説明

生産操業管理システム

【課題】フィールド制御システムとの間での情報のやり取りを可能とすることで効率的な生産操業管理を実行できる生産操業管理システムを提供する。
【解決手段】生産操業に必要な作業の登録を受け付ける登録受付手段と、上記登録受付手段により登録が受け付けられた作業の進捗状況の入力を受け付ける進捗状況受付手段と、上記進捗状況受付手段により入力された上記作業の進捗状況を格納する進捗状況格納手段と、上記進捗状況格納手段により格納された上記作業の進捗状況の提示要求を受け付ける提示要求受付手段と、上記提示要求受付手段により受け付けられた提示要求に従って、上記進捗状況格納手段により格納された上記作業の進捗状況を提示する進捗状況提示手段と、を備える。また、情報処理手段は、上記進捗状況に応じて、プラント各部を制御するフィールド制御システムとの間で情報のやり取りを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラントにおける生産操業を管理する生産操業管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラントにおける生産操業の管理を行う場合、以下の作業を通じて、書面、口頭、ホワイトボード等を用いて管理、運営されている。
・生産計画から作業指示書への作成および管理
・作業指示書を元にした業務の細分化(以下、細分化されたものを作業と呼ぶ)
・作業の作業者への依頼
・作業に必要な情報収集
・作業の実行
・実行中の作業の状況監視
・作業の完了通知
・作業の実績管理
・作業の引継ぎ情報の作成
【特許文献1】特開2007−115178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような作業を行う上で利用されるソフトウェアは、機能ごとに提供されているため、作業者は必要に応じた機能を実行するソフトウェアがインストールされているコンピュータに移動した上で必要な操作を実行している。このように生産計画から運転、実績収集、解析といった一連の流れの中で、実質、人が主な機能を引き継ぐ役目を負っているため、ヒューマンエラーを発生させるとともに効率的な管理が困難となるという問題がある。
【0004】
また、生産計画に基づく各作業は、最終的にはフィールド制御システムを介するプラントの操作という作業に変換される。しかし、従来のシステムでは、生産計画とフィールド制御システムとが連動しておらず、プラント操業の状況確認、あるいはフィールド制御システムに対する操作などには、人的な情報伝達が必要とされる。
【0005】
本発明の目的は、フィールド制御システムとの間での情報のやり取りを可能とすることで効率的な生産操業管理を実行できる生産操業管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の生産操業管理システムは、プラントにおける生産操業を管理する生産操業管理システムにおいて、前記生産操業に必要な作業の登録を受け付ける登録受付手段と、前記登録受付手段により登録が受け付けられた作業の進捗状況の入力を受け付ける進捗状況受付手段と、前記進捗状況受付手段により入力された前記作業の進捗状況を格納する進捗状況格納手段と、前記進捗状況格納手段により格納された前記作業の進捗状況の提示要求を受け付ける提示要求受付手段と、前記提示要求受付手段により受け付けられた提示要求に従って、前記進捗状況格納手段により格納された前記作業の進捗状況を提示する進捗状況提示手段と、前記進捗状況に応じて、前記プラント各部を制御するフィールド制御システムとの間で情報のやり取りを実行する情報処理手段と、を備えることを特徴とする。
この生産操業管理システムによれば、進捗状況に応じて、プラント各部を制御するフィールド制御システムとの間で情報のやり取りを行うので、効率的な生産操業管理を実行できる。
【0007】
前記情報処理手段は、前記フィールド制御システムが保有する情報を取得して表示してもよい。
【0008】
前記情報処理手段は、前記フィールド制御システムへのデータの書き込みを行ってもよい。
【0009】
前記情報処理手段は、前記フィールド制御システムとの間で情報のやり取りの結果を前記進捗状況に反映させてもよい。
【0010】
前記フィールド制御システムで使用されている画面を呼び出すとともに、当該画面を介して前記作業に必要な前記フィールド制御システムへの操作を受け付ける画面呼出し手段を備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の生産操業管理システムによれば、進捗状況に応じて、プラント各部を制御するフィールド制御システムとの間で情報のやり取りを行うので、効率的な生産操業管理を実行できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明による生産操業管理システムの一実施形態について説明する。
【0013】
図1(a)は、本実施形態の生産操業管理システムの構成を示すブロック図である。
【0014】
図1(a)に示すように、本実施形態の生産操業管理システム1は、プラント21における生産操業管理のための処理を実行する業務管理用サーバ11と、生産操業管理に必要なデータを格納する業務管理データベース12と、生産操業管理のための端末装置13,13,・・・と、を備える。
【0015】
また、生産操業管理システム1には、プラント21各部を制御する分散型フィールド制御システム2が接続されている。
【0016】
図1(b)は、業務管理データベース12に格納されたデータファイル群を示している。図1(b)に示すように、業務管理データベース12には、業務テンプレート、未終了業務、業務状況一覧、引継業務、登録条件等のデータファイルが格納されている。
【0017】
図2のステップS1〜ステップS11は、業務を構成する一連の作業の流れを示すフローチャートである。これらの処理は、業務管理用サーバ1の制御に基づいて実行される。
【0018】
ステップS1では、業務テンプレートの作成が必要か否か判断し、判断が肯定されればステップS2へ進み、判断が否定されればステップS3へ進む。
【0019】
ステップS2では、業務テンプレートの作成処理を実行し、ステップS3へ進む。業務テンプレートの作成処理については後述する。
【0020】
ステップS3では、業務の登録処理を実行する。業務の登録処理については後述する。
【0021】
次に、ステップS4では、業務の割付処理を実行し、ステップS5へ進む。業務の割付処理については後述する。
【0022】
ステップS5では、担当者による業務実行時の処理を実行し、ステップS6へ進む。担当者による業務実行時の処理については後述する。
【0023】
ステップS6では、業務依頼者による業務終了の承認時の処理を実行し、一連の処理を終了する。
【0024】
一方、ステップS7では業務の状況報告の処理を、ステップS8ではイベント発生時における業務の自動作成処理を、ステップS9ではプロセス変動時における業務の自動作成処理を、ステップS10ではイベント発生時における業務の状態変更処理を、ステップS11ではプロセス変動時における業務の状態変更処理を、それぞれ実行する。
【0025】
図3のステップS21〜ステップS27は、業務テンプレートの作成処理(ステップS2)の手順を示すフローチャートである。
【0026】
図3のステップS21では、端末装置13において操作者の認証を行い、操作者に業務テンプレートの作成権限があるか否かを判断する。判断が肯定されればステップS22へ進み、判断が否定されれば処理を終了する。
【0027】
ステップS22では空の業務を呼び出し、ステップS23では端末装置13の操作者による必要な情報の入力を受け付ける。これにより、上記空の業務に上記情報が入力されて、業務テンプレートが作成される。
【0028】
次に、ステップS24では、端末装置13の操作者による他のアプリケーションへのリンクの選択を受け付ける。これにより、業務テンプレートにリンクされるアプリケーションが選択される。
【0029】
ステップS25では、業務テンプレートに対応付けられるべきサブ業務があるか否か判断する。判断が肯定されればステップS27へスキップし、判断が否定されればステップS26へ進む。
【0030】
ステップS26では、端末装置13の操作者によるサブ業務の追加を受け付ける。これにより、業務テンプレートにサブ業務が追加される。
【0031】
ステップS27では、ステップS22〜ステップS26において完成された業務テンプレートを業務管理データベース12の「業務テンプレート」(図1(b))のファイルに追加し、業務テンプレートの作成処理を終了する。
【0032】
図3のステップS31〜ステップS39は、業務の登録処理(ステップS3)の手順を示すフローチャートである。
【0033】
図3のステップS31では、端末装置13において操作者の認証を行い、操作者に業務の登録の権限があるか否かを判断する。判断が肯定されればステップS32へ進み、判断が否定されれば処理を終了する。
【0034】
ステップS32では、業務管理データベース12の「業務の状況一覧」(図1(b))のファイルを呼び出し、端末装置13に表示する。
【0035】
ステップS33では、作業予定の業務に対応する業務テンプレートがあるか否か判断し、判断が肯定されればステップS34へ進み、判断が否定されればステップS39へ進む。
【0036】
ステップS34では、業務管理データベース12の「業務テンプレート」(図1(b))のファイルを読み込み、必要な業務テンプレートを取得してステップS35へ進む。
【0037】
一方、ステップS39では、業務テンプレートの入力を受け付け、ステップS35へ進む。ステップS39では、端末装置13に対する操作者の操作に従って、業務テンプレートを作成する。
【0038】
ステップS35では、ステップS34またはステップS39で得られた業務テンプレートに対応する業務を一覧表示する。
【0039】
次に、ステップS36では、端末装置13に対する操作者の操作に従って、一覧表示された業務の中から業務の選択を受け付ける。
【0040】
ステップS37では、端末装置13に対する操作者の操作に従って、業務の選択が終了したか否か判断し、判断が肯定されればステップS38へ進み、判断が否定されればステップS35へ戻る。
【0041】
ステップS38では、業務を実行可能なステータスとし、処理を終了する。ここでは、ステータスを「業務の状況一覧」(図1(b))のファイルなどに反映させる。
【0042】
図4のステップS41〜ステップS46は、業務の割付処理(ステップS4)の手順を示すフローチャートである。
【0043】
図4のステップS41では、端末装置13において操作者の認証を行い、操作者に業務の割付の権限があるか否かを判断する。判断が肯定されればステップS42へ進み、判断が否定されれば処理を終了する。
【0044】
ステップS42では、端末装置13に対する操作者の操作に従って、割り付ける業務の選択を受け付ける。
【0045】
次に、ステップS43では、端末装置13に対する操作者の操作に従って、割付対象の業務に対し、予定日時、コメント等の入力を受け付ける。
【0046】
次に、ステップS44では、端末装置13に対する操作者の操作に従って、割付対象の業務への作業者の割り付けを受け付ける。
【0047】
次に、ステップS45では、業務のステータスを“作業者割付済み”とする。ここでは、業務のステータスを「業務の状況一覧」(図1(b))のファイルなどに反映させる。
【0048】
次に、ステップS46では、「業務の状況一覧」(図1(b))のファイルなどを保存し、処理を終了する。
【0049】
図4のステップS51〜ステップS59は、業務実行時の処理(ステップS5)の手順を示すフローチャートである。
【0050】
図4のステップS51では、端末装置13において操作者の認証を行い、操作者に業務実行の権限があるか否かを判断する。判断が肯定されればステップS52へ進み、判断が否定されれば処理を終了する。
【0051】
ステップS52では、端末装置13に対する操作者の操作に従って、実行する業務の選択を受け付ける。
【0052】
次に、ステップS53では、業務を“開始”のステータスとする。次に、ステップS54では、業務を“実行中”のステータスとし、ステータスを「業務の状況一覧」(図1(b))のファイルなどに反映させる。
【0053】
次に、ステップS55では、業務の実行に伴う端末装置13に対する操作、その他の操作を受け付け、ステップS56へ進む。
【0054】
ステップS56では、業務が終了したか否か判断し、判断が肯定されればステップS57へ進み、判断が否定されればステップS55へ戻る。
【0055】
ステップS57では、業務のステータスを“終了”とし、ステータスを「業務の状況一覧」(図1(b))のファイルなどに反映させる。
【0056】
次に、ステップS58では、終了した業務が引継されるべき業務か否か判断し、判断が肯定されればステップS59へ進み、判断が否定されれば処理を終了する。
【0057】
ステップS59では、端末装置13に対する操作者の操作に従って、当該業務に対して引継業務としての登録を受け付けて、処理を終了する。
【0058】
図5のステップS61〜ステップS66は、業務終了の認証処理(ステップS6)の手順を示すフローチャートである。
【0059】
図5のステップS61では、端末装置13において操作者の認証を行い、操作者に業務終了の認証の権限があるか否かを判断する。判断が肯定されればステップS62へ進み、判断が否定されれば処理を終了する。
【0060】
ステップS62では、端末装置13に対する操作者の操作に従って、終了済みの業務の選択を受け付ける。
【0061】
次に、ステップS63では、端末装置13に対する操作者の操作に従って、業務終了の認証を受け付ける。
【0062】
次に、ステップS64では、業務を“完了”のステータスとし、ステータスを「業務の状況一覧」(図1(b))のファイルなどに反映させる。
【0063】
次に、ステップS65では、当該業務が引継されるべき業務か否か判断し、判断が肯定されればステップS66へ進み、判断が否定されれば処理を終了する。
【0064】
ステップS66では、端末装置13に対する操作者の操作に従って、当該業務に対して引継業務としての登録を受け付けて、処理を終了する。
【0065】
図5のステップS71〜ステップS74は、業務の状況報告処理(ステップS7)の手順を示すフローチャートである。
【0066】
図5のステップS71では、業務の状態を取得する。
【0067】
次に、ステップS72では、業務に引継業務があれば、その引継業務を取得する。
【0068】
次に、ステップS73では、業務の状況一覧を作成する。ついでステップS74では、その業務状況一覧を端末装置13に表示し、ステップS71へ戻る。
【0069】
図6のステップS81〜ステップS88は、イベント発生時における業務の自動発生処理(ステップS8)の手順を示すフローチャートである。
【0070】
図6のステップS81では、分散型制御システム2、あるいは他のシステムからのイベント(例えば、アラーム等のイベント)を受け取る。
【0071】
次に、ステップS82では、業務管理データベース12の「登録条件」(図1(b))のファイルを読み込み、必要な情報を取得する。
【0072】
次に、ステップS83では、ステップS81で得られたイベントと、ステップS82で得られた登録条件とを対比し、イベントの内容が登録条件を満たしているか否か判断する。判断が肯定されればステップS84へ進み、判断が否定されればステップS81へ戻る。
【0073】
ステップS84では、当該業務がすでに登録されている業務か否か判断し、判断が肯定されればステップS81へ戻り、判断が否定されればステップS85へ進む。
【0074】
ステップS85では、「登録条件」のファイルの内容に従い、該当する業務テンプレートを用いて業務を生成する。
【0075】
ステップS86では、当該業務を実行可能なステータスとする。ここでは、ステータスを「業務の状況一覧」(図1(b))のファイルなどに反映させる。
【0076】
ステップS87では、ステップS82で得られた登録条件を満たしているか否か判断し、判断が肯定されればステップS88へ進み、判断が否定されればステップS81へ戻る。
【0077】
ステップS88では、業務管理データベース12に登録された担当者に業務が作成されたことを通知し、ステップS81へ戻る。
【0078】
図6のステップS91〜ステップS98は、プロセス変動時における業務の自動発生処理(ステップS9)の手順を示すフローチャートである。
【0079】
図6のステップS91では、分散型制御システム2、あるいは他のシステムからプロセスデータを読み取る。
【0080】
次に、ステップS92では、業務管理データベース12の「登録条件」(図1(b))のファイルを読み込み、必要な情報を取得する。
【0081】
次に、ステップS93では、ステップS91で得られたプロセスデータと、ステップS92で得られた登録条件とを対比し、プロセスデータが登録条件を満たしているか否か判断する。判断が肯定されればステップS94へ進み、判断が否定されればステップS91へ戻る。
【0082】
ステップS94では、当該業務がすでに登録されている業務か否か判断し、判断が肯定されればステップS91へ戻り、判断が否定されればステップS95へ進む。
【0083】
ステップS95では、「登録条件」のファイルの内容に従い、該当する業務テンプレートを用いて業務を生成する。
【0084】
ステップS96では、当該業務を実行可能なステータスとする。ここでは、ステータスを「業務の状況一覧」(図1(b))のファイルなどに反映させる。
【0085】
ステップS97では、ステップS92で得られた登録条件を満たしているか否か判断し、判断が肯定されればステップS98へ進み、判断が否定されればステップS91へ戻る。
【0086】
ステップS98では、業務管理データベース12に登録された担当者に業務が作成されたことを通知し、ステップS91へ戻る。
【0087】
図7のステップS101〜ステップS107は、イベント発生時における業務の状態変更処理(ステップS10)の手順を示すフローチャートである。
【0088】
図7のステップS101では、分散型制御システム2、あるいは他のシステムからのイベント(例えば、アラーム等のイベント)を受け取る。
【0089】
次に、ステップS102では、業務管理データベース12の「登録条件」(図1(b))のファイルを読み込み、必要な情報を取得する。
【0090】
次に、ステップS103では、ステップS101で得られたイベントと、ステップS102で得られた登録条件とを対比し、イベントの内容が登録条件を満たしているか否か判断する。判断が肯定されればステップS104へ進み、判断が否定されればステップS101へ戻る。
【0091】
ステップS104では、当該業務の状態変更がすでに登録されているか否か判断し、判断が肯定されればステップS101へ戻り、判断が否定されればステップS105へ進む。
【0092】
ステップS105では、「登録条件」のファイルの内容に従い、業務管理データベース12に登録された業務の状態を変更する。ここでは、業務の状態を「業務の状況一覧」(図1(b))のファイルなどに反映させる。
【0093】
ステップS106では、ステップS102で得られた登録条件を満たしているか否か判断し、判断が肯定されればステップS107へ進み、判断が否定されればステップS101へ戻る。
【0094】
ステップS107では、業務管理データベース12に登録された担当者に業務の状態が変更されたことを通知し、ステップS101へ戻る。
【0095】
図7のステップS111〜ステップS117は、プロセス変動時における業務の状態変更処理(ステップS11)の手順を示すフローチャートである。
【0096】
図7のステップS111では、分散型制御システム2、あるいは他のシステムからプロセスデータを読み取る。
【0097】
次に、ステップS112では、業務管理データベース12の「登録条件」(図1(b))のファイルを読み込み、必要な情報を取得する。
【0098】
次に、ステップS113では、ステップS111で得られたプロセスデータと、ステップS112で得られた登録条件とを対比し、プロセスデータが登録条件を満たしているか否か判断する。判断が肯定されればステップS114へ進み、判断が否定されればステップS111へ戻る。
【0099】
ステップS114では、当該業務の状態変更がすでに登録されているか否か判断し、判断が肯定されればステップS111へ戻り、判断が否定されればステップS115へ進む。
【0100】
ステップS115では、「登録条件」のファイルの内容に従い、業務管理データベース12に登録された業務の状態を変更する。ここでは、業務の状態を「業務の状況一覧」(図1(b))のファイルなどに反映させる。
【0101】
ステップS116では、ステップS112で得られた登録条件を満たしているか否か判断し、判断が肯定されればステップS117へ進み、判断が否定されればステップS111へ戻る。
【0102】
ステップS117では、業務管理データベース12に登録された担当者に業務の状態が変更されたことを通知し、ステップS111へ戻る。
【0103】
以上のように、本実施形態の生産操業管理システムでは、一連の業務を共通の作業指示書として電子化しているため、以下の利点がある。
・作業指示書が電子化されることで保存、検索が容易になる。
・作業指示書を元にした作業の設定に間違いがなくなる。
・作業の業務担当者への指示の誤りを防止できる。
・作業に必要な情報収集や検索の時間が短縮できる。
・作業を正確かつ短時間で実行できる。
・実行中の作業の進捗状況を一連の業務単位で監視できる。
・作業の完了通知に漏れがなくなる。
・一連の業務単位でデータや作業実績が管理できる。
・引継ぎ情報の多くの部分が電子化でき、引継ぎ準備や引継ぎ作業を効率化できる。
【0104】
また、本実施形態の生産操業管理システムでは、業務管理用サーバ11と分散型フィールド制御システム2との間で、必要な情報が適時交換される。
【0105】
すなわち、業務管理用サーバ11の機能により、端末装置13を介してプラント21の計器(フェースプレート)の呼び出し、計器へのデータの書き込み、計器からのデータの読み込み、さらに、必要に応じて業務に関連するトレンド画面、コントロールループ画面、グラフィック画面を呼び出すことが可能となる。これらの画面は、分散型フィールド制御システム2で使用されている画面と同一であり、分散型フィールド制御システム2と同一の操作を受け付ける。その操作は、分散型フィールド制御システム2に反映される。また、分散型フィールド制御システム2に紐付けられた他のアプリケーションを呼び出すこともできる。
【0106】
したがって、担当者による業務の実行時(ステップS5)には、端末装置13から直接、プラント21の状況を監視するとともに、生産操業を実行することが可能となる。また、業務の状況報告(ステップS7)に際しても、プラント21の状況を、分散型フィールド制御システム2を介して直接的に確認することが可能となる。
【0107】
例えば、石油精製において、上流肯定である常温常圧蒸留装置の原料である原油は、3〜4日に一度の割合でタンク切替の作業が発生する。
【0108】
このタンク切替は大きく以下の3つの業務に分けられる。
(1)タンクヤードでの現場バルブの切替作業
(2)計装室の監視ステーションからの切替作業
(3)切替後、装置から精留された成分が安定した際の品質テスト作業
【0109】
これらの作業は、場所的にも時間的にも隔たりがある状況下で実施されるため、従来は、作業の開始等を各部署へ連絡するなどの作業が必要となっている。
【0110】
これに対し、本実施形態の生産操業管理システムでは、(2)に分類された主としてフィールド制御システムを介して実施される業務についても、端末装置13からの操作が可能となる。このため、(1)の作業の状況を確認するとともに、(2)の業務の開始時刻を他部署へ通知し、切替時に監視や操作が必要なフィールド制御システム上の計器や画面を呼び出して計器に対するデータ設定を実行するという、一連の作業を端末装置13から行うことが可能となる。
【0111】
この場合、(1)の業務の進捗を生産操業管理システム1により確認した後に、(2)の業務を開始することができ、その業務の開始は生産操業管理システム1により自動的に関係者に通知される。
【0112】
また、業務に必要なフィールド制御システム上の計器や画面の呼び出し、あるいは計器に対するデータ設定を生産操業管理システム1により行うことができる。このため、従来のように運転員の知識に頼る操作(キー入力による画面の呼び出しやデータ設定)を行うことなく、迅速にフィールド制御システムによるプラント操作が可能となり、さらに誤操作を防止することもできる。また、フィールド制御システム上での作業が終了したことは、生産操業管理システム1を介して自動的に(3)の作業を実施する作業者に通知されるため、時間的なロスをなくすことができる。
【0113】
上記実施形態では、情報処理手段としての機能を業務管理用サーバ11に持たせている例を示したが、情報処理手段としての機能の一部または全部を端末装置など他の装置に持たせてもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、登録受付手段、進捗状況受付手段、進捗状況格納手段、提示要求受付手段、進捗状況提示手段としての機能を業務管理用サーバ11に持たせている例を示したが、これらの手段としての機能の一部または全部を端末装置など他の装置に持たせてもよい。
【0115】
本発明の適用範囲は上記実施形態に限定されることはない。本発明は、プラントにおける生産操業を管理する生産操業管理システムに対し、広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】一実施形態の生産操業管理システムを示す図であり、(a)は、生産操業管理システムの構成を示すブロック図、(b)は、業務管理データベースに格納されたデータファイル群を示す図。
【図2】生産操業管理システムの動作を示すフローチャート。
【図3】生産操業管理システムの動作を示すフローチャート。
【図4】生産操業管理システムの動作を示すフローチャート。
【図5】生産操業管理システムの動作を示すフローチャート。
【図6】生産操業管理システムの動作を示すフローチャート。
【図7】生産操業管理システムの動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0117】
1 生産操業管理システム
11 業務管理用サーバ(登録受付手段、進捗状況受付手段、進捗状況格納手段、提示要求受付手段、進捗状況提示手段、情報処理手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントにおける生産操業を管理する生産操業管理システムにおいて、
前記生産操業に必要な作業の登録を受け付ける登録受付手段と、
前記登録受付手段により登録が受け付けられた作業の進捗状況の入力を受け付ける進捗状況受付手段と、
前記進捗状況受付手段により入力された前記作業の進捗状況を格納する進捗状況格納手段と、
前記進捗状況格納手段により格納された前記作業の進捗状況の提示要求を受け付ける提示要求受付手段と、
前記提示要求受付手段により受け付けられた提示要求に従って、前記進捗状況格納手段により格納された前記作業の進捗状況を提示する進捗状況提示手段と、
前記進捗状況に応じて、前記プラント各部を制御するフィールド制御システムとの間で情報のやり取りを実行する情報処理手段と、
を備えることを特徴とする生産操業管理システム。
【請求項2】
前記情報処理手段は、前記フィールド制御システムが保有する情報を取得して表示することを特徴とする請求項1に記載の生産操業管理システム。
【請求項3】
前記情報処理手段は、前記フィールド制御システムへのデータの書き込みを行うことを特徴とする請求項1または2に記載の生産操業管理システム。
【請求項4】
前記情報処理手段は、前記フィールド制御システムとの間で情報のやり取りの結果を前記進捗状況に反映させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の生産操業管理システム。
【請求項5】
前記フィールド制御システムで使用されている画面を呼び出すとともに、当該画面を介して前記作業に必要な前記フィールド制御システムへの操作を受け付ける画面呼出し手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の生産操業管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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