説明

用紙加湿装置及びこれを備えた画像形成装置

【課題】給水槽に収容される水を必要最小限にすることにより給水効率を向上させる。また、給水ローラを浸漬した水槽内の水が、水槽と給水ローラとの隙間から流出して、用紙加湿装置内を水浸しにすることを防止する。
【解決手段】一対のローラにより形成されるニップ部に用紙を通過させることにより該用紙に水を付与する一対の加湿ローラと、一対の加湿ローラのそれぞれに、それぞれ圧接して水を供給する2つの給水ローラと、それぞれの該給水ローラに対向して配置された2つの給水槽とを有する給水手段と、を備えている用紙加湿装置において、二つの給水槽のそれぞれは、給水ローラに水を供給する第1槽と、第1槽の外周に形成され、該第1槽から溢れ出す水を収容する第2槽と、を有する用紙加湿装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は用紙を加湿する用紙加湿装置、及び用紙加湿装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置、即ち、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの機能を有する複合機においては、定着工程において、用紙から水分が奪われる結果、用紙がカールしたり波打ち状に変形することが問題となる。この問題を解決する手段として、定着処理後の用紙を加湿することが提案されている。
【0003】
特許文献1は、用紙を搬送してニップ部を形成する加湿ローラ対、加湿ローラ対の少なくとも一方の加湿ローラに、その表面に水を供給する給水手段、及び給水手段から加湿ローラに供給される水の量を抑制する規制手段を有する用紙加湿装置である。
【0004】
特許文献2は、定着装置から排出された用紙を水平方向に搬送し、一対の加湿ローラにより用紙を挟持して排出する用紙調湿システムであって、用紙搬送路の上方と下方にそれぞれ、加湿ローラ、中継ローラ、給水ローラを配置した構成をなす用紙加湿装置である。
【0005】
特許文献1及び2の用紙加湿装置は何れも給水ローラを浸漬して水を供給する水槽は単一の一重の構造である。
【特許文献1】特開2006−8282号公報
【特許文献2】米国特許第5,987,301号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
加熱定着装置から排出された用紙を用紙加湿装置により加湿することで、用紙の波打ちを低減することができる。しかし、給水ローラと、給水ローラを浸漬する給水槽とを隙間なく完全に密閉状態にすることは困難である。しかし、用紙を加湿して用紙の波打ちを矯正する用紙矯正装置を移動させる際や、用紙矯正装置内の用紙加湿装置を出し入れする際に、給水槽内の水が揺動して、給水槽と給水ローラとの隙間から流出して、用紙加湿装置内を水浸しにして、用紙搬送路において、ジャム等の用紙搬送不良が発生するおそれがある。
【0007】
本発明は、加湿ローラ対を用いた用紙加湿における上述の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的は、下記の発明により達成される。
【0009】
1. 一対のローラにより形成されるニップ部に用紙を通過させることにより該用紙に水を付与する一対の加湿ローラと、一対の前記加湿ローラのそれぞれに、それぞれ圧接して水を供給する2つの給水ローラと、それぞれの該給水ローラに対向して配置された2つの給水槽とを有する給水手段と、を備えている用紙加湿装置において、二つの前記給水槽のそれぞれは、前記給水ローラに水を供給する第1槽と、前記第1槽の外周に形成され、該第1槽から溢れ出す水を収容する第2槽と、を有することを特徴とする用紙加湿装置。
【0010】
2. 用紙に画像を形成する画像形成部と、画像が形成された前記用紙を定着する定着装置とを有する画像形成装置本体と、前記1に記載の用紙加湿装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0011】
前記1の発明による用紙加湿装置の水槽が第1槽と第2槽との二重構造をなすため、第1槽から水が溢れ出しても、その水を第2槽でうけとめられるので、用紙加湿装置内を水浸しにすることがない。
【0012】
また、第1槽に収容される水を必要最小限にすることにより給水効率が向上する。
【0013】
さらに、用紙矯正装置の移動する時、或いは、用紙矯正装置から用紙加湿装置を出し入れする際に、給水ローラを浸漬した水槽内の水が、水槽と給水ローラとの隙間から漏出して、用紙加湿装置内を水浸しにすることが防止される。
【0014】
前記2の発明により、画像形成装置本体、用紙加湿装置を接続配置した画像形成装置において、画像形成装置本体の加熱定着装置から排出される用紙に対して用紙加湿装置によって用紙のカールや波打ち等が解消され、平面性の良い用紙が送り出される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、実施の形態により本発明を説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。
【0016】
図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体図であり、該画像形成装置は画像形成装置本体A、用紙矯正装置B、及び用紙後処理装置FSから構成される。
【0017】
[画像形成装置本体]
画像形成装置本体Aは、自動原稿搬送装置1及び画像読取部2を上部に有し、下部がプリンタ部で構成される。
【0018】
プリンタ部において、3は用紙Sを収納する用紙収納部である。感光体4に対して、帯電、露光及び現像を行う電子写真プロセスにより、感光体4上にトナー像を形成する画像形成手段(プリンタエンジン)5において、用紙Sに画像が形成され、形成された画像は定着装置6において定着される。定着装置6は熱源6aが内蔵された加熱ローラ6bと加圧ローラ6cで用紙Sを搬送するニップ部を形成し、用紙Sを搬送しつつ加熱・加圧してトナーを溶融し、画像を用紙Sに定着する。
【0019】
用紙Sは用紙収納部3から第1給紙手段3aにより給送され、第2給紙手段3bにおいて一時停止した後に給紙されて画像形成が行われ、画像形成された用紙Sは、排紙ローラ8により排紙口から排出される。
【0020】
用紙Sの搬送経路としては、用紙収納部3から画像形成手段5までの給紙路7、画像形成手段5から定着装置6、排紙ローラ8を経て排紙口に至る搬送路9a及び反転搬送を行う裏面用搬送路9bが設けられる。
【0021】
画像形成モードとしては、片面フェースダウン排紙モード、片面フェースアップ排紙モード及び両面モードがあり、片面フェースダウン排紙モードでは、片面に画像が形成され、定着装置6を通過した用紙Sは、反転処理により表裏反転した後に、排紙ローラ8で搬送されて排出される。
【0022】
片面フェースアップ排紙モードでは、片面に画像形成され、搬送路9aを搬送された用紙Sは、そのまま排紙ローラ8により搬送され排出される。
【0023】
両面モードにおいては、片面に画像形成され、定着装置6を通過した用紙Sは、下方に走行して裏面用搬送路9bに進行し、表裏反転した後に、給紙路7に再給紙される。
【0024】
再給紙された用紙Sの裏面に画像形成手段5において裏面画像が形成され、裏面画像形成された用紙Sは定着装置6を通過し、排紙ローラ8により搬送されて排出される。
【0025】
10は操作部であり、画像形成装置本体部Aにおける各種のモード及び用紙後処理装置FSを用いた出力モードの設定を操作部10における操作で設定することができる。
【0026】
画像形成装置本体Aに配置された制御手段C1は、通信手段C4を介して用紙矯正装置Bの制御手段C2、及び用紙後処理装置FSの制御手段C3に接続されている。
【0027】
画像形成装置本体Aから排出された用紙Sは、用紙矯正装置Bを経て用紙後処理装置FSに搬送される。
【0028】
後述の用紙矯正装置Bの用紙加湿装置110及びデカール手段130,131により、平坦性が矯正された用紙Sは、後述の用紙後処理装置FSにおいて高品位の冊子が作製される。用紙矯正装置B及び用紙後処理装置FSについては、以下に説明する。
【0029】
[用紙後処理装置]
用紙後処理装置FSは、画像形成装置本体Aから排出される用紙Sに対して各種の後処理装置を行うもので、穿孔折り機、平綴じ機、中綴じ機、糊付け製本機、断裁機等を総称する。
【0030】
用紙後処理装置FSの一実施の形態として糊付け製本機を代表として説明する。
【0031】
糊付け製本機は、用紙導入手段21、排紙手段22、用紙束収納手段23、用紙束搬送手段24、糊塗布手段25、表紙供給手段26、表紙断裁手段27、表紙外装手段(くるみ製本手段)28、整合手段29を備えている。
【0032】
用紙導入手段21に導入された用紙Sは、用紙束収納手段23上に載置された後、斜め下方に逐次搬送され、用紙束搬送手段24の把持手段241によって把持され、用紙束Saを把持したまま用紙束Saに糊塗布処理をする面(背部)を下側になるように旋回されて所定位置に停止される。糊塗布手段25は、用紙束Saの背部に糊を塗布する。
【0033】
表紙供給手段26に収納された表紙Kは、表紙断裁手段27を経由して表紙外装手段28に搬送された後、表紙Kの後端部が表紙断裁手段27によって所定長に断裁される。表紙Kの断裁長は、用紙Sの進行方向の2枚分の長さに用紙束Saの背部の厚さを加えた長さである。
【0034】
表紙外装手段28は、表紙供給手段26から供給された表紙Kを受容して搬送し、所定位置に停止させた後、整合手段29により幅方向の位置決めを行う。表紙外装手段28は、用紙束Saの糊塗布面Nに圧接して接着される。
【0035】
用紙束Saの背部に対向する加圧部材の下降と、表紙外装手段28の上部に配置された左右対称な一対の折曲部材の移動とにより、表紙Kは用紙束Saの糊塗布面Nの側縁に沿って折り曲げられ、用紙束Saの表裏面に表紙Kを装着した用紙束Saが形成される。
【0036】
表紙Kの折り曲げ工程の終了後、表紙外装手段28が下降して待避した後、整合手段29の退避と共に表紙Kの幅方向外側に退避していた排出ベルト30が用紙束Saの下方の幅方向内側まで移動して停止する。その後、把持手段241による挟持が解除されると、用紙束Saは下降し、用紙束Saの下方の背部が排出ベルト30の上面に当接する位置に停止する。回動する排出ベルト30は、用紙束Saに表紙Kを貼着してくるみ製本処理された冊子を装置外に排出する。
【0037】
[用紙矯正装置]
図2は、本発明の実施の形態における用紙加湿装置110を備えた用紙矯正装置Bの断面図である。
【0038】
用紙矯正装置Bは、用紙導入部100、用紙加湿装置110、用紙搬送部120、及びデカール手段130,131を備えている。
【0039】
画像形成装置本体Aの画像形成部により画像形成された用紙Sは、定着装置6、排紙ローラ8を経て排出され、用紙矯正装置Bの用紙導入部100に導入されて搬送ローラ101に挟持されて搬送される。
【0040】
搬送ローラ101の用紙搬送方向下流側に配置された切替ゲート102は、下方の用紙加湿搬送路103に用紙Sを搬送するか、または、上方のバイパス搬送路104に用紙Sを搬送するかを選択して切り替える。
【0041】
用紙加湿搬送路103に導入される用紙Sは、搬送ローラ105,106に挟持されて搬送され、用紙加湿装置110に送り込まれる。
【0042】
用紙加湿装置110内に搬入された用紙Sは、搬送ローラR1,R2に挟持されてUターン状に搬送され、圧接して回転する一対の加湿ローラ111A,111Bにより挟持されて水分が付与されて加湿された後、搬送路116を通過して搬送ローラR3,R4によって挟持、搬送され、搬送路107を通過して、用紙搬送部120の搬送ローラ121に送り込まれる。
【0043】
給水手段は、給水ローラ112A,112B、規制ローラ113A,113B、給水槽114A,114B等を有する。116は搬送路、117A、117Bはファンである。
【0044】
用紙加湿装置110の詳細は、図3において詳述する。
【0045】
用紙搬送部120の搬送ローラ121には、バイパス搬送路104を通過する用紙S、又は用紙加湿装置110から排出され搬送路107を通過する用紙Sが導入される。搬送ローラ121によって搬送される用紙Sは、搬送路122を通過し、搬送ローラ123,124、排紙ローラ125によって搬送され、機外に排出される。
【0046】
用紙搬送部120には、用紙Sのカールを矯正する,デカール手段130,131が配置されている。デカール手段130,131は、それぞれ複数のローラ群により構成され、これらのローラ群によって挟持されて通過することによりカールを矯正する。
【0047】
搬送ローラ123により搬送される用紙Sは、切替ゲート128による搬送路切り替えによってデカール手段130を通過してカールが矯正され、更に、切替ゲート129による搬送路切り替えによってデカール手段131を通過してカールが矯正される。
【0048】
用紙Sの種類、厚さ、用紙加湿装置110に導入される用紙Sの含水率の如何によっては、用紙加湿装置110により加湿処理しても、用紙Sにカールが出る場合がある。また、波打ちが発生する場合もある。カールや波打ちが起こる可能性がある場合には、切替ゲート128,129を図示しないソレノイドにより作動させ、用紙Sをデカール手段130,131の湾曲搬送路に進行させる。従って、用紙Sの含水率はその厚み方向に均一になり、カールや波打ちが十分に防止される。
【0049】
このような波打ちのおそれがない場合に、切替ゲート128,129を初期位置に設定して、用紙Sを直進させ、処理効率を上げることができる。
【0050】
切替ゲート128,129の操作は、操作部10における紙種の設定や、湿度・温度を検知する環境センサの出力に基づいて行うのが好ましい。
【0051】
また、加湿処理を行わない時には、加湿ローラ111A,111B間のニップ部NPを開放状態にして、加湿ローラ111A,111Bの変形を防止することが出来る構成も可能である。
【0052】
用紙加湿装置110は、図示左右一対のスライドベアリングSBに支持されて、用紙矯正装置Bの本体に出し入れ可能である。
【0053】
[用紙加湿装置]
図3は用紙加湿装置110の断面図である。
【0054】
図において、111A、111Bは用紙Sに水を付与し、用紙Sを加湿するローラ対を形成する加湿ローラであり、ともに金属、硬質樹脂等の剛性体からなる軸芯111Aa,111Baの上に多孔質ウレタンゴム等からなる多孔質層111Ab,111Bbが形成されたものである。
【0055】
多孔質層111Ab、111Bbは、その表面から水の供給を受けるとともに、用紙Sに対して水分を付与し加湿する多孔質の表面を形成する。
【0056】
112Aは加湿ローラ111Aに接触して水Wを供給する給水ローラであり、金属、硬質樹脂等の剛性体からなる軸芯112Aa及び軸芯112Aa上に形成された多孔質ウレタンゴム等からなる多孔質層112Abからなるローラで構成される。
【0057】
給水ローラ112Bも給水ローラ112Aと同様に、軸芯112Ba、多孔質層112Bbにより構成されている。
【0058】
給水ローラ112A,112Bは、起動時に、加湿ローラ111A,111Bに対して迅速な給水を行うために、前記のように多孔質層112Ab、112Bbを設けることが好ましい。しかし、多孔質層を設けることは必ずしも必要ではなく、水を吸収せず、表面に水を保持することが出来る親水性の表面を持った材料、たとえば、金属や親水化処理した樹脂又はソリッドなゴムからなるローラを用いることもできる。
【0059】
113A,113Bは規制手段を構成する規制ローラであり、丸棒状の金属、硬質樹脂等の剛体からなる規制部材である。規制ローラ113Aは給水ローラ112Aに圧接し、規制ローラ113Bは給水ローラ112Bに圧接して、多孔質層112Ab,112Bbに含まれる水分を抑制し、用紙Sに供給する水分の量を規制する。すなわち、規制ローラ113A,113Bはそれぞれ加湿ローラ111A,111Bの多孔質層112Ab,112Bbに圧接し、多孔質層112Ab,112Bbを変形させて、多孔質層112Ab,112Bbに含まれる水をスクイズする。これによって用紙Sに付与される水の量が規制され、用紙Sが適度に加湿され、過剰な加湿による用紙Sのベタツキ等が防止される。規制ローラ113A,113Bの接触圧を調節することにより、適度な加湿が可能となる。
【0060】
加湿ローラ111A,111Bにより搬送される用紙Sは、加湿ローラ111A,111B間のニップ部NPにおいて、多孔質層からしみ出した水で加湿される。用紙Sに供給される水の量は、規制ローラ113A,113Bでスクイズすることにより、適量に規制される。規制ローラ113A,113Bが給水ローラ112A,112Bに圧接する圧力は適切に設定される。即ち、画像形成装置本体Aの操作部10における用紙Sの紙種設定や、湿度・温度を検知する環境センサの出力に基づいて、制御手段が規制ローラ113A,113Bの給水ローラ112A,112Bの線速や圧接圧力を適切に設定することが好ましい。
【0061】
また、加湿ローラ111A,111B間のニップ部NPを開放して、加湿処理を行わないモードを設定することが出来る構成も実施可能である。
【0062】
給水槽114A内に収容された水Wには給水ローラ112Aが浸漬する。給水槽114B内に収容された水Wには給水ローラ112Bが浸漬する。
【0063】
図2に示すように、給水槽114A,114Bと、下方に配置された貯水槽115とは、給水管118A及び給水ポンプPにより接続され、貯水槽115内の水Wが給水槽114A,114Bに補給される。
【0064】
搬送路116の両側に配置されたファン117A,117Bは、加湿ローラ111A,111Bにより加湿されて搬送される用紙Sの両面に送風して、用紙Sの表面に付着した過剰の水Wを乾燥、除去して、用紙Sを適切な含水状態に保持する。これにより、加湿処理後に搬送される用紙Sによる搬送ローラ、ガイド板等の搬送手段への水Wの付着が防止され、過剰な水Wの付着による用紙Sのベタツキによって発生する用紙搬送不良や装置部材の作動不良、寿命低下等の問題が解消される。
【0065】
[用紙加湿装置の駆動手段]
図4は、用紙加湿装置110の駆動手段の正面図である。
【0066】
モータM1を駆動源とする第1駆動手段は、歯車G1O、中間歯車G11を介して、加湿ローラ111Aの一端に固定された歯車G12を回転させる。また、中間歯車G11は、中間歯車G13を回転させ、中間歯車G13を固定した貫通軸J1の他端に固定した中間歯車G11と対称の中間歯車G11’、及び加湿ローラ111Aの他端に固定された歯車G12と対称の歯車G12’を回転させる。したがって、モータM1の駆動によって、上記の歯車を介して加湿ローラ111Aの両端部が駆動回転される。
【0067】
モータM2を駆動源とする第2駆動手段は歯車G2O、中間歯車G21、G22を介して、給水ローラ112Aの一端に固定された歯車G23を回転させる。また、中間歯車G21は、中間歯車G24、G25を介して、給水ローラ112Bの一端に固定された歯車G26を回転させる。また、中間歯車G21は、中間歯車G21を固定した貫通軸J2の他端に固定した中間歯車G21と対称の中間歯車G21’、及び歯車列を介して給水ローラ112Aの他端に固定された歯車G23と対称の歯車G23’、及び給水ローラ112Bの他端に固定された歯車G26と対称の歯車G26’を回転させる。したがって、モータM2の駆動によって、上記の歯車を介して給水ローラ112A、112Bの両端部が駆動回転される。
【0068】
モータM3を駆動源とする第3駆動手段は、歯車G3O、中間歯車G31を介して、規制ローラ113Bの一端に固定された歯車G32を回転させる。また、中間歯車G31は、中間歯車G33を回転させ、ベルトBe、中間歯車G34を介して規制ローラ113Aの一端に固定された歯車G35を回転させる。また、中間歯車G33は、中間歯車G33を固定した貫通軸J3の他端に固定した中間歯車G33と対称の中間歯車G33’、及び歯車列を介して規制ローラ113Aの他端に固定された歯車G35と対称の歯車G35’、及び規制ローラ113Bの他端に固定された歯車G32と対称の歯車G32’を回転させる。したがって、モータM3の駆動によって、上記の歯車を介して規制ローラ113A、113Bの両端部が駆動回転される。
【0069】
図5は、給水槽114Aの一部を破断した斜視図である。給水槽114Bも給水槽114Aと同形状をなすから、給水槽114Aを代表して説明する。
【0070】
給水槽114Aは、内側の第1槽WS1と、第1槽WS1の外側に形成された第2槽WS2との内外二重壁構造をなす。第1槽WS1は、給水ローラ112Aの外周面と所定間隙を有して円筒形状をなす内壁面に水Wを収容する。第1槽WS1には、図2に示す貯水槽115から給水ポンプPにより送り出される水Wが給水管118Aを経て供給される。
【0071】
第2槽WS2は、第1槽WS1の端面から溢れ出す水Wを収容する。第2槽WS2の底面は排水口WS3に向けて傾斜状に形成され、第2槽WS2内の水Wが排出し易くしている。第2槽WS2内から排出された水Wは、排水管119により貯水槽115に環流される。
【0072】
図6(a)は従来の用紙加湿装置の正面断面図、図7(a)は従来の用紙加湿装置の側面断面図である。
【0073】
特許文献1等に示される従来の単一の給水槽114では、給水ローラ112Aを浸漬する給水槽114内に大量の水W、例えば520mlの水Wが収容されていて、用紙加湿装置110が移動時に、給水槽114内の水Wの水面が揺動して、給水槽114と給水ローラ112Aとの隙間から矢印で示すように漏出して、用紙加湿装置110内を水浸しにすることがある。
【0074】
また、給水槽114内に収容される大量の水Wの一部は、給水槽114内の底部に滞留して沈殿物を形成するおそれがある。
【0075】
図6(b)は本発明の用紙加湿装置110の正面断面図、図7(b)は本発明の用紙加湿装置110の側面断面図である。
【0076】
図6(b)に示すように、給水槽114Aの第1槽WS1は、給水ローラ112Aの外周面と所定間隙を有して円筒形状をなす内壁面に必要最小限の水W、例えば23mlの水Wを収容する。この第1槽WS1内の水Wの層は少量であるから、水Wの振動が少ない。また、常に新規の水Wを流入させることができる。
【0077】
また、第1槽WS1の内壁面は、給水ローラ112Aの外周面と同心円形状の内壁面で、等間隔の給水路を形成するから、貯水槽115からポンプによって第1槽WS1に供給される水Wは、この等間隔の給水路を通過して、停滞することなく、第2槽WS2内に排出される。
【0078】
さらに、第1槽WS1の水面幅L1は給水ローラ112Aの直径L2より小であることにより、給水ローラ112Aが第1槽WS1の蓋として機能し、第1槽WS1の端部からの水Wの流出が抑制される。従って、用紙加湿装置110が移動時に、給水槽114A内の水Wの水面が揺動することは少なく、給水槽114Aと給水ローラ112Aとの隙間から水Wが大量に漏出することも抑制される。なお、このとき、第1槽WS1の水Wは第2槽WS2に流入して排出される。
【0079】
図8は、用紙加湿装置110の給排水を示す側面断面図である。
【0080】
貯水槽115内に収容された水Wは、ポンプPにより揚水されて給水管118A,118Bにより搬送され、給水槽114Aの第1槽WS1及び給水槽114Bの第1槽WS1’に供給され、給水ローラ112A,112Bに水分を付与する。
【0081】
第1槽WS1を循環した水Wは、第2槽WS2を経て排水口WS3から排出され排水管119内を通過して貯水槽115に環流される。第1槽WS1’を循環した水Wは、第2槽WS2’を経て排水口WS3’から排出され排水管119内を通過して貯水槽115に環流される。
【0082】
本発明の実施の形態では、複写機に用紙加湿装置を備えた用紙矯正装置を接続した画像形成装置について説明したが、軽印刷機、プリンタ、ファクシミリ、デジタル複合機等の画像形成装置本体に用紙加湿装置を備えた用紙矯正装置を接続した画像形成装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体図。
【図2】本発明の実施の形態における用紙加湿装置を備えた用紙矯正装置の断面図。
【図3】用紙加湿装置の断面図。
【図4】用紙加湿装置の駆動手段の正面図。
【図5】給水槽の一部を破断した斜視図。
【図6】従来の用紙加湿装置の正面断面図と、本発明の用紙加湿装置の正面断面図。
【図7】従来の用紙加湿装置の側面断面図と、本発明の用紙加湿装置の側面断面図。
【図8】用紙加湿装置の給排水を示す側面断面図。
【符号の説明】
【0084】
6 定着装置
103 用紙加湿搬送路
110 用紙加湿装置
111A,111B 加湿ローラ
112A,112B 給水ローラ
113A,113B 規制ローラ
114,114A,114B 給水槽
115 貯水槽
118A,118B 給水管
119 排水管
130,131 デカール手段
A 画像形成装置本体
B 用紙矯正装置
FS 用紙後処理装置
L1 内壁幅
L2 給水ローラの直径
P 給水ポンプ
S 用紙
SB スライドベアリング
W 水
WS1,WS1’ 第1槽
WS2,WS2’ 第2槽
WS3,WS3’ 排水口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のローラにより形成されるニップ部に用紙を通過させることにより該用紙に水を付与する一対の加湿ローラと、
一対の前記加湿ローラのそれぞれに、それぞれ圧接して水を供給する2つの給水ローラと、それぞれの該給水ローラに対向して配置された2つの給水槽とを有する給水手段と、
を備えている用紙加湿装置において、
二つの前記給水槽のそれぞれは、前記給水ローラに水を供給する第1槽と、
前記第1槽の外周に形成され、該第1槽から溢れ出す水を収容する第2槽と、を有することを特徴とする用紙加湿装置。
【請求項2】
前記給水槽の各々に供給する水を貯水する貯水槽を有することを特徴とする請求項1に記載の用紙加湿装置。
【請求項3】
前記給水手段は、前記貯水槽に貯水されている水を前記第1槽に供給する供給手段と、
前記第2槽に収容される前記第1槽から溢れ出した水を前記貯水槽に排出する排出手段と、を有する水循環経路を形成していることを特徴とする請求項2に記載の用紙加湿装置。
【請求項4】
前記第1槽は、前記給水ローラ側に凹形状の内壁面を有し、該内壁面に水を供給することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の用紙加湿装置。
【請求項5】
前記給水ローラは、前記内壁面を覆うように配設されており、前記給水ローラの直径が前記内壁面の水面幅よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載の用紙加湿装置。
【請求項6】
前記内壁面は、前記給水ローラの外周面と同心円形状の内壁面であることを特徴とする請求項4または5に記載の用紙加湿装置。
【請求項7】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
画像が形成された前記用紙を定着する定着装置とを有する画像形成装置本体と、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の用紙加湿装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−94585(P2008−94585A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279948(P2006−279948)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】