説明

産業用ロボットの手持操作器

【課題】 片手での円滑な操作ができる手持操作器を提供する。
【解決手段】 上ケースの左側面に取り付けられた把持用バンドで左手の甲を支持して左手でケース1を把持したときに、当該左手の親指で操作できる位置に、4個のキー4a、4b、4c、4dを配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットを操作するための各種操作スイッチを配置した手持操作器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手持操作器は、例えば、図5(a)の平面図および(b)要部を拡大した側断面図に示すような構成をしている。図において、1はプラスチック等の樹脂材よりなるケースで、中央部が窪んでいる上ケース11と、上ケース11を覆う下ケース12からなっている。2は上ケース11に設けた取付座、3は上ケース11の正面に設けた切欠き穴で、4個の切欠き穴3a,3b,3c,3dが十字状に配置されている。4は各切欠き穴3の中に挿入されたタクトキーで、4個のタクトキー4a,4b,4c,4dからなり、人の指が接触するタッチ面41が各切欠き穴3から露出している。5はタクトキー4が取り付けられている基板で、取付座2に固定されている。したがって、タクトキー4a,4b,4c,4dがそれぞれ上下左右の方向に対応しており、上下左右の移動指令がし易く配置されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記従来技術では、上下左右の方向を選択するタクトキー4a,4b,4c,4dが、それぞれ分離されているため、連続的な操作が難しく、特に斜め方向の移動指令の操作をするとき、同時に2個のタクトキー4を押さなければならないため、円滑な操作が難しく、片手による操作は更に難しいという問題があった。本発明は、片手でも上下左右および斜め方向の移動指令の円滑な操作ができる手持操作器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明は、中央部が窪んでいる上ケースと前記上ケースを覆う下ケースからなるケースと、前記上ケースに設けた取付座と、前記上ケースの正面に設けた切欠き穴と、前記切欠き穴の中に挿入され、十字状に配置された4個のタクトキーと、前記タクトキーを取り付け、前記取付座に固定された基板とを備えた、手持操作器において、前記上ケースの左側中央部に設けた円形の前記切欠き穴に挿入され、前記タクトキーを覆うカーソルキーと、前記カーソルキーの前記切欠き穴から露出する円板部の外周に等間隔の位置に突出する係合部と、前記円板部に設けられ、前記タクトキーにそれぞれ対向する突起部と、前記円板部の中央部に設けられ、前記基板に対向する突起部と、前記切欠き穴の周囲に設けられ、前記カーソルキーの係合部が係合して前記タクトキーの方向への前記カーソルキーの移動を許し、円周方向の回動を止める係合凹部とを備えたものである。
また、前記カーソルキーは、前記ケースを片手で把持したときに親指で操作できる位置に配置されたものである。
したがって、前記カーソルキーを操作することにより、目的のタクトキーを動作させ、他のタクトキーが誤動作することなく、確実に上下左右と斜め方向の移動指令を出すことができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、タクトキーを十字状に配置し、各タクトキーに対向する突起部と中央部に支点を形成する突起部とを形成したカーソルキーを設け、かつカーソルキーを片手で操作できる位置に設けてあるので、片手でも上下左右および斜め方向の移動指令の円滑な操作ができる手持操作器を提供できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
【実施例1】
【0007】
以下、本発明の実施例を図に基づいて説明する。
図1(a)は本発明の実施例を示す平面図、(b)はその側面図で、一部を断面で示してある。図2は要部を拡大して示した平面図、図3(a)、(b)はその側断面図である。図において、1はプラスチック等の樹脂材よりなるケースで、中央部が窪んでいる上ケース11と、上ケース11を覆う下ケース12からなっている。2は上ケース11に設けた取付座、3は上ケース11の正面の左側中央部に設けた円形の切欠き穴である。4は切欠き穴3の中に挿入されたタクトキーで、十字状に配置された4個のタクトキー4a,4b,4c,4dからなっている。5はタクトキー4が取り付けられている基板で、取付座2に固定されている。6は切欠き穴3の内側からに挿入されたカーソルキーで、4個のタクトキー4を覆っている。61はカーソルキー6の切欠き穴3から露出する円板部、62は円板部61の外周の、円周方向に等間隔で4か所の位置に、切欠き穴3より大きい直径の位置まで突出する係合部である。63は4個のタクトキー4(4a,4b,4c,4d)にそれぞれ対向して突出する突起部(63a,63b,63c,63d)、64は中央部に設けた突起部で、基板5に対向している。7は上ケース11の切欠き穴3の周囲に設けた係合凹部で、カーソルキー6の係合部62が係合し、カーソルキー6のタクトキー4の方向への移動を許し、円周方向の回動を止める回り止めの役割を果たしている。8はカーソルキー6の近傍で、上ケースの左側面に取り付けられた把持用バンドで、左手でケース1を把持しながら左手の親指でカーソルキー6を操作できるようにしてある。
【0008】
ここで、実施例の動作を説明する。
ケース1から露出したカーソルキー6の一つのタクトキー4(例えばタクトキー4c)側を押すと、図3(b)に示すように、係合部62が係合凹部7の中を摺動してカーソルキー6が傾き、タクトキー4cに対向する突起部63cがタクトキー4cのタッチ面41を押し、タクトキー4cからの信号が出力される。同様に、隣り合う二つのタクトキー4の間の斜め方向、例えば4aと4bとの間の方向にカーソルキー6を押すと、突起部63aと63bがタクトキー4a,4bのタッチ面を押し、同時に二つのタクトキー4a,4bからの信号が出力される。このとき、中央部の突起部64が基板5に接触するので、その接触点が支点となり、突起部63a,63b以外の突起部63c,63dはタクトキー4c,4dには接触しない。
このような構成により、図4に示すように、手持操作器を左手で把持し、左手の親指でカーソルキー6を操作することにより、他のタクトキーが誤動作することなく、目的のタクトキーを動作させて、確実に上下左右と斜め方向の移動指令を出すことができる。なお上記実施例では、左手で手持操作器を把持する場合について説明したが、右手で操作するものについても右勝手の構成にすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例を示す(a)平断面図および(b)一部を断面で示した側面図である。
【図2】本発明の実施例を示す一部を断面で示した要部平面図である。
【図3】本発明の実施例の要部を示す(a)側断面図および(b)動作中の側断面図である。
【図4】本発明の実施例の手持ちした状態を示す平面図である。
【図5】従来例を示す(a)平断面図および(b)要部側断面図である。
【符号の説明】
【0010】
1:ケース、11:上ケース、12:下ケース、2:取付座、3、3a、3b、3c、3d:切欠き穴、4、4a,4b,4c,4d:タクトキー、41:タッチ面、5:基板、6:カーソルキー、61:円板部、62:係合部、63、63a,63b,63c,63d:突起部、64:突起部、7:係合凹部、8:把持用バンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部が窪んでいる上ケースと前記上ケースを覆う下ケースからなるケースと、前記上ケースに設けた取付座と、前記上ケースの正面に設けた切欠き穴と、前記切欠き穴の中に挿入され、十字状に配置された4個のタクトキーと、前記タクトキーを取り付け、前記取付座に固定された基板とを備えた、手持操作器において、
前記上ケースの左側中央部に設けた円形の前記切欠き穴に挿入され、前記タクトキーを覆うカーソルキーと、
前記カーソルキーの前記切欠き穴から露出する円板部の外周に等間隔の位置に突出する係合部と、
前記円板部に設けられ、前記タクトキーにそれぞれ対向する突起部と、
前記円板部の中央部に設けられ、前記基板に対向する突起部と、
前記切欠き穴の周囲に設けられ、前記カーソルキーの係合部が係合して前記タクトキーの方向への前記カーソルキーの移動を許し、円周方向の回動を止める係合凹部と、を備えたことを特徴とする手持操作器。
【請求項2】
前記カーソルキーは、前記ケースを片手で把持したときに親指で操作できる位置に配置されたことを特徴とする請求項1記載の手持操作器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−181902(P2008−181902A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111614(P2008−111614)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【分割の表示】特願平9−342114の分割
【原出願日】平成9年11月26日(1997.11.26)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】