田植機
【課題】施肥装置を播種装置としても兼用使用するにあたり、施肥装置で必要不可欠な粉粒体の案内経路を、播種装置の粉粒体の案内経路にも有効利用して、播種装置関連の構成を極力簡素化し、全体構造の簡素化を図る。
【解決手段】粉粒体供給装置40に繰り出し機構から繰り出された粉粒体を落下予定箇所の近くに導く供給経路構成部材Aを装着し、供給経路構成部材Aの終端位置を、機体進行方向に対して交差する左右方向で位置変更可能な落下位置変更手段Bを備えた。
【解決手段】粉粒体供給装置40に繰り出し機構から繰り出された粉粒体を落下予定箇所の近くに導く供給経路構成部材Aを装着し、供給経路構成部材Aの終端位置を、機体進行方向に対して交差する左右方向で位置変更可能な落下位置変更手段Bを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植付け爪を備えた苗植付け装置と、粉粒体を所定量ずつ送り出す繰り出し機構を備えて前記苗植付け装置による苗植付け箇所の近くに粉粒体を供給可能な粉粒体供給装置とを備えた田植機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように、植付け爪を備えた苗植付け装置と、粉粒体を所定量ずつ送り出す繰り出し機構を備えて前記苗植付け装置による苗植付け箇所の近くに粉粒体を供給可能な粉粒体供給装置とを備えた田植機としては、従来より下記[1]に記載のものが知られている。
[1] 施肥用の作溝器と播種用の作溝器との両方を備えるとともに、それぞれの作溝器に対して繰り出し機構からの供給用ホースを接続して、施肥用の案内経路と播種用の案内経路とを構成し、繰り出し機構側での経路切り換えにより、施肥用の案内経路と播種用の案内経路とのうちの何れか一方選択して、肥料もしくは種籾のいずれか一方を択一的に供給できるように構成したもの(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−331913号公報(段落番号「0013」、「0015」、図2,4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記[1]に記載の従来技術のように、予め施肥用の作溝器と播種用の作溝器との両方を備え、施肥用の案内経路と播種用の案内経路とのうちの何れか一方選択して、肥料もしくは種籾のいずれか一方を択一的にいずれかの作溝器に供給できるように構成したものでは、苗植付け装置を取り外す必要なく施肥装置を播種装置としても兼用使用できるので、苗植付け装置と専用の播種装置とを付け替えて、苗植付け作業もしくは播種作業を行えるようにする構造のものに比べて、装置の着脱の手数を要さず、便利に切り換え使用できる点で有用なものである。
しかしながら、この構造のものでは、予め施肥用の作溝器と播種用の作溝器との両方を備えるとともに、それらの各作溝器に対する供給用ホースや、繰り出し機構での切り換え手段を備える必要がある。このため、それらの作溝器や案内経路などの多くの部品の増加に伴って苗植付け装置全体の構造が複雑になるとともに、全体の重量増加、ならびに僅かではあるが両作溝器を併用することによる走行抵抗の増加などを招く虞がある。
【0005】
本発明の目的は、苗植付け装置を取り外すことなく施肥装置を播種装置としても兼用使用できるようにするにあたり、施肥装置として必要不可欠な粉粒体の案内経路を、播種装置としての粉粒体の案内経路にも有効利用できるようにして、播種装置関連の構成を極力簡素化し、全体構造の簡素化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明による田植機では、下記の技術手段を講じたものである。
〔解決手段1〕
本発明は、植付け爪を備えた苗植付け装置と、粉粒体を所定量ずつ送り出す繰り出し機構を備えて前記植付け爪による苗植付け箇所の近くに粉粒体を供給可能な粉粒体供給装置とを備えた田植機であって、前記粉粒体供給装置に前記繰り出し機構から繰り出された粉粒体を落下予定箇所の近くに導く供給経路構成部材を装着し、この供給経路構成部材の終端位置を、機体進行方向に対して交差する左右方向で位置変更可能な落下位置変更手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、繰り出し機構から繰り出された粉粒体の落下位置を、粉粒体を落下予定箇所の近くに導く供給経路構成部材の終端位置を変更可能な落下位置変更手段によって変更可能に構成したことにより、粉粒体供給装置の繰り出し機構から繰り出された粉粒体を落下予定箇所の近くに導く供給経路構成部材の終端位置を、機体進行方向に対して交差する左右方向で変更することができる。
【0008】
したがって本発明では、粉粒体の落下供給箇所を機体進行方向に対して交差する左右方向で変更することにより、苗植付け作業時に、植付けられた苗列から所定距離だけ離れた横側方位置に施肥を行ったり、播種作業時に、播種対象とすべき位置を所定間隔で設定するなどの位置変更が可能となる。これにより、予め専用の複数の供給経路構成部材を設けておく必要が無く、このような複数の供給経路構成部材を設けたり、経路の切り換え操作機構を設けたりするような、装置の大型化、複雑化を免れ得る利点がある。
【0009】
〔解決手段2〕
解決手段2にかかる発明では、落下位置変更手段は、供給経路構成部材の終端位置から供給される粉粒体の落下箇所が、苗植付け装置の植付け爪による苗植付け箇所の横側方である苗植付け作業用供給位置と、前記植付け爪の通過跡に向けて粉粒体を落下供給する播種作業用供給位置とに切り換え可能であるように、供給経路構成部材の終端位置を変更可能に構成してあることを特徴とする。
【0010】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、粉粒体の落下位置の変更を、落下位置変更手段による粉粒体落下位置の変更操作で行うことができるので、装置の大型化、複雑化を免れる点での有利さを備える他、次の点でより一層便利に用いることができる。
つまり、播種作業を行う際における粉粒体である種籾の落下位置が、植付け爪の通過跡に向けて粉粒体を落下供給する播種作業用供給位置であるから、圃場に形成される植付け爪の通過跡を種籾の移動を抑制する播種用溝として有効利用することができ、播種後の種籾の生育を所期位置に安定良く維持して行わせ易いという利点がある。
【0011】
〔解決手段3〕
解決手段3にかかる発明では、落下位置変更手段は、供給経路構成部材の終端部で、粉粒体供給装置の繰り出し機構から送り出された粉粒体を所定方向へ向けて滑落させるように装備された落下案内体によって構成してあり、かつ、この落下案内体は前記供給経路構成部材の終端部に対して着脱自在に構成してあることを特徴とする。
【0012】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、供給経路構成部材の終端部では、粉粒体供給装置の繰り出し機構から送り出された粉粒体を所定方向へ向けて滑落させるように装備された落下案内体によって落下位置変更手段を構成している。そして、その落下案内体を供給経路構成部材の終端部に対して着脱自在に構成している。
したがって、落下位置を変更するための部材としては落下案内体を用いるだけの簡単な構造で済み、また、落下位置の変更操作は、落下案内体の着脱操作を行うだけの簡単な操作でを行なうことができる利点がある。
【0013】
〔解決手段4〕
解決手段4にかかる発明では、落下位置変更手段は、落下案内体が供給経路構成部材の終端部に装備された状態で粉粒体を播種作業用供給位置へ落下させるように案内し、落下案内体が供給経路構成部材の終端部から取り外された状態で粉粒体を苗植付け作業用供給位置へ落下させるように構成してあることを特徴とする。
【0014】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
落下案内体は播種作業のときにだけ用いるものであり、苗植付け作業の際には取り外しているものであるから、苗植付け作業時に、落下案内体が植付け苗に接触して苗を傷めたり邪魔になることがない。そして、播種作業時には、苗植付け作業時であれば植付けられた苗と接触するほどに落下案内体の終端位置を苗植付け箇所に近づけることができるので、種籾の落下位置を、植付け爪の通過跡などの播種作業用供給位置へ確実に供給し易いものである。
【0015】
〔解決手段5〕
解決手段5にかかる発明では、落下位置変更手段は、供給経路構成部材の終端部で、粉粒体供給装置の繰り出し機構から送り出された粉粒体を所定方向へ向けて滑落させるように装備された落下案内体によって構成してあり、かつ、その落下案内体の滑落案内方向、又は滑落終端位置を変更可能に構成してあることを特徴とする。
【0016】
〔解決手段5にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、落下位置変更手段を、供給経路構成部材の終端部で、粉粒体供給装置の繰り出し機構から送り出された粉粒体を所定方向へ向けて滑落させるように装備された落下案内体によって構成し、その落下案内体の滑落案内方向、又は滑落終端位置を変更可能に構成したものであるから、落下案内体の向き変更や滑落終端位置を変更するだけの簡単な操作で落下位置の変更が可能となる。
そして、播種作業を行わない苗植付け作業時には、落下案内体が苗植付け箇所から離れる方向、又は離れた位置となるようにしておけば、落下案内体が植付け苗に接触して苗を傷めたり邪魔になるというような事態を回避できる。
【0017】
〔解決手段6〕
解決手段6にかかる発明では、粉粒体供給装置は、繰り出し機構に対する粉粒体の供給量を制限可能な規制プレートを備えていることに特徴がある。
【0018】
〔解決手段6にかかる発明の作用及び効果〕
すなわち、播種作業時の種籾の繰り出し量は、苗植付け作業時の施肥量に比べては格段に少ない量であるため、その両作業形態の何れにも適合するように、繰り出し機構による繰り出し速度の変更によって繰り出し量を変更しようとすれば、繰り出し機構の駆動速度を極端に大きく変更しなければならず、その繰り出し速度を変更するための変速機構が大掛かりなものとなりやすい虞がある。
これに比べて、上記のように繰り出し機構に対する粉粒体の供給量を制限可能な規制プレートを備えて、繰り出し機構からの繰り出し量を制限するようにすれば、繰り出し機構自体の駆動速度を極端に遅くして繰り出し量を低減するような必要がないので、繰り出し機構の駆動速度を大きく変化させるような大掛かりな変速機構を要さず、変速構造の小型化に有効である。
また、繰り出し機構からの繰り出し量を、繰り出し機構の駆動速度を極端に遅くすることによって低減した場合には、通常の繰り出し速度で少量ずつ繰り出しながら播種する場合に比べて、極端に繰り出し速度を遅くした繰り出し機構から繰り出される種籾の落下箇所や落下量が不規則にバラつき易くなって、良好な播種状態を得にくくなる虞がある。しかしながら本発明のものでは、繰り出し機構への供給量を制限することで繰り出し機構の駆動速度を大きく低減する必要なく少量ずつの種籾の排出を良好に行えて、播種位置や播種量が不規則にバラつくような不具合を回避し得る点でも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】乗用型田植機を示す全体側面図である。
【図2】苗植付け装置の一部を示す平面図である。
【図3】苗植付け装置及び施肥装置を示す側面図である。
【図4】施肥装置の背面図である。
【図5】繰り出し機構を示し、駆動軸に平行な方向での上下方向断面図である。
【図6】繰り出し機構を示し、(a)が駆動軸に直交する方向での上下方向断面図、(b)が規制プレートを示す斜視図である。
【図7】落下位置変更手段を示し、(a)が供給経路構成部材への落下案内体の取付状態を示す側面図、(b)が落下案内体を示す斜視図である。
【図8】落下位置変更手段の別の実施形態を示し、(a)が供給経路構成部材への落下案内体の取付状態を示す側面図、(b)が落下案内体の位置変更状態を示す平面視での説明図である。
【図9】落下位置変更手段の別の実施形態を示す説明図である。
【図10】溝形成器を示し、(a)が側面図、(b)が平面図、(c)斜視図である。
【図11】整地フロートに溝形成器を取り付けた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
〔田植機の全体構成〕
図1及び図2は、本発明を適用した田植機の一例である乗用型田植機を示している。
図1には乗用型田植機の全体側面が示されており、この田植機は、走行車体1の後部に、油圧シリンダ2の作動で上下方向に揺動駆動されるリンク機構3を介して、4条植え用の苗植付け装置4を駆動昇降可能に連結してある。
【0021】
走行車体1は、前部フレーム5に搭載したエンジン6からの動力を、ベルトテンション式の主クラッチ7、主変速装置として備えた静油圧式の無段変速装置8、及び、副変速装置としてミッションケース9に内装したギヤ式の変速装置(図示せず)などを介して、左右一対の前輪10及び後輪11に伝達する4輪駆動型に構成されている。
エンジン6などを上方から覆う前部カバー12の上方に、左右の前輪10にステアリング操作系を介して連係されたステアリングホイール13が配備され、ミッションケース9から後方に向けて延設した後部フレーム14の後部上方に運転座席15が装備されている。
【0022】
〔苗植付け装置〕
前記苗植付け装置4は、図1〜3に示すように、伝動軸16などを介して伝達されるミッションケース9に内装した作業伝動系からの作業用動力が、伝動ケース17に内装した動力分配機構18に伝達される。この動力分配機構18からの分配動力で、横送り機構19が、苗載台20を左右向きの摺動案内レール21に沿って左右方向に一定ストロークで往復移動し、左右方向に一定間隔を隔てて並設した4つのクランクアーム式の植付機構22が、一定周期で、摺動案内レール21に形成した苗取出口21aから、苗載台20に載置した苗を所定量ずつ切り出して、整地フロート23で整地した圃場の泥土中に植え付けるように構成されている。そして、苗載台20が左右のストローク端に到達するごとに、縦送り機構24が作動して、苗載台20に載置した苗を摺動案内レール21に向けて一定ピッチで縦送りするように構成されている。
【0023】
図2及び図3に示すように、伝動ケース17は、左側ケース25と右側ケース26とに分割可能な2分割構造に構成されたアルミダイカスト製で、その上部が、リンク機構3の後端下部に固定装備した前後向きの支軸(図示せず)に相対回動可能に支持されている。
【0024】
左側ケース25には、左外方に向けて延出する円筒状の左側伝動ケース部25Aが一体形成されている。右側ケース26には、右外方に向けて延出する円筒状の右側伝動ケース部26Aが一体形成されている。左右の各伝動ケース部25A,26Aには植付機構22に対する出力軸27が内装されている。
【0025】
図1〜5に示すように、左右の各伝動ケース部25A,26Aの延出端には、それぞれ、前後向きの姿勢で装備される植付伝動ケース28の前端部が連結されている。つまり、左右の各伝動ケース部25A,26Aが、対応する植付伝動ケース28を支持する支持部材に兼用され、又、左右一対の植付伝動ケース28が、左右の対応する伝動ケース部25A,26Aに、その延出端から後方に向けて延出する状態で片持ち支持されている。
【0026】
左右の各植付伝動ケース28には、その前端部から苗載台20の上部に向けて延出する支持フレーム29が連結装備されている。支持フレーム29は、苗載台20の左右方向と上下方向への移動を許容しながら、苗載台20の上部を受け止め支持するように構成されている。
【0027】
図示は省略するが、前記伝動軸16などを介してミッションケース9から作業用の駆動力が伝達される動力分配機構18は、その伝達された作業用動力を、植付クラッチなどを介して内部の中継軸に伝達し、この中継軸から、減速ギヤなどを介して横送り機構19と縦送り機構24とに伝動し、かつ、チェーン式の伝動機構や左右一対の各条クラッチなどを介して左右の出力軸27に伝達するように構成されている。
【0028】
図2〜4に示すように、左右の出力軸27に伝達された作業用動力は、一対のベベルギヤ30を介して左右の各植付伝動ケース28に内装した植付伝動軸31に伝達され、左右の各植付伝動軸31から一対のベベルギヤ32を介して、各植付伝動ケース28の後端部に配備した左右向きの植付駆動軸33に伝達される。
【0029】
図1〜3に示すように、各植付機構22は、前端部に植付け爪34と押出具35とを備えた植付ケース36の前後中間部が、植付駆動軸33と一体回転する駆動アーム37の遊端部に備えた支軸38に相対回動可能に支持されている。そして、植付ケース36の後端部が、対応する植付伝動ケース28の後端部に延出形成したアーム部28Aに、連係アーム39などを介して支持されることで、植付駆動軸33の回転に伴って、植付け爪34の先端部で苗取出口21aと圃場の植え付け位置とにわたる所定の植え付け軌跡を描いて揺動駆動されるように構成してある。
これによって、各植付機構22による植付苗の苗載台20からの取り出しと圃場泥土部への植え付けとを良好に行える。
【0030】
〔整地フロート〕
整地フロート23について説明する。図1,3、及び図11に示すように、整地フロート23は、全植付条数分の植付幅に相当する横幅を有しており、横長長方形状のフロート本体部23Aと、フロート本体部23Aの左右中央位置から前方に向けて延出される前方張出し部23Bと、フロート本体部23Aの左右方向二箇所から後方に向けて延出される左右一対の後方張出し部23Cとで構成されている。
前方張出し部23Bは、フロート本体部23Aの前端の左右中央位置から前方に向かって張り出されたものであり、植付制御に使用されるセンサフロートとしての機能を有する。
左右一対の後方張出し部23Cは、それぞれ左右の前輪10及び後輪11の後方側に位置するように設けられていて、前輪10及び後輪11の通過跡を均すように、前輪10及び後輪11のラグ幅よりも幅広に形成されている。
尚、図11における符号23dは、苗植付け作業時に施肥用の作溝器50を装着するための作溝器装着部である。
【0031】
前方張出し部23Bと後方張出し部23Cは、フロート本体部23Aの横幅の3分の1から4分の1の横幅を呈するものである。これらフロート本体部23Aと、前方張出し部23Bと、後方張出し部23Bとは、樹脂板を二枚重ねにして、二枚の樹脂板の間に圧縮空気を吹き込むブロー成形によって一体形成されている。使用される樹脂材としては、ナイロン、ポリエチレン、ABS、PET等のエンジニアリング樹脂が使用される。
【0032】
〔粉粒体供給装置〕
図1〜6に示すように、苗植付け装置4は、その後部上方に粉粒体供給装置40を装備している。
【0033】
粉粒体供給装置40は、左右向きに連結フレーム41、左右方向に所定間隔を隔てて並ぶように連結フレーム41に連結した4つの繰り出しケース42、対応する2つの繰り出しケース42に連通接続した左右一対の粉粒体収容タンク43、対応する繰り出しケース42から前下方に向けて延出した供給経路構成部材Aとしての4つの供給パイプ44、及び、対応する供給パイプ44の延出端に接続した4つの作溝器50、などを備えて構成されている。
前記連結フレーム41を、左右一対の支持アーム51を介して左右の植付伝動ケース28に連結し、苗植付け作業に伴う施肥を行う場合は、各作溝器50を整地フロート23の所定位置に取り付けることで、苗植付け装置4に装備することができる。
【0034】
そして、苗植付け装置4からの作業用動力で、各繰り出しケース42に内装した弾性変形自在なゴム製の繰出ロール45(繰り出し機構に相当する)が駆動されることで、粉粒体収容タンク43に貯留した粉粒状の肥料を所定量(繰り出しロール45の凹部45aに入る量)ずつ繰り出すとともに、各供給パイプ44を介して各作溝器50に落下供給し、それらの作溝器50から、図3に示すように、植付け爪34による各苗植付け箇所a1,a2,a3,a4の近くではあるが、各苗植付け箇所a1,a2,a3,a4に対して横側方に離れている各苗植付け作業用供給位置b1,b2,b3,b4の圃場泥土内に埋没させる。
【0035】
図1、図2に示すように、粉粒体収容タンク43は、施肥用の肥料、もしくは表面に鉄コーティングされた種籾を収容可能なタンク本体43aと、このタンク本体43aとは別に作製してタンク本体43aの下部に着脱自在に連結してある底部分43bとによって構成してある。
図5、図6に示すように、底部分43bは、前記連結フレーム41にボルト連結されており、この底部分43bに対して前記タンク本体43aが着脱自在に外嵌して支持されている。
【0036】
前記底部分43bの上方側は前記タンク本体43aの底に連通し、底部分43bの下方側は繰り出しケース42の上部に連通している。したがって、この底部分43bで繰り出しケース42の内部の繰り出しロール45に対してタンク本体43a側に収容されている粉粒体を案内しながら供給し、繰り出しロール45から粉粒体が所定量ずつ繰り出される。
このとき、底部分43bの底部近くには、繰り出しロール45側への粉粒体供給量を規制する規制プレート46が着脱自在に設けられている。
【0037】
規制プレート46は、図6(a),(b)に示すように、底部分43bの底部近くにビス46aによって固定された状態と、ビス46aを外して規制プレート46自体を取り外した状態とに着脱自在に構成されている。
この規制プレート46には、プレートの一部に種籾通過用の切り欠き部46bが形成してあり、播種作業の際には、前記切り欠き部46bを通過した種籾のみが繰り出しロール45の凹部45aへ供給され、その切り欠き部46b以外の部分では種籾の通過を阻止するように構成されている。
【0038】
粉粒体供給装置40を苗植付け作業に伴う施肥のための装置として用いるときには前記規制プレート46を底部分43bから取り外して使用し、粉粒体供給装置40を播種作業に伴う種籾供給のための装置として用いるときは、前記規制プレート43bを前記底部分43bに装着して用いるものである。
これは、一般的な施肥のための肥料供給量よりも、播種作業の際の種籾の供給量は格段に少ないものであるため、繰り出しロール45への供給量を抑制した方が、繰り出しロール45の駆動速度を極端に低下させることなく粉粒体の供給が可能となるので、繰り出しロール45の駆動速度を適正な状態に維持して播種作業を安定良く行えるようにするための手段として用いられる。
【0039】
図4及び図5に示すように、機体左側の2つの繰り出しケース42において、両繰り出しケース42の繰り出しロール45どうしにわたって取付けた機体横向きの一本の六角軸によって、各繰り出しロール45の駆動軸47を構成してある。
この駆動軸47には、図3及び図4に示すように、左側の一対の植付ケース36に亘って連結した連動部材52から出力ロッド53及び一方向回転クラッチ54を介して植付駆動軸33の動力が伝達されるように構成してある。
【0040】
機体右側の2つの繰り出しケース42においても、両繰り出しケース42の繰り出しロール45どうしにわたって取付けた機体横向きの一本の六角軸によって、各繰り出しロール45の駆動軸47を構成してあり、左側と同様に、一対の植付ケース36に亘って連結した連動部材52から出力ロッド53及び一方向回転クラッチ54を介して植付駆動軸33の動力が伝達されるように構成してある。
【0041】
〔落下位置変更手段〕
供給経路構成部材Aの終端部に設けられた落下位置変更手段Bは次のように構成されている。
【0042】
図7(a)に示すように、播種作業を行う際には、作溝器50を取り外して、供給経路構成部材Aとしての供給パイプ44の下端部に、合成樹脂製の落下案内体55を着脱自在に装備できるようにしてある。
この落下案内体55は、図7(a),(b)に示すように、上部側に供給パイプ44に対する抱き付き用の弾性係合部56を有し、その下端側が、供給パイプ44の下端から落下する粉粒体を斜め下方に向けて滑落させるように案内する案内作用部57に形成されている。
このように落下案内体55を装着した状態では、前記供給パイプ44と落下案内体55との両者で供給経路構成部材Aが構成されるものであり、落下案内体55の下端が供給経路構成部材Aの終端位置となる。そして、落下案内体55を取り外した苗植付け作業時には、前記供給パイプ44と作溝器50とで供給経路構成部材Aが構成されるものである。
【0043】
上記の落下案内体55は、この落下案内体55によって案内される播種作業時の粉粒体、すなわち種籾の落下予定箇所が、図2に示すように植付け爪34の通過跡に相当する播種作業用供給位置cとなるように、前記案内作用部57による粉粒体の滑落方向を定めるためのものである。
つまり、播種作業時には、図2に示すように、平面視で植付け爪34によって苗が圃場に植付けられる位置である苗植付け箇所aの横側方に離れた苗植付け作業用供給位置bに肥料が供給される場合よりも、前記苗植付け箇所aと同位置である植付け爪34の通過跡で植付け爪3の泥中への突入箇所よりも後方に向けて粉粒体が落下するように、前記落下案内体55を供給パイプ44に装着することによって、前記粉粒体の落下予定箇所を前記苗植付け箇所aに近付けるように滑落させて播種作業用供給位置cとして構成したものである。
【0044】
図2に示す構造で説明すると、苗植付け作業時に肥料が供給される各苗植付け作業用供給位置b1,b2,b3,b4に対して粉粒体を供給している状態から、播種作業時には、例えば、最も左横外側位置の苗植付け作業用供給位置b1に向けて供給される粉粒体(種籾)を、最も左横外側方箇所の苗植付け箇所a1と同一左右方向箇所である、最左横外側箇所の播種作業用供給位置cに対して落下供給するように、落下案内体55から落下方向が少し右側の機体内方側へ向けて装着する。
また、前記左横外側位置の苗植付け作業用供給位置b1よりも機体内方側の苗植付け作業用供給位置b2に向けて供給される粉粒体(種籾)を、最も左横外側方箇所の苗植付け箇所a1よりも機体内方側のと苗植付け箇所a2と同一左右方向箇所である播種作業用供給位置cに対して落下供給するように、落下案内体55からの落下方向が少し左外向きであるように装着する。
同様にして、前記機体内方側の苗植付け作業用供給位置b2よりも右横側方に位置する苗植付け作業用供給位置b2に向けて供給される粉粒体(種籾)を、これよりも右横側方の苗植付け箇所a3と同一左右方向箇所である播種作業用供給位置cに対して落下供給するように、落下案内体55からの落下方向が少し右外向きであるように装着する。
さらに、最も右横外側位置の苗植付け作業用供給位置b4に向けて供給される粉粒体(種籾)を、最も右横外側方箇所の苗植付け箇所a4と同一左右方向箇所である、最右横外側箇所の播種作業用供給位置cに対して落下供給するように、落下案内体55から落下方向が少し左側の機体内方側へ向けて装着する。
【0045】
そして、苗植付け作業時には、前記落下案内体55を供給パイプ44から取り外し、作溝器50を取り付けることにより、供給パイプ44の下端から直接的に粉粒体、すなわち肥料が落下するように構成してあり、その供給パイプ44の下端から直接的に落下する肥料は、前記各苗植付け箇所a1,a2,a3,a4の、それぞれの横側方に離れた各苗植付け作業用供給位置b1,b2,b3,b4に落下するように、前記供給パイプ44の下端位置を設定してある。
【0046】
尚、播種作業時には整地フロート23に装着してある施肥用の作溝器50を取り外して播種作業を行う。これは、播種作業時に作溝器50が存在すること自体が問題になる訳ではないが、この作溝器50が存在すると、圃場に無用な凹溝が形成されてしまうことを回避するためである。
つまり、無用な凹溝が存在すると、水抜き後にもそこに雑草が繁茂し易くなったり、ジャンボタニシ(通称;正しくはスクミリンゴガイ)などが苗根の近くに位置して苗根を食べてしまうような弊害が生じやすくなるためである。
【0047】
〔溝形成器〕
図10及び図11は、整地フロート23の下面側に装着して、施肥用の作溝器50によって形成される溝よりも、深くて幅の広い大きな溝を形成するための溝切り用の溝形成器60を示している。この溝成型器60は、前記の大きな溝が後輪11の通過跡に形成されるように、後輪11との位置関係を加味して整地フロート23の所定箇所に対して装着されるように構成してある。
【0048】
上記の溝成型器60によって形成される溝は、具体的には、深さが8cmくらい、溝上部の左右方向幅が10〜12cmくらいの大きさであり、苗植付け作業が終わってから水田の水抜きを行っても、その溝内だけに水が貯留された状態とするためのものである。つまり、苗植付け直後の柔らかい苗はジャンボタニシに食べられてしまう虞があるため、苗植え直後には水田の水張りをゼロにして、水田に生息していたジャンボタニシを前記溝成型器60で形成された大きな溝内に移動させるためのものである。
そして、10日程度経って苗の茎部が十分に硬くなってから、再び水田に水張りを行うと、その後に水田で生えてくる雑草は苗茎よりも柔らかいので、その雑草をジャンボタニシが好んで食べるという性質を、除草のために利用することができて、薬剤を用いずに徐草することができる可能性がある。
尚、上記の溝幅は、あまり大きいと鴨などの野鳥が飛来する可能性が増すので、上記の程度からあまり大きくならないのが望ましい。
【0049】
前記溝成型器60は、薄肉の板金製材料で形成してある。図10(a)及び図11に示すように、整地フロート23の下面側に当てつけられるように、整地フロート23の下面形状に沿って形成された取付用の上板61を備え、その上板61の下側に溝形成部62を一体に備えている。その溝形成部62は、前方側が船の舳先のように先鋭な部分が下方側ほど後方側に位置し、かつ後方側ほど左右方向に広がりながら後方に延長されていて、この溝形成部62で形成される溝の断面が上部が幅広で底部が幅狭の逆台形状となるように形成されている。
前記上板61の前端部には、整地フロート23の前端縁部に係止するための前係止部61aを形成してあり、前記上板61の後端部には、前記前係止部61aとの間で整地フロート23を弾性的に挟み込むようにして整地フロート23の後方張り出し部23Cの後端縁部に係止される後係止部61bを備えている。
【0050】
したがって、この溝成型器60を整地フロート23に装着する際には、まず整地フロート23の前端縁部に前記上板61の前係止部61aを係止させ、その後に、後輪11の通過跡に対応する左右方向位置に形成されている整地フロート23の後方張り出し部23Cに対して、その後端縁部に係合する後係止部61bを弾性的に変形させながら係止させて整地フロート23への装着を完了する。
整地フロート23から溝成型器60を取り外す際には、上記の手順の逆順で操作することにより、溝成型器60を取り外すことができる。
【0051】
〔別実施形態の1〕
落下位置変更手段Bとしては、前述した実施形態に示したような、供給パイプ44の下端部に、滑落用案内面を板状に形成した落下案内体55を着脱できるように構成したものに限らず、次のように構成してもよい。
すなわち、図8(a),(b)に示すように、供給パイプ44の下端部に、その供給パイプ44に対して同心状に筒状の落下案内体55を外嵌させることによっても落下位置変更手段Bを構成することができる。
この構造のものでは、前記筒状の落下案内体55の下端側を前記供給パイプ44に嵌合させた部位の筒軸心p周りで旋回させて位置変更することによっても、落下位置変更手段Bを構成することができる。この場合、苗植付け作業用供給位置bに落下案内体55の下端側を位置させた状態では、落下案内体55を作溝器50に挿入して作溝器50による溝跡に肥料を供給し、作溝器50を取り外した状態で、落下案内体55の下端側を前記苗植付け箇所aと同位置である植付け爪34の通過跡で植付け爪3の泥中への突入箇所よりも後方に向けて粉粒体が落下するように、前記落下案内体55を供給パイプ44に装着することによって、播種作業用供給位置cが苗植付け箇所aと同じ機体左右方向位置に存在するように落下位置を設定してある。
【0052】
〔別実施形態の2〕
図9に示すように、供給パイプ44の下端部を、機体進行方向に対する左右方向で下側ほど苗植付け箇所a側に近接するように斜め姿勢に配設して、その供給パイプ44に対して同心状に筒状の落下案内体55を外嵌させ、かつ、その筒状の落下案内体55を、供給パイプ44に対してスライド調節可能に構成することによっても落下位置変更手段Bを構成することができる。
このような構造であれば、同図中で仮想線で示すように落下案内体55の全体が供給パイプ44に外嵌して供給パイプ44の下端よりも下方へ延出されない状態で、苗植付け作業用の粉粒体供給を行うことができ、実線で示すように落下案内体55の下端側が供給パイプ44の下端よりも下方へ延出された状態で、播種作業用の粉粒体供給を行うことができる。
【0053】
〔別実施形態の3〕
落下位置変更手段Bとしては、その他にも種々の構造のものを採用することは可能であり、例えば、図示しないが、筒状の落下案内体55を着脱するように構成してもよい。
また、板状の落下案内体55を、供給パイプ44に対してその筒軸心方向にスライド移動可能に調節できるようにしたり、供給パイプ44の筒軸心に交差する方向の横軸芯周りで折り畳み可能な構造として、落下案内体55の下端位置を変更できるようにしてもよい。
さらには、板状あるいは筒状の落下案内体55の滑落案内面の傾斜角度を、水平面に対して変更できるようにして、水平面に対する滑落方向を変更することによって、落下位置を変更できるようにしてもよい。
要は、供給パイプ44から落下放出される粉粒体の圃場への落下供給位置を、前述したような苗植付け作業用供給位置bと播種作業用供給位置c、あるいはその近く位置に向けて変更調節可能な構造であればよい。
【0054】
〔別実施形態の4〕
粉粒体供給装置40における繰り出し機構である繰り出しロール45側への粉粒体の供給量を抑制するための規制プレート46は、実施の形態で示したような着脱自在な構造のものに限らず、例えば、規制プレート46自体の取り付け姿勢を変更するなどによって、繰り出しロール45側への供給量を変更可能であるように構成したものであってもよい。
【0055】
〔別実施形態の5〕
溝成型器60は、実施の形態で示したような金属製の板材で構成されたものに限らず、比較的硬質な合成樹脂製のものなど、適宜の素材を用いて構成してもよい。また、整地フロート23に対する取り付け方も、金属板の弾性変形を利用した構造に限らず、任意の取り付け方法を採用すればよい。
尚、溝成型器60の取付位置は、田植機の後輪11又は前輪10の通過跡に溝を形成できるような位置であるのが望ましいが、必ずしもその位置に限定されるものではなく、適宜に取付位置を設定してもよい。
【0056】
〔別実施形態の6〕
上記実施形態では、単一の整地フロート23で植付条の全条に亘る範囲を整地するように構成された形態を記載したが、これに限らず、複数個の整地フロート23の組み合わせによって全植え付け条に亘る範囲を整地するようにしてもよく、この場合には、前記溝成型器60は車輪跡を整地する位置の整地フロート23に装着して用いればよい。
【0057】
〔別実施形態の7〕
本発明の粉粒体供給装置40で播種用の種籾を用いるにあたっては、実施の形態で示したような鉄コーティングされた種籾に限らず、何らのコーティングもなされていない通常の種籾を用いることも可能である。
鉄コーティングされた種籾を用いた場合は、その質量が比較的大きくなって泥中に埋没し易くなることに加え、表面の錆によって種籾表面の色が茶褐色となるので、泥との見分けがつきにくくなり、鴨や野鳥が種籾をついばむ可能性を低くできる点で有利である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本願発明は、走行機体の後方側に備えた苗植付け装置4に粉粒体供給装置40を装備させたリヤマウントタイプの田植機に適用した例を示したが、これに限らず、粉粒体供給装置40を走行機体上に搭載したミッドマウントタイプの田植機にも適用することができる。
水田ではなく乾田で播種作業を行う際にも本発明の田植機を使用しての播種作業を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0059】
4 苗植付け装置
34 植付け爪
40 粉粒体供給装置
44 供給パイプ
45 繰り出しロール(繰り出し機構)
46 規制プレート
50 作溝器
55 落下案内体
A 供給経路構成部材
B 落下位置変更手段
a 苗植付け箇所
b 苗植付け作業用供給位置
c 播種作業用供給位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、植付け爪を備えた苗植付け装置と、粉粒体を所定量ずつ送り出す繰り出し機構を備えて前記苗植付け装置による苗植付け箇所の近くに粉粒体を供給可能な粉粒体供給装置とを備えた田植機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように、植付け爪を備えた苗植付け装置と、粉粒体を所定量ずつ送り出す繰り出し機構を備えて前記苗植付け装置による苗植付け箇所の近くに粉粒体を供給可能な粉粒体供給装置とを備えた田植機としては、従来より下記[1]に記載のものが知られている。
[1] 施肥用の作溝器と播種用の作溝器との両方を備えるとともに、それぞれの作溝器に対して繰り出し機構からの供給用ホースを接続して、施肥用の案内経路と播種用の案内経路とを構成し、繰り出し機構側での経路切り換えにより、施肥用の案内経路と播種用の案内経路とのうちの何れか一方選択して、肥料もしくは種籾のいずれか一方を択一的に供給できるように構成したもの(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−331913号公報(段落番号「0013」、「0015」、図2,4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記[1]に記載の従来技術のように、予め施肥用の作溝器と播種用の作溝器との両方を備え、施肥用の案内経路と播種用の案内経路とのうちの何れか一方選択して、肥料もしくは種籾のいずれか一方を択一的にいずれかの作溝器に供給できるように構成したものでは、苗植付け装置を取り外す必要なく施肥装置を播種装置としても兼用使用できるので、苗植付け装置と専用の播種装置とを付け替えて、苗植付け作業もしくは播種作業を行えるようにする構造のものに比べて、装置の着脱の手数を要さず、便利に切り換え使用できる点で有用なものである。
しかしながら、この構造のものでは、予め施肥用の作溝器と播種用の作溝器との両方を備えるとともに、それらの各作溝器に対する供給用ホースや、繰り出し機構での切り換え手段を備える必要がある。このため、それらの作溝器や案内経路などの多くの部品の増加に伴って苗植付け装置全体の構造が複雑になるとともに、全体の重量増加、ならびに僅かではあるが両作溝器を併用することによる走行抵抗の増加などを招く虞がある。
【0005】
本発明の目的は、苗植付け装置を取り外すことなく施肥装置を播種装置としても兼用使用できるようにするにあたり、施肥装置として必要不可欠な粉粒体の案内経路を、播種装置としての粉粒体の案内経路にも有効利用できるようにして、播種装置関連の構成を極力簡素化し、全体構造の簡素化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明による田植機では、下記の技術手段を講じたものである。
〔解決手段1〕
本発明は、植付け爪を備えた苗植付け装置と、粉粒体を所定量ずつ送り出す繰り出し機構を備えて前記植付け爪による苗植付け箇所の近くに粉粒体を供給可能な粉粒体供給装置とを備えた田植機であって、前記粉粒体供給装置に前記繰り出し機構から繰り出された粉粒体を落下予定箇所の近くに導く供給経路構成部材を装着し、この供給経路構成部材の終端位置を、機体進行方向に対して交差する左右方向で位置変更可能な落下位置変更手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、繰り出し機構から繰り出された粉粒体の落下位置を、粉粒体を落下予定箇所の近くに導く供給経路構成部材の終端位置を変更可能な落下位置変更手段によって変更可能に構成したことにより、粉粒体供給装置の繰り出し機構から繰り出された粉粒体を落下予定箇所の近くに導く供給経路構成部材の終端位置を、機体進行方向に対して交差する左右方向で変更することができる。
【0008】
したがって本発明では、粉粒体の落下供給箇所を機体進行方向に対して交差する左右方向で変更することにより、苗植付け作業時に、植付けられた苗列から所定距離だけ離れた横側方位置に施肥を行ったり、播種作業時に、播種対象とすべき位置を所定間隔で設定するなどの位置変更が可能となる。これにより、予め専用の複数の供給経路構成部材を設けておく必要が無く、このような複数の供給経路構成部材を設けたり、経路の切り換え操作機構を設けたりするような、装置の大型化、複雑化を免れ得る利点がある。
【0009】
〔解決手段2〕
解決手段2にかかる発明では、落下位置変更手段は、供給経路構成部材の終端位置から供給される粉粒体の落下箇所が、苗植付け装置の植付け爪による苗植付け箇所の横側方である苗植付け作業用供給位置と、前記植付け爪の通過跡に向けて粉粒体を落下供給する播種作業用供給位置とに切り換え可能であるように、供給経路構成部材の終端位置を変更可能に構成してあることを特徴とする。
【0010】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、粉粒体の落下位置の変更を、落下位置変更手段による粉粒体落下位置の変更操作で行うことができるので、装置の大型化、複雑化を免れる点での有利さを備える他、次の点でより一層便利に用いることができる。
つまり、播種作業を行う際における粉粒体である種籾の落下位置が、植付け爪の通過跡に向けて粉粒体を落下供給する播種作業用供給位置であるから、圃場に形成される植付け爪の通過跡を種籾の移動を抑制する播種用溝として有効利用することができ、播種後の種籾の生育を所期位置に安定良く維持して行わせ易いという利点がある。
【0011】
〔解決手段3〕
解決手段3にかかる発明では、落下位置変更手段は、供給経路構成部材の終端部で、粉粒体供給装置の繰り出し機構から送り出された粉粒体を所定方向へ向けて滑落させるように装備された落下案内体によって構成してあり、かつ、この落下案内体は前記供給経路構成部材の終端部に対して着脱自在に構成してあることを特徴とする。
【0012】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、供給経路構成部材の終端部では、粉粒体供給装置の繰り出し機構から送り出された粉粒体を所定方向へ向けて滑落させるように装備された落下案内体によって落下位置変更手段を構成している。そして、その落下案内体を供給経路構成部材の終端部に対して着脱自在に構成している。
したがって、落下位置を変更するための部材としては落下案内体を用いるだけの簡単な構造で済み、また、落下位置の変更操作は、落下案内体の着脱操作を行うだけの簡単な操作でを行なうことができる利点がある。
【0013】
〔解決手段4〕
解決手段4にかかる発明では、落下位置変更手段は、落下案内体が供給経路構成部材の終端部に装備された状態で粉粒体を播種作業用供給位置へ落下させるように案内し、落下案内体が供給経路構成部材の終端部から取り外された状態で粉粒体を苗植付け作業用供給位置へ落下させるように構成してあることを特徴とする。
【0014】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
落下案内体は播種作業のときにだけ用いるものであり、苗植付け作業の際には取り外しているものであるから、苗植付け作業時に、落下案内体が植付け苗に接触して苗を傷めたり邪魔になることがない。そして、播種作業時には、苗植付け作業時であれば植付けられた苗と接触するほどに落下案内体の終端位置を苗植付け箇所に近づけることができるので、種籾の落下位置を、植付け爪の通過跡などの播種作業用供給位置へ確実に供給し易いものである。
【0015】
〔解決手段5〕
解決手段5にかかる発明では、落下位置変更手段は、供給経路構成部材の終端部で、粉粒体供給装置の繰り出し機構から送り出された粉粒体を所定方向へ向けて滑落させるように装備された落下案内体によって構成してあり、かつ、その落下案内体の滑落案内方向、又は滑落終端位置を変更可能に構成してあることを特徴とする。
【0016】
〔解決手段5にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、落下位置変更手段を、供給経路構成部材の終端部で、粉粒体供給装置の繰り出し機構から送り出された粉粒体を所定方向へ向けて滑落させるように装備された落下案内体によって構成し、その落下案内体の滑落案内方向、又は滑落終端位置を変更可能に構成したものであるから、落下案内体の向き変更や滑落終端位置を変更するだけの簡単な操作で落下位置の変更が可能となる。
そして、播種作業を行わない苗植付け作業時には、落下案内体が苗植付け箇所から離れる方向、又は離れた位置となるようにしておけば、落下案内体が植付け苗に接触して苗を傷めたり邪魔になるというような事態を回避できる。
【0017】
〔解決手段6〕
解決手段6にかかる発明では、粉粒体供給装置は、繰り出し機構に対する粉粒体の供給量を制限可能な規制プレートを備えていることに特徴がある。
【0018】
〔解決手段6にかかる発明の作用及び効果〕
すなわち、播種作業時の種籾の繰り出し量は、苗植付け作業時の施肥量に比べては格段に少ない量であるため、その両作業形態の何れにも適合するように、繰り出し機構による繰り出し速度の変更によって繰り出し量を変更しようとすれば、繰り出し機構の駆動速度を極端に大きく変更しなければならず、その繰り出し速度を変更するための変速機構が大掛かりなものとなりやすい虞がある。
これに比べて、上記のように繰り出し機構に対する粉粒体の供給量を制限可能な規制プレートを備えて、繰り出し機構からの繰り出し量を制限するようにすれば、繰り出し機構自体の駆動速度を極端に遅くして繰り出し量を低減するような必要がないので、繰り出し機構の駆動速度を大きく変化させるような大掛かりな変速機構を要さず、変速構造の小型化に有効である。
また、繰り出し機構からの繰り出し量を、繰り出し機構の駆動速度を極端に遅くすることによって低減した場合には、通常の繰り出し速度で少量ずつ繰り出しながら播種する場合に比べて、極端に繰り出し速度を遅くした繰り出し機構から繰り出される種籾の落下箇所や落下量が不規則にバラつき易くなって、良好な播種状態を得にくくなる虞がある。しかしながら本発明のものでは、繰り出し機構への供給量を制限することで繰り出し機構の駆動速度を大きく低減する必要なく少量ずつの種籾の排出を良好に行えて、播種位置や播種量が不規則にバラつくような不具合を回避し得る点でも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】乗用型田植機を示す全体側面図である。
【図2】苗植付け装置の一部を示す平面図である。
【図3】苗植付け装置及び施肥装置を示す側面図である。
【図4】施肥装置の背面図である。
【図5】繰り出し機構を示し、駆動軸に平行な方向での上下方向断面図である。
【図6】繰り出し機構を示し、(a)が駆動軸に直交する方向での上下方向断面図、(b)が規制プレートを示す斜視図である。
【図7】落下位置変更手段を示し、(a)が供給経路構成部材への落下案内体の取付状態を示す側面図、(b)が落下案内体を示す斜視図である。
【図8】落下位置変更手段の別の実施形態を示し、(a)が供給経路構成部材への落下案内体の取付状態を示す側面図、(b)が落下案内体の位置変更状態を示す平面視での説明図である。
【図9】落下位置変更手段の別の実施形態を示す説明図である。
【図10】溝形成器を示し、(a)が側面図、(b)が平面図、(c)斜視図である。
【図11】整地フロートに溝形成器を取り付けた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
〔田植機の全体構成〕
図1及び図2は、本発明を適用した田植機の一例である乗用型田植機を示している。
図1には乗用型田植機の全体側面が示されており、この田植機は、走行車体1の後部に、油圧シリンダ2の作動で上下方向に揺動駆動されるリンク機構3を介して、4条植え用の苗植付け装置4を駆動昇降可能に連結してある。
【0021】
走行車体1は、前部フレーム5に搭載したエンジン6からの動力を、ベルトテンション式の主クラッチ7、主変速装置として備えた静油圧式の無段変速装置8、及び、副変速装置としてミッションケース9に内装したギヤ式の変速装置(図示せず)などを介して、左右一対の前輪10及び後輪11に伝達する4輪駆動型に構成されている。
エンジン6などを上方から覆う前部カバー12の上方に、左右の前輪10にステアリング操作系を介して連係されたステアリングホイール13が配備され、ミッションケース9から後方に向けて延設した後部フレーム14の後部上方に運転座席15が装備されている。
【0022】
〔苗植付け装置〕
前記苗植付け装置4は、図1〜3に示すように、伝動軸16などを介して伝達されるミッションケース9に内装した作業伝動系からの作業用動力が、伝動ケース17に内装した動力分配機構18に伝達される。この動力分配機構18からの分配動力で、横送り機構19が、苗載台20を左右向きの摺動案内レール21に沿って左右方向に一定ストロークで往復移動し、左右方向に一定間隔を隔てて並設した4つのクランクアーム式の植付機構22が、一定周期で、摺動案内レール21に形成した苗取出口21aから、苗載台20に載置した苗を所定量ずつ切り出して、整地フロート23で整地した圃場の泥土中に植え付けるように構成されている。そして、苗載台20が左右のストローク端に到達するごとに、縦送り機構24が作動して、苗載台20に載置した苗を摺動案内レール21に向けて一定ピッチで縦送りするように構成されている。
【0023】
図2及び図3に示すように、伝動ケース17は、左側ケース25と右側ケース26とに分割可能な2分割構造に構成されたアルミダイカスト製で、その上部が、リンク機構3の後端下部に固定装備した前後向きの支軸(図示せず)に相対回動可能に支持されている。
【0024】
左側ケース25には、左外方に向けて延出する円筒状の左側伝動ケース部25Aが一体形成されている。右側ケース26には、右外方に向けて延出する円筒状の右側伝動ケース部26Aが一体形成されている。左右の各伝動ケース部25A,26Aには植付機構22に対する出力軸27が内装されている。
【0025】
図1〜5に示すように、左右の各伝動ケース部25A,26Aの延出端には、それぞれ、前後向きの姿勢で装備される植付伝動ケース28の前端部が連結されている。つまり、左右の各伝動ケース部25A,26Aが、対応する植付伝動ケース28を支持する支持部材に兼用され、又、左右一対の植付伝動ケース28が、左右の対応する伝動ケース部25A,26Aに、その延出端から後方に向けて延出する状態で片持ち支持されている。
【0026】
左右の各植付伝動ケース28には、その前端部から苗載台20の上部に向けて延出する支持フレーム29が連結装備されている。支持フレーム29は、苗載台20の左右方向と上下方向への移動を許容しながら、苗載台20の上部を受け止め支持するように構成されている。
【0027】
図示は省略するが、前記伝動軸16などを介してミッションケース9から作業用の駆動力が伝達される動力分配機構18は、その伝達された作業用動力を、植付クラッチなどを介して内部の中継軸に伝達し、この中継軸から、減速ギヤなどを介して横送り機構19と縦送り機構24とに伝動し、かつ、チェーン式の伝動機構や左右一対の各条クラッチなどを介して左右の出力軸27に伝達するように構成されている。
【0028】
図2〜4に示すように、左右の出力軸27に伝達された作業用動力は、一対のベベルギヤ30を介して左右の各植付伝動ケース28に内装した植付伝動軸31に伝達され、左右の各植付伝動軸31から一対のベベルギヤ32を介して、各植付伝動ケース28の後端部に配備した左右向きの植付駆動軸33に伝達される。
【0029】
図1〜3に示すように、各植付機構22は、前端部に植付け爪34と押出具35とを備えた植付ケース36の前後中間部が、植付駆動軸33と一体回転する駆動アーム37の遊端部に備えた支軸38に相対回動可能に支持されている。そして、植付ケース36の後端部が、対応する植付伝動ケース28の後端部に延出形成したアーム部28Aに、連係アーム39などを介して支持されることで、植付駆動軸33の回転に伴って、植付け爪34の先端部で苗取出口21aと圃場の植え付け位置とにわたる所定の植え付け軌跡を描いて揺動駆動されるように構成してある。
これによって、各植付機構22による植付苗の苗載台20からの取り出しと圃場泥土部への植え付けとを良好に行える。
【0030】
〔整地フロート〕
整地フロート23について説明する。図1,3、及び図11に示すように、整地フロート23は、全植付条数分の植付幅に相当する横幅を有しており、横長長方形状のフロート本体部23Aと、フロート本体部23Aの左右中央位置から前方に向けて延出される前方張出し部23Bと、フロート本体部23Aの左右方向二箇所から後方に向けて延出される左右一対の後方張出し部23Cとで構成されている。
前方張出し部23Bは、フロート本体部23Aの前端の左右中央位置から前方に向かって張り出されたものであり、植付制御に使用されるセンサフロートとしての機能を有する。
左右一対の後方張出し部23Cは、それぞれ左右の前輪10及び後輪11の後方側に位置するように設けられていて、前輪10及び後輪11の通過跡を均すように、前輪10及び後輪11のラグ幅よりも幅広に形成されている。
尚、図11における符号23dは、苗植付け作業時に施肥用の作溝器50を装着するための作溝器装着部である。
【0031】
前方張出し部23Bと後方張出し部23Cは、フロート本体部23Aの横幅の3分の1から4分の1の横幅を呈するものである。これらフロート本体部23Aと、前方張出し部23Bと、後方張出し部23Bとは、樹脂板を二枚重ねにして、二枚の樹脂板の間に圧縮空気を吹き込むブロー成形によって一体形成されている。使用される樹脂材としては、ナイロン、ポリエチレン、ABS、PET等のエンジニアリング樹脂が使用される。
【0032】
〔粉粒体供給装置〕
図1〜6に示すように、苗植付け装置4は、その後部上方に粉粒体供給装置40を装備している。
【0033】
粉粒体供給装置40は、左右向きに連結フレーム41、左右方向に所定間隔を隔てて並ぶように連結フレーム41に連結した4つの繰り出しケース42、対応する2つの繰り出しケース42に連通接続した左右一対の粉粒体収容タンク43、対応する繰り出しケース42から前下方に向けて延出した供給経路構成部材Aとしての4つの供給パイプ44、及び、対応する供給パイプ44の延出端に接続した4つの作溝器50、などを備えて構成されている。
前記連結フレーム41を、左右一対の支持アーム51を介して左右の植付伝動ケース28に連結し、苗植付け作業に伴う施肥を行う場合は、各作溝器50を整地フロート23の所定位置に取り付けることで、苗植付け装置4に装備することができる。
【0034】
そして、苗植付け装置4からの作業用動力で、各繰り出しケース42に内装した弾性変形自在なゴム製の繰出ロール45(繰り出し機構に相当する)が駆動されることで、粉粒体収容タンク43に貯留した粉粒状の肥料を所定量(繰り出しロール45の凹部45aに入る量)ずつ繰り出すとともに、各供給パイプ44を介して各作溝器50に落下供給し、それらの作溝器50から、図3に示すように、植付け爪34による各苗植付け箇所a1,a2,a3,a4の近くではあるが、各苗植付け箇所a1,a2,a3,a4に対して横側方に離れている各苗植付け作業用供給位置b1,b2,b3,b4の圃場泥土内に埋没させる。
【0035】
図1、図2に示すように、粉粒体収容タンク43は、施肥用の肥料、もしくは表面に鉄コーティングされた種籾を収容可能なタンク本体43aと、このタンク本体43aとは別に作製してタンク本体43aの下部に着脱自在に連結してある底部分43bとによって構成してある。
図5、図6に示すように、底部分43bは、前記連結フレーム41にボルト連結されており、この底部分43bに対して前記タンク本体43aが着脱自在に外嵌して支持されている。
【0036】
前記底部分43bの上方側は前記タンク本体43aの底に連通し、底部分43bの下方側は繰り出しケース42の上部に連通している。したがって、この底部分43bで繰り出しケース42の内部の繰り出しロール45に対してタンク本体43a側に収容されている粉粒体を案内しながら供給し、繰り出しロール45から粉粒体が所定量ずつ繰り出される。
このとき、底部分43bの底部近くには、繰り出しロール45側への粉粒体供給量を規制する規制プレート46が着脱自在に設けられている。
【0037】
規制プレート46は、図6(a),(b)に示すように、底部分43bの底部近くにビス46aによって固定された状態と、ビス46aを外して規制プレート46自体を取り外した状態とに着脱自在に構成されている。
この規制プレート46には、プレートの一部に種籾通過用の切り欠き部46bが形成してあり、播種作業の際には、前記切り欠き部46bを通過した種籾のみが繰り出しロール45の凹部45aへ供給され、その切り欠き部46b以外の部分では種籾の通過を阻止するように構成されている。
【0038】
粉粒体供給装置40を苗植付け作業に伴う施肥のための装置として用いるときには前記規制プレート46を底部分43bから取り外して使用し、粉粒体供給装置40を播種作業に伴う種籾供給のための装置として用いるときは、前記規制プレート43bを前記底部分43bに装着して用いるものである。
これは、一般的な施肥のための肥料供給量よりも、播種作業の際の種籾の供給量は格段に少ないものであるため、繰り出しロール45への供給量を抑制した方が、繰り出しロール45の駆動速度を極端に低下させることなく粉粒体の供給が可能となるので、繰り出しロール45の駆動速度を適正な状態に維持して播種作業を安定良く行えるようにするための手段として用いられる。
【0039】
図4及び図5に示すように、機体左側の2つの繰り出しケース42において、両繰り出しケース42の繰り出しロール45どうしにわたって取付けた機体横向きの一本の六角軸によって、各繰り出しロール45の駆動軸47を構成してある。
この駆動軸47には、図3及び図4に示すように、左側の一対の植付ケース36に亘って連結した連動部材52から出力ロッド53及び一方向回転クラッチ54を介して植付駆動軸33の動力が伝達されるように構成してある。
【0040】
機体右側の2つの繰り出しケース42においても、両繰り出しケース42の繰り出しロール45どうしにわたって取付けた機体横向きの一本の六角軸によって、各繰り出しロール45の駆動軸47を構成してあり、左側と同様に、一対の植付ケース36に亘って連結した連動部材52から出力ロッド53及び一方向回転クラッチ54を介して植付駆動軸33の動力が伝達されるように構成してある。
【0041】
〔落下位置変更手段〕
供給経路構成部材Aの終端部に設けられた落下位置変更手段Bは次のように構成されている。
【0042】
図7(a)に示すように、播種作業を行う際には、作溝器50を取り外して、供給経路構成部材Aとしての供給パイプ44の下端部に、合成樹脂製の落下案内体55を着脱自在に装備できるようにしてある。
この落下案内体55は、図7(a),(b)に示すように、上部側に供給パイプ44に対する抱き付き用の弾性係合部56を有し、その下端側が、供給パイプ44の下端から落下する粉粒体を斜め下方に向けて滑落させるように案内する案内作用部57に形成されている。
このように落下案内体55を装着した状態では、前記供給パイプ44と落下案内体55との両者で供給経路構成部材Aが構成されるものであり、落下案内体55の下端が供給経路構成部材Aの終端位置となる。そして、落下案内体55を取り外した苗植付け作業時には、前記供給パイプ44と作溝器50とで供給経路構成部材Aが構成されるものである。
【0043】
上記の落下案内体55は、この落下案内体55によって案内される播種作業時の粉粒体、すなわち種籾の落下予定箇所が、図2に示すように植付け爪34の通過跡に相当する播種作業用供給位置cとなるように、前記案内作用部57による粉粒体の滑落方向を定めるためのものである。
つまり、播種作業時には、図2に示すように、平面視で植付け爪34によって苗が圃場に植付けられる位置である苗植付け箇所aの横側方に離れた苗植付け作業用供給位置bに肥料が供給される場合よりも、前記苗植付け箇所aと同位置である植付け爪34の通過跡で植付け爪3の泥中への突入箇所よりも後方に向けて粉粒体が落下するように、前記落下案内体55を供給パイプ44に装着することによって、前記粉粒体の落下予定箇所を前記苗植付け箇所aに近付けるように滑落させて播種作業用供給位置cとして構成したものである。
【0044】
図2に示す構造で説明すると、苗植付け作業時に肥料が供給される各苗植付け作業用供給位置b1,b2,b3,b4に対して粉粒体を供給している状態から、播種作業時には、例えば、最も左横外側位置の苗植付け作業用供給位置b1に向けて供給される粉粒体(種籾)を、最も左横外側方箇所の苗植付け箇所a1と同一左右方向箇所である、最左横外側箇所の播種作業用供給位置cに対して落下供給するように、落下案内体55から落下方向が少し右側の機体内方側へ向けて装着する。
また、前記左横外側位置の苗植付け作業用供給位置b1よりも機体内方側の苗植付け作業用供給位置b2に向けて供給される粉粒体(種籾)を、最も左横外側方箇所の苗植付け箇所a1よりも機体内方側のと苗植付け箇所a2と同一左右方向箇所である播種作業用供給位置cに対して落下供給するように、落下案内体55からの落下方向が少し左外向きであるように装着する。
同様にして、前記機体内方側の苗植付け作業用供給位置b2よりも右横側方に位置する苗植付け作業用供給位置b2に向けて供給される粉粒体(種籾)を、これよりも右横側方の苗植付け箇所a3と同一左右方向箇所である播種作業用供給位置cに対して落下供給するように、落下案内体55からの落下方向が少し右外向きであるように装着する。
さらに、最も右横外側位置の苗植付け作業用供給位置b4に向けて供給される粉粒体(種籾)を、最も右横外側方箇所の苗植付け箇所a4と同一左右方向箇所である、最右横外側箇所の播種作業用供給位置cに対して落下供給するように、落下案内体55から落下方向が少し左側の機体内方側へ向けて装着する。
【0045】
そして、苗植付け作業時には、前記落下案内体55を供給パイプ44から取り外し、作溝器50を取り付けることにより、供給パイプ44の下端から直接的に粉粒体、すなわち肥料が落下するように構成してあり、その供給パイプ44の下端から直接的に落下する肥料は、前記各苗植付け箇所a1,a2,a3,a4の、それぞれの横側方に離れた各苗植付け作業用供給位置b1,b2,b3,b4に落下するように、前記供給パイプ44の下端位置を設定してある。
【0046】
尚、播種作業時には整地フロート23に装着してある施肥用の作溝器50を取り外して播種作業を行う。これは、播種作業時に作溝器50が存在すること自体が問題になる訳ではないが、この作溝器50が存在すると、圃場に無用な凹溝が形成されてしまうことを回避するためである。
つまり、無用な凹溝が存在すると、水抜き後にもそこに雑草が繁茂し易くなったり、ジャンボタニシ(通称;正しくはスクミリンゴガイ)などが苗根の近くに位置して苗根を食べてしまうような弊害が生じやすくなるためである。
【0047】
〔溝形成器〕
図10及び図11は、整地フロート23の下面側に装着して、施肥用の作溝器50によって形成される溝よりも、深くて幅の広い大きな溝を形成するための溝切り用の溝形成器60を示している。この溝成型器60は、前記の大きな溝が後輪11の通過跡に形成されるように、後輪11との位置関係を加味して整地フロート23の所定箇所に対して装着されるように構成してある。
【0048】
上記の溝成型器60によって形成される溝は、具体的には、深さが8cmくらい、溝上部の左右方向幅が10〜12cmくらいの大きさであり、苗植付け作業が終わってから水田の水抜きを行っても、その溝内だけに水が貯留された状態とするためのものである。つまり、苗植付け直後の柔らかい苗はジャンボタニシに食べられてしまう虞があるため、苗植え直後には水田の水張りをゼロにして、水田に生息していたジャンボタニシを前記溝成型器60で形成された大きな溝内に移動させるためのものである。
そして、10日程度経って苗の茎部が十分に硬くなってから、再び水田に水張りを行うと、その後に水田で生えてくる雑草は苗茎よりも柔らかいので、その雑草をジャンボタニシが好んで食べるという性質を、除草のために利用することができて、薬剤を用いずに徐草することができる可能性がある。
尚、上記の溝幅は、あまり大きいと鴨などの野鳥が飛来する可能性が増すので、上記の程度からあまり大きくならないのが望ましい。
【0049】
前記溝成型器60は、薄肉の板金製材料で形成してある。図10(a)及び図11に示すように、整地フロート23の下面側に当てつけられるように、整地フロート23の下面形状に沿って形成された取付用の上板61を備え、その上板61の下側に溝形成部62を一体に備えている。その溝形成部62は、前方側が船の舳先のように先鋭な部分が下方側ほど後方側に位置し、かつ後方側ほど左右方向に広がりながら後方に延長されていて、この溝形成部62で形成される溝の断面が上部が幅広で底部が幅狭の逆台形状となるように形成されている。
前記上板61の前端部には、整地フロート23の前端縁部に係止するための前係止部61aを形成してあり、前記上板61の後端部には、前記前係止部61aとの間で整地フロート23を弾性的に挟み込むようにして整地フロート23の後方張り出し部23Cの後端縁部に係止される後係止部61bを備えている。
【0050】
したがって、この溝成型器60を整地フロート23に装着する際には、まず整地フロート23の前端縁部に前記上板61の前係止部61aを係止させ、その後に、後輪11の通過跡に対応する左右方向位置に形成されている整地フロート23の後方張り出し部23Cに対して、その後端縁部に係合する後係止部61bを弾性的に変形させながら係止させて整地フロート23への装着を完了する。
整地フロート23から溝成型器60を取り外す際には、上記の手順の逆順で操作することにより、溝成型器60を取り外すことができる。
【0051】
〔別実施形態の1〕
落下位置変更手段Bとしては、前述した実施形態に示したような、供給パイプ44の下端部に、滑落用案内面を板状に形成した落下案内体55を着脱できるように構成したものに限らず、次のように構成してもよい。
すなわち、図8(a),(b)に示すように、供給パイプ44の下端部に、その供給パイプ44に対して同心状に筒状の落下案内体55を外嵌させることによっても落下位置変更手段Bを構成することができる。
この構造のものでは、前記筒状の落下案内体55の下端側を前記供給パイプ44に嵌合させた部位の筒軸心p周りで旋回させて位置変更することによっても、落下位置変更手段Bを構成することができる。この場合、苗植付け作業用供給位置bに落下案内体55の下端側を位置させた状態では、落下案内体55を作溝器50に挿入して作溝器50による溝跡に肥料を供給し、作溝器50を取り外した状態で、落下案内体55の下端側を前記苗植付け箇所aと同位置である植付け爪34の通過跡で植付け爪3の泥中への突入箇所よりも後方に向けて粉粒体が落下するように、前記落下案内体55を供給パイプ44に装着することによって、播種作業用供給位置cが苗植付け箇所aと同じ機体左右方向位置に存在するように落下位置を設定してある。
【0052】
〔別実施形態の2〕
図9に示すように、供給パイプ44の下端部を、機体進行方向に対する左右方向で下側ほど苗植付け箇所a側に近接するように斜め姿勢に配設して、その供給パイプ44に対して同心状に筒状の落下案内体55を外嵌させ、かつ、その筒状の落下案内体55を、供給パイプ44に対してスライド調節可能に構成することによっても落下位置変更手段Bを構成することができる。
このような構造であれば、同図中で仮想線で示すように落下案内体55の全体が供給パイプ44に外嵌して供給パイプ44の下端よりも下方へ延出されない状態で、苗植付け作業用の粉粒体供給を行うことができ、実線で示すように落下案内体55の下端側が供給パイプ44の下端よりも下方へ延出された状態で、播種作業用の粉粒体供給を行うことができる。
【0053】
〔別実施形態の3〕
落下位置変更手段Bとしては、その他にも種々の構造のものを採用することは可能であり、例えば、図示しないが、筒状の落下案内体55を着脱するように構成してもよい。
また、板状の落下案内体55を、供給パイプ44に対してその筒軸心方向にスライド移動可能に調節できるようにしたり、供給パイプ44の筒軸心に交差する方向の横軸芯周りで折り畳み可能な構造として、落下案内体55の下端位置を変更できるようにしてもよい。
さらには、板状あるいは筒状の落下案内体55の滑落案内面の傾斜角度を、水平面に対して変更できるようにして、水平面に対する滑落方向を変更することによって、落下位置を変更できるようにしてもよい。
要は、供給パイプ44から落下放出される粉粒体の圃場への落下供給位置を、前述したような苗植付け作業用供給位置bと播種作業用供給位置c、あるいはその近く位置に向けて変更調節可能な構造であればよい。
【0054】
〔別実施形態の4〕
粉粒体供給装置40における繰り出し機構である繰り出しロール45側への粉粒体の供給量を抑制するための規制プレート46は、実施の形態で示したような着脱自在な構造のものに限らず、例えば、規制プレート46自体の取り付け姿勢を変更するなどによって、繰り出しロール45側への供給量を変更可能であるように構成したものであってもよい。
【0055】
〔別実施形態の5〕
溝成型器60は、実施の形態で示したような金属製の板材で構成されたものに限らず、比較的硬質な合成樹脂製のものなど、適宜の素材を用いて構成してもよい。また、整地フロート23に対する取り付け方も、金属板の弾性変形を利用した構造に限らず、任意の取り付け方法を採用すればよい。
尚、溝成型器60の取付位置は、田植機の後輪11又は前輪10の通過跡に溝を形成できるような位置であるのが望ましいが、必ずしもその位置に限定されるものではなく、適宜に取付位置を設定してもよい。
【0056】
〔別実施形態の6〕
上記実施形態では、単一の整地フロート23で植付条の全条に亘る範囲を整地するように構成された形態を記載したが、これに限らず、複数個の整地フロート23の組み合わせによって全植え付け条に亘る範囲を整地するようにしてもよく、この場合には、前記溝成型器60は車輪跡を整地する位置の整地フロート23に装着して用いればよい。
【0057】
〔別実施形態の7〕
本発明の粉粒体供給装置40で播種用の種籾を用いるにあたっては、実施の形態で示したような鉄コーティングされた種籾に限らず、何らのコーティングもなされていない通常の種籾を用いることも可能である。
鉄コーティングされた種籾を用いた場合は、その質量が比較的大きくなって泥中に埋没し易くなることに加え、表面の錆によって種籾表面の色が茶褐色となるので、泥との見分けがつきにくくなり、鴨や野鳥が種籾をついばむ可能性を低くできる点で有利である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本願発明は、走行機体の後方側に備えた苗植付け装置4に粉粒体供給装置40を装備させたリヤマウントタイプの田植機に適用した例を示したが、これに限らず、粉粒体供給装置40を走行機体上に搭載したミッドマウントタイプの田植機にも適用することができる。
水田ではなく乾田で播種作業を行う際にも本発明の田植機を使用しての播種作業を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0059】
4 苗植付け装置
34 植付け爪
40 粉粒体供給装置
44 供給パイプ
45 繰り出しロール(繰り出し機構)
46 規制プレート
50 作溝器
55 落下案内体
A 供給経路構成部材
B 落下位置変更手段
a 苗植付け箇所
b 苗植付け作業用供給位置
c 播種作業用供給位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植付け爪を備えた苗植付け装置と、粉粒体を所定量ずつ送り出す繰り出し機構を備えて前記植付け爪による苗植付け箇所の近くに粉粒体を供給可能な粉粒体供給装置とを備えた田植機であって、
前記粉粒体供給装置に前記繰り出し機構から繰り出された粉粒体を落下予定箇所の近くに導く供給経路構成部材を装着し、
この供給経路構成部材の終端位置を、機体進行方向に対して交差する左右方向で位置変更可能な落下位置変更手段を備えたことを特徴とする田植機。
【請求項2】
落下位置変更手段は、供給経路構成部材の終端位置から供給される粉粒体の落下箇所が、苗植付け装置の植付け爪による苗植付け箇所の横側方である苗植付け作業用供給位置と、前記植付け爪の通過跡に向けて粉粒体を落下供給する播種作業用供給位置とに切り換え可能であるように、供給経路構成部材の終端位置を変更可能に構成してある請求項1記載の田植機。
【請求項3】
落下位置変更手段は、供給経路構成部材の終端部で、粉粒体供給装置の繰り出し機構から送り出された粉粒体を所定方向へ向けて滑落させるように装備された落下案内体によって構成してあり、かつ、この落下案内体は前記供給経路構成部材の終端部に対して着脱自在に構成してある請求項1又は2記載の田植機。
【請求項4】
落下位置変更手段は、落下案内体が供給経路構成部材の終端部に装備された状態で粉粒体を播種作業用供給位置へ落下させるように案内し、落下案内体が供給経路構成部材の終端部から取り外された状態で粉粒体を苗植付け作業用供給位置へ落下させるように構成してある請求項3記載の田植機。
【請求項5】
落下位置変更手段は、供給経路構成部材の終端部で、粉粒体供給装置の繰り出し機構から送り出された粉粒体を所定方向へ向けて滑落させるように装備された落下案内体によって構成してあり、かつ、その落下案内体の滑落案内方向、又は滑落終端位置を変更可能に構成してある請求項1又は2記載の田植機。
【請求項6】
粉粒体供給装置は、繰り出し機構に対する粉粒体の供給量を制限可能な規制プレートを備えている請求項1〜5の何れか一項記載の田植機。
【請求項1】
植付け爪を備えた苗植付け装置と、粉粒体を所定量ずつ送り出す繰り出し機構を備えて前記植付け爪による苗植付け箇所の近くに粉粒体を供給可能な粉粒体供給装置とを備えた田植機であって、
前記粉粒体供給装置に前記繰り出し機構から繰り出された粉粒体を落下予定箇所の近くに導く供給経路構成部材を装着し、
この供給経路構成部材の終端位置を、機体進行方向に対して交差する左右方向で位置変更可能な落下位置変更手段を備えたことを特徴とする田植機。
【請求項2】
落下位置変更手段は、供給経路構成部材の終端位置から供給される粉粒体の落下箇所が、苗植付け装置の植付け爪による苗植付け箇所の横側方である苗植付け作業用供給位置と、前記植付け爪の通過跡に向けて粉粒体を落下供給する播種作業用供給位置とに切り換え可能であるように、供給経路構成部材の終端位置を変更可能に構成してある請求項1記載の田植機。
【請求項3】
落下位置変更手段は、供給経路構成部材の終端部で、粉粒体供給装置の繰り出し機構から送り出された粉粒体を所定方向へ向けて滑落させるように装備された落下案内体によって構成してあり、かつ、この落下案内体は前記供給経路構成部材の終端部に対して着脱自在に構成してある請求項1又は2記載の田植機。
【請求項4】
落下位置変更手段は、落下案内体が供給経路構成部材の終端部に装備された状態で粉粒体を播種作業用供給位置へ落下させるように案内し、落下案内体が供給経路構成部材の終端部から取り外された状態で粉粒体を苗植付け作業用供給位置へ落下させるように構成してある請求項3記載の田植機。
【請求項5】
落下位置変更手段は、供給経路構成部材の終端部で、粉粒体供給装置の繰り出し機構から送り出された粉粒体を所定方向へ向けて滑落させるように装備された落下案内体によって構成してあり、かつ、その落下案内体の滑落案内方向、又は滑落終端位置を変更可能に構成してある請求項1又は2記載の田植機。
【請求項6】
粉粒体供給装置は、繰り出し機構に対する粉粒体の供給量を制限可能な規制プレートを備えている請求項1〜5の何れか一項記載の田植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−142889(P2011−142889A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8146(P2010−8146)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(594001948)クボタ機械サービス株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(594001948)クボタ機械サービス株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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