説明

生産管理方法および生産管理システム

【課題】生産ラインによる製品の生産効率の向上率が低い。
【解決手段】投入部21は、ロットを生産ライン10に投入する。検出部22は、工程1〜qのうち予め定められた最終ボトルネック工程q3が終了したロットを検出する。制御部23は、検出部22の検出結果に基づいて、最初の工程1から最終ボトルネック工程q3までにあるロットが一定になるように、投入部21に新しいロットを投入させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産管理方法および生産管理システムに関し、特には、ジョブショップ(JOB・SHOP)方式の生産ラインを管理する生産管理方法および生産管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
同一の製品を大量に生産する場合、複数の加工装置を使って一連の工程を流れ作業的に行う生産ラインが用いられることが多い。
【0003】
生産ラインにおいて、一定期間内に加工できるロットの数である作業量が他の工程に比べて少ないボトルネック工程があると、生産ラインの生産速度がボトルネック工程の作業量に律速される。
【0004】
このため、無計画に生産ラインにロットを投入すると、ボトルネック工程の前にそのボトルネック工程の実行を待つロットが大量に滞留することがある。この場合、ボトルネックとなる工程以外の工程の稼働率が低下するため、製品のTAT(Turn Around Time:生産開始から生産終了までの時間)が延び、生産効率が低くなる。
【0005】
したがって、生産効率を向上させるためには、ボトルネック工程以外の各工程の作業量をボトルネック工程の作業量に合わせて調整することで、生産ライン中のロットを平準化し、ロットの滞留を軽減することが重要となる。
【0006】
なお、ボトルネック工程は、作業時間が他の工程に比べて長い工程などである。また、複数のキー工程で同じ加工装置が共用されるジョブショップ方式の生産ラインでは、そのキー工程のそれぞれがボトルネック工程となることがある。これは、複数のキー工程のいずれかが選択的に実行されるため、各キー工程が一定期間内に実行できる回数が他の工程と比べて少なくなるからである。なお、キー工程であっても、そのキー工程の作業時間が短い場合や、同時に大量のロットを加工できる場合には、ボトルネック工程とはならない。以下、複数のキー工程で共用される加工装置を共用加工装置と称することもある。
【0007】
上記のように生産ライン中のロットを平準化させて、製品の生産効率を向上させるため技術としては、CONWIP(Constant Work-In-Process)、特許文献1に記載の生産管理システム、および、特許文献2に記載の仕掛数管理方法がある。
【0008】
CONWIPでは、生産ライン中のロットの数を一定にするために、一つのロットが完成すると、新しいロットが生産ラインに投入される。これにより、生産ラインの生産速度に合わせてロットを投入することが可能になる。したがって、生産ラインの生産速度はボトルネック工程の作業量に律速されているので、ボトルネック工程以外の各工程の作業量をボトルネック工程の作業量と同程度に調整することが可能になり、生産ライン中のロットを平準化することが可能になる。このため、製品の生産効率を向上させることが可能になる。
【0009】
また、特許文献1に記載の生産管理システムは、ジョブショップ方式の生産ラインを管理するために、共用加工装置が行う複数のキー工程の優先順位を、キー工程に基づいて決定する。
【0010】
具体的には、先ず、生産管理システムは、キー工程を基準として、生産ライン中の各工程のグループ分けを行う。例えば、生産管理システムは、キー工程ごとに、そのキー工程の次の工程からそのキー工程の一つ後のキー工程までが一つのグループを構成するようにグループ分けを行う。
【0011】
続いて、生産管理システムは、各グループ内のロットの数に応じて、キー工程の優先順位が決定される。
【0012】
これにより、例えば、ロットの数が多いグループに含まれるキー工程の優先順位を高くすれば、各グループ内のロットの数を同程度にすることが可能になるので、生産ライン中のロットを平準化することが可能になる。したがって、製品の生産効率を向上させることが可能になる。
【0013】
また、特許文献2に記載の仕掛数管理方法では、各工程の実行を待つロットの数が予測され、その予測結果に応じて、一つ前の工程の作業量が調整される。具体的には、予想結果が基準値よりも多いと、一つ前の工程の開始タイミングが遅くなる。これにより、各工程の実行を待つロットを平準化することが可能になるので、生産ライン中のロットを平準化することが可能になる。したがって、製品の生産効率を向上させることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2007−233579号公報
【特許文献2】特開平7−74226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述した製品の生産効率を向上させるため技術では、製品の生産効率の向上率が低いという問題があることを本願発明者らは明らかにした。以下、その問題の発生理由について説明する。
【0016】
最後のボトルネック以降の工程では、ボトルネック工程の作業量より大きくても、ロットが大量に滞留することがない。このため、最後のボトルネック以降の工程では、作業量を大きくすればするほどTATが短くなり、生産効率が向上する。
【0017】
しかしながら、COMWIPでは、一つのロットが完成すると、新しいロットが生産ラインに投入されるため、生産ライン中の全ての工程の作業量がボトルネック工程の作業量に合わせて調整されることになる。したがって、COMWIPでは、TATを短くするためには必要のない最後のボトルネック工程以降の工程の作業量まで、ボトルネック工程の作業量に調整されることになる。したがって、製品の生産効率の向上率が低くなる。
【0018】
また、特許文献1に記載の生産管理システムでは、グループ内の各工程において、ボトルネック工程となるキー工程に近い工程と、そのキー工程から離れた工程とを区別していない。このため、グループ内のロット数が多くても、キー工程に近い工程のロットがなく、キー工程から離れた工程のロットが多くなるという事態が発生することがある。この場合、キー工程を行うことができない時間が発生するため、ボトルネック工程の作業量が小さくなる。生産ラインの生産速度はボトルネック工程の作業量に律速されているので、ボトルネック工程の作業量が小さくなると、生産速度が低下する。したがって、製品の生産効率の向上率が低くなる。
【0019】
さらに、特許文献2に記載の仕掛数管理方法では、各工程の実行を待つロットの数に応じて、一つ前の工程の開始タイミングが調整されることで、工程の作業量が調整されている。しかしながら、ロットの数は、工程の開始タイミングだけでなく、加工装置の能力、つまり、工程の作業時間に応じても変化するので、工程の作業量の調整に用いるパラメータとして適さない。このため、工程の作業量が適切に調整されないことがある。この場合、製品の生産効率の向上率が低くなる。
【0020】
また、特許文献2に記載の仕掛数管理方法では、ボトルネック工程と、ボトルネック工程以外の工程とが区別されていないので、ボトルネック工程の開始タイミングまで遅くなることがある。この場合、ボトルネック工程の作業量が小さくなり、生産速度が低下する。したがって、この観点からも、製品の生産効率の向上率が低くなることが分かる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明による第一の生産管理システムは、複数の工程を有する生産ラインを管理する生産管理システムであって、前記生産ラインにロットを投入する投入部と、前記複数の工程のうちの予め定められた最終ボトルネック工程が終了したロットを検出する検出部と、前記検出部にて前記ロットが検出されると、前記投入部に新しいロットを投入させる制御部と、を有する。
【0022】
また、本発明による第二の生産管理システムは、複数の工程を有する生産ラインを管理する生産管理システムであって、前記生産ラインにロットを投入する投入部と、前記複数の工程のうちの予め定められた最終ボトルネック工程が終了したロットを検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて、前記生産ラインの最初の工程から前記最終ボトルネック工程までにあるロットが一定になるように、前記投入部に新しいロットを投入させる制御部と、を有する。
【0023】
また、本発明による第三の生産管理システムは、同じ共用加工装置が行う複数のキー工程を含む複数の工程を有する生産ラインを管理する生産管理システムであって、前記生産ラインにロットを投入する投入部と、前記複数のキー工程のうちの最後のキー工程が終了したロットを検出する検出部と、前記検出部にて前記ロットが検出されると、前記投入部に新しいロットを投入させる制御部と、を有する。
【0024】
また、本発明による生産管理方法は、複数の工程を有する生産ラインを管理する生産管理方法であって、前記複数の工程のうちの予め定められた最終ボトルネック工程が終了したロットを検出する検出ステップと、前記ロットが検出されると、新しいロットを投入する投入ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、最終ボトルネック工程以前のロットの数を一定にすることが可能になるので、最終ボトルネック工程以前の各工程の作業量をボトルネック工程の作業量に合わせた調整を行うことができ、かつ、最終ボトルネック工程以降の各工程の作業量がボトルネック工程の作業量に合わせて調整されることを抑制することができる。したがって、TATを短くするために必要な工程の作業量のみを調整することが可能になり、製品の生産効率の向上率を高くすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第一の実施形態の生産システムを示したブロック図である。
【図2】改良型CONWIPの一例を説明するための説明図である。
【図3】改良型ロードバランシングの一例を説明するための説明図である。
【図4】改良型作業量制限の一例を説明するための説明図である。
【図5】改良型作業量制限の一例を説明するための説明図である。
【図6】改良型作業量制限の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、同じ機能を有する構成には同じ符号を付け、その説明を省略する場合がある。
【0028】
図1は、本発明の第一の実施形態の生産システムを示したブロック図である。図1において、生産システムは、生産ライン10と、生産管理システム20とを有する。
【0029】
生産ライン10は、複数の工程を有する生産ラインであり、生産管理システム20から投入されたロットに対して複数の工程を実行し、そのロットを出力して入庫する。
【0030】
以下、生産ライン10の中にあるロットを仕掛ロットと称し、仕掛ロットの数を仕掛量と称することもある。
【0031】
生産ライン10は、加工装置10−1〜10−pを有する。加工装置10−1〜10−pは、生産ライン10に投入されたロットに対して工程1〜qを実行して出力する。ここで、pおよびqは、1以上の整数である。
【0032】
本実施形態では、生産ライン10は、ジョブショップ方式の生産ラインであるとする。つまり、生産ライン10が有する工程1〜qには、同じ共有加工装置が行う複数のキー工程が含まれる。したがって、p<qとなる。
【0033】
なお、キー工程は、生産ライン10のボトルネック工程となることが多いが、必ずしもボトルネック工程になるとは限らない。また、キー工程でなくても、ボトルネック工程となることがある。また、生産ライン10を半導体の生産に用いる場合、ボトルネック工程は、ステッパーが実行する工程となることが多い。
【0034】
図1において、加工装置10−p1および10−p2が共有加工装置であり、加工装置10−p1が実行するキー工程q1〜q3がボトルネック工程であるとし、加工装置10−p2が実行するキー工程はボトルネック工程ではないものとする。また、キー工程q3は、最後のボトルネック工程である最終ボトルネック工程であるとする。
【0035】
以下では、キー工程q1〜q3をボトルネック工程q1〜q3と称し、キー工程q3を最終ボトルネック工程q3と称することもある。また、加工装置10−p1および10―p2を共用加工装置10−p1および10―p2と称することもある。さらに、各工程で予め定められた一定時間内に加工されるロットの数を作業量と称し、各加工装置で一定時間内に加工できる最大のロットの数を最大作業量と称することもある。
【0036】
生産管理システム20は、生産ライン10を管理するシステムであり、投入部21と、検出部22と、制御部23と、算出部24とを有する。
【0037】
生産管理システム20は、生産ライン10の生産効率の向上を図るために、ロットを、生産ライン10に投入する投入ロット、ボトルネック工程にある仕掛ロット、および、ボトルネック工程以外の工程である非ボトルネック工程にある仕掛ロットの3つに分けて管理する。
【0038】
ここで、非ボトルネック工程にある仕掛ロットは、最終ボトルネック工程q3以降の工程のみを実行する加工装置にある仕掛ロットと、最終ボトルネック工程q3以前の工程のみを実行する加工装置にある仕掛ロットと、最終ボトルネック工程q3以降および以前の両方の工程を実行する共用加工装置にある仕掛ロットと、に分けられる。
【0039】
また、工程にある仕掛ロットとは、その工程が実行中の仕掛ロットおよびその工程の実行を待つ仕掛ロットである。また、加工装置にある仕掛ロットは、その加工装置が実行する工程にある仕掛ロットである。
【0040】
さらに、生産管理システム20は、以下の1〜5のポリシーをなるべく満たすように生産ライン10を管理する。
【0041】
1.投入ロットに関するポリシー
ボトルネック工程の最大作業量に合わせたロットの投入。
【0042】
2.ボトルネック工程にある仕掛ロットに関するポリシー
ボトルネック工程が実行されていない無実行時間をできるだけなくし、ボトルネック工程の作業量を最大作業量に近づける。
【0043】
3.最終ボトルネック工程以降の工程のみを実行する加工装置にある仕掛ロットに関するポリシー
なるべく仕掛ロットの数を減らしてTATを短くするために、工程の作業量をその工程の最大作業量に近づける。
【0044】
4.最終ボトルネック工程以前の工程のみを実行する加工装置にある仕掛ロットに関するポリシー
非ボトルネック工程の作業しすぎはボトルネック工程を待つ仕掛ロットの数が増えるだけでTATが短くならないので、ボトルネック工程の仕掛ロットができるだけなくならないようにしながら、ボトルネック工程の作業量に合わせた作業量を確保する。また、共用加工装置が実行する複数のキー工程では、それらのキー工程が均等に実行されるほどよい。
【0045】
5.最終ボトルネック工程以降および以前の両方の工程を実行する共用加工装置にある仕掛ロットに関するポリシー
最終ボトルネック以前の工程では、ボトルネック工程の作業量に合わせた作業量を確保し、最終ボトルネック以降の工程では、最終ボトルネック以前の工程で作業されていない時間になるべく作業できるようにする。
【0046】
生産管理システム20は、以上のポリシーをなるべく満たすように、1.改良型CONWIP、2.改良型ロードバランシング(load balancing algorithm)、および、3.改良型作業量制限を用いて生産ライン10を管理する。
【0047】
1.改良型CONWIP
図2は、改良型CONWIPを説明するための説明図である。図2では、最初の工程である工程1から最終ボトルネック工程q3までの仕掛量Qが示されている。
【0048】
改良型CONWIPでは、図2で示した仕掛量Qが一定になるように、ロットが生産ライン10に投入される。なお、図2では、最終ボトルネック工程q3以降の仕掛量が0になっているが、これは、その仕掛量が改良型CONWIPに影響を及ぼさないことを示しており、仕掛量が本当に0になっていることを意味してはいない。
【0049】
具体的には、投入部21は、生産ライン10にロットを投入する。
【0050】
検出部22には、最終ボトルネック工程q3が終了したロットを検出する。なお、検出部22には、工程1〜qのうち、どの工程が最終ボトルネック工程q3になるかが予め設定されている。
【0051】
制御部23は、検出部22の検出結果に基づいて、最初の工程1から最終ボトルネック工程q3までの仕掛量が一定になるように、投入部21にロットを投入させる。より具体的には、制御部23は、検出部22がロットを検出するたびに、投入部21に新しいロットを投入させる。
【0052】
2.改良型ロードバランシング
改良型ロードバランシングでは、ボトルネック工程となるキー工程が行われない無実行時間ができるだけなくなるように、共用加工装置に実行させるキー工程を決定し、その決定したキー工程を共用加工装置に実行させる。
【0053】
具体的には、算出部24は、ボトルネック工程q1〜q3のそれぞれについて、そのボトルネック工程からそのボトルネック工程の前にある所定の工程までの各非ボトルネック工程にあるロットの数に、そのボトルネック工程に近い工程にあるほど大きい重み値を乗算した値の合計を、判断値として算出する。
【0054】
ここで、あるボトルネック工程の前に別のボトルネック工程がある場合、所定の工程は、そのボトルネック工程の直前のボトルネック工程の次の工程となる。また、あるボトルネック工程の前に別のボトルネック工程がない場合、所定の工程は、最初の工程となる。
【0055】
なお、ボトルネック工程とボトルネック工程との間には、非ボトルネック工程があるものとしている。
【0056】
つまり、ボトルネック工程q1に対応する所定の工程は、工程1であり、ボトルネック工程q2に対応する所定の工程は、ボトルネック工程q1の次の工程であり、ボトルネック工程q3に対応する所定の工程は、ボトルネック工程q2の次の工程となる。
【0057】
図3は、改良型ロードバランシングを説明するための説明図である。図3では、工程1およびボトルネック工程q1間の仕掛量Q1と、ボトルネック工程q1およびq2間の仕掛量Q2と、ボトルネック工程q2およびq3間の仕掛量Q3とが示されている。
【0058】
この場合、算出部24は、仕掛量Q1〜Q3のそれぞれに、工程ごとに異なる重み値を乗算した乗算結果に応じて判断値を算出することになる。
【0059】
例えば、ボトルネック工程q1をJ番目の工程とし、ボトルネック工程q2をK番目の工程とし、ボトルネック工程q3をL番目の工程目とした場合、ボトルネック工程q1〜q3のそれぞれの判断値W1およびW3は、数1を用いて算出される。なお、工程の番号は、最初の工程から数えた番号である。
【0060】
【数1】

【0061】
数1において、mは、工程を最初から数えたときの工程の番号を示し、xmは、m番目の工程の仕掛量を表す。
【0062】
制御部23は、算出部24にてボトルネック工程q1〜q3のそれぞれについての判断値が算出されると、その判断値に応じて、共用加工装置10−p1にボトルネック工程q1〜q3を選択的に実行させる。より具体的には、制御部23は、判断値の中で最も大きい判断値のボトルネック工程を、共用加工装置10−p1に実行させる。
【0063】
なお、算出部24は、ボトルネック工程q1〜q3が終了するたびに判断値を算出し、制御部23は、算出部24が判断値を算出するたびに、その判断値に応じて、ボトルネック工程q1〜q3のいずれかを共用加工装置10−p1に実行させることで、
共用加工装置10−p1にボトルネック工程q1〜q3を選択的に実行させることが望ましい。
【0064】
また、加工装置10−p2が実行するボトルネック工程でないキー工程に対しても改良型ロードバランシングを適用してもよい。
【0065】
3.改良型作業量制限
改良型作業量制限では、制御部23は、各ボトルネック工程の最大作業量に基づいて、ボトルネック工程以外の非ボトルネック工程の中で、最終ボトルネック工程より前の工程の作業量を調整する。
【0066】
具体的には、制御部23には、ボトルネック工程q1〜q3の全体で予め定められた一定期間内に加工できる最大の仕掛ロットの数である全体可能作業量Xが設定されている。
【0067】
制御部23は、全体可能作業量Xをボトルネック工程(キー工程)の数nで除算した平均最大作業量Y(=X/n=X/3)を、各ボトルネック工程の最大作業量として算出する。
【0068】
制御部23は、ボトルネック工程q1〜q3のそれぞれについて、そのボトルネック工程の直前の工程から順番に、そのボトルネック工程の前の特定の工程までの工程を数えた番号をiとし、i番目の工程の作業量をKiとした場合、i=j番目の工程を、その工程の作業量Kjが数2を満たすまで実行させ、その後、作業量Kjが数2を満たすと、その工程の実行を停止する。
【0069】
【数2】

【0070】
図4は、改良型作業量制限の一例を説明するための説明図である。図4では、ボトルネック工程q1〜q3のそれぞれの最大作業量と、非ボトルネック工程s1〜s3、r1およびr2のそれぞれの作業量とが示されている。なお、非ボトルネック工程s1〜s3は、ボトルネック工程p2およびp3の間にあり、非ボトルネック工程r1およびr2の間にある。
【0071】
図4の場合、ボトルネック工程q3の直前の非ボトルネック工程s1、および、ボトルネック工程q2の直前の非ボトルネック工程r1では、その工程の作業量K1が、K1>Yを満たすと仕掛ロットの加工が停止される。
【0072】
また、ボトルネック工程q3の二つ前の非ボトルネック工程s2、および、ボトルネック工程q2の二つ前の非ボトルネック工程r2では、その工程の作業量K2が、K2+K1>Y、かつ、K2>Yを満たすと、仕掛ロットの加工が停止される。
【0073】
さらに、ボトルネック工程q3の三つ前の非ボトルネック工程s3は、その工程の作業量K3が、K3+K2+K1>Y、かつ、K3>Yを満たすと、仕掛ロットの加工が停止される。
【0074】
したがって、非ボトルネック工程では、その非ボトルネック工程よりボトルネック工程に近い他の非ボトルネック工程の作業量が平均最大作業量Yより小さければ、その非ボトルネック工程の作業量が平均最大作業量Yより大きくても、そのボトルネック工程に近い他の非ボトルネック工程の作業量を平均最大作業量Yに近づけることが可能になる。
【0075】
これにより、非ボトルネック工程の作業量をボトルネック工程の最大作業量に合わせることが可能になる。
【0076】
次に改良型作業量制限によるTaTの軽減について説明する。
【0077】
図5は、改良型作業量制限によるTaTの軽減を説明するための説明図であり、生産ラインの一例を示している。図5において、生産ラインは、ジョブショップ方式の生産ラインであり、加工装置βと、ボトルネック装置γとを有する。
【0078】
加工装置βは、複数の工程で共用される共用加工装置である。生産ラインでは、先ず、加工装置βが第一の工程を行い、続いて、ボトルネック装置γが第二の工程を行い、そして、加工装置βが第三の工程を行う。
【0079】
加工装置βの1ロット当たりの作業時間は、第一工程および第二工程で共通しており、8時間であるとする。また、ボトルネック装置γの1ロット当たりの作業時間は、24時間であるとする。
【0080】
ここで、加工装置βの作業時間は、ボトルネック装置γの作業時間と比べて小さいので、加工装置βで行われる工程は、ボトルネック工程とならず、ボトルネック装置γで行わる工程がボトルネック工程となる。
【0081】
初期状態では、生産ラインの前にA〜Jの10個のロットが用意されているものとする。その後、1日おきに1個のロットK〜Tが生産ラインの前に到着するものとする。
【0082】
このような生産ラインにおいて、FIFO(First-In First-Out)方式による生産ラインの管理と、改良型作業量制限による生産ラインの管理とを比較する。
【0083】
なお、FIFO方式による管理では、ロットが入庫されるたびに、新しいロットが生産ラインに投入され、各工程では、自工程が終了したときに、自工程の前に滞留しているロットの加工が実行される。また、加工装置βは、第一の工程を第三の工程より優先的に行う。
【0084】
この場合、FIFO(First-In First-Out)方式による生産ラインの管理および改良型作業量制限による生産ラインの管理のタイムチャートは、図6で表したようになる。
【0085】
図6では、日時101と、生産ラインの前に用意されている投入前ロット102と、
FIFO方式による生産ラインの管理における、第一工程を終了したロット103、第二工程を終了したロット104および第三ロットを終了したロット105と、改良型作業量制限による生産ラインの管理における、第一工程を終了したロット106、第二工程を終了したロット107および第三ロットを終了したロット108が示されている。
【0086】
生産開始日時が1月1日の0時0分であるとする。この場合1月1日から1月10日までの十日間において、FIFO方式および改良型作業量制限の両方で、入庫されたロットの数である通過数109は、A〜Iまでの9ロットになる。
【0087】
しかしながら、ロットA〜IまでのTATの平均値である平均TAT110は、FIFO方式では、6.70日であるが、改良型作業量制限では、5.67日になっている。つまり、改良型作業量制限による生産ラインの管理では、FIFO方式による生産ラインの管理に比べて、TaTの平均値が1.03日少ない。したがって、改良型作業量制限を用いて生産ラインを管理することで、TaTを短縮することが可能になっていることが分かる。
【0088】
次に動作の一例を説明する。
【0089】
先ず、生産管理システム20の制御部23は、ボトルネック工程q1〜q3の平均最大作業量に合わせて、ロットを生産ライン10に投入部21に投入させる。例えば、制御部23は、ボトルネック工程q1〜q3の作業時間ごとにロットを投入部21に投入させる。
【0090】
その後、生産管理システム20の制御部23および算出部24は、改良型ロードバランシングを用いて、キー工程であるボトルネック工程q1〜q3を選択的に加工装置10−p1に実行させる。これにより、加工装置10−p1の無実行時間が0に近づき、ボトルネック工程q1〜q3の作業量が最大作業量に近づくことになり、ボトルネック工程q1〜q3のそれぞれにある仕掛ロットが平準化する。
【0091】
続いて、生産管理システム20の制御部23は、改良型作業量制限を用いて、最終ボトルネック工程q3以前の非ボトルネック工程を、ボトルネック工程q1〜q3の作業量に合わせて作業させることで、非ボトルネック工程の作業量をボトルネック工程q1〜q3の作業量と同程度にする。
【0092】
また、制御部23は、最終ボトルネック工程q3以降の非ボトルネック工程に対しては、無実行時間がなるべくなくなるように、その非ボトルネック工程を実行させることで、TATを短くする。
【0093】
その後、制御部23は、ロットが生産ライン10に投入されてから最終ボトルネック工程q3を終了するまでの経過時間が安定したら、検出部22の検出結果に基づいて、改良型CONWIPを用いて投入部21に新しいロットを投入させる。
【0094】
例えば、制御部23は、検出部22にてロットが検出されるたびに、その時の時刻を測定する。制御部23は、時刻を測定すると、その時刻と、その直前に測定した時刻との差分を算出する。制御部23は、その差分の変位量が予め定められた閾値以下か否かを判断し、その差分が閾値以下であると、経過時間が安定したと判定したと判断する。
【0095】
本実施形態によれば、検出部22は、工程1〜qのうち予め定められた最終ボトルネック工程q3が終了したロットを検出する。制御部23は、検出部22の検出結果に基づいて、最初の工程1から最終ボトルネック工程q2までにあるロットが一定になるように、投入部21に新しいロットを投入させる。具体的には、制御部23は、検出部22にてロットが検出されると、投入部21に新しいロットを投入させる。
【0096】
この場合、最終ボトルネック工程q3以前のロットの数を一定にすることが可能になるので、最終ボトルネック工程q3以前の各工程の作業量をボトルネック工程の作業量に合わせた調整を行うことができ、かつ、最終ボトルネック工程q3以降の各工程の作業量をボトルネック工程の作業量に合わせた調整が行われなくなる。したがって、TATを短くするために必要な工程の作業量のみを調整することが可能になり、製品の生産効率の向上率を高くすることが可能になる。
【0097】
また、本実施形態では、複数の工程は、共用加工装置10−p1で実行される工程q1〜q3を含む。算出部24は、キー工程q1〜q3のそれぞれについて、そのキー工程からそのキー工程の前にある所定の工程までの各工程にあるロットの数に、そのキー工程に近い工程にあるほど大きい重み値を乗算した値の合計を、判断値として算出する。制御部23は、算出部24にて算出されたキー工程q1〜q3のそれぞれの判断値に応じて、共用加工装置10−p1に工程q1〜q3を選択的に実行させる。
【0098】
この場合、共用加工装置10−p1は、各工程にあるロットの数にキー工程に近いほど大きい重み値を乗算した値の合計である判断値に応じてキー工程q1〜q3を実行する。したがって、キー工程の近くにあるロットと、キー工程の遠くにあるロットと考慮してキー工程q1〜q3を選択的に実行できるので、キー工程に近い工程にロットがなくなる事態を軽減することが可能になる。したがって、製品の生産効率の向上率を高くすることが可能になる。
【0099】
また、本実施形態では、制御部23は、判断値の中で最も大きい判断値のキー工程を共用加工装置10−p1に実行させる。この場、キー工程に近い工程にロットがなくなる事態をより正確に軽減することが可能になる。
【0100】
また、本実施形態では、所定の工程は、キー工程の前に他のキー工程がある場合、そのキー工程の直前のキー工程の次に工程であり、キー工程の前に他のキー工程がない場合、最初の工程1である。この場合、キー工程に近い工程にロットがなくなる事態をより正確に軽減することが可能になる。
【0101】
また、本実施形態では、制御部23は、予め定められたボトルネック工程が一定期間内に加工できる最大のロットの数である最大作業量に基づいて、ボトルネック工程以外の非ボトルネック工程の中で最終ボトルネック工程q1以前の工程が一定期間内に加工するロットの数である作業量を調整する。
【0102】
この場合、最終ボトルネック工程以前の非ボトルネック工程の作業量を、ボトルネック工程の最大作業量に基づいて調整される。このため、ボトルネック工程の作業量が小さく調整されることを抑制することが可能になり、かつ、非ボトルネック工程の作業量を適切に調整することが可能になる。したがって、製品の生産効率を高くすることが可能になる。
【0103】
また、本実施形態では、制御部23は、最大作業量をYとし、ボトルネック工程の直前の工程からそのボトルネック工程の前にある特定の工程までの工程を、前記直前の工程から順番に数えた番号をiとし、i番目の工程の作業量をKiとした場合、i=j番目の工程を、作業量Kiが数2を満たすまで実行させる。
【0104】
この場合、非ボトルネック工程では、その非ボトルネック工程よりボトルネック工程に近い他の非ボトルネック工程の作業量が平均最大作業量Yより小さければ、その非ボトルネック工程の作業量が平均最大作業量Yより大きくても、そのボトルネック工程に近い他の非ボトルネック工程の作業量を平均最大作業量Yに近づけることが可能になる。したがって、非ボトルネック工程の作業量をボトルネック工程の最大作業量に合わせることが可能になる。
【0105】
また、本実施形態では、特定の工程は、ボトルネック工程の前に他のボトルネック工程がある場合、そのボトルネック工程の一つ前のボトルネック工程の次の工程であり、ボトルネック工程の前に他のボトルネック工程がない場合、最初の工程1である。
【0106】
この場合、より正確に非ボトルネック工程の作業量をボトルネック工程の最大作業量に合わせることが可能になる。
【0107】
かくして、本実施形態の生産管理システムは、複数の工程(1〜q)を有する生産ライン(10)を管理する生産管理システムであって、生産ライン(10)にロットを投入する投入部(21)と、複数の工程(1〜q)のうちの予め定められた最終ボトルネック工程(q3)が終了したロットを検出する検出部(22)と、検出部(22)にてロットが検出されると、投入部(21)に新しいロットを投入させる制御部(23)とを有して構成される。
【0108】
また、本実施形態の生産管理システムは、複数の工程(1〜q)を有する生産ライン(10)を管理する生産管理システムであって、生産ライン(10)にロットを投入する投入部(21)と、複数の工程(1〜q)のうちの予め定められた最終ボトルネック工程(q3)が終了したロットを検出する検出部(22)と、検出部(22)の検出結果に基づいて、生産ライン(10)の最初の工程(1)から最終ボトルネック工程(q3)までにあるロットの数が一定になるように、投入部(21)に新しいロットを投入させる制御部(23)とを有して構成される。
【0109】
また、本実施形態の生産管理システムは、同じ共用加工装置10−p1が行う複数のキー工程(q1〜q3)を含む複数の工程(1〜q)を有する生産ライン(10)を管理する生産管理システムであって、生産ライン(10)にロットを投入する投入部(21)と、複数のキー工程(q1〜q3)のうちの最後のキー工程(q3)が終了したロットを検出する検出部(22)と、検出部(22)にてロットが検出されると、投入部(21)に新しいロットを投入させる制御部(23)とを有して構成される。
【0110】
また、複数の工程は、同じ共有加工装置(10−p1)で実行される複数のキー工程(q1〜q3)を含み、複数のキー工程(q1〜q3)のそれぞれについて、当該キー工程から当該キー工程の前にある所定の工程までの各工程にあるロットの数に、当該キー工程に近い工程にあるほど大きい重み値を乗算した値の合計を、判断値として算出する算出部(24)を有し、制御部(23)は、算出部(24)にて算出された複数のキー工程(q1〜q3)のそれぞれの判断値に応じて、共用加工装置(10−p1)に複数のキー工程(q1〜q3)を選択的に実行させるように構成されている。
【0111】
また、制御部(23)は、判断値の中で最も大きい判断値のキー工程を共用加工装置(10−p1)に実行させるように構成される。
【0112】
また、所定の工程は、キー工程の前に他のキー工程がある場合、当該キー工程の直前のキー工程の次の工程であり、前記キー工程の前に他のキー工程がない場合、前記生産ラインの最初の工程であるように構成される。
【0113】
また、制御部(23)は、予め定められたボトルネック工程(q1〜q3)が一定期間内に加工できる最大のロットの数である最大作業量に基づいて、ボトルネック工程以外の工程の中で、最終ボトルネック工程(q3)以前の工程が一定期間内に加工するロットの数である作業量を調整するように構成される。
【0114】
また、制御部(23)は、最大作業量をYとし、ボトルネック工程(q1〜q3)の直前の工程から当該ボトルネック工程(q1〜q3)の前にある特定の工程までの工程を、その直前の工程から順番に数えた番号をiとし、i番目の工程の作業量をKiとした場合、i=j番目の工程を、作業量Kiが数2を満たすまで実行させるように構成される。
【0115】
また、ボトルネック工程(q1〜q3)は、複数あり、かつ、最終ボトルネック工程(q3)を含み、特定の工程は、ボトルネック工程の前に他のボトルネック工程がある場合、当該ボトルネック工程の一つ前のボトルネック工程の次の工程であり、ボトルネック工程の前に他のボトルネック工程がない場合、生産ラインの最初の工程(1)であるように構成される。
【0116】
次に第二の実施形態について説明する。
【0117】
本実施形態では、改良型作業量制限のさらなる改良を説明する。
【0118】
本実施形態の改良型作業量制限では、制御部23は、ボトルネック工程を待つ仕掛ロットがなくなって、ボトルネック工程が行われない時間がなるべくなくなるように、1以上の数である余裕度αを用いて、i=j番目の工程を、その工程の作業量Kjが数3を満たすまで実行させる。
【0119】
【数3】

【0120】
本実施形態によれば、ボトルネック工程を待つ仕掛ロットがなくなって、ボトルネック工程が行われない時間がなくなる事態が発生することを第一の実施形態より正確に軽減することが可能になる。
【0121】
かくして、本実施形態の生産管理システムでは、制御部(23)は、最大作業量をYとし、ボトルネック工程(q1〜q3)の直前の工程から当該ボトルネック工程(q1〜q3)の前にある特定の工程までの工程を、その直前の工程から順番に数えた番号をiとし、i番目の工程の作業量をKiとし、αを1より大きい数とした場合、i=j番目の工程を、作業量Kiが数3を満たすまで実行させるように構成される。
【0122】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0123】
10 生産ライン
10−1〜10−p 加工装置
20 生産管理システム
21 投入部
22 検出部
23 制御部
24 算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工程を有する生産ラインを管理する生産管理システムであって、
前記生産ラインにロットを投入する投入部と、
前記複数の工程のうちの予め定められた最終ボトルネック工程が終了したロットを検出する検出部と、
前記検出部にて前記ロットが検出されると、前記投入部に新しいロットを投入させる制御部と、を有する生産管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生産管理システムにおいて、
前記複数の工程は、同じ共有加工装置で実行される複数のキー工程を含み、
前記複数のキー工程のそれぞれについて、当該キー工程から当該キー工程の前にある所定の工程までの各工程にあるロットの数に、当該キー工程に近い工程にあるほど大きい重み値を乗算した値の合計を、判断値として算出する算出部を有し、
前記制御部は、前記算出部にて算出された前記複数のキー工程のそれぞれの判断値に応じて、前記共用加工装置に前記複数のキー工程を選択的に実行させる、生産管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の生産管理システムにおいて、
前記制御部は、前記判断値の中で最も大きい判断値のキー工程を前記共用加工装置に実行させる、生産管理システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の生産管理システムにおいて、
前記所定の工程は、前記キー工程の前に他のキー工程がある場合、当該キー工程の直前のキー工程の次の工程であり、前記キー工程の前に他のキー工程がない場合、前記生産ラインの最初の工程である、生産管理システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の生産管理システムにおいて、
前記制御部は、予め定められたボトルネック工程が一定期間内に加工できる最大のロットの数である最大作業量に基づいて、前記ボトルネック工程以外の工程の中で、前記最終ボトルネック工程以前の工程が一定期間内に加工するロットの数である作業量を調整する、生産管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の生産管理システムにおいて、
前記制御部は、前記最大作業量をYとし、前記ボトルネック工程の直前の工程から当該ボトルネック工程の前にある特定の工程までを前記直前の工程から順番に数えた番号をiとし、i番目の工程の作業量をKiとした場合、i=j番目の工程を、作業量Kjが、
【数1】

を満たすまで実行させる、生産管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の生産管理システムにおいて、
前記制御部は、前記最大作業量をYとし、前記ボトルネック工程の直前の工程から当該ボトルネック工程の前にある特定の工程までを前記直前の工程から順番に数えた番号をiとし、i番目の工程の作業量をKiとし、αを1より大きい数とした場合、i=j番目の工程を、作業量Kjが、
【数2】

を満たすまで実行を実行させる、生産管理システム。
【請求項8】
請求項6または7に記載の生産管理システムにおいて、
前記ボトルネック工程は、複数あり、かつ、前記最終ボトルネック工程を含み、
前記特定の工程は、前記ボトルネック工程の前に他のボトルネック工程がある場合、当該ボトルネック工程の一つ前のボトルネック工程の次の工程であり、前記ボトルネック工程の前に他のボトルネック工程がない場合、前記生産ラインの最初の工程である、生産管理システム。
【請求項9】
複数の工程を有する生産ラインを管理する生産管理システムであって、
前記生産ラインにロットを投入する投入部と、
前記複数の工程のうちの予め定められた最終ボトルネック工程が終了したロットを検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記生産ラインの最初の工程から前記最終ボトルネック工程までにあるロットの数が一定になるように、前記投入部に新しいロットを投入させる制御部と、を有する生産管理システム。
【請求項10】
同じ共用加工装置が行う複数のキー工程を含む複数の工程を有する生産ラインを管理する生産管理システムであって、
前記生産ラインにロットを投入する投入部と、
前記複数のキー工程のうちの最後のキー工程が終了したロットを検出する検出部と、
前記検出部にて前記ロットが検出されると、前記投入部に新しいロットを投入させる制御部と、を有する生産管理システム。
【請求項11】
複数の工程を有する生産ラインを管理する生産管理方法であって、
前記複数の工程のうちの予め定められた最終ボトルネック工程が終了したロットを検出する検出ステップと、
前記ロットが検出されると、新しいロットを投入する投入ステップと、を有する生産管理方法。
【請求項12】
請求項11に記載の生産管理方法において、
前記複数の工程は、同じ共有加工装置で実行される複数のキー工程を含み、
前記複数のキー工程のそれぞれについて、当該キー工程から当該キー工程の前にある所定の工程までの各工程にあるロットの数に、当該キー工程に近い工程にあるほど大きい重み値を乗算した値の合計を、判断値として算出する算出ステップと、
前記算出部にて算出された前記複数のキー工程のそれぞれの判断値に応じて、前記共用加工装置に前記複数のキー工程を選択的に実行させる実行ステップと、を有する生産管理方法。
【請求項13】
請求項12に記載の生産管理方法において、
前記実行ステップでは、前記判断値の中で最も大きい判断値のキー工程を前記共用加工装置に実行させる、生産管理方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載の生産管理方法において、
前記所定の工程は、前記キー工程の前に他のキー工程がある場合、当該キー工程の直前のキー工程の次の工程であり、前記キー工程の前に他のキー工程がない場合、前記生産ラインの最初の工程である、生産管理方法。
【請求項15】
請求項11ないし14のいずれか1項に記載の生産管理方法において、
予め定められたボトルネック工程が一定期間内に加工できる最大のロットの数である最大作業量に基づいて、前記ボトルネック工程以外の工程の中で、前記最終ボトルネック工程以前の工程が一定期間内に加工するロットの数である作業量を調整する調整ステップを有する生産管理方法。
【請求項16】
請求項15に記載の生産管理方法において、
前記調整ステップでは、前記最大作業量をYとし、前記ボトルネック工程の直前の工程から当該ボトルネック工程の前にある特定の工程までを前記直前の工程から順番に数えた番号をiとし、i番目の工程の作業量をKiとした場合、i=j番目の工程を、作業量Kjが、
【数3】

を満たすまで実行させる、生産管理方法。
【請求項17】
請求項15に記載の生産管理方法において、
前記調整ステップでは、前記最大作業量をYとし、前記ボトルネック工程の直前の工程から当該ボトルネック工程の前にある特定の工程までを前記直前の工程から順番に数えた番号をiとし、i番目の工程の作業量をKiとし、αを1より大きい数とした場合、i=j番目の工程を、作業量Kjが、
【数4】

を満たすまで実行を実行させる、生産管理方法。
【請求項18】
請求項16または17に記載の生産管理方法において、
前記ボトルネック工程は、複数あり、かつ、前記最終ボトルネック工程を含み、
前記特定の工程は、前記ボトルネック工程の前に他のボトルネック工程がある場合、当該ボトルネック工程の一つ前のボトルネック工程の次の工程であり、前記ボトルネック工程の前に他のボトルネック工程がない場合、前記生産ラインの最初の工程である、生産管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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