説明

産業廃棄物の輸送管理方法および輸送管理システム

【課題】複数種類の産廃物が、対応する産廃物処理場に輸送されたかを確認できるようにして不法投棄や途中紛失を防止し、また、マニフェストの作成工数を削減すること。
【解決手段】産廃物を発生する場所(発生場A〜C)において、産廃物を容器に収納し、容器のICタグに扱いコードと産廃物の重量を記録し、容器を車両に積載し、産廃物処理場AA〜CCに輸送する。車両が産廃物処理場に入場する際、そのゲートで送り先が当該産廃物処理場である容器を積載しているかを調べ、また車両重量Aを測定する。そして、上記容器を積載しており、且つ、直前に立ち寄った産廃物処理場(もしくは発生場)で計測した車両重量Bと車両重量Aが一致した場合、産廃物場への入場を許可する。また、上記車両が当該産廃物場から出る時、車両重量Cを測定し、上記車両重量Aと車両重量Cの差が、当該産廃物場あての産廃物物の重量の合計に等しいとき、車両の出発を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業廃棄物を産業廃棄物処理場所に輸送する際の輸送管理方法に関し、特に、様々な種類の産業廃棄物を複数の産業廃棄物処理場所に輸送するに際し、輸送の途中で不法投棄や不法積み込みなどが行われないように産業廃棄物の輸送管理を行い、また、必要に応じてマニフェストを自動的に生成することができる産業廃棄物の輸送管理方法および輸送管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設現場、工場、医療機関などで発生した様々な産業廃棄物は、所定の産業廃棄物処理場で適切に処理される必要があり、産業廃棄物の不法投棄などの防止は環境保護の上からも重要な課題である。
従来から産業廃棄物が適切に処理されているかを監視するためのシステムが種々提案されている。
例えば、特許文献1には、ICカードに回収IDを記憶させ、廃棄物の排出、廃棄場への搬入、廃棄処理のプロセスを回収ID毎に管理するとともに、廃棄物の排出側及び廃棄場の両方で計量した廃棄物の重量若しくは体積などに関する情報の一致を確認することで、搬送途中の不法投棄などを防止する廃棄物の処理管理方法が記載されている。
また、特許文献2には、産業廃棄物を搬送する廃棄物運搬車両の位置を測定して、該車両の搬送ルーとを監視するとともに、廃棄物運搬車両のICタグを読取り、その結果に応じてゲートを開閉制御するようにしたシステムが記載されている。
さらに特許文献3には、廃棄物容器のICタグに収納した廃棄物の重量を書込み、廃棄重量、搬入重量、搬出重量の整合性をチェックすることにより、適正輸送を図るようにした廃棄物輸送システムが記載されている。
【0003】
ところで、産業廃棄物の処理を処理業者に委託する場合には、産業廃棄物管理票(以下マニフェストという)の交付が廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)により義務づけられており、これにより、産業廃棄物の適正な処理、処理に伴う事故を防止を図っている。しかし、マニフェストの作成、保存には多くの工数を要しているのが現状である。そこで、近年では、マニフェストを電子データとして管理する電子マニフェストシステム(JWNET)が運用されようとしている。
例えば、特許文献1には、廃棄物処理の個々のプロセスを回収ID毎に管理サーバにより一括管理し、紙マニフェストの作成及び保存のための手間と時間を省略し、電子マニフェストとして管理することが示唆されている。
【特許文献1】特開2004−86821号公報
【特許文献2】特開2002−265004号公報
【特許文献3】特開2002−274648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
産業廃棄物(以下産廃物と略記する)には、建築現場で発生する廃材などのほか、廃油などの液体、医療機関などで発生する使用済み医療用品など様々なものが含まれる。これらの産廃物は必ずしも同一の産業廃棄物処理場で処理されるとは限らない。
したがって、異なった種類の様々な産廃物が発生する場合には、これらを区分して、各産廃物をそれぞれ処理可能な産廃物処理場に確実に輸送し処理する必要がある。
例えば一台の車両に複数の種類の産廃物を積載した場合には、当該車両はこれらの産廃物を処理する産廃物処理場を順番に回り、各産廃物処理場で対応する産廃物を降ろしていく必要があるが、その過程で産廃物が確実に各処理場に輸送されたか、途中で不法投棄などがされていないかを確実にチェックすることが必要がある。
【0005】
特に最近では産廃物の不法投棄などが社会問題となっており、産廃物を発生する企業等では、自社で発生した上記種々の産廃物が不法投棄されると、マスコミ等で報道され企業イメージを損なう恐れがあることから、契約上は産廃業者の責任であるにせよ、これらの産廃物が適切に処理されているか確認したいという強い要望がある。
従来提案されている前記特許文献1−3に記載されるものも、産廃物が処理されたかをチェックすることはできるが、上述した異なった産廃物処理場で処理される複数種類の産廃物を区分して扱い、産廃物の種類に対応する産廃物処理場に輸送され処理されたかを比較的容易に且つ確実にチェックできるものではなかった。
また、従来提案されているもののように個々の産廃物に着目し、その重量を管理する場合には、産廃処理場において産廃物の重量を個別に測定する等の作業が必要があり、複数種類の産廃物を輸送する場合は、作業工数が多くなるといった問題もあった。
また、上記産廃物は前記したマニフェストで管理されるが、紙マニフェストの作成には多くの工数を要し、この作業工数を削減したいという要望があるとともに、電子マニフェストに対応できるシステムに対する要望もある。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、本発明の目的は、異なった産廃物処理場で処理される複数種類の産廃物が、対応する産廃物処理場に輸送されたかを確認できるようにして、不法投棄や途中紛失を防止し、また、マニフェストの作成工数を削減することができる産業廃棄物の輸送管理方法および輸送管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明においては、上記課題を次のように解決する。
(1)産廃物を発生する場所等において、産廃物を容器に収納し、この容器に付けられたICタグに送り先の産廃物処理場に対応付けられた扱いコードと、収納した産廃物の重量を記録し、様々な産廃物が収納された容器を車両に積載し、それぞれの産廃物処理場に輸送する。
上記容器を複数積載した車両が、産廃物処理場に入場する際、産廃物処理場のゲートでは、上記ICタグを読み取って送り先が当該産廃物処理場である容器が存在するかを調べるとともに、入場する車両の車両重量Aを測定する。そして、送り先が当該産廃物処理場である容器を積載しており、且つ、上記車両が直前に立ち寄った産廃物処理場もしくは産廃物発生場所で計測した車両重量Bと上記車両重量Aを比較し、その差が充分小さい時、上記車両の産廃物場への入場を許可する。
また、上記車両が当該産廃物場から出る時、車両重量Cを測定し、上記車両重量Aと車両重量Cの差が、当該産廃物場あての産廃物物の重量の合計に略等しいとき、当該車両の出発を許可する。
(2)上記(1)において、産廃物処理場に車両が入場、出発するとき測定した車両重量、当該車両が積載している容器に付けられたICタグから読み取った扱いコードおよび時刻情報を、産廃物管理サーバに送信する。
産廃物管理サーバは、上記車両重量、時刻情報、扱いコードを、該データを取得した産廃物処理場および産廃物発生場所と関連付けて産廃物管理データベースに登録する。そして、上記産廃物管理データベースに登録されたデータに基づき、産廃物が対応する産廃物処理場に輸送され処理されたかを管理する。
例えば、産廃物処理場に産廃物を輸送した車両が業者などの元に戻ってきたとき、上記産廃物管理データベースを参照し、該車両が産廃物の発生場所から出発したときの車両重量と、戻ってきたときの車両重量を比較し、その差が産廃処理場に輸送した産廃物と矛盾がないかを調べ、また、各産廃物が所定の産廃物処理場に輸送されたかを確認する。これにより、産廃物が適正に輸送され処理されたことを確認することができる。
(3)上記(2)において、産廃物管理データベースに登録された情報に基づき、産廃物物に関するマニフェストを生成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)産廃物を収納した容器を積載した車両が、産廃物処理場に入場する際、ICタグを読み取って送り先が当該産廃物処理場である容器を積載しており、且つ、上記車両が直前に立ち寄った産廃物処理場もしくは産廃物発生場所で計測した車両重量Bと入場時の車両重量Aが一致した場合、上記車両の産廃物場への入場を許可し、また、上記車両が当該産廃物場から出る時、車両重量Cを測定し、上記車両重量Aと車両重量Cの差が、当該産廃物場あての産廃物物の重量の合計に等しいとき、当該車両の出発を許可するようにしたので、各産廃物処理場へ、対応する産廃物が間違いなく持ち込まれて処理されたことを確認することができ、また、輸送途中での産廃物の不法投棄を防止することができる。
(2)産廃物処理場等で測定した車両重量、ICタグから読み取った扱いコードおよび時刻情報を、産廃物管理サーバに送信し、車両重量、時刻情報、扱いコードを産廃物管理データベースに登録することにより、該データベースを参照することで、各容器に収納された産廃物が、どのような経路で、どの産廃物処理場に輸送されたかを確認することができる。
(3)上記産廃物管理データベースに登録されたデータを用いてマニフェストを自動生成することにより、マニフェストの作成工数・照合工数を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明の実施例の産業廃棄物の輸送管理システムの全体構成を示す図、図2は各場所に設置された機器構成を示す図、図3は建設現場、製造工場、医療機関等の産廃物を発生する場所(以下発生場という)、産業廃棄物処理場(産廃場という)の概念図である。
図1、図3に示すように、建設現場、製造工場、医療機関等の産廃物の発生場A〜Nには、ネットワーク10に接続された発生場パソコン11(以下PCという)とゲートPC12が設置される。
発生場PC11は図2(b)に示すように、制御部11aとICタグリーダ/ライタ(R/W)11bと、通信部11cと、産廃物の重量を計測するための重量計11dと、出力装置11eから構成される。
発生場PC11の記憶部には、図4(a)に示す「地名と地名コード対応表」、同図(b)に示す「扱いコードと受け入れ産廃場対応表」、同図(c)に示す「物品名と扱いコードの対応表」が記憶されている。
【0009】
各発生場で発生した産廃物は、処理される産廃物処理場に応じて区分され、それぞれ、図3に示すようにICタグ1aが付けられた容器2(箱あるいは袋)内に収納される。
その際、上記重量計11dにより産廃物の重量を測定するとともに、収納した産廃物の物品名を入力する。
発生場PC11は、図4の「物品名と扱いコードの対応表」、「扱いコードと受け入れ産廃場対応表」を参照し、物品名に対応した扱いコードと、当該扱いコードの産廃物を受け入れる産廃物処理場(以下産廃場ともいう)を求め、さらに、「地名と地名コード対応表」を参照して産廃場の地名コードを求める。そして、ICタグリーダ/ライタ11bにより、容器2に付けられたICタグ1aに、図4(d)に示すようにタグNO、箱名称、収納した物品名、重量、扱いコード、行先コード(産廃場地名コード)、発生場地名コードを書き込む。
各発生場A〜Cでは、上記種々の産廃物が収納されICタグ1aにデータの書き込まれた容器が必要に応じて複数個作られ、これらは車両に積載される。また、車両にはICタグ1bが取り付けられ、このICタグ1bには車両番号(車ICタグ番号という)が記録されている。
【0010】
発生場の出入り口には、車両の通行を止めたり通行を許可するゲートが設けられ、このゲートを開閉するゲート開閉器12e、ICタグリーダ/ライタ12c、車両の向きを判定する出入り向きセンサ12b、車の重量を測定する車用重量計12fが設けられる。
図2(a)に示すようにゲートPC12の制御部12aはこれらに接続され、ゲートの開閉、ICタグ1a,1bのリード/ライトの制御をするとともに、向きセンサ12bの出力に基づき、車両が出発しようとしているのか車両が入場しようとしているのかを判定する。また、車用重量計12fにより計測された車両の重量を読み込む。
さらに、ゲートPC12には、通信部12d、車の入場/出発の許可、不許可を表示する例えば青と赤のランプ12h、出力装置12gが設けられる。
【0011】
発生場A〜Nから産廃物を収納した容器を積載した車両が出発する際、上記ICタグリーダ/ライタ12cにより、車両に付けられたICタグ1bから車ICタグ番号を読み取るとともに、車両に積載された容器2のICタグ1aから上記扱いコード等のデータを読みとり、また、車用重量計12fにより車両の重量を計測する。その後、ゲートを開けて、当該車両の出発を許可する。
また、車両が発生場に入場する際には、上記ICタグリーダ/ライタ12cにより、車両に付けられたICタグ1bから車ICタグ番号を読み取るとともに、車両に積載された容器2のICタグ1aから上記扱いコード等を読みとり、また、車用重量計12fにより車両の重量を計測する。そして、この車両重量と、該車両がこの発生場に到着する直前に立ち寄った発生場(あるいは産廃場)を出るときに計測した車両重量(後述するように産廃管理サーバ13に問い合わせその重量を取得する)とが一致していれば、ゲートを開けて、当該車両の入場を許可する。
上記ICタグ1a,1bから読み取ったデータ、計測された車両の重量等のデータは通信部12dからネットワーク10を介して、産廃管理サーバ13に送られる。
【0012】
産業廃棄物を処理したり保管する産廃場AA〜CCにも、図1、図3に示すようにネットワーク10に接続されたゲートPC12が設置される。
産廃場の出入り口には、前記発生場と同様、車両の通行を止めたり通行を許可するゲートが設けられ、図2(a)に示すようにこのゲートを開閉するゲート開閉器12e、ICタグリーダ/ライタ12c、車両の向きを判定する出入り向きセンサ12b、車の重量を測定する車用重量計12fが設けられる。
ゲートPC12の制御部12aはこれらに接続され、ゲートの開閉、ICタグのリード/ライトの制御をするとともに、向きセンサ12bの出力に基づき、車両が出発しようとしているのか車両が入場しようとしているのかを判定する。また、図3に示すように車用重量計12fにより計測された車両の重量を読み込む。
さらに、ゲートPC12には、通信部12d、車の入場/出発の許可、不許可を表示する例えば青と赤のランプ12h、出力装置12gが設けられる。
【0013】
産廃物を積載した車両が産廃場に入場する際には、上記ICタグリーダ/ライタ11bにより、車両に付けられたICタグ1bから車ICタグ番号を読み取るとともに、車両に積載された容器2のICタグ1aから上記扱いコード等を読みとり、また、車用重量計12fにより車両の重量を計測する。そして、この車両重量Aと、該車両がこの発生場に到着する直前に立ち寄った発生場(あるいは産廃場)を出るときに計測した車両重量B(後述するように産廃管理サーバ13に問い合わせその重量を取得する)とが一致しているかを判定する。
また、車両に積載された容器2に付けられたICタグ1aから読み取った行先コードを調べ、車両が当該産廃場宛の産廃物を収納した容器を積載しているかを調べる。
そして、上記車両重量AとBが等しければ、途中で不法投棄をせずに当該産廃場に到着したと判定し、さらに、当該産廃場宛の産廃物を収納した容器を積載していれば、ゲートを開けて、当該車両の入場を許可する。
【0014】
また、産廃場AA〜CCから車両が出発する際、上記ICタグリーダ/ライタ12cにより、車両に付けられたICタグ1bから車ICタグ番号を読み取るとともに、車両に積載された容器2のICタグ1aから上記扱いコード等のデータを読みとり、また、車用重量計12fにより車両の重量を計測する。
そして、車両が当産廃場に入場する際に計測した車両重量Aと上記産廃場を出発するときに計測した車両重量Cの差が、当産廃場宛の容器の重量の合計に等しければ、ゲートを開けて、当該車両の出発を許可する。
上記ICタグ1a,1bから読み取ったデータ、計測された車両の重量等のデータは通信部12dからネットワーク10を介して、産廃管理サーバ13に送られる。
【0015】
産廃管理サーバ13は、図2(c)に示すように、制御部13aと通信部13cとサーバデータベース13b(サーバDBという)を備え、制御部13aは上記ネットワーク10を介して送られてきたデータをサーバDB13bに格納する。
図5は上記サーバDB13bに格納されるデータの一例を示す図であり、車ICタグ番号に対応づけて、発生場あるいは産廃場を出るときの車両重量、時刻、そのとき積載していた容器のICタグNO、発生場あるいは産廃場に入場するときの車両重量、時刻、そのとき積載していた容器のICタグNOが格納される。
図5において、第1行目のレコードは、車ICタグ番号KG77の車両が発生場を出て、産廃場1から産廃場2へ行き、発生場に戻った場合(ICタグNOが31の容器は持ち帰り)を示し、第2行目のレコードは、車ICタグ番号KG90の車両が発生場を出て、産廃場1から発生場に戻った場合を示して、第3行目のレコードは、車ICタグ番号AB60の車両が、発生場を出て、産廃場2から産廃場1へ行き、発生場に戻った場合を示している。
なお、図5では発生場が一つの場合を示しているが、複数の発生場があり、車両が複数の発生場を回って産廃物を積載したのち産廃場に行く場合、あるいは、ある発生場で産廃物を積み込んで産廃場に行き、ついで他の発生場に行って産廃物を積み込んで産廃場に行く場合等、種々の経路で車両が移動することも考えられる。
【0016】
さらに、上記システムに図1に示すように産廃処理業者や産廃を発生する業者のPCが接続されていてもよい。
例えば、上記産廃物を輸送する車両の運行を産廃処理業者が行う場合、上記車両は最終的に業者の元に帰る。この場合には、産廃物を輸送する業者の元に、業者PC14とゲートPC12を設置する。業者PC14には、図2(d)に示すように、プリンタ14c、出力装置14d、通信部14bが接続される。
このように最終的に車両が戻る業者の元に業者PCを設置する場合には、そのゲートに設置されるゲートPC12には必ずしもゲート開閉器を設ける必要はない。
また、前記発生場に業者PC14を設置し、ゲートPCは発生場のゲートPCを兼ねるようにしてもよい。
以下の説明では、発生場とは別の場所に業者PCとゲートPCが設置されている場合について説明する。
【0017】
この場合、車両が業者の元に戻ってきたとき、ゲートPC12に接続されたICタグリーダ/ライタ12cにより、車両に付けられたICタグ1bから車ICタグ番号を読み取る。また、車用重量計12fにより車両の重量を計測する。
そして、産廃管理サーバ13のサーバDB13bを参照し、該車両が直前に立ち寄った産廃場(あるいは発生場)を出発したときの車両重量と、戻ってきたときの車両重量を比較し、一致するかを調べる。
また、戻ってきた車両が産廃物を収納した容器を積載している場合、車両に積載された容器2のICタグ1aから扱いコード等を読みとる。
上記戻ってきたときの車両重量と、上記ICタグ1a,1bから読み取ったデータ、通信部14bからネットワーク10を介して、産廃管理サーバ13に送られる。
そして、上記直前に立ち寄った産廃場(あるいは発生場)を出発したときの車両重量と戻ってきたときの車両重量の差が一致しない場合は、例えば赤ランプを点灯し、警告リストを出力する。この警告リストには、例えばサーバDB13bに格納された当該車両に係わる輸送記録データが含まれ、これに基づきどのような産廃物がどこで不法投棄されたか等を調査することができる。
そして、産廃物の輸送が適正に行われた場合、業者PC14は、産廃管理サーバ13のサーバDB13bのデータ等に基づき、自動的にマニフェストを作成する。これは、プリンタ14cからプリントアウトされたり、出力装置14dに表示出力される。
なお、作成されるマニフェストが電子マニフェストであってもよく、電子マニフェストの場合、ネットワーク10を介して、電子マニフェストシステム(JWNET)に登録される。
【0018】
次に本発明における発生場PCにおける処理、及びゲートPCにおける処理について図6〜図9のフローチャートにより説明する。
図6は発生場PC11による処理を示すフローチャートである。
同図において、処理すべき産廃物が発生していない場合には処理を終わり、産廃物が発生している場合、作業者は、その産廃物の物品名を入力する(ステップS1〜S2)。発生場PC11は、物品名が入力されると、前記物品名と扱いコードの対応表[図3(c)]を参照して、その扱いコードを表示する(ステップS3)。
ついで、作業者は産廃物を収納する容器2に同じ扱いコードで扱われる産廃物を格納する(ステップS4)。
上記産廃物の容器2への格納が終了すると、ICタグリーダライタにより、該容器に付けられたICタグ1aに扱いコードをライトする(ステップS6)。ついで、発生場PC11は、前記扱いコードと受入産廃場対応表[図3(b)]を参照して、扱いコードに対応した受入産廃場を定め、ICタグ1aに上記受入産廃場に対応した地名コードを書き込み、さらに、必要に応じて、当該発生場の地名コードを書き込む(ステップS7,S8)。ついで、該容器の重量を計測し、重量を容器のICタグ1aに書き込む(ステップS9,S10)。
【0019】
図7〜図9はゲートPC12の処理を示すフローチャートであり、図7は発生場のゲートPCの処理を示し、図8は産廃場のゲートPCの処理を示し、図9は車両が業者の元に戻った際のゲートPCおよび業者PCの処理を示す。
まず、図7により発生場のゲートPC12の処理について説明する。
車両が発生場のゲートに着くと、車両に取り付けられたICタグ1bの車ICタグ番号をリードする。また、前記入出向きセンサにより、車両の向きを判定し、車両が入場するのか出発するのかを判定する(ステップS1〜S3)。
入場の場合は、車用重量計により車両重量を測定するとともに、車両が産廃物を積載している場合には、ICタグリーダ/ライタにより容器2のICタグ1aをリードし、リードしたデータを産廃管理サーバ13に送り、サーバDB13bに記録する(ステップS4〜S6)。
そして、産廃管理サーバ13のサーバDB13bにアクセスし、当該車両がこの発生場に到着する前に、発生場あるいは産廃場に立ち寄り産廃物を積載したかを調べる。当該車両がどこにも立ち寄っておらず、かつ、産廃物を搭載していない場合には、青ランプを点灯し、ゲートを開けて、車両の入場を許可する(ステップS7→ステップS9,S10)。
【0020】
また、当該車両がこの発生場に到着する直前に、発生場あるいは産廃場に立ち寄った場合には、サーバDB13bから、当該車両がこの発生場に到着する直前に立ち寄った発生場あるいは産廃場を出発するときに測定した車両重量(ここではHHとする)を取得し、この車両重量HHと上記測定した車両重量(ここではGGとする)の差HH−GGを求め、この差に矛盾があるかを判定する(ステップS8)。
すなわち、直前に立ち寄った発生場を出るときに測定した車両重量HHと、この発生場に入場するときの車両重量GGは、例えば途中で不法投棄等をしない限り一致しているはずであり、一致していなければ矛盾があると判定する。
上記判定結果に矛盾がなければ青ランプを点灯し、ゲートを開けて車両の入場を許可する(ステップS9,S10)。また、上記判定結果に矛盾があると、赤ランプを点灯し、ゲートを開けず車両の入場を認めない(ステップS11,S12)。そして矛盾の旨の出力表示を行う(ステップS20)。
【0021】
また、前記入出向きセンサにより、車両の向きを判定した結果、車両が出発する場合には、車用重量計により車両重量を測定する。また、車両が産廃物を積載している場合には、ICタグリーダ/ライタにより容器2のICタグ1aをリードし、リードしたデータを産廃管理サーバ13に送り、サーバDB13bに記録する(ステップS13〜S16)。ついで、青ランプを点灯し、ゲートを開けて、車両の出発を許可する(ステップS17,S18)。
【0022】
図8は産廃場のゲートPC12の処理を示すフローチャートである。
車両が産廃場のゲートに着くと、車両に取り付けられたICタグ1bの車ICタグ番号をリードする。また、前記入出向きセンサにより、車両の向きを判定し、車両が入場するのか出発するのかを判定する(ステップS1〜S3)。
入場の場合は、車用重量計により車両重量を測定するとともに、ICタグリーダ/ライタにより車両が積載している産廃物を収納した容器2のICタグ1aをリードし、リードしたデータを産廃管理サーバ13に送り、サーバDB13bに記録する(ステップS4〜S6)。
また、サーバDB13bから、当該車両がこの発生場に到着する直前に立ち寄った発生場あるいは産廃場を出発するときに測定した車両重量(ここではHHとする)を取得し、この車両重量HHと上記測定した車両重量(ここではGGとする)の差HH−GGを求め、この差に矛盾があるか(一致しているか)を判定する(ステップS7)。
上記判定結果に矛盾がなければ、上記容器のICタグの行先コードがこの産廃場の地名コードと一致しているか(本PCゲート宛の容器があるか)を調べ、この産廃場宛の産廃物を収納した容器2が車両に積載されているか判定する(ステップS8)。なお、この産廃場の地名コードは予め産廃管理サーバ13から取得しているものとする。
【0023】
この産廃場宛の容器を車両が積載していれば、容器の名称をゲートPC12の出力装置に表示し、青ランプを点灯し、ゲート開閉器によりゲートを開けて、車両の入場を許可する(ステップS9〜S12)。またこの産廃場宛の容器を車両が積載していなければ、赤ランプを点灯し、ゲートを開けず、車両の入場を認めない(ステップS13〜S15)。そして本ゲート宛の容器なしの出力表示を行う(ステップS30)。
一方、前記ステップS7で、差HH−GGに矛盾があると判定された場合には、赤ランプを点灯し、ゲートを開けず車両の入場を許可しない(ステップS16,S17)。そして矛盾の旨の出力表示を行う(ステップS31)。
【0024】
また、前記したように入出向きセンサにより車両の向きを判定したとき、車両が出発すると判定された場合、車用重量計により車両重量を測定するとともに、ICタグリーダ/ライタにより車両が積載している産廃物を収納した容器のICタグ1aをリードし、リードしたデータを産廃管理サーバ13に送り、サーバDB13bに記録する(ステップS18〜S20)。
次に、当該車両がこの発生場に到着したときに測定した車両重量GGと、この産廃場を出発するときに測定した車両重量(ここではKKとする)の差GG−KKを求め、この差が、本産廃場宛の容器の重量の合計に一致しているかを判定する(ステップS21,S22)。
上記判定結果に問題がなければ、青ランプを点灯し、ゲート開閉器によりゲートを開けて、車両の出発を許可する(ステップS25〜S26)。また、差GG−KKに矛盾があると判定された場合には、赤ランプを点灯し、ゲートを開けず車両の出発を許可しない(ステップS23,S24)。そして矛盾の旨の出力表示を行う(ステップS32)。
【0025】
図9は業者の元に産廃物を輸送する車両が戻ってきたときのゲートPC12と業者PC14の処理を示すフローチャートである。
車両が業者のゲートに帰ってくると、車両に取り付けられたICタグ1bの車ICタグ番号をリードする。また、車用重量計により車両重量を測定する(ステップS1〜S3)。
また、車両がまだ産廃物を収納した容器を積載している場合には、ICタグリーダ/ライタにより車両が積載している産廃物を収納した容器2のICタグ1aをリードする(ステップS4)。
そして、ICタグ1a,1bからリードしたデータを産廃管理サーバ13に送り、サーバDB13bに記録する(ステップS5)。
そして、サーバDBから、この車両が直前に立ち寄った発生場あるいは産廃場を出発するときに測定した車両重量HHを取得し、この車両重量HHと上記測定した車両重量(ここではLLとする)の差HH−LLを求め、この差が一致しているかを判定する(ステップS6)。
【0026】
この差が一致していれば、当該車両について、産廃管理サーバ13のサーバDB13aに登録されたデータについて最終的な検証を行い、問題が無ければ、ゲートPC12は業者PC14にマニフェスト作成の依頼をする(ステップS7〜S9)。
また、差HH−LLが一致しなかったり、産廃管理サーバ13のサーバDB13bに登録されたデータに問題があれば、赤ランプを点灯させ、警告リストを出力する(ステップS10,S11)。
業者PC14は、マニフェスト作成の依頼があると、産廃管理サーバ13のサーバDB13bに登録されたデータ等を参照してマニフェストを作成する。マニフェストには、排出事業所名称、住所、産廃物種類、運搬委託者名称、住所、最終処分場所名称、住所などが記録される。なお、このマニフェストは電子マニフェストであってもよく、電子マニフェストの場合、作成された電子マニフェストは、ネットワーク50を介して、電子マニフェストシステムに送られ、登録される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例の産業廃棄物の輸送管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】本発明のシステムにおいて各場所に設置された機器構成を示す図である。
【図3】産廃物を発生する場所(発生場)、産業廃棄物処理場(産廃場)の概念を示す図である。
【図4】対応表及びICタグに書き込まれるデータの一例を示す図である。
【図5】サーバDBに格納されるデータの一例を示す図である。
【図6】発生場PCによる処理を示すフローチャートである。
【図7】発生場のゲートPCの処理を示すフローチャートである。
【図8】産廃場のゲートPCの処理を示すフローチャートである。
【図9】業者の元に設置されるゲートPCと業者PCの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
1a ICタグ(車両用)
1b ICタグ(容器用)
2 容器(箱・袋)
10 ネットワーク
11 発生場パソコン(PC)
11a 制御部
11b ICタグリーダ/ライタ(R/W)
11c 通信部
11d 重量計
11e 出力装置
12 ゲートPC
12a 制御部
12b 入出向きセンサ
12c ICタグリーダ/ライタ
12d 通信部
12e ゲート開閉器
12f 車用重量計
12g 出力装置
12h 青と赤のランプ
13 産廃管理サーバ
13a 制御部
13b サーバDB
13c 通信部
14 業者PC
14a 制御部
14b 通信部
14c プリンタ
14d 出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収納された産業廃棄物を、車両に積載して産業廃棄物処理場に輸送する際の産業廃棄物の輸送管理方法であって、
上記容器に付けられたICタグに送り先の産業廃棄物処理場に対応付けられた扱いコードと、収納した産業廃棄物の重量を記録し、
上記容器を複数積載した車両が、産業廃棄物処理場に入場する際、
上記ICタグを読み取って送り先が当該産業廃棄物処理場である容器が存在するかを調べるとともに、入場する車両の車両重量Aを測定し、
送り先が当該産業廃棄物処理場である容器を積載しており、且つ、上記車両が直前に立ち寄った産業廃棄物処理場もしくは産業廃棄物発生場所で計測した車両重量Bと上記車両重量Aを比較し、その差が充分小さい時、上記車両の産業廃棄物場への入場を許可し、
上記車両が当該産業廃棄物場から出る時、車両重量Cを測定し、上記車両重量Aと車両重量Cの差が、当該産業廃棄物場あての産業廃棄物物の重量の合計に略等しいとき、当該車両の出発を許可することを特徴とする産業廃棄物輸送の管理方法。
【請求項2】
産業廃棄物処理場に車両が入場、出発するとき測定した車両重量、該車両が積載している容器に付けられたICタグから読み取った扱いコードおよび時刻情報を、産業廃棄物管理サーバに送信し、産業廃棄物管理サーバは、上記車両重量、時刻情報、扱いコードを、該データを取得した産業廃棄物処理場および産業廃棄物発生場所と関連付けて産業廃棄物管理データベースに登録し、
上記産業廃棄物管理データベースに登録されたデータに基づき、産業廃棄物が対応する産業廃棄物処理場に輸送され処理されたかを管理する
ことを特徴とする請求項1の産業廃棄物輸送の管理方法
【請求項3】
上記産業廃棄物管理データベースに登録された情報に基づき、産業廃棄物物に関するマニフェストを生成する
ことを特徴とする請求項2記載の産業廃棄物輸送の管理方法。
【請求項4】
産業廃棄物を積み込む産業廃棄物発生場所に設置され、容器内に収納された産業廃棄物の重量、該産業廃棄物が輸送される産業廃棄物処理場に対応付けた扱いコードを、上記容器に貼付されたICタグに記憶させる発生場所処理装置と、
産業廃棄物処理場および産業廃棄物発生場所の出入り口にそれぞれ設置され、車両の入出を許可するゲートを開閉するゲート開閉器と、車両が入出を検出する向きセンサと、ICタグリーダと、車両の重量を計測する重量センサと、
産業廃棄物処理場および産業廃棄物発生場所にそれぞれ設置され、上記ICタグリーダによるICタグの読み取り、書き込みを制御するとともに、上記ICタグの記憶内容、重量センサと向きセンサにより計測された重量及び車両の向きとに基づき、上記ゲート開閉器によるゲートの開閉を制御するゲート制御手段と
上記発生場所処理装置及び上記ゲート制御手段と通信手段を介して接続され、少なくとも、産業廃棄物処理場、産業廃棄物発生場に入場あるいは出発する際に計測もしくは検出された車両重量、容器のICタグに記録された扱いコードおよび時刻を登録するデータベースを備えた産業廃棄物管理サーバとから構成された産業廃棄物輸送管理システムであって、
収納した産業廃棄物物の重量および扱いコードが記憶されたICタグが貼付された容器を複数積載した車両が、産業廃棄物処理場の出入り口にいるとき、
上記ゲート制御手段は、上記向きセンサにより検出された車両の向きから車両が入場するのか出発するのかを判定し、
車両が入場する場合は、上記ICタグリーダによりICタグを読み取って送り先が当該産業廃棄物処理場である容器が存在するかを調べるとともに、上記重量センサにより入場する車両の車両重量Aを測定し、
また、上記産業廃棄物管理サーバに、当該車両の出発地で計測した車両重量を問い合わせ、
送り先が当該産業廃棄物処理場である容器を積載しており、且つ、上記車両が直前に立ち寄った産業廃棄物処理場もしくは産業廃棄物発生場で計測した車両重量Bと、上記車両重量Aを比較し、その差が充分小さい時、上記ゲートを開いて、当該車両の産業廃棄物場への入場を許可し、
上記車両が当該産業廃棄物場から出発する場合は、車両重量Cを測定し、上記車両重量Aと車両重量Cの差が、当該産業廃棄物場あての産業廃棄物物の重量の合計に略等しいとき、上記ゲートを開いて、当該車両の出発を許可する
ことを特徴とする産業廃棄物輸送管理システム。
【請求項5】
上記ゲート制御手段は、車両が入場、出発するとき測定した車両重量、該車両が積載している容器に付けられたICタグから読み取った扱いコードを産業廃棄物管理サーバに送信し、
産業廃棄物管理サーバは、上記車両重量、扱いコードを、該重量、扱いコードを取得した産業廃棄物処理場および産業廃棄物発生場所と関連付けて、データベースに格納し、
上記データベースに格納されたデータから産業廃棄物物に関するマニフェストを生成する
ことを特徴とする請求項4記載の産業廃棄物輸送管理システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−122333(P2007−122333A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312598(P2005−312598)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(598057291)富士通サポートアンドサービス株式会社 (147)
【Fターム(参考)】