説明

用紙後処理装置

【課題】中綴じ処理された用紙束端部のずれを低減できる用紙後処理装置を提供する。
【解決手段】略直線状の直線搬送路と、直線搬送路の用紙搬送方向端部と繋がっており湾曲状の湾曲搬送路と、直線搬送路に送られてきた用紙の端部を自身の突き当て面に突き当てて用紙束の用紙搬送方向の位置決めを行う端部基準部材と、端部基準部材により位置決めされた直線搬送路上の用紙束を挟み持ち、直線搬送路から湾曲搬送路に向かって用紙束を移動させるクランプ手段と、用紙束に綴じ処理を行う綴じ手段とを備え、クランプ手段により用紙束を直線搬送路から湾曲搬送路まで移動させて、綴じ手段により用紙束に中綴じを行う用紙後処理装置において、用紙束の端部基準部材側の端面に対する端部基準部材の角度を調整する角度調整手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に後処理を行う用紙後処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の用紙後処理装置として、画像形成装置から排出された複数の用紙を、真っ直ぐな搬送路である直線搬送路中に設けられた端部基準部材であるストッパーに突き当てて各用紙の端部位置を揃え、所定枚数揃えた後の用紙束に綴じ手段であるステイプラで綴じ処理を行うものがある(特許文献1など)。
【0003】
用紙束の端部を綴じる端綴じ処理では、ストッパーに突き当てて揃えた用紙束の下縁部の適所をステイプラで綴じ針により綴じることで端綴じが施される。一方、用紙束の中央部を綴じる中綴じ処理では、ストッパーに突き当てて揃えた用紙束の中央部の適所をステイプラで綴じ針により綴じることで中綴じが施される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ステイプラの位置が固定されている構成では、直線搬送路上で用紙束に端綴じ処理を行う場合、少なくとも用紙最大サイズの直線搬送路があれば良いが、中綴じ処理を行う場合には、少なくとも用紙最大サイズの1.5倍の直線搬送路が必要になる。このように、中綴じ処理では端綴じ処理に比べて直線搬送路を長く要する。そのため、一般に長い搬送路を無駄なスペース無く配置するために、搬送路の途中にカーブを設けることが行われている。
【0005】
しかしながら、搬送路の湾曲形状によって用紙束の内周側と外周側との曲率の差により用紙束の端部がずれてしまう。そのため、ストッパーに用紙を突き当てて用紙端部の位置が揃えられた用紙束を湾曲搬送路内で中綴じすると、用紙束がずれた状態で中綴じされるといった問題が生じる。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、中綴じ処理された用紙束端部のずれを低減できる用紙後処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、略直線状の直線搬送路と、前記直線搬送路の用紙搬送方向端部と繋がっており湾曲状の湾曲搬送路と、前記直線搬送路に送られてきた用紙の端部を自身の突き当て面に突き当てて用紙束の用紙搬送方向の位置決めを行う端部基準部材と、前記端部基準部材により位置決めされた前記直線搬送路上の用紙束を挟み持ち、前記直線搬送路から前記湾曲搬送路に向かって用紙束を移動させるクランプ手段と、用紙束に綴じ処理を行う綴じ手段とを備え、前記クランプ手段により用紙束の少なくとも一部を前記直線搬送路から前記湾曲搬送路まで移動させて、前記綴じ手段により用紙束に中綴じを行う用紙後処理装置において、用紙束の前記端部基準部材側の端面に対する前記端部基準部材の角度を調整する角度調整手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の用紙後処理装置において、上記湾曲搬送路は下方に向かって湾曲しており、上記端部基準部材の突き当て面に用紙束の端面が突き当たった際に、用紙束の端部基準部材側の端面と用紙束の下面とで成す角が鋭角となるように、上記角度調整手段が前記端部基準部材の角度を調整することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の用紙後処理装置において、上記端部基準部材は上記クランプ手段と一体で移動可能に構成されており、前記クランプ手段の移動によって前記端部基準部材に接触し該端部基準部材を傾ける傾け部材を有し、前記傾け部材に対する前記端部基準部材の接触量を調整することにより該端部基準部材の傾きを調整することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の用紙後処理装置において、上記端部基準部材の傾きを所定側に規制するバネ部材を有することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3の用紙後処理装置において、上記角度調整機構は歯車状のピニオンを有し、上記傾け部材が歯を切ったラックになっており、上記クランプ手段の移動とともに前記ピニオンと前記ラックとが噛み合い該ピニオンが回転することで上記端部基準部材の角度が調整されることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項3の用紙後処理装置において、上記傾け部材が搬送経路に沿ったなだらかな傾斜をもつ形状であり、上記端部基準部材が前記傾け部材の傾斜に乗り上げ該傾斜に沿って移動することにより前記端部基準部材の傾きを調整することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1または2の用紙後処理装置において、上記端部基準部材に接するように設けられた偏心カムと、前記偏心カムを回転させるモータとを有しており、前記モータによって前記偏心カムを回転させて前記端部基準部材の角度を調整することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1または2の用紙後処理装置において、上記端部基準部材に設けられた第1ギヤと、前記第1ギヤと噛み合う第2ギヤと、前記第2ギヤを回転させるモータとを有しており、前記モータによって前記第2ギヤを回転させて前記第1ギヤを回すことにより前記端部基準部材を回転させて該端部基準部材の角度を調整することを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、角度調整手段により用紙束の端部基準部材側の端面に対して角度を調整して端部基準部材を傾けることができる。これにより、直線搬送路から曲線搬送路に向かって搬送し湾曲搬送路上に用紙束の少なくとも一部がある際に、用紙束の端部に生じ得るずれとは逆のずれを予め生じさせた状態で、用紙束をクランプ手段で挾持することができる。よって、クランプ手段で用紙束を直線搬送路から曲線搬送路に向かって搬送し、用紙束の少なくとも一部が曲線搬送路上にある状態で綴じ手段により用紙束の中綴じを行ったときの用紙束の端部のずれを低減させることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、中綴じ処理された用紙束端部のずれを低減できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)B5用紙の用紙束を揃える場合での突き当てフェンスを角度調整機構により角度を調整して傾けた状態を示す図、(b)A4用紙の用紙束を揃える場合での突き当てフェンスを角度調整機構により角度を調整して傾けた状態を示す図、(c)A3用紙の用紙束を揃える場合での突き当てフェンスを角度調整機構により角度を調整して傾けた状態を示す図。
【図2】実施形態に係る用紙後処理装置の概略構成図。
【図3】(a)ステイプラで端綴じのみを行う構成の模式図、(b)ステイプラで中綴じと端綴じとを兼用して行う構成の模式図。
【図4】(a)用紙束の全てが直線搬送路上に位置する状態で用紙束を中綴じする構成の場合の模式図、(b)用紙束が直線搬送路上と曲線搬送路上とに位置する状態で用紙束を中綴じする構成の場合の模式図。
【図5】用紙サイズによって曲線部分を占める用紙の長さが異なることについて説明する図。
【図6】クランプ搬送機構について説明する図。
【図7】クランプ圧解除部材について説明する図。
【図8】湾曲搬送路の接線と平行になるようにクランプ可動フェンスが移動する図。
【図9】(a)クランプ可動フェンスが直線搬送路にある状態を示す図、(b)クランプ可動フェンスが直線搬送路から湾曲搬送路へ入り始めた状態を示す図、(c)クランプ可動フェンスが湾曲搬送路にある状態を示す図。
【図10】図9(a)、図9(b)、図9(c)を同一図面上で示した図。
【図11】(a)直線搬送路でスタックされた用紙束をクランプ可動フェンスで摘んで搬送する状態を示す模式図、(b)用紙束の綴じ針から用紙束端部までの距離の説明に用いる図、(c)用紙束端部のずれ状態を示す模式図。
【図12】用紙サイズによって用紙束端部のずれが異なる説明図。
【図13】突き当てフェンスの角度を調整する角度調整機構として、突き当てフェンスと突き当たることにより突き当てフェンスを回動させて傾ける傾け部材を用いた場合の模式図。
【図14】(a)B5用紙の用紙束を揃える場合での傾け部材に突き当てフェンスを突き当てて傾けた状態を示す図、(b)A4用紙の用紙束を揃える場合での傾け部材に突き当てフェンスを突き当てて傾けた状態を示す図、(c)A3用紙の用紙束を揃える場合での傾け部材に突き当てフェンスを突き当てて傾けた状態を示す図。
【図15】(a)突き当てフェンスと傾け部材との接触時におけるねじりコイルバネの状態を示す模式図、(b)突き当てフェンスと傾け部材との非接触時におけるねじりコイルバネの状態を示す模式図、(c)突き当てフェンスと傾け部材との接触時におけるクランプ機構の状態を示す模式図、(d)突き当てフェンスと傾け部材との非接触時におけるクランプ機構の状態を示す模式図、(e)用紙揃え時におけるクランプ機構の状態を示す模式図、(f)用紙束をクランプ可動フェンスで掴んで搬送するときのクランプ機構の模式図。
【図16】(a)ラックと噛み合っていない位置にクランプ可動フェンスのピニオンが位置する状態を示す模式図、(b)クランプ可動フェンスを移動させてピニオンがラックに乗り上げたときの状態を示す模式図。(c)ラック上におけるピニオンの位置を用紙サイズに応じた位置に変化させる状態を示す模式図、(d)突き当てフェンスを傾けクランプ可動フェンスを開いた状態を示す模式図、(e)用紙束をクランプ可動フェンスで掴んだときの状態を示す模式図、(d)クランプ可動フェンスで用紙束を搬送している状態を示す模式図、(f)クランプ可動フェンスで用紙束を搬送している状態を示す模式図、(g)クランプ可動フェンスで用紙束を搬送している状態を示す模式図、(h)ピニオンがラック上から降りたときの状態を示す模式図。
【図17】(a)B5用紙の用紙束を揃える場合における傾け部材に対する突き当てフェンスの乗り上げ位置を示す図、(b)A4用紙の用紙束を揃える場合における傾け部材に対する突き当てフェンスの乗り上げ位置を示す図、(c)A3用紙の用紙束を揃える場合における傾け部材に対する突き当てフェンスの乗り上げ位置を示す図。
【図18】偏心して取り付けられた円形のカムをモータで回して突き当てフェンスを傾けて角度調整する場合の模式図。
【図19】モータで歯車を回して突き当てフェンスを回転させて角度調整する場合の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を画像形成装置から排出された用紙に後処理として折り処理などをおこなう用紙後処理装置に適用した一実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明で用いる図で用紙束の用紙間に隙間があるものもあるが、これは用紙束の各用紙の端部の位置などをわかり易くするため図示を簡略化したためであり、実際には各用紙が接触し合って積み重なっている。
【0012】
図2は本実施形態に係る用紙後処理装置100の概略構成図である。用紙後処理装置100は、図示しない画像形成装置の側方に設置されており、用紙後処理装置100の側壁に設けられた受入口80から画像形成装置により画像形成された用紙Pを装置内に受け入れ、用紙Pに折り処理などを施すものである。
【0013】
用紙後処理装置100内には、受入口80を通して装置内に用紙Pを導き入れる導入搬送路1と、用紙Pを排紙トレイ22へ搬送するための搬送路2と、用紙Pを中間積載するための直線搬送路3と、直線搬送路3で用紙長センター部が中綴じされた用紙束を用紙折り部へと搬送するための湾曲搬送路4とが形成されている。
【0014】
導入搬送路1の受入口80付近には、入口ローラ対10と入口センサ13とが配置されおり、入口センサ13によって用紙Pが受入口80から用紙後処理装置100内に搬入されたことを検知し、入口ローラ対10によって用紙Pを導入搬送路1の用紙搬送方向下流側に向けて搬送する。
【0015】
導入搬送路1の入口ローラ対10よりも用紙搬送方向下流側には、用紙Pに孔をあける用紙穿孔ユニット200が配置されており、さらに用紙穿孔ユニット200よりも用紙搬送方向下流側には搬送ローラ対11と搬送ローラ対12とが配置され、これらを経て用紙Pは導入搬送路1から直線搬送路3に搬送される。なお、搬送ローラ対12は図示しないシフト機構によって用紙後処理装置100内で上下方向に一定量移動可能になっている。
【0016】
また、導入搬送路1の搬送ローラ対11よりも用紙搬送方向下流側には、用紙Pの搬送先を搬送搬送路2または直線搬送路3に切り換える分岐爪20が設けられている。搬送路2は導入搬送路1を搬送される用紙Pを排紙トレイ22へ搬送するための経路であり、導入搬送路1から分岐爪20で進行方向を変えられた用紙Pが搬送路2を通り、搬送路2の用紙搬送方向下流側終端部分に設けられた排出ローラ21によって排出口81から排紙トレイ22へと搬送される。
【0017】
直線搬送路3には搬送ローラ33や従動ローラ31や排紙センサ35などが配置されており、ソートモード時は、導入搬送路1の搬送ローラ対12が、図示しない駆動手段によりシフト機構によって用紙Pを挾持搬送中に下方(搬送方向と直角方向)に一定量移動することにより、搬送ローラ対12に挾持されている用紙Pの位置も下方に一定量シフトする。これにより、導入搬送路1から直線搬送路3に用紙Pが導かれ、その用紙Pが搬送ローラ33と従動ローラ31とによって挾持搬送されることにより、用紙Pが排出口82から排紙トレイ32に排出され順次スタックされていく。
【0018】
なお、従動ローラ31は搬送ローラ33に対して接離するように揺動可能に設けられており、搬送ローラ33に対する従動ローラ31の接離動作で、搬送ローラ33と従動ローラ31とで用紙Pを挟持し搬送して排紙トレイ32に排出可能な閉状態と、搬送ローラ33と従動ローラ31とで用紙Pを挟持しない開状態とを、選択的に取り得るようになっている。導入搬送路1の搬送ローラ対12による用紙Pのシフト動作によって導入搬送路1から直線搬送路3に用紙Pを導くときには搬送ローラ33と従動ローラ31とを離間させて開状態としておき、搬送ローラ対12による用紙Pのシフト動作が完了した後、搬送ローラ33と従動ローラ31とを接触させて閉状態とし用紙Pを搬送ローラ33と従動ローラ31とで挟持搬送し排出口82から排紙トレイ32に用紙Pを排出させる。
【0019】
用紙後処理装置100の排出口82が形成された側壁の排出口82上方付近には、排紙トレイ32上にスタックされた用紙Pの表面中央付近位置に先端部が接するように、前記側壁に取り付けられた根元部分を中心に回動自在なフィラー34が設けられている。フィラー34の根元部分付近には、フィラー34の先端部の高さ位置を検知する上面検知センサ(図示しない)があり、上面検知センサの検知結果に基づいて排紙トレイ32上にスタックされた用紙Pの積載高さを検知している。
【0020】
排紙トレイ32上の堆積枚数の増大により用紙Pの積載高さが高くなり、フィラー34が上に向かって回動して上面検知センサがONされると、用紙後処理装置100に設けられた図示しない制御部が排紙トレイ32を上下動させる駆動手段(図示しない)を制御して、排紙トレイ32を下降させる。排紙トレイ32が下降し、それに連動してフィラー34が下に向かって回動すると上面検知センサがOFFされ、前記制御部が前記駆動手段を制御して排紙トレイ32の下降を停止させる。このような動作を繰り返し行い、排紙トレイ32が規定のトレイ満杯高さまで達すると、用紙後処理装置100の制御部から画像形成装置に停止信号を出し、画像形成装置での画像形成動作を停止させる。
【0021】
また、直線搬送路3にはステイプルトレイ36と叩きローラ30が配置され、直線搬送路3の終端位置には紙面と直交する方向へ進退するドライバとクリンチャとで分割されたステイプラ41が配置されている。さらに紙面と直交する方向に進退してステイプルトレイ36上の用紙Pの整合を行うジョガーフェンス37,38などを有する。
【0022】
導入搬送路1から直線搬送路3に搬送されてきた用紙Pは、ステイプルトレイ36上に導かれ、ジョガーフェンス37,38により幅方向位置が揃えられる。また、叩きローラ30が、図中反時計回りに振り子運動を行って用紙上面に当接することで、用紙Pをステイプラ41側にスイッチバックさせ基準フェンス39,40に用紙後端を突き当てて用紙Pの縦方向位置を揃える。
【0023】
このようにして幅方向位置と縦方向位置とが揃えられた用紙Pは、端綴じモード時にステイプラ41が用紙Pの紙面と直交する方向に移動して用紙束の下縁部の適所をステイプルすることにより綴じられる。その後、従動ローラ31と搬送ローラ33とによって用紙束を挟持搬送することで用紙束が排紙トレイ32上に排出される。
【0024】
中綴じモードでは、用紙Pの幅方向位置や縦方向位置を揃えた後に、クランプ可動フェンス120,121によって用紙後端が挟持される。また、基準フェンス39,40は、用紙搬送の邪魔とならないように、用紙Pの幅方向の幅よりも外側の位置に待避する。
【0025】
クランプ可動フェンス120,121は、側板外に配置されたクランプ縦軸106に取り付けられており、湾曲した湾曲搬送路4に沿って縦方向及び横方向に移動する。なお、クランプ可動フェンス120,121の縦方向の移動はクランプ縦軸106に沿って移動し、クランプ可動フェンス120,121の横方向の移動は湾曲搬送路4と同一の軌道であり装置側板に形成されたガイドレール110に沿って移動する。このようにクランプ可動フェンス120,121が移動することで、クランプ可動フェンス120,121に用紙後端を挟持された用紙Pは、曲線搬送路4(ガイドレール110)の軌道に沿って用紙サイズに対応した所定位置まで搬送され、用紙長センター部の適所をステイプラ41によりステイプルされることにより中綴じされる。
【0026】
なお、用紙サイズに対応した所定位置とは、クランプ可動フェンスホームポジションセンサ49の位置から所定パルス送られた位置である。
【0027】
中綴じされた用紙Pは、クランプ可動フェンス120,121により湾曲搬送路4を下方へ搬送され、用紙長センター部が湾曲搬送路4中に設けられた折りブレード203の位置になるところで用紙Pの搬送が停止し、折り工程へ移行する。なお、用紙Pの停止位置は、用紙Pの湾曲搬送路4内で下側に位置する側の端部を折り位置センサ118で検知し、用紙サイズに対応した所定パルス送られた位置である。
【0028】
折り位置に停止した用紙長センター部を折りブレード203と搬送ローラ206,207とにより、プレス折り部へ導入する。プレス折り部に導入された用紙長センター部をプレス板219と,220により、上下方向からプレスすることによって用紙Pは中折りをされる。中折りをされた用紙Pは、搬送ローラ206,207と排紙ローラ対58とによって中綴じトレイ62上に排紙される。
【0029】
中綴じトレイ62に排出された用紙Pは、用紙押さえ部材60に取り付けられた用紙押さえコロ61によって押さえられ、折られた用紙Pが膨らんで次に排出される用紙排出の邪魔にならない機構になっている。
【0030】
なお、本実施形態においては、用紙穿孔ユニット200と、湾曲搬送路4を有する中折ユニット300とが、着脱可能な構成となっており、使用者のニーズに応じた用紙後処理装置100の提供が可能となる構成となっている。
【0031】
ここで、画像形成済みの用紙をストッパーに突き当てて揃え、所定枚数揃えた後の用紙束に綴じ処理を行う後処理装置において、本体から1枚ずつ搬送されてくる用紙を湾曲搬送路内でスタックし揃えることは、30枚などの多数枚を綴じる後処理装置において用紙が湾曲搬送路内で撓んで湾曲搬送路を塞いだりするため揃えが悪い。そのため、ストッパーに用紙を突き当てて揃える場合には用紙束の整合性を良くするために直線搬送路上で綴じ処理を行うことが知られている。しかし、直線搬送路上の綴じでは、綴じを行う最大のサイズにあわせて直線搬送路が長くなり装置の幅が大きくなる。
【0032】
図3(a)は綴じ手段であるステイプラ410で端綴じのみを行う構成の一例を示す模式図である。図3(b)はステイプラ410を中綴じと端綴じとで兼用する構成の一例であり、ステイプラ410で端綴じを行う場合を示す模式図である。図3(c)は図3(b)に示したステイプラ410で中綴じを行う場合を示す模式図である。図3(b)や図3(c)に示すようなステイプラ410で中綴じと端綴じとを兼用して行う構成の場合では、図3(a)に示すようなステイプラ410で端綴じのみを行う構成よりも直線搬送路が1.5倍必要となり、その分、装置の幅も大きくなる。
【0033】
そこで、装置の幅を小さくするために直線搬送路の一部もしくは全部を曲線搬送路とした湾曲搬送路にすることが考えられる。その場合、湾曲搬送路内で用紙を揃えることは困難であるため、直線搬送路上で用紙を揃えてから湾曲搬送路内へ揃えた用紙束を搬送し綴じることが考えられる。
【0034】
図4(a)は用紙束の全てが直線搬送路3’上に位置する状態でステイプラ41により用紙束を中綴じする構成の一例を示す模式図であり、図4(b)は用紙束が直線搬送路3上と曲線搬送路4上とに位置する状態でステイプラ41により用紙束を中綴じする構成の一例を示す模式図である。
【0035】
図4(a)に示すような用紙束の全てが直線搬送路3’上に位置する状態でステイプラ41により用紙束を中綴じする構成に対して、図4(b)に示すように用紙束が直線搬送路3上と曲線搬送路4上とに位置する状態でステイプラ41により用紙束を中綴じする構成のほうが、曲線搬送路4が下方に向かって延びている分、装置の水平方向の幅を小さくすることができる。また、図4(a)に示された直線搬送路3’に、直線搬送路3’上で綴じた用紙束を折り部へ搬送するための搬送路として図4(b)に示すような湾曲搬送路4を追加で設けると、さらに装置幅は大きくなってしまう。
【0036】
なお、図4(b)に示すような用紙束が直線搬送路3上と曲線搬送路4上とに位置する状態で用紙束を中綴じする構成の場合では、ステイプラ411で用紙束に中綴じをする際に曲線搬送路4上に位置する用紙の長さは、図5(a)や図5(b)に示すように用紙サイズによって異なる。
【0037】
図6は、クランプ搬送機構について説明する図である。
図6に示すように綴じる前の用紙束の搬送方法として、揃えられた用紙束をクランプ手段である板状部材のクランプ可動フェンス120,121で掴み、クランプ可動フェンス120,121が移動することで用紙束を搬送する場合を考える。用紙束をクランプして搬送する機構としては、クランプ可動フェンス120,121と、上下にスライドするスライド手段であるクランプ縦軸106と左右にスライドする手段と曲線搬送路4に沿って移動できるようにするガイドするガイド手段であるガイドレール110からなる。
【0038】
クランプ搬送はローラ搬送と比べて、用紙束の受け渡しが無く常に用紙束をクランプ可動フェンス120,121で掴んだまま移動するので、用紙束のずれが発生しにくく速い速度で搬送が可能となる。
【0039】
図7は、クランプ圧解除部材について説明する図である。
クランプ可動フェンス120,121は洗濯ばさみのように挟む力がバネ141で加圧されている。クランプ可動フェンス120,121が用紙束を掴んだり放したりを変更するクランプ圧解除部材の例として、図7(a)に示すように、ソレノイド140でバネ141を介して軸142aを中心に揺動する揺動板142をクランプ可動フェンス120の後端に押し当てて加圧し、クランプ可動フェンス120,121の先端を持ち上げることにより、クランプ可動フェンス120,121を開く。一方、クランプ可動フェンス120,121が開いているときに用紙を突き当てフェンスに122突き当てて、一定枚数の用紙を突き当てフェンス122に突き当てた後、図7(b)に示すように、ソレノイド140でバネ141を介して揺動板142によるクランプ可動フェンス120への加圧を解除し、クランプ可動フェンス120,121を閉じて用紙束をクランプ可動フェンス120,121で挟む。
【0040】
なお、図8のように湾曲搬送路内で用紙束を掴んで移動するクランプ可動フェンス120,121においては、用紙束と搬送ガイド板115,116の抵抗によりクランプ可動フェンス120,121から用紙が抜けることや、ずれることを防ぐためにクランプ可動フェンス120,121は用紙束を掴む位置において湾曲搬送路の接線とほぼ平行になるよう維持したまま移動することが望ましい。
【0041】
図9(a)クランプ可動フェンス120,121が直線搬送路3にあり、図9(b)はクランプ可動フェンス120,121が直線搬送路3から湾曲搬送路4へ入り始めており、図9(c)はクランプ可動フェンス120,121が湾曲搬送路4にあって、クランプ可動フェンス120,121で搬送する用紙束の状態を示す図である。クランプ可動フェンス120,121により用紙束のクランプ可動フェンス側端部を掴んだまま用紙束を搬送するので、クランプ可動フェンス120,121が掴んだ位置で用紙束のクランプ可動フェンス側端部は固定されて、用紙束のクランプ可動フェンス側端部では揃えた状態が維持されている。
【0042】
図10は、図9(a)、図9(b)、図9(c)を同一図面上で示したものであり、クランプ可動フェンス120,121が傾くと、その傾きに合わせて用紙束のクランプ可動フェンス側端部も傾いているのがわかる。
【0043】
ここで、図11(a)に示すように直線搬送路でスタックされた用紙束は、クランプ可動フェンス120,121で掴んで搬送され湾曲搬送路で図示しないステイプラで中綴じ処理される。図11(b)に示されるように用紙束の綴じ針42から用紙束端部までの距離は、内周側の紙と外周側の紙で長さが異なる。この長さの差は図11(c)のように用紙束を真っ直ぐにしたとき、用紙束端部でのずれになる。用紙の厚さは約0.1[mm]と薄く、2枚の中綴じ用紙束がひっついていれば用紙束端部でのずれは小さい。しかし、枚数が増えれば用紙束の厚みが増し、用紙束の内周側と外周側との長さの差が大きくなり、その結果、ずれも大きくなるので、同じ枚数であっても用紙の紙厚によってずれ量は異なる。
【0044】
図9、図10、図11に示すように、用紙束のクランプ可動フェンス側端部では、クランプ可動フェンス120,121により掴まれたままなので搬送方向のずれはないが、湾曲搬送路4上にある用紙束の中央に中綴じを行うと、湾曲搬送路4の湾曲形状に沿って湾曲した用紙束の内周側と外周側とで曲率が異なって、中綴じされた位置からクランプ可動フェンス側とは反対側の端部までの長さの差により用紙束のクランプ可動フェンス側とは反対側の端部にずれが生じる。このずれ量は2枚ではずれが少なく、20枚ではずれが大きいことが明らかであり、綴じる枚数が増えることによって用紙束の内周側と外周側とで中綴じされた位置からクランプ可動フェンス側とは反対側の端部までの長さの差が大きくなる。また、用紙の紙厚によってもずれの大きさは異なる。
【0045】
図12(a)用紙サイズの小さい用紙束が湾曲搬送路4を占める長さを示した図であり、図12(b)は用紙サイズの大きい用紙束が湾曲搬送路4を占める長さを示した図である。直線搬送路3と湾曲搬送路4とに用紙束がある状態で用紙の略中心に綴じ針42を差し込んで中綴じする場合では、図12(a)や図12(b)に示すように用紙サイズによって湾曲搬送路4を占める用紙束の長さが異なる。
【0046】
次に、同じ湾曲搬送路4に用紙束がある状態で中綴じを行うときに、用紙束端部のずれが用紙サイズによってどのように変化するか説明する。
【0047】
図中dは用紙束の厚さであり、用紙枚数や紙厚の組み合わせで異なる。図中rは湾曲搬送路4の内側のガイド板の曲線部分の曲率である。図中Lは中綴じ位置から湾曲搬送路4の曲線部分までの直線部分の長さである。図中α、βは曲線部分上の用紙が占める角度である。湾曲搬送路4上で用紙束に中綴じを行うときに、用紙サイズが長くなるほど曲線部分上に位置する用紙部分が長くなり、曲線部分を占める用紙の角度も増す。
【0048】
図12(a)のときの中綴じ位置(綴じ針42の位置)から湾曲部分上に位置する用紙束端部までの長さを求める。用紙束の内周側にある用紙では、直線部分の長さ+半径rの曲線部分の長さなので、L+2πr×α/360となる。一方、用紙束の外周側にある用紙のとき、直線部分の長さ+半径(r+d)の曲線部分の長さなので、L+2π(r+d)×α/360となる。用紙束の外周側の長さと内周側の長さとの差が用紙束端部でのずれになるのでそのずれ量を数1で表すと次のようになる。
【0049】
【数1】

【0050】
数1からαが大きくなると用紙束端部のずれも大きくなり、用紙サイズによって用紙束端部のずれが異なることが分かる。つまり同じ枚数、同じ紙厚であっても用紙サイズが異なると用紙束端部でのずれ量が異なる。このように用紙束の少なくとも一部が湾曲搬送路4上にある状態で中綴じを行うと、枚数、紙厚、用紙サイズの組み合わせによって全く異なるずれが用紙束端部に発生する。
【0051】
例えば、1枚0.1[mm]の厚みで長さ420[mm]のA3用紙20枚に中綴じすることを考える。中綴じ位置から湾曲搬送路4の曲線部分までの直線部分の長さL=100[mm]、湾曲搬送路4の曲線部分の曲率r=100のとき、曲線部分の用紙の長さは(用紙の長さの半分−直線部分の長さ)なので110[mm]となり、角度にして63度の円弧に相当する。そのときの用紙束端部でのずれ量は数2に示すように2.2[mm]となる。
【0052】
【数2】

【0053】
用紙束をずれないようにクランプ可動フェンス120,121で掴んでいるものの、装置を小さくするために湾曲搬送路4にすることによって用紙束端部でのずれ量が2.2[mm]と十分大きいことが分かる。
【0054】
図1(a)はB5用紙の用紙束を揃える場合での突き当てフェンス122を角度調整機構により角度を調整して傾けた状態を示す図である。図1(b)はA4用紙の用紙束を揃える場合での突き当てフェンス122を角度調整機構により角度を調整して傾けた状態を示す図である。図1(c)はA3用紙の用紙束を揃える場合での突き当てフェンス122を角度調整機構により角度を調整して傾けた状態を示す図である。
【0055】
図1に示すように、クランプ可動フェンス120,121の突き当てフェンス122を図示しない角度調整機構により用紙サイズに応じて異なる角度に調整して傾けることができる。この際、突き当てフェンス122の突き当て面に用紙束の端面が突き当たった際に、用紙束の突き当てフェンス側の端面と用紙束の下面とで成す角が鋭角となるに、突き当てフェンス122を傾ける。これにより、湾曲搬送路4上に用紙束の少なくとも一部が位置した際に用紙束の端部に生じ得るずれとは逆のずれを予め生じさせた状態で、用紙束をクランプ可動フェンス120,121で掴むことができる。よって、クランプ可動フェンス120,121で用紙束を直線搬送路3から曲線搬送路4に向かって搬送し、用紙束の少なくとも一部が曲線搬送路4上にある状態でステイプラ41により中綴じが行われた用紙束の端部のずれを低減させることができる。
【0056】
図13は、突き当てフェンス122の角度を調整する角度調整機構として、突き当てフェンス122と当たることにより軸122aを中心に突き当てフェンス122を回転させて傾ける傾け部材130を用いた場合の模式図である。図13に示すように湾曲搬送路4から直線搬送路3に向かってクランプ可動フェンス120,121や突き当てフェンス122などからなるクランプ機構を移動させ、傾け部材130に突き当てフェンス122を当てることで、突き当てフェンス122が軸122aを中心に図中反時計回りに回転し、傾け部材130との当たり具合に応じた角度で突き当てフェンス122が傾く。すなわち、突き当てフェンス122に用紙を突き当てクランプ可動フェンス120,121で用紙を掴む位置に、クランプ可動フェンス120,121や突き当てフェンス122などからなるクランプ機構が移動したときに、突き当てフェンス122が傾け部材130に当たることで、突き当てフェンス122が回転軸122aを中心に図中反時計回り方向に回転して傾く。
【0057】
図14(a)はB5用紙の用紙束を揃える場合での突き当てフェンスを傾け部材に突き当て角度を調整して傾けた状態を示す図であり、図14(b)はA4用紙の用紙束を揃える場合での突き当てフェンスを傾け部材に突き当て角度を調整して傾けた状態を示す図であり、図14(c)はA3用紙の用紙束を揃える場合での突き当てフェンスを傾け部材に突き当て角度を調整して傾けた状態を示す図である。
【0058】
図14(a)や図14(b)や図14(c)に示すように用紙サイズによってクランプ可動フェンス120,121の位置を変えることで傾け部材130と突き当てフェンス122との接触量が変わり、突き当てフェンス122の角度を調整することができる。
【0059】
A4用紙を揃えるときよりもA3用紙を揃えるときのほうが、クランプ可動フェンス120,121は高い位置にあるので、突き当てフェンス122と傾け部材130との接触量がA4用紙を揃える場合よりもA3用紙を揃える場合のほうが多くなる。そのため、突き当てフェンス122はA4用紙を揃える場合よりもA3用紙を揃える場合のほうがより傾いている。
【0060】
このようにA3用紙のときのほうがA4用紙のときよりも突き当てフェンス122がより傾いているので、A3用紙では直線搬送路3で揃えた用紙束はA4用紙のときよりも、よりずれて揃えられる。このように用紙を揃えるときに用紙をずらす量は、用紙サイズに応じてクランプ可動フェンス120,121の位置を変え、傾け部材130と突き当てフェンス122との接触量を変化させることで調整することができる。
【0061】
また、突き当てフェンス122にバネ部材であるねじりコイルバネ123によって所定方向の付勢力を付勢するような構成を採用してもよい。
【0062】
図15(a)は突き当てフェンス122と傾け部材130とが接触しているときにおけるねじりコイルバネ123の状態を示したものであり、図15(b)は突き当てフェンス122と傾け部材130とが接触していないときにおけるねじりコイルバネ123の状態を示したものである。
【0063】
図15(c)などに示すように、ねじりコイルバネ123は、突き当てフェンス122をクランプ可動フェンス121に対して回転可能に軸支する軸122aに中空なコイル部分が嵌め込まれ、ねじりコイルバネ123の一端がクランプ可動フェンス121に接続されている。
【0064】
図15(c)に示すように突き当てフェンス122と傾け部材130とが接触しているときは、ねじりコイルバネ123が弾性力に抗して巻き戻される。図15(d)に示すように突き当てフェンス122と傾け部材130とが接触していないときは、巻き戻されたねじりコイルバネ123が戻され、ねじりコイルバネ123により突き当てフェンス122が付勢され軸122aを中心に図中時計回りに回動して突き当てフェンス122の傾きが一定の角度で固定される。
【0065】
そのため、図15(e)に示すような傾け部材130と突き当てフェンス122とが接触している用紙揃え時の状態から、図15(f)に示すようなクランプ可動フェンス120,121で用紙束を挟んで搬送する状態に変わるときに、揃えた用紙束の端面に突き当てフェンス122が触れて用紙束をずらしたり傷つけたりしないように、突き当てフェンス122が用紙束の端面と逆の方向に回転し固定される。
【0066】
図16は、突き当てフェンス122の角度を調整する角度調整機構の他例を示すものである。この例では、図16(a)に示すように傾け部材であるラック125と噛み合っていない位置にある、クランプ可動フェンス120,121に設置されたピニオン124が、図16(b)に示すようにクランプ可動フェンス120,121を移動させてピニオン124がラック125に乗り上げることで両者が噛み合いピニオン124が回転して、ピニオン124の側面に設けられたピン123aにより突き当てフェンス124が押されて、軸122aを中心に突き当てフェンス122が回転することで突き当てフェンス122の角度を変えることができる。また、図16(c)に示すようにラック125上におけるピニオン124の位置を用紙サイズに応じて変化させることで、突き当てフェンス122の角度を用紙サイズに最適化された角度にすることができる。
【0067】
図16(d)で突き当てフェンス122を傾けた状態からクランプ可動フェンス120,121を開き、図16(e)に示すように、開いたクランプ可動フェンス120,121の間に送り込まれ突き当てフェンス122に突き当たった用紙束を、クランプ可動フェンス120,121で挟んで掴む。用紙束をクランプ可動フェンス120,121で掴んだ状態で搬送を始めると、ピニオン124が逆回転し突き当てフェンス122の角度が図16(f)から図16(g)へと変わる。このとき突き当てフェンス122は図示しないねじりコイルバネなどによって軸122aを中心に用紙束から遠ざかる方向に回転して、図16(h)に示すように、ピニオン124がラック125上から降りたときには、突き当てフェンス122が用紙束の端部から離れた状態となる。
【0068】
図17は、突き当てフェンス122の角度を調整する角度調整機構のさらに他例を示すものである。傾け部材131の傾斜に突き当てフェンス122が乗り上げた際の乗り上げ量によって突き当てフェンス122の角度調整を正確に行うことができる。
【0069】
図17(a)はB5用紙の用紙束を揃える場合における傾け部材131に対する突き当てフェンス122の乗り上げ位置を示す図である。図17(b)はA4用紙の用紙束を揃える場合における傾け部材131に対する突き当てフェンス122の乗り上げ位置を示す図である。図17(c)はA3用紙の用紙束を揃える場合における傾け部材131に対する突き当てフェンス122の乗り上げ位置を示す図である。
【0070】
この機構は傾け部材131の傾斜を任意に設定することで、クランプ可動フェンス120,121の移動量に対する突き当てフェンス122の傾きを調整できる。
【0071】
クランプ可動フェンス120,121が所定の停止位置に正確に止まれないときでもクランプ可動フェンス120,121の移動量に対する突き当てフェンス122の傾き量を小さくすることで狙いの角度に突き当てフェンス122を調整することができる。
【0072】
図18(a)は突き当てフェンス122の角度を調整する角度調整機構として、軸122aを中心に回転可能な突き当てフェンス122と接するように設けられ、モータ170の軸160aに偏心して取り付けられた円形の偏心カム160を、軸160aを介してモータ170により回転させることで、突き当てフェンス122を傾けて角度調整する例である。
【0073】
図18(b)に示すように、モータ170によって軸160aを中心に偏心カム160を図中反時計回りに回転させ、偏心カム160により突き当てフェンス122を押して突き当てフェンス122を図中反時計回りに回転させることにより角度調整をすることで、モータ170の回転を制御することにより突き当てフェンス122の角度調整を正確に行うことができるため、用紙サイズの種類が増えても角度調整を容易に行うことができる。
【0074】
図19(a)は突き当てフェンス122の角度を調整する角度調整機構として、モータ171に軸161aを介して接続された歯車161をモータ171で回転させて、軸122aを介して突き当てフェンス122と一体で回転可能に取り付けられ歯車161と噛み合う歯車162を回し、その歯車162の回転に連動させて突き当てフェンス122を回転させることにより、突き当てフェンス122の角度調整する例である。
【0075】
図19(b)に示すように、モータ171によって歯車161を図中時計回りに回転させて、歯車162を図中反時計回りに回し突き当てフェンス122が回転させて突き当てフェンス122の角度を調整することで、モータ171の回転を制御することにより突き当てフェンス122の角度調整を正確に行うことができるため、用紙サイズの種類が増えても角度調整を容易に行うことができる。
【0076】
以上、本実施形態によれば、略直線状の直線搬送路3と、直線搬送路3の用紙搬送方向端部と繋がっており湾曲状の湾曲搬送路4と、直線搬送路3に送られてきた用紙の端部を自身の突き当て面に突き当てて用紙束の用紙搬送方向の位置決めを行う端部基準部材である突き当てフェンス122と、突き当てフェンス122により位置決めされた直線搬送路3上の用紙束を挟み持ち、直線搬送路3から湾曲搬送路4に向かって用紙束を移動させるクランプ手段と、用紙束に綴じ処理を行う綴じ手段であるステイプラ41とを備え、クランプ手段により用紙束の少なくとも一部を直線搬送路3から湾曲搬送路4まで移動させて、ステイプラ41により用紙束に綴じを行う用紙後処理装置において、用紙束の突き当てフェンス側の端面に対する突き当てフェンス122の角度を調整する角度調整手段を有する。これにより、角度調整手段により用紙束の突き当てフェンス側の端面に対して角度を調整して突き当てフェンス122を傾けることができる。これにより、直線搬送路3から曲線搬送路に向かって用紙束をクランプ可動フェンス120,121で搬送し湾曲搬送路4上に用紙束の少なくとも一部がある際に、用紙束の端部に生じ得るずれとは逆のずれを予め生じさせた状態で、用紙束をクランプ可動フェンス120,121で挾持することができる。よって、クランプ可動フェンス120,121で用紙束を直線搬送路3から曲線搬送路に向かって搬送し、用紙束の少なくとも一部が曲線搬送路上にある状態でステイプラ41により用紙束の中綴じを行ったときの用紙束の端部のずれを低減させることができる。
また、本実施形態によれば、湾曲搬送路4は下方に向かって湾曲しており、突き当てフェンス122の突き当て面に用紙束の端面が突き当たった際に、用紙束の突き当てフェンス側の端面と用紙束の下面とで成す角が鋭角となるように、前記角度調整手段が突き当てフェンス122の角度を調整することで、湾曲搬送路4上に用紙束の少なくとも一部が位置した際に用紙束の端部に生じ得るずれとは逆のずれを予め生じさせた状態で、用紙束をクランプ可動フェンス120,121で掴むことができる。よって、クランプ可動フェンス120,121で用紙束を直線搬送路3から曲線搬送路4に向かって搬送し、用紙束の少なくとも一部が曲線搬送路4上にある状態でステイプラ41により中綴じが行われた用紙束の端部のずれを低減させることができる。
また、本実施形態によれば、突き当てフェンス122はクランプ可動フェンス120,121と一体で移動可能に構成されており、クランプ可動フェンス120 、121の移動によって突き当てフェンス122に接触し突き当てフェンス122を傾ける傾け部材130を有し、傾け部材130に対する突き当てフェンス122の接触量を調整することにより突き当てフェンス122の傾きを調整することで、追加の動力源を必要としない安価な構成で、突き当てフェンス122の傾きの調整を傾け部材との接触量で調整することができる。
また、本実施形態によれば、突き当てフェンス122の傾きを所定側に規制するバネ部材であるねじりコイルバネ123を有することで、用紙束を搬送するときには突き当てフェンス122と傾け部材130との接触が解除されても、ねじりコイルバネ123によって突き当てフェンス122の傾きが所定側に固定されて、突き当てフェンス122が用紙束側に傾いて用紙束を傷つけることを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、上記角度調整機構は歯車状のピニオン124を有し、上記傾け部材が歯を切ったラック125になっており、クランプ可動フェンス120,121の移動とともにピニオン124とラック125とが噛み合いピニオン124が回転することで突き当てフェンス122の角度が調整されることで、ピニオン124の回転で突き当てフェンス122の角度調整を正確に行うことができる。
また、本実施形態によれば、傾け部材131が搬送路に沿ったなだらかな傾斜をもつ形状であり、突き当てフェンス122が傾け部材131の傾斜に乗り上げ前記傾斜に沿って移動することにより突き当てフェンス122の傾きを調整することで、傾け部材131の傾斜の乗り上げ量によって突き当てフェンス122の角度調整を正確に行うことができる。
また、本実施形態によれば、突き当てフェンス122に接するように設けられた偏心カム160と、偏心カム160を回転させるモータとを有しており、モータ170によって偏心カム160を回転させて突き当てフェンス122の角度を調整することで、モータ170の回転を制御することにより突き当てフェンス122の角度調整を正確に行うことができるため、用紙サイズの種類が増えても角度調整を容易に行うことができる。
また、本実施形態によれば、突き当てフェンス122に設けられた第1ギヤである歯車162と、歯車162と噛み合う第2ギヤである歯車161と、歯車161を回転させるモータとを有しており、モータ171によって歯車161を回転させて歯車162を回し突き当てフェンス122を回転させて突き当てフェンス122の角度を調整することで、モータ171の回転を制御することにより突き当てフェンス122の角度調整を正確に行うことができるため、用紙サイズの種類が増えても角度調整を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0077】
1 導入搬送路
2 搬送搬送路
3 直線搬送路
4 湾曲搬送路
10 入口ローラ対
11 搬送ローラ対
12 搬送ローラ対
13 入口センサ
20 分岐爪
21 排出ローラ
22 排紙トレイ
30 叩きローラ
31 従動ローラ
32 排紙トレイ
33 搬送ローラ
34 フィラー
35 排紙センサ
36 ステイプルトレイ
37 ジョガーフェンス
38 ジョガーフェンス
39 基準フェンス
40 基準フェンス
41 ステイプラ
49 クランプ可動フェンスホームポジションセンサ
58 排紙ローラ対
60 用紙押さえ部材
61 用紙押さえコロ
62 中綴じトレイ
80 受入口
81 排出口
82 排出口
100 用紙後処理装置
106 クランプ縦軸
110 ガイドレール
115 搬送ガイド板
116 搬送ガイド板
118 位置センサ
120 クランプ可動フェンス
121 クランプ可動フェンス
122 フェンス
122a 軸
123 ねじりコイルバネ
124 ピニオン
125 ラック
130 傾け部材
131 傾け部材
140 ソレノイド
141 バネ
142 揺動板
142a 軸
160 偏心カム
161 歯車
162 歯車
200 用紙穿孔ユニット
203 折りブレード
206 搬送ローラ
207 搬送ローラ
219 プレス板
300 中折ユニット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開2007−153605号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直線状の直線搬送路と、
前記直線搬送路の用紙搬送方向端部と繋がっており湾曲状の湾曲搬送路と、
前記直線搬送路に送られてきた用紙の端部を自身の突き当て面に突き当てて用紙束の用紙搬送方向の位置決めを行う端部基準部材と、
前記端部基準部材により位置決めされた前記直線搬送路上の用紙束を挟み持ち、前記直線搬送路から前記湾曲搬送路に向かって用紙束を移動させるクランプ手段と、
用紙束に綴じ処理を行う綴じ手段とを備え、
前記クランプ手段により用紙束の少なくとも一部を前記直線搬送路から前記湾曲搬送路まで移動させて、前記綴じ手段により用紙束に中綴じを行う用紙後処理装置において、
用紙束の前記端部基準部材側の端面に対する前記端部基準部材の角度を調整する角度調整手段を有することを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項2】
請求項1の用紙後処理装置において、
上記湾曲搬送路は下方に向かって湾曲しており、
上記端部基準部材の突き当て面に用紙束の端面が突き当たった際に、用紙束の端部基準部材側の端面と用紙束の下面とで成す角が鋭角となるように、上記角度調整手段が前記端部基準部材の角度を調整することを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項3】
請求項1または2の用紙後処理装置において、
上記端部基準部材は上記クランプ手段と一体で移動可能に構成されており、
前記クランプ手段の移動によって前記端部基準部材に接触し該端部基準部材を傾ける傾け部材を有し、
前記傾け部材に対する前記端部基準部材の接触量を調整することにより該端部基準部材の傾きを調整することを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項4】
請求項3の用紙後処理装置において、
上記端部基準部材の傾きを所定側に規制するバネ部材を有することを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項5】
請求項3の用紙後処理装置において、
上記角度調整機構は歯車状のピニオンを有し、上記傾け部材が歯を切ったラックになっており、上記クランプ手段の移動とともに前記ピニオンと前記ラックとが噛み合い該ピニオンが回転することで上記端部基準部材の角度が調整されることを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項6】
請求項3の用紙後処理装置において、
上記傾け部材が搬送経路に沿ったなだらかな傾斜をもつ形状であり、上記端部基準部材が前記傾け部材の傾斜に乗り上げ該傾斜に沿って移動することにより前記端部基準部材の傾きを調整することを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項7】
請求項1または2の用紙後処理装置において、
上記端部基準部材に接するように設けられた偏心カムと、
前記偏心カムを回転させるモータとを有しており、
前記モータによって前記偏心カムを回転させて前記端部基準部材の角度を調整することを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項8】
請求項1または2の用紙後処理装置において、
上記端部基準部材に設けられた第1ギヤと、
前記第1ギヤと噛み合う第2ギヤと、
前記第2ギヤを回転させるモータとを有しており、
前記モータによって前記第2ギヤを回転させて前記第1ギヤを回すことにより前記端部基準部材を回転させて該端部基準部材の角度を調整することを特徴とする用紙後処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−148854(P2012−148854A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8499(P2011−8499)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】