田植機
【課題】 本発明は、上記問題点を解消することにあり、簡単な構成でもって、マーカの起立・倒伏姿勢の切り替え並びに収納姿勢への切り替えも容易に行えるようにすることを課題とする。
【解決手段】 本発明は、次行程の走行経路の指標となる位置に跡をつける回転式の線引きマーカ20を、基端部の回動支点軸21回りに起立倒伏可能でかぎ型に構成されたマーカアーム22の先端部に装着してなる線引きマーカ装置10において、苗載台11を有する苗植付部6の左右に各々線引きマーカ装置10,10を配設すると共に、マーカアーム22の起立状態で側面視で線引きマーカ20と苗載台11とが重複する関係位置に設け、側面視で苗載台11の方向に対して苗載台から離れる方向に傾斜する回動軸23でマーカアーム22のかぎ型の屈曲部を折り曲げる構成とする。
【解決手段】 本発明は、次行程の走行経路の指標となる位置に跡をつける回転式の線引きマーカ20を、基端部の回動支点軸21回りに起立倒伏可能でかぎ型に構成されたマーカアーム22の先端部に装着してなる線引きマーカ装置10において、苗載台11を有する苗植付部6の左右に各々線引きマーカ装置10,10を配設すると共に、マーカアーム22の起立状態で側面視で線引きマーカ20と苗載台11とが重複する関係位置に設け、側面視で苗載台11の方向に対して苗載台から離れる方向に傾斜する回動軸23でマーカアーム22のかぎ型の屈曲部を折り曲げる構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圃場に苗を植え付ける田植機に関し、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されているように、マーカアームの先端に回転式線引きマーカを備え、マーカアームを基端、先端及び中間の3箇所の枢支点回りに回動可能に構成することで、マーカの起立、倒伏姿勢への切り替え、起立姿勢から収納姿勢への切り替えができるように構成したものがある。
【特許文献1】特開2004−194579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術のものでは、3箇所の枢支点をもつため構成が複雑でコスト高となる問題がある。
本発明は、上記問題点を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、次行程の走行経路の指標となる位置に跡をつける回転式の線引きマーカ(20)を、基端部の回動支点軸(21)回りに起立倒伏可能でかぎ型に構成されたマーカアーム(22)の先端部に装着してなる線引きマーカ装置(10)を備え、苗載台(11)を有する苗植付部(6)の左右に各々線引きマーカ装置(10),(10)を配設すると共に、マーカアーム(22)の起立状態で側面視で線引きマーカ(20)と苗載台(11)とが重複する関係位置に設け、側面視で苗載台(11)の方向に対して苗載台から離れる方向に傾斜する回動軸(23)でマーカアーム(22)のかぎ型の屈曲部を折り曲げる構成としてあることを特徴とする。
【0005】
マーカアーム(22)を起立姿勢から倒伏姿勢に切り替えた時には、先端の線引きマーカ(20)が圃場面に接地し回転によって泥掻きしながら跡をつけていく。マーカアーム(22)を倒伏姿勢から起立姿勢に切り替えた時には、先端の線引きマーカ(20)は苗載台(11)の側部に上昇位置する。マーカアーム起立時の線引きマーカ(20)は、苗載台(11)から離れる方向に傾斜する回動軸(23)を中心としてマーカアーム(22)のかぎ型屈曲部から折り曲げると、苗載台(11)と干渉することなく、苗載台の前側空間内に折畳み収納することができる。
【発明の効果】
【0006】
以上要するに、本発明によれば、簡単な構成でもって線引きマーカ装置を起立倒伏姿勢への切り替え及び苗載台と干渉しない位置に折り畳み収納することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、回転式線引きマーカ装置を備えた乗用型田植機を示すものであり、車体1の前後には走行車輪としての左右一対の前輪2,2及び後輪3,3が架設されている。車体上前部には操作ボックス4及びステアリングハンドル5等を有する操縦装置が設置され、また、車体後方部には昇降可能な4条植えの苗植付部6が装備され、また、この苗植付部の左右側には回転式の線引きマーカ装置10が配備されている。操縦装置の後側に運転席9が設置され、運転席の下側に田植機の各部に動力を伝達するエンジンEが搭載されている。
【0008】
苗植付部6は、車体の後部に昇降リンク機構7を介して昇降可能に装着され、昇降用油圧シリンダ8の伸縮作動により昇降する構成である。
また、前記苗植付部6には、マット苗を載せて左右に往復動し苗を一株分づつ各条における前板11aの苗取出口11b,…に供給すると共に横一列の苗を全て苗取出口11b,…に供給すると苗送りベルト11c,…により苗を下方に移送する後傾斜(側面視で上端より下端が後位)の苗載台11、1株分の苗を切取って土中に植込む苗植付具12を有する2条分植付装置13,13、苗植付面を滑走しながら整地するフロ−ト(サイドフロ−ト)14,14、センタフロ−ト14S等を備えている。
【0009】
原動機となるエンジンEの回転動力は、ミッションケース40への入力伝動部材として、エンジン出力プーリ41からベルト42を介して油圧式無段変速装置(HST)43の入力プ−リ44から入力軸に伝えられ、この入力軸から油圧ポンプを駆動するようになっており、更に、HST43の出力軸からミッションケ−ス40内のミッションに伝達されるようになっている。該ケ−ス40内のミッションに伝達された回転動力は、ケ−ス40内のトランスミッションにて変速された後、走行動力と外部取出動力とに分岐して取り出される。そして、走行動力は、前輪2,2及び後輪伝動軸45から後輪伝動ケ−ス46のギヤ機構を介して後輪3,3を駆動する。また、外部取出動力は、ミッションケース40からの出力伝動軸、安全クラッチケース内の安全クラッチを介して植付伝動軸に伝達され、更に、植付伝動軸によって苗植付部6へ伝動されると共に、施肥装置47へも動力伝達されるようになっている。
【0010】
線引きマーカ装置10は、次行程の走行経路の指標となる位置に跡をつけていく回転式の線引きマーカ(爪車)20と、基端側がマーカブラケット19に軸支された回動支点軸21回りに起立倒伏自在で、且つかぎ型に構成されたマーカアーム22とからなり、線引きマ−カ20は、マーカアーム22の先端に軸支され、外周に突起爪20aを有した回転体20bによって構成され、圃場面に接地して回転し泥掻きしながら跡をつけていくように構成されている。また、マーカアーム22は、基端側アーム22aと先端側アーム22bとからなり、基端部の回動支点軸21を支点として起伏する構成であり、先端の線引きマーカ20が苗載台11の側部に位置する上昇起立姿勢と、圃場面に接地する下降倒伏姿勢とに切り替えられるようになっている。そして、このマーカアーム22の上昇起立状態でのかぎ型屈曲部22cには、側面視で苗載台11の傾斜方向に対してほぼ直交し苗載台から離れる方向に傾斜する回動軸(回動軸受体)23を設け、この回動軸23を回動軸芯として先端側アーム22bが基端側アーム22aに対して折れ曲がり回動するようになっている。このようにマーカアーム起立状態での線引きマーカ20は、回動軸23軸芯回りでの折り曲げ回動によって苗載台の左右幅内での下方(前方)空間内に折畳み収納することができる。
【0011】
線引きマーカ20を折畳み収納したときには、マーカアーム22の基部側アーム22aがマーカ20の突起爪20aと突起爪20aとの間に入り込むようにしておくと、マーカの不用意な回転が阻止されることになり回り止めの役目を果たす。
【0012】
マーカ収納用ロックレバー24は、マーカアームの基部側アーム22a側に枢支ピン26を介して前後方向揺動操作可能に枢着され、ロック用スプリング27に抗して前方に揺動操作すると、ロックレバー先端のロック爪25が先端側アーム22bに固着されたロックピン28に対するロック用係止溝25aの係合ロック状態から離脱してロック状態が解除されるようになっており、線引きマーカの折畳み収納を可能にしている。従って、線引き作業時に、マーカ収納用ロックレバーに進行方向側から畦際等で物が当たっても、ロック爪の係止溝25aが前方に向けて開口しているので、ロックレバーは後方に向けて揺動されずロック状態が解除されないため、マーカが誤収納されることがなくなる。
【0013】
また、この回転式線引きマーカ20は、折り畳んだ時、苗載台11の前側下方空間内に収納することができるが、このマーカを折り畳んだとき、折り畳まれたマーカ部が苗載台のバランススプリング15より下方に位置するようになっている。バランススプリングは、苗載台の横移動に伴い伸縮し、伸びたときは折り畳んだマーカ部付近まで伸びるため、例えば、マーカ部がこのバランススプリングと同じ高さに位置した場合は、マーカ部とバランススプリングとが干渉しあうことになり、これを防止するためには苗載台を後方へ移動させるしかなく、必然的に機体前後長が長くなる。本例による場合は、機体前後長を長くすることなくマーカ部を折畳み収納することができる。
【0014】
なお、植付作業時には、植付部上昇時に昇降用油圧シリンダ8が伸長作動すると、マーカワイヤが引かれて線引きマーカ20が起立し、植付部下降時に昇降用油圧シリンダ8が縮小作動するとマーカワイヤが戻って線引きマーカ20が倒伏することになる。また、マーカ用ソレノイドによってマーカワイヤが戻らないように規制すると、植付部が下降しても、線引きマーカが起立した状態のままで保持されることになる。
【0015】
図5及び図6に示す実施例は、苗植付部を昇降用油圧シリンダ8の押し引き作動によって昇降させる田植機において、リフト時、昇降リンク機構7におけるロアリンク7dのシリンダアーム30,30間にマーカソレノイド31が位置するように配置構成したものである。油圧シリンダを押し作動から引き作動に変更した場合、マーカワイヤロッド32とオートリターンロッド33が下向きに伸び縮みする。地上高を上げるために、これらロッドをなるべく上側で止めるようにすると、マーカソレノイドはそれだけ高く位置させなければならない。そのとき、ロアリンクのシリンダアームがリフトした時、側面方向で重なってしまう問題があったが、上記構成により解消することができる。
【0016】
また、マーカワイヤロッド32とオートリターンロッド33を、これらのロッドが植付部の上下で伸び縮みしても油圧シリンダ8の最下部位置Zより上方で止まるようにしておくと、従来のように、リフトした時、最低地上高より下にロッドが下がってしまってわら等の夾雑物をひっかけたりする恐れがなくなる。
【0017】
更に、油圧シリンダ8のスプリングケース34において、図7に示すように、スプリングケース(アッパ)34aには、オートリターンロッド33を取り付けるための切欠溝35aを、スプリングケース(ロア)34bには、該ロッド33が係合してスライドする切欠溝35bを設けることで、オートリターンロッドの倒れを防止でき、安定したスライド移動が可能となる。また、オートリターンロッド33の途中部には、スプリンケースの傾きを防止するため、傾き防止用プレート36が設けられている。この傾き防止用プレート36は、図8に示すように、一つはボルト37で締付固定し、他の一つは回り止めとしてオートリターンロッドのアウタワイヤ受けナット38による締付手段を利用して共締めする構成としている。これによれば、スプリングケースの傾きがなくなるため、オートリターンロッドのこぜをなくすことができ、円滑なスライド移動を保持することができる。
【0018】
図10〜図13に示す実施例について説明すると、前記苗植付部6において、苗載台11の前板11a(図1参照)の左右端部を防護する前板ガード50が、前板11aの端部より外側方に突出されて左右横方向に架設された前板ガードステー51の外端部に取り付けられている。そして、この前板ガード50は、前後方向の軸芯(回動支点)P回りに回動可能で、上方に持ち上げた状態の前板ガード時(イ)と下方に押し下げて接地する状態のスタンド時(折畳み収納時)(ロ)とに切り替えできるように構成してある。つまり、前板ガードを下方に折畳み収納した時、スタンドとして利用できるようにしたものである。接地スタンド時、ガードを途中部からへの字に曲げておくと、図13に示すように、収納時の機体幅がより縮小できる。また、前板ガードとして使用するときには、図11、図12に示すように、への字の曲げ部分が前板ガードステー51の外端近くに位置し、前板ガードステーの外側で水平部を構成することができる。
【0019】
なお、図10〜図13に示す構成例では、ガードの回動支点Pをサイドフロート14の外側端よりも内側に設定しておくと、図12に示すように、畦際での植付時、サイドフロートの端部まで畦に近づけて植え付けることができる。
【0020】
図14に示す実施例は、施肥装置47の肥料タンク47a内に肥料を充填して田植機の重量が重くなった時には、後輪独立スイングアーム52のスプリング53を硬くするように肥料減少センサ54と連動させ、肥料の量に関係なく独立スイングの効き目をなるべく一定にする構成としている。
【0021】
また、図15に示す実施例では、苗載台11の苗が減ってきて苗減少スイッチ55がOFFになった時は、田植機の重量が軽くなる為、独立スイングのスプリング53を柔らか目にするよう連動させ、苗の量に関係なく独立スイングの効き目をなるべく一定にする構成としている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】田植機の側面図
【図2】同上平面図
【図3】苗植付部の側面図
【図4】線引きマーカ装置の要部の側面図
【図5】苗植付部昇降装置の要部の側面図
【図6】同上要部の平面図
【図7】苗植付昇降装置の要部の側面図
【図8】図7要部のA−A矢視図
【図9】昇降用油圧シリンダ機構の側面図
【図10】苗植付部要部の平面図
【図11】同上要部の背面図
【図12】同上背面図
【図13】同上背面図
【図14】田植機の側面図
【図15】田植機の側面図
【符号の説明】
【0023】
1 走行車体 6 苗植付部
10 線引きマーカ装置 11 苗載台
20 回転式線引きマーカ 21 回動支点軸
22 マーカアーム 23 回動軸(回動軸受体)
【技術分野】
【0001】
この発明は、圃場に苗を植え付ける田植機に関し、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されているように、マーカアームの先端に回転式線引きマーカを備え、マーカアームを基端、先端及び中間の3箇所の枢支点回りに回動可能に構成することで、マーカの起立、倒伏姿勢への切り替え、起立姿勢から収納姿勢への切り替えができるように構成したものがある。
【特許文献1】特開2004−194579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術のものでは、3箇所の枢支点をもつため構成が複雑でコスト高となる問題がある。
本発明は、上記問題点を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、次行程の走行経路の指標となる位置に跡をつける回転式の線引きマーカ(20)を、基端部の回動支点軸(21)回りに起立倒伏可能でかぎ型に構成されたマーカアーム(22)の先端部に装着してなる線引きマーカ装置(10)を備え、苗載台(11)を有する苗植付部(6)の左右に各々線引きマーカ装置(10),(10)を配設すると共に、マーカアーム(22)の起立状態で側面視で線引きマーカ(20)と苗載台(11)とが重複する関係位置に設け、側面視で苗載台(11)の方向に対して苗載台から離れる方向に傾斜する回動軸(23)でマーカアーム(22)のかぎ型の屈曲部を折り曲げる構成としてあることを特徴とする。
【0005】
マーカアーム(22)を起立姿勢から倒伏姿勢に切り替えた時には、先端の線引きマーカ(20)が圃場面に接地し回転によって泥掻きしながら跡をつけていく。マーカアーム(22)を倒伏姿勢から起立姿勢に切り替えた時には、先端の線引きマーカ(20)は苗載台(11)の側部に上昇位置する。マーカアーム起立時の線引きマーカ(20)は、苗載台(11)から離れる方向に傾斜する回動軸(23)を中心としてマーカアーム(22)のかぎ型屈曲部から折り曲げると、苗載台(11)と干渉することなく、苗載台の前側空間内に折畳み収納することができる。
【発明の効果】
【0006】
以上要するに、本発明によれば、簡単な構成でもって線引きマーカ装置を起立倒伏姿勢への切り替え及び苗載台と干渉しない位置に折り畳み収納することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、回転式線引きマーカ装置を備えた乗用型田植機を示すものであり、車体1の前後には走行車輪としての左右一対の前輪2,2及び後輪3,3が架設されている。車体上前部には操作ボックス4及びステアリングハンドル5等を有する操縦装置が設置され、また、車体後方部には昇降可能な4条植えの苗植付部6が装備され、また、この苗植付部の左右側には回転式の線引きマーカ装置10が配備されている。操縦装置の後側に運転席9が設置され、運転席の下側に田植機の各部に動力を伝達するエンジンEが搭載されている。
【0008】
苗植付部6は、車体の後部に昇降リンク機構7を介して昇降可能に装着され、昇降用油圧シリンダ8の伸縮作動により昇降する構成である。
また、前記苗植付部6には、マット苗を載せて左右に往復動し苗を一株分づつ各条における前板11aの苗取出口11b,…に供給すると共に横一列の苗を全て苗取出口11b,…に供給すると苗送りベルト11c,…により苗を下方に移送する後傾斜(側面視で上端より下端が後位)の苗載台11、1株分の苗を切取って土中に植込む苗植付具12を有する2条分植付装置13,13、苗植付面を滑走しながら整地するフロ−ト(サイドフロ−ト)14,14、センタフロ−ト14S等を備えている。
【0009】
原動機となるエンジンEの回転動力は、ミッションケース40への入力伝動部材として、エンジン出力プーリ41からベルト42を介して油圧式無段変速装置(HST)43の入力プ−リ44から入力軸に伝えられ、この入力軸から油圧ポンプを駆動するようになっており、更に、HST43の出力軸からミッションケ−ス40内のミッションに伝達されるようになっている。該ケ−ス40内のミッションに伝達された回転動力は、ケ−ス40内のトランスミッションにて変速された後、走行動力と外部取出動力とに分岐して取り出される。そして、走行動力は、前輪2,2及び後輪伝動軸45から後輪伝動ケ−ス46のギヤ機構を介して後輪3,3を駆動する。また、外部取出動力は、ミッションケース40からの出力伝動軸、安全クラッチケース内の安全クラッチを介して植付伝動軸に伝達され、更に、植付伝動軸によって苗植付部6へ伝動されると共に、施肥装置47へも動力伝達されるようになっている。
【0010】
線引きマーカ装置10は、次行程の走行経路の指標となる位置に跡をつけていく回転式の線引きマーカ(爪車)20と、基端側がマーカブラケット19に軸支された回動支点軸21回りに起立倒伏自在で、且つかぎ型に構成されたマーカアーム22とからなり、線引きマ−カ20は、マーカアーム22の先端に軸支され、外周に突起爪20aを有した回転体20bによって構成され、圃場面に接地して回転し泥掻きしながら跡をつけていくように構成されている。また、マーカアーム22は、基端側アーム22aと先端側アーム22bとからなり、基端部の回動支点軸21を支点として起伏する構成であり、先端の線引きマーカ20が苗載台11の側部に位置する上昇起立姿勢と、圃場面に接地する下降倒伏姿勢とに切り替えられるようになっている。そして、このマーカアーム22の上昇起立状態でのかぎ型屈曲部22cには、側面視で苗載台11の傾斜方向に対してほぼ直交し苗載台から離れる方向に傾斜する回動軸(回動軸受体)23を設け、この回動軸23を回動軸芯として先端側アーム22bが基端側アーム22aに対して折れ曲がり回動するようになっている。このようにマーカアーム起立状態での線引きマーカ20は、回動軸23軸芯回りでの折り曲げ回動によって苗載台の左右幅内での下方(前方)空間内に折畳み収納することができる。
【0011】
線引きマーカ20を折畳み収納したときには、マーカアーム22の基部側アーム22aがマーカ20の突起爪20aと突起爪20aとの間に入り込むようにしておくと、マーカの不用意な回転が阻止されることになり回り止めの役目を果たす。
【0012】
マーカ収納用ロックレバー24は、マーカアームの基部側アーム22a側に枢支ピン26を介して前後方向揺動操作可能に枢着され、ロック用スプリング27に抗して前方に揺動操作すると、ロックレバー先端のロック爪25が先端側アーム22bに固着されたロックピン28に対するロック用係止溝25aの係合ロック状態から離脱してロック状態が解除されるようになっており、線引きマーカの折畳み収納を可能にしている。従って、線引き作業時に、マーカ収納用ロックレバーに進行方向側から畦際等で物が当たっても、ロック爪の係止溝25aが前方に向けて開口しているので、ロックレバーは後方に向けて揺動されずロック状態が解除されないため、マーカが誤収納されることがなくなる。
【0013】
また、この回転式線引きマーカ20は、折り畳んだ時、苗載台11の前側下方空間内に収納することができるが、このマーカを折り畳んだとき、折り畳まれたマーカ部が苗載台のバランススプリング15より下方に位置するようになっている。バランススプリングは、苗載台の横移動に伴い伸縮し、伸びたときは折り畳んだマーカ部付近まで伸びるため、例えば、マーカ部がこのバランススプリングと同じ高さに位置した場合は、マーカ部とバランススプリングとが干渉しあうことになり、これを防止するためには苗載台を後方へ移動させるしかなく、必然的に機体前後長が長くなる。本例による場合は、機体前後長を長くすることなくマーカ部を折畳み収納することができる。
【0014】
なお、植付作業時には、植付部上昇時に昇降用油圧シリンダ8が伸長作動すると、マーカワイヤが引かれて線引きマーカ20が起立し、植付部下降時に昇降用油圧シリンダ8が縮小作動するとマーカワイヤが戻って線引きマーカ20が倒伏することになる。また、マーカ用ソレノイドによってマーカワイヤが戻らないように規制すると、植付部が下降しても、線引きマーカが起立した状態のままで保持されることになる。
【0015】
図5及び図6に示す実施例は、苗植付部を昇降用油圧シリンダ8の押し引き作動によって昇降させる田植機において、リフト時、昇降リンク機構7におけるロアリンク7dのシリンダアーム30,30間にマーカソレノイド31が位置するように配置構成したものである。油圧シリンダを押し作動から引き作動に変更した場合、マーカワイヤロッド32とオートリターンロッド33が下向きに伸び縮みする。地上高を上げるために、これらロッドをなるべく上側で止めるようにすると、マーカソレノイドはそれだけ高く位置させなければならない。そのとき、ロアリンクのシリンダアームがリフトした時、側面方向で重なってしまう問題があったが、上記構成により解消することができる。
【0016】
また、マーカワイヤロッド32とオートリターンロッド33を、これらのロッドが植付部の上下で伸び縮みしても油圧シリンダ8の最下部位置Zより上方で止まるようにしておくと、従来のように、リフトした時、最低地上高より下にロッドが下がってしまってわら等の夾雑物をひっかけたりする恐れがなくなる。
【0017】
更に、油圧シリンダ8のスプリングケース34において、図7に示すように、スプリングケース(アッパ)34aには、オートリターンロッド33を取り付けるための切欠溝35aを、スプリングケース(ロア)34bには、該ロッド33が係合してスライドする切欠溝35bを設けることで、オートリターンロッドの倒れを防止でき、安定したスライド移動が可能となる。また、オートリターンロッド33の途中部には、スプリンケースの傾きを防止するため、傾き防止用プレート36が設けられている。この傾き防止用プレート36は、図8に示すように、一つはボルト37で締付固定し、他の一つは回り止めとしてオートリターンロッドのアウタワイヤ受けナット38による締付手段を利用して共締めする構成としている。これによれば、スプリングケースの傾きがなくなるため、オートリターンロッドのこぜをなくすことができ、円滑なスライド移動を保持することができる。
【0018】
図10〜図13に示す実施例について説明すると、前記苗植付部6において、苗載台11の前板11a(図1参照)の左右端部を防護する前板ガード50が、前板11aの端部より外側方に突出されて左右横方向に架設された前板ガードステー51の外端部に取り付けられている。そして、この前板ガード50は、前後方向の軸芯(回動支点)P回りに回動可能で、上方に持ち上げた状態の前板ガード時(イ)と下方に押し下げて接地する状態のスタンド時(折畳み収納時)(ロ)とに切り替えできるように構成してある。つまり、前板ガードを下方に折畳み収納した時、スタンドとして利用できるようにしたものである。接地スタンド時、ガードを途中部からへの字に曲げておくと、図13に示すように、収納時の機体幅がより縮小できる。また、前板ガードとして使用するときには、図11、図12に示すように、への字の曲げ部分が前板ガードステー51の外端近くに位置し、前板ガードステーの外側で水平部を構成することができる。
【0019】
なお、図10〜図13に示す構成例では、ガードの回動支点Pをサイドフロート14の外側端よりも内側に設定しておくと、図12に示すように、畦際での植付時、サイドフロートの端部まで畦に近づけて植え付けることができる。
【0020】
図14に示す実施例は、施肥装置47の肥料タンク47a内に肥料を充填して田植機の重量が重くなった時には、後輪独立スイングアーム52のスプリング53を硬くするように肥料減少センサ54と連動させ、肥料の量に関係なく独立スイングの効き目をなるべく一定にする構成としている。
【0021】
また、図15に示す実施例では、苗載台11の苗が減ってきて苗減少スイッチ55がOFFになった時は、田植機の重量が軽くなる為、独立スイングのスプリング53を柔らか目にするよう連動させ、苗の量に関係なく独立スイングの効き目をなるべく一定にする構成としている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】田植機の側面図
【図2】同上平面図
【図3】苗植付部の側面図
【図4】線引きマーカ装置の要部の側面図
【図5】苗植付部昇降装置の要部の側面図
【図6】同上要部の平面図
【図7】苗植付昇降装置の要部の側面図
【図8】図7要部のA−A矢視図
【図9】昇降用油圧シリンダ機構の側面図
【図10】苗植付部要部の平面図
【図11】同上要部の背面図
【図12】同上背面図
【図13】同上背面図
【図14】田植機の側面図
【図15】田植機の側面図
【符号の説明】
【0023】
1 走行車体 6 苗植付部
10 線引きマーカ装置 11 苗載台
20 回転式線引きマーカ 21 回動支点軸
22 マーカアーム 23 回動軸(回動軸受体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次行程の走行経路の指標となる位置に跡をつける回転式の線引きマーカ(20)を、基端部の回動支点軸(21)回りに起立倒伏可能でかぎ型に構成されたマーカアーム(22)の先端部に装着してなる線引きマーカ装置(10)を備え、苗載台(11)を有する苗植付部(6)の左右に各々線引きマーカ装置(10),(10)を配設すると共に、マーカアーム(22)の起立状態で側面視で線引きマーカ(20)と苗載台(11)とが重複する関係位置に設け、側面視で苗載台(11)の方向に対して苗載台から離れる方向に傾斜する回動軸(23)でマーカアーム(22)のかぎ型の屈曲部を折り曲げる構成としてあることを特徴とする田植機。
【請求項1】
次行程の走行経路の指標となる位置に跡をつける回転式の線引きマーカ(20)を、基端部の回動支点軸(21)回りに起立倒伏可能でかぎ型に構成されたマーカアーム(22)の先端部に装着してなる線引きマーカ装置(10)を備え、苗載台(11)を有する苗植付部(6)の左右に各々線引きマーカ装置(10),(10)を配設すると共に、マーカアーム(22)の起立状態で側面視で線引きマーカ(20)と苗載台(11)とが重複する関係位置に設け、側面視で苗載台(11)の方向に対して苗載台から離れる方向に傾斜する回動軸(23)でマーカアーム(22)のかぎ型の屈曲部を折り曲げる構成としてあることを特徴とする田植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−306847(P2007−306847A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139160(P2006−139160)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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