説明

生産情報管理装置および生産情報管理方法

【課題】製品の製造に関する異常や不良が生じる前であっても、その異常や不良を把握できるように、管理する情報を加工する。
【解決手段】まず、製品の実績データが持つ、検査装置、製造に携わった作業者、設定温度などの製造工程を特徴付けるパラメータ、気温や湿度などの環境条件などの各項目の値が、異なる製造ロット間でどの程度似ているかを評価する(1021)。次に、検査装置、作業者などの各項目の、複数の代表点を決定する(1022)。次に、複数の代表点と製造ロットの各項目値の類似度を評価する(1023)。次に、実績データの各項目が最も類似している代表点の組合せ(代表点パターン)に対して、その実績データを紐付けその数を計数する(1024)。その後、代表点パターン間の距離を計算し、その距離に基づいて、二次元上にマップして表示する。そのマップ上で、検索範囲を設定すると該当する実績データを抽出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造実行システム、プロセス情報管理システムなどのシステムで蓄積する生産情報を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2008−250910号公報(特許文献1)がある。「分類」したときとそうでないときで、目的変数の分散が最も大きくなるような分類の仕方を見つけるという方法を用いたデータマイニングを前提にした技術であり、この公報には、「各工程における待ち時間を含む処理時間を時間分類手法を用いて機械的に分類し、分類した時間群を説明変数としてデータマイニングを行うことを特徴とする。このように、数ではなくて量である時間を時間分類手法を用いて分類して時間群とすることにより、時間を群の数を扱うことが可能となり、それによって、従来のデータマイニング法をそのまま適用して工程管理を行うことができる」と記載されている。
【0003】
また、特開2005−327024号公報(特許文献2)がある。この公報には、「組立系デバイスにおいては、前工程が起因となる不良が本体に流れ込んで、本体検査で発見されてしまうことに対して、本体発生不良と前工程部品における因果関係を抽出するデータマイニングを実施するための紐付きデータを準備することが難しかった」問題に対し、「登録処理工程では、部品ロット番号に製造工程番号、品質データ等の品質管理情報を、親部品ロット番号に子部品のロット番号を、それぞれ紐付きで登録され、処理データベースでは、親部品ロット番号に紐付いた品質データ等の品質管理情報が管理され、データマイニング処理工程では、処理データベースで管理された親部品工程から子部品工程までの全品質管理情報をデータマイニングし、その結果を表示する」ことによって、「本体検査データ登録時に、本体検査で発見された不良から、末端の子部品の品質情報までを一連にデータマイニング処理を行うことができ、瞬時に要因抽出を行うデータマイニングシステムを実現できる」と記載されている。
【0004】
また、特開2005−234979号公報(特許文献3)がある。この公報には、製品の「不良原因となる工程および製造装置を短時間で特定する品質管理システムおよび不良検出方法を提供する」ために、「複数の工程で同等の機能を有する複数の製造装置を用いて製品を製造し、所定の検査装置で検査して製品の合否を判定する品質管理システムにおいて、製造装置による処理の概要を示す製造情報を収集して蓄積する製造データ蓄積手段と、検査装置による処理の概要を示す検査情報を収集して蓄積する検査データ蓄積手段と、前記製造情報と前記検査情報とから所望の情報を抽出するデータ抽出手段と、前記抽出した情報を表示するか、またはこの抽出した情報を統計加工して所望のデータを表示するデータ表示手段とから成り、前記製造情報と前記検査情報とがロット番号毎に紐付けされており、不良現象が生じた時、前記データ抽出手段により前記ロット番号毎に装置処理履歴を抽出し前記データ表示手段に表示することにより、この装置処理履歴を検証して不良現象に起因する製造装置を特定する」ことにより、「不良原因となる工程および製造装置の特定に係る時間を減少することができる」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−250910号公報(段落0020、0021)
【特許文献2】特開2005−327024号公報(段落0003、0005、0007)
【特許文献3】特開2005−234979号公報(段落0008、0009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、歩留まりなどの目的変数の異常があった際、それを最もうまく説明できるように説明変数を分類する技術であり、特に説明変数の中に分類処理に適さない時間を用いるための工夫に特徴がある。特許文献2は、組立系の製品において、本体検査時に発見された不具合に対して、それを構成する部品まで含めた品質情報の検索ができるようにする技術である。特許文献3も特許文献2と同様、製品の検査工程で見つかった不良に対して、工程やそこで用いた装置の情報を素早く検索できるようにする技術である。
【0007】
このように、従来では、ユーザは、歩留まりの異常や、検査不良などの事象を基に、情報を分類したり検索したりした。このため、生産プロセスと品質の関係などの知見を事故や不良を起こす前に把握することが困難だった。
【0008】
このような事情を鑑みて、本発明の課題は、製品の製造に関する異常や不良が生じる前であっても、その異常や不良の兆候あるいは傾向を把握できるように、管理する情報を加工することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決する手段として、本発明では、まず、製品の実績データが持つ、製造に使用した反応槽などの設備、秤などの計測機器、検査装置、製造に携わった作業者、設定温度などの製造工程を特徴付けるパラメータ、気温や湿度などの環境条件、使用した原料の納入元や製造時期などの各項目の値が、異なる製造ロット間でどの程度似ているかを評価する。次に、設備、計測機器、検査装置、作業者などの各項目の、複数の代表点を決定する。次に、複数の代表点と製造ロットの各項目値の類似度を評価する。次に、実績データの各項目が最も類似している代表点の組合せ(代表点パターン)に対して、その実績データを紐付けその数を計数する。その後、代表点パターン間の距離を計算し、その距離に基づいて、二次元上にマップして表示する。そのマップ上で、検索範囲を設定すると該当する実績データを抽出することができる。
詳細は、後記する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、製品の製造に関する異常や不良が生じる前であっても、その異常や不良の兆候あるいは傾向を把握できるように、管理する情報を加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の生産情報管理装置のソフトウェアの構成を示す図である。
【図2】クラスタリング手段の詳細を示す図である。
【図3】マップ表示手段の詳細を示す図である。
【図4】項目類似度評価手段による処理を示すPAD図である。
【図5】項目代表点決定手段による処理を示すPAD図である。
【図6】実績データ代表点パターン類似度評価手段による処理を示すPAD図である。
【図7】代表点パターンとマップとの対応関係を示す概念図である。
【図8】代表点パターンマップ化手段1032による処理を示すPAD図である。
【図9】代表点パターンマップの表示例である。
【図10】代表点パターンマップの他の表示例である。
【図11】検索や選択操作をするときの画面の表示例である。
【図12】クラスタの選択において、その選択の範囲を小さくするときの様子を示す画面の表示例である。
【図13】ターゲット実績と当該クラスタの代表点との距離を、余弦と大きさの2つの情報で表現した場合の表示例1100である。
【図14】ターゲット実績と当該クラスタの代表点との距離を、内積で表現した場合の表示例1200である。
【図15】ターゲット実績と当該クラスタの代表点との距離を、内積で他の形式により表現した場合の表示例1500である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明による実施の形態(以下、「実施形態」という。)について、図面を用いて具体的に説明する。
【0013】
≪はじめに≫
本実施形態の生産情報管理装置は、前記したとおり、製品の製造に関する異常や不良が生じる前であっても、その異常や不良の兆候あるいは傾向を把握できるように、管理する情報を加工する、という課題を解決するものである。しかし、この課題を解決するうえで、以下に述べる問題点が生じる。
【0014】
まず、製品の管理において、歩留まりのような連続量を目的変数とする場合、異常であるか否かを判定するために目的変数に閾値を設定することになるため、説明変数を2分する必要がある。しかし、そのためにまず目的変数と説明変数の構造的関係を把握する必要があるが、これは決して容易ではなく、閾値の設定も容易でなく、結果的に生産改善などに繋げることは難しい。
【0015】
また、事故を起こした製品の製造ロット番号や、歩留まりなどの目的変数名を知らなければ、検索あるいはデータのドリルダウンを行うことができなかった。つまり、文字列の入力や事前知識を必要とする操作を伴う検索は、煩雑であるとともに検索範囲が実質的に制限される。
【0016】
また、より一般的なクラスタリング上の課題として「次元の呪い」というものが知られている。次元の呪いについては、例えば“オーム社 石井他著「分かりやすいパターン分析」”に記述されているが、簡単に説明する。
【0017】
ここでは、d次元の超空間上の半径rの超球と、それより少しだけ小さく、d次元の超空間上の半径a・rの超球について考える。ただし、aは、0<a<1という関係を満たし、半径rの超球の中心と半径a・rの超球の中心とは一致する。このとき、半径rの超球の体積V1および半径a・rの超球の体積V2はそれぞれ、

V1 ∝ r^d
V2 ∝ (a・r)^d

であるため、V1とV2との差分δVと、体積V1との比δV/V1は、

δV/V1 = {r^d − (a・r)^d}/r^d
= 1−a^d

となる。
【0018】
ここで、d→∞のとき、δV/V1→1となることがわかる。このことは、次元が大きくなると、差分δVは、半径rの超球の表面にほぼ集中して存在することを示している。すなわち、内容(体積)は、中心からほぼ等しい距離に存在することを示している。中心からほぼ等しい距離に存在するということは、データ同士を距離で区別することができないことを意味する。よって、距離に基づくクラスタリングにおいては、次元を大きくすると、データ間の差が分からなくなるという問題があることを示している。クラスタリングを行うにあたり、製造する製品を管理するための情報に種々の目的変数や説明変数を設定する際には、このような次元の呪いに留意する必要がある。
本実施形態の生産情報管理装置は、これらの問題点を解決することができる。
【0019】
なお、本実施形態の生産情報管理装置は、主に入力部、表示部、記憶部、制御部といったハードウェアを備えたコンピュータである。
入力部は、ユーザからの入力を受け付ける入力用インタフェースである。入力部は、例えば、マウスやキーボードである。
表示部は、制御部による情報処理の結果を表示する表示用インタフェースである。表示部は、例えば、ディスプレイやプリンタである。
【0020】
記憶部は、入力部から入力されたデータ、制御部による情報処理の途中結果や最終結果を示すデータ、生産情報管理装置が備えるソフトウェアを実現するプログラムを記憶する。記憶部は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory(記憶媒体にもなる))、RAM(Random Access Memory)である。このプログラムには、生産情報管理方法を実行する生産情報管理プログラムも含まれる。
制御部は、主に、生産情報の管理に関する所定の情報処理を実現する。制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部は、入力部から入力されたデータなどを用いて、記憶部に記憶されているプログラムを実行する。これにより、ソフトウェアとハードウェアとの協働が実現される。
【0021】
≪構成≫
図1は、本実施形態の生産情報管理装置のソフトウェアの構成を示す図である。この生産情報管理装置は、クラスタリング手段102、マップ表示手段103をソフトウェアとして備えている。
【0022】
クラスタリング手段102は、生産プロセス101から取得される生産情報をクラスタリングする。ここで、生産プロセス101とは、工場などで行う製品の生産に必要な工程の1つ1つをいう。例えば、前記工程は事前に設計されたマニュアルに定められており、作業者はそのマニュアルに則って、生産ラインを組んで、製品を必要分だけ生産する。
【0023】
マップ表示手段103は、クラスタリング手段102によるクラスタリングの結果を、例えばクラスタリングして生成したクラスタを配置したマップで表示する。マップ上のクラスタには、例えば、そのクラスタに含まれる情報の量や質などに応じて所定の濃淡が施される。
【0024】
マップ以外にも表示されるものとして、例えば、ユーザによる検索操作の対象となる詳細分析範囲候補、要因候補、波及範囲候補が表示される。詳細分析範囲候補とは、ユーザが詳細を調べたいクラスタの候補をいう。要因候補とは、ユーザが詳細を調べたいクラスタに属する情報を、そのクラスタを構成する要因としたときのその要因の候補をいう。波及範囲候補とは、ユーザが詳細を調べたいクラスタと何らかの関係性を有するクラスタの候補をいう。ユーザは、検索操作により、これらの候補から所望するクラスタなどを選択する。
【0025】
生産情報は例えば、製造ロットで管理される製品の生産に関する詳細を特徴付ける情報である。この生産情報は、(1)製造に使用した反応槽などの設備、(2)秤などの計測機器、(3)製品の品質検査に用いる検査装置、(4)製造に携わった作業者、(5)設定温度、設定圧力などの製造工程を特徴付けるパラメータ、(6)気温や湿度などの環境条件、(7)使用した原料の納入元や(8)製造時期、などといった複数の具体的な項目(「属性」と称する場合もある)の値を含む。ユーザは、生産プロセス101を調べてこれらの項目の値を1つ1つ特定していき、特定した値を所定の形式でまとめた生産情報を生成する。生成した生産情報は、生産情報管理装置の記憶部に記憶される。基本的には、生産情報の項目には、目的変数や説明変数が設定される。また、生産情報は、製品ごとに、製造ロットが割り振られている(関連付けられている)。
【0026】
図2は、クラスタリング手段の詳細を示す図である。クラスタリング手段102は、項目類似度評価手段1021、項目代表点決定手段1022、実績データ代表点パターン類似度評価手段1023および類似実績発生頻度管理手段1024を備える。
【0027】
項目類似度評価手段1021は、生産情報の各項目の値が異なる製造ロット間でどの程度似ているかを評価する。具体的には、設備、計測機器、検査装置、作業者などといった生産情報の個々の項目ごとに、任意の2つの実績データの間の類似度を距離として数値化する。「実績データ」とは、着目するまたは検索対象となる製品の生産情報の各項目の値(実績値)を示すデータをいう。説明の便宜上、実績データを単に「実績」と称する場合がある。
【0028】
図2において、項目類似度評価手段1021のブロックの右側には、数値化した類似度を模式的に○で示した(符号10211を付した模式図)。この模式図は、少ないスペースでイメージを分かりやすくするため、一次元状に○を配置して表現している。ただし、一般的には、組合せ表のような形のデータ形式を用いることにより、任意の2実績間の距離の評価結果を示すデータを格納する。
【0029】
項目代表点決定手段1022は、項目類似度評価手段1021による処理の結果をクラスタリングし、生産情報の項目ごとに、1以上の代表点を決定する。「代表点」とは、クラスタリングして生成されたクラスタに属する1以上の製品の実績を代表する値をいう。
【0030】
図2において、項目代表点決定手段1022のブロックの右側には、項目ごとに決定した代表点を模式的に★で示した(符号10221を付した模式図)。代表点の決定には、例えばk−means法やデンドログラムなどの階層的な手法に基づくクラスタリング手法を用いてもよい。また、実績データ間の距離の分散などをもとに、これより近い範囲にある一群の実績値をグループとし、グループの平均値を代表点とする、といった独自の方法でもよい。
【0031】
実績データ代表点パターン類似度評価手段1023は、実績データが項目ごとの代表点のどの組み合わせと最も似ているかを評価する。具体的には、各項目から1つずつ選んだ代表点の組み合わせである代表点パターンと実績データとを比較し、実績データに最も近い代表点パターンを抽出する。
【0032】
図2において、実績データ代表点パターン類似度評価手段1023のブロックの右側には、代表点パターンおよび実績データを模式的に示してある(符号10231を付した模式図)。代表点パターンは、各項目で★で示した代表点を実線で結んで表現されている(符号Aなど)。実績データは、各項目にてとる値を●で示し、●で示した値を実線で結んで表現されている(符号B)。この模式図では、符号Aで示した代表点パターンが、符号Bで示した実績データに最も近いため、符号Aで示した代表点パターンを、符号Bで示した実績データと紐付ける。
【0033】
また、実績データ代表点パターン類似度評価手段1023は、実績データと紐付けられた代表点パターンについて、その紐付けられた回数を示す頻度を計数する。計数された頻度は、「頻度データ」、または「実績頻度」と称する場合もある。
【0034】
類似実績発生頻度管理手段1024は、実績データ代表点パターン類似度評価手段1023による処理の結果を管理する。図2において、類似実績発生頻度管理手段1024のブロックの右側には、類似実績発生頻度管理手段1024が管理する前記結果を表10241として示した。
【0035】
表10241は、「代表点パターン」のフィールドおよび「頻度」のフィールドを備える。
「代表点パターン」のフィールドには、代表点を決定することにより原理的に決定される代表点パターンの一部(または全部)が登録される。
「頻度」のフィールドには、実績データ代表点パターン類似度評価手段1023により、「代表点パターン」のフィールドに登録される代表点パターンが実績データに紐付けられた回数が頻度として登録される。
【0036】
実績データ代表点パターン類似度評価手段1023により求められた代表点パターンは原理的には、

K1×K2×・・・×Kp
(Kiは、生産情報のi番目(i=1、2、・・・、p。pは、生産情報の項目の個数。)の項目において決定した代表点の個数。)

で示す数だけ存在する。実績データの各項目の値が最も似ている各項目の代表点を抽出し、これを組み合わせて代表点パターンの候補とする。もし、この候補がまだ発生していない代表点パターンである場合は、新しい代表点パターンとして扱い、表10241の行データを生成し、頻度を1とする。
【0037】
一方、既に発生している代表点パターンの場合は、表10241(に対応する内部データ)から、当該代表点パターンの行を取り出し、この頻度値をインクリメントする。このようにすれば、K1×K2×・・・×Kp個のすべての組み合わせに対応する表10241を用意する必要はなく、メモリの資源を削減することができる。
【0038】
図3は、マップ表示手段の詳細を示す図である。マップ表示手段103は、代表点パターン間距離評価手段1031、代表点パターンマップ化手段1032、代表点パターンマップ管理手段1033および検索範囲設定手段1034を備える。
【0039】
代表点パターン間距離評価手段1031は、代表点パターン間の距離を評価する。この距離の評価は、基本的には、項目類似度評価手段1021による距離の評価を、代表点パターンを構成する各代表点に対して行った場合の評価に等しい。よって、代表点パターン間距離評価手段1031による処理に関する説明は省略する。
【0040】
代表点パターンマップ化手段1032は、代表点パターン間距離評価手段1031により求められた代表点パターン間の距離に基づいて、この距離を所定の地図上にマップする。この地図は、例えば、一次元、または二次元、ないし三次元などの直感的に理解しやすい低次元の地図である。
【0041】
代表点パターンマップ管理手段1033は、代表点パターンマップ化手段1032により定められた地図を代表点パターンマップとして管理する。代表点パターンマップ管理手段1033により管理された代表点パターンマップ(単に、「マップ」と称する場合がある)は、生産情報管理装置の表示部に所定の表示態様で表示される。生産情報管理装置の入力部から、例えば新たな製品の生産情報が入力されれば、その生産情報に基づいて、代表点パターンマップを更新する。
【0042】
検索範囲設定手段1034は、代表点パターンマップ上でのデータの検索操作を受け付けるスクロールバーの表示と入力操作の処理機能、あるいはマウスなどによる範囲指定操作の処理機能として実現される。
【0043】
≪処理≫
次に、本実施形態の生産情報管理装置が行う処理について説明する。この処理の主体は、生産情報管理装置の制御部である。
まず、項目類似度評価手段1021における、任意の2実績データの各項目の値の距離を数値化する処理に関して説明する。
【0044】
生産プロセス101から得られる生産情報のうち、製造に使用した反応槽などの設備、秤などの計測機器、検査装置、製造に携わった作業者などについては、その識別情報(例:識別番号や識別コード)が得られる。これらは通常、時間に対して、極端に変化することはないが、名義尺度上の情報であるため、通常、距離の概念を適用できない。
【0045】
一方、同じ名義尺度上の情報である原料や部品のロット番号などは、時間方向に対しての変化が激しい。別の言い方とすると、前者の識別情報は複数の製造ロットにかかわる場合が多く、それらの要素、例えば作業者には、増員や減員の可能性があり、計測器にも導入や廃棄の可能性があるが、全体が一気に変わることは少ない。もし、変化があるとしても半年単位で部分的に変更されるといった程度のものである。これに対して、後者は特定の製造ロットでのみ出現する場合が多い。
【0046】
一方で、設定温度などの製造工程パラメータや、環境条件に含まれる気温、湿度などのように連続量の場合もある。また、月や季節、天気(晴れ、曇り、雨など)のように、厳密には名義尺度だが、順序性を考え易く、恣意的ではあっても一定のルールに基づいて順序尺度、間隔尺度や比例尺度上の数値に比較的直観的に置換できるものもある。
【0047】
ここで特に問題となるのは、順序尺度、間隔尺度や比例尺度への直感的な変換すら難しい名義尺度上の情報であり、このような項目である作業者を例にとりあげて説明する。このような項目の数値化では、次のような方法がある。
【0048】
例えば、作業者が一つの製造ロットにつき複数人関わるとすると、製造ロットの「作業者」項目は、ある作業者の関与の有無を1,0またはその作業時間で表し、全作業者数と同じ数の次元を持つベクトルで表現することができる。このベクトルを「作業者実績ベクトル」という。そして、「作業者」項目での距離は、作業者実績ベクトルの余弦と大きさの比の線形和や内積などとして、定義することができる。作業者実績ベクトルの次元数である全作業者数が、少なくとも、比較される2つの製造ロットに関わった作業者数であれば、後述する方法(図4参照)で距離を計算することができる。
【0049】
なお、作業者実績ベクトルの余弦や大きさの比は、大きいものに対する小さいものの比とした場合、距離が近いほど(類似しているほど)1に近づき、距離が最も遠い(完全に非類似)ときは0になる。これは、通常の距離の概念とは異なるが、ここでは例えば、そのように定義する。
【0050】
図4は、項目類似度評価手段による処理を示すPAD(Problem Analysis Diagram)図である。
初めに、生産情報において、第一製造ロットをランダムに選択(STEP401)し、次にこれとは異なる第二製造ロットをランダムに選択する(STEP402)。以下に述べるSTEP403〜STEP408の処理は、すべての第一製造ロットおよび第一製造ロットとは異なるすべての第二製造ロットに対して行う。
【0051】
次に、第一製造ロットと第二製造ロットとを逆にした選択(組合せ)で既に距離の評価が実施されているか否かを検索する(STEP403)。まだ評価されていなければ(STEP403でNo)、第一製造ロットおよび第二製造ロットに関係する関係する作業者を重複しないようにリストアップし、それぞれの作業者実績ベクトルのベクトル長を計算する(STEP404)。
【0052】
次に、第一製造ロットと第二製造ロットそれぞれの作業者実績ベクトルを生成し(STEP405、406)、第一製造ロットの作業者実績ベクトルおよび第二製造ロットの作業者実績ベクトルによる内積を計算する(STEP407)。
【0053】
次に、計算した結果である内積を、第一製造ロットとして示される識別情報および第二製造ロットとして示される識別情報との組みに対して記憶部に記憶する(STEP408)。内積の代わりに余弦と大きさの比を記憶してもよい。このように記憶することで第一製造ロットと第二製造ロットとの間の距離が定義される。
以上が、項目類似度評価手段1021による処理である。
【0054】
前述した変化、つまり作業者の増員または減員は、作業者実績ベクトルの次元の増減になる。しかし、このように距離を定義すれば、次元の増減は過去の実績に影響しないので、変化があっても問題はない。例えば、始めに作業者がA、B、Cの3名であったとする。ここに新たに作業者Dが増員されたとしても、新たに作業者Dも加わって実施した製造ロットと、それ以前の製造ロットとの間の距離は、4次元空間上で評価される。しかし、作業者Dが加わる前の作業者A、B、Cの何らかの組合せで実施した製造ロット間の距離には影響しない。
【0055】
一方、部品番号や原料ロット番号などの使用の有無をベクトルとして表すと、製造ロットごとにベクトルの長さが変化し、任意のロット間の距離は常にゼロといったことになる。そこで、本実施形態の生産情報管理装置では、原料ロット番号や部品番号のような変化の激しい情報は使用しないものとする。但し、本発明は、そのような情報を使用することを除外するものではない。このような変化の激しい情報に関しては、例えば、その納入元コードと品名(または品種名)、納入季節または月などの変化の激しくない情報、もしくはその組合せに置き換えて対応すればよい。
【0056】
また、このような名義尺度上の情報を、図2の符号10211に示した模式図と同様な一次元の空間にマップする方法としては、自己組織化マップ(Kohonen network)などの方法がある。特に文書を対象にした自己組織化マップ技術は、文書中に現れる単語(名義尺度上の情報)から、文書間の類似性を計算し、この計算の結果を一次元または二次元などの比較的次元数の小さいマップ上に写像するものであり、本発明の実現手段として使用できる。
【0057】
また、温度や湿度などのように元々、間隔尺度や比例尺度上のデータ(変数)であれば、図2の符号10211に示した模式図と同様な一次元の空間にマップできることは言うまでもない。
【0058】
次に、項目代表点決定手段1022における処理について説明する。前述したように各項目に関して、任意の2実績間の距離が既知であるので、k−means法や階層的方法を適用して、代表点を決定できるが、ここでは、階層的な方法に関して説明する。ここで説明するのは階層的方法でも特に、凝集型とよばれる方法である。
【0059】
図5は、項目代表点決定手段による処理を示すPAD図である。この処理は、第一製造ロットと第二製造ロットとの組み合わせに対して行う。
初めに、ある1つの実績データを代表点とし、その実績データを一つだけ含む項目クラスタを生成する(STEP501)。ここで、「項目クラスタ」とは、実績データを構成する特定の項目にのみ着目してクラスタリングして生成したクラスタを意味する。項目クラスタは、例えば実績データの個数分生成する。
【0060】
次に、生成した項目クラスタから2つの項目クラスタをランダムに選択し、2つの項目クラスタのすべての組み合わせを特定する。そして、すべての組み合わせについて、2つの項目クラスタそれぞれに含まれる代表点間の距離を計算し、その距離の近い順に項目クラスタを並べる(STEP502)。この代表点間の距離は、項目クラスタ間の距離ともいうことができ、まだ項目クラスタに含まれる実績データが1つだけである場合には、実績データ間の距離ということもできる。
【0061】
次に、項目クラスタ間の距離の分布に基づいて、クラスタの粗さを決定することができる閾値を決定する(STEP503)。前記閾値は、例えば、対象とする実績データの集合において求められる分散σを用いて、3σと決定する。「対象とする実績データ」とは、例えば、生産情報管理装置の記憶部に記憶されたすべてのまたは一部の製品の実績データである。閾値は、例えばユーザの入力部からの入力により決定される。
【0062】
次に、前記閾値に基づいて、互いに所定距離内に位置する2つの項目クラスタを特定し、それらの項目クラスタについて、以下に述べるSTEP505〜STEP508の処理を繰り返し行う(STEP504)。
【0063】
まず、後記するように、1つにまとめることになる2つの項目クラスタと、他の項目クラスタとのそれぞれの距離が計算して求められていれば、その距離を示すデータを削除する(STEP505)。
【0064】
次に、最も近い、つまり距離が最小である2つの項目クラスタを含む新しい項目クラスタを生成し、その新しい項目クラスタの代表点を計算する(STEP506)。その代表点の計算方法については後記する。
【0065】
次に、新しい項目クラスタの代表点と他の項目クラスタ、つまり同じ項目に関する前記2つの項目クラスタ以外の他の項目クラスタとの距離を計算する(STEP507)。
【0066】
次に、STEP507の計算により求めた距離を、第一製造ロットと第二製造ロットとの組み合わせに対して記憶部に記憶する(STEP508)。
【0067】
このように、距離の近いものをまとめた項目クラスタの代表点を段階的に作ることで、最終的には閾値に収まる一つの項目クラスタを生成することができる。これにより、距離の分布に応じた幾つかの項目クラスタに集約することができる。なお、「閾値に収まる」とは、生成した項目クラスタの代表点間の最短距離がこの閾値よりも小さくなることを意味する。そして、「最短距離がこの閾値をよりも小さくなる」とは、前述した定義によれば、通常の距離とは逆に、余弦や大きさの比が大きな値になる(1に近づく)ことを意味する。
【0068】
なお、このようにして決定した項目クラスタの代表点を組み合わせた代表点パターンの生成は、何らかの製造ロットの実績の追加の都度行ってもよい。また例えば、ひと月ごとに実施するといったように、何らかの基準でタイミングを決定し、実施してもよい。
【0069】
STEP506で、2つの項目クラスタの代表点から、その2つの項目クラスタを合成した新しい項目クラスタの代表点を決定する方法について説明する。実績データの値が比例尺度や間隔尺度の上のスカラー量やベクトル量であれば、平均値(ベクトル平均)を代表点として用いるのが一般的である。
【0070】
順序尺度に関しては、一定の基準で数値(定義域)を割り付け、間隔尺度または比例尺度とみなすことで、平均値を計算し、最も近い定義域の値としてもよいし、定義域自体を拡張してもよい。このようにして順序尺度用の代表点を決定する。
【0071】
名義尺度の場合、その出現の有無や頻度に置き換えることで、比例尺度または間隔尺度上のベクトルとして扱うことができる。ただし、図4で作業者を例に採り上げて説明したように、比較対象の特定項目が持つ名義情報だけで内積(または余弦と大きさの比)を取る場合、クラスタ同士を結合して行く中で、取り得る名義尺度上の値が増える。このため、単なるベクトルではなく、名義空間上の識別子のベクトルも合わせて管理しておく必要がある。このようにして名義尺度用の代表点を決定する。
以上が、項目代表点決定手段1022による処理である。
【0072】
次に、実績データ代表点パターン類似度評価手段1023における処理について説明する。
図6は、実績データ代表点パターン類似度評価手段による処理を示すPAD図である。
【0073】
まず、実績データの各項目について、以下に述べるSTEP6011〜STEP6015の処理を繰り返し行う(STEP601)。つまり、まず、当該項目において実績データに最も近いとされる代表点の候補である代表点候補を初期化する(STEP6011)。次に、当該項目において存在するすべての代表点について、以下に述べるSTEP6013、6014の処理を繰り返し行う(STEP6012)。つまり、着目する代表点が最も近い代表点候補よりも近いか否かを判定し(STEP6013)、近いのであれば(Yes)、その着目する代表点を最も近い代表点候補とするように更新する(STEP6014)。前記判定は、実績データの値と着目する代表点との距離を計算して行われる。これにより、当該項目における代表点が決定される(STEP6015)。
【0074】
次に、前記決定した代表点の組み合わせに対して、実績データと最も近い代表点パターンを決定し、この代表点パターンに対する頻度データの有無(頻度値が1以上か否か)を判定する(STEP602)。その際、類似実績発生頻度管理手段1024が管理する表10241(図2参照)を参照する。
頻度データがある場合は(STEP602でYes)、表10241においてその頻度をインクリメントする(STEP6021)。頻度データがない場合は(STEP602でNo)、新規の代表点パターンであることを意味し、その代表点パターンを表10241の行データとして追加し、頻度を1(頻度の初期化)とする(STEP6022)。このようにすることで、代表点パターンの発生する頻度を更新できる。
【0075】
この処理は実績データ追加の都度、実施してもよいし、例えば、一月ごとに実施するといったように、何らかの基準でタイミングを決定し、実施してもよい。
なお、代表点パターンを決定する際、代表点パターンと、その代表点パターンが最も近いと決定される実績データとが頻度の個数分紐付けられている。
以上が、実績データ代表点パターン類似度評価手段1023による処理である。
【0076】
代表点パターン間距離評価手段1031による処理は、基本的には、代表点パターンを構成する各代表点に対して行った場合の評価に等しいため、その説明は省略する。結果的には、代表点パターン間の距離が計算して求まる。
【0077】
次に、代表点パターンマップ化手段1032における処理について説明する。前記したとおり、代表点パターンはK1×K2×・・・×Kp個の組み合わせを取り得るが、対応する実績の頻度で順位を付けることができる。
【0078】
まず、代表点パターンをマップに割り当てる内容について説明する。
図7は、代表点パターンとマップとの対応関係を示す概念図である。
【0079】
このマップは、主に、ノードおよびリンクから構成される。マップ上のノードの数Nは、例えば入力部からの入力により予め規定する。順序付けした代表点パターンの中から、実績頻度の高い(頻度データの値が大きい)N本の代表点パターンを抽出し、これをマップのノードに重複なく割り当てる。図7に示したマップは二次元であり、マップを一次元とするか二次元とするか、三次元とするかはシステムの設計次第であるが、マップ上の隣接ノード間の距離を、それに割り当てられた代表点パターン間の距離で評価する。このようにすると、マップ上のノードを結ぶすべてのリンクに、対応した代表点パターン間の距離が割り当てられる。そこで、リンクの総延長を最小にするように、ノードへの代表点パターンの割当を決定すればよい。このような問題は、例えば遺伝的アルゴリズムのような手法を用いることで、最適化することができる。
【0080】
なお、二次元の場合、一つのノードに対する隣接ノードは通常4つであるが、六角形の格子上の配置を考えれば、隣接点を6つとすることもできる。同様に三次元の場合、通常、隣接ノードは通常6点であるが、六方細密格子のようなネットワーク構造にすれば12点とすることもできる。
【0081】
また、代表点パターンの配置は厳密な最適解であることが望ましいが、代表点パターンの類似性を、少ない次元に縮約して表現することが目的であるので、準最適解であってはならない、ということではない。
【0082】
このように厳密な最適性を求めない場合は、例えば図8に示すような方法で、マップ化することもできる。
図8は、代表点パターンマップ化手段1032による処理を示すPAD図である。
まず、選択した代表点パターンのすべての組合せに対して、代表点パターン間の距離を求め、その距離をリンクの重みとする代表点パターンに関するフルメッシュネットワークを構築する(STEP801)。
【0083】
次に、距離の平均、つまりリンクの平均重みを求め、それを基準にしてすべてのノードについて、代表点パターンのリンク数が最低所定本数以上になるように距離の近いものだけを残すようにして枝刈りを行う(STEP802)。
【0084】
次に、最も実績頻度の高い代表点パターンに着目し、これをマップ上の中心ノードに選択ノードとして割り当てる(STEP803)。
【0085】
次に、選択ノードに隣接するノードのうち代表点パターンを割り当てられていないものである未割当ノードを所定順に選択する(STEP804)。次に、選択ノードに割り当てられた代表点パターンに最も近い代表点パターンを、選択した未割当ノードに割り当てる(STEP805)。STEP804、STEP805の処理は、未割当ノードがなくなるまで所定順に繰り返す。所定順とは、例えば、選択ノードに割り当てられた代表点パターンと未割当ノードに割り当てられる代表点パターンとの距離が小さい順である。また、隣接ノードは、前記したとおり、二次元のフルメッシュネットワークにおいては、通常は4つ存在するが、六角形の格子上の配置を考えれば6つ存在する。
【0086】
次に、代表点パターンを割り当てたノードの中から、所定順に従って(ランダムでもよい)1つ選択し、選択ノードとする(STEP806)。次に、その選択ノードに隣接するノードのうち代表点パターンを割り当てられていないものである未割当ノードを所定順に選択する(STEP807)。所定順とは、例えば、選択ノードに割り当てられた代表点パターンと未割当ノードに割り当てられる代表点パターンとの距離が小さい順である。次に、選択ノードに割り当てられた代表点パターンに最も近い代表点パターンを、選択した未割当ノードに割り当てる(STEP808)。STEP806〜STEP808の処理は、未割当ノードがなくなるまで所定順に繰り返す。この繰り返しにより、厳密な意味での最適性は保証されないが、ノードに割り当てた代表点パターン間の距離を反映したマップを構成することができる。
【0087】
このような割当には、任意性(左上方時計回りに設定するなどとしてもよい)がある。このため、前記任意性を、乱数を振って決定するなどし、それを初期解として遺伝的アルゴリズムを適用すれば、より早く解を収束させることができる可能性があり、そのような方法を用いてもよい。
【0088】
また、ノードへの割当で、最も頻度の高い代表点パターンを中心ノードに配置するのではなく、適宜、マップ上のノードを増やして行き、所定のノードまで割り当てた段階で割当をやめるようにする。このようにすることで、マップへのデータの割当が偏り、境界で割当できなくなる、といった問題を抑制することが期待でき、このような方法をとってもよい。
【0089】
また、全ての項目を用いてマップする代わりに、個々の項目ごとに一次元あるいは二次元のマップに代表点パターンを割り当ててもよい。この場合、距離の評価を全項目に対して実施する代わりに、個々の項目に対して距離の評価(その項目を用いたときの代表点パターン間の距離(類似度)の計算を含む。)を実施し、結果も個々の項目ごとに管理(頻度値の計数を含む。)しておけばよい。また、前記評価、実施、管理は、用いる項目が2以上のときにも行うことができる。
【0090】
次に、代表点パターンマップ管理手段1033における処理について説明する。
図9は、代表点パターンマップの表示例である。生産情報管理装置の表示部には、図9に示すダイアログにより、所定の表示態様で代表点パターンマップが画面表示されている。
【0091】
代表点パターンマップは、類似する実績の頻度が高い代表点パターンを強調して表示するものである。例えばノードに割当てられた代表点パターン間の距離に応じて、色分けして表示することで、実績データの分布に対する理解を支援するようにしてもよい。図9では、例えば代表点パターン間の距離が白黒のグラデーションによって表示されている。六角形状のクラスタのうち同一色が施されたものは、他の色が施されたクラスタの集合が示す類似性とは異なる類似性を備えていることが表現されている。
【0092】
また、三次元のマップを用いる場合は、ユーザの入力部からの画面操作によって、回転等が可能な立体として表示することもできる。
【0093】
図10は、代表点パターンマップの他の表示例である。この代表点パターンマップは、代表点パターンマップ化手段1032により生産情報の項目別にマップ化したものを、二次元の表状にレイアウトして(サムネイル形式で)表示したものである。マップの色分けは、項目ごとの代表点間の距離に応じて行われている。図10では、例えば代表点間の距離が白黒のグラデーションによって表示されている。六角形状のクラスタのうち同一色が施されたものは、他の色が施されたクラスタの集合が示す類似性とは異なる類似性を備えていることが表現されている。また、前記マップ化は、用いる項目が2以上のときにも行うことができる。
【0094】
図10に示した表示態様であっても、三次元のマップを用いる場合は、ユーザの入力部からの画面操作によって、回転等が可能な立体としてそれぞれ表示することができる。
【0095】
次に、検索範囲設定手段1034における処理について説明する。
図11は、検索や選択操作をするときの画面の表示例である。この画面は、生産情報管理装置の表示部が表示する画面であり、画面901、検索ダイアログ920、カレンダーダイアログ930、実績選択ダイアログ940が表示されている。
【0096】
画面901には、主に、クラスタ表示部950およびデータ表示エリア960が表示されている。クラスタ表示部950には、例えば、図9に図示したマップと同等のものが表示される。データ表示エリア960には、クラスタ表示部950に表示されるクラスタのうちユーザが着目するクラスタの詳細が表示される(詳細は後記)。
【0097】
検索範囲設定手段1034は、検索に要する操作となるユーザ入力に基づいて、検索処理の実行と結果表示を行うことで、極力少ない文字列入力で、類似データの検索や比較を支援する。前記ユーザ入力には、例えば、画面901に表示する「指」ボタン9021、「最新」ボタン9022、「最多」ボタン9023、「検索」ボタン9024、「カレンダー」ボタン9025、「比較」ボタン9026、スクロールバー951,952,961などに対するマウス904のクリック操作やマウスホイール操作90411が存在する。
【0098】
初めに、「検索」ボタン9024や「カレンダー」ボタン9025、「最新」ボタン9022、「最多」ボタン9023などをクリックすることで、対象、例えばクラスタ表示部950に表示されている正六角形のクラスタを選択する。
【0099】
「検索」ボタン9024をクリックした場合は、品種、品名、ロット(製造ロットのこと。)などの情報をもとに、実績データを選択する検索ダイアログ920が表示される。そして、ここでの操作により、対象となる実績データを選択する。以下、このように検索範囲設定手段1034の処理によって選択された実績データを「ターゲット実績」と呼ぶことにする。図11では、検索ダイアログ920において、品種:清涼飲料、品名:さわやか○○○に属し、製造ロット番号がL001110である実績データが選択され、網掛けなどで強調表示されている。
【0100】
なお、検索ダイアログ920において、製造ロット番号が一覧表示される「ロット」欄の右隣には、当該製造ロット番号で識別される製品が製造された年月日が一覧表示される「日付」欄が表示されている。また、「日付」欄の右隣には、当該製造ロット番号で識別される製品の大きさが一覧表示される「サイズ」欄が表示されている。
【0101】
ターゲット実績が選択されると、クラスタ表示部950では、そのターゲット実績が属するクラスタが選択される。このように検索範囲設定手段1034の処理によって選択されたクラスタを「ターゲットクラスタ」と呼ぶ。なお、「ターゲット実績が属するクラスタ」とは、そのターゲット実績と紐付けられた代表点パターンが属するクラスタである。
【0102】
「カレンダー」ボタン9025をクリックした場合、年月日を指定するカレンダーダイアログ930が表示され、年月日選択操作を行うことができる。カレンダーダイアログ930に表示されたカレンダーの日付をマウスでドラッグすると、ドラッグした日付が示す期間が選択される。これにより、この期間内に製造された製品の実績データがまず選択される。なお、その期間は網掛けなどで強調表示される。
【0103】
そして、カレンダーダイアログ930の「OK」ボタンをクリックすると、実績選択ダイアログ940が表示される。実績選択ダイアログ940にはロットの情報として、前記した「ロット」欄、「日付」欄、「サイズ」欄と同等のものが表示される。実績選択ダイアログ940において、1つのロットをマウスでクリックすることで、検索対象を指定し、ターゲット実績が選択される。ターゲット実績が選択されると、クラスタ表示部950では、そのターゲット実績が属するクラスタが選択される。
【0104】
「最新」ボタン9022をクリックした場合、最も新しい実績データをターゲット実績として選択する。なお、「最も新しい」とは、製造日が最新である、という意味でもよいし、実績データの登録や更新が最新である、という意味でもよい。「最新」ボタン9022により実績データを選択した場合、ターゲットクラスタは、選択されたターゲット実績が属するクラスタとする。
【0105】
「最多」ボタン9023をクリックした場合は、ターゲット実績の選択は行なわず、代表点パターンで特徴付けられるクラスタのうち、そこに含まれる実績の最も多いクラスタをターゲットクラスタとして選択する。
【0106】
その他、「指」ボタン9021をクリックした場合は、マウスアイコンが通常のマウスアイコン(例えば、符号9301で示した図柄に相当)から、指状の「指」マウスアイコン9502に変わる。これにより、クラスタ表示部950に表示されたマップ上のクラスタを選択することができる。そして、そのクラスタの一つをクリックすることで、ターゲットクラスタを直接選択することができる。
【0107】
また、マウス904のホイール9041を回すことで、そのターゲットクラスタの周辺のクラスタである「関心エリア」(符号953あるいは符号954で示したクラスタに相当)を周辺に広げたり、縮めたりできる。図中の一点鎖線で示した矢印9501は、この様子(関心エリアが広がる様子)を模式的に示したものである。
【0108】
このような選択操作、範囲選択操作に対して、データ表示エリア960には、例えば、ターゲットクラスタや関心エリアのクラスタの代表点パターンに最も近い実績の製造ロット番号と実績データ数を表示してもよい。また、選択範囲に応じて、色を変えて表示してもよい。データ表示エリア960の「代表ロット番号」欄には、該当するクラスタに属する実績データのうちそのクラスタに属する代表点パターンに最も近いものの一覧が表示されている。また、「実績数」欄には、該当するクラスタに属する実績データの数の一覧が表示されている。また、クラスタ表示部950のクラスタに施された色表示とデータ表示エリア960の色表示は対応している。つまり、クラスタ表示部950のあるクラスタに施された色は、データ表示エリア960に表示され、当該クラスタに属する実績データの記載行に施された色と同一である。
【0109】
選択範囲の変更に対しては、それと連動してデータ表示エリア960の表示内容を更新してもよい。例えば、図11では、「指」マウスアイコン9502で選択したターゲットクラスタを含めた19のクラスタが選択され、データ表示エリア960にも、その19のクラスタに属する実績データの情報(代表ロット番号および実績数)が表示されている。
【0110】
これに対し、1つのクラスタを対象にしたときの範囲よりも小さな範囲を選択するように検索操作を行うことができる。
図12は、クラスタの選択において、その選択の範囲を小さくするときの様子を示す画面の表示例である。
【0111】
図12(a)は、マウスホイール操作90411で選択範囲を一つに絞ったときの様子を示している。図12(a)のクラスタ表示部950では、関心エリアも含んだ選択範囲を一つのクラスタにまで絞り込んだ様子が一点鎖線の矢印9501により示されている。このとき、データ表示エリア960にも1クラスタ、つまりクラスタ表示部950において網掛け表示されたクラスタ分の情報だけを表示している。
【0112】
図12(b)は、図12(a)の状態から関心エリアの範囲をさらに絞ったときの様子を画面901bとして示している。図12(b)に示したように、クラスタ内部で選択されている実績からの距離に応じて、選択範囲をさらに絞り込んで表示するようにしてもよい(クラスタ内表示)。「クラスタ内部で選択されている実績」は、つまり、ターゲット実績のことであり、図12(b)では、データ表示エリア970の「ロット番号」欄にある「L001010」で識別される実績データを指す。当該行データをマウスでクリックするとこの実績が選択される。
【0113】
また、画面901bに示したようなクラスタ内表示の状態では、右側のデータ表示エリア970の表示内容を関心エリアの範囲に含まれる実績データの識別コードと選択データとの距離の情報を表示するようにしてもよい。前記識別コードは、データ表示エリア970の「ロット番号」欄に一覧表示されている。また、前記距離は、データ表示エリア970の「距離」欄に一覧表示されている。「選択データ」とは、前記した「クラスタ内部で選択されている実績」である(距離0)。
【0114】
また、この場合、関心エリアの範囲の変更に応じて、データ表示エリア970への表示データの数を増減させたり、色変えをしたりしてもよい。図12(b)は色変えの様子を一点鎖線の矢印9701で模式的に示した。
【0115】
図12(b)において、「詳細」ボタン9503をクリックしたとき、ターゲット実績と当該クラスタの代表点パターンとの距離を属性毎に表示するようにしてもよい。
図13は、ターゲット実績と当該クラスタの代表点との距離を、余弦と大きさの2つの情報で表現した場合の表示例1100である。
図14は、ターゲット実績と当該クラスタの代表点との距離を、内積で表現した場合の表示例1200である。
図15は、ターゲット実績と当該クラスタの代表点との距離を、内積で他の形式により表現した場合の表示例1500である。
表示例1100、1200、1500は、「詳細」ボタン9503(図12(b))をクリックしたときに表示される画面である。
なお、表示例1100、1200、1500では、ターゲット実績の値も、「値」の項目において同時に表示している。
【0116】
ここで、項目5のようにスカラー量の変数(説明変数または目的変数)の場合は、余弦を常にゼロとしたが、スカラー型の属性とベクトル型の属性を分けて表示するようにしてもよい。また、表示例1200では、ターゲット実績とターゲットクラスタの代表である代表点パターンとの比較であるので、代表点パターンと当該クラスタに含まれる他の実績データとの比較に基づいて計算した各項目の距離(内積)の分散に基づいて規格化して表示する例を示した。しかし、図15の表示例1500のように、計算結果をそのまま表示するようにしてもよい。
このようにすると、クラスタ内での選択データの特異な点や、他と比べ顕著な差異がない点を簡単に把握することができる。
【0117】
同じく、図12(b)の画面901bのクラスタ内表示の状態で、ターゲット実績の選択に加えて、データ表示エリア970に表示された関心エリア中の実績データから一つの実績(「比較対象実績」と称する)を選択し、その上で「詳細」ボタン9503をクリックしたとする。この場合、ターゲット実績と比較対象実績の2つの実績データ間の距離を計算し、図13、図15のように表示するようにしてもよい。このようにすることで、同じクラスタ内の他の実績と比べ、どのような点が違い、またどのような点では差異がないのかを簡単に把握することができる。
なお、ターゲット実績の選択の操作と、比較対象実績の選択の操作は同じになるが、生産情報管理装置は、ターゲット実績の選択と、比較対象実績の選択とは区別して処理する。
【0118】
また、図11や図12のような複数のクラスタを表示する状態で、「指」マウスアイコン9502(図11参照)により、ターゲットクラスタ以外に1つのクラスタ(「比較対象クラスタ」と称する)を選択したとする。このとき「比較」ボタン9026をクリックしたときにも、図13、図15と同様な図を表示してもよい。この場合は、ターゲットクラスタと比較対象クラスタの2つのクラスタの代表点パターンを用い、その値を比較する。このようにすると、クラスタ間の違い、特徴を簡単に把握することができる。
なお、ターゲットクラスタの選択の操作と、比較対象クラスタの選択の操作は同じになるが、生産情報管理装置は、ターゲットクラスタの選択と、比較対象クラスタの選択とは区別して処理する。
【0119】
また、同様にターゲット実績が選択された状態で、他のクラスタを比較対象クラスタとして選択し、「比較」ボタン9026をクリックしたとき、選択されたターゲット実績と選択された比較対象クラスタの代表点パターンとの距離を計算し、図13〜図15のように表示してもよい。このようにすると、選択されたターゲット実績が、選択された比較対象クラスタに対して、どのような点で特徴があり、どのような点では顕著な差異がないのかを簡単に把握することができる。
【0120】
なお、図14のように表示するときは、選択されたクラスタに含まれる実績データと他のクラスタの代表点パターンとの距離の分散を用いてもよい。また、選択された実績データが含まれるクラスタ内の代表点パターンと他のクラスタ内の実績データとの距離の分散を用いてもよい。図14のような表示形式を用いることで、項目ごとの距離の絶対値ではなく、クラスタに対して相対的に大きいか、小さいかを判断できるので、当該実績データを他と比べたときの特徴をより、把握しやすくなるという効果がある。
【0121】
なお、ターゲット実績が選択されている場合は、ターゲットクラスタも選択されており、実績−クラスタ間の比較も、クラスタ−クラスタ間の比較も可能である。前者あるいは後者を優先としてもよいし、選択のためのダイアログを表示して選択させる方式を用いてもよい。
【0122】
≪まとめ≫
以上の説明から本実施形態によれば、製品の製造に関する異常や不良が生じる前であっても、その異常や不良を把握できるように、管理する情報を加工することができる。
【0123】
使用した反応槽や計測器、作業人員、設定温度、外気温や湿度といった様々な情報に対して類似度(距離)を計算し、すべてのまたは一部の属性(項目)で張られる類似度空間上の実績データを二次元あるいは三次元または一次元のマップ上に対応付けておく。このため、不良があっても無くても、歩留まりがどのような値でも、類似する実績や類似しない実績の抽出が簡単にできる。
【0124】
また、各属性上に散らばる実績値を複数の代表点で表現し、各属性の代表点が取りえる組合せのうち、類似度の高い実績が多い組合せである代表点パターンを複数持つようにする。これにより、取りえる実績データの傾向や、代表点パターン間の比較による各実績データの特徴の把握ができる。
クラスタリングは、基本的には主観による分析であり、代表点の決定も主観によるところが大きいが、代表点の決定により製品の分類するための基準、つまり閾値が決定されたといえる。この閾値は、製品に異常や事故が発生したか否かを判定するための情報にもなり得るものであり、容易ではないと説明した、目的変数と説明変数との構造的関係を把握することに役に立つ。
【0125】
また、二次元あるいは一次元または三次元のマップ上に実績データを紐付ける。これにより、スクロールバーのような簡単なユーザインタフェースを通じて、類似する実績データの検索範囲や選択操作を実施できる。つまり、文字列入力のような面倒な操作、あるいは事前知識の必要な操作を用いる必要はない。
【0126】
また、使用した反応槽や計測器、作業人員、設定温度、外気温や湿度といった様々な情報(項目)に対して、個々にクラスタリングした上で、全体をクラスタリングする。このため、次元の数を抑制でき、次元の呪いによる影響を抑制することができる。
【0127】
≪その他≫
なお、前記実施形態は、本発明を実施するために好適のものであるが、その実施形式はこれらに限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲内において種々変形することが可能である。
【0128】
例えば、本実施形態では、項目ごとに代表点を複数求め、これらの組み合わせである代表点パターンを用いてクラスタを構成するようにした。しかし、すべてのデータを一括で分析し、クラスタを構成するようにしてもよい。
【0129】
具体的には、すべての実績データを対象にして自己組織化マップと呼ばれる技術を適用することができる。自己組織化マップを本実施形態で説明した生産情報についても適用することは可能であり有用である。しかし、例えば取得されるまたは使用する生産情報の情報量が少なく、次元の呪いの影響を無視できる場合には、このような形態をとることもできる。
【0130】
また、本実施形態の生産情報管理装置の表示部をタッチパネルで実装し、そのタッチパネルが生産情報管理装置の入力部の機能の全部または一部を備えるようにする。これにより、検索範囲設定手段1034による機能をタッチパネルの操作により実現することができる。例えば、ターゲット実績やターゲットクラスタの選択は、タッチパネルにおいてクラスタ表示部950に表示されているマップの該当箇所をタップすればよい。関心エリアの選択は、ターゲットクラスタが表示されている箇所から所定距離分だけ外方向へなぞればよい。また、クラスタ表示部950の表示領域をダブルタップやピンチイン、ピンチアウトすることにより、そこに表示されているマップを拡大または縮小表示することができる。
【0131】
また、本実施形態で説明した種々の技術を適宜組み合わせた技術を実現することもできる。
【0132】
その他、ハードウェア、ソフトウェア、各フローチャート等の具体的な構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0133】
101 生産プロセス
102 クラスタリング手段
103 マップ表示手段
1021 項目類似度評価手段
1022 項目代表点決定手段
1023 実績データ代表点パターン類似度評価手段
1024 類似実績発生頻度管理手段
1031 代表点パターン間距離評価手段
1032 代表点パターンマップ化手段
1033 代表点パターンマップ管理手段
1034 検索範囲設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の生産プロセスを特徴付ける1以上の項目を含むことで製品の生産情報を管理する生産情報管理装置において、
前記生産情報管理装置の記憶部は、製品ごとに、前記生産情報の項目ごとの値をまとめた実績データを記憶しており、
前記生産情報管理装置の制御部は、
前記記憶部を参照して、対象とするすべての製品のうち異なる2つの製品を特定し、その2つの製品の実績データ間の類似度を項目ごとに計算する制御と、
前記計算した2つの製品の実績データ間の類似度に基づいて、対象とするすべての製品の実績データをクラスタリングし、前記クラスタリングされた実績データを項目ごとに代表する1以上の値を、項目ごとの代表点として決定する制御と、
項目ごとに決定された前記代表点を組み合わせた代表点パターンと前記実績データとの類似度を項目ごとに計算することで、前記代表点パターンと、当該代表パターンに最も類似している実績データとを紐付ける制御と、
前記代表点パターンごとに、前記代表点パターンに紐付けられた実績データの数を頻度として計数する制御と、
対象とするすべての代表点パターンのうち異なる2つの代表点パターンを特定し、その2つの代表点パターン間の類似度を項目ごとに計算する制御と、
前記計数した頻度および前記計算した2つの代表点パターン間の類似度に基づいて、前記代表点パターンの全部または一部を、三次元以下の構造を持つマップに配置する制御と、を実行する
ことを特徴とする生産情報管理装置。
【請求項2】
前記マップは、前記クラスタリングにより生成されたクラスタの集合からなるマップであり、
前記生産情報管理装置の制御部は、
少なくとも前記2つの代表点パターン間の類似度に基づく表示態様で、前記マップを前記生産情報管理装置の表示部に表示する制御と、
前記生産情報管理装置の入力部からの入力により、前記マップを含む前記表示部の表示領域を操作すると、該当する実績データを検索するための検索範囲を前記マップ内のクラスタに対して指定する制御と、を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の生産情報管理装置。
【請求項3】
前記マップは、前記項目の全部または一部を用いて設定されたマップであり、
前記生産情報管理装置の制御部は、
前記マップを設定するときに用いた項目について、前記頻度の計数、および前記2つの代表点パターン間の類似度の計算をする制御と、
前記計数した頻度および前記計算した2つの代表点パターン間の類似度に基づいて、前記代表点パターンの全部または一部を、前記設定されたマップに配置する制御と、を実行する
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の生産情報管理装置。
【請求項4】
製品の生産プロセスを特徴付ける1以上の項目を含むことで製品の生産情報を管理する生産情報管理装置における生産情報管理方法において、
前記生産情報管理装置の記憶部は、製品ごとに、前記生産情報の項目ごとの値をまとめた実績データを記憶しており、
前記生産情報管理装置の制御部は、
前記記憶部を参照して、対象とするすべての製品のうち異なる2つの製品を特定し、その2つの製品の実績データ間の類似度を項目ごとに計算するステップと、
前記計算した2つの製品の実績データ間の類似度に基づいて、対象とするすべての製品の実績データをクラスタリングし、前記クラスタリングされた実績データを項目ごとに代表する1以上の値を、項目ごとの代表点として決定するステップと、
項目ごとに決定された前記代表点を組み合わせた代表点パターンと前記実績データとの類似度を項目ごとに計算することで、前記代表点パターンと、当該代表パターンに最も類似している実績データとを紐付けるステップと、
前記代表点パターンごとに、前記代表点パターンに紐付けられた実績データの数を頻度として計数するステップと、
対象とするすべての代表点パターンのうち異なる2つの代表点パターンを特定し、その2つの代表点パターン間の類似度を項目ごとに計算するステップと、
前記計数した頻度および前記計算した2つの代表点パターン間の類似度に基づいて、前記代表点パターンの全部または一部を、三次元以下の構造を持つマップに配置するステップと、を実行する
ことを特徴とする生産情報管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−94016(P2012−94016A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241600(P2010−241600)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】