説明

用紙蛇行補正装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】用紙搬送性が不安定になり易い用紙幅方向に厚さに違いがあるような特殊用紙においても安定した用紙蛇行補正ができる用紙蛇行補正装置を提供する。
【解決手段】第1ならびに第2用紙搬送機構部の間に設けられるバッファ機構部8は、バッファドライブシャフト17の一方端に固定された第1バッファアーム20、バッファドライブシャフト17の他方端に回転可能に保持された第2バッファアーム30、バッファアーム20,30を弾性付勢するバッファスプリング23、バッファアーム20,30の自由端側に、バッファドライブシャフト17の回転によりバッファアーム20,30の自由端が上下方向に移動可能に架設されて、バッファアーム20,30の移動により連続用紙5へテンションを与えるバッファシャフト31を備え、用紙蛇行検出部からの検出結果に基づいてバッファコントロールモータ27の回転角度を制御して用紙蛇行補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にレーザープリンタ等の電子写真装置における用紙蛇行補正装置及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた連続紙印刷装置の概略構成を図8と共に説明する。
【0003】
上位装置(図示せず)からドットデータに分解された印刷信号が送信されてくると、レーザ光が感光体ドラム1の表面を走査される。感光体ドラム1の表面は予め帯電器2により一様に帯電されており、レーザ光が照射された部分の電荷が逃げ、感光体ドラム1の表面に前記印刷信号に基づいた静電潜像が形成される。
【0004】
この静電潜像は現像機3によりトナーが付着されてトナー像が形成され、そのトナー像は回転する感光体ドラム1により転写器4の位置に運ばれる。長尺状の連続用紙(以下、用紙と略称する)5は、用紙搬送手段である搬送トラクタ6(または搬送ローラ)などによって転写器4の位置に送られ、感光体ドラム1に担持されている前記トナー像が転写器4によって用紙5上に転写される。
【0005】
トナー像12が転写された用紙5は、バッファ機構部8によって一定のテンションを与えられながら、ヒートローラ7とバックアップローラ10の間を通って熱および圧力により定着され、その後スタッカ11へ排出される。
【0006】
図9ないし図14を用いて、従来のバッファ機構部8の構成を説明する。図9は従来の印刷装置の搬送トラクタ6からヒートローラ7までの構成を説明するための概略構成図、図10は従来のバッファ機構部8の平面図、図11はそのバッファ機構部8内のバッファアームの動きを説明するための一部側面図である。
【0007】
図8ならびに図9に示すように、バッファ機構部8は第1用紙搬送機構部に相当する搬送トラクタ6と第2用紙搬送機構部に相当する定着機構部の間に設置されて、搬送トラクタ6と定着機構部(ヒートローラ7、バックアップローラ10)の間の用紙搬送速度差を吸収するために、用紙5にテンションを付与する機能を有している。
【0008】
バッファ機構部8は、図10に示すバッファドライブシャフト19の両端部が、フレーム17,17に固定されたベアリングホルダ18内のベアリング(図示せず)により回転自在に支持されている。前記フレーム17,17は、用紙5の幅方向の両側に用紙搬送方向Xと平行に対向するように配置されている。
【0009】
前記バッファドライブシャフト19の両端部には、用紙5の紙送り方向に向かって延びた第1,第2バッファアーム20,21がネジ25によって支持され、第1,第2バッファアーム20,21はバッファドライブシャフト19を中心として回動可能になっている。
【0010】
またバッファドライブシャフト19の両端部にそれぞれバッファスプリング23が遊嵌され、バッファスプリング23の一端はフレーム17に固定され、バッファスプリング23の他端は第1,第2バッファアーム20,21に連結されている。
【0011】
第1,第2バッファアーム20,21の先端にはバッファシャフト22が取り付けられて、用紙5は図10に示すようにバッファシャフト22の上側を通過するようになっており、前記バッファスプリング23の上向きの弾性付勢力により第1,第2バッファアーム20,21ならびにバッファシャフト22を介して、用紙5の幅全域にテンションを与える構成となっている。
【0012】
印刷停止時は、第1,第2バッファアーム20,21は、図11において鎖線で示される位置に保持されている。これは、フレーム17に取り付けられたバッファポジションピン29によって、バッファスプリング23による第1,第2バッファアーム20,21のテンションが規制されているためである。なお、第1,第2バッファアーム20,21の回転角度は左右ともに同一角度となっている。
【0013】
図10に示すように印刷装置の奥側(図面において上側)の第1バッファアーム20には、バッファポジションギヤ39が取り付けてある。バッファポジションギア39は、フレーム17に取り付けられたバッファポジションモータ38のギアと噛み合うように設置されている。
【0014】
印刷起動時には、用紙搬送開始時から用紙5に与えるテンションが一定となるように、第1,第2バッファアーム20,21を図11に示すように予め定められる角度(θ)まで回転させる。なお、このバッファポジションモータ38の制御は、バッファドライブシャフト19の端部に配置したバッファポジションセンサ24からの位置情報を基に行われる。
【0015】
次に用紙送りを行う搬送トラクタ6とヒートローラ7とが、それぞれ駆動を開始すると同時に、バッファポジションモータ38の励磁を解除する。これにより、バッファシャフト22から用紙5に前記バッファスプリング23により一定のテンションが加わる。
【0016】
また、印刷動作中は、一定の速度で用紙送りを行う搬送トラクタ6(または搬送ローラ)などに対して、バッファポジションセンサ24の検出角度が予め設定した範囲内に納まるように、ヒートローラ駆動モータ40(図9参照)は、ヒートローラ7の回転速度を微細に加減速して調節する。
【0017】
さらに、バックアップローラ10は、ヒートローラ7の回転駆動により従動回転する。従って、ヒートローラ駆動モータ40により、用紙5の搬送速度が一定に制御され、第1,第2バッファアーム20,21の角度を一定に保ち、用紙5に一定のテンションが与えられる。
【0018】
このとき用紙5は、用紙5自体の繊維分布や厚さのバラツキ、または熱収縮のバラツキなどの他、感光体ドラム1への静電気的な貼り付きや、ヒートローラ7の温度分布、ヒートローラ7とバックアップローラ10のニップ圧力のバランスなどによって、走行性が不安定になる場合がある。
【0019】
この用紙の走行性を安定させるために、特許文献1(特許第3738983号公報)に記載されたように、搬送トラクタ6の出口に実装された用紙蛇行検出器13(図9参照)によって、用紙の蛇行状態を監視し、用紙蛇行状態に合わせて、ヒートローラ7に対するバックアップローラ10のニップ圧力を可変して、用紙蛇行補正制御を行っている。
【0020】
次に図9、図12〜図15を用いて、定着機構部での用紙蛇行補正の概要を説明する。図12はカム14によるバックアップローラ10の押圧機構を説明するための図、図13(a),(b)はカム14の形状を示す図、図14(a),(b)はバックアップローラ10の押圧力の変化に伴うヒートローラ7とバックアップローラ10のニップ幅の変化を示す図、図15はカムモータの回転角度を説明するための概念図である。
【0021】
図9に示すようにカムシャフト9の両端には、カム14a,14bが取り付けられている。このカム14a,14bの形状は同じであるが、図13(a),(b)に示すように印刷装置の手前側(図9では図面において下側)に設置されるカム14aと、印刷装置の奥側(図9では図面において上側)に設置されるカム14bは、カム面が相対的に周方向において若干ずれた状態でカムシャフト9に取り付けられており、従ってカム14aとカム14bは相対的に異相をもった関係になっている。
【0022】
図9ならびに図12に示すようにカム14a,14bにそれぞれ隣接するように、アーム部材15が支軸15cを中心に回動可能に配置されている。このアーム部材15は、一部が常にカム14a,14bのカム面に当接するカム当接部15dを有する第1アーム部15aと、第1アーム部15aと対向するように配置されてバックアップローラ10の回転軸に当接されている第2アーム部15bと、第1アーム部15aと第2アーム部15bの間に介在されたコイルスプリング16とを有している。
【0023】
このアーム部材15はバックアップローラ10とカム14a,14bの間に介在されて、前記コイルスプリング16は圧縮状態になっているから、そのコイルスプリング16の弾性付勢力により第1アーム部15aのカム当接部15dはカム14a,14bのカム面に弾接している。従って、カム面の位置によってアーム部材15は支軸15cを中心に回動するようになっている。
【0024】
カムシャフト9とともにカム14a,14bを回転させることによって、カム面の位置に従って第1アーム15aが移動し、コイルスプリング16を介して、第2アーム部15bをヒートローラ7側に押し付ける。押し付け量が多い場合には図14(a)に示すようにヒートローラ7とバックアップローラ10のニップ幅は広くなり、押し付け量が少ない場合には図14(b)に示すようにヒートローラ7とバックアップローラ10のニップ幅は狭くなる。
【0025】
次に、バックアップローラ10のヒートローラ7への押し付け量による用紙蛇行補正制御について説明する。
図9に示すマイクロプロセッサ34は、搬送トラクタ6の出口側に設置されている用紙蛇行検出器13から用紙走行状態の検出結果を取り込む。次に、マイクロプロセッサ34は、各種演算処理35を行い、カムモータ33の補正角度を算出し、カムモータ駆動回路36に制御情報を送る。カムモータ駆動回路36は、カムモータ33を適正角度分回転させることでカムシャフト9を回転させ(図12参照)、カム14による用紙幅方向での左右の押し付け荷重を可変する。このようなフィードバック制御を行っている。なお、カムモータ33はステッピングモータから構成されている。
【0026】
その一例として、図9に示す用紙蛇行検出器13によって用紙5が印刷装置の奥側(図面において上側)へ蛇行したことを検出した場合には、カム14をA方向(図12参照)に一定角度内で回転させる。このとき図13(a)、(b)に示すように、カム14aとカム14bは左右で形状が異なっている。このためカム14a(装置手前側)のアーム15a側(カム当接部15d)の移動量は変化しないが、カム14b(装置奥側)でファアーム15a側(カム当接部15d)での移動量が減った状態になる。
【0027】
これによりカム14a(装置手前側)のアーム15aへの押付力は変化しないで、図14(a)に示すようにバックアップローラ10は(10a)の位置にあり、ヒートローラ7とバックアップローラ10のニップ幅は略維持された状態にある。これに対してカム14b(装置奥側)のアーム15aへの押付力は下がり、図14(b)に示すようにバックアップローラ10は(10b)の位置まで後退し、ヒートローラ7とバックアップローラ10のニップ幅は少なくなる。これにより用紙5をカム14a(装置手前)側へ蛇行補正することができる。
【0028】
このときのカムモータ33の回転角度、即ちカムモータ33の蛇行補正ステップ(STEP)数は、図15に示すように、用紙蛇行検出器13で検出された用紙蛇行量に応じて、マイクロプロセッサ34の演算処理35により算出される。
【0029】
図15は横軸に用紙蛇行検出器13で検出される用紙蛇行量をとっており、縦軸にカムモータ33の蛇行補正ステップ(STEP)数をとっている。この用紙蛇行量とカムモータの蛇行補正ステップ(STEP)数との関係は予めテーブル化されているから、用紙蛇行検出器13で検出された用紙蛇行量に基づいてカムモータ33の蛇行補正ステップ(STEP)数を設定することができる。図中の実線は基本補正のSTEPを、鎖線は前記演算処理35による補正STEPの範囲を示している。
【0030】
特許文献2(特許4328043号公報)には、用紙搬送径路に実装された蛇行制御装置により、用紙蛇行補正を行う構成が記載されている。
【0031】
また、特許文献3(特開2007−186301号公報)には、前処理機と整列させるための調整時間を大幅に短縮できる印刷装置として、ウェブを蓄積部へ搬入する搬入手段を、駆動ローラと、その駆動ローラに接触して回転する少なくとも1つの押付ローラと、その押付ローラの駆動ローラに対する押付力を、ウェブの搬送方向と直角な方向(ウェブの幅方向)において可変させる押付力可変手段が記載されている。
【0032】
さらに、特許文献4(特開2008−230734号公報)には、圧力調整手段を有する逆張力付与手段と、連続用紙の走行にしたがって回転する回転部材の回転軸を傾け、用紙幅方向における走行位置を変化させる傾き駆動機構とを有し、圧力調整手段による調整と傾き駆動機構による補正とを順に行うことが記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
ところで、昨今の印刷業務においては、用紙の幅方向において厚さが違う等の特殊用紙の需要も増えている。この幅方向に厚さの違いがある用紙の場合には、用紙厚が厚い方向に蛇行する傾向が顕著に発生する。
【0034】
一方で、印刷装置においては、十分な定着強度を確保する必要があり、定着強度に大きな影響力を与えるヒートローラ7とバックアップローラ10の押し付け圧力を下げることには限界がある。また、押し付け圧力を強めることにも、用紙に与えるダメージを考慮して限界を設ける必要がある。このため、特許文献1に記載された従来の蛇行補正制御では、用紙蛇行を安定化させることが困難になる場合がある。
【0035】
また、特許文献2や3のように、ウェブの蛇行補正を行う構成は知られているが、特許文献2や3は、定着機構部の押付力との関係については考慮されていない。
【0036】
また、特許文献4では、用紙への押圧と、傾き補正を順に行う構成であり、制御用のセンサ等も複数必要な構成なほか、補正部を独立して2つ以上設けなくてはならず構成が複雑となる。
【0037】
本発明の目的は、用紙搬送性が不安定になり易い用紙幅方向に厚さに違いがあるような特殊用紙においても安定した用紙蛇行補正ができる用紙蛇行補正装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0038】
前記目的を達成解決するため、本発明の第1の手段は、
連続用紙の搬送経路上にその用紙搬送方向上流側から下流側にかけて配置された第1用紙搬送機構部ならびに第2用紙搬送機構部と、
前記第1用紙搬送機構部と第2用紙搬送機構部の間に設けられて、前記用紙搬送機構部間の用紙搬送速度差を吸収するために前記連続用紙にテンションを付与するバッファ機構部と、
前記用紙搬送方向上流側の第1用紙搬送機構部とバッファ機構部の間に設けられて、前記連続用紙の蛇行量を検出する用紙蛇行量検出部を備えた用紙蛇行補正装置を対象とするものである。
【0039】
そして前記バッファ機構部は、
前記連続用紙の幅方向の両側に用紙搬送方向と平行にそれぞれ配置されたフレームと、
前記フレームの間に回転可能に支持されたバッファドライブシャフトと、
前記バッファドライブシャフトを回転駆動するバッファコントロールモータと、
前記バッファコントロールモータの回転角を制御するバッファコントロールモータ制御部と、
前記バッファドライブシャフトの一方の端側に基端部が固定された第1バッファアームと、
前記バッファドライブシャフトの他方の端側に基端部が回転可能に保持された第2バッファアームと、
前記バッファドライブシャフトの両端部に設置されて、前記第1バッファアームならびに第2バッファアームを前記バッファドライブシャフトの回転方向に弾性付勢するバッファスプリングと、
前記第1バッファアームならびに第2バッファアームの自由端側に、前記バッファドライブシャフトの回転により前記第1バッファアームならびに第2バッファアームの自由端が上下方向に可動可能に架設されて、前記第1バッファアームならびに第2バッファアームの移動により前記連続用紙へテンションを付与するバッファシャフトとを備え、
前記用紙蛇行検出部からの検出結果に基づいて、前記バッファコントロールモータ制御部により前記バッファコントロールモータの回転角度を制御して、前記連続用紙の蛇行補正する構成になっていることを特徴とするものである。
【0040】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、
前記第1バッファアームならびに第2バッファアームの自由端側にそれぞれ長穴が形成され、前記長穴に前記バッファシャフトの両端部が上下方向に可動可能に挿入されていることを特徴とするものである。
【0041】
本発明の第3の手段は前記第1の手段において、
前記バッファ機構部により連続用紙に与えるテンションの状態を記憶する記憶部を設け、
前記連続用紙の搬送停止後に連続用紙の搬送を再開する際に、前記記憶部に記憶している前記連続用紙の搬送停止直前のテンションの状態に基づいて、前記バッファコントロールモータを制御する構成になっていることを特徴とするものである。
【0042】
本発明の第4の手段は、
トナー像が転写された連続用紙を搬送する用紙搬送機構部と、
前記用紙搬送機構部の用紙搬送方向下流側に配置されて、ヒートローラと、そのヒートローラ側に押圧されるバックアップローラと、前記バックアップローラを前記ヒートローラ側に押圧するローラ押圧手段を有し、前記連続用紙を前記ヒートローラとバックアップローラの間に通して、両ローラの回転により連続用紙を挟持・搬送しながら前記トナー像を連続用紙上に定着する定着機構部を備えた画像形成装置において、
前記用紙搬送機構部と前記定着機構部の間に前記第1ないし第3のいずれかの手段のバッファ機構部を設けたことを特徴とするものである。
【0043】
本発明の第5の手段は前記第4の手段において、
前記ローラ押圧手段が、
前記連続用紙の幅方向両側に用紙搬送方向と平行にそれぞれ配置されたフレームと、
前記フレームの間に回転可能に支持され、両端部に異相を持った第1カムと第2カムを取り付けたカムシャフトと、
前記第1カムと前記バックアップローラの一方の回転軸の間、ならびに前記第2カムと前記バックアップローラの他方の回転軸の間にそれぞれ介在された例えば後述するアーム部材などの押圧力伝達部材と、
前記カムシャフトを回転駆動するカムモータと、
前記カムモータの回転角度を制御するカムモータ制御部を備え、
前記用紙蛇行検出部からの検出結果に基づいて、
前記定着機構部での前記カムモータ制御部によるカムモータの回転角度制御と、
前記バッファ機構部での前記バッファコントロールモータ制御部によるバッファコントロールモータの回転角度制御を併行して行う構成になっていることを特徴とするものである。
【0044】
本発明の第6の手段は前記第5の手段において、
前記用紙蛇行検出部からの用紙蛇行量を記憶する蛇行量記憶手段と、
前記蛇行量平均値を算出する蛇行量平均値算出手段と、
前記蛇行量平均値から蛇行量変化率を算出する蛇行量変化率算出手段と、
前記蛇行量変化率による用紙搬送駆動手段の駆動量を算出する駆動量算出手段と、
前記連続用紙の位置が所定の位置から離れているかを判別するオフセット量算出手段を備えており、
これらの演算結果に基づいて、
前記定着機構部での前記カムモータ制御部によるカムモータの回転角度制御と、
前記バッファ機構部での前記バッファコントロールモータ制御部によるバッファコントロールモータの回転角度制御を併行して行う構成になっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0045】
本発明は前述のような構成になっており、用紙の幅方向において厚さが違う特殊用紙の場合であっても、用紙が蛇行せず安定した用紙搬送を行うことが可能な用紙蛇行補正装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1実施形態に係る印刷装置の搬送トラクタからヒートローラまでの構成を説明するための概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るバッファ機構部の平面図である。
【図3】(a),(b),(c)は、バッファアームとバッファシャフトの連結を示す一部側面図ならびに一部断面図である。
【図4】(a),(b)は、バッファシャフトの両端が2つのバッファアームに対して捻じれた状態を示している図と、用紙蛇行補正時の用紙、バックアップローラならびにバッファアームの状態を示している図である。
【図5】本実施形態において、印刷停止時にバッファアームがバッファポジションピンに当接した状態を示す図である。
【図6】(a),(b)は、本実施形態においてカムモータとバッファコントロールモータのコントロール状態を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る印刷装置の搬送トラクタからヒートローラまでの構成を説明するための概略構成図である。
【図8】本発明の実施形態で適用される連続紙印刷装置の概略構成図である。
【図9】従来の印刷装置の搬送トラクタからヒートローラまでの構成を説明するための概略構成図である。
【図10】従来のバッファ機構部の平面図である。
【図11】そのバッファ機構部内のバッファアームの動きを説明するための一部側面図である。
【図12】カムによるバックアップローラの押圧機構を説明するための図である。
【図13】(a),(b)は、カム形状を示す図である。
【図14】(a),(b)は、バックアップローラの押圧の変化に伴うヒートローラとバックアップローラのニップ幅の変化を示す図である。
【図15】カムモータの回転角度例を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
従来技術の用紙蛇行補正において、用紙幅方向での用紙厚さに偏りの無い普通の用紙の場合には、特に問題は生じない。しかしながら、一部ラベル貼付け用紙のように、用紙幅方向で厚さに偏りが存在する用紙においては、従来の定着機構部側の補正では補正しきれない場合が生じる。
【0048】
この点について、例えば、用紙の厚さをセンサ等で検知するとしても、50〜150μm程度であるので、高精度なセンサが必要となるほか、高速搬送時の用紙の厚さを逐次検出することは困難である。また、仮に使用する用紙が同じ種類であれば、その用紙厚さをプリセットしておきその厚さにより制御を行う方法も考えられる。しかしながら、その用紙の厚さは、実際にはやはりバラツキがあることに加えて、用紙の厚さの違いは部分的な場合があるなどの点で、上記方法での解決は困難である。
【0049】
このため本実施形態では、定着機構部での用紙蛇行補正に加えて、搬送トラクタ6と定着機構部間に設置されるバッファ機構部8に、用紙幅方向で用紙に対し傾き補正が可能な機構を導入し、この用紙幅方向の傾きによって用紙の蛇行補正を行う。
【0050】
次に本発明の実施形態を図面と共に説明する。なお、本実施形態に係る電子写真方式を用いた連続紙印刷装置の概略構成は前述した図8と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0051】
図1は本発明の実施形態に係る印刷装置の搬送トラクタ6からヒートローラ7までの構成を説明するための概略構成図、図2は本発明の実施形態に係るバッファ機構部8の平面図、図3(a),(b),(c)は第1,第2バッファアーム20,30とバッファシャフト31の連結を示す一部側面図ならびに一部断面図である。
【0052】
図1ならびに図8に示すように、バッファ機構部8は用紙搬送経路上の搬送トラクタ6と定着機構部の間に配置されている。前記定着機構部はヒートローラ7とバックアップローラ10を有し、用紙5は両者に挟持された状態で搬送されるから、前記バッファ機構部8は、搬送トラクタ6(または搬送ローラ)からなる一方の用紙搬送機構部と、ヒートローラ7とバックアップローラ10からなる他方の用紙搬送機構部の間に配置され、両方の用紙搬送機構部の間に発生する搬送速度差による用紙5の破損や緩みを防止するために設けられている。
【0053】
(バッファ機構部での用紙蛇行補正)
先ず、図1〜6を用いてバッファ機構部8での用紙蛇行補正について説明する。
図2に示すように連続用紙5の幅方向の両側には、用紙搬送方向Xと平行にフレーム17aとフレーム17bが対向するようにそれぞれ配置されている。
【0054】
そしてバッファドライブシャフト19の一方の端部(装置奥側端部)は、図示しないベアリングを内蔵したベアリングホルダ18によってフレーム17bに支持されている。一方、バッファドライブシャフト19の他方の端部(装置手前側端部)は、両軸のバッファコントロールモータ27の一方の回転軸と滑りがない状態でカップリング32などの軸固定部材で連結されている。なお、カップリング32に代えて、バッファドライブシャフト19の端部を加工して、モータシャフトとネジ止めなどによって一体化し、一軸の構成にしてもよい。
【0055】
バッファコントロールモータ27の他方の回転軸はベアリングホルダ28によって回転自在に支持され、そのベアリングホルダ28は前記フレーム17aに固定されている。従って、前記バッファドライブシャフト19は、フレーム17aとフレーム17bの間で回転可能に支持されていることになる。
前記バッファコントロールモータ27は、バッファコントロールモータ駆動回路37によって所定角度回転駆動される。
【0056】
前述のようにバッファコントロールモータ27の他方の回転軸が、ベアリングホルダ28によってフレーム17aに固定されている。これにより、バッファコントロールモータ27は、印刷動作による揺動方向には回転可能で且つ用紙幅方向の両端部の位置はフレーム17に固定された状態となる。
【0057】
第1,第2バッファアーム20,30は用紙5の搬送方向Xに沿って延びており、装置奥側の第1バッファアーム20の基端部はネジ25によりバッファドライブシャフト19に固定され、装置手前側の第2バッファアーム30の基端部は前記バッファコントロールモータ27の回転軸に固定される。
【0058】
この第1,第2バッファアーム20,30の自由端側(先端部側)にはバッファシャフト31が取り付けられ、このバッファシャフト31は、第1バッファアーム20の自由端側(先端部側)に形成された長穴41の中央にピン26で位置決めされている。図3(a),(b),(c)はバッファアーム20に対するバッファシャフト31の支持構造を示す図で、図3(b)に示しているように長穴41の形成で、バッファシャフト31はピン26を中心にして所定の角度回動可能になっている。
【0059】
これによりバッファシャフト31の両端が、第1,第2バッファアーム20,30に対して捻じることが可能な構成、つまり、バッファシャフト31の軸がバッファドライブシャフト19の軸と(図2の紙面に対して略垂直方向に)非平行となることが可能な状態となる。図4(a)は、バッファシャフト31の両端が第1,第2バッファアーム20,30に対して捻じれた状態を示している図である。
【0060】
フレーム17a,17bには、それぞれバッファポジションピン29が設けられている。このバッファポジションピン29は、図2ならびに図5に示すように第1,第2バッファアーム20,30の回動領域の上方に設置されている。
【0061】
また図2に示すように、バッファドライブシャフト19の両端部にそれぞれバッファスプリング23が遊嵌され、バッファスプリング23の一端はフレーム17a,17bに固定され、バッファスプリング23の他端は第1,第2バッファアーム20,30に連結されている。従ってこのバッファスプリング23によって、第1,第2バッファアーム20,30はバッファドライブシャフト19の回転方向に弾性付勢されている。
【0062】
用紙5はバッファシャフト22の上側を通過するようになっており、前記バッファスプリング23の弾性付勢力により第1,第2バッファアーム20,30ならびにバッファシャフト22を介して用紙5の幅全域にテンションを与える構成となっている。
【0063】
このため印刷停止時には、バッファコントロールモータ27は励磁されておらず、バッファコントロールモータ27は第2バッファアーム30に対して回転自在なフリー状態となっている。従って第1,第2バッファアーム20,30へ作用する力は、各バッファスプリング23のみとなるため、バッファスプリング23により押し上げられ、第1,第2バッファアーム20,30はそれぞれバッファポジションピン29に突き当たった状態で静止している(図5参照)。つまり、各バッファアーム20,30は同じバッファドライブシャフト19に対する回転角度が等しくなっており、第1,第2バッファアーム20,30のバッファポジションピン29への突き当てにより、用紙5に与えるテンションが用紙幅方向で均一となる位置に保持されている。第2バッファアーム30がバッファポジションピン29に当接した状態が図5に示されおり、バッファポジションピン29はストッパーピンとして機能していることになる。
【0064】
印刷にあたり、印刷動作開始時に、バッファコントロールモータ27を励磁する。この励磁により、バッファコントロールモータ27と第2バッファアーム30は互いの位置が固定され、しかも一体となった状態となる。つまりこの状態では、第1バッファアーム20がネジ25で固定されたバッファドライブシャフト19及びバッファドライブシャフト19を回転軸とするバッファコントロールモータ27に対し第2バッファアーム30が一体となって保持された状態となる。
【0065】
次に、バッファポジションモータ38(図2参照)の回転により、第2バッファアーム20を印刷時の基準位置へ移動させる。この基準位置は、バッファスプリング23によって、予め設定されたテンションが働く位置である。そして、用紙搬送開始時から用紙5に与えるテンションが一定となるように、第1,第2バッファアーム20,21を前述の基準位置である予め定められる角度(θ’)まで回転させる。なお、このバッファポジションモータ38の制御は、バッファドライブシャフト19の端部に配置したバッファポジションセンサ24からの位置情報を基に行われる。
【0066】
バッファコントロールモータ27は常時励磁されていることにより、第1,第2バッファアーム20,30は相対位置関係が保持されており、その結果、第1バッファアーム20の移動に伴い第2バッファアーム30も基準位置へ移動する。
【0067】
基準位置への移動が完了後、用紙送りを行う搬送トラクタ6とヒートローラ7とがそれぞれ動作を開始すると同時に、バッファポジションモータ38の励磁を解除して、用紙5に一定のテンションを与える。なお、この間もバッファコントロールモータ27は励磁状態にある。
【0068】
用紙幅方向の傾きによる用紙蛇行補正は、バッファコントロールモータ27を、図6(b)に示すバッファコントロールモータ27の回転角度例(蛇行補正STEP数)に示すように、励磁状態を保持しつつ、用紙蛇行量に応じて一定量回転させる。これにより、用紙5の幅方向で傾きを与えることで用紙蛇行補正が可能となる。
【0069】
また、印刷中の用紙5に対するテンションは、一定の速度で用紙送りを行う搬送トラクタ6(または搬送ローラ)などに対して、バッファドライブシャフト19の端部に配置されたバッファポジションセンサ24(図2参照)の検出角度が、予め設定した範囲内に納まるように、ヒートローラ駆動モータ40により、定着機構部のヒートローラ7とバックアップローラ10の速度を微細に加減速させる制御を行う。
【0070】
次に、バッファ機構部8での用紙蛇行補正の詳細を説明する。
なお、本実施形態のカム14を利用した用紙補正機構において、カム14の形状やカム14を利用したバックアップローラ10の押圧などについては、先に説明した図12〜13と同じであるから、それらの図を併用して説明する。
【0071】
図1に示すようにカムシャフト9の両端には、カム14a,14bが取り付けられている。このカム14a,14bの形状は同じであるが、図13(a),(b)に示すように印刷装置の手前側(図1では図面において下側)に設置されるカム14aと、印刷装置の奥側(図1では図面において上側)に設置されるカム14bは、カム面が相対的に周方向において若干ずれた状態でカムシャフト9に取り付けられており、従ってカム14a,14bは異相を持った関係になっている。
【0072】
図1ならびに図12に示すようにカム14a,14bにそれぞれ隣接するように、アーム部材15が支軸15cを中心に回動可能に配置されている。このアーム部材15は、一部が常にカム14a,14bのカム面に当接するカム当接部15dを有する第1アーム部15aと、第1アーム部15aと対向するように配置されてバックアップローラ10の回転軸に当接されている第2アーム部15bと、第1アーム部15aと第2アーム部15bの間に介在されたコイルスプリング16とを有している。
【0073】
このアーム部材15はバックアップローラ10とカム14a,14bの間に介在されて、前記コイルスプリング16は圧縮状態になっているから、そのコイルスプリング16の弾性付勢力により第1アーム部15aのカム当接部15dはカム14a,14bのカム面に弾接している。従って、カム面の位置によってアーム部材15は支軸15cを中心に回動するようになっている。
【0074】
カムシャフト9とともにカム14a,14bを回転させることによって、カム面の位置に従って第1アーム15aが移動し、コイルスプリング16を介して、第2アーム部15bをヒートローラ7側に押し付ける。押し付け量が多い場合には図14(a)に示すようにヒートローラ7とバックアップローラ10のニップ幅は広くなり、押し付け量が少ない場合には図14(b)に示すようにヒートローラ7とバックアップローラ10のニップ幅は狭くなる。
【0075】
搬送トラクタ6の出口に実装された用紙蛇行検出器13(図1参照)で用紙5の蛇行状態を監視している。そして用紙蛇行検出器13で得られる用紙幅方向の蛇行量に基づいて、定着機構部の用紙蛇行制御を行う。
【0076】
具体的には、図1に示すマイクロプロセッサ34は、各種演算処理35により、カムモータ33によってカム部材15を回転させて、ヒートローラ7に対するバックアップローラ10の押付圧力を可変させることにより用紙の蛇行補正がなされる。
【0077】
更に、マイクロプロセッサ34による用紙蛇行補正量の演算処理35は、図6に示すカムモータ33による定着機構部の演算処理と、バッファコントロールモータ27によるバッファ機構部8の演算を同時に行い(併行して行い)、すなわち、定着機構部の用紙蛇行補正とバッファ機構部8での用紙蛇行補正を同時に行う(併行して行う)。なお、図6(a)に示している二点鎖線で示す曲線はカムモータ33による従来技術のコントロール状態を示している。
【0078】
次に用紙蛇行補正の一例について説明する。
用紙蛇行検出器13で、用紙搬送状態を監視しながら印刷動作を行っている中で、用紙蛇行検出器13で用紙が印刷装置の奥側へ蛇行したことを検出した場合には、マイクロプロセッサ34での演算処理35により、カムモータ33によりカムシャフト9を図4ならびに図12に示すようにA方向に回転させる。
【0079】
この回転に伴ってカム14a,14bも一緒に下向きのA方向に一定角度回転させることで、カム14a,14bでの各アーム部材15の押し付け状態が左右で異なる。すなわち、印刷装置手前側のカム14aでは押付荷重が変化しないのに対して、印刷装置奥側のカム14bでは押付荷重を下げることになり、ヒートローラ7とバックアップローラ10のニップ部の押し付け量が、奥側で小さくなる(図14参照)。これにより、バックアップローラ10がヒートローラ7に対して傾斜して押し付けられる結果、用紙5を手前側(カム14a側)へ蛇行補正することが出来る。
【0080】
このとき、バッファ機構部8での用紙蛇行補正は、図6(a)に示すように、カムモータ33による定着機構部での蛇行補正と同期して、バッファコントロールモータ27を図6(b)に示すようにカムモータ33(カム14)とは反対に上向きのB方向へ回転させる。この制御により、用紙5の手前側の部分に与えるテンションを軽くして、用紙5を手前側に補正することができる。
【0081】
この図4においてδはバッファシャフト31上での用紙5の捩れ量、実線で示す5aは用紙5の装置手前側の端縁、一点鎖線で示す5bは用紙5の装置奥側の端縁、実線で示す10aは装置手前側のバックアップローラ10の端部、10bは装置奥側のバックアップローラ10の端部をそれぞれ示している。
【0082】
この定着機構部の蛇行補正とバッファ機構部8の蛇行補正とを同時に行うことで、より効率の良い用紙5の蛇行補正が可能になる。更に、用紙蛇行を微調整できる結果、用紙蛇行量を全体的に低減することが可能となり、定着機構部での用紙蛇行補正量も軽減することが可能になる。
【0083】
前述のように本発明では、これまで左右の用紙厚の違いなどによるバックアップローラ10のニップ圧力の可変のみでは蛇行補正が不十分となる場合がある特殊用紙に対しても、定着機構部の用紙搬送上流部にて、用紙5への張力制御機構部でも蛇行補正を行う構成としたことで、用紙の蛇行を補正することが可能となる。
【0084】
なお、バッファコントロールモータ27の回転角度は、ヒートローラ7とバックアップローラ10のニップ部突入時の用紙5の挙動が安定している範囲内とし、蛇行補正制御を行うマイクロプロセッサ34内で動作角度を制限して処理を行う。
【0085】
更に、印刷停止直前の第2バッファアーム30のコントロール角度をマイクロプロセッサ34が図示しない記憶領域に記憶させ、次の印刷起動時に、直前印刷停止時の第2バッファアーム30のコントロール角度として制御を行うようにしてもよい。これにより、印刷停止直前の用紙へのテンションを復元することができ、用紙へのテンションの微調整を不要として迅速な起動および用紙への負荷を低減することが可能となる。
【0086】
前記実施形態では、搬送トラクタ6(または搬送ローラ)と、ヒートローラ7ならびにバックアップローラ10を備えた定着機構部の間にバッファ機構部8を配置した場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、搬送トラクタや搬送ローラを備えた第1の連続用紙搬送機構部と、同じく搬送トラクタや搬送ローラを備えた第2の連続用紙搬送機構部の間にバッファ機構部を配置する場合などにも適用可能である。
【0087】
前記実施形態では、1つの制御部(マイクロプロセッサ34)によって、バッファコントロールモータ27の回転角制御と、カムモータ33の回転角制御を行ったが、バッファコントロールモータ27の回転角制御を行うバッファコントロールモータ制御部と、カムモータの回転角制御を行うカムモータ制御部を個別に設けることも可能である。
【0088】
図7は、本発明の第2実施形態に係る印刷装置の搬送トラクタからヒートローラまでの構成を説明するための概略構成図である。
【0089】
本実施形態では図に示すように、カムモータ制御部及びバッファコントロールモータ制御部は、それぞれマイクロプロセッサ34’及び34”を有し、用紙蛇行検出器13からの検出値がそれぞれのマイクロプロセッサ34’及び34”に入力される。各マイクロプロセッサ34’及び34”は、前記第1実施形態と同様の演算処理35’,35”を行い、それぞれ独立してカムモータ駆動回路36及びバッファコントロールモータ駆動回路37を駆動制御する。
【0090】
このようにカムモータ制御部及びバッファコントロールモータ制御部を独立して設ける構成とすることで、バッファ機構部8と定着機構部での用紙蛇行補正の演算処理を、ぞれぞれの特性に応じて個別に行なうことによって、より俊敏で詳細な用紙蛇行補正制御が可能になる。
【0091】
また本実施形態において、用紙蛇行検出部からの用紙蛇行量を記憶する蛇行量記憶手段と、前記蛇行量平均値を算出する蛇行量平均値算出手段と、前記蛇行量平均値から蛇行量変化率を算出する蛇行量変化率算出手段と、前記蛇行量変化率による用紙搬送駆動手段の駆動量を算出する駆動量算出手段と、前記連続用紙の位置が所定の位置から離れているかを判別するオフセット量算出手段とを備え、これらの演算結果に基づいて、定着機構部での前記カムモータ制御部によるカムモータの回転角度制御と、バッファ機構部での前記バッファコントロールモータ制御部によるバッファコントロールモータの回転角度制御を併行して行う構成にすることにより、より適正な用紙蛇行補正が可能となる。
【0092】
本発明の実施形態による作用効果を列挙すれば下記の通りである。
(1)バッファ機構部の回転軸に用紙に与えるテンションを可変させる駆動源を設けることによって、バッファ機構部での用紙テンションの変動を即座に用紙に与えられる。
【0093】
(2)定着機構部ローラの押し付け加重の変化と同時に、バッファ機構部の一部が回転してバッファ機構部で用紙に与えるテンションを左右で可変する用紙蛇行補正を同時に行うことによって、これまで定着機構部ローラの押し付け加重の変化では、不安定となる場合があった左右で用紙厚が異なるような特殊用紙においても、安定した用紙蛇行補正制御が可能となる。
【0094】
(3)印刷動作停止時のバッファ機構部での用紙に与えるテンションの可変状態を記憶して、印刷再開する時には停止する直前の状態を再現することで、印刷再開直後から安定した用紙蛇行補正制御が可能である。
【0095】
(4)本発明に係る用紙蛇行補正を画像形成装置において行うことによって、動作信頼性が高く、安定した印刷品質が得られる。
【符号の説明】
【0096】
1 感光体ドラム
2 帯電器
3 現像機
4 転写器
5 連続用紙
6 搬送トラクタ(または搬送ローラ)
7 ヒートローラ
8 バッファ機構部
9 カムシャフト
10 バックアップローラ
11 スタッカ
12 トナー像
13 用紙蛇行検出器
14a 装置手前側のカム
14b 装置奥側のカム
15 アーム部材
15a 第1アーム部
15b 第2アーム部
15c 支軸
15d カム当接部
16 コイルスプリング
17a 装置手前側のフレーム
17b 装置奥側のフレーム
18 ベアリングホルダ
19 バッファドライブシャフト
20 第1バッファアーム
22 バッファシャフト
23 バッファスプリング
24 バッファポジションセンサ
25 バッファアーム固定ネジ
26 ピン
27 バッファコントロールモータ
28 ベアリングホルダ
29 バッファポジションピン
30 第2バッファアーム
31 バッファシャフト
32 カップリング
33 カムモータ
34、34’、34” マイクロプロセッサ
35 演算処理
36 カムモータ駆動回路
37 バッファコントロールモータ駆動回路
38 バッファポジションモータ
39 バッファポジションギヤ
40 ヒートローラ駆動モータ
X 用紙搬送方向。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0097】
【特許文献1】特許第3738983号公報
【特許文献2】特許第4328043号公報
【特許文献3】特開2007−186301号公報
【特許文献4】特開2008−230734号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続用紙の搬送経路上にその用紙搬送方向上流側から下流側にかけて配置された第1用紙搬送機構部ならびに第2用紙搬送機構部と、
前記第1用紙搬送機構部と第2用紙搬送機構部の間に設けられて、前記用紙搬送機構部間の用紙搬送速度差を吸収するために前記連続用紙にテンションを付与するバッファ機構部と、
前記用紙搬送方向上流側の第1用紙搬送機構部とバッファ機構部の間に設けられて、前記連続用紙の蛇行量を検出する用紙蛇行量検出部を備えた用紙蛇行補正装置において、
前記バッファ機構部は、
前記連続用紙の幅方向の両側に用紙搬送方向と平行にそれぞれ配置されたフレームと、
前記フレームの間に回転可能に支持されたバッファドライブシャフトと、
前記バッファドライブシャフトを回転駆動するバッファコントロールモータと、
前記バッファコントロールモータの回転角を制御するバッファコントロールモータ制御部と、
前記バッファドライブシャフトの一方の端側に基端部が固定された第1バッファアームと、
前記バッファドライブシャフトの他方の端側に基端部が回転可能に保持された第2バッファアームと、
前記バッファドライブシャフトの両端部に設置されて、前記第1バッファアームならびに第2バッファアームを前記バッファドライブシャフトの回転方向に弾性付勢するバッファスプリングと、
前記第1バッファアームならびに第2バッファアームの自由端側に、前記バッファドライブシャフトの上下回転方向に可動可能に架設されて、前記第1バッファアームならびに第2バッファアームの移動により前記連続用紙へテンションを付与するバッファシャフトとを備え、
前記用紙蛇行検出部からの検出結果に基づいて、前記バッファコントロールモータ制御部により前記バッファコントロールモータの回転角度を制御して、前記連続用紙の蛇行補正する構成になっている、
ことを特徴とする用紙蛇行補正装置。
【請求項2】
請求項1に記載の用紙蛇行補正装置において、
前記第1バッファアームならびに第2バッファアームの自由端側にそれぞれ長穴が形成され、前記長穴に前記バッファシャフトの両端部が上下回転方向に可動可能に挿入されていることを特徴とする用紙蛇行補正装置。
【請求項3】
請求項1に記載の用紙蛇行補正装置において、
前記バッファ機構部により連続用紙に与えるテンションの状態を記憶する記憶部を設け、
前記連続用紙の搬送停止後に連続用紙の搬送を再開する際に、前記記憶部に記憶している前記連続用紙の搬送停止直前のテンションの状態に基づいて、前記バッファコントロールモータを制御する構成になっていることを特徴とする用紙蛇行補正装置。
【請求項4】
トナー像が転写された連続用紙を搬送する用紙搬送機構部と、
前記用紙搬送機構部の用紙搬送方向下流側に配置されて、ヒートローラと、そのヒートローラ側に押圧されるバックアップローラと、前記バックアップローラを前記ヒートローラ側に押圧するローラ押圧手段を有し、前記連続用紙を前記ヒートローラとバックアップローラの間に通して、両ローラの回転により連続用紙を挟持・搬送しながら前記トナー像を連続用紙上に定着する定着機構部を備えた画像形成装置において、
前記用紙搬送機構部と前記定着機構部の間に請求項1ないし3のいずれか1項記載のバッファ機構部を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記ローラ押圧手段が、
前記連続用紙の幅方向両側に用紙搬送方向と平行にそれぞれ配置されたフレームと、
前記フレームの間に回転可能に支持され、両端部に異相を持った第1カムと第2カムを取り付けたカムシャフトと、
前記第1カムと前記バックアップローラの一方の回転軸の間、ならびに前記第2カムと前記バックアップローラの他方の回転軸の間にそれぞれ介在された押圧力伝達部材と、
前記カムシャフトを回転駆動するカムモータと、
前記カムモータの回転角度を制御するカムモータ制御部を備え、
前記用紙蛇行検出部からの検出結果に基づいて、
前記定着機構部での前記カムモータ制御部によるカムモータの回転角度制御と、
前記バッファ機構部での前記バッファコントロールモータ制御部によるバッファコントロールモータの回転角度制御を併行して行う構成になっていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記用紙蛇行検出部からの用紙蛇行量を記憶する蛇行量記憶手段と、
前記蛇行量平均値を算出する蛇行量平均値算出手段と、
前記蛇行量平均値から蛇行量変化率を算出する蛇行量変化率算出手段と、
前記蛇行量変化率による用紙搬送駆動手段の駆動量を算出する駆動量算出手段と、
前記連続用紙の位置が所定の位置から離れているかを判別するオフセット量算出手段を備えており、
これらの演算結果に基づいて、
前記定着機構部での前記カムモータ制御部によるカムモータの回転角度制御と、
前記バッファ機構部での前記バッファコントロールモータ制御部によるバッファコントロールモータの回転角度制御を併行して行う構成になっていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−158456(P2012−158456A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20861(P2011−20861)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】