階をさらに含むこともでき、前記濾過段階(S20、S30)のうちいずれか一方を省略することもできるなど、本発明の属する技術の分野における当業者の必要に応じて調整可能である。
【0095】
図12〜図15は本発明の一実施形態によるコンタクトレンズ洗浄器の構成を示す図である。図に示すように、本発明の一実施形態によるコンタクトレンズ洗浄器1は、外形を覆う外装ケース10と、外装ケース10内に挿入されてコンタクトレンズを収容するレンズ収容部20と、電源が印加されると電気分解により酸化体を生成する少なくとも一つの電極部30と、電極部30に電源を供給し、その他の制御回路が取り付けられる回路基板40と、回路基板40に電源を供給する充電用バッテリ50とを含む。
【0096】
外装ケース10は、使用者に見られる前面ケース11と、前面ケース11に係合される背面ケース12と、バッテリ50を交換できるように背面ケース12に着脱可能に形成されたバッテリカバー13と、レンズ収容部20を開閉するように前面ケース11に回動可能に結合されたレンズカバー14と、コンタクトレンズ洗浄器1の作動状態を表示する表示部15と、使用者の操作によって作動命令を指令する作動ボタン16と、塩溶液カプセル又は顆粒塩カプセルを簡便に携帯できるように凹入形成された収容凹部を開閉する塩収容凹部開閉カバー17とを備える。
【0097】
ここで、レンズカバー14は、コンタクトレンズの左右を判別できるように「R」と「L」がそれぞれ表示され(図示せず)、閉じた状態ではひっくり返ってもレンズカバー14が自ら開かないように、前面ケース11に嵌合されて固定されるロック突起14aと、閉じた状態でレンズ収容部20内の水が外部に漏れることを防止するように、レンズカバー14の底面の縁部に形成された密封用ゴムパッキング14bと、閉じた状態で外部の空気がレンズ収容部20に流入することを遮断するようにスライド開閉される開閉バルブ14cと、開閉バルブ14cの移動によって外部とレンズ収容部20を連通する連通孔14dとを備える。また、表示部15の内側には、作動状態を表示するLCDが形成され、前面ケース11には、作動ボタン16の前面ケース11への結合を補助する取付リング16aが挟まれる。
【0098】
レンズ収容部20は、左右のコンタクトレンズを収容できるサイズを有するように形成され、その内部には、レンズ収容部20内部の水を循環させるように一側に形成された循環ファン21と、電極部30から発生した熱を外部に放出するようにその周辺に形成された放熱フィン22と、超音波によりコンタクトレンズを洗浄できるように形成された振動子23と、レンズ収容部20の内部にコンタクトレンズを固定するスリットが形成された固定台(図示せず)とを備える。ここで、振動子23は使用者の設定によって選択的に動作する。
【0099】
電極部30は、図3〜図10に示す電極部130、230、430のいずれか1つであり、立設することもでき、横設することもでき、詳細な構成については後述する。
【0100】
回路基板40は、バッテリ50から供給される電源を利用して駆動されるように複数の素子を有する制御部41と、電極部30の陽電極130及び陰電極131に電源を供給するように電極部30に接続して形成される電源供給部42と、振動子23に接続されて振動子23に電源を供給する第2電源供給部43と、バッテリ50の電源を制御部41に伝達するように形成されたバッテリ端子44とを含む。
【0101】
以下、本発明の一実施形態によるコンタクトレンズ洗浄器の作動原理を詳細に説明する。
【0102】
メーカはコンタクトレンズの洗浄に必要な最適時間を予め求めて制御部41に予め記憶させた状態で製造されたコンタクトレンズ洗浄器1を出庫する。使用者がこのような製品を購入してコンタクトレンズを洗浄しようとする場合、レンズカバー14を開いて「R」と表示されたレンズ収容部20には右のコンタクトレンズを入れ、「L」と表示されたレンズ収容部20には左のコンタクトレンズを入れた後、開閉バルブ14cを開状態に設定する。
【0103】
次に、使用者はレンズ収容部20に水道水、蒸留水、地下水などのある程度清潔な水を入れた後、レンズ収容部20に入った水を約0.9%の濃度を有する塩水(食塩水)にすることのできる高濃度の塩溶液が入ったカプセル(図示せず)を開放して、レンズ収容部20に入った水と混合する。これにより、レンズ収容部20内の水は約0.9%の食塩水となる。一方、市中に流通している食塩水を使用することもできる。
【0104】
次に、使用者がコンタクトレンズを洗浄及び殺菌するために作動ボタン16を押すと、レンズ収容部内の電極部の陽電極及び陰電極にそれぞれ陽極電源及び陰極電源が予め設定された時間だけ印加される。このとき、表示部15には、電極部に電源を印加していることを通知する「作動中」というメッセージが表示される。ここで、レンズ収容部に水が入っていない場合は、陽電極と陰電極とが離隔して設置されているため電流の流れが自動的に遮断され、電流は、陽電極と陰電極との間の水又は塩水を介して流すことができる。
【0105】
電源が予め設定された時間印加される間には、電極部で電気分解が活発に行われて多くの酸化体が短時間で生成され、レンズ収容部20内の循環ファン21が回転してレンズ収容部20内の水を循環させる。これと同時に、電極部30から発生した熱を外部に放出するために、レンズ収容部20の周囲に突出形成された放熱フィン22の周囲の送風ファン45が回転して、暑い空気を背面ケース12の通風口12aから外部に放出する。
【0106】
その後、電源が予め設定された時間印加されて電極部から生成された酸化体により、コンタクトレンズの洗浄及び殺菌作業が完了すると、表示部15には「洗浄完了」というメッセージが表示される。洗浄及び殺菌消毒を完了した状態であっても、使用者が直ちに洗浄されたコンタクトレンズを着用しないで睡眠をとるなどの理由で数時間〜数日間保管する場合は、レンズ収容部を閉状態にして、外部の空気によって汚染されることを防止する。これにより、殺菌消毒された状態を長時間維持することができる。
【0107】
一方、約1回〜10回使用後に、コンタクトレンズ洗浄器1を利用してコンタクトレンズを洗浄する場合は、電源供給部42から印加される電流の流れ方向が逆となる。従って、電気分解により電極部の陽電極及び陰電極に残留物が付着することを自動的に抑制することができる。
【0108】
また、作動ボタンを1回押す場合と作動ボタンを連続して2回押す場合とを制御部で異なる信号として認識して、電極部30への電源印加時間を調節することもできる。すなわち、一般的なレンズ洗浄に必要な時間よりもタンパク質分解に必要な時間が長いため、使用者の好みに応じて周期的に長時間作動させようとする場合は作動ボタン16を2回押すことにより、より完全な洗浄と殺菌消毒の効果を得られるように構成することもできる。ここで、電極部30の全部に常に電源を印加するのではなく、電極部30の一部にのみ電源を印加するように構成することにより、前述の効果と類似の効果を得ることができる。
【0109】
すなわち、本発明の一実施形態によるコンタクトレンズ洗浄器1は、図6及び図7に示すように、容器110内の水111の中に陽極部131と陰極部132とを所定距離d2離隔させた状態にしておき、電源供給部120から電源供給線121を介して電源を印加することにより、水中で電気分解を誘導し、電気分解の反応で生成されるオゾン、OHラジカルなどの酸化体を利用して細菌やバクテリアを殺菌する原理を利用したものである。より具体的には、本発明の一実施形態による電極部30は、図4〜図10に示す電極部130、230、430のいずれか1つで形成することができる。
【0110】
ここで、電極部130を備えた装置100は、図5に示すように、水111を収容する容器110と、容器110の底面に固定設置された電極部130と、電極部130に電源を供給する電源供給部120とを含む。
【0111】
電源供給部120は、外部の交流電源でもよく、交流電源を変換した直流電源でもよく、バッテリから供給される直流電源でもよい。電源供給部からの陰極電線121は陰電極板131に接続され、電源供給部からの陽極電線122は陽電極板132に接続される。
【0112】
電極部130は、複数の陰極突起131aが表面に形成された陰電極板131と、複数の陽極突起132aが表面に形成された陽電極板132と、陰電極板131及び陽電極板132を挟んで固定し、容器110の底面に固定される支持台とを含む。
【0113】
ここで、陰電極板131と陽電極板132とは、所定の間隔d2だけ離隔して支持台133に固定され、所定の間隔d1だけ離隔して対向するように対向面Bから突出形成された円錐状の陰極突起131a及び陽極突起132aをそれぞれ備えており、電極板131、132に印加された電荷が突起131a、132aの先端部Bに集中する。従って、同一の電源を印加した場合に比べて、陰極突起と陽極突起との間での水の電気分解をさらに促進させることができる。
【0114】
また、陰極突起131a及び陽極突起132aには他の部分より白金メッキが厚く施されており、電気分解が活発に行われるようにする。
【0115】
また、支持台133には、図5に示すように、陰電極板131を挟んで固定するように凹状に形成された陰電極板接続スロット1331、及び陽電極板132を挟んで固定するように凹状に形成された陽電極板接続スロット1332が形成される。また、図8に示すように、支持台133の内部は、陰極電線121が陰電極板131の陰電極板接続スロット1331に接続され、陽極電源線122が陽電極板132の陽電極板接続スロット1332に接続されるように構成されて、支持台133のスロット1331、1332に電極板131、132を挟むだけで、該当電源が供給されるようになっている。
【0116】
よって、電極板131、132の白金が消耗すると、消耗した電極板131、132をスロット1331、1332から外し、新しい電極板131、132をスロットに挟むだけで交換が完了する。従って、前述のように構成されたコンタクトレンズ洗浄器100は半永久的に使用することができる。
【0117】
以下、前記電極部を含む装置100の作動原理を詳細に説明する。
【0118】
使用者が前記装置100を利用してコンタクトレンズを洗浄、消毒する場合、容器100に水道水111を満たし、電源供給部120から電源を印加すると、陰電極板接続スロット1331及び陽電極板接続スロット1332に電源が供給される。その後、それぞれの接続スロット1331、1332を介して、陰極電源は陰電極板131に供給され、陽極電源は陽電極板132に供給される。このとき、陰電極板131及び陽電極板132にそれぞれの電源が印加されるが、各電極板131、132の対向する表面に形成された陰極突起131a及び陽極突起132aに電荷が集中する。従って、それぞれの突起131a、132aの間で電気分解が行われ、電気分解により多量に発生したオゾン、過酸化水素、HOCl、OHラジカルなどの酸化体が、コンタクトレンズに付着した異物質、タンパク質、細菌、バクテリアなどを短時間で洗浄、殺菌消毒することができる。
【0119】
前記装置100は、容器内に突起131a、132aが形成された電極板131、132のみを設置すればよいので、携帯サイズに構成することができる。また、所定時間にのみ電気分解が行われるようにするタイマーなどが装着された制御部をさらに含むこともできる。
【0120】
一方、図9は図1の電極部の他の実施形態の構成を示す断面図であり、電極板231、232は、電極板231、232から分岐した分岐板2311、2321を含むように構成することもでき、離隔した電極板231、232より近接した距離で、対向する分岐板2311、2321にそれぞれ陰極突起2311a及び陽極突起2321aが形成されるように構成することもできる。
【0121】
このような構成により、電気分解の領域をより多くすることにより短時間でコンタクトレンズの洗浄、殺菌消毒のための殺菌水が製造できることがわかる。
【0122】
図10は図1の電極部のさらに他の実施形態の構成を示す断面図である。図10に示す電極部430は、図4に示す電極部120と比較すると、電源供給部420から陰極電線421を介して陰極電源が供給される陰電極430と、電源供給部420から陽極電線を介して陽極電源が供給される陽電極440とを含むという点で特徴を有する。
【0123】
陰電極430は、陰極電線421に接続され、所定距離離隔して配置された2つの陰電極支持棒431と、陰電極支持棒431の間に複数の棒で形成された陰電極棒432と、陰電荷を集中させるために陰電極棒432の底面に円柱状に突出形成された陰極突起433と、陽電極440と予め定められた間隙を維持するように、陰電極支持棒431の端部の底面に形成された挿入突起434とを備える。
【0124】
同様に、陽電極440は、陽極電線422に接続され、所定距離離隔して配置された2つの陽電極支持棒441と、陽電極支持棒441の間に複数の棒で形成された陽電極棒442と、陽電荷を集中させるために陽電極棒442の上面に円柱状に突出形成された陽極突起443と、陰電極430と予め定められた間隙を維持するように、陽電極支持棒441の端部の上面に形成された挿入溝444とを備える。
【0125】
ここで、陰電極430と陽電極440間の通電を防止するように、挿入突起434と挿入溝444との間には、所定の厚さを有する絶縁体が挿入されるか、又は絶縁コーティングが施される。また、挿入突起434と挿入溝444とを嵌合した状態では、陰極突起433の先端部と陽極突起443の先端部間に所定の間隔が維持され、その間で強い電気分解を誘導することができる。
【0126】
前述のように構成された本発明によるコンタクトレンズ洗浄器のさらに他の形態の電極部430、440は、電極突起433、443が棒状の電極棒432、442に形成されることによって、電極突起に集められない電荷量を減少させ、金型で簡単に製造することができ、高い費用がかかる電極部の材料費を低減することができる。
【0127】
図11は0.98%濃度とpH6.39を有する塩水に5V、2.2Aの電流を流して電気分解による塩素イオンの増加量を測定して示す実験データグラフである。図11の実験結果に示すように、塩水に対してはより強い電気分解が行われるので、より迅速な殺菌効果を得ることができる。さらに、図6の電極板131、132には電荷を集中させる突起131a、132aが形成されているので、より強い電気分解が行われて滅菌にかかる時間がはるかに短縮される。従って、本発明に使用される水としては、水道水、蒸留水だけでなく、塩水も効果的に適用することができる。
【0128】
以上、本発明の好ましい実施形態を例に説明したが、本発明の範囲はこのような特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範疇内で適切に変更可能である。すなわち、簡単な構成で酸化体をより多く生成するコンタクトレンズ洗浄器を実現するために、尖った形状や柱状に形成されて電荷を集中させる電極突起を含むように構成したものを例示したが、本発明の電極突起は、尖った形状や柱状に形成されるものに限定されず、電荷の集中を誘導するために電極部から突出形成されるいかなる形状(例えば、突出した棒)でも本発明の範疇に含まれる。
【0129】
また、本発明による電極部は、前述した実施形態で例示した形状に限定されるものではなく、電気分解を誘導できるいかなる形態にも構成できるということは、本発明の属する技術の分野における当業者にとっては自明である。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】従来の生理食塩水の製造工程を示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施形態による生理食塩水の製造工程を示すフローチャートである。
【図3】図2による製造装置の構成を示す概路図である。
【図4】図3の電極部の構成を示す斜視図である。
【図5】図4の分離斜視図である。
【図6】図4のVI−VI線断面図である。
【図7】他の形態の電極部の構成を示す断面図である。
【図8】図3の電極部に電源を供給する配線図である。
【図9】他の実施形態の電極構造の断面図である。
【図10】図3の電極部のさらに他の実施形態の構成を示す断面図である。
【図11】塩水の電気分解による塩素イオンの増加量を測定して示す実験データグラフである。
【図12】本発明の一実施形態によるコンタクトレンズ洗浄器の構成を示す分解斜視図である。
【図13】図12のレンズカバーを開いた状態のコンタクトレンズ洗浄器の構成を示す斜視図である。
【図14】図12のレンズカバーを閉じた状態のコンタクトレンズ洗浄器の構成を示す斜視図である。
【図15】図12のレンズ洗浄部の拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのコンタクトレンズを収容する収容部と、
前記レンズ収容部内に形成された陰電極、及び前記陰電極と所定距離離隔するように前記レンズ収容部内に配列された陽電極を備えた少なくとも一つの電極部と、
前記陰電極及び前記陽電極に電源を供給する電源供給部と、
を含むことを特徴とするコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項2】
前記陰電極に突出形成された少なくとも一つの陰極突起と、
前記陰極突起に対向するように前記陽電極に配列された少なくとも一つの陽極突起と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項3】
前記陰極突起及び前記陽極突起が、それぞれに複数形成されたことを特徴とする請求項2に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項4】
前記陰電極及び前記陽電極の対が、複数形成されたことを特徴とする請求項3に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項5】
前記陰電極及び前記陽電極の一面から分岐部が突出形成され、前記陰電極の少なくとも一つの分岐部と前記陽電極の少なくとも一つの分岐部とが対向するように配列され、前記分岐部の対向面にそれぞれ陰極突起及び陽極突起が形成されたことを特徴とする請求項3に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項6】
前記レンズ収容部、前記電極部、及び前記電源供給部を覆うように形成された外装ケースをさらに含み、前記外装ケースの外面には作動状態を表示する表示器が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項7】
前記外装ケースの外面には作動ボタンが形成され、前記作動ボタンを押すと予め設定された時間だけ前記電極部に電源が印加されることを特徴とする請求項6に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項8】
前記電源供給部は、前記電極部に印加する電源の印加方向を反転可能であることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項9】
前記レンズ収容部に超音波を発生する振動子をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項10】
前記レンズ収容部に連通して外部に噴霧する噴霧器をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項11】
前記レンズ収容部内には、前記レンズ収容部内の水を循環させる循環ファンが形成されたことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項12】
前記循環ファンは、前記電極部に電源が印加されるときにのみ回転することを特徴とする請求項11に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項13】
前記電極部は、白金メッキが施されて形成されるか、又は白金で形成されたことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項14】
前記陰極突起及び前記陽極突起は、白金メッキが施されて形成されるか、又は白金で形成されたことを特徴とする請求項2に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項15】
前記電極部は交換可能であることを特徴とする請求項2に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項16】
前記電極部がバッテリで形成されたことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項17】
前記電極部は、チタンメッキが施されて形成されるか、又はチタンで形成されたことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項18】
前記陰極突起及び前記陽極突起は、チタンメッキが施されて形成されるか、又はチタンで形成されたことを特徴とする請求項2に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項19】
前記水が水道水、地下水、蒸留水、及び精製水のいずれか1つ以上であることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項20】
前記水が塩水であることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項21】
前記塩水は高濃度の塩溶液と水を混合して製造したことを特徴とする請求項20に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項22】
前記レンズ収納部の外面には、少なくとも一つの放熱用フィンが形成されたことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項23】
前記放熱用フィンの周辺には、前記レンズ収容部から伝達された熱を外部に放出する送風ファンが形成されたことを特徴とする請求項23に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項24】
前記外装ケースの前面には、塩溶液カプセル又は塩錠剤、又は塩粉末カプセルを収容する収容部が形成されたことを特徴とする請求項6に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項25】
前記レンズ収容部を開閉するように前記外装ケースに回動可能に形成されたレンズカバーをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項26】
前記レンズカバーの底面には、前記レンズ収容部を密封するようにゴムパッキンが形成されたことを特徴とする請求項25に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項27】
前記レンズカバーには、前記レンズ収容部と外部を選択的に連通するように開閉バルブが形成されたことを特徴とする請求項25に記載のコンタクトレンズ洗浄器。
【請求項28】
請求項1に記載のコンタクトレンズ洗浄器に使用される塩カプセルであって、
前記塩がカプセルに包装されたことを特徴とする塩カプセル。
【請求項29】
前記塩は、前記レンズ収容部に満たされた水を0.7%〜1.5%の濃度を有する塩水に製造するのに必要な量が包装されたことを特徴とする請求項28に記載の塩カプセル。
【請求項30】
前記塩が飽和塩溶液の形で包装されたことを特徴とする請求項29に記載の塩カプセル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2008−539461(P2008−539461A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508749(P2008−508749)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【国際出願番号】PCT/KR2006/001559
【国際公開番号】WO2006/115369
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(508012345)
【Fターム(参考)】