説明

用紙パッケージ

【課題】一度用紙パッケージから取り出された用紙の当該用紙パッケージへの挿入を防止すると共に、用紙が用紙パッケージから落下することのない用紙パッケージを提供すること。
【解決手段】
用紙パッケージ9は、直方体形状に形成された薄型の箱形に折り曲げられたパッケージ材8から構成され、用紙侵入阻止部材である耳部72は、底部40と第一外装部50に挟まれる空間に位置し、耳部72の側端が用紙7の挿入方向の端部に当接して、用紙7の端部が側壁部に当接することができない。従って、用紙7を完全に用紙パッケージ9の元の収納位置に戻すことができず、用紙7の一部が用紙パッケージ9からはみ出した状態になる。従って、落下した用紙7は、開口部49から用紙パッケージ9に戻すことができず、ゴミや埃が付着した用紙7が再使用されることを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙パッケージに関し、詳細には、重ねられた状態の用紙の外側をパッケージ材で保護するとともに、該パッケージ材とともに印刷装置にセット可能な用紙パッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、箱形状のパッケージ材の中に、積層された状態の用紙を収納し、当該用紙を印刷に使用するときには、パッケージ材の蓋部を開封して、反対側に折り返して、該パッケージ材とともに印刷装置にセット可能な用紙パッケージが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この用紙パッケージでは、複数枚の用紙をパッケージ単位でまとめて取り扱うことができるため使い勝手が向上されるとともに、内部の用紙を覆って保護できるため、特に光や熱に弱い感熱紙を用紙として採用する場合に有用であった。
【特許文献1】特開2003−285939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の用紙パッケージでは、使用時に蓋部を開封して用紙の一部が露出した状態にした場合に、用紙パッケージの内部に収容された用紙が用紙パッケージから落下してしまう場合があった。この場合に、落下した用紙にはゴミや埃が付着していることが多々ある。一方、落下した用紙を開口部から再度用紙パッケージに挿入して戻すことは容易であったために、落下した用紙が挿入された用紙パッケージを印刷装置にセットして印刷を行うと、用紙に付着したゴミ、埃等が邪魔をしてゴミ、埃等が付着した部分には印刷が行われず、その結果、印刷抜けが発生し、印字品質を低下させるおそれがあった。
【0004】
また、従来の用紙パッケージでは、内部に収納された用紙を押圧する手段がないので、用紙パッケージの取扱中に、用紙パッケージの開口部を下方に向けると、用紙が落下するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、一度用紙パッケージから取り出された用紙の当該用紙パッケージ内での元の収納位置への挿入を防止することを第一の目的とし、用紙が用紙パッケージから落下することのない用紙パッケージを実現することを第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明の用紙パッケージでは、印刷装置の被印刷媒体としての用紙と、積層された状態の前記用紙の外側を覆うパッケージ材とを有し、当該パッケージ材から用紙の一部を露出させた状態とする開口部を備え、用紙の一部を露出させた状態で当該パッケージ材とともに前記印刷装置にセット可能に構成された用紙パッケージであって、前記パッケージ材は、前記積層された用紙の積層方向一側の面を覆う矩形の第一部分と、前記第一部分に対向して、前記積層された用紙の積層方向他側の面を覆う第二部分と、前記第一部分及び前記第二部分に接続され用紙搬送方向に平行に前記積層された用紙の側面を覆う第三部分と、前記第三部分に前記積層された用紙を挟んで対向し用紙搬送方向に平行に積層された用紙の側面を覆う第四部分と、前記第一部分または前記第二部分に接続され用紙搬送方向上流側において前記積層された用紙の側面を覆う第五部分とを備え、組み立て後の前記用紙パッケージ内には、前記開口部を介して排出された用紙が再び前記開口部から挿入されて、元の収納位置まで押し込まれることを妨げる用紙侵入阻止部材が設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明の用紙パッケージでは、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記第五部分に接続され、前記第五部分が前記第一部分に接続されている場合は前記第二部分に重なり合い、前記第五部分が前記第二部分に接続されている場合は前記第一部分に重なり合う第六部分を備え、前記用紙侵入阻止部材は、前記第六部分に設けられ、前記開口部を介して排出された用紙が再び当該開口部を介して前記第五部分に当接することを妨げることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明の用紙パッケージでは、請求項2に記載の発明の構成に加えて、前記用紙侵入阻止部材は、前記第六部分において折り目を介して用紙搬送方向に直交する方向に延設された耳部であり、前記耳部は、前記折り目においてパッケージ材の弾性によって弾性復帰することにより、前記第一部分と前記第二部分とに挟まれる空間、または、前記第五部分が前記第一部分に接続されている場合には前記第二部分と前記積層された用紙との隙間、前記第五部分が前記第二部分に接続されている場合には前記第一部分と前記積層された用紙との隙間において、前記耳部の先端が前記第六部分から離れて位置し、前記開口部を介して前記第五部分に当接するように挿入される用紙に対して、前記耳部の側端が当接することにより用紙が第五部分に当接することを妨げることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明の用紙パッケージでは、請求項3に記載の発明の構成に加えて、前記第五部分が前記第一部分に接続されている場合には第一部分と第五部分との折り目の内側に、前記第五部分が前記第二部分に接続されている場合には第二部分と第五部分との折り目の内側に、窪部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明の用紙パッケージでは、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記用紙侵入阻止部材は、前記第一部分に設けられ、前記開口部を介して排出された用紙が再び当該開口部を介して前記第五部分に当接することを妨げることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る発明の用紙パッケージでは、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記用紙侵入阻止部材は、前記第一部分に設けられ、前記第一部分において折り目を介して用紙搬送方向に直交する方向に延設された耳部であり、前記耳部は、前記折り目においてパッケージ材の弾性によって弾性復帰することにより、前記第一部分と前記第二部分とに挟まれる空間、または、前記第一部分と前記積層された用紙との隙間において、前記耳部の先端が前記第一部分から離れて位置し、前記開口部を介して前記第五部分に当接するように挿入される用紙に対して、前記耳部の側端が当接することにより用紙が第五部分に当接することを妨げることを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に係る発明の用紙パッケージでは、請求項6に記載の発明の構成に加えて、前記第二部分と前記第三部分との折り目の内側、前記第四部分が前記第二部分に接続されている場合には前記第二部分と前記第四部分との折り目の内側、及び、前記第五部分が前記第二部分に接続されている場合には第二部分と第五部分との折り目の内側には、各々窪部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に係る発明の用紙パッケージでは、請求項4または請求項7に記載の発明の構成に加えて、前記各窪部は、ミシン目、ハーフカット又は、ピット状の窪みの何れかで形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明の用紙パッケージでは、組み立て後の用紙パッケージ内には、開口部を介して排出された用紙が再び開口部から挿入されて、元の収納位置まで押し込まれることを妨げる用紙侵入阻止部材が設けられているので、一度用紙パッケージから取り出された用紙が、当該用紙パッケージ内の元の収納位置まで挿入されることを防止できる。
【0015】
また、請求項2に係る発明の用紙パッケージでは、請求項1に記載の発明の効果に加えて、用紙侵入阻止部材は、第六部分に設けられており、開口部を介して排出された用紙が再び当該開口部を介して第五部分に当接することを防止して、前記開口部を介して排出された用紙が再び開口部から挿入されて、元の収納位置まで押し込まれることを妨げることができる。
【0016】
また、請求項3に係る発明の用紙パッケージでは、請求項2に記載の発明の効果に加えて、第一部分と第二部分とに挟まれる空間、または、前記第五部分が前記第一部分に接続されている場合には第二部分と積層された用紙との隙間、前記第五部分が前記第二部分に接続されている場合には前記第一部分と前記積層された用紙との隙間において、用紙侵入阻止部材としての耳部の先端が第六部分から離れて位置するので、開口部を介して第五部分に当接するように挿入される用紙に対して、耳部の側端が当接することにより用紙が第五部分に当接することを妨げて、前記開口部を介して排出された用紙が再び前記開口部から挿入されて、元の収納位置まで押し込まれることを妨げることができる。また、第六部分から用紙搬送方向に直交する方向に折り返された耳部が用紙パッケージに収納された用紙の表面を押圧するので、用紙が用紙パッケージから落下することを防止できる。
【0017】
また、請求項4に係る発明の用紙パッケージでは、請求項3に記載の発明の効果に加えて、前記第五部分が前記第一部分に接続されている場合には第一部分と第五部分との折り目の内側に、前記第五部分が前記第二部分に接続されている場合には第二部分と第五部分との折り目の内側に、窪部が形成されている。そのため、前記第五部分が前記第一部分に接続されている場合には第一部分に対して第五部分を折り曲げても、境界が折り曲げ易いようにパッケージ材の外側表面から内側表面に向かって境界に沿って型押しをする折り目加工されているものに対して、折り曲げたときに折り目の内側に形成される盛り上がった部分と第一部分との狭い隙間に用紙が挟まれて、挟まれた用紙が印刷装置によっては取り出せないで残ってしまうことがない。また、前記第五部分が前記第二部分に接続されている場合には第二部分に対して第五部分を折り曲げても、境界が折り曲げ易いようにパッケージ材の外側表面から内側表面に向かって境界に沿って型押しをする折り目加工されているものに対して、折り曲げたときに折り目の内側に形成される盛り上がった部分と第二部分との狭い隙間に用紙が挟まれて、挟まれた用紙が印刷装置によっては取り出せないで残ってしまうことがない。
【0018】
また、請求項5に係る発明の用紙パッケージでは、請求項1に記載の発明の効果に加えて、用紙侵入阻止部材は、第一部分に設けられているので、開口部を介して排出された用紙が再び当該開口部を介して第五部分に当接することを妨げることができる。
【0019】
また、請求項6に係る発明の用紙パッケージでは、請求項1に記載の発明の効果に加えて、用紙侵入阻止部材は、第一部分において折り目を介して用紙搬送方向に直交する方向に延設された耳部であるので、当該耳部がパッケージ材の弾性によって弾性復帰することにより、第一部分と第二部分とに挟まれる空間、または、第一部分と積層された用紙との隙間において、耳部の先端が第一部分から離れて位置し、開口部を介して第五部分に当接するように挿入される用紙に対して、耳部の側端が当接することにより用紙が第五部分に当接することを妨げることができる。また、第一部分に設けられた耳部が用紙パッケージに収納された用紙の表面を押圧するので、用紙が用紙パッケージから落下することを防止できる。
【0020】
また、請求項7に係る発明の用紙パッケージでは、請求項6に記載の発明の効果に加えて、前記第二部分と前記第三部分との折り目の内側、前記第四部分が前記第二部分に接続されている場合には前記第二部分と前記第四部分との折り目の内側、及び、前記第五部分が前記第二部分に接続されている場合には第二部分と第五部分との折り目の内側には、各々窪部が形成されている。そのため、第二部分に対して第三部分を折り曲げても、また、前記第四部分が前記第二部分に接続されている場合には第二部分に対して第四部分を折り曲げても、また、前記第五部分が前記第二部分に接続されている場合には第二部分に対して第五部分を折り曲げても、境界が折り曲げ易いようにパッケージ材の外側表面から内側表面に向かって境界に沿って型押しをする折り目加工されているものに対して、折り曲げたときに折り目の内側に形成される盛り上がった部分と第二部分との狭い隙間に用紙が挟まれて、挟まれた用紙が印刷装置によっては取り出せないで残ってしまうことがない。
【0021】
また、請求項8に係る発明の用紙パッケージでは、請求項4または請求項7に記載の発明の構成に加えて、前記各窪部は、ミシン目、ハーフカット又は、ピット状の窪みの何れかで形成されているので、容易に窪み加工を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の第一の実施の形態である用紙パッケージ9が装着される印刷装置1の構造を、図1乃至図4を参照して説明する。図1は印刷装置1の斜視図であり、図2は図1に示すA−A線における印刷装置1の矢視方向断面図である。また、図3は、印刷装置1の用紙収容部6に用紙パッケージ9をセットした状態を示した図であり、図4は、用紙分離部11および印刷機構部14の詳細を示した拡大断面図である。
【0023】
図1に示すように、印刷装置1は平面視、長方形状(A6サイズよりやや大きい程度の大きさ)で、厚みが略2cm程度の平板状の直方体形状に形成されている。また、印刷装置1の筐体を構成する本体ケース2は、印刷装置1のフレームを構成する平面視、長方形の枠体3と、当該枠体3の下面を覆う、平面視、長方形状の下カバー4と、当該枠体3の上面の一部を覆う上カバー5と、開閉可能な蓋体10等から構成されている。
【0024】
図2及び図3に示すように、印刷装置1の一端部側(図2及び図3における上側)の内部に、印刷機構部14が内蔵され、その上面を覆うように、平面視、長方形の上カバー5が設けられている。また、上カバー5で覆われた箇所を除いた枠体3の上面の残りの部分には、用紙収容部6が形成され、当該用紙収容部6の上方は平面視、長方形の蓋体10にて覆われ、図2に示すように、この蓋体10は開閉自在となっている。
【0025】
また、この用紙収容部6には、図3に示すように、一例として、A6やA7サイズのカットシート状の感熱紙からなる用紙7をパッケージ材8の内部に複数枚収納した用紙パッケージ9が収容可能となっている。さらに、本体ケース2側には図示しないロック機構が設けられており、用紙収容部6に用紙パッケージ9をセットした状態で、図3に示すように蓋体10を閉じてロックできるようになっている。
【0026】
尚、用紙収容部6の印刷機構部14側の端部には、用紙分離部11としてのピックアップローラ12および分離ブロック13等が配置されている。また、上カバー5の下方には、印刷機構部14としてのサーマルヘッド15、プラテンローラ16、ペーパーガイド17が配置されている。
【0027】
次に、用紙分離部11を図4を参照して説明する。図4に示すように、用紙収容部6の印刷機構部14に近い側の端部には、ピックアップローラ12と分離ブロック13とが設けられている。また、蓋体10の用紙収容部6側を向く内面には、押圧板18が回動自在に支持されている。この押圧板18と蓋体10との間にはコイル状の付勢バネ19が介在され、押圧板18に対し、該押圧板18を下方へ回動させる向きの付勢力を常時作用させている。
【0028】
尚、用紙パッケージ9は、印字面を下側へ向けながら積層された状態で内部に収納されている用紙7のうち、最も下側に位置する用紙7の下面をパッケージ材8から一部露出させた状態で、用紙収容部6に装着される。そして、前記蓋体10を閉じてロックした際には、付勢バネ19により下方へ付勢される押圧板18が、パッケージ材8を介して、用紙7の露出した部分をピックアップローラ12側へ押し付け、該用紙7の下面を該ピックアップローラ12に接触させるようになっている。
【0029】
また、図4に示すように、ピックアップローラ12に近接かつ対向するように用紙分離部11を構成する分離ブロック13が設けられているが、この分離ブロック13は、ピックアップローラ12の用紙送り出し方向に対して傾斜した分離案内面13aを備えている。この構成の用紙分離部11では、ピックアップローラ12が回転駆動することにより、該ピックアップローラ12に接触する最下層の用紙7に摩擦搬送力が加えられる。そして、分離ブロック13の分離案内面13aの分離作用とあいまって、最下層に位置する一枚の用紙7のみが分離されて送り出される。
【0030】
次に、印刷機構部14について説明する。図4に示すように、ピックアップローラ12に対して、分離ブロック13を挟んだ反対側にはプラテンローラ16が図示外のモータにより回転可能に設けられ、その外周面に近接してペーパーガイド17が配置されている。このペーパーガイド17には、円柱状のプラテンローラ16の外周面に沿うように、断面が横向き略「U」字状となる凹湾曲状の摺接面17aが形成されている。このペーパーガイド17と本体ケース2との間には押圧コイルバネ20が設けられており、摺接面17aをプラテンローラ16の外周面に向けて付勢するようになっている。
【0031】
また、この構成の印刷装置1においては、前述の用紙分離部11で分離された用紙7は、ピックアップローラ12により搬送されて、分離ブロック13の下端と、用紙の向きをプラテンローラ16側へ向けるためのガイド板21の間を通過するようになっている。そして、用紙7はこのガイド板21により案内され、プラテンローラ16の下面側から、該プラテンローラ16とペーパーガイド17との間に送られる。そして用紙7は、プラテンローラ16の外周面とペーパーガイド17の摺接面17aとの間で保持されつつ、プラテンローラ16の回転駆動により横向きU字状に反転されながら搬送され、印字面を上側に向けながらプラテンローラ16の上面側に至る。
【0032】
図4に示すように、プラテンローラ16の上面側に位置するサーマルヘッド15は、印字部たる発熱体部15aを有している。該サーマルヘッド15は回動軸15bまわりに回動可能に設けられて、発熱体部15aがプラテンローラ16の上面に接離可能に構成されている。尚、このようにサーマルヘッド15を回動自在に構成したのは、プラテンローラ16とペーパーガイド17との間で用紙7が詰まった場合におけるジャム紙除去作業において、サーマルヘッド15が作業の邪魔にならないようにするためである。
【0033】
また、図4に示すように、サーマルヘッド15には捩りコイルバネタイプのスプリング22の一端が係止されて、該サーマルヘッド15の発熱体部15aがプラテンローラ16上面に近接する方向の付勢力を常時加えている。この構成で、前述のように印字面を上側に向けながらプラテンローラ16により送られてくる用紙7の上面にサーマルヘッド15の発熱体部15aが接触し、この接触する箇所において用紙7に印字がなされる。
【0034】
サーマルヘッド15はラインヘッド型とされ、搬送されてくる感熱型の用紙7に対し、該用紙7の搬送方向に直交する方向に延びるライン毎に、任意の文字や画像を印刷することができる。一本のラインにつき印刷する際の印刷幅は、印刷対象の用紙7の幅に略等しく設定されている。このようにサーマルヘッド15を印刷ヘッドとして用いるのは、被記録媒体として感熱紙を用いることで、インクやインクリボンなどの消耗品が不要とできるほか、インクの供給のための機構などを省略でき、印刷装置1をコンパクトに構成できるからである。感熱紙としては、サーマルヘッド15の加熱により発色する発色層を有する感熱発色タイプのものや、加熱により穿孔される穿孔層を基材層上に積層した感熱穿孔タイプのもの等、種々のものを使用可能である。
【0035】
また、前記分離ブロック13には、プラテンローラ16の用紙送り出し方向に対して傾斜した排紙ガイド面13bが形成されている。この構成において、サーマルヘッド15の発熱体部15aにより印字がなされた後の用紙7は、この排紙ガイド面13bにより案内されて、図1に示すように、本体ケース2の上カバー5と前記蓋体10とがなす隙間から、蓋体10の上側へ排紙される。
【0036】
次に、印刷装置1にセットされる本発明の第一の実施の形態である用紙パッケージ9について、図5乃至図14を参照して詳細に説明する。図5は用紙パッケージ9の斜視図であり、図6は蓋部を裏側に折り返した状態の用紙パッケージ9の斜視図であり、図7は用紙パッケージ9の底面図である。また、図8はパッケージ材8の外側から見た展開図であり、図9は、パッケージ材8の内側から見た展開状態の斜視図である。また、図10〜図14は、用紙パッケージ9を製造する工程を示す斜視図である。
【0037】
図5に示すように、用紙パッケージ9は、直方体形状に形成された薄型の箱形に折り曲げられたパッケージ材8から構成されている。この用紙パッケージ9内には、一例として、A6〜A7サイズ程度の小サイズのカットシート状の感熱紙からなる用紙(被記録媒体)7が複数枚積層されて収納されている。使用者は、図5に示す箱形の状態で販売されている用紙パッケージ9を購入し、図6及び図7に示すように、蓋部44を開けて裏側に折り返して、後述する底部40の第三スリット45に蓋部44の差込部44dを差し込んで内部の用紙7を露出させてから、印刷装置1の用紙収容部6にパッケージ材8とともにセットして使用する。
【0038】
次に、図8及び図9を参照して、パッケージ材8の構造を説明する。図8は、パッケージ材8の外側から見た場合の展開図を示しており、図9は、パッケージ材8の内側、即ち、図8に示すパッケージ材8の裏面から見た状態の斜視図を示している。図8及び図9に示すように、パッケージ材8は、平板状の厚紙材を打ち抜いて形成されており、その中央部に、積層された用紙7の積層方向の一方の面を覆う矩形の第一部分としての底部40が設けられている。そして、底部40の一対の側端部の一方から矩形の第三部分としての側壁部41が延設され、他方の側端部から矩形の第四部分としての側壁部42が延設され、底部40の後端部から矩形の第五部分としての側壁部43が延設されている。この側壁部43は、用紙パッケージ9組み立て時に、用紙7の下端部を受けるようになっている。前記側壁部41乃至43の高さ(短手方向の幅)は、全て同じとなっており、用紙パッケージ9内に収納される用紙7の積層高よりも高くなっている。
【0039】
また、図8及び図9に示すように、底部40の前端側には、蓋部44が延設されており、この蓋部44は、矩形の蓋基部44aと、当該蓋基部44aから延設され、前記側壁部41乃至43の高さと同じ高さ(短手方向の幅)の矩形の蓋側壁部44bと、蓋側壁部44bから延設され、当該蓋側壁部44bより幅が細くなった蓋先端部44cと、当該蓋先端部44cから延設され、蓋先端部44cよりも幅が細くなりその先端に一対の傾斜辺を備えた差込部44dとが設けられている。尚、底部40と蓋基部44aとを合わせた形が用紙7とほぼ同じ形状になっている。
【0040】
また、図8及び図9に示すように、底部40の側壁部41には、組み立て後に、底部40に対向して用紙7を覆う第二部分としての矩形の第一外装部50が延設されている。この第一外装部50には、前記蓋部44の差込部44dが差し込まれる切り込みである第一スリット51と、後述する第二外装部60の差込部61が差し込まれる切り込みである第二スリット52とが形成されている。また、第一外装部50の蓋基部44a側の側端部には、用紙7の有無を検出する検出用切り欠きに相当する四角形の切り欠きである切欠部53が設けられている。この切欠部53を利用して、印刷装置1は、用紙7の有無を検出する。即ち、用紙パッケージ9は、図6に示す状態で、印刷装置1の用紙収容部6に装着されるが、印刷装置1には、切欠部53に対向する位置に反射型光学センサ80(図3及び図4参照)が設けられている。従って、用紙パッケージ9に用紙7が有るうちは、用紙7からの光の反射を反射型光学センサが検出し、用紙7が無くなると、反射型光学センサは、蓋体10の裏面を構成する合成樹脂からの反射光を検出することになる。従って、用紙収容部6を構成する合成樹脂の色合いを光の反射率の低いものにしておけば、用紙の有無を容易に検出できる。
【0041】
尚、図8に示すように、パッケージ材8の表側(外側)の底部40の第一外装部50側の端部にも用紙パッケージ9に収納されている用紙7の種類やサイズを示すセンサマーク46を印刷する箇所が3箇所設けられている。このセンサマーク46は、印刷装置1に設けられている反射型光学センサ(反射型光学センサ80とは異なる図示外のセンサ)により読み取られるものである。例えば、センサマーク46が印刷されていると「1」印刷さていないと「0」とすると、3個のセンサマーク46有り無しの組合せにより用紙パッケージなし及び7種類の用紙7を識別することができる。また、底部40には、折り返された蓋部44の差込部44dが差し込まれる第三スリット45が設けられている。さらに、側壁部41と第一外装部50との間には、切欠部53側から所定の長さで切り込まれた切込部54が設けられている。この切込部54は、用紙パッケージ9を用紙収容部6に装着した場合に、押圧板18により第一外装部50が押圧された場合に、第一外装部50の撓みを容易にするためである。
【0042】
さらに、図8及び図9に示すように、底部40の側壁部42には、組み立て後に、底部40に対向して用紙7を覆う第一外装部50を固定するための第二外装部60が延設されている。この第二外装部60は、第一外装部50に比較して、狭い幅となっており、その側端部に差込部61が形成されている。用紙パッケージ9の組み立て時に、この差込部61は、第一外装部50の第二スリット52に挿入され、第一外装部50を底部40と対向する位置に固定するようになっている。
【0043】
また、図8及び図9に示すように、底部40の側壁部43には、第六部分としての矩形の舌部70が延設されている。また、この舌部70の長手方向の両端部には、矩形の耳部71及び耳部72が各々延設されている。この耳部71及び耳部72が折り曲げられて、用紙パッケージ9内で用紙侵入阻止部材として機能する。尚、図8及び図9で、二点鎖線で示されているのは折り目加工が施されている部分であって、当該折り目で厚紙材を折り曲げ易くして組立て時の便宜を図っている。
【0044】
次に、図10乃至図14を参照して、用紙パッケージ9を製造する工程を説明する。図10乃至図14は、用紙パッケージ9の製造工程を示す図である。まず、図10に示すように、舌部70の長手方向の両端部の耳部71及び耳部72を折り返すと共に、積層した用紙7を底部40上に載置する。次いで、図11に示すように、パッケージ材8の舌部70を上方へ折り曲げる。次に、図12に示すように、当該舌部70の上方に重ねるようにして、第一外装部50を折り曲げ、次いで、図13に示すように、第一外装部50上に第二外装部60を折り曲げる。次いで、第二外装部60の差込部61を第一外装部50の第二スリット52に差し込む。
【0045】
最後に、図14に示すように、蓋部44を第一外装部50上へ折り曲げ、蓋部44の差込部44dを第一外装部50の第一スリット51に差し込んで、用紙パッケージ9が完成する。この状態で、用紙パッケージ9は販売されることになる。尚、この状態では、用紙パッケージ9内では、耳部71及び耳部72が弾性復帰しようとすることにより、積層した用紙7の表面を押圧している。
【0046】
次に、図3、図5、図6、図7、図15、図16及び図17を参照して、用紙パッケージ9の使用方法を説明する。図15及び図16は、用紙パッケージ9の使用時の開封動作を示す斜視図であり、図17は、用紙パッケージ9の印刷装置1への装着動作を示す側面図である。まず、用紙パッケージ9の使用時には、図5に示す状態になっている用紙パッケージ9の蓋部44を、図15に示すように、起こし、次いで、図16に示すB−B線で蓋部44を裏側に折り返す。そして、図7に示すように、蓋部44の蓋先端部44cの差込部44dを底部40の第三スリット45に差し込み、蓋部44を底部40に固定すると、図6に示すように、用紙パッケージ9は、用紙7の先端部分が露出した状態になる。この状態の用紙パッケージ9を図3に示すように、印刷装置1の用紙収容部6に収納する。そして、蓋体10を閉じると、押圧板18により、用紙パッケージ9の第一外装部50が押圧され、積層された用紙7の最下層部のものが、ピックアップローラ12に押圧される。
【0047】
このときに、用紙パッケージ9の第一外装部50に設けられた切欠部53に、印刷装置1に設けられた反射型光学センサ80が対向するようになっている(図3及び図4参照)。従って、用紙パッケージ9内に用紙7が存在する場合には、反射型光学センサ80は、用紙7からの反射光を検出し、用紙7が存在しなくなると、蓋体10の裏面を構成する合成樹脂からの反射光を検出することになる。
【0048】
次に、図6、図16〜図22を参照して、本発明の要部である用紙侵入阻止部材(耳部71及び耳部72)の働きを説明する。図18は、用紙パッケージ9の図16に於けるC−C線での矢視方向断面図であり、図19は、用紙7が使用され、枚数が少なくなった状態の図16に於ける用紙パッケージ9のC−C線での矢視方向断面図である。また、図20は、内部に用紙7が無くなった状態の図16に於ける用紙パッケージ9のC−C線での矢視方向断面図であり、図21は、用紙パッケージ9に用紙7を挿入する状態の斜視図であり、図22は、用紙パッケージ9の開口部49から用紙7を挿入した状態の用紙パッケージ9の縦断面である。
【0049】
図6及び図16に示すように、用紙パッケージ9の蓋部44を折り返した状態のときに、用紙パッケージ9内では、図18に示すように、舌部70の両端部から折り返された耳部71及び耳部72が用紙パッケージ9内に収納された用紙7の表面を押圧している。耳部71及び耳部72の押圧力は、パッケージ材8の弾性により耳部71及び耳部72が弾性復帰しようとすることにより生じている。また、用紙パッケージ9内に収納された用紙の枚数が少ない場合でも、当該耳部71及び耳部72が弾性復帰して、図19に示すように、用紙7の表面を押圧する。従って、用紙パッケージ9の蓋部44が折り返された状態の時に、用紙パッケージ9から用紙7が落下することを防止できる。
【0050】
また、使用者によって、用紙パッケージ9から用紙7が全部引き出されてしまった場合や、蓋部44が折り返された状態で用紙パッケージ9の開口部を下方に向けて振った場合等には、用紙パッケージ9から用紙7が全部出て落下してしまうことがある。この場合には、図20に示すように、耳部71及び耳部72が折り目においてパッケージ材8の弾性により弾性復帰して、底部40に耳部71及び耳部72の先端が当接した状態になる。この状態で、図21に示すように、用紙7を開口部49から用紙パッケージ9に挿入すると、図22に示すように、耳部71及び耳部72は、底部40(第一部分)と第一外装部50(第二部分)に挟まれる空間に位置し、耳部71及び耳部72の側端が用紙7の挿入方向の端部に当接して、用紙7の端部が側壁部43に当接することができなくなる。従って、図22に示すように、用紙7を完全に用紙パッケージ9の元の収納位置に戻すことができず、用紙7の一部が用紙パッケージ9からはみ出した状態になる。従って、落下した用紙7を開口部49から用紙パッケージ9の正規の収納位置に戻すことができず、ゴミや埃が付着した用紙7が再使用されることを防止できる。
【0051】
次に、図23乃至図24を参照して、用紙パッケージ9の第二の実施の形態について説明する。図23は、第二の実施の形態の用紙パッケージ9のパッケージ材8の外側から見た展開図であり、図24は、第二の実施の形態の用紙パッケージ9を組み立てる途中の状態を示す斜視図である。
【0052】
図23に示すように、第二の実施の形態の用紙パッケージ9のパッケージ材8は、殆どの形状は、第一の実施の形態のパッケージ材8と同じであるので、異なる部分のみ説明する。図23に示すように、第二の実施の形態の用紙パッケージ9のパッケージ材8にも、矩形の舌部70が設けられている。そして、当該舌部70の長手方向の中間部分に折り返すと第一の実施の形態の耳部71及び耳部72と同様の機能を生じる矩形の耳部73及び耳部74が切れ目(直線)と折り目(2点鎖線)を付けて設けられている。この第二の実施の形態では、図24に示すように、舌部70を起こして折り曲げ、さらに、耳部73,74を各々折り曲げることにより、当該耳部73及び耳部74により、用紙7を押圧して、第一の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0053】
次に、図25を参照して、用紙パッケージ9の第三の実施の形態について説明する。図25は、第三の実施の形態の用紙パッケージ9のパッケージ材8の外側から見た展開図である。
【0054】
図25に示すように、第三の実施の形態の用紙パッケージ9のパッケージ材8は、殆どの形状は、第一の実施の形態のパッケージ材8と同じであるので、異なる部分のみ説明する。図25に示すように、第三の実施の形態の用紙パッケージ9のパッケージ材8にも、矩形の舌部70が設けられているが、耳部は、舌部70には設けられていない。この第三の実施の形態では、矩形の耳部47及び耳部48は、底部40に切れ目(直線)と折り目(2点鎖線)を付けて設けられている。従って、第一部分としての底部40に用紙7を載置する前に、底部40の耳部47及び耳部48を引き起こして折り曲げておき、その上に用紙7を載置することにより、当該耳部47及び耳部48が用紙7を押圧して、第一の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0055】
次に、図26を参照して、用紙パッケージ9の第四の実施の形態について説明する。図26は、第四の実施の形態の用紙パッケージ9のパッケージ材8の外側から見た展開図である。
【0056】
図26に示すように、第四の実施の形態の用紙パッケージ9のパッケージ材8は、殆どの形状は、第一の実施の形態のパッケージ材8と同じであるので、異なる部分のみ説明する。図26に示すように、第四の実施の形態の用紙パッケージ9のパッケージ材8にも、矩形の舌部70が設けられているが、耳部は、舌部70には設けられていない。この第四の実施の形態では、矩形の耳部57及び耳部58は、第一部分としての第一外装部50に切れ目(直線)と折り目(2点鎖線)を付けて設けられている。従って、底部40に用紙7を載置して、その後、第一外装部50を折り重ねる前に、耳部57及び耳部58を引き起こして折り曲げておき、第一外装部50を折り重ねることにより、当該耳部57及び耳部58が用紙7を押圧して、第一の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0057】
次に、図27を参照して、第五の実施の形態の用紙パッケージ9について説明する。図27は、第五の実施の形態の用紙パッケージ9のパッケージ材8の内側から見た展開図である。この第五の実施の形態のパッケージ材8の形状は、図8に示す第一の実施の形態のパッケージ材8と同一形状であるが、異なる点は、底部40と側壁部41との境界401にミシン目が形成されている点と、底部40と側壁部42との境界402にもミシン目が形成されている点と、底部40と側壁部43との境界403にもミシン目が形成されている点である。
【0058】
通常、パッケージ材8には、折り曲げる境界には、折り曲げたときに外側になる側の面から内側になる側の面に向かって半円筒状の型押しをする折り目加工が施される。これにより、境界を折り目として折り曲げやすくなる。そして、この型押しによる折り目加工が施された境界で折り曲げた場合、折り目の内側には折り目に沿って盛り上がった部分410(図30参照)が形成される。底部40と側壁部41との境界401、底部40と側壁部42との境界402、底部40と側壁部43との境界403にも通常この半円筒状の型押しによる折り目加工が施されており、各境界で折り曲げた場合、各折り目の内側には折り目に沿って盛り上がった部分410(図30参照)が形成される。それは、折り目の内側部分は折り曲げられる際に圧縮されるので、逃げ場を求めて隆起するためである。盛り上がり部分の内部では多少パッケージ材の繊維が解れ、他の部分に比べて繊維の密度が若干低くなっている。底部40と境界401にできる盛り上がり部分410(図30参照)とは隣接しており、その間には狭い隙間411が形成されている。その隙間411に用紙7が挟まってしまうことがある。底部40と境界402にできる盛り上がり部分、底部40と境界403にできる盛り上がり部分についても同様である。一度その隙間に用紙が挟まってしまうと、印刷装置1によって、挟まれた用紙を繰り出そうとしても繰り出せないことがある。尚、挟まる可能性のある用紙は、底部40に面した最下層の用紙7だけである。用紙7が挟まれるためには、前述のように用紙7を挟むためのパッケージ材8のある面と、その面に隣接する盛り上がり部分とが必要であり、用紙7はその面に平行な状態で接触していると挟まれやすい。また、用紙7の端縁が直線状に連続する盛り上がり部分に平行に接触すると挟まれやすい。その点、本実施形態の用紙収容部6を上から見た大きさは、内部に収納する用紙7とほぼ同じであり、用紙7は各端縁を用紙収容部6の内側壁あるいはパッケージ材8の側壁によって規制されるため、用紙7の端縁が直線状に連続する盛り上がり部分に平行に接触することになりやすい。最下層の用紙7は、重力の影響と、用紙搬送方向上流側において耳部71及び耳部72とが用紙7を下向きに付勢する影響と、用紙搬送方向下流側において付勢バネ19が用紙7を下向きに付勢する影響とによって、底部40に押し付けられているため挟まれやすい。同じ最下層の用紙7であっても、下向きに付勢されている部分とそうでない部分とでは下向きに付勢されている部分の方が挟まれやすい傾向にある。
【0059】
但し、用紙パッケージ9には、用紙収容部6に装着されるとき裏側に折り返される蓋基部44aがある。蓋基部44aの搬送方向長さは、用紙パッケージ9の搬送方向の長さにおける約3分の1の長さである。その分、底部40は短く形成されていることと、側壁も底部40のある部分にしかないので、用紙パッケージ9の搬送方向下流側の端部から、用紙パッケージ9の搬送方向の長さにおける約3分の1上流側までの部分には、下面にそもそも搬送方向に平行な折り目がなく、盛り上がり部分もない。付勢バネ19は、用紙パッケージ9の搬送方向下流側端部において一番下向きに付勢する力が強く、上流側に向かう程弱くなるように構成されている。そのため、用紙搬送方向下流側において付勢バネ19が用紙7を下向きに付勢することにより用紙7が挟まる虞は、用紙搬送方向上流側において耳部71及び耳部72とが用紙7を下向きに付勢することにより用紙7が挟まる虞よりも小さい。
【0060】
この通常の折り目加工が施されたパッケージ材8を用いた用紙パッケージ9に対し、本実施形態の用紙パッケージでは、前述したように底部40と側壁部41との境界401、底部40と側壁部42との境界402、及び、底部40と側壁部43との境界403にミシン目が形成されている。一例として、図31に示すように、ミシン目412により、底部40に対して、側壁部41が折り曲げ易くなると共に、ミシン目が施された境界で折り曲げた折り目にはその内側に盛り上がり部分は形成されない。また、同様にミシン目により、底部40に対して、側壁部42,43が折り曲げ易くなると共に、ミシン目が施された境界で折り曲げた折り目にはその内側に盛り上がり部分は形成されない。そのため、通常の折り目加工が施された用紙パッケージ9とは異なり、底部40に対向する最下層の用紙7が、底部40と側壁部41との境界、底部40と側壁部42との境界、底部40と側壁部43との境界に挟まることを防止できる。尚、この第五の実施の形態のパッケージ材8では、側壁部41と第一外装部50との境界404、側壁部42と第二外装部60との境界405、側壁部43と舌部70との境界406は、半円筒形状に型押しした通常の折り曲げ加工が成されている。
【0061】
本実施形態の用紙パッケージ9では、ミシン目は用紙パッケージ9の下面にある底部40と側壁部41との境界401、底部40と側壁部42との境界402、及び、底部40と側壁部43との境界403に施されているが、耳部71、72に用紙7を挟んで対向する底部40の境界であって、耳部71及び耳部72とが用紙7を下向きに付勢する影響が強い境界403だけに施すようにしてもよい。その際、さらに耳部71、72に用紙7を挟んで対向する底部40の境界であって、境界403における耳部71近傍及び耳部72近傍である部分のみに施すようにしてもよい。また、ミシン目は、耳部71に用紙7を挟んで対向する底部40の境界402における耳部71の近傍である境界402の搬送方向上流側端部と、耳部72に用紙7を挟んで対向する底部40の境界401における耳部72の近傍である境界401の搬送方向上流側端部と、境界403とに施すようにしてもよい。
【0062】
次に、図28を参照して、第六の実施の形態の用紙パッケージ9について説明する。本実施の形態の用紙パッケージ9も第五の実施の形態の用紙パッケージ9と同様、底部40に対向する最下層の用紙7が、底部40と側壁部41との境界、底部40と側壁部42との境界、底部40と側壁部43との境界に挟まることの防止を目的としている。図28は、第六の実施の形態の用紙パッケージ9のパッケージ材8の内側から見た部分拡大図である。この第六の実施の形態のパッケージ材8の形状は、図8に示す第一の実施の形態のパッケージ材8と同一形状であるが、異なる点は、図28に示すように、底部40と側壁部41との境界401を内側からパッケージ材8の厚みの半分程度の深さまで切り込んで折り曲げ易くする処理(以下「ハーフカット処理」という。)が成されている点と、同様に底部40と側壁部42との境界にもハーフカット処理が成されている点と、同様に底部40と側壁部43との境界にもハーフカット処理が成されている点である。ハーフカット処理により、底部40に対して側壁部41,42,43が折り曲げ易くなると共に、底部40に対して側壁部41,42,43の境界が密着して折り曲げられるので、底部40に対向する最下層の用紙7が、底部40と側壁部41との境界、底部40と側壁部42との境界、底部40と側壁部43との境界に挟まることを防止できる。尚、この第六の実施の形態のパッケージ材8では、側壁部41と第一外装部50との境界、側壁部42と第二外装部60との境界、側壁部43と舌部70との境界は、半円筒形状に型押しした通常の折り曲げ加工が成されている。
【0063】
次に、図29を参照して、第七の実施の形態の用紙パッケージ9について説明する。本実施の形態の用紙パッケージ9も第五の実施の形態の用紙パッケージ9と同様、底部40に対向する最下層の用紙7が、底部40と側壁部41との境界、底部40と側壁部42との境界、底部40と側壁部43との境界に挟まることの防止を目的としている。図29は、第七の実施の形態の用紙パッケージ9のパッケージ材8の内側から見た部分拡大図である。この第七の実施の形態のパッケージ材8の形状は、図8に示す第一の実施の形態のパッケージ材8と同一形状であるが、異なる点は、図29に示すように、底部40と側壁部41との境界401に貫通しない所定深さのピット状の窪みが一列に設けられている点と、同様に底部40と側壁部42との境界にもピット状の窪みが一列に設けられている点と、同様に底部40と側壁部43との境界にもピット状の窪みが一列に設けられている点である。このピット状の窪みによる折り曲げ加工処理により、底部40に対して側壁部41,42,43が折り曲げ易くなると共に、底部40に対向する最下層の用紙7が、底部40と側壁部41との境界、底部40と側壁部42との境界、底部40と側壁部43との境界に挟まることを防止できる。尚、この第七の実施の形態のパッケージ材8では、側壁部41と第一外装部50との境界、側壁部42と第二外装部60との境界、側壁部43と舌部70との境界は、半円筒形状に型押しした通常の折り曲げ加工が成されている。尚、上記の「ミシン目」、「ハーフカット」及び「ピット状の窪み」が、「窪部」に相当する。
【0064】
尚、本発明は、上記実施の形態に限られず、各種の変形が可能である。例えば、耳部は、左右一対でなく、1つでも良い。また、耳部の形状は、矩形に限られず、台形等の任意の形状でも良い。また、上記の実施の形態では、側壁部42は、底部40から延設されているが、側壁部42は、第一外装部50から延設され、側壁部42に第二外装部60が延設されるようにしても良い。また、上記の実施の形態では、側壁部43は、底部40から延設されているが、側壁部43は、第一外装部50から延設され、側壁部43に舌部70が延設されるようにしても良い。また、「ミシン目」、「ハーフカット」及び「ピット状の窪み」は、底部40と側壁部41との境界、底部40と側壁部42との境界、底部40と側壁部43との境界の全てに設ける必要は無く、用紙7が挟まり易い部分だけに設け、他の部分は、半円筒形状に型押しした通常の折り曲げ加工としても良い。用紙7が挟まり易い部分としては、印刷装置1の押圧板18により押圧される第一外装部50の前側に対向する底部40と側壁部41との境界、底部40と側壁部42との境界部分、耳部によって用紙が付勢される部分の近傍になる底部40と何れかの側壁部との境界である。
【0065】
また、上記実施の形態の印刷装置1は、本体ケース2の上カバー5と前記蓋体10とがなす隙間から用紙7を排出するが、この隙間を塞がない限りは、側面を下にして立てても、上カバー5を下にして裏返しても使用可能である。その際、印刷装置1内部に装着されている用紙パッケージも立った状態であったり、裏返った状態であったりすることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】印刷装置1の斜視図ある。
【図2】図1に示すA−A線における矢視方向断面図である。
【図3】用紙収容部6に用紙パッケージ9をセットした状態を示した図である。
【図4】用紙分離部11および印刷機構部14の詳細を示した拡大断面図である。
【図5】用紙パッケージ9の斜視図ある。
【図6】蓋部44を裏側に折り返した状態の用紙パッケージ9の斜視図である。
【図7】用紙パッケージ9の底面図である。
【図8】第一の実施の形態のパッケージ材8の外側から見た展開図である。
【図9】パッケージ材8の内側から見た展開状態の斜視図である。
【図10】用紙パッケージ9を製造する工程を示す斜視図である。
【図11】用紙パッケージ9を製造する工程を示す斜視図である。
【図12】用紙パッケージ9を製造する工程を示す斜視図である。
【図13】用紙パッケージ9を製造する工程を示す斜視図である。
【図14】用紙パッケージ9を製造する工程を示す斜視図である。
【図15】用紙パッケージ9の使用時の開封動作を示す斜視図である。
【図16】用紙パッケージ9の使用時の開封動作を示す斜視図である。
【図17】用紙パッケージ9の印刷装置1への装着動作を示す側面図である。
【図18】用紙パッケージ9の図16に於けるC−C線での矢視方向断面図である。
【図19】用紙7が使用され、枚数が少なくなった状態の図16に於ける用紙パッケージ9のC−C線での矢視方向断面図である。
【図20】内部に用紙7が無くなった状態の図16に於ける用紙パッケージ9のC−C線での矢視方向断面図である。
【図21】用紙パッケージ9に用紙7を挿入する状態の斜視図である。
【図22】用紙パッケージ9の開口部49から用紙7を挿入した状態の用紙パッケージ9の縦断面である。
【図23】第二の実施の形態の用紙パッケージ9のパッケージ材8の外側から見た展開図である。
【図24】第二の実施の形態の用紙パッケージ9を組み立てる途中の状態を示す斜視図である。
【図25】第三の実施の形態の用紙パッケージ9のパッケージ材8の外側から見た展開図である。
【図26】第四の実施の形態の用紙パッケージ9のパッケージ材8の外側から見た展開図である。
【図27】第五の実施の形態の用紙パッケージ9のパッケージ材8の内側から見た展開図である。
【図28】第六の実施の形態の用紙パッケージ9のパッケージ材8の内側から見た部分拡大図である。
【図29】第七の実施の形態の用紙パッケージ9のパッケージ材8の内側から見た部分拡大図である。
【図30】従来の用紙パッケージ9の底部40と側壁部41との境界401近傍の折り曲げ加工部の縦断面の模式図である。
【図31】第五実施の形態の用紙パッケージ9の底部40と側壁部41との境界401近傍の折り曲げ加工部の縦断面の模式図である。
【符号の説明】
【0067】
1 印刷装置
2 本体ケース
6 用紙収容部
8 パッケージ材
9 用紙パッケージ
40 底部(第一部分)
41 側壁部(第三部分)
42 側壁部(第四部分)
43 側壁部(第五部分)
44 蓋部
44a 蓋基部
44b 蓋側壁部
44c 蓋先端部
44d 差込部
44e 切取部
44f 切取部
45 第三スリット
46 センサマーク
47 耳部
48 耳部
49 開口部
50 第一外装部(第二部分)
51 第一スリット
52 第二スリット
53 切欠部
54 切込部
60 第二外装部
61 差込部
70 舌部(第六部分)
71 耳部
72 耳部
73 耳部
74 耳部
401 境界
402 境界
403 境界
412 ミシン目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置の被印刷媒体としての用紙と、積層された状態の前記用紙の外側を覆うパッケージ材とを有し、当該パッケージ材から用紙の一部を露出させた状態とする開口部を備え、用紙の一部を露出させた状態で当該パッケージ材とともに前記印刷装置にセット可能に構成された用紙パッケージであって、
前記パッケージ材は、
前記積層された用紙の積層方向一側の面を覆う矩形の第一部分と、
前記第一部分に対向して、前記積層された用紙の積層方向他側の面を覆う第二部分と、
前記第一部分及び前記第二部分に接続され用紙搬送方向に平行に前記積層された用紙の側面を覆う第三部分と、
前記第三部分に前記積層された用紙を挟んで対向し用紙搬送方向に平行に積層された用紙の側面を覆う第四部分と、
前記第一部分または前記第二部分に接続され用紙搬送方向上流側において前記積層された用紙の側面を覆う第五部分とを備え、
組み立て後の前記用紙パッケージ内には、前記開口部を介して排出された用紙が再び前記開口部から挿入されて、元の収納位置まで押し込まれることを妨げる用紙侵入阻止部材が設けられていることを特徴とする用紙パッケージ。
【請求項2】
前記第五部分に接続され、前記第五部分が前記第一部分に接続されている場合は前記第二部分に重なり合い、前記第五部分が前記第二部分に接続されている場合は前記第一部分に重なり合う第六部分を備え、
前記用紙侵入阻止部材は、前記第六部分に設けられ、前記開口部を介して排出された用紙が再び当該開口部を介して前記第五部分に当接することを妨げることを特徴とする請求項1に記載の用紙パッケージ。
【請求項3】
前記用紙侵入阻止部材は、前記第六部分において折り目を介して用紙搬送方向に直交する方向に延設された耳部であり、
前記耳部は、前記折り目においてパッケージ材の弾性によって弾性復帰することにより、前記第一部分と前記第二部分とに挟まれる空間、
または、前記第五部分が前記第一部分に接続されている場合には前記第二部分と前記積層された用紙との隙間、前記第五部分が前記第二部分に接続されている場合には前記第一部分と前記積層された用紙との隙間において、前記耳部の先端が前記第六部分から離れて位置し、
前記開口部を介して前記第五部分に当接するように挿入される用紙に対して、前記耳部の側端が当接することにより用紙が第五部分に当接することを妨げることを特徴とする請求項2に記載の用紙パッケージ。
【請求項4】
前記第五部分が前記第一部分に接続されている場合には第一部分と第五部分との折り目の内側に、前記第五部分が前記第二部分に接続されている場合には第二部分と第五部分との折り目の内側に、窪部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の用紙パッケージ。
【請求項5】
前記用紙侵入阻止部材は、前記第一部分に設けられ、前記開口部を介して排出された用紙が再び当該開口部を介して前記第五部分に当接することを妨げることを特徴とする請求項1に記載の用紙パッケージ。
【請求項6】
前記用紙侵入阻止部材は、前記第一部分に設けられ、前記第一部分において折り目を介して用紙搬送方向に直交する方向に延設された耳部であり、
前記耳部は、前記折り目においてパッケージ材の弾性によって弾性復帰することにより、前記第一部分と第二部分とに挟まれる空間、または、前記第一部分と前記積層された用紙との隙間において、前記耳部の先端が前記第一部分から離れて位置し、
前記開口部を介して前記第五部分に当接するように挿入される用紙に対して、前記耳部の側端が当接することにより用紙が第五部分に当接することを妨げることを特徴とする請求項1に記載の用紙パッケージ。
【請求項7】
前記第二部分と前記第三部分との折り目の内側、前記第四部分が前記第二部分に接続されている場合には前記第二部分と前記第四部分との折り目の内側、及び、前記第五部分が前記第二部分に接続されている場合には第二部分と第五部分との折り目の内側には、各々窪部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の用紙パッケージ。
【請求項8】
前記各窪部は、ミシン目、ハーフカット又は、ピット状の窪みの何れかで形成されていることを特徴とする請求項4または請求項7に記載の用紙パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2008−168947(P2008−168947A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309189(P2007−309189)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】