説明

生鳥かごの積降装置

【課題】搬送ループに取り付けられた生鳥かご搬出アタッチメントの構成を簡素化可能で、生鳥かご搬出アタッチメントと生鳥かごとの嵌合部が逸脱しない積降装置を実現する。
【解決手段】生鳥かご搬出アタッチメント50が、搬送ループ36に取り付けられ各関節部53a、53b、54aが互いに回動自在の平行四辺形をなすリンク機構60を備え、該リンク機構のうちの該搬送ループに対面する一辺51に生鳥かごCの側面に摺接するガイドローラ61と、該ガイドローラが生鳥かごの側面に摺接しない時に生鳥かごCの縁部に係止する鉤部62とを取り付け、搬入部で該リンク機構の搬送ループに対面する一辺51を水平方向より上方に持ち上げた状態で該ガイドローラを生鳥かごCの側面に摺接させながら該生鳥かご搬出アタッチメントを下方から上方に移動させ、該鉤部を上段側の生鳥かごから1個ずつ順に係止させて生鳥かごを搬出部に搬出するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鶏等の生きた食鳥を収容した生鳥かごを食肉処理工場等で積降しする場合に使用される生鳥かごの積降装置に関する。
【0002】
養鶏場から食肉処理工場に生鳥を運搬する場合には、生鳥を入れる生鳥かごが用いられている。この生鳥かごをトラック等に積載して運搬し、食肉処理工場で生鳥かごをトラック等から荷卸し、食鳥解体ライン等に搬送する。
【背景技術】
【0003】
通常使用される生鳥かごは、蓋がかご本体の上側に係止爪により固定され、引き戸により開閉可能な開口が蓋に形成されている。生鳥かごは、通常トラックに複数段に積載され、食肉処理工場に到着すると、トラックに積まれた段数のまま荷降ろしされる。
【0004】
生鳥かごは周囲に通気口を有し、例えばプラスチック製でできており、鶏を5〜8羽程度収容できるものである。生鳥かごの重量は、6羽入りの場合20〜25kg程度になる。食肉処理工場において、積載された生鳥かごを一個ずつ搬送コンベアに載置し、生鳥かごが搬送コンベアにより食肉処理装置の近傍まで搬送されると、作業員が引き戸を引いて開口を開き、生鳥かごから開口を介して生鳥かごを一羽ずつ取り出し、食肉処理装置のハンガに掛けていた。
【0005】
特許文献1(特開昭61−136823号公報)には、前記積降装置が開示されている。この積降装置の構成を図12〜図14に基づいて説明する。図12〜図14において、生鳥かごCを搬入する搬入部1は、ローラ式のコンベア2と、このローラコンベア2の途中に設けられたストッパ3と、ローラコンベア2の終端に設けられた位置決めストッパ4と、位置決めストッパ4により搬入位置Pに位置決めされた最下段の生鳥かごCを検知する最下段かご検出器5を備えている。
【0006】
ローラコンベア2はトラックなどで運ばれてきた多数段積載された生鳥かごC〜Cを搬入するためのものである。搬入される生鳥かごCは、図12に示すように、例えば、生鳥かごC〜Cの8段積みで搬入され、ローラコンベア2により搬入位置Pまで運ばれるようになっている。ストッパ3は、制御装置6に電気的に接続されており、この制御装置6に電気的に接続された最下段かご検出器5の電気信号に基づいて作動する。即ち、最下段かご検出器5が搬入位置Pに最下段の生鳥かごCがある場合に、検出信号を出し、ストッパ3をローラコンベア2上に突出して、次の積載されたかごC〜Cを待機させるようになっている。
【0007】
生鳥かごCの長手方向両側面には、支持凹部7、7が形成されている。搬入部1から搬出部に跨ってエンドレス状に回転する回転手段としての回転チェーン8、8が設けられており、この回転チェーン8、8は、搬入位置Pと搬出位置Pとの間をエンドレス状に回転する。回転チェーン8、8の対向する内側には、一定間隔を置いてかご搬送支持体9、9が取り付けられている。回転チェーン8、8は、スプロケット10a〜eで矢印a方向に回転し、スプロケット10aはチェーン10fを介して駆動モータ11に連結されている。
【0008】
回転チェーン8、8の内側に取り付けられたかご搬送支持体9、9は、取付部材12と、この取付部材12にピン13を介して所定角度だけ回転可能な爪部材14を備えている。取付部材12は、上端部がピン15を介して回転チェーン8、8のピン8aに矢印b方向に回動可能に取り付けられている。また、取付部材12の中間部には、ガイドピン14aを通すための長孔状のガイド孔12a及びピン13を通すための通し孔12bが穿設されている。ガイド孔12aは通し孔12bを中心とする円弧状に沿って設けられている。
【0009】
爪部材14は、下半分に爪16が形成され、上部には最上段カゴ検出部17が設けられている。爪16の上端部には、生鳥かごCの凹部7に嵌合して生鳥かごCを支える支持面16aが形成されている。また、最上段カゴ検出部17は、略半円球をなして、積載された生鳥かごCの側面に摺接しながら通過し、最上段の生鳥かごCを通過して上部に出たときのみピン13を中心として自重により矢印c方向に内側に倒れ出て、爪16をかごCの支持凹部7に嵌め込むことができるように構成されている。
【0010】
爪部材14には、ピン13及びガイドピン14aが取り付けられており、ピン13は通し孔12bに通され、かつ止め部材18により抜け止めされている。また、ガイドピン14aはガイド孔12aに通されている。かかる構成により、爪部材14、14はピン13を中心として取付部材12に対して所定角度だけ、即ちガイドピン14aがガイドピン14a内で移動できる角度だけ内側に、即ち矢印c方向に回転できる。
図12において、搬出位置Pには搬送コンベア(例えばローラコンベア)19が設けられており、搬送コンベア19上に載置された生鳥かごCを次の工程に搬出する。
【0011】
かかる構成の積降装置において、ローラコンベア2に所定段数積載されたかごC〜Cがストッパ3まで搬入され、そこで待機する。搬入位置Pに生鳥かごCがなくなると、即ち、最下段かご検出器5が搬入位置Pの最下段位置に生鳥かごCを検出しない場合には、制御装置6の指令によりストッパ3がローラコンベア2のコンベア面から下がり、生鳥かごC〜Cは搬入位置Pまで搬入される。
【0012】
回転チェーン8、8は駆動モータ11により図12の矢印a方向に回転するが、かご搬送支持体9、9の最上段カゴ検出部17が生鳥かごC〜Cの両側面に接している間は、爪16は生鳥かごC〜Cの側面より離れた状態にある。最上段カゴ検出部17が最上段の生鳥かごCを通過すると、爪16は矢印c方向に出て、生鳥かごCの支持凹部7に嵌合する。
【0013】
これによって、かご搬送支持体9、9は生鳥かごCを持ち上げることができる。このようにして、最上段の生鳥かごCは、かご搬送支持体9、9により持ち上げられて、搬出位置Pに運ばれる。以下、生鳥かごC〜Cも同様にして送られ、搬出位置Pに1個ずつ降ろされる。搬送コンベア19に降ろされた生鳥かごCは、順次次の処理工程に運ばれる。
【0014】
【特許文献1】特開昭61−136823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前記積降装置は、生鳥かごCを1個ずつ持ち上げるようにしているので、かご搬送支持体9、9で持ち上げる重量を軽くすることができるという長所を有する。また、回転チェーン8、8をゆっくり回すだけであるので、慣性モーメントが大きく働かない。さらに、作動中は、回転チェーン8、8の上側に取り付けられて回転チェーン8、8を支持するスプロケット10c、10d及び10eを中心として該スプロケットの両側に生鳥かごCが吊り下げられるため、これらスプロケットの両側に吊り下げられる生鳥かごCが互いにカウンターウェイトの作用をすることにより、互いに相手側の生鳥かごCの重量を相殺するため、回転チェーン8、8の駆動力を大幅に低減することができる。
【0016】
また、生鳥かごCを上段側から順々に持ち上げる方式であるため、生鳥かごの大きさに制約がなく、異なる大きさの生鳥かごが混じっていた場合でも持ち上げが可能であるとともに、生鳥かご上面にある回転式の扉や異物が上方の生鳥かごの底に引っ掛かることがない等長所がある。
【0017】
しかしながら、かご搬送支持体9、9が生鳥かごC側に、即ち図14の矢印c方向に傾動して、爪16が生鳥かごCの凹部7に嵌合することにより、爪16の支持面16aが生鳥かごCを支持して生鳥かごCを持ち上げるようにするものであるため、かご搬送支持体9、9の傾動の度合いによって支持面16aの傾きが異なるようになる。そのため、支持面16aの傾きによっては、爪16が凹部7から外れるおそれが出てくる。
【0018】
一方、かご搬送支持体9、9の傾動の度合いを小さくすると、生鳥かごCを左右から挟み込むストロークが大きくなり、種類や大きさが異なる生鳥かごCに対応できなくなり、使用する生鳥かごCの種類が制限されるという問題がある。
【0019】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、生鳥かごの積降装置において、回転チェーンに取り付けられた生鳥かご搬出アタッチメントの構成を簡素化可能で、かつ生鳥かご搬出アタッチメントと生鳥かごとの嵌合部が逸脱するおそれがない積降装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
かかる目的を達成するため、本発明の生鳥かごの積降装置は、
生きた家禽類を入れた生鳥かごを複数積載したまま受け入れる収容空間が形成された搬入部と、1個以上の生鳥かご搬出アタッチメントが取り付けられ生鳥かごを該搬入部から搬出部に向けて上段側から1個ずつ搬送する搬送ループと、該搬出部に搬出された生鳥かごを処理工程に搬送するコンベアと、からなる生鳥かごの積降装置において、
前記生鳥かご搬出アタッチメントが、前記搬送ループに取り付けられ各関節部が互いに回動自在の平行四辺形をなすリンク機構を備え、該リンク機構のうちの該搬送ループに対面する一辺に生鳥かごの側面に摺接するガイドローラと、該ガイドローラが生鳥かごの側面に摺接しない時に生鳥かごの縁部に係止する鉤部とを取り付けて構成され、
前記搬入部で該リンク機構の搬送ループに対面する一辺を水平方向より上方に持ち上げた状態で該ガイドローラを生鳥かごの側面に摺接させながら該生鳥かご搬出アタッチメントを下方から上方に移動させることにより、該鉤部を上段側の生鳥かごから1個ずつ順に係止させて生鳥かごを前記搬出部に搬出するように構成したものである。
【0021】
本発明装置では、特許文献1に開示された積降装置と同様に、搬入部に搬入され複数積載された生鳥かごを搬送ループに取り付けられた生鳥かご搬出アタッチメントにより上段側から順に1個ずつ持ち上げて搬出部に送るものである。そして、前記構成を有する生鳥かご搬出アタッチメントを搬送ループに対面する一辺(以下「対面辺」という)を水平方向より上方に持ち上げた状態で該ガイドローラを生鳥かごの側面に摺接させながら該生鳥かご搬出アタッチメントを下方から上方に移動させる。
【0022】
このようにして、生鳥かご搬出アタッチメントが最上段の生鳥かごに達し、ガイドローラが生鳥かごの側面に摺接しなくなった時に、該対面辺が生鳥かご側に近づく。このとき、該対面辺に取り付けられた鉤部が生鳥かごの縁部に係止するので、最上段の生鳥かごを持ち上げることができる。
【0023】
本発明装置では、搬入部に搬入された生鳥かごを上段側から1個ずつ順々に搬出部へ搬出するようにしているので、搬送重量を軽くできるとともに、搬送ループの搬送速度を遅くして慣性モーメントを低減できる。また、搬入部及び搬出部で搬送中の生鳥かごが互いにカウンターウェイトの作用をすることにより、互いに相手側の生鳥かごの重量を相殺するため、搬送ループの駆動力を大幅に低減することができる。
【0024】
さらに、生鳥かごを上段側から順々に持ち上げる方式であるため、生鳥かごの大きさに制約がなく、異なる大きさの生鳥かごが混じっていた場合でも搬送が可能であるとともに、生鳥かご上面にある回転式の扉や異物が上方の生鳥かごの底に引っ掛かることがない等長所がある。
【0025】
また、生鳥かごの重量を対面辺の下方に接続されたリンクで支持するようにしているので、該リンクの圧縮強度を生鳥かごの重量を支持可能な強度に設定しておくだけで済む。従って、生鳥かご搬出アタッチメントを簡素化することができる。
また、該対面辺は、平行四辺形のリンク機構の一部を構成しているので、水平方向の位置によらず常に垂直方向を向いている。そのため、該対面辺に取り付けられた鉤部が傾くことがないので、該鉤部が生鳥かごの縁部から外れるおそれがなくなる。
【0026】
本発明装置において、好ましくは、該対面辺が水平方向より下方に下降するのを防止するストッパを生鳥かご搬出アタッチメントに設けておけば、該対面辺を常に水平方向より上方に向けておくことができる。従って、該生鳥かご搬出アタッチメントによる生鳥かごの搬送を確実に行なうことができる。
【0027】
また、本発明装置において、好ましくは、前記搬出部に配設された搬送コンベアの該搬出部におけるコンベア面の高さを前記処理工程で設定されるコンベア面の高さより上方に設定し、該搬送コンベアのコンベア面が搬送方向下流側に向けて下り勾配となるように配置するようにするとよい。これによって、該搬送コンベアに駆動機構を設けなくても、生鳥かごの自重で生鳥かごを次の処理工程に搬送することができる。例えば、搬送コンベアとして従動のローラコンベア等を設ければ、生鳥かごを自重で搬送可能になる。これによって、搬送コンベアの機構を簡素化することができる。
【0028】
さらに、搬出部に配設された搬送コンベアの該搬出部におけるコンベア面の高さを高くすることで、該搬送コンベアの駆動装置等の付属設備を積降装置を設けた床面より高い位置に設置できる。そのため、積降装置を設けた床面を深く掘り下げる必要がなくなるので、積降装置の設置場所の制約が従来より緩和される。
【発明の効果】
【0029】
本発明装置によれば、生鳥かご搬出アタッチメントが、搬送ループに取り付けられ各関節部が互いに回動自在の平行四辺形をなすリンク機構を備え、該リンク機構のうちの該搬送ループに対面する一辺に生鳥かごの側面に摺接するガイドローラと、該ガイドローラが生鳥かごの側面に摺接しない時に生鳥かごの縁部に係止する鉤部とを取り付けて構成され、
前記搬入部で該リンク機構の搬送ループに対面する一辺を水平方向より上方に持ち上げた状態で該ガイドローラを生鳥かごの側面に摺接させながら該生鳥かご搬出アタッチメントを下方から上方に移動させることにより、該鉤部を上段側の生鳥かごから1個ずつ順に係止させて生鳥かごを搬出部に搬出するように構成したことにより、該生鳥かご搬出アタッチメントの構成を簡素化できるとともに、生鳥かごを該生鳥かご搬出アタッチメントで搬送中に該鉤部が生鳥かごの縁部から外れるおそれがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0031】
次に本発明の一実施形態を図1〜図11に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る生鳥かご積降装置の正面視断面図(図2中のB−B断面図)、図2は同じく平面視断面図(図1中のA−A断面図)、図3は、同じく左側面図である。
図1〜図3において、積降装置20の近傍は生鳥かごを運搬してきたトラックの荷降ろし場となっており、積降装置20周囲の床面21は該荷卸し場のプラットフォームに連なっている。
【0032】
図4は、生鳥かごCの一例であり、生鳥かごCは、例えば幅500mm×長さ750mm×高さ260mmの大きさの長方形を有し、側面には持ち上げ用凹部26が設けられている。上部の四辺には後述する搬送アタッチメントの鉤部を係止するための凸縁部27が形成され、上面には鶏等の生鳥を出し入れするための開口28と、該開口28を開閉するためのヒンジ式の蓋29が取り付けられている。なお、蓋29は引き戸式であってもよい。養鶏場で生鳥かごCは、トラックに複数段、例えば8段重ねで積載される。そして、食肉処理工場でトラックに積まれた段数のまま、該プラットフォームに荷降ろしされる。
【0033】
図1〜図3において、積降装置20のハウジング22は、門形をなし、図3に示すように、8個の生鳥かごC〜Cを上下に積み重ねた状態で通過可能な大きさの入口部を有する。積降装置20の入口部下方には、床面21に凹部21aが設けられ、該凹部21aに、床面21と同一の高さのコンベア面を有する従動式のローラコンベア31が配設されている。ハウジング22の中央部には、ハウジング22の内部を搬入部30と搬出部40とに分割する仕切り23が立設されている。また、ハウジング22の外側には、後述する搬送ループを駆動するための駆動モータ(図示略)を収納するモータケーシング24が設けられている。
【0034】
ハウジング22の内部には、スプロケット32〜35が配置され、これらスプロケットには、ループ状の搬送チェーン36が巻回されている。スプロケット35の位置はテンショナ37によって移動可能になっており、これによって、搬送チェーン36の緊締度を調節可能になっている。図3に示すように、各スプロケット32〜35はローラコンベア31上に載置される生鳥かごC〜Cの両側に夫々2個ずつ設けられ、生鳥かごC〜Cの両側に一対の搬送チェーン36が配置されている。
【0035】
仕切り23には、モータケーシング24に配置された図示しない駆動モータの出力軸38が水平方向に配設されている。出力軸38にはスプロケット39が取り付けられ、出力軸38及びスプロケット39にはチェーン41が巻回されている。チェーン41はガイドローラ42によってその緊締度を調節される。搬出部40には、搬出部40に移送された生鳥かごCを処理工程に搬送する従動式のローラコンベア43が配設されている。ローラコンベア43は、搬出部40に配置された始端部で搬送方向下流端より高い位置に配置され、搬送方向に向かって下降するように配置されている。
【0036】
搬送チェーン36には、等間隔に4個の生鳥かご搬出アタッチメント50が取り付けられている。以下、生鳥かご搬出アタッチメント50の構成を図5〜図7に基づいて説明する。図5〜図7において、フレーム51の内側には、軸受用のブラケット52が固着され、ブラケット52にリンク部材53及び54が回動自在に取り付けられている。リンク部材53の他端は、フレーム51の背面側に位置する支持板55に固着された軸受用のブラケット56に回動自在に取り付けられ、リンク部材54の他端は、支持板55に固着された軸受用のブラケット57に回動自在に取り付けられている。
【0037】
支持板55の裏面にはボス58が固着され、支持板55はボス58を介して搬送チェーン36に接続されている。図7に示すように、フレーム51の表面には、ガイドローラ61を取り付けるためのフレーム59が取り付けられ、フレーム59に4個のガイドローラ61が左右に2個ずつ回動自在に取り付けられている。ガイドローラ61の下方に位置するフレーム59には生鳥かごCの凸縁部27に係止する2個の鉤部62が取り付けられている。鉤部63は、凸縁部27から外れにくいように、断面が円弧状に形成されている。
【0038】
リンク部材53及び54は、フレーム51及び支持板55とともに平行四辺形をなすリンク機構60を構成している。そして、フレーム51又は支持板55に接続されたリンク部材53及び54の両端関節部53a、53b、54a及び54bは、フレーム51及び支持板55に対してブラケット52、56、57を介して回動自在にとなっている。また、関節部53aには、リンク部材53に一体に取り付けられ、リンク部材53と一定角度をなすストッパ63が回動自在に装着されている。
【0039】
リンク部材53及び54が関節部53a及び54aを中心に下方に回転しようとすると、ストッパ63が支持板55に当るため、リンク部材53及び54が斜め上方45°より下方に下降するのをストッパ63で阻止される。
【0040】
このように、リンク部材53及び54は、水平方向から上方の5〜45°の範囲を回動するように設定されている。なお、搬送チェーン36及び生鳥かご搬出アタッチメント50は生鳥かごCの両側に配置されているが、図5では、左側の搬送チェーン36及び生鳥かご搬出アタッチメント50は図示が省略されている。
【0041】
かかる構成の本実施形態において、積降装置20の作動手順を説明する。
積降装置20近傍の床面21に8個ずつ積載されて載置された生鳥かごC〜Cは、作業員によりローラコンベア31上に移動される。ハウジング22内の搬入部30のローラコンベア31には生鳥かごCの有無を検出するセンサ65が設けられ、該センサ65で搬入部30のローラコンベア31上に生鳥かごCがないことを検出した上で、作業員が生鳥かごC〜Cを搬入部30のローラコンベア31上に送り込む。
【0042】
搬入部30のローラコンベア31上に生鳥かごC〜Cが載置されたことをセンサ65で検知すると、モータケーシング24内に設置された図示しない駆動モータが作動を開始する。該駆動モータの出力は、出力軸38及びチェーン41を介して駆動スプロケット32を駆動する。これによって、一対の搬送チェーン36が矢印a方向に移動する。
【0043】
図8の(a)において、チェーン36が矢印a方向に移動すると、生鳥かご搬出アタッチメント50が上昇を開始する。このときガイドローラ61は、リンク部材53及び54がフレーム51に対して水平方向より上方で5〜45°の範囲内で回動自在であるので、生鳥かごCの側面を摺接しながら上方に移動する。そして、ガイドローラ61が生鳥かごCの側面を摺接している間は、鉤部62は生鳥かごCの凸縁部27に係止しない配置関係となっている。
【0044】
そのため、最上段の生鳥かごCに来るまで鉤部62は生鳥かごC〜Cのいずれの凸縁部27にも係止しない。そして、図8の(c)に示すように、生鳥かご搬出アタッチメント50が最上段の生鳥かごCに到達し、ガイドローラ61が最上段の生鳥かごCの凸縁部27を越えたときに、初めて鉤部62が最上段の生鳥かごC3の凸縁部27に係止する。このようにして、生鳥かご搬出アタッチメント50が最上段の生鳥かごCを持ち上げることができる。
【0045】
生鳥かご搬出アタッチメント50によって持ち上げられた生鳥かごCは、搬出部40に運ばれて、搬出部40に設けられたローラコンベア43上に載置される。生鳥かごCをローラコンベア43上に載置した生鳥かご搬出アタッチメント50は、鉤部62が生鳥かごCから外れてそのまま下降し、ガイドローラ44を経て搬入部30の下方位置に戻る。そして、前と同じ動作を繰り返す。なお、ローラコンベア43には、生鳥かごCの有無を検出するセンサ66が設けられており、該センサ66で搬出部40のローラコンベア43上に生鳥かごCがないことを検知すると、生鳥かごCを搬出部40に移送する動作を開始する。
【0046】
このようにして、搬入部30に送られた生鳥かごC〜Cを上段側から1個ずつ順々に搬出部40に搬出することができる。なお、図9に示すように、搬出部40のローラコンベア43から搬入部30の最下段の生鳥かごCが位置する側方に亘って一対の板状の傾斜ガイド67が設けられている。傾斜ガイド67は、搬送コンベア43の両側から下方に向けて末広がりに配置された傾斜部67aと、該傾斜部に連なって搬入部30の最下段の生鳥かごCの両側位置まで水平方向に導設された水平部67bとからなる。
【0047】
搬出部40でローラコンベア43に生鳥かごCを載置した生鳥かご搬出アタッチメント50は、傾斜ガイド67に沿って矢印d方向に移動する。即ち、生鳥かご搬出アタッチメント50が下降するに従い、傾斜ガイド67の傾斜部67aに沿って広がるように移動し、その後、搬送チェーン36が最下端に達し、生鳥かご搬出アタッチメント50が水平に移動を始めるが、傾斜ガイド67の水平部67bは搬送チェーン36の走行路と並行に設置されているので、生鳥かご搬出アタッチメント50のガイドローラ61が水平部67bに接しながら搬入部30の下方位置まで移動する。
【0048】
このように、傾斜ガイド67を設けたことによって、生鳥かご搬出アタッチメント50が搬出部40から搬入部30までフレームなどの異物に引っ掛かることなく、スムーズに移動することができる。
【0049】
本実施形態によれば、搬入部30に積載した生鳥かごCを1個ずつ生鳥かご搬出アタッチメント50で持ち上げて搬出部40に移送するようにしているので、生鳥かご1個分以上の重量を持ち上げる必要がない。そのため、積降装置20のハウジング22、その他の強度を軽減できるとともに、搬送チェーン36を駆動する駆動力を軽減することができる。
【0050】
また、生鳥かご搬出アタッチメント50を支点として、搬入部30で持ち上げられた生鳥かごCと搬出部40に移送された生鳥かごCとが互いにカウンターウェイトの作用をなし、互いの重量を相殺し合うため、搬送チェーン36が要する駆動力をさらに軽減することができる。
【0051】
さらに、生鳥かごCを上段側から順々に持ち上げる方式であるため、生鳥かごCの大きさに制約がなく、異なる大きさの生鳥かごCが混じっていた場合でも搬送が可能であるとともに、生鳥かご上面にある回転式の扉や異物が上方の生鳥かごCの底に引っ掛かることがない。
【0052】
さらに、ガイドローラ61と鉤部62とを平行四辺形をなすリンク機構60を介して搬送チェーン36に取り付け、かつリンク部材53及び54はストッパ63で常に水平方向より上方でかつ支持板55に対して5〜45°の角度を維持している。従って、図10に示すように、生鳥かごCを常に垂直方向に対するα=5〜45°の角度で、Fの方向に生鳥かごCを支えている。そのため、一対の生鳥かご搬出アタッチメント50のうちの一方のリンク部材54と支持ブラケット56で生鳥かごCの自重WのうちW/2を支えるようにしているので、構成を簡素化することができる。なお、図10において、ストッパ63の図示を省略している。
【0053】
また、平行四辺形の一辺をなすフレーム51は常に垂直方向を向いているので、フレーム51に取り付けられた鉤部62が傾くことはなく、従って、鉤部62が生鳥かごCの凸縁部27から外れるおそれはない。
【0054】
さらに、図11に示すように、搬出部40に設けられたローラコンベア43は、次の処理工程である懸架ライン70まで下り勾配で導設されている。そして、ローラコンベア43上の生鳥かごCは懸架ライン70に向かって矢印e方向に搬送される。懸架ライン70では、搬送チェーン71に多数のハンガ72が装着されていて、作業員wが生鳥かごCから1羽ずつ生鳥Lを取り出し、ハンガ72に懸ける。
【0055】
本実施形態では、ローラコンベア43が積降装置20の搬出部40でコンベア面を高く設け、懸架ライン70に向かってコンベア面を下り勾配にしているので、ローラコンベア43を従動式として、生鳥かごCの自重により生鳥かごCを懸架ライン70に供給することができる。従って、ローラコンベア43に駆動装置を設ける必要がないので、ローラコンベア43の構成を簡素化でき、低コストとすることができる。
【0056】
また、搬出部40でのローラコンベア43のコンベア面を高く設け、かつローラコンベア43の駆動装置が不要であるので、積降装置20を設置した床面21にローラコンベア43の駆動装置を設けるための凹部を不要とすることができる。従って、積降装置20の床面21に必要な凹部は搬入部30でのローラコンベア43を設けるための凹部のみとなるため、積降装置20の設置条件の制約を緩和することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によれば、回転チェーンに取り付けられた生鳥かご搬出アタッチメントの構成を簡素化可能で、かつ生鳥かご搬出アタッチメントと生鳥かごとの嵌合部が逸脱するおそれがない生鳥かご積降装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態の正面視断面図(B−B断面図)である。
【図2】前記実施形態の平面視断面図(A−A断面図)である。
【図3】前記実施形態の左側面図である。
【図4】生鳥かごの一例を示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図5】前記実施形態の生鳥かご搬出アタッチメントの断面図である。
【図6】前記実施形態の生鳥かご搬出アタッチメントの展開斜視図(背面側)である。
【図7】前記実施形態の生鳥かご搬出アタッチメントの斜視図(正面側)である。
【図8】前記実施形態の搬送手順を示す説明図である。
【図9】前記実施形態の一部斜視図である。
【図10】前記実施形態の生鳥かご搬出アタッチメントへの荷重負荷状況を示す断面図である。
【図11】前記実施形態の次工程側を示す説明図である。
【図12】従来の生鳥かご積降装置の正面図である。
【図13】従来の生鳥かご積降装置の右側面図である。
【図14】従来の生鳥かご積降装置の生鳥かご搬送支持体の斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
20 生鳥かご積降装置
27 生鳥かごの凸縁部
30 搬入部
36 搬送チェーン(搬送ループ)
40 搬出部
43 ローラコンベア(搬送コンベア)
50 生鳥かご搬出アタッチメント
51 フレーム
53、54 リンク部材
53a、53b、54a、54b 関節部
60 平行四辺形をなすリンク機構
61 ガイドローラ
62 鉤部
63 ストッパ
67 傾斜ガイド(ガイド部材)
67a 傾斜部
67b 水平部
70 懸架ライン(処理工程)
C、C〜C 生鳥かご
L 生鳥

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生きた家禽類を入れた生鳥かごを複数積載したまま受け入れる収容空間が形成された搬入部と、1個以上の生鳥かご搬出アタッチメントが取り付けられ生鳥かごを該搬入部から搬出部に向けて上段側から1個ずつ搬送する搬送ループと、該搬出部に搬出された生鳥かごを処理工程に搬送するコンベアと、からなる生鳥かごの積降装置において、
前記生鳥かご搬出アタッチメントが、前記搬送ループに取り付けられ各関節部が互いに回動自在の平行四辺形をなすリンク機構を備え、該リンク機構のうちの該搬送ループに対面する一辺に生鳥かごの側面に摺接するガイドローラと、該ガイドローラが生鳥かごの側面に摺接しない時に生鳥かごの縁部に係止する鉤部とを取り付けて構成され、
前記搬入部で該リンク機構の搬送ループに対面する一辺を水平方向より上方に持ち上げた状態で該ガイドローラを生鳥かごの側面に摺接させながら該生鳥かご搬出アタッチメントを下方から上方に移動させることにより、該鉤部を上段側の生鳥かごから1個ずつ順に係止させて生鳥かごを前記搬出部に搬出するように構成したことを特徴とする生鳥かごの積降装置。
【請求項2】
前記リンク機構の搬送ループに対面する一辺が水平方向より下方に下降するのを防止するストッパを前記生鳥かご搬出アタッチメントに設けたことを特徴とする請求項1に記載の生鳥かごの積降装置。
【請求項3】
前記搬出部に配設された搬送コンベアの該搬出部におけるコンベア面の高さを前記処理工程で設定されるコンベア面の高さより上方に設定し、該搬送コンベアのコンベア面が搬送方向下流側に向けて下り勾配となるように配置したことを特徴とする請求項1に記載の生鳥かごの積降装置。
【請求項4】
前記搬送コンベアを従動ローラコンベアで構成したことを特徴とする請求項3に記載の生鳥かごの積降装置。
【請求項5】
前記搬出部に設けられた搬送コンベアから下方に向けて末広がりに配置された傾斜部と、該傾斜部に連なって前記搬入部の最下段の生鳥かごの両側位置まで水平方向に導設された水平部とからなるガイド部材を設け、
生鳥かごを前記搬出部の搬送コンベアに載置した後の前記生鳥かご搬出アタッチメントのガイドローラを該ガイド部材に摺接させて該生鳥かご搬出アタッチメントを該搬入部下方まで案内するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の生鳥かごの積降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−102156(P2009−102156A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278088(P2007−278088)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000148357)株式会社前川製作所 (267)
【Fターム(参考)】