説明

男性ホルモン様作用剤

【課題】 男性ホルモン様作用を有する組成物を提供し、ひいては該組成物を含有する飲食品又は医薬品を提供することにある。
【解決手段】 レモンの葉抽出物を含有することを特徴とする男性ホルモン様作用組成物、及び該組成物を含有する飲食品又は医薬品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
男性ホルモン様作用を目的とした医薬品または食品に関する。
【背景技術】
【0002】
男性ホルモン様作用物質には強壮・精力減退の改善、筋力低下の改善といった効果が期待されている。現在、このような作用を持つものとして化学合成されたステロイド剤などが知られているが、近年食品由来で安全性および有効性が認められ、科学的根拠のあるものが求められている。
【0003】
レモン(Citrus limon)はインド北部が原産地で樹高は3mほどになる。枝には棘があり葉には厚みがあり菱形、もしくは楕円形で縁は鋸歯状である。レモンの葉は広東料理で調味料として用いられている。抗アンドロゲン作用が報告されているが、これまでにレモンの葉が男性ホルモン様作用を有するという報告はまったくなされていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
男性ホルモン様作用を有する医薬品または食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、レモンの葉に顕著な男性ホルモン様作用があることを見いだした。すなわち、本発明は、レモンの葉を有効成分とする男性ホルモン様作用を有する医薬品または食品を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、レモンの葉を有効成分とする男性ホルモン様作用を目的とした医薬品または食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に関わるレモンとはCitrus limonをさす。
【0008】
本発明に関わるレモンの葉は、生のまま使用することができ、乾燥、もしくは乾燥後粉砕した粉末としても使用することができる。また、熱水抽出、エタノール、又は酢酸エチルなど有機溶媒で抽出した抽出物としても使用できる。
【0009】
本発明に関わる男性ホルモン様作用剤を製造するには、上記の方法で製造したレモンの葉を用いることができ、常法に従って公知の無毒性担体と組み合わせて製剤化すればよい。本発明に関わる男性ホルモン様作用剤は、種々の剤型での投与が可能であり、例えば、経口投与剤としては錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤等の固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤、凍結乾燥製剤等が挙げられ、非経口投与剤としては、注射剤のほか、坐剤、噴霧剤、経皮吸収剤等が挙げられ、これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。上記の無毒性担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、アルブミン、水、生理食塩水等が挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、滑剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤等の慣用の添加剤を適宜添加することができる。本発明に関わる男性ホルモン様作用剤において、レモンの葉抽出物の投与量は、患者の年齢、体重、症状、疾患の程度、投与スケジュール、製剤形態等により、適宜選択・決定されるが、例えば、一日あたり0.001〜1g/kg体重程度とされ、一日数回に分けて投与してもよい。
【0010】
また、本発明に関わるレモンの葉は、食経験もあることから安全性が高いと考えられ、男性ホルモン様作用を目的として、食品として摂取することもできる。本発明に関わるレモンの葉を含有することを特徴とする食品は、特定保健用食品、栄養機能食品、又は健康食品として位置付けることができる。機能性食品としては、例えば、レモンの葉に適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、ペースト状等に形成したものを用いることができる。この食品は、そのまま食用に供してもよく、また種々の食品(例えばハム、ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、パン、バター、粉乳、菓子など)に添加して使用したり、水、酒類、果汁、牛乳、清涼飲料水等の飲物に添加して使用してもよい。かかる食品の形態における本発明のレモンの葉の摂取量は年齢、体重、症状、疾患の程度、食品の形態等により適宜選択・決定されるが、例えば、一日あたり0.001〜1g/kg体重程度とされる。
【実施例】
【0011】
以下に本発明をより詳細に説明するために実施例を挙げるが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0012】
実施例 レモンの葉抽出物の男性ホルモン様作用(1)
レモンの葉抽出物の男性ホルモン様作用を調べるために以下の実験を行った。レモンの葉抽出物は、50gのレモンの生葉を5Lのメタノールに浸し、室温で3日間抽出したものをろ過濃縮して調製した(エキス量2.6g)。7週齢、雄のddYマウスの精巣を摘出し、翌日から一日一回、前出のレモンの葉抽出物(100mg/kg)0.2mlを経口投与し、コントロール群には水0.2mlを経口投与した。10日間投与を行い、最終投与日の翌日に解剖した。マウスの前立腺は非常に小さく摘出が困難なために、顕微鏡を用いて前立腺の長径と短径を測定し、さらに精嚢腺を摘出して重量を測定した。その結果を表1に示す。数値は平均値±標準誤差を示す。*:p<0.05vsコントロール群、***:p<0.005vsコントロール群。Studentのt−testによって検定した。
【0013】
【表1】

【0014】
実施例 レモンの葉抽出物の男性ホルモン様作用(2)
レモンの葉抽出物の男性ホルモン様作用を調べるために以下の実験を行った。7週齢、雄のddYマウスの精巣を摘出し、翌日から一日一回、前出のレモンの葉抽出物(100mg/kg)0.2mlを経口投与し、コントロール群には水0.2mlを経口投与した。同時に、全ての群にプロピオン酸テストステロン(2.0mg/kg)0.1mlを腹腔内投与した。10日間投与を行い、最終投与日の翌日に解剖した。マウスの前立腺は非常に小さく摘出が困難なために、顕微鏡を用いて前立腺の長径と短径を測定し、さらに精嚢腺を摘出して重量を測定した。その結果を表2に示す。数値は平均値±標準誤差を示す。*:p<0.05vsコントロール群、***:p<0.005vsコントロール群。Studentのt−testによって検定した。
【0015】
【表2】

【0016】
実施例 レモンの葉抽出物のLNCaP細胞増殖促進作用
滅菌済み96ウェルプレートに、男性ホルモン依存的に増殖するLNCaP細胞を1ウェルあたり1×10個になるように播いた。そこに前出のレモンの葉抽出物を6.25、3.125、1.563、0.781、0.391、0.195(μg/ml)の濃度になるように添加した。またテストステロンを添加したものをコントロールとした。37℃、5%CO下でインキュベーター内で4日間培養した後に、濃度1(mg/ml)のMTT溶液100μlを各ウェルに添加してさらに4時間培養した。その後、各ウェルの培養液を吸引し、ジメチルスルホキシド50μlを加えてピペッティングした。570nmで吸光度を測定して細胞の増殖率を確認した。その結果を図1に示す。
数値は平均値±標準誤差。**:p<0.05、**:p<0.005vsレモンの葉群。Studentのt−testによって検定した。
【0017】

【0018】
男性ホルモン依存的に増殖するLNCaP細胞にレモンの葉抽出物を添加すると、細胞の増殖(吸光度の増加)が確認されたことから、レモンの葉が男性ホルモン様作用を示すことが明らかになった。
【0019】
この結果からレモンの葉が男性ホルモン様作用を有することが示された。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、レモンの葉を有効成分とする男性ホルモン様作用を目的とした医薬品または食品を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レモンの葉抽出物を含有することを特徴とする男性ホルモン様作用剤。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物を含有する飲食品又は医薬品。

【公開番号】特開2009−269897(P2009−269897A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145099(P2008−145099)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(300076688)有限会社湘南予防医科学研究所 (54)
【Fターム(参考)】