説明

生産機器用の制御装置及びその製造方法

【課題】制御装置の小型化にあたり、制御装置の筐体に基板を容易に取り付け可能とするとともに、基板の振動の発生を抑制する。
【解決手段】生産機器用の制御装置200は、筐体205と、基板250と、固定具260とを備える。基板250は、ギャップ230を挟んでそれぞれ配置された第1の回路および第2の回路と、ギャップ230に形成されたスリット240と、を有する。固定具260は、このスリット240に取り付けられる。基板250は、スリット240に取り付けられた固定具260を介して筐体205に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産機器用の制御装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット等の生産機器を制御するための制御装置は、例えば、生産機器に駆動電力を供給するための強電系回路や、CPU等を含む弱電系回路を備えている(特許文献1参照)。近年、生産設備の省スペース化を実現するために、こうした制御装置の小型化が求められている。しかし、制御装置が小型化されると、前記のような回路が実装された基板を筐体内にネジ止めする作業が困難となる。そこで、例えば特許文献2,3に記載のように、筐体内に予め設けられたガイド溝に基板の外周を嵌め込む構成を採用することが可能である。しかし、制御装置は、生産機器の稼働に伴う振動の影響を受けやすいため、ガイド溝に基板の外周を嵌め込むだけでは基板に振動が発生してしまい、基板上の電子部品が脱落したり破損したりするおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−18388号公報
【特許文献2】特開2001−217572号公報
【特許文献3】特開2001−320183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の問題を考慮し、本発明が解決しようとする課題は、制御装置の小型化にあたり、制御装置の筐体に基板を容易に取り付け可能とするとともに、基板の振動の発生を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]生産機器用の制御装置であって、筐体と、ギャップを挟んでそれぞれ配置された第1の回路および第2の回路と前記ギャップに形成されたスリットとを有する基板と、前記スリットに取り付けられる固定具と、を備え、前記基板が、前記固定具を介して前記筐体に固定される制御装置。制御装置の小型化を図るためには、例えば、強電系回路や弱電系回路といった複数系統の回路(第1の回路および第2の回路)を上記構成のように1枚の基板に搭載することが有効である。しかし、複数の系統の回路を同一の基板に搭載すると、その回路間の絶縁のために、基板にギャップ(パターンギャップ)を設けることが必要となる。そこで、上記構成のように、第1の回路と第2の回路との間のギャップにスリットを設け、このスリットに取り付けられた固定具によって基板を筐体に固定すれば、通常、デッドスペースとなり得るギャップを有効に利用しつつ、基板を容易に筐体に取り付けることができる。また、回路間のギャップ部分に設けた固定具を用いれば、基板の外周よりも内側の部分で基板を筐体に固定することができるので、基板の振動の発生を抑制することができる。
【0007】
[適用例2]適用例1に記載の制御装置であって、前記筐体は、内面にガイド溝を有しており、前記基板の外周が、前記ガイド溝に嵌め込まれる制御装置。このような構成であれば、基板の外周を固定するためのネジが削減され、また、基板の取り付けを容易に行うことが可能になる。
【0008】
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の制御装置であって、前記固定具は、弾性体である制御装置。このような構成であれば、基板の振動をより効果的に抑制することができる。
【0009】
本発明は、上述した制御装置としての構成のほか、制御装置の製造方法としても構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ロボットシステムの概略構成を示す図である。
【図2】基板の回路構成を示す説明図である。
【図3】制御装置の製造方法のフローチャートである。
【図4】基板の斜視図である。
【図5】基板のスリットに固定具を差し込む様子を示す図である。
【図6】筐体の内部に設けられたガイド溝に基板を嵌め込む様子を示す図である。
【図7】基板のネジ止めの様子を示す図である。
【図8】基板をネジだけによって固定した例を示す図である。
【図9】複数の固定具を基板に取り付けた例を示す図である。
【図10】筐体に予め固定具が固定された例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態としての制御装置を含むロボットシステムの概略構成を示す図である。ロボットシステム1は、生産機器としての多関節型ロボット100と、ロボット100の動作を制御する制御装置200と、制御装置200にロボット100の動作を教示するためのティーチングペンダント300と、を含んでいる。ロボット100の各関節には、サーボモータが取り付けられており、このサーボモータには制御装置200から駆動電力が供給される。制御装置200の内部には、ロボット100を制御するための回路が形成された基板250が固定されている。
【0012】
図2は、基板250の回路構成を示す説明図である。本実施形態では、一枚の基板250に、それぞれ動作電圧が異なる2系統の回路が形成されている。一つは、ロボット100のサーボモータに駆動電力を供給するための電力供給回路210であり、もう一つは、制御装置200を統括制御する制御回路220である。
【0013】
電力供給回路210は、交流電源2より供給される交流を整流および平滑して出力する直流電源装置3と、ロボットに設けられた各サーボモータ4を駆動するインバータ装置5と、直流電源装置3からインバータ装置5への電源供給経路を開閉する開閉回路6と、サーボモータ4からの回生電力の一部を消費させる回生回路7と、を備えている。一方、制御回路220は、開閉回路6の開閉動作を行う遅延制御回路8と、遅延制御回路8および電力供給回路210の制御を行う制御部9と、を備えている。
【0014】
直流電源装置3は、整流回路10と平滑用コンデンサ11とを備えている。整流回路10は、ダイオードを三相ブリッジ形に接続してなる周知構成のものである。例えば三相200Vの交流電源2のR、S、Tの各相出力は、交流電源線12r、12s、12tを介して整流回路10の交流入力端子に接続されている。整流回路10の直流出力端子は、直流電源線13a、13bに接続されている。これら直流電源線13a、13b間には平滑用コンデンサ11が接続されている。直流電源線13a、13b間の電圧は、例えば、80Vである。
【0015】
回生回路7は、回生用抵抗14とNチャネル型のMOSトランジスタ15との直列回路と、駆動回路16とから構成されている。上記直列回路は、直流電源線13a、13b間に接続されている。駆動回路16は、制御部9から与えられる指令信号Saに基づいて、MOSトランジスタ15をオンまたはオフするようになっている。
【0016】
開閉回路6は、リレー17とダイオード18、19とを備えている。リレー17の接点17a、17bのそれぞれの一方の端子は直流電源線13a、13bに接続されており、それぞれの他方の端子は直流電源線20a、20bに接続されている。すなわち、開閉回路6は、直流電源装置3からインバータ装置5に至る電源供給経路に設けられている。
【0017】
リレー17の駆動用のコイル17cの両端子は、遅延制御回路8の出力端子に接続されている。これにより、遅延制御回路8によりコイル17cへの通断電が行われるようになっている。リレー17の接点17a、17bは、コイル17cへの通電が停止されると開放するようになっている。ダイオード18は、アノードを直流電源線20a側にして接点17aに対し並列に接続されている。ダイオード19は、アノードを直流電源線13b側にして接点17bに対し並列に接続されている。
【0018】
インバータ装置5は、直流電源線20a、20b間に6つのスイッチング素子例えばIGBT(図1には2つのみ示す)を三相フルブリッジ接続して構成されたインバータ主回路と、その駆動回路とを備えている。IGBTのコレクタ−エミッタ間には還流ダイオードが接続されている。また、IGBTのゲートには、駆動回路からゲート信号が与えられている。駆動回路は、制御部9から与えられる指令信号Sbに基づいてゲート信号を出力し各IGBTを駆動するようになっている。
【0019】
制御部9は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えたマイクロコンピュータを主体として構成されている。制御部9は、電源線21、22から電源電圧(例えば+5V)の供給を受けて動作するようになっている。なお、この電源電圧(+5V)は、直流電源線13a、13bにおける直流電圧を図示しない電源回路により降圧して生成されている。
【0020】
制御部9は、指令信号Sbを出力してインバータ装置5を制御し、サーボモータ4の駆動を制御する。また、制御部9は、サーボモータ4の駆動を停止させる際、回生回路7に指令信号Saを出力してMOSトランジスタ15をオンさせる。これにより、サーボモータ4からの回生エネルギーの一部を回生用抵抗14により消費させて平滑用コンデンサ11の端子電圧の過大な上昇を抑える。さらに、制御部9は、信号線23を介して遅延制御回路8に開閉指令信号Scを出力し、コイル17cの通断電を制御する。
【0021】
制御部9は、ティーチングペンダント300に備えられた非常停止スイッチ(図示せず)からの非常停止信号が入力されるようになっている。この非常停止スイッチは、ロボットの誤動作などの異常が発生した場合に使用者により操作されるものである。また、制御部9は、ウォッチドッグタイマを備えており、自身のCPUを監視可能となっている。そして、サーボモータ4の駆動中に、非常停止信号が入力された場合、またはウォッチドッグタイマによりCPUの暴走が検知された場合には、サーボモータ4の駆動を直ちに停止させるように構成されている。
【0022】
遅延制御回路8は、コンパレータ24、フォトカプラ25、コンデンサC1および抵抗R1〜R5から構成されている。信号線23と電源線22(グランド電位に相当)との間には、抵抗R1とコンデンサC1との直列回路が接続されている。また、抵抗R2はコンデンサC1に対し並列に接続されている。コンパレータ24は、制御部9と同様に電源線21、22から電源電圧(+5V)の供給を受けて動作するようになっている。この電源線21と電源線22との間には、抵抗R3と抵抗R4との直列回路が接続されており、その共通接続点N1はコンパレータ24の非反転入力端子に接続されている。
【0023】
抵抗R3、R4の両者の抵抗値の比(分圧比)は、共通接続点N1における電圧が、基準電圧Vrefとなるように設定されている。この基準電圧Vrefは、リレー17の接点17a、17bの開放動作のディレイ時間を定めるためのものである。また、本実施形態では、抵抗R1、R2、信号線23および電源線22によりコンデンサC1への充放電を行う充放電回路26が構成されている。
【0024】
コンパレータ24の反転入力端子には抵抗R1とコンデンサC1との共通接続点N2が接続されている。これにより、コンデンサC1の端子電圧Vcがコンパレータ24の反転入力端子に与えられている。コンパレータ24の出力端子は、フォトカプラ25の入力側のダイオード25aのカソードに接続されている。本実施形態では、コンパレータ24の出力端子の電圧が遅延開放信号に相当する。
【0025】
ダイオード25aのアノードは、抵抗R5を介して電源線21に接続されている。フォトカプラ25の出力側のトランジスタ25bのコレクタには、電源線27を介して電圧(例えば+24V)が与えられている。トランジスタ25bのエミッタは、コイル17cの一方の端子に接続されている。コイル17cの他方の端子は、電源線22に接続されている。このような構成により、制御部9からの開閉指令信号Scの電圧レベルの変化に伴い変化するコンパレータ24の出力端子の電圧に基づいてフォトカプラ25がオンまたはオフされ、コイル17cへの通断電が行われる。
【0026】
制御部9から遅延制御回路8に出力される開閉指令信号Scは、Hレベル(+5V)とLレベル(0V)の2値レベルの信号であり、Hレベルの開閉指令信号Scが閉成指令信号に相当し、Lレベルの開閉指令信号Scが開放指令信号に相当するようになっている。また、コイル17cに通電するための電圧(+24V)は、電源電圧(+5V)と同様に、直流電源線13a、13bにおける直流電圧を図示しない電源回路により降圧し、生成されている。
【0027】
以上のように構成された遅延制御回路8は、制御部9からLレベルの開閉指令信号Sc(開放指令信号)が与えられると、抵抗R3,R4の分圧比に応じて定まるディレイ時間が経過した後に、リレー17のコイル17cへの通電を停止する。そのため、例えば、ロボット100の誤動作などの異常が発生し、制御部9がサーボモータ4の駆動を直ちに停止させた場合、サーボモータ4から接点17a、17bを介して直流電源装置3側に流れる回生電流がゼロになってから接点17a、17bが開放されるので、接点17a、17bにアークが発生したり、接点17a、17bが溶着したりすることがない。
【0028】
図3は、制御装置200の製造方法のフローチャートである。本実施形態の製造方法では、まず、上記のように電力供給回路210と制御回路220とが形成された基板250を用意する(ステップS10)。
【0029】
図4は、基板250の斜視図である。以下の説明では、図4の上下方向を鉛直方向とし、基板250が水平方向に配置されていることとする。基板250は、電力供給回路210が形成される領域215と制御回路220が形成される領域225とを有しており、これらの領域215,225の間には、所定幅(例えば、5mm)のギャップ230が設けられている。ギャップ230は、電力供給回路210を形成する配線パターンと制御回路220を形成する配線パターンとを絶縁するための領域であり、この領域内には配線パターンが形成されていない。ギャップ230の幅は、電気用品安全法やUL規格等に基づいて、電力供給回路210および制御回路220の耐電圧に応じて決定される。なお、電力供給回路210と制御回路220とが電気的に接続される部分(例えば、制御部9とインバータ装置5の間、制御部9と駆動回路16の間、遅延制御回路8とコイル17cの間)は、例えば、ギャップ230を跨ぐように、基板250の表面あるいは裏面に実装された電力供給回路210および制御回路220の部品同士をリード線で配線することで接続することができる。もちろん、ギャップ230の一部を省略し、その部分に電力供給回路210と制御回路220とを結ぶ配線パターンを設けることとしてもよい。
【0030】
ギャップ230には、基板250端部から略矩形状のスリット240が形成されている。スリット240の長さ(基板250の端部から内部への距離)は、基板の形状やサイズ等に応じて適宜設定可能である。例えば、基板250の奥行き方向に沿ってスリット240を形成する場合に、基板の奥行きが30cmであれば、その1/3程度の10cmとすることができる。スリット240と反対側のギャップ230の端部には、ネジ孔252が形成されている。
【0031】
ステップS10(図3)において基板250を用意すると、次に、この基板250のスリット240に、固定具を取り付ける(ステップS20)。
【0032】
図5は、基板250のスリット240に固定具260を取り付ける様子を示す図である。図5(A)は、基板250のスリット240に固定具260が取り付けられる前の状態を示しており、図5(B)は、固定具260が取り付けられた後の状態を示している。固定具260は、ゴムなどの弾性体によって形成された略直方体の部材の側面に、基板250のスリット240の側辺に沿った溝265を形成することで構成されている。そのため、固定具260の断面は、略H形となっている。固定具260の上面の略中央部には、固定具260を鉛直方向に貫くネジ孔267が形成されている。本実施形態では、固定具260の側面に形成された溝265に、基板250のスリット240の側辺が差し込まれることで、固定具260が基板250に取り付けられる。なお、固定具260の溝265に接着剤を塗布することで、固定具260と基板250とが接着されることとしてもよい。
【0033】
ステップS20(図3)において、基板250のスリット240に固定具260が差し込まれると、続いて、制御装置200の筐体内部に設けられたガイド溝に基板250を嵌め込む(ステップS30)。
【0034】
図6は、制御装置200の筐体205の内部に設けられたガイド溝204に基板250を嵌め込む様子を示す図である。図6(A)は、基板250をガイド溝204に嵌め込んでいる状態を示しており、図6(B)は、基板250をガイド溝204に嵌め込んだ後の状態を示している。本実施形態では、ガイド溝204は、筐体205の両側の内側面に形成されており、この2本のガイド溝204に基板250の両側端部が嵌め込まれる。なお、筐体205の下面には、基板250のネジ孔252に対応する位置と固定具260のネジ孔267に対応する位置とに、それぞれ、ネジ受け206,208が設けられている。
【0035】
ステップS30(図3)において、筐体205の内部に設けられたガイド溝204に基板250が嵌め込まれると、基板250のネジ止めを行う(ステップS40)。
【0036】
図7は、基板250のネジ止めの様子を示す図である。図7(A)は、ネジ止めをしている状態を示しており、図7(B)は、ネジ止め後の状態を示している。図6に示したように、筐体205の下面には、ネジ孔252およびネジ孔267に対応する位置に、それぞれ、ネジ受け206,208が設けられている。そのため、ネジ孔252およびネジ孔267にそれぞれネジ207,209を挿入してネジ受け206,208にこれらのネジ207,209を螺合させることで、基板250を筐体205に固定させることができる。
【0037】
以上で説明した本実施形態によれば、基板250に形成された2つの回路(電力供給回路210および制御回路220)に挟まれたギャップ230に、ネジよりも固定可能な面積の広い固定具260を設け、これにより基板250を筐体205に固定する。そのため、ネジ数を削減しながら、基板250の中央部を確実に筐体205に固定することができる。この結果、ロボット100の振動の影響を受けにくくなり、基板250が振動してその上に実装された電子部品等が損傷してしまうこと等を抑制することができる。更に、本実施形態では、固定具260を弾性体としたため、基板250の振動の発生をより低減することができる。また、本実形形態では、基板250の外周部分は、筐体205に設けられたガイド溝204によって固定されるため、基板250を筐体205に固定するためのネジの数を更に削減することができる。よって、例えば、図8に示すように、基板250bをネジ207bだけによって固定するよりも、本実施形態では大幅にネジの使用量を削減することができる。この結果、制御装置200の低コスト化を図ることができるとともに、ネジ止めの工数が削減されるため、制御装置200の組み立ての作業性が高まることになる。
【0038】
更に、本実施形態では、電力供給回路210と制御回路220とを同一の基板250に設けているため、基板の枚数が削減され、制御装置200の小型化を図ることができる。この基板250上の電力供給回路210と制御回路220とは、異なる電圧によって動作する回路であるため、絶縁のために基板250にギャップ230を設けることが必要になる。本実施形態では、このギャップ230にスリット240を設け、このスリット240に固定具260を差し込んで筐体205への固定を行う。そのため、デッドスペースとなり得るギャップ230を利用することが可能となり、基板250の全領域を無駄なく利用することが可能になる。また、基板250の外周についても、筐体205に設けられたガイド溝204によって固定するため、ネジ止めのためのスペース(図8参照)を基板250の外周に設ける必要がない。そのため、基板250の外周部分も回路の形成に利用することができるので、基板の面積を小さくすることができ、制御装置200をより小型化することができる。また、固定具260は基板250よりも厚みがあるため、基板固定用のネジ209の頭部を基板250から遠ざけることができる。そのため、その部分のギャップの幅を狭くすることができ、より小型化を図ることが可能になる。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができる。例えば、以下のような変形が可能である。
【0040】
上記実施形態では、基板250に固定具260を一つ取り付ける例を示したが、スリット240を複数箇所に設けることで、図9に示すように、固定具260を複数箇所に取り付けることも可能である。こうすることで、より多くのネジ数を削減することが可能である。
【0041】
上記実施形態では、固定具260を弾性体によって形成することとしたが、樹脂などの非弾性体によって形成されていてもよい。
【0042】
上記実施形態では、基板250の外周を、筐体205に設けられたガイド溝204によって固定することとしたが、ネジやリベット等によって固定することとしてもよい。
【0043】
上記実施形態では、スリット240に固定具260を差し込んだ後に基板250を筐体205に固定している。これに対して、例えば、図10に示すように、筐体205に予め固定された固定具260に、基板250のスリット240を差し込むこととしてもよい。
【0044】
上記実施形態では、筐体205の対向する内側面に2本のガイド溝204を設けることとしたが、ガイド溝204は、筐体205の背面内側にも備えられていても良い。
【0045】
上記実施形態では、基板250が筐体205に水平に固定されることとしたが、垂直に固定されることとしてもよいし、所定の角度で固定されることとしてもよい。
【0046】
上記実施形態では、固定具260は、ネジ209によって筐体に固定される。これに対して、例えば、固定具260の鉛直方向に溝265を2組形成し、上側の溝265に基板250を差し込み、下側の溝265に、筐体205に予め形成された切り欠きを差し込むこととしてもよい。こうすることにより、ネジの数をより削減することができる。
【0047】
上記実施形態では、本発明をロボットの制御装置に適用したが、本発明は、ロボットの制御装置に限られず、例えば、工作機械や搬送装置など、生産設備に設置される種々の生産機器の制御装置に適用可能である。
【0048】
上記実施形態では、1枚の基板250に、電力供給回路210と制御回路220とを形成している。しかし、1枚の基板250に形成する回路は、これらの回路の組み合わせに限られず、種々の組み合わせが可能である。例えば、ロボット100を制御するための回路とティーチングペンダント300を制御するための回路とを同一の基板に形成することとしてもよいし、アナログ回路とデジタル回路とを同一の基板に形成することとしてもよい。また、同一の基板に形成される複数の回路は、それぞれ動作電圧が異なっていてもよいし、同じ動作電圧であってもかまわない。
【符号の説明】
【0049】
1…ロボットシステム
2…交流電源
3…直流電源装置
4…サーボモータ
5…インバータ装置
6…開閉回路
7…回生回路
8…遅延制御回路
9…制御部
10…整流回路
11…平滑用コンデンサ
14…回生用抵抗
16…駆動回路
17…リレー
17a,17b…接点
17c…コイル
18,19…ダイオード
24…コンパレータ
25…フォトカプラ
25a…ダイオード
25b…トランジスタ
26…充放電回路
100…ロボット
200…制御装置
204…ガイド溝
205…筐体
206,208…ネジ受け
207,207b,209…ネジ
210…電力供給回路
215,225…領域
220…制御回路
230…ギャップ
240…スリット
250,250b…基板
252,267…ネジ孔
260…固定具
265…溝
300…ティーチングペンダント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産機器用の制御装置であって、
筐体と、
ギャップを挟んでそれぞれ配置された第1の回路および第2の回路と、前記ギャップに形成されたスリットと、を有する基板と、
前記スリットに取り付けられる固定具と、を備え、
前記基板が、前記固定具を介して前記筐体に固定される、
制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記筐体は、内面にガイド溝を有しており、
前記基板の外周が、前記ガイド溝に嵌め込まれる、制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の制御装置であって、
前記固定具は、弾性体である、制御装置。
【請求項4】
生産機器用の制御装置の製造方法であって、
ギャップを挟んでそれぞれ配置された第1の回路および第2の回路と、前記ギャップに形成されたスリットと、を有する基板を用意する工程と、
前記基板のスリットに固定具を取り付ける工程と、
前記固定具を介して前記制御装置の筐体に前記基板を固定する工程と、
を備える製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate