説明

用紙接続装置及び画像形成装置

【課題】連続紙接続装置のコンパクト化、接続作業効率向上。
【解決手段】用紙位置指示部材10は用紙の搬送経路33に沿う位置と搬送経路から退避した位置とに可動であり、接続作業台2は搬送経路からずれた位置に配置され、用紙位置指示部材は接続テープ120の固定状態を切り替える切り替えレバー9と一体的であり、該切り替えレバーが固定手段8を動作させる状態に変位した場合に、この変位と連動して用紙位置指示部材が搬送経路から退避した位置に移動し、該切り替えレバーが固定手段の動作を停止させる状態に変位した場合に、この変位と連動して用紙位置指示部材が搬送経路に沿う位置に移動することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙部から印刷部を経由して排紙部に到る搬送経路で搬送される連続紙を、搬送経路の途中で接続する用紙接続装置及びこの用紙接続装置を備えた電子写真方式等による複写装置、ファクシミリ、プリンタ、プロッタ、複合機、等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、記録媒体として所定サイズの矩形にカットされた所謂シート状媒体を用いるタイプと、所定サイズの矩形に折りたたまれた所謂連続紙を用いるタイプがある。本発明は後者の連続紙を用いる画像形成装置、また、この画像形成装置に用いる連続紙の接続装置に関する。
【0003】
画像形成装置において、連続紙は用紙搬送方向と略平行をなすように所定ピッチで設けられた送り穴と、該用紙の紙面上、用紙搬送方向に対し垂直に交差する方向に設けられた折り用のミシン目を備え、このミシン目の部位で折り畳まれた状態で給紙部に置かれる。印刷に際して連続紙は該給紙部から引き出されて、帯状に延びた状態で搬送経路に送り出され、印刷部(転写部ともいう。)において画像を転写されたのち、定着部で転写画像を定着されてから排紙部に到り、ここで再びミシン目の部位で折り畳まれる。
【0004】
かかる連続紙について、印刷途中での用紙不足があると、当該画像形成装置の運転が中止される。この場合、新しい用紙が補充されて、新旧用紙の前後端部の接続が行われる。先行する搬送経路上流側の用紙後端部と、新規補充された後行用紙の同下流側の前端部とを接続する作業が行われる。
【0005】
接続には接続媒体として専用の粘着テープが用いられ、また、接続部での前後用紙の整列、直線性の精度も要求され、オペレーター接続治具を用いて手作業で行っている。
【0006】
連続紙の接続作業は専用の接続作業台上で行われる。この接続作業台は搬送経路と上下に重なる位置であって、台の高さ位置が搬送経路から上下方向にずらしてある。その理由は、接続作業台上には、用紙の送り穴と係合するガイドピンや接続作業を容易にするための接続治具が配置されているため、仮に接続作業台が搬送経路上に定置されたままであると、搬送経路上を通る用紙がガイドピンにひっかかるなど搬送に支障をきたすからである。一般には接続作業台は、接続作業の利便性を考慮して搬送経路の下方に配備される(たとえば、特許文献1参照)。
【0007】
一方、連続紙について、用紙交換などに起因して接続作業が行われる場合、予め接続部で用紙のたるみをつくり、前後用紙の端部をつき合わせてテープでつなぎ、接続後にたるみを除く。このたるみを除く工程では用紙搬送コロなどに対して寸動の送りがかけられる。
【0008】
そして、用紙接続後におけるミシン目の基準位置に対する位置合わせは、たるみが除かれた状態のもとで再度行い、位置合わせ手段として所定位置に定置された専用の用紙位置指示部材を用い、該用紙位置指示部材に印された目盛にその用紙のミシン目の位置を合わせる作業が必要となる場合がある。
【0009】
なお、隣り合うミシン目の間隔が異なる複数種の連続紙(所謂用紙サイズが異なる複数種の連続紙)を取り替えて使用可能な画像形成装置においても、異なるサイズの連続紙に交換がなされると、その交換の都度、用紙位置指示部材に印されたその用紙サイズ用の目盛の位置に、その用紙のミシン目の位置を合わせる作業が行われる。
【0010】
このように転写位置の上流で用紙の接続を行う場合には、ミシン目の位置を、その用紙サイズ用の基準目盛位置に合わせることにより、印刷部において、その用紙のミシン目の位置に対し転写画像を適正に合わせた転写画像を得ることができる。
【0011】
搬送経路のコンパクト化を考慮に入れると、接続作業台と用紙位置指示部材とを、搬送経路に沿った同一領域にまとめて配置することが好ましいといえる。
【0012】
従来、用紙の接続装置に関しては種々の装置が提案されている。しかし、接続装置に付帯させてミシン目位置合わせ手段を構成した例は少ない。1つの例として、用紙接続時において作業台上でミシン目の位置を合わせる技術を開示したものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0013】
上記特許文献2には、「用紙搬送方向に対しほぼ平行をなすように所定ピッチで設けられた送り穴と、用紙搬送方向に対しほぼ垂直に設けられたミシン目とを備えた連続紙を扱うスプライサにおいて、前記スプライサは、上面に前記連続紙の送り穴と係合するガイドピンを備えた基台と、前記基台の用紙搬送方向と直交する方向の両端に設けられたテープカッタと、前記各テープカッタの側方に設けられたテープ保持部と、前記各テープ保持部間に架け渡し保持されるとともに中央部にミシン目を備えたテープからなるスプライサ」が開示されている。
【0014】
しかし、かかるスプライサにおいても、接続後におけるミシン目の位置合わせについては開示がない。そして、基台に連続紙の送り穴と係合するガイドピンがあることから、接続後において用紙が、接続作業台のガイドピンから外され、搬送経路に復帰してたるみが除去されるものとすれば、ガイドピンから外されてたるみが除去される過程でミシン目の位置を印刷位置からの所定の距離として定めた基準となる固定目盛に合わせる作業が必要になる場合が考えられる。
【0015】
印刷時において搬送経路を搬送される用紙が接続作業台と干渉するのを避けるため接続作業台は搬送経路からずれた位置に配置されることが好ましく、また、接続後にミシン目の位置を基準位置に合わせるための用紙位置指示部材は搬送経路にそって配置されるのがよいことになる。また、搬送経路をコンパクトにするには接続作業台と用紙位置指示部材とは近接して配置することが望まれる。
【0016】
これらのことを全て満足させようとすると、接続作業台は搬送経路からずれた位置に配置し、用紙位置指示部材を搬送経路に沿って設けかつ、接続作業台に近接した配置とすることとなるが、そのようにすると今度は接続作業に際して、搬送経路に沿って設けられた用紙位置指示部材が邪魔になってしまうという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、用紙位置指示部材と接続作業台を備えた連続紙の接続装置において、用紙位置指示部材と接続作業台とを同一エリアに一体的に構成し、接続作業台の機能状態と関連付けて用紙位置指示部材を変位させることで、レイアウト上の無駄を排除するとともに、接続作業及び接続後の目盛位置合わせ作業の作業をしやすくして作業効率を向上させた連続紙の接続装置及び画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を達成するため本発明の第1の手段は、用紙の位置ずれを防止する手段及び接着剤を有したテープを一時的に固定する固定手段を備えた接続作業台と、変位により前記固定手段の動作、停止を切り替える切り替えレバーと、用紙に施された折りミシン目位置を指示する用紙位置指示部材を具備し、長尺に連続した用紙の終端ともう1つの長尺に連続した用紙の始端とを前記テープで接続する用紙接続装置であって、
前記用紙位置指示部材は用紙の搬送経路に沿う位置と搬送経路から退避した位置とに可動であり、前記接続作業台は搬送経路からずれた位置に配置され、前記用紙位置指示部材は前記切り替えレバーと一体的であり、
該切り替えレバーが前記固定手段を動作させる状態に変位した場合に、この変位と連動して前記用紙位置指示部材が搬送経路から退避した位置に移動し、
該切り替えレバーが前記固定手段の動作を停止させる状態に変位した場合に、この変位と連動して前記用紙位置指示部材が搬送経路に沿う位置に移動することとした。
本発明の第2の手段は、第1の手段に記載の用紙接続装置において、用紙を接続する場合に、前記切り替えレバーが前記固定手段を動作させる状態に変位させられ、この変位と連動して前記用紙位置指示部材が前記接続作業台の上面作業領域よりも下方に位置し、
印刷や印刷待機状態では、切り替えレバーが前記固定手段の動作を停止させる状態に変位させられ、この変位と連動して前記用紙位置指示部材が前記接続作業台の上面作業領域よりも上方に位置することとした。
本発明の第3の手段は、第1又は第2の手段に記載の用紙接続装置において、前記固定手段は前記接続作業台上で前記テープの非接着剤面が載せられる部位に設けた空気吸引穴と、この空気吸引穴から空気を吸引する空気吸引手段からなり、この空気吸引手段は前記切り替えレバーにより動作、停止が切り替えられることとした。
本発明の第4の手段は、給紙部から印刷部を経由して排紙部に到る搬送経路で搬送される連続紙を搬送経路の途中で接続する用紙接続装置を備えた画像形成装置において、前記用紙接続装置として、前記第1乃至第3の手段の何れか1つを用いていることとした。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、切り替えレバーの操作により、用紙を接続する場合には、用紙位置指示部材を搬送経路に沿う位置ひいては接続作業台から退避させて、用紙の接続位置への移動作業を容易にするとともに、固定手段を動作状態にして接続用のテープを作業台上に固定し用紙端部同士の接続作業を容易にし、また、接続を終えた状態では固定手段を停止状態にして前記テープを解放すると共に用紙位置指示部材を搬送経路に沿う位置に変位させてミシン目の位置合わせを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る画像形成装置の全体構成を示した図である。
【図2】(a)は用紙接続装置の正面図、(b)は用紙接続装置の側面図である。
【図3】(a)は用紙接続装置の正面図、(b)は用紙接続装置の側面図である。
【図4】(a)は用紙接続装置の正面図、(b)は用紙接続装置の側面図である。
【図5】(a)は用紙接続装置の正面図、(b)は用紙接続装置の側面図である。
【図6】(a)は用紙接続装置の正面図、(b)は用紙接続装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
<画像形成装置の構成・動作>
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示している。この画像形成装置100は、給紙部30から印刷部31を経由して排紙部32に到る破線で示す搬送経路33に沿って搬送される連続紙からなる用紙Sを該搬送経路33の途中で接続する用紙接続装置40を備えたものである。
【0023】
感光体ドラム1のまわりには、矢印で示す回転方向順に、帯電器42、露光装置43、現像装置44及び転写帯電装置46等、静電記録装置としてよく知られるプロセス部材が配置されている。画像の形成に際しては、表面に光導電性の感光層を有する感光体ドラム1が回転され、暗中で帯電器42により一様に電荷が付与されたのち、画像データに応じて露光装置43からの走査光Lが感光層に照射され、静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置44を通過する間にトナーにより可視像化される。
【0024】
一方、給紙部30には折り畳まれて定置された連続紙からなる用紙Sが載置されていて、該給紙部30から送り出された用紙Sは、搬送コロや搬送ベルトにより送りをかけられ、また、方向規制用のガイドなどにより送り方向を規制されて搬送路33に沿って送られ、排紙部32に到る。
【0025】
搬送経路33における用紙搬送方向上、転写帯電装置46の上流側であってガイドローラ48と搬送ベルト47との間に本発明にかかる用紙接続装置40が配置されている。用紙Sには、用紙搬送方向に対し略平行をなすようにして所定ピッチで送り穴が形成されている。搬送ベルト47の全周には上記送り穴と同じピッチで回転方向に沿ってガイドピンが植設されていて、上記ガイドピンが上記送り穴に入ることにより、用紙Sは搬送ベルト47の回転と共に該搬送ベルト47に対してずれることなく搬送される。
【0026】
転写帯電装置46は感光体ドラム1と対向配置されていて、間に用紙Sが通れる間隔をおいている。転写帯電装置46の下流には搬送ベルト47と同じ構成の搬送ベルト49が配置されている。これらガイドピンを有する搬送ベルト47,49で転写帯電装置46を通る用紙Sに画像転写に必要な適度の張りを与えている。感光体ドラム1の周面上、転写帯電装置46が対向する部位を印刷部(或いは転写部)と称し、この印刷部で感光体ドラム1上の前記トナー像が用紙Sに転写される。
【0027】
搬送経路33上、搬送ベルト49の下流には、方向規制用のガイド50,51があり、さらに、定着用のプレヒータ36、定着装置37が配置されていて、トナー像を担持した用紙Sは、これらの部材を経て最終的に排紙部32に到る。途中に設けたプレヒータ36は用紙Sが定着装置37に到る前に予熱する手段である。プレヒータ36には用紙Sとの接触面に空気吸引用の開口が形成されていて、該開口より吸引する空気とともに用紙Sを吸着する。用紙Sは該プレヒータ36に画像担持面の裏側に対応する背面部を密着されて前加熱されつつ搬送され、さらに定着装置37を構成する加圧ローラ37a、加熱ローラ37b間を通る間にトナー像は溶融固着により定着される。
【0028】
搬送経路33において用紙Sに送りをかけるのは、ガイドピンが植設された搬送ベルト47,49や、対をなす加圧ローラ37a、加熱ローラ37bなどの用紙送り機能をもつ回転体であり、これらによる用紙Sの送り速度は、感光体ドラム1の線速度と等しい。
【0029】
用紙接続装置40において用紙Sを接続する場合、用紙搬送駆動は停止されている。このため、用紙の過熱防止上、プレヒータ36における用紙Sの吸引は停止され、同様に定着装置37における加圧ローラ37a、加熱ローラ37bによる用紙に対する挟持状態も予め解除されている。用紙接続後、用紙の位置合わせが必要な場合、上記回転体の駆動系をスイッチ操作で寸動させることにより行う。プレヒータ36や定着装置37など、用紙加熱部における用紙の拘束は上記過熱防止のため解除されているので寸動動作に支障はない。
【0030】
<用紙接続装置の構成>
【0031】
図1において、ガイドローラ48の上流には一対のコロからなる搬送コロ52が設けられている。この搬送コロ52は、用紙Sに用紙搬送方向下流側への送りがかけられる場合には、連れ回りする構成(従動)でよい。一方、たるみを除くため等、用紙搬送方向上流側に用紙Sを寸動させる場合には、搬送コロ52の少なくとも一方のコロに設けられた駆動手段により駆動され用紙を寸動させる。なお、搬送コロ52とは別に設けた駆動コロ(図示せず)により用紙Sの寸動を行うようにしても構わない。この場合、該駆動ローラは搬送経路33から離間可能な構成とする。
なお、用紙接続装置40の上方であってガイドローラ48と搬送ベルト47とを結ぶ線上に一定の張りをもたせて搬送経路を維持するため、ガイドローラ48は搬送コロ52の回転部には適度の回転抵抗を付与してもよい。
【0032】
(接続作業台)
図2乃至図6に用紙接続装置40の構成を示す。各図における(a)は正面図、(b)は側面図である。
図2乃至図6の各図に示した搬送路33は、図1においてガイドローラ48と搬送ベルト47を結ぶ区間の搬送路33に相当し、この搬送路33からずれた下方に接続作業台2が定置されている。接続作業台2の上面は搬送路33を含む水平面と略平行な平面をなし、用紙を接続するのに必要な広さを有している。
【0033】
(用紙の位置ずれを防止する手段)
前記したとおり、用紙Sには用紙搬送方向に対し略平行をなすようにして所定ピッチで送り穴が形成されており、接続作業台2の上面にはこの送り穴と同じピッチで該送り穴に入るガイドピン3が植設されている。この接続作業台2上のガイドピン3は用紙の接続に際して位置ずれを防止する手段である。
【0034】
接続作業台2上の略中央位置は、用紙Sの接続に用いるテープの非接着剤面が載せられる部位が構成され、そこには用紙Sの搬送方向((a)における左右方向、(b)における紙面に垂直な方向)と直交する方向(用紙幅方向)に長い空気吸引孔としてのスリット4が形成されている。スリット4の用紙幅方向での長さは接続する用紙の寸法と略同寸法に合わせて形成されている。負圧を利用してのテープ固定であるから、テープはスリット4を覆う大きさであることが好ましい。画像形成装置で使用する用紙サイズが複数ある場合は、スリット4からの空気吸引によるテープの吸着性を損なわないため小さい方のサイズに合わせるのがよい。同じ理由から、スリット4の用紙搬送方向での寸法はテープの幅方向よりも小さく形成するのがよい。
【0035】
(接続作業台の上面作業領域)
接続作業台の上面部のうち、スリット4を中心にガイドピン3が植設された領域は用紙接続作業がなされる作業領域であり、スリット4が形成された部位は該作業領域の中心部である。
【0036】
(固定手段)
空気吸引手段としてのスリット4は接続作業台2の裏側まで貫通していて、該裏側に設けた集合ダクト5内に連通している。集合ダクト5はさらに吸引管6に接続され、吸引管6の先は吸引切り替えバルブ7に接続され、吸引切り替えバルブ7はスリット4から空気を吸引する空気吸引手段としての吸引ブロア8に接続されている。これらスリット4及び吸引ブロア8はテープを一時的に固定する固定手段の一例である。
【0037】
吸引切り替えバルブ7は回転軸7aを正回転、逆回転することにより開閉して、吸引ブロア8による空気吸引量を制御するもので、回転軸7aには吸引切り替えレバー9の基端部が固定されている。本例では図2,5,6に示すように吸引切り替えレバー9を傾けた状態でバルブが閉じ、図3,4に示すように吸引切り替えレバー9を起こした状態でバルブが開く。
【0038】
吸引ブロア8が駆動している状態のもとで、吸引切り替えレバー9を起こせば吸引切り替えバルブ7が開いてスリット4から空気が吸引され固定手段は動作状態となり、吸引切り替えレバー9を倒せば吸引切り替えバルブ7が閉じてスリット4から空気が吸引されなくなり固定手段は停止状態となる。このように吸引切り替えレバー9はその変位により固定手段の動作、停止が切り替えられる。
【0039】
(用紙位置指示部材)
用紙位置指示部材10は長尺な板状をした部材であり、表面には用紙Sに施された折りミシン目位置を指示する目盛が印されている。用紙位置指示部材10は支持アーム12及び回転軸7aを介して切り替えレバー9と一体的に設けられている。用紙位置指示部材10は切り替えレバー9と一体的に構成され、かつ、図2,5,6に示すように吸引切り替えレバー9が傾けられた状態のときに搬送経路33に沿った状態となり、上面が水平な状態まで変位し、図3,4に示すように吸引切り替えレバー9を起こした状態のときには、搬送経路33から退避した位置に変位するように吸引切り替えレバー9に対する取り付け位置が調整されている。
【0040】
これにより、図3,4に示すように吸引切り替えレバー9が起こされることにより、吸引切り替えバルブ7が開き、スリット4から空気が吸い込まれる状態となり、固定手段が動作する状態になった場合に、かかる吸引切り替えレバー9の変位と連動して用紙位置指示部材10が搬送経路33から退避した位置、さらには、図示されるように該用紙位置指示部材10が接続作業台2の上面の用紙接続作業領域よりも下方に位置した状態となる。この状態では用紙の接続に際して、用紙各端部を接続作業台2に引き寄せるなどの作業に用紙位置指示部材10が障害とならない。
【0041】
また、図2,5,6に示すように吸引切り替えレバー9が傾けられることにより、吸引切り替えバルブ7が閉じ、スリット4から空気が吸い込まれない状態となり、固定手段が停止する状態になった場合に、かかる吸引切り替えレバー9の変位と連動して用紙位置指示部材10は前記接続作業台2の上面作業領域よりも上方であって搬送経路33に沿う位置に移動した状態となる。この状態は接続後において用紙のミシン目を用紙位置指示部材10に印された目盛に合わせる作業に適している。
【0042】
<用紙接続装置の動作>
工程1:(非動作状態)(図2参照)
画像形成装置において正常に印刷が行なわれ、用紙Sは矢印で示す搬送方向に送られている。吸引ブロア8は駆動が停止されている。吸引切り替えレバー9は回転軸7aを支点にして水平に向けて大きく傾けられており、吸引切り替えバルブ7は閉じている。用紙位置指示部材10は前記接続作業台の上面作業領域よりも上方であって搬送経路33に沿う位置に移動した状態となっている。
【0043】
工程2:(用紙切れ等にともなう用紙の接続)(図3参照)
搬送コロ52の用紙搬送方向上流に設置されるセンサ(図示せず)によって用紙の後端を検知した場合、画像形成装置は運転を停止し待機状態となる。図1において用紙Sを加熱しているプレヒータ36部では用紙の吸引が停止されて用紙Sは非拘束状態となる。同様に、定着装置37においても加圧ローラ37a、加熱ローラ37bによる用紙の挟持が解除され用紙Sは非拘束状態となる。
【0044】
ここでオペレーターに、連続用紙の終端と、新たに補給した連続用紙の始端とを接続する作業が発生する。なお、用紙ジャムの場合に、長尺に連続した用紙の終端と、新規に使用するもう1つの長尺に連続した用紙の始端とを接続しても良い。
【0045】
吸引ブロア8を起動し、図3に示すように吸引切り替えレバー9を起こす。これにより用紙位置指示部材10は前記接続作業台の上面作業領域よりも下方に変位し、接続作業台2の上面部分が開放されて作業しやすい状態になる。片面に接着剤を有し予め用紙サイズに切断されたテープ120を、接着面を上に非接着面を下にしてスリット4上に載せる。吸引切り替えバルブ7は開いていて、スリット4から空気が吸い込まれているのでテープ120はスリット4上に固定される。
【0046】
連続用紙の終端部S1と用紙の始端部S2とをテープ120上に近づける。なお、画像形成装置は、センサにより用紙の後端部S1を検知して用紙搬送を停止させる際、終端部S1が用紙接続装置40より上流側となる位置で停止させる。このため、用紙の終端部S1をテーブル120上に近づけさせることが可能となる。
【0047】
工程3:(用紙の接続)(図4参照)
分断されている両用紙の送り穴をそれぞれガイドピン3に差し込む。これにより、該用紙の終端部S1と用紙の始端部S2とはテープ120上で合致するので、テープ120上面に押し当て、貼り付けることにより両用紙を接続する。
【0048】
工程4:(用紙位置指示部材の立ち上げによる搬送経路沿い位置への変位)(図5参照)
テープ120を接続作業台2上に固定する必要がなくなったので、吸引切り替えバルブ7を閉じるため、吸引切り替えレバー9を図5に示すように傾ける。この動作により用紙位置指示部材10は前記接続作業台の上面作業領域よりも上方であって、搬送経路33に沿う位置まで変位する。
【0049】
工程5:(目盛に対する用紙位置合わせ)(図6参照)
テープ120を接続作業台2上に固定する必要がなくなったので、吸引切り替えレバー9を図5に示すように傾ける。この動作により用紙位置指示部材10は接続作業台2の上面作業領域よりも上方であって搬送経路33に沿う位置まで変位する。この位置は用紙Sが通常搬送時の張力で張られていて、用紙位置指示部材10の目盛にミシン目位置を合わせるのに適し、オペレーターがミシン目位置を確認できる位置である。
【0050】
位置合わせに先立ち、接続が済んで接続作業台2上にある用紙Sを搬送経路33に戻す作業を行う。用紙Sを持ち上げてガイドピン3から送り穴を外し、一旦搬送経路33よりも上に持ち上げてから、搬送経路33に設けた搬送コロ52を寸動させてたるみを除き搬送経路33に沿わせる。オペレーターが目視して、用紙位置指示部材10の目盛とミシン目位置とがずれていることを確認した場合、搬送ベルト47,49を寸動して用紙位置指示部材10の所定の目盛にミシン目を合わせる。用紙位置指示部材10の目盛にミシン目を合わせることにより、印刷部において用紙の適正な位置に画像を転写することができるようになる。
【0051】
このように用紙位置指示部材10は用紙接続時には使用されず、接続後印刷開始前に、用紙位置を調整、確認するためのものである。用紙位置指示部材10には8インチ、11インチ等、用紙搬送方向のサイズに応じた用紙セット位置を指示するための目盛が印されており、用紙サイズに適合した目盛に位置合わせすることになる。
【0052】
用紙位置指示部材10を接続作業台2よりも上方に位置決めしたのは、接続作業台2よりも上方に搬送経路33が位置しているため、これに合わせたものである。用紙位置指示部材10は、用紙接続時を除き、印刷前や印刷中断後、オペレーターが直ぐにミシン目位置を確認できるように、搬送経路33に沿って配置すべきものである。加えて、用紙接続や印刷位置調整を行うエリアは、オペレーターのアクセス性、操作性の向上に加え、用紙搬送経路をなるべくコンパクトにする必要があるため同じ領域にまとめている。
【0053】
以上において、スリット4が位置するテープ吸引部からの空気吸引の切り替え動作と用紙位置指示部材10の退避動作とを連動させたのは、テープ吸引部は用紙接続時のみ使用し、用紙位置指示部材10は用紙接続時には使用しないためである。このため、「吸引部の切り替え動作」と「印刷位置指示部材の規定位置からの退避」とを連動することが可能となった。そして、これにより、2工程が1工程になるので、オペレーターによる操作性が向上し、かつ、用紙接続後の印刷位置指示部材の戻し忘れも防止することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 感光体ドラム
2 接続作業台
3 ガイドピン
4 スリット
5 集合ダクト
6 吸引管
7 吸引切り替えバルブ
7a 回転軸
8 吸引ブロア
9 吸引切り替えレバー
10 用紙位置指示部材
11 目盛
12 支持アーム
30 給紙部
31 印刷部
32 排紙部
33 搬送経路
36 プレヒータ
37 定着装置
37a 加圧ローラ
37b 加熱ローラ
40 用紙接続装置
42 帯電器
43 露光装置
44 現像装置
46 転写帯電装置
48 ガイドローラ
47、49 搬送ベルト
50、51 ガイド
52 搬送コロ
100 画像形成装置
120 テープ
L 走査光
S 連続紙である用紙
S1 終端部
S2 始端部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特許第2586644号公報
【特許文献2】特開平8−225205号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の位置ずれを防止する手段及び接着剤を有したテープを一時的に固定する固定手段を備えた接続作業台と、変位により前記固定手段の動作、停止を切り替える切り替えレバーと、用紙に施された折りミシン目位置を指示する用紙位置指示部材を具備し、長尺に連続した用紙の終端ともう1つの長尺に連続した用紙の始端とを前記テープで接続する用紙接続装置であって、
前記用紙位置指示部材は用紙の搬送経路に沿う位置と搬送経路から退避した位置とに可動であり、前記接続作業台は搬送経路からずれた位置に配置され、前記用紙位置指示部材は前記切り替えレバーと一体的であり、
該切り替えレバーが前記固定手段を動作させる状態に変位した場合に、この変位と連動して前記用紙位置指示部材が搬送経路から退避した位置に移動し、
該切り替えレバーが前記固定手段の動作を停止させる状態に変位した場合に、この変位と連動して前記用紙位置指示部材が搬送経路に沿う位置に移動することを特徴とする用紙接続装置。
【請求項2】
請求項1記載の用紙接続装置において、
用紙を接続する場合に、前記切り替えレバーが前記固定手段を動作させる状態に変位させられ、この変位と連動して前記用紙位置指示部材が前記接続作業台の上面作業領域よりも下方に位置し、
印刷や印刷待機状態では、切り替えレバーが前記固定手段の動作を停止させる状態に変位させられ、この変位と連動して前記用紙位置指示部材が前記接続作業台の上面作業領域よりも上方に位置することを特徴とする用紙接続装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の用紙接続装置において、前記固定手段は前記接続作業台上で前記テープの非接着剤面が載せられる部位に設けた空気吸引穴と、この空気吸引穴から空気を吸引する空気吸引手段からなり、この空気吸引手段は前記切り替えレバーにより動作、停止が切り替えられることを特徴とする用紙接続装置。
【請求項4】
給紙部から印刷部を経由して排紙部に到る搬送経路で搬送される連続紙を搬送経路の途中で接続する用紙接続装置を備えた画像形成装置において、前記用紙接続装置として、請求項1乃至3の何れか1つが用いられていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−168388(P2011−168388A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36260(P2010−36260)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】