説明

田植機

【課題】同一の構造の走行機体2及びリヤアクスルケース9を利用して、走行クローラ4を装備したセミクローラタイプの仕様、又は後車輪50を装備したホイールタイプの仕様のいずれも構成できるようにした田植機を提供するものである。
【解決手段】エンジン5を搭載した走行機体2に苗植付け装置23を昇降可能に連結し、走行機体2の前部にフロントアクスルケース7を介して前車輪3を配置し、走行機体2の後部にリヤアクスルケース9を配置してなる田植機において、リヤアクスルケース9の左右側面にケース蓋体33を着脱可能に締結し、リヤアクスルケース9からケース蓋体33の外側方に向けて後車輪50支持用の後車軸36を突出し、ケース蓋体33に、走行クローラ4支持用のトラックフレーム40を取付けるためのフレーム支持部41を一体的に形成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗載台及び植付爪等を有する苗植付け装置を備えた田植機に係り、より詳しくは、苗植付け装置を連結する走行機体に、後車輪又は走行クローラのいずれか一方が互換可能に装備される田植機の走行装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、左右の前車輪と、左右の走行クローラとによって走行機体を支持するセミクローラタイプの乗用型の田植機では、走行機体の前部にフロントアクスルケースを配置し、フロントアクスルケースに操舵用の左右の前車輪を支持する。また、走行機体の後部にリヤアクスルケースを配置し、リヤアクスルケースに推進用の左右の走行クローラを支持するように構成している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この場合、従来の田植機においては、リヤアクスルケースから突出させた後車軸にクローラ支持フレームを回動可能に被嵌し、クローラ支持フレームにトラックフレームを取付け、そのトラックフレームに走行クローラを支持していた。そのため、後車軸回りに走行クローラが回動して、耕盤の前後方向の凹凸等に対して追従して移動できた。また、後車輪を配置すべく形成された走行機体に走行クローラを設けたセミクローラタイプのトラクタの構成(例えば、特許文献2参照)も公知である。
【特許文献1】特開2003−23819号公報
【特許文献2】特開2000−264265号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術は、走行クローラの後車軸回りの回動範囲を制限するための機構等と共に、走行機体にトラックフレームを組付ける必要がある。そのため、後車軸回りの回動範囲を制限するための機構等が配置されていない走行機体、換言すると後車輪を装備した田植機の走行機体には、後車輪に代えて走行クローラを互換可能に配置できない。即ち、走行クローラを装備した田植機を構成する場合、走行クローラを装備するための特別な走行機体又はリヤアクスルケース等が必要である。したがって、同一の構造の走行機体及びリヤアクスルケースを利用して、走行クローラを装備したセミクローラタイプの田植機、及び後車輪を装備したホイールタイプの田植機を構成できない等の問題がある。
【0005】
本発明の目的は、同一の構造の走行機体及びリヤアクスルケースを利用して、走行クローラを装備したセミクローラタイプの仕様、又は後車輪を装備したホイールタイプの仕様のいずれも構成できるようにした田植機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明の田植機は、エンジンを搭載した走行機体に苗植付け装置を昇降可能に連結し、前記走行機体の前部にフロントアクスルケースを介して前車輪を配置してなる田植機において、前記走行機体の後部にリヤアクスルケースを配置し、前記リヤアクスルケースの左右側面にケース蓋体を着脱可能に締結し、前記リヤアクスルケースから前記ケース蓋体の外側方に向けて後車輪支持用の後車軸を突出し、前記ケース蓋体に、走行クローラ支持用のトラックフレームを取付けるためのフレーム支持部を一体的に形成したものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の田植機において、前記ケース蓋体から下方に突出させた前記フレーム支持部に、前記トラックフレームから上方に突出させたクローラ支持フレームの上端側を着脱可能に締結するように構成したものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の田植機において、前記ケース蓋体の上下の側端縁を上下方向に延長して、前記ケース蓋体の上下端側に前記一対の上下のフレーム支持部を一体的にそれぞれ形成したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、エンジンを搭載した走行機体に苗植付け装置を昇降可能に連結し、前記走行機体の前部にフロントアクスルケースを介して前車輪を配置し、前記走行機体の後部にリヤアクスルケースを配置してなる田植機において、前記リヤアクスルケースの左右側面にケース蓋体を着脱可能に締結し、前記リヤアクスルケースから前記ケース蓋体の外側方に向けて後車輪支持用の後車軸を突出し、前記ケース蓋体に、走行クローラ支持用のトラックフレームを取付けるためのフレーム支持部を一体的に形成したものであるから、同一構造の前記リヤアクスルケース及び前記ケース蓋体を利用して、前記走行クローラを装備したセミクローラタイプの仕様と、後車輪を装備したホイールタイプの仕様とを簡単に構成できる。即ち、製造工場ばかりでなく、修理等が可能な販売店等においても、ホイールタイプの仕様からセミクローラタイプの仕様に簡単に変更できる。また、その逆に、セミクローラタイプの仕様からホイールタイプの仕様にも簡単に変更できる。したがって、製造工場において、ホイールタイプの仕様とセミクローラタイプの仕様とに分けて、前記走行機体等を製造する必要がない。また、通常仕様のホイールタイプから、湿田等に適した特別仕様のセミクローラタイプに簡単に変更できる。販売店等において、需要が少ないセミクローラタイプの仕様の在庫リスクを軽減できるものである。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、前記ケース蓋体から下方に突出させた前記フレーム支持部に、前記トラックフレームから上方に突出させたクローラ支持フレームの上端側を着脱可能に締結するように構成したものであるから、作業者が走行機体2(トラックフレーム40)の外側方からボルト42aを締付けたり緩めて、クローラ支持フレーム42を装着したり離脱(又はケース蓋体33を着脱)させることによって、前記リヤアクスルケースに前記トラックフレームを組付けたり取外すことができる。即ち、本機外側方からの簡単な分解組立作業によって、ホイールタイプの仕様又はセミクローラタイプの仕様に簡単に変更できるものである。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、前記ケース蓋体の上下の側端縁を上下方向に延長して、前記ケース蓋体の上下端側に前記一対の上下のフレーム支持部を一体的にそれぞれ形成したものであるから、前記リヤアクスルケースの左右側面に配置された前記ケース蓋体の前記上下のフレーム支持部を使い分けて、前記左右のケース蓋体に前記左右のトラックフレームを簡単に連結できる。即ち、前記リヤアクスルケースの左右側面での支持姿勢が上下逆になる前記左右のケース蓋体に、前記一対の上下のフレーム支持部のうち、下向きに突出した側のフレーム支持部を介して、前記左右のトラックフレームをそれぞれ連結できる。したがって、前記リヤアクスルケースの左右側面にそれぞれ締結する同一構造の前記左右のケース蓋体を利用して、前記リヤアクスルケースの左右両側方に前記左右の走行クローラを簡単に配置できる。前記ケース蓋体等の部品を低コストで製造できたり、組立工場等において前記ケース蓋体等の部品を簡単に管理できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、4条植え式の乗用型田植機に適用した場合の図面について説明する。図1は乗用型田植機の側面図、図2は同平面図、図3は走行機体及び走行クローラを示す平面図、図4は走行機体後部の側面図、図5は走行機体後部の平面図、図6は走行機体及び走行クローラを示す斜視図、図7は走行クローラの取付け部を示す側面図、図8は走行クローラの取付け部を示す斜視図、図9は走行クローラ及び後車輪の取付け態様を示す側面図である。
【0013】
図1及び図2に示されるように、乗用型田植機1における走行機体2は、左右一対の前車輪3と同じく左右一対の走行クローラ4とで支持されている。前記走行機体2の前部にはエンジン5が搭載され、エンジン5からの動力をこの後方のミッションケース6に伝え、前車輪3及び走行クローラ4を駆動することにより、前後進走行するように構成されている。ミッションケース6の左右側方にフロントアクスルケース7を突出し、フロントアクスルケース7に前車輪3を舵取り可能に配置する。ミッションケース6の後方に門型フレーム8を突出し、門型フレーム8の後端側に1つのリヤアクスルケース9を固設し、リヤアクスルケース9に左右一対の走行クローラ4を配置する。即ち、エンジン5からの動力は、ミッションケース6の後方に突出した走行駆動軸6aからリヤアクスルケース9に伝達されて、リヤアクスルケース9から出力される走行駆動力によって走行クローラ4が駆動されることになる。なお、走行機体2は、ミッションケース6と、フロントアクスルケース7と、門型フレーム8と、リヤアクスルケース9とから構成されている。門型フレーム8の前端側及び後端側は、ミッションケース6及びリヤアクスルケース9にボルトにてそれぞれ締結している。
【0014】
図1乃至図4、図6に示されるように、走行機体2の前部及び中央部の上面側には、ステップフレーム10aを介して、オペレータ搭乗用の作業ステップ(車体カバー)10を配置している。作業ステップ10の前部の上方には、フロントボンネット11が配置され、フロントボンネット11によってエンジン5が覆われている。フロントボンネット11後部の側方の作業ステップ10の上面に、足踏み操作用の走行変速ペダル12が配置されている。
【0015】
また、フロントボンネット11上部の運転操作コラム13の上方には、操縦ハンドル14と、走行主変速レバー15と、主クラッチ入り切り用の走行副変速レバー16とが突出されている。フロントボンネット11より後方の作業ステップ10の上面には、リンクフレーム19上端側に取付けられたシートフレーム17を介して操縦座席18を設置している。
【0016】
図3乃至図5に示されるように、走行機体2の後端部のリヤアクスルケース9にリンクフレーム19を立設する。リンクフレーム19には、ロワーリンク20a及びトップリンク20bからなる平行三点リンク機構20を介して、4条植え用の苗植付け装置23が昇降可能に連結されている。なお、苗植付け装置23を昇降するための油圧昇降シリンダ21を駆動する昇降操作レバー22が、操縦ハンドル14の一側の下方に配置されている(図2参照)。作業ステップ10の上面に、その側方の乗降ステップ25からオペレータが搭乗し、オペレータの運転操作により圃場内を移動して、苗植付け装置23によって圃場に苗を植付ける田植作業を実行することになる。
【0017】
図1及び図2に示されるように、苗植付け装置23には、エンジン5からの動力を伝える植付入力ケース26と、植付入力ケース26に連結する2組4条(2条一組)用の植付伝動ケース27と、各植付伝動ケース27の後端側に設けた4条用の苗植機構28と、4条植え用の苗載台29と、各植付伝動ケース27より下方に設置した4条田面均平用のセンタフロート32a及び左右サイドフロート32bとを備える。苗植機構28には、1条分2本の植付爪30を有するロータリケース31を設ける。植付伝動ケース27に2条分のロータリケース31が配置されている。
【0018】
即ち、エンジン5からの動力は、ミッションケース6から後方に向けて突出したPTO軸26aを介して、植付入力ケース26に伝達されて、植付入力ケース26からの植付駆動力によってロータリケース31が一方向に連続して回転することになる。ロータリケース31の1回転で、1条分2本の植付爪30によって2株の苗が、フロート32a,32bによって整地された田面に植付けられることになる。また、フロントボンネット11の左右側方には、作業ステップ10を挟んで、左右の予備苗載台24が設けられている。田植作業中、苗植付け装置23には、オペレータが予備苗載台24上の苗マットを補給することになる。
【0019】
次に、図3乃至図8を参照して、走行クローラ4の取付け構造について説明する。図4乃至図7に示されるように、上述したリヤアクスルケース9の左右外側面に、複数本のボルト33aを介して、左右のケース蓋体33を着脱可能に締結する。ケース蓋体33によって閉塞したリヤアクスルケース9の左右側部に減速用のファイナルギヤ郡34を内設する。走行駆動軸6aに連結した後輪駆動軸35に、ファイナルギヤ郡34を介して、リヤアクスルケース9からケース蓋体33の外側方に突出させた後車軸36を連結する。後車軸36に、走行クローラ4を駆動するための駆動スプロケット38を着脱可能に固着する。走行クローラ4に、駆動スプロケット38を介して、エンジン5からの駆動力を伝達することになる。なお、リヤアクスルケース9の前端側にステップフレーム10aをボルト37にて締結している。
【0020】
図7及び図8に示されるように、トラックフレーム40の上面の前後幅の中間に、上面側が開放された四角筒形状のクローラ支持フレーム42を一体的に立設する。トラックフレーム40の上面にクローラ支持フレーム42の下端を熔接にて固着している。また、ケース蓋体33の上下の側端に、トラックフレーム40を取付けるための一対の上下のフレーム支持部41を一体的に延長している。換言すると、ケース蓋体33には、ケース蓋体33の上下の側端縁を上下方向に延長して、一対の上下のフレーム支持部41が一体的に形成されている。なお、フレーム支持部41には、ボルト42aを貫通するための取付け孔41aが形成されている。
【0021】
図7及び図8に示されるように、無端履帯形状の左右の走行クローラ4は、後車軸36に着脱可能に固着した駆動スプロケット38と、前後方向に長い四角パイプ形状のトラックフレーム40とを介して走行機体2後部の左右両側に配置されている。トラックフレーム40の前端側にテンション調節ボルト45a等を介してテンションローラ45を前後に位置調節可能に配置する。トラックフレーム40の後端側に後ローラ46を回転可能に配置する。トラックフレーム40の前後幅中間の下面側に軸受け体49を介して一対の転輪47と橇状体48とを配置する。即ち、駆動スプロケット38とテンションローラ45と後ローラ46とを介してトラックフレーム40に走行クローラ4を側面視三角形状に緊張し、側面視三角形状の底辺部の走行クローラ4を一対の転輪47と橇状体48とによって接地支持することになる。
【0022】
ケース蓋体33と一対の上下のフレーム支持部41とは、後輪駆動軸35の中心と、後車軸36の中心とを結ぶ直線によって、ケース蓋体33を上下に二等分すべく、前記直線を中心にして上下対称の形状に形成されている。また、前記直線を中心にして上下対称位置に複数の取付け孔41aが形成され、取付け孔41aと同数のボルト42aが、前記直線を中心にして上下対称位置に配置される。即ち、リヤアクスルケース9の左右側面での支持姿勢が上下逆になる左右のケース蓋体33に、一対の上下のフレーム支持部41のうち、下向きに突出した側のフレーム支持部41に、ボルト42aを介してクローラ支持フレーム42が着脱可能に締結されることになる。
【0023】
したがって、クローラ支持フレーム42の四角筒形状の内孔に、その上方側から、下向きに突出した側のフレーム支持部41が抜き差し可能に差し込まれた状態で、下向きに突出した側のフレーム支持部41にクローラ支持フレーム42をボルト42aにて着脱可能に締結している。リヤアクスルケース9の左右側面には、上向き及び下向きのフレーム支持部41のうち、下向きのフレーム支持部41にクローラ支持フレーム42を締結可能に、ケース蓋体33が配置されている。左右のケース蓋体33の下端側に下向き(下側)のフレーム支持部41を介して左右のトラックフレーム40を連結することになる。左右の走行クローラ4(トラックフレーム40)を配置するための左右のケース蓋体33は、アルミニューム合金を主材料として鋳造加工によって、同一形状に形成されている。
【0024】
なお、ケース蓋体33は、リヤアクスルケース9の一部を形成している。即ち、リヤアクスルケース9は、外側ケース体としてのケース蓋体33と、内側ケース体としてのリヤアクスルケース9本体とに分割して構成され、中間支持部材(断面コ形状プレート)としてのクローラ支持フレーム42を介して、左右のケース蓋体33に左右の走行クローラ4が支持される。また、ケース蓋体33からクローラ支持フレーム42を脱着操作する作業(又はリヤアクスルケース9からケース蓋体33を脱着操作する作業)等は、本機(走行機体2又はトラックフレーム40)の外側方に位置した作業者によって、実行されることになる。
【0025】
上記の構成により、図9に示されるように、左右の走行クローラ4に代えて、走行機体2の後部の左右両側に水田用ラグ付きの左右の後車輪50を装備できる。走行クローラ4を設けた走行機体2に、後車輪50を装備する場合、先ず、テンション調節ボルト45aを緩めてトラックフレーム40から走行クローラ4を取外し、後車軸36から駆動スプロケット38を取外す。次いで、ボルト42aを取外し、フレーム支持部41からクローラ支持フレーム42を離脱させて、ケース蓋体33からトラックフレーム40を取外す。その後、ケース蓋体33から突出した後車軸36に、後車輪50のボス部を被嵌して、後車軸36に後車輪50を取付け、走行機体2に後車輪50を組付ける作業を完了する。
【0026】
一方、図4に示されるように、水田用ラグ付きの左右の後車輪50に代えて、走行機体2の後部の左右両側に左右の走行クローラ4を装備できる。後車輪50を設けた走行機体2に、走行クローラ4を装備する場合、先ず、後車軸36から後車輪50を取外す。次いで、フレーム支持部41にボルト42aを介してクローラ支持フレーム42を締結し、ケース蓋体33にトラックフレーム40を連結する。後車軸36に駆動スプロケット38のボス部を被嵌して、後車軸36に駆動スプロケット38を取付ける。その後、駆動スプロケット38を介してトラックフレーム40に走行クローラ4を巻装する。テンション調節ボルト45aを締めて走行クローラ4を緊張する。走行機体2に走行クローラ4を組付ける作業を完了する。
【0027】
クローラ支持フレーム42にフレーム支持部41を差し込む作業について説明する。トラックフレーム40は、走行クローラ4の左右幅の外側に配置されているから、ジャッキ装置等にて持上げたリヤアクスルケース9側のフレーム支持部41の下方に、クローラ支持フレーム42の上向き開口を位置させ、リヤアクスルケース9及びフレーム支持部41を下降させて、クローラ支持フレーム42の内孔にフレーム支持部41を差し込み、フレーム支持部41とクローラ支持フレーム42とをボルト42aによって締結する。また、その逆に、ボルト42aを取外して、ジャッキ装置等によってリヤアクスルケース9を持上げ、クローラ支持フレーム42からフレーム支持部41を上方に抜出し、フレーム支持部41とクローラ支持フレーム42とを分離する。
【0028】
したがって、同一構造のリヤアクスルケース9及びケース蓋体33を利用して、走行クローラ4を装備したセミクローラタイプの仕様と、後車輪50を装備したホイールタイプの仕様とを構成できる。なお、ケース蓋体33の着脱、又はクローラ支持フレーム42の着脱のいずれか一方の作業によって、リヤアクスルケース9にトラックフレーム40を組付けたり取外すことができる。
【0029】
上記の記載及び図7、図8、図9から明らかなように、エンジン5を搭載した走行機体2に苗植付け装置23を昇降可能に連結し、走行機体2の前部にフロントアクスルケース7を介して前車輪3を配置し、走行機体2の後部にリヤアクスルケース9を配置してなる田植機において、リヤアクスルケース9の左右側面にケース蓋体33を着脱可能に締結し、リヤアクスルケース9からケース蓋体33の外側方に向けて後車輪50支持用の後車軸36を突出し、ケース蓋体33に、走行クローラ4支持用のトラックフレーム40を取付けるためのフレーム支持部41を一体的に形成したものであるから、同一構造のリヤアクスルケース9及びケース蓋体33を利用して、走行クローラ4を装備したセミクローラタイプの仕様と、後車輪50を装備したホイールタイプの仕様とを簡単に構成できる。即ち、製造工場ばかりでなく、修理等が可能な販売店等においても、ホイールタイプの仕様からセミクローラタイプの仕様に簡単に変更できる。また、その逆に、セミクローラタイプの仕様からホイールタイプの仕様にも簡単に変更できる。したがって、製造工場において、ホイールタイプの仕様とセミクローラタイプの仕様とに分けて、走行機体2等を製造する必要がない。また、通常仕様のホイールタイプから、湿田等に適した特別仕様のセミクローラタイプに簡単に変更できる。販売店等において、需要が少ないセミクローラタイプの仕様の在庫リスクを軽減できる。
【0030】
上記の記載及び図7、図8、図9から明らかなように、ケース蓋体33から下方に突出させたフレーム支持部41の下端側に、トラックフレーム40から上方に突出させたクローラ支持フレーム42の上端側を被嵌し、作業者が走行機体2(トラックフレーム40)の外側方からボルト42aを締付け操作して、フレーム支持部41にクローラ支持フレーム42をボルト42aにて着脱可能に締結するように構成したものであるから、作業者が走行機体2(トラックフレーム40)の外側方からボルト42aを締付けたり緩めて、クローラ支持フレーム42を装着したり離脱(又はケース蓋体33の着脱)することによって、リヤアクスルケース9にトラックフレーム40を組付けたり取外すことができる。即ち、本機外側方からの簡単な分解組立作業によって、ホイールタイプの仕様又はセミクローラタイプの仕様に簡単に変更できる。
【0031】
上記の記載及び図7、図8、図9から明らかなように、ケース蓋体33の上下の側端縁を上下方向に延長して、ケース蓋体33の上下端側に一対の上下のフレーム支持部41を一体的にそれぞれ形成したものであるから、リヤアクスルケース9の左右側面に配置されたケース蓋体33の上下のフレーム支持部41を使い分けて、左右のケース蓋体33に左右のトラックフレーム40を簡単に連結できる。即ち、リヤアクスルケース9の左右側面での支持姿勢が上下逆になる左右のケース蓋体33に、上下のフレーム支持部41のうち、下向きに突出した側のフレーム支持部41を介して、左右のトラックフレーム40をそれぞれ連結できる。したがって、リヤアクスルケース9の左右側面にそれぞれ締結する同一構造の左右のケース蓋体33を利用して、リヤアクスルケース9の左右両側方に左右の走行クローラ4を簡単に配置できる。ケース蓋体33等の部品を低コストで製造できたり、組立工場等においてケース蓋体33等の部品を簡単に管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】乗用型田植機の側面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】走行機体及び走行クローラを示す平面図である。
【図4】走行機体後部の側面図である。
【図5】走行機体後部の平面図である。
【図6】走行機体及び走行クローラを示す斜視図である。
【図7】走行クローラの取付け部を示す側面図である。
【図8】走行クローラの取付け部を示す斜視図である。
【図9】走行クローラ及び後車輪の取付け態様を示す側面図である。
【符号の説明】
【0033】
2 走行機体
3 前車輪
4 走行クローラ
5 エンジン
7 フロントアクスルケース
9 リヤアクスルケース
23 苗植付けケース
33 ケース蓋体
36 後車輪
40 トラックフレーム
41 フレーム支持部
42 クローラ支持フレーム
50 後車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを搭載した走行機体に苗植付け装置を昇降可能に連結し、前記走行機体の前部にフロントアクスルケースを介して前車輪を配置し、前記走行機体の後部にリヤアクスルケースを配置してなる田植機において、
前記リヤアクスルケースの左右側面にケース蓋体を着脱可能に締結し、前記リヤアクスルケースから前記ケース蓋体の外側方に向けて後車輪支持用の後車軸を突出し、前記ケース蓋体に、走行クローラ支持用のトラックフレームを取付けるためのフレーム支持部を一体的に形成したことを特徴とする田植機。
【請求項2】
前記ケース蓋体から下方に突出させた前記フレーム支持部に、前記トラックフレームから上方に突出させたクローラ支持フレームの上端側を着脱可能に締結するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の田植機。
【請求項3】
前記ケース蓋体の上下の側端縁を上下方向に延長して、前記ケース蓋体の上下端側に前記一対の上下のフレーム支持部を一体的にそれぞれ形成したことを特徴とする請求項1に記載の田植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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