説明

生薬を利用した便秘治療用パッチ

本発明は生薬(本草)の中の大黄を含有する便秘治療用パッチに関し、さらに詳しくは、純粋な生薬の中で大黄を湯煎濾過してから凍結乾燥した粉末をパッチに適用して、手首下端の陥凹部(凹部)に貼って使用することによって、経血を通じて腸の新陳代謝を促進させて、便秘治療効果または便秘予防効果を有するものである。本発明は、便秘治療剤を直接服用しないで、体の肌に簡単に付着して使用することができるようにした生薬を含有する便秘治療用パッチに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は便秘治療用パッチに関し、特に生薬の中で掌葉大黄(Rheum palmatum L.)、唐古特大黄(RHEUMTANQUTICUM MAXIM ET BAIF)、唐大黄(Rheum undulatum L.)、藥用大黄(Rheum Officinale BAILL.)、信州大黄(Rheum coreanum NAkAI.)、種大黄(Rhei Undulatai Rhizoma)からなる大黄の中の何れか一つから選ばれた大黄を湯煎濾過してから凍結乾燥した粉末をパッチに適用して、手首下端の陥凹部(凹部)に貼って経血を通じて腸の機能を活性化させて、新陳代謝が円滑に行われるようにすることによって便秘治療效果を有する生薬を利用した便秘治療用パッチに関する。
【背景技術】
【0002】
産業が高度化され、人口の高齢化が急速に進行されており、自動車文化が日々に拡散されるにつれて、体の物理的な運動不足現象が深刻になり、それによって、便秘の患者数が大きく増えている実情である。
【0003】
便秘とは、大腸の下部分で老廃物の通過が遅くなって水分の少ない固くなった大便が肛門から排出されることを言う。便秘が発生した時便秘患者が感じる症状には満腹感、直腸圧迫感、頻繁な排泄欲求などがある。
【0004】
特に、慢性便秘の場合、慢性便秘患者は上腹部膨満感、おくび、吐き気、逆流、腹部不快感が発生し、慢性便秘を治療しない場合、慢性便秘患者には頭痛、眩暈、食欲減退、口腔内悪臭、肌荒れなどの全身症状が発生する。
【0005】
しかし、大部分の便秘患者は恥ずかしく思ったり、便秘治療そのものが非常に煩わしいと思っている。
【0006】
さらに、便秘患者は便秘を迅速に治療しない場合が多いが、それは便秘患者の大部分は便秘を深刻な疾病だと思わないからである。
【0007】
便秘を治療するための方法としては、普段規則的な食事と規則的な排便習慣を回復・保持するか、新鮮な果物と野菜、精製されない穀物類など水分含有量と纎維質の多い食品と水分の攝取量を増やすことが好ましい。
【0008】
また、便秘治療用薬物を服用するよりは体の活動を規則的にし、筋肉緊張力の弱い人は腹筋運動をすることが效果的である。
【0009】
本発明の発明者は便秘の治療において、生薬を素材に探索研究している最中、大黄が便秘の治療に效果が大きいことを確認した。
【0010】
タデ科植物の中の一つである大黄は、根と根茎にはアントラキノン(anthraquinone)誘導体とタンニン成分があって、腸の連動運動に役に立ち、便秘治療を目的として使われる生薬材であり、大黄の根抽出物は大腸菌に対する抗菌作用があると知られているが、その效能が利用されていない(薬草の成分と利用、日月書閣、1994.科学百科辞典出版社編、中薬大辞典、図書出版鼎談、中薬大辞典編纂委員会、1997)と説明されている。
【0011】
大黄を利用している先行技術は、大韓民国公開特許第2001−18655号の化粧料組成物、大韓民国公告特許第180994号のせっけん組成物、大韓民国特許第361040号の化粧料組成物、大韓民国公開特許第2003−55154号の肌疾患組成物などがある。しかし、これらに使われた大黄は便秘治療用に使われたのではなく、化粧料や肌疾患組成物に利用される大黄が言及されているだけである。
【0012】
大黄(rhubarb)の種類は、掌葉大黄(Rheum palmatum L.)、唐古特大黄(RHEUMTANQUTICUM MAXIM ET BAIF)、唐大黄(Rheum undulatum L.)、藥用大黄(Rheum Officinale BAILL.)、信州大黄(Rheum coreanum NAkAI.)、種大黄(Rhei Undulatai Rhizoma)などの6種類以上に分類される。
【0013】
大黄の效能は、性質が非常に冷たくて味は苦くて毒はない。淤血及び月経がない時に效果があり、大小便の出をよく、熱を冷やしてくれるなど滞積便秘、熱結便秘に效果がある。
【0014】
漢方では、B.C.から消炎性の下剤として使っており、各種処方に配合して使っている。主成分はアントラキノン誘導体とその配糖体及びタンニンなどである。少量を摂取すると健胃作用をし、多量の場合は、緩下剤として常習便秘や消化不良に良く、民間薬としては火傷に使ったりすることと知られている。
【0015】
しかし、一般の漢方薬剤は全て湯で煎じて服用しなければならない問題点がある。即ち、生薬の中で大黄が便秘治療に卓越な效能があるとしてもこの薬剤を他の薬剤と混合(調剤)して適正量を煎じて服用しなければならないので、服用する度に煎ずる過程を行わなければならない便な問題点がある。
【0016】
洋薬と漢方薬(生薬)を論ずるにおいて、化学製品である洋薬より漢方薬は生薬であるので、その治療效果が確かで且つ副作用が少なく、体質改善や、五臓六腑を治療する根本的な治療には、漢方薬が優れているにもかかわらず、筋肉痛、関節痛、神経痛に貼るパス、パッチ形態の漢方薬が開発されなくて、漢方薬(生薬)を肌に貼る形態で治療することができない問題点がある。
【0017】
特に、便秘治療の場合には、経口投与方式のみで治療を固執して、薬剤を過多服用する問題点がある。本発明は漢方薬を服用しないで、肌の局所に貼って治療することができる大黄成分を含有するパッチ形態に開発した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】大韓民国公開特許第2001−18655号
【特許文献2】大韓民国公告特許第180994号
【特許文献3】大韓民国公開特許第2003−55154号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は上記のような問題点を解決するために創出されたもので、純粋生薬の中で大黄成分を服用しないで体の部分である手首下の陥凹部の局所にパッチ形態で付着して簡単且つ容易に便秘を治療することができるようにすることを目的とした生薬を利用した便秘治療用パッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明はきれいに洗って良く乾燥した大黄を90〜110℃の温度で3〜10時間煎じた後液状成分を分離し、分離された液状成分の大黄を3〜5℃の温度で貯蔵庫に5〜10日間放置し、その後、120〜200メッシュの濾紙と遠心分離機で完全に濾過させた後、液状大黄濃縮液を凍結乾燥させて粉末に作り、粉末に製造された大黄抽出物に溶剤、粘着剤などを添加した溶液を製造し、パッチ生地にゴム系粘着剤を0.02〜0.04mmの厚さに塗布した後乾燥し、離型紙に上記で製造した溶液を0.05〜0.1mmに塗布して乾燥し、生地と離型紙を塗布層が対応されるように合紙して積層成型(lamination)してなる大黄成分を含有するパッチを製造することによって達成される。
【0021】
上記のように製造されるパッチの製造方法を具体的に説明すると、凍結乾燥した大黄抽出物粉末と水を1:1.2で混合した後、これをN-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone)(NMP)に溶解させ、上の溶液にポビドン(K90)、ポビドン(K25)(Povidone)及びエタノールを混合して、24時間撹拌機で充分混合し、製造された溶液にソルビタンモノオレエート(Sorbitan monooleate)(SMO)とアクリル系粘着剤(Acrylic adhesive solution)(BA2000)とブチル化ヒドロキシトルエン(Butylated hydroxytoluene)(BHT)を入れて混合し、生地にゴム系粘着剤を塗布した後乾燥し、離型紙に上記で製造した薬物溶液を所定の厚さに塗布した後乾燥し、生地と離型紙を合紙して、50℃の温度で積層成型して所望の大きさに切断してパッチを作り、このパッチを体の手首下に凹部からなる陥凹部に1日1回(24〜12時間)ずつ2日以上粘着使用して便秘を治療する方法が達成される。
【0022】
このように製造された本発明は、大黄成分を有する便秘治療用パッチを提供することによって、便秘患者が服用しないで肌の局所に簡単且つ容易に貼る方法で便秘を治療することができるようにした。
【発明の効果】
【0023】
本発明は生薬の中で大黄成分を含有するパッチを製作して両側手首の下の凹み部分である陥凹部に12〜24時間付着させて使用することによって、便秘を效果的に治療することができ、また便秘がよく発生する人には便秘を事前に予防する效果を奏する。
【0024】
本発明の大黄成分を含有するパッチ及び便秘治療方法は、胃と腸に障害となり得る便秘治療剤を服用しないで、肌に簡単に付着して便秘を治療する效果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下本発明の実施形態を詳しく説明すれば次の通りである。
【0026】
きれいに洗って良く乾燥した大黄を90〜110℃の温度で3〜10時間煎じた後液状成分を分離する段階と、分離された液状成分の大黄抽出物を3〜5℃の温度で貯蔵庫に5〜10日間放置して沈澱させる段階と、沈澱の後、120〜200メッシュの濾紙と遠心分離機で完全に濾過させる段階と、濾過された大黄濃縮液を凍結乾燥させて粉末に作る段階と、凍結乾燥された大黄粉末492gに水500〜600ccを混合した後、これをN-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone)(NMP)500〜600ccに溶解させる段階と、得られた溶液にポビドン(Povidone)(K90)70〜90g、ポビドン(Povidone)(K25)70〜90g及びエタノール500〜600ccの混合物を入れて充分に混合する段階と、のように混合して製造された溶液にソルビタンモノオレエート(Sorbitan monooleate)(SMO)235〜255gとアクリル系粘着剤(Acrylic adhesive solution)3500〜4000cc、ブチル化ヒドロキシトルエン(Butylated hydroxytoluene)(BHT)10〜15gを入れて混合して最終パッチ液を製造する段階と、のように最終パッチ液を製造した後には、生地にゴム系粘着剤を0.02〜0.04mmの厚さに塗布してから乾燥する段階と、離型紙に上記で製造した最終パッチ溶液を0.05〜0.1mmに塗布して乾燥する段階と、ゴム系粘着剤が塗布された生地とパッチ溶液が塗布された離型紙を合紙して積層成型(lamination)する段階とからなることを特徴とする。
【0027】
また、本発明は、大黄成分を含有する便秘治療用パッチ製造方法において、大黄は掌葉大黄(Rheum palmatum L.)、唐古特大黄(RHEUMTANQUTICUM MAXIM ET BAIF)、唐大黄(Rheum undulatum L.)、藥用大黄(Rheum Officinale BAILL.)、信州大黄(Rheum coreanum NAkAI.)、種大黄(Rhei Undulatai Rhizoma)の中の何れか一つの大黄が選択されて便秘治療用パッチを製造することを特徴とする。
【0028】
本発明の他の実施形態として、湯煎濾過して凍結乾燥した大黄抽出物粉末と水を1:1.2で混合した後、これをN-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone)(NMP)に溶解させる段階と、溶解された溶液にポビドン(K90)、ポビドン(K25)(Povidone)及びエタノールを混合して、24時間充分混合するように撹拌する段階と、24時間混合して製造された溶液にソルビタンモノオレエート(Sorbitan monooleate)(SMO)とアクリル系粘着剤(Acrylic adhesive solution)(BA2000)とブチル化ヒドロキシトルエン(Butylated hydroxytoluene)(BHT)を入れて混合してパッチ液を製造する段階と、パッチ液を製造した後には生地にゴム系粘着剤を塗布してから乾燥する段階と、離型紙に上記で製造したパッチ液の薬物溶液を所定の厚さに塗布した後乾燥する段階と、ゴム系粘着剤を塗布した生地とパッチ液の薬物溶液が塗布された離型紙を合紙して50℃の温度で積層成型して所望の大きさに切断してパッチを製造することを特徴とする。
【0029】
製造された生薬中の大黄成分を含有した便秘治療用パッチを体の両手首下の陥凹部である陥凹部に1日1回、12〜24時間ずつ2日以上粘着して使用し、排泄が円滑に行われる翌日から一日おき1日貼り、2日おき一日貼り、3日おき一日貼る方法で便秘を治療することを特徴とする。
【0030】
本発明で治療しようとする便秘とは、水分のない大便が体外に排出されることが困難であることを言い、これとは異なって、水分が多ければ下痢という。言い換えれば、便秘とは、排便に水分がないものである。
【0031】
水分は熱または禍が多いとなくなり、冷が多いとさらに発生する。
【0032】
老人性便秘は津液が不足で発生することもあるが、津液も水分で作られているので熱を冷やしてくれる。水分を補強させることが便秘の治療の根本である。
【0033】
本発明の便秘を治療する生薬の中の大黄成分を含有する便秘治療用パッチにおいて、大黄成分は単純に熱のみ冷やすのではなく、水分を増加させて津液を補強する。
【0034】
ここで、大黄は掌葉大黄(Rheum palmatum L.)、特大黄(RHEUMTANQUTICUM MAXIM ET BAIF)、唐大黄(Rheum undulatum L.)、藥用大黄(Rheum Officinale BAILL.)、信州大黄(Rheum coreanum NAkAI.)、種大黄(Rhei Undulatai Rhizoma)の中の何れか一つから選択される。大黄の中の掌葉大黄または種大黄が便秘治療に優れた效果を現わした。
【0035】
本発明の大黄を含有した便秘治療用パッチを製造するためには、大黄を煎じて濾紙と遠心分離機で安全に濾過させてから凍結乾燥した後粉末に作る。
【0036】
このように製造された本発明の実施形態を段階別で詳しく説明すれば次の通りである。
第1工程:大黄から液状成分分離
まず、きれいに洗って良く乾燥した大黄を90〜110℃の温度で3〜10時間煎じた後液状成分を分離する。
【0037】
選別されてよく乾かした大黄は、通常の湯煎器で90〜110℃の温度で3〜10時間煎じるが、大黄の量によって少なくは3時間、多くは10時間湯煎器で煎じて液状成分を分離する。
第2工程:沈澱
第1工程で液状成分に分離された液状大黄を3〜5℃の温度で貯蔵庫に5〜10日間放置して沈澱させる。
【0038】
液状に分離された大黄液は3〜5℃の温度で貯蔵庫に5〜10日間保存される過程で沈澱されて、濃縮された微細なスラッジは沈澱され、澄液は上部に存在する。この時5日以下で保存する場合には、微細なスラッジが沈澱される時間が不足となり、10日以上沈澱させる時にはこれ以上沈澱されないで変質過程が始まるので、液状大黄の沈澱期間は貯蔵庫に5〜10日間沈殿することが好ましい。
第3工程:凍結乾燥粉末
上記のように貯蔵庫で沈殿した液状大黄は、120〜200メッシュの濾紙と遠心分離機で完全に濾過させた後大黄濃縮液を凍結乾燥させて粉末に作る。
【0039】
凍結乾燥は、通常の凍結乾燥方法を実施して大黄濃縮液を凍結させて粉末化する。
第4工程:1次溶解工程
このように粉末に製造された大黄抽出物をパッチに製造するためには溶剤、粘着剤などがさらに添加される。
【0040】
上記で凍結乾燥した大黄抽出物粉末492g(基準重量部)に水500〜600ccを入れて混合した後、これをN-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone)(NMP)500〜600ccに溶解させる。
【0041】
溶解された溶液にポビドン(Povidone)(K90:生薬と粘着剤の相溶性を高めるための高分子物質)70〜90g、ポビドン(Povidone)(K25:生薬と粘着剤の相溶性を高めるための高分子物質)70〜90g及びエタノール500〜600ccの混合物を入れる。
【0042】
上記のように混合された混合物を充分混合するために、約24時間撹拌しながら混合する。
第5工程:2次溶解工程
製造された溶液にソルビタンモノオレエート(Sorbitan monooleate)(SMO:薬物の肌への透過性を高める物質)235〜255gとアクリル系粘着剤(Acrylic adhesive solution)(BA2000:製品名)3500〜4000ccと、ブチル化ヒドロキシトルエン(Butylated hydroxytoluene)(BHT)10〜15gを入れて混合して、3〜5時間充分混合されるように撹拌してパッチ液を製造する。
第6工程:パッチ製造
上記のようにパッチ液を製造して用意した後には、パッチの生地にゴム系粘着剤を0.02〜0.04mmの厚さに塗布する。
【0043】
また別途離型紙に上記で製造した最終パッチ液溶液を0.05〜0.1mmの厚さに塗布してから乾燥する。
【0044】
ゴム系粘着剤を塗布した生地とパッチ液である大黄溶液が塗布された離型紙を合紙して、50℃の温度で塗布面が互いに対応されるように積層成型(lamination)して貼る。
【0045】
上記のように形成されたパッチを通常の規格に切断及び包装してパッチ完製品を作る。
【0046】
上記のように実施される本発明の他の実施形態として、完全に濾過させて凍結乾燥した大黄抽出物粉末と水を1:1.2で混合した後、これをN-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone)(NMP)に溶解させる。
【0047】
溶解された溶液にポビドン(K90)、ポビドン(K25)(Povidone)及びエタノールを混合して撹拌機で24時間充分混合するように1次撹拌する。以後の工程は上述したように、これをN-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone)(NMP)に溶解された溶液にソルビタンモノオレエート(Sorbitan monooleate)(SMO)とアクリル系粘着剤(Acrylic adhesive solution)(BA2000)とブチル化ヒドロキシトルエン(Butylated hydroxytoluene)(BHT)を撹拌機に入れて、3〜5時間充分混合されるように2次撹拌する。
【0048】
上記のように溶液を用意した後には、パッチ生地にゴム系粘着剤を塗布してから乾燥し、離型紙に上記で製造した薬物溶液を所定の厚さに塗布してから乾燥する。
【0049】
その後、ゴム系粘着剤が塗布された生地と大黄溶液が塗布された離型紙を相互の塗布面が対応されるように合紙し、50℃の温度で積層成型されるように接着する。
【0050】
上記のように成形されたパッチ生地は所定の規格に切断してパッチを作る。
【0051】
所定の規格に切断形成されるパッチの規格は、通常市販される大きさに切断して包装される。
【0052】
上記のように形成されたパッチは、便秘患者の体の両手首下の陥凹部に1日1回(12〜24時間)ずつ2日以上粘着して使用して、肌に貼る方法で便秘を治療する。
【0053】
即ち、両手の手首下の陥凹部に1日1回、12〜24時間ずつ2日以上粘着して使用するが、排泄が円滑になる翌日から1日おいて1日貼り、2日おいて一日貼り、3日おいて一日貼る方法で便秘を治療する。
【0054】
本発明で便秘治療剤として使われる大黄溶液と用いられる溶解剤の組成物配合量は表1の通りである。
【0055】
【表1】

【0056】
ここで、ソルビタンモノオレエート(Sorbitan monooleate)(SMO)は薬物の肌への透過性を高める非イオン系界面活性剤であり、N-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone)(NMP)は各種難溶性薬物を溶かす優れた溶媒であり、ポビドン(Povidone)(K90)とポビドン(Povidone)(K25)は生薬と粘着剤の相溶性を高めるための高分子物質であり、ブチル化ヒドロキシトルエン(Butylated hydroxytoluene)(BHT)は酸化防止剤である。
【0057】
大黄抽出物粉末492gを水549.40ccとN-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone)(NMP)549.40ccによく溶解させる。
【0058】
大黄抽出物粉末が溶解された溶液にポビドン(Povidone)(K90)82.00gとポビドン(Povidone)(K25)82.00g(生薬と粘着剤の相溶性を高めるための高分子物質である)及びエタノール549.40ccを投入して混合する。この混合時間は約一日所要される。
【0059】
このように製造された溶液にソルビタンモノオレエート(Sorbitan monooleate)(SMO)(薬物の肌への透過性を高める非イオン系界面活性剤である)246.00gとアクリル系粘着剤(Acrylic adhesive solution)(BA2000)3751.50ccとブチル化ヒドロキシトルエン(Butylated hydroxytoluene)(BHT)12.30gを入れて混合する。
【0060】
これと別途にゴム系粘着剤をパッチ生地に0.02〜0.04mmの厚さに塗布して乾燥する。
【0061】
そして離型紙に上記で製造した薬物溶液を0.05〜0.1mmの厚さに塗布して乾燥する。
【0062】
ゴム系粘着剤が塗布された生地と薬物溶液が塗布された離型紙を合紙して、50℃で積層成型(lamination)することによって、大黄成分を含有したパッチ生地を製造する。
【0063】
パッチ生地は所望の大きさに切断して包装されて完製品になる。
実施形態
上記のように製造される本発明の便秘治療用パッチを利用して便秘患者に臨床実験した実施形態を詳しく説明すれば下記の通りである。
(臨床実験例)
本発明の出願人が代表として勤めている清山生薬研究所の名前で、全北大学の保健所及び全州グンヨン女子高校の保健室で実施した180人の便秘患者に上述した大黄成分を含有したパッチを手首下の陥凹部に1日1回、24−12時間粘着して2日間使った結果を「便秘薬使用者アンケート結果分析」によって説明する。
便秘薬アンケート内容は、
1.いつから便秘がありましたか?という質問に対して、(1)「1年未満」が約30%(54人)、(2)「1年」が約30%(56人)、(3)「2年」が約30%(50人)、(4)「3年以上」が約10%(20人)と回答した。
【0064】
2.便秘はどういう状態ですか?という質問に対して、(1)「ある程度ひどい」が約80%(140人)、(2)「ひどすぎる」が約15%(30人)、(3)「泣きたいぐらい」が約5%(10人)と回答し、
3.「薬を貼って排便したのか」という質問に対して、(1)「12時間以内にした」が約60.00%(110人)、(2)「2日以内にした」が約40%(70人)と回答して、本発明のパッチを貼った後2日以内に排便する效果を現わした。
【0065】
4.「排便した後の感想」を問う質問に対して、(1)「適当にした」が約70%(130人)、(2)「たくさんした」が約10%(20人)、(3)「気持ちよくした」が約15%(24人)、(4)「非常に満足」が約5%(6人)と回答して、本発明のパッチ使用結果に対して好意的であった。
【0066】
本発明のパッチは特に手首の下の陥凹部に適用した時便秘治療に最も效果が大きかった。
手首の下陥凹部は手首を立てた時見えない最も下の部分に凹んだ部分で、解剖学では、腕背横紋尺側端で尺骨茎状突起と三角骨の間の陥凹である。
【0067】
本発明の他の治療方法として、本発明のパッチは、実験の時、手首上側の陥凹部と腹部左側の横行結腸及び下行結腸部位でも效果があることと現われたが、本発明者が発見した手首下の陥凹部に付着した時より效果が大きくなかった。
【0068】
本発明のパッチは便秘治療剤を服用しなくても肌に付着して便秘治療に優れた效果を現わした。ただ固執的慢性便秘患者は本発明のパッチを継続して間歇的に付着して便秘を持続的に治療する必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は生薬の中で大黄成分を含有するパッチを製作して両側手首の下の凹まれた部分である陥凹部に12〜24時間付着させて使用することによって、便秘を效果的に治療することができる。本発明は、便秘の治療方法を既存の治療方法の他にパッチ治癒方法を追加することによって、病院と薬局で患者の体の特性に適合する治療方法を選択することができるようにし、また便秘がよく発生する人には便秘を事前に予防する效果を有する。
【0070】
本発明の大黄成分を含有するパッチ及び便秘治療方法は、胃と腸に障害となり得る便秘治療剤を経口投与方式で服用しないで、肌に簡単に付着して便秘を治療することができるようにすることによって老若男女の便秘患者に適用して健康を保ちながら治療ができる特徴がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掌葉大黄(Rheum palmatum L.)、唐古特大黄(RHEUMTANQUTICUM MAXIM ET BAIF)、唐大黄(Rheum undulatum L.)、藥用大黄(Rheum Officinale BAILL.)、信州大黄(Rheum coreanum NAkAI.)、種大黄(Rhei Undulatai Rhizoma)の中の何れか一つをきれいに洗った後良く乾燥した大黄を90〜110℃の温度で3〜10時間煎じた後、液状成分を分離する段階と、
前記分離した液状成分の大黄抽出物を3〜5℃の温度で貯蔵庫に5〜10日間放置して浸漬させる段階と、
前記沈殿した液状大黄抽出物を120〜200メッシュの濾紙と遠心分離機で完全に濾過させる段階と、
前記濾過された大黄抽出液を凍結乾燥させて粉末に作る段階と、
前記凍結乾燥された大黄粉末492gに水500〜600ccを混合した後、これをN-メチル-2-ピロリドン(N−methyl−2−pyrrolidone)(NMP)500〜600ccに溶解させる段階と、
前記得られた溶液にポビドン(Povidone)(K90)70〜90g、ポビドン(Povidone)(K25)70〜90g及びエタノール500〜600ccの混合物を入れて充分に混合する段階と、
前記のように混合製造された溶液にソルビタンモノオレエート(Sorbitan monooleate)(SMO)235〜255gと、アクリル系粘着剤(Acrylic adhesive solution)3500〜4000cc、ブチル化ヒドロキシトルエン(Butylated hydroxytoluene)(BHT)10〜15gを入れて混合して最終パッチ液を製造する段階と、
前記のように最終パッチ液を製造した後には、生地にゴム系粘着剤を0.02〜0.04mmの厚さに塗布した後乾燥する段階と、
離型紙に上記で製造した最終パッチ溶液を0.05〜0.1mmに塗布して乾燥する段階と、
前記ゴム系粘着剤が塗布された生地と前記パッチ溶液が塗布された離型紙を合紙して積層成型(lamination)する段階とでパッチを製造することを特徴とする生薬を利用した便秘治療用パッチ。
【請求項2】
前記大黄は掌葉大黄(Rheum palmatum L.)、唐古特大黄(RHEUMTANQUTICUM MAXIM ET BAIF)、唐大黄(Rheum undulatum L.)、藥用大黄(Rheum Officinale BAILL.)、信州大黄(Rheum coreanum NAkAI.)、種大黄(Rhei Undulatai Rhizoma)からなる大黄の中の何れか一つから選ばれた大黄を湯煎濾過してから凍結乾燥した粉末をパッチに適用して手首下端の凹み部分に付けて腸の機能を活性化させて新陳代謝が円滑に行われるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の生薬を利用した便秘治療用パッチ。
【請求項3】
生薬を利用した便秘治療用パッチの製造は濃縮凍結乾燥した大黄抽出物粉末と水を1:1.2で混合した後これをN-メチル-2-ピロリドン(N−methyl−2−pyrrolidone)(NMP)に溶解させる段階と、
前記溶解された溶液にポビドン(K90)、ポビドン(K25)(Povidone)及びエタノールを混合して、24時間充分混合するように沈澱及び撹拌する段階と、
前記24時間の間混合製造された溶液にソルビタンモノオレエート(Sorbitan monooleate)(SMO)とアクリル系粘着剤(Acrylic adhesive solution)(BA2000)とブチル化ヒドロキシトルエン(Butylated hydroxytoluene)(BHT)を入れて混合してパッチ液を製造する段階と、
前記パッチ液を製造した後には生地にゴム系粘着剤を塗布した後乾燥する段階と、
離型紙に上記で製造したパッチ液の薬物溶液を所定の厚さに塗布した後乾燥する段階と、
前記ゴム系粘着剤を塗布した生地とパッチ液の薬物溶液が塗布された離型紙を合紙し、50℃の温度で積層成型し、所望の大きさに切断してパッチを製造することを特徴とする請求項1に記載の生薬を利用した便秘治療用パッチ。

【公表番号】特表2012−518632(P2012−518632A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551008(P2011−551008)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【国際出願番号】PCT/KR2010/001026
【国際公開番号】WO2010/095875
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(511204533)
【氏名又は名称原語表記】KIM, TAE JIN
【Fターム(参考)】