説明

甲殻類用催卵組成物

【課題】 本発明は、甲殻類用の催卵組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、麹菌による大豆胚芽発酵物からなる甲殻類用催卵組成物に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麹菌による大豆胚芽発酵物からなる甲殻類用催卵組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カブトエビ(Triops)はミジンコ亜綱カブトエビ下綱カブトエビ目カブトエビ科に属する甲殻類である。別名「草取り虫」と呼ばれ、水耕期の稲田などに発生し水草などの雑草を駆除するため、有機農法を実践する農業従事者にとって非常に有益な小型甲殻類である。しかしながらカブトエビには鳥などの天敵が多く存在し、除草に充分な個体数を維持することが困難であった。そのため、より効率的な有機農法を実践するためにカブトエビの催卵を促し、繁殖力を向上させる組成物の開発が望まれていた。特許文献1および2に記載のような甲殻類の養殖法が知られているが、甲殻類の催卵を促すような組成物は知られていなかった。
【特許文献1】特開昭58−175450号公報
【特許文献2】特開昭58−175451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、甲殻類用の催卵組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、麹菌による大豆胚芽発酵物からなる甲殻類用催卵組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、甲殻類用の催卵組成物を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、下記実施形態の記載により限定して解釈するべきでなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0007】
本発明で用いられる麹菌としては特段の制限はないが、発酵物の風味の良さなどから好ましくはAspergillus Awamoriが用いられる。
【0008】
本発明で用いられる大豆胚芽としては特段の制限はなく、常法により得られる大豆胚芽が用いられる。
【0009】
本発明に用いられる発酵の方法としては特段の制限はなく、常法によるものであればよい。
【0010】
本発明で用いられる大豆胚芽発酵物の製造方法としては特段の制限はないが、特許第3014145号に開示される製造法が好適に用いられる。
【0011】
本発明の実施例で用いたカブトエビはアメリカカブトエビであり、雌雄同体の固体として知られている。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定して解釈すべきではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0013】
(調製例:大豆胚芽発酵物の製造)
大豆胚芽99.85質量部に対し、水を35質量部、酢酸(食品グレード)を1.1質量部添加し、100℃で150分間蒸煮した。その後30℃に保ち3時間放冷を行った。冷却後1.1質量部のAspergillus Awamoriを播種し、35℃で48時間製麹を行った。その後70℃で90分乾燥を行い、蒸気殺菌し本発明の大豆胚芽発酵物を得た。
【0014】
(実施例:催卵効果試験)
「エビ伝説」(日本動物薬品株式会社製)を用い、説明書に従いカブトエビを孵化させた。孵化した5匹のカブトエビに、付属の餌と調製例で作成した大豆胚芽発酵物を
混ぜた餌(付属餌:大豆胚芽発酵物=3:1)を自由摂餌させ、死亡時までの産卵回数を計測した。結果を表1に示す。また、試験期間中は説明書に従い、適切な飼育管理を行った。
【0015】
(比較例:寿命延長効果試験)
実施例1と同様にカブトエビを孵化させ、孵化した5匹のカブトエビに付属の餌を自由摂取させ、死亡時までの産卵回数を計測した。結果を表1に示す。
【0016】
(表1)

表1に示す結果の通り、大豆胚芽発酵物を混餌摂取させた実施例群は比較例群に比較して、死亡時までの産卵率が増加していた。
【産業上の利用可能性】
【0017】
このことから、本発明の麹菌による大豆胚芽発酵物には甲殻類の産卵率を向上させるのに有効であり、本発明を用いることで優れた効率の有機農法を実践することが出来る。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
麹菌による大豆胚芽発酵物からなる甲殻類用催卵組成物。

【公開番号】特開2010−29113(P2010−29113A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195214(P2008−195214)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(398028503)株式会社東洋新薬 (182)
【Fターム(参考)】