説明

生産能力評価装置、生産能力評価方法および生産能力評価プログラム

【課題】好適なシミュレーションの期間を設定して生産設備の生産能力を評価すること。
【解決手段】本発明に係る生産能力評価装置は、生産設備によって生産されるそれぞれの製品の生産量を、シミュレーションによって期間毎に算出する生産量シミュレート部と、生産量シミュレート部によって算出される生産量に基づいて、最初の期間からそれぞれの期間までにおける1期間あたりの生産量の平均値を製品毎に算出する生産量平均値算出部と、生産量平均値算出部によって算出されるそれぞれの製品の生産量の平均値の変動量に基づいて生産量シミュレート部によるシミュレーションを終了させる終了判定部と、生産量平均値算出部によって算出されるそれぞれの製品の生産量の平均値に基づいて生産設備がそれぞれの製品を生産する生産能力を算出する評価結果算出部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産設備の生産能力を評価する生産能力評価装置、生産能力評価方法および生産能力評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
生産設備を用いて生産可能な生産量をシミュレートする技術が知られている(例えば、特許文献1)。かかる技術を利用することによって、所定の条件下で製品を生産可能な製品数を週や日といった期間毎に算出することができる。
【0003】
生産量をシミュレートする技術の用途の1つに生産設備の生産能力の評価がある。生産設備の生産能力を評価する場合、シミュレーションによって算出される生産量が目標値と比較される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−157673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シミュレーションによって算出されるそれぞれの製品の期間毎の生産量は必ずしも一定ではない。例えば、多品種少量生産の生産設備の場合、1日目は製品Aの生産量が多く、2日目は製品Bの生産量が多く、3日目は製品Cの生産量が多いというように、それぞれの製品の生産量が期間毎に増減する。
【0006】
生産設備の生産能力を評価する場合、このように生産量が期間毎に増減すると、そのままでは生産量を目標値と比較することができない。この場合、1期間あたりの生産量の平均値を目標値と比較すればよいが、平均値を算出するために生産量をどれだけの期間にわたってシミュレートするのかが問題となる。すなわち、シミュレートする期間が短ければ、十分な精度をもつ平均値を求めることができない。一方、シミュレートする期間が長ければ、処理負荷および処理時間が増大する。生産量のばらつき度合いは各種条件によって変動するため、シミュレートする期間を一律に定めることは難しい。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、好適なシミュレーションの期間を設定して生産設備の生産能力を評価することができる生産能力評価装置、生産能力評価方法および生産能力評価プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る生産能力評価装置は、複数の製品を生産する生産設備がそれぞれの製品を生産する生産能力を評価する生産能力評価装置であって、前記生産設備によって生産されるそれぞれの製品の生産量を、シミュレーションによって期間毎に算出する生産量シミュレート部と、前記生産量シミュレート部によって算出される生産量に基づいて、最初の期間からそれぞれの期間までにおける1期間あたりの生産量の平均値を製品毎に算出する生産量平均値算出部と、前記生産量平均値算出部によって算出されるそれぞれの製品の生産量の平均値の変動量に基づいて前記生産量シミュレート部によるシミュレーションを終了させる終了判定部と、前記生産量平均値算出部によって算出されるそれぞれの製品の生産量の平均値に基づいて前記生産設備がそれぞれの製品を生産する生産能力を算出する評価結果算出部とを備える。
【0009】
ここで、本発明の望ましい態様として、前記終了判定部は、前記生産量平均値算出部によって算出されるそれぞれの製品の生産量の平均値の変動量が所定の判定期間にわたって前記生産設備が対応する製品を増産することができる増産量の範囲に収まった場合に、前記生産量シミュレート部によるシミュレーションを終了させる。
【0010】
また、本発明の望ましい態様として、前記終了判定部は、前記生産量平均値算出部によって算出されるそれぞれの製品の生産量の平均値の偏差に基づいて、前記判定期間の長さを変更する。
【0011】
また、本発明の望ましい態様として、前記評価結果算出部は、前記終了判定部が前記生産量シミュレート部によるシミュレーションを終了させたときの前記判定期間に含まれるそれぞれの製品の生産量の平均値の代表値を、前記生産設備がそれぞれの製品を生産する生産能力として算出する。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る生産能力評価方法は、複数の製品を生産する生産設備がそれぞれの製品を生産する生産能力を評価する生産能力評価装置によって実行される生産能力評価方法であって、前記生産設備によって生産されるそれぞれの製品の生産量を、シミュレーションによって期間毎に算出するステップと、期間毎に算出される前記生産量に基づいて、最初の期間からそれぞれの期間までにおける1期間あたりの生産量の平均値を製品毎に算出するステップと、それぞれの製品の1期間あたりの生産量の平均値の変動量に基づいてシミュレーションを終了させるステップと、前記1期間あたりの生産量の平均値に基づいて前記生産設備がそれぞれの製品を生産する生産能力を算出するステップとを含む。
【0013】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る生産能力評価プログラムは、複数の製品を生産する生産設備がそれぞれの製品を生産する生産能力を評価する生産能力評価装置に、前記生産設備によって生産されるそれぞれの製品の生産量を、シミュレーションによって期間毎に算出するステップと、期間毎に算出される前記生産量に基づいて、最初の期間からそれぞれの期間までにおける1期間あたりの生産量の平均値を製品毎に算出するステップと、それぞれの製品の1期間あたりの生産量の平均値の変動量に基づいてシミュレーションを終了させるステップと、前記1期間あたりの生産量の平均値に基づいて前記生産設備がそれぞれの製品を生産する生産能力を算出するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る生産能力評価装置、生産能力評価方法および生産能力評価プログラムは、好適なシミュレーションの期間を設定して生産設備の生産能力を評価することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本実施例に係る生産能力評価装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本実施例に係る生産能力評価プログラムの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、期間別生産量データの一例を示す図である。
【図4】図4は、シミュレーションの終了判定について説明するための図である。
【図5】図5は、評価結果データの一例を示す図である。
【図6】図6は、生産能力評価装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る生産能力評価装置、生産能力評価方法および生産能力評価プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【実施例】
【0017】
まず、図1を参照しながら、本実施例に係る生産能力評価装置10の構成について説明する。図1は、生産能力評価装置10の構成を示すブロック図である。生産能力評価装置10は、与えられた評価条件に基づいて生産設備の生産能力を評価する。生産能力評価装置10は、通信部11と、制御部12と、記憶部13と、表示部14と、入力部15と、媒体読取部16とを備える。
【0018】
通信部11は、所定の通信プロトコルに基づいて、他の装置との間での情報の送受信を制御する。表示部14は、液晶パネルや有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネル等の表示装置を有し、文字や図形等の各種情報を表示する。入力部15は、キーボード等の入力装置を有し、利用者からの情報や指示の入力を受け付ける。媒体読取部16は、CD−ROM等の記憶媒体に記憶されたプログラムやデータを読みとる。
【0019】
制御部12は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)121と、記憶手段であるメモリ122とを備え、これらのハードウェア資源を用いてプログラムを実行することによって各種の機能を実現する。具体的には、制御部12は、記憶部13に記憶されているプログラムを読み出してメモリ122に展開し、メモリ122に展開されたプログラムに含まれる命令をCPU121に実行させる。そして、制御部12は、CPU121による命令の実行結果に応じて、メモリ122および記憶部13に対してデータの読み書きを行ったり、通信部11等の動作を制御したりする。
【0020】
記憶部13は、磁気記憶装置や半導体記憶装置等の不揮発性を有する記憶装置からなり、各種のプログラムやデータを記憶する。記憶部13に記憶されるプログラムには、生産能力評価プログラム131が含まれる。記憶部13に記憶されるデータには、評価条件データ132と、期間別生産量データ133と、評価結果データ134とが含まれる。
【0021】
なお、図1において記憶部13が記憶することとしているプログラムおよびデータの一部または全ては、生産能力評価装置10がネットワークを介して通信可能な他の装置に記憶され、必要に応じて生産能力評価装置10にダウンロードされることとしてもよい。また、図1において記憶部13が記憶することとしているプログラムおよびデータの一部または全ては、記憶媒体に記憶され、必要に応じて媒体読取部16によって読み取られることとしてもよい。
【0022】
生産能力評価装置10は、生産能力評価プログラム131を制御部12に実行させることにより、生産設備の生産能力を評価するための各種の機能を実現する。生産設備の生産能力を評価するための機能には、例えば、製品の期間毎の生産量をシミュレートする機能や、製品の生産量をシミュレートする期間を判定する機能等が含まれる。ここで、本実施例における「製品」とは、生産設備によって生産されるものを意味し、必ずしも最終製品を意味しない。
【0023】
次に、図2から図5を参照しながら、生産能力評価装置10の記憶部13に記憶されるプログラムおよびデータについて説明する。図2は、生産能力評価プログラム131の構成を示すブロック図である。図2に示すように、生産能力評価プログラム131は、生産量シミュレート部131aと、生産量平均値算出部131bと、終了判定部131cと、評価結果算出部131dとを有する。
【0024】
生産量シミュレート部131aは、評価条件データ132に含まれる評価条件に基づいて、生産設備によって生産される1ないし複数の製品の期間毎の生産量をシミュレートする機能を提供する。ここでいう期間とは、例えば、1日や1週間である。
【0025】
評価条件データ132には、例えば、製品を生産するための工程に関する情報、各工程において利用可能な設備や作業員に関する情報、各製品の製造開始時期や納期に関する情報、製品間の優先順位に関する情報、設備の稼働時間や作業員の勤務時間に関する情報等が含まれる。生産量シミュレート部131aは、これらの制約条件の下で効率よく製品を生産するためのスケジュールを作成し、作成したスケジュールに基づいて各製品の期間毎の生産量を算出していく。なお、生産量シミュレート部131aによるシミュレーションは、既知の生産シミュレーション技術を利用して実現することができる。
【0026】
算出された生産量は、製品毎かつ期間毎に期間別生産量データ133へ追加されていく。図3は、期間別生産量データ133の一例を示す図である。図3は、1つの生産設備によって、製品A、製品Bおよび製品Cという3種類の製品が生産される場合の期間別生産量データ133の例を示している。
【0027】
図3に示す例において、製品Aの生産量は、最初の期間1では200個であり、次の期間2では100個であり、次の期間3では0個である。また、製品Bの生産量は、最初の期間1では100個であり、次の期間2では200個であり、次の期間3では200個である。また、製品Cの生産量は、最初の期間1では50個であり、次の期間2では60個であり、次の期間3では200個である。
【0028】
このように、複数の製品を生産する生産設備では、効率的な生産を実現する等の理由により、それぞれの製品の生産量が期間毎にばらつくことがある。このような傾向は、例えば、多品種少量生産の場合に強くなる。このように期間毎にばらついていた生産量を見ても、管理者等は、生産設備が十分な生産能力を持っているかを判断し難い。
【0029】
生産量平均値算出部131bは、生産量シミュレート部131aが算出した生産量に基づいて、最初の期間から各期間までの1期間あたりの生産量の平均値である生産量平均値を製品毎かつ期間毎に算出する機能を提供する。例えば、製品Aを対象として、期間1、期間2および期間3という3つの期間毎に生産量が算出されたものとする。この場合、生産量平均値算出部131bが提供する機能により、期間1から期間1までの生産量の平均値と、期間1から期間2までの生産量の平均値と、期間1から期間3までの生産量の平均値とが算出される。なお、ここで算出される平均値は、単純な相加平均であってもよいし、データの平滑化に適した移動平均等であってもよい。
【0030】
終了判定部131cは、生産量平均値算出部131bによって算出される生産量平均値に基づいて、生産量シミュレート部131aによるシミュレーションを終了させるかを判定する機能を提供する。終了判定部131cが提供する機能によれば、生産量平均値算出部131bが提供する機能によって算出される生産量平均値が、生産設備の生産能力を示す値として十分な精度をもつに至った場合に、シミュレーションが終了される。
【0031】
終了判定部131cが提供する機能による終了判定について図4を参照しながら詳細に説明する。図4は、シミュレーションの終了判定について説明するための図である。図4は、縦軸に1期間あたりの生産量平均値をとり横軸に期間数をとった3製品の折れ線グラフを図示している。ここで、例えば、期間1000の生産量平均値は、期間1から期間1000までの1期間あたりの生産量の平均値である。
【0032】
図4に示すように、生産量平均値は、最初は大きくばらつくが、期間数が増えるに従って収束していく。したがって、シミュレーションを期間数が十分に大きくなるまで実行すれば精度の高い生産量平均値が得られるが、生産量平均値のばらつきは各種条件によって変動するため、シミュレーションを行う期間数を一律に決めることは難しい。また、シミュレーションを行う期間数をむやみに多くすると、シミュレーションの処理量が増大し、生産能力評価装置10の負荷と処理時間の増大を招く。
【0033】
そこで、終了判定部131cが提供する機能によれば、算出される生産量平均値の変動が判定期間にわたって生産調整幅に収まった場合に、十分に精度が高い生産量平均値が得られたと判定され、シミュレーションが終了される。
【0034】
ここで、生産調整幅は、設備の稼働時間の延長や作業員の勤務時間の延長等によって製品を増産することができる増産量に相当する。また、判定期間は、生産数が算出される個々の期間と比較して十分に長い期間である。例えば、生産数が1日毎に算出される場合、判定期間は1年程度の長さに設定される。なお、生産量平均値の偏差(例えば、標準偏差)が閾値よりも大きい場合には判定期間を延長し、生産量平均値のばらつきが閾値よりも小さい場合には判定期間を短縮するというように判定期間の長さを動的に変更してもよい。このように、生産量平均値の偏差に基づいて判定期間の長さを動的に変更することにより、精度の向上と処理時間の短縮を両立させることができる。
【0035】
生産設備によって生産される製品が複数ある場合には、生産量平均値の変動幅が判定期間にわたって生産調整幅に収まるという条件が全ての製品について満たされる場合にシミュレーションを終了させることが好ましい。図4は、期間TEに達した時点で、製品A、製品Bおよび製品Cの全てについてこの条件が満たされ、シミュレーションが終了される例を示している。
【0036】
具体的には、図4に示す例では、製品Aについてみると、期間TEまでの判定期間Taにわたって生産量平均値の変動幅が生産調整幅Raに収まっている。また、製品Bについてみると、期間TEまでの判定期間Tbにわたって生産量平均値の変動幅が生産調整幅Rbに収まっている。また、製品Cについてみると、期間TEまでの判定期間Tcにわたって生産量平均値の変動幅が生産調整幅Rcに収まっている。なお、判定期間Ta、判定期間Tbおよび判定期間Tcの長さは、同一であっても異なってもよい。また、生産調整幅Ra、生産調整幅Rbおよび生産調整幅Rcの大きさも、同一であっても異なってもよい。
【0037】
このように生産調整幅に基づいて生産量平均値の精度を判定することにより、仮に生産量平均値に基づいて評価した生産能力に多少の誤差があっても、設備の稼働時間の延長等によって誤差を吸収することができる。
【0038】
評価結果算出部131dは、終了判定部131cがシミュレーションを終了させると判定したときの判定期間内の生産量平均値の代表値を生産設備がもつ製品の生産能力として算出する機能を提供する。例えば、図4に示す例の場合、生産設備がもつ製品Aの生産能力は、判定期間Ta内の生産量平均値の代表値である。また、生産設備がもつ製品Bの生産能力は、判定期間Tb内の生産量平均値の代表値である。また、生産設備がもつ製品Cの生産能力は、判定期間Tc内の生産量平均値の代表値である。なお、ここでいう代表値は、例えば、平均値、最大値、最小値または最後の期間の値である。
【0039】
このように、シミュレーションを終了させると判定したときの判定期間内の生産量平均値の代表値を製品の生産能力として算出することにより、精度が高い期間の生産量平均値に基づいて生産能力を精度よく評価することができる。また、評価した生産能力に多少の誤差があっても、設備の稼働時間の延長等によって誤差を吸収することができる。
【0040】
生産能力の評価結果は、評価結果データ134へ出力される。図5は、評価結果データ134の一例を示す図である。図5に示す評価結果データ134は、製品A、製品Bおよび製品Cという製品毎に、シミュレーションが実行された最後の期間と、生産設備がもつ生産能力の評価結果とを保持している。
【0041】
次に、図6を参照しながら、生産能力評価装置10の動作について説明する。図6は、生産能力評価装置10の動作を示すフローチャートである。図6に示す動作は、生産能力評価装置10の制御部12が生産能力評価プログラム131を実行することによって実現される。
【0042】
図6に示すように、制御部12は、まず、ステップS101として、シミュレーション対象の期間を示す変数Xを最初の期間を示す「1」に設定する。そして、制御部12は、ステップS102として、期間Xでの各製品の生産量をシミュレーションによって算出する。続いて、制御部12は、ステップS103として、期間1から期間Xの各製品の生産量に基づいて、各製品の1期間あたりの生産量平均値を算出する。
【0043】
ここで、制御部12は、ステップS104として、期間1から期間Xまでの期間の長さが判定期間以上であるかを判定する。期間1から期間Xまでの期間の長さが判定期間よりも短い場合(ステップS104,No)、制御部12は、ステップS107として、変数Xに1を加算し、ステップS102以降を再実行する。
【0044】
期間1から期間Xまでの期間の長さが判定期間以上の場合(ステップS104,Yes)、制御部12は、ステップS105として、期間Xを最後の期間とする判定期間内での生産量平均値の変動量の変動幅を製品毎に算出する。ここで、変動幅が生産調整幅に収まらない製品が1つでもある場合(ステップS106,No)、制御部12は、ステップS107として、変数Xに1を加算し、ステップS102以降を再実行する。
【0045】
一方、すべての製品の変動幅が生産調整幅に収まる場合、すなわち、シミュレーションの終了条件が満たされた場合(ステップS106,Yes)、制御部12は、ステップS108として、判定期間内での各製品の生産量平均値の代表値を算出する。そして、制御部12は、ステップS109として、各製品の生産量平均値の代表値を生産能力の評価結果として出力する。
【0046】
上述してきたように、本実施例では、判定期間内での生産量平均値の変動量の変動幅と生産調整幅とを比較してシミュレーションを終了させるか否かを判定することとしたので、好適なシミュレーションの期間を設定して生産設備の生産能力を評価することができる。
【符号の説明】
【0047】
10 生産能力評価装置
11 通信部
12 制御部
121 CPU
122 メモリ
13 記憶部
131 生産能力評価プログラム
131a 生産量シミュレート部
131b 生産量平均値算出部
131c 終了判定部
131d 評価結果算出部
132 評価条件データ
133 期間別生産量データ
134 評価結果データ
14 表示部
15 入力部
16 媒体読取部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の製品を生産する生産設備がそれぞれの製品を生産する生産能力を評価する生産能力評価装置であって、
前記生産設備によって生産されるそれぞれの製品の生産量を、シミュレーションによって期間毎に算出する生産量シミュレート部と、
前記生産量シミュレート部によって算出される生産量に基づいて、最初の期間からそれぞれの期間までにおける1期間あたりの生産量の平均値を製品毎に算出する生産量平均値算出部と、
前記生産量平均値算出部によって算出されるそれぞれの製品の生産量の平均値の変動量に基づいて前記生産量シミュレート部によるシミュレーションを終了させる終了判定部と、
前記生産量平均値算出部によって算出されるそれぞれの製品の生産量の平均値に基づいて前記生産設備がそれぞれの製品を生産する生産能力を算出する評価結果算出部と
を備えることを特徴とする生産能力評価装置。
【請求項2】
前記終了判定部は、前記生産量平均値算出部によって算出されるそれぞれの製品の生産量の平均値の変動量が所定の判定期間にわたって前記生産設備が対応する製品を増産することができる増産量の範囲に収まった場合に、前記生産量シミュレート部によるシミュレーションを終了させることを特徴とする請求項1に記載の生産能力評価装置。
【請求項3】
前記終了判定部は、前記生産量平均値算出部によって算出されるそれぞれの製品の生産量の平均値の偏差に基づいて、前記判定期間の長さを変更することを特徴とする請求項1または2に記載の生産能力評価装置。
【請求項4】
前記評価結果算出部は、前記終了判定部が前記生産量シミュレート部によるシミュレーションを終了させたときの前記判定期間に含まれるそれぞれの製品の生産量の平均値の代表値を、前記生産設備がそれぞれの製品を生産する生産能力として算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の生産能力評価装置。
【請求項5】
複数の製品を生産する生産設備がそれぞれの製品を生産する生産能力を評価する生産能力評価装置によって実行される生産能力評価方法であって、
前記生産設備によって生産されるそれぞれの製品の生産量を、シミュレーションによって期間毎に算出するステップと、
期間毎に算出される前記生産量に基づいて、最初の期間からそれぞれの期間までにおける1期間あたりの生産量の平均値を製品毎に算出するステップと、
それぞれの製品の1期間あたりの生産量の平均値の変動量に基づいてシミュレーションを終了させるステップと、
前記1期間あたりの生産量の平均値に基づいて前記生産設備がそれぞれの製品を生産する生産能力を算出するステップと
を含むことを特徴とする生産能力評価方法。
【請求項6】
複数の製品を生産する生産設備がそれぞれの製品を生産する生産能力を評価する生産能力評価装置に、
前記生産設備によって生産されるそれぞれの製品の生産量を、シミュレーションによって期間毎に算出するステップと、
期間毎に算出される前記生産量に基づいて、最初の期間からそれぞれの期間までにおける1期間あたりの生産量の平均値を製品毎に算出するステップと、
それぞれの製品の1期間あたりの生産量の平均値の変動量に基づいてシミュレーションを終了させるステップと、
前記1期間あたりの生産量の平均値に基づいて前記生産設備がそれぞれの製品を生産する生産能力を算出するステップと
を実行させることを特徴とする生産能力評価プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−185743(P2012−185743A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49560(P2011−49560)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】