説明

男性更年期が原因の異常の予防および/または治療のためのカルニチンの使用

医薬、または栄養サプリメントの調製のための、加齢または化学的もしくは外科的去勢が原因の男性更年期の異常の予防および/または治療のための、アセチルL-カルニチンと組み合わせたプロピオニルL-カルニチン、またはその医薬的に許容される塩のうちの1つの使用を開示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本明細書に記載の発明は、男性更年期が原因の異常の予防および/または治療のための医薬の調製のためのアセチルL-カルニチンおよびプロピオニルL-カルニチンを組み合わせた使用に関係する。
【0002】
50歳を超える男性のおよそ20%が、リビドーまたは性的衝動(sexual drive)および勃起機能の低下(夜間も)、うつ病(depression of mood)、および知的活動および空間的定位の能力の低下、ならびに疲労、短気、除脂肪体重の減少、筋肉活動能力の低下、精神的集中力の低下、および毛髪成長(hair-growing)器官の活動の低下、内臓脂肪の増加、皮膚の萎縮、および骨減少症および骨粗鬆症を生ずる骨密度の低下を患っている。この症候群は、「androgen decline in the aging male」(ADAM)または「partial androgen deficiency of the aging male」(PADAM)または「男性更年期」と名付けられている(The Aging Male, 4: 151-162, 2001)。
【0003】
J. Urol., 151: 54-61, 1994では、この症候群は、部分的に緩和可能な加齢に関係する現象に帰すると報告されてている。
【0004】
この関係において、加齢に伴う病気は、60を超えた年齢層で急速に増えるため、応用の分野で拡大している(J. Urol., 163: 705-712, 2000)。
【0005】
各方面において(in several quarters)、男性更年期は、アンドロゲン産生の進行的な低下と関連し(The Aging Male, 4: 151-162, 2001)、アンドロゲン置換治療(androgen replacement therapy)が、エストロゲン置換治療(oestrogen replacement therapy)が更年期の女性に用いられるのと同じ方法で適当に用いられ得ると主張されている。実際、男性更年期の徴候は、あまり顕著ではないが、前立腺(prostrate)の腺癌の治療のため化学的または外科的に去勢した状態と似ている(J. Urol., 167: 2361-2368, 2002)。
【0006】
男性更年期の治療に有用な薬物は既に知られている。The Aging Male, 4: 151-162, 2001では、男性更年期の患者は、40 x 2 mg/日のテストステロンウンデカノエートで治療すれば、相当な利点が得られると報告されている。
【0007】
男性更年期のホルモン治療に欠点がないわけではない; J. Urol., 151: 54-61, 1994およびJ. Urol., 163: 705-712, 2000では、実際に、テストステロン治療は、無症候性のまたは紛れもない前立腺癌があると行えないと報告されている。
【0008】
J. Impot. Res., 2002 Feb; 14 Suppl. 1:S93-8では、アンドロゲンの投与は、肝臓、脂質の状態、心臓血管および前立腺疾患、および睡眠障害および行動異常においては逆効果を有し得ると報告されている。
【0009】
更に、腺腫および腺癌の頻度(Rigatti P., Scattoni V., PSA: Antigene prostatico specifico. Edizioni Medico Scientifiche (EDIMES) Pavia, 1997)を考慮すると、男性更年期が原因の徴候を有する患者のおよそ30%が、アンドロゲン置換治療を行うことができないことが判った。
【0010】
上記の、プロピオニルL-カルニチンおよびアセチルL-カルニチンの使用は既に知られている。
【0011】
米国特許番号 5,811,457では、慢性閉塞性動脈症の治療用のプロピオニルL-カルニチンの使用が述べられている。
【0012】
米国特許番号 6,063,820では、アルカノイルL-カルニチンの、真性糖尿病を患う対象用の治療栄養化合物(therapeutic nutrient compound)の調製のための使用が述べられている。
【0013】
欧州特許番号 EP 0 973 415では、相当な肉体的努力をするアスリート、または無力症の個体に有用なL-カルニチン、アセチルL-カルニチンおよびプロピオニルL-カルニチンからなる組成物が述べられている。
【0014】
特許出願 WO99/17623では、アルコール禁断症候群の治療用のL-カルニチン、アセチルL-カルニチンおよびプロピオニルL-カルニチンからなる栄養組成物が記載されている。
【0015】
米国特許番号 6,090,848では、L-カルニチンおよびアセチルL-カルニチンの組合せは、精子減少無力奇形症(oligoasthenoteratospermia)の治療に有用であると報告されている。
【0016】
医療分野では、加齢および化学的または外科的去勢が原因の男性更年期の異常の予防および/または治療に有用な新規治療剤であって、この分野で有用であると知られている上記の薬物が関係する欠点はない該治療剤の必要があると強く認識されている。
【0017】
プロピオニルL-カルニチンおよびアセチルL-カルニチンの組合せ、またはそれらの医薬的に許容される塩のうちの1つが、男性更年期が原因の異常において驚くべき治療効果があることが証明されたことが今回判った。
【0018】
本発明の組合せは、上記のアンドロゲンの副作用はなく、上記アンドロゲンでは治療され得ない一群の患者で使用し得る。
【0019】
次いで、本発明の目的は、男性の加齢または化学的もしくは外科的去勢が原因の男性更年期の徴候であって、リビドーまたは性的衝動および勃起機能の低下(夜間も)、うつ病、および知的活動および空間的定位の能力の低下、疲労、短気、除脂肪体重の減少、筋肉活動能力の低下、精神的集中力の低下、および毛髪成長器官の活動の低下、内臓脂肪の増加、皮膚の萎縮、および骨減少症および骨粗鬆症を生ずる骨密度の低下の徴候を特徴とする該徴候の予防および/または治療のための医薬の調製用のアセチルL-カルニチンと組み合わせたプロピオニルL-カルニチン、またはその医薬的に許容される塩の1つの使用である。
【0020】
上記のように、男性更年期はまた、“androgen decline in the aging male” (ADAM)、または“partial androgen deficiency of the aging male” (PADAM)として定義される。
【0021】
プロピオニルL-カルニチンおよびアセチルL-カルニチンおよびこれら化合物の酸との医薬的に許容される塩が意味するのは、望ましくない毒性または副作用を生じないということである。
【0022】
その酸は、薬理学においておよび製薬技術の専門家に十分に知られている。
【0023】
その塩の例は、これらのみではないが、例えば、クロリド、ブロミド、オロチン酸塩(orotate)、酸アスパラギン酸塩(acid aspartate)、酸クエン酸塩(acid citrate)、クエン酸マグネシウム塩、酸リン酸塩(acid phosphate)、フマル酸塩(fumarate)および酸フマル酸塩(acid fumarate)、フマル酸マグネシウム塩、乳酸塩、マレイン酸塩(maleate)および酸マレイン酸塩(acid maleate)、ムケート(mucate)、酸シュウ酸塩(acid oxalate)、パモ酸塩(pamoate)、酸パモ酸塩(acid pamoate)、酸硫酸塩(acid sulphate)、リン酸グルコース塩、酒石酸塩(tartrate)、酸酒石酸塩(acid tartrate)、酒石酸マグネシウム塩、2-アミノエタンスルホン酸塩、2-アミノエタンスルホン酸マグネシウム塩、酒石酸コリン塩およびトリクロロ酢酸塩がある。
【0024】
プロピオニルL-カルニチンおよびアセチルL-カルニチンは、ヒト対象に対する経口的または非経口的投与に適する任意の形をし得る。
【0025】
プロピオニルL-カルニチンおよびアセチルL-カルニチンは、既知の方法を用い、混合物として同時に製剤され得るか、または別々に製剤され得る(別々のパック)。プロピオニルL-カルニチンおよびアセチルL-カルニチンは、混合物中に含まれるとき、および別々にパッケージされるときの両方において、個体に投与し得る。
【0026】
有効成分の濃度または患者の病状のような種々の要因に基づき、本発明による組合せが、規定の処方を伴うかまたは伴わずに発売される健康食品サプリメント、栄養サプリメント、または治療製品として販売され得る。
【0027】
単位用量形のときの、本発明による組合せの製剤には、4.0から0.5 gのプロピオニルL-カルニチン内錯塩(inner salt)、および0.50 gから4.0 gのアセチルL-カルニチン内錯塩、または等モル量の、その医薬的に許容される塩の1つが含まれる。
【0028】
単位用量形における、組合せの好ましい調製には、2 gのプロピオニルL-カルニチン内錯塩、および2 gのアセチルL-カルニチン内錯塩、または等モル量の、その医薬的に許容される塩の1つが含まれる。
【0029】
しかしながら、上記有効成分の日用量は、専門的な経験を用い患者の年齢、体重および病状に応じて投与されるが、一般的に、単回投与または複数回投与で、およそ0.5から4.0 g/日のプロピオニルL-カルニチン、および4.0から0.5 g/日のアセチルL-カルニチン、または等モル量の、それらの医薬的に許容される塩の1つを投与することが望ましいことが判った。
【0030】
該有効成分の極度に低い毒性のおかげで、より多量の用量を投与することができる。
【0031】
以下に、男性の加齢の徴候の治療における関連により該組合せの有効性を評価するために構成した臨床試験を報告する。
【0032】
臨床試験で行った判定は、頸-尿道部分(cervico-urethral district)および参照化合物との比較としての本発明による化合物の効力に影響する任意の病理的変化を評価することを目的としていた。
【0033】
その試験に送り込まれる患者は、以下の試験対象患者基準/除外基準を満たさなければならなかった。
【0034】
試験対象患者基準
60歳を超え、遊離および全テストステロン(The Aging Male, 4: 151-162, 2001)の血中濃度が低下した患者であって、International Society for the Study of the Aging Male (I.S.S.A.M.)(The Aging Male, 4: 151-162, 2001)により提唱されている男性更年期の実用的な定義で示されている徴候: リビドーまたは性的衝動および勃起機能の低下、うつ病(depressed mood)、集中力の低下、短気および疲労を訴える患者であること。
【0035】
除外基準
下部尿路の閉塞または炎症; 恥骨での超音波検査での前立腺体積 > 20 cm3; 前立腺-特異的抗原 (PSA)の濃度の増加; 直腸検査による、前立腺コンシステンシーの疑いの増大(Am. J. Med., 110: 563-571, 2001); ヘビースモーカーおよび大量飲酒家; 最近の心筋梗塞 (< 6 ヶ月); 糖尿病; 高血圧症または他の未治療の心臓血管疾患; 活動性の癌; 向精神薬の使用または抗癌治療; 最近の大きな外科手術(< 6 ヶ月); プロラクチン血症(prolactinaemia)の増加。
【0036】
全部で57人の患者が含まれ、そのなかには試験を終了できなかった12人が含まれる。
【0037】
得られた結果(以下に報告)では、平均年齢66歳(範囲: 60-74)の45人の患者について述べる。
【0038】
患者をランダムにそれぞれ15人ずつの3グループに分けた。第一のグループの患者には、テストステロンウンデカノエート(AndriolR-Organon) 40 x 2 mg/日を投与し、その一方第二番目のグループには、アセチルL-カルニチン 1+1 g/日と合わせてプロピオニルL-カルニチン 1+1 g/日を与え、そして第三番目のグループにはプラシーボとしてビタミン C (RedoxonR-Roche) 500 mg/日を与えた。
【0039】
上記化合物は、無記名のコンテナーに入れて患者に見せ、6ヶ月間投与した。
【0040】
データ収集
病歴問診および身体検査はすべての患者に行った。以下のデータをまた、治療開始前、治療の3ヶ月後、および治療期間(6 ヶ月)の最後に回収した:
1. 自動検査およびモノクローナル抗体で測定したときの血液の前立腺-特異的抗原(PSA)の合計(ng/ml)[Rigatti P., Scattoni V., PSA: Antigene prostatico specifico. Edizioni Medico Scientifiche (EDIMES) Pavia, 1997]、
【0041】
2. 恥骨での超音波検査により測定し、3つの直径ルールで算出したときの前立腺の体積(cm3)[Rigatti P., Scattoni V., PSA: Antigene prostatico specifico. Edizioni Medico Scientifiche (EDIMES) Pavia, 1997]、
【0042】
3. 陰茎基底(penile basal)およびダイナミック・カラー・ドップラー超音波検査で測定する、陰茎動脈(左右の海綿体背部(right and left cavernous e dorsal))の収縮期最大血流速度(Peak systolic volume)(PSV)(cm/秒)、拡張期血流速度(EDV)(cm/秒)、および抵抗性指数(Resistance Index)(RI)(%)、RIは以下のように算出した: (PSV-EDV/EDV) x100 (Urology, 1997: 49: 822-830)。
【0043】
4. Rigiscanにより行う3夜の記録期間の間における完全勃起の持続時間(分)。完全勃起が意味するのは、ベースラインよりも70%超えて硬くなり、頭部で直径 > 2 cm 増大し、根本で > 3 cm 増大することである(Eardly I, Sethia K., Erectile Dysfunction Current Management and Treatment. The Mosby Company, London 1998)。
【0044】
5. 遊離および全血液テストステロン、LHおよびプロラクチンレベル(The Aging Male, 4: 151-162, 2001)。
【0045】
6. 性機能は、半構造的面接および国際勃起機能スコア(IIEF-15)(Urology, 1997: 49: 822-830)の処理によりチェックした。スコアは患者毎に算出した。
【0046】
7. うつ病は、ハミルトン抑うつスケール質問表 (DMS III)(Cancer, 94: 2481-2489, 2002)により測定した。スコアは患者毎に算出した。
【0047】
8. 自覚的な疲労感は、疲労スケール(fatigue scale)(Lison L.: Statistica applicata alla biologia sperimentale. Milano: Casa Editrice Ambrosiana, 1972)を用い算出した。スコアは患者毎に算出した。
【0048】
9. 副作用。
【0049】
PSAの血中濃度、遊離および全テストステロン、プロラクチン LH、前立腺体積、PSV、EDV、RI、完全勃起の持続時間、IIEF-15、DMS III、および疲労スケールのスコアは、ランダムなブロックの変化の3x3 要因解析により、グループ間でおよびグループ内で比較した(1 患者 = 1 ブロック)。平均値の比較は生データで行ったが、ただし、RIは、比較のために角変換(sin-1 √ P/100)したデータを使用した。副作用は、カイ二乗検定を用いて比較した(Lison L.: Statistica applicata alla biologia sperimentale. Milano: Casa Editrice Ambrosiana, 1972)。
【0050】
得られた結果を以下の実施例で示す。
【実施例】
【0051】
実施例 1
表1は、本発明による組合せ、参照化合物 (テストステロン)およびプラシーボによる治療前、治療中および治療後の3つの患者グループでの平均PSAレベルを示す。
【0052】
得られた結果(表1に示す)は、試験した化合物による治療では有意な変化は得られなかったことを示す。
【0053】
表 1
それぞれ15人の患者からなる3つのグループへの、6ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与後の全前立腺-特異的抗原(PSA)の平均血清レベルng/ml データは平均±標準偏差である。
【表1】

【0054】
これらの結果は、テストステロンによる治療、本発明による組合せによる治療およびプラシーボによる治療では、血液 PSAレベルは有意に増大しなかったことを示す。
【0055】
実施例 2
表2は、テストステロンによる治療、本発明による組合せによる治療およびプラシーボによる治療の前、治療の間および治療後の平均前立腺体積の値のデータを示す。
【0056】
表 2.
恥骨での超音波検査により測定した平均前立腺体積 (cm3)、それぞれ15人の患者からなる3つのグループへの、6ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与後の3つの直径の算出 データは平均±標準偏差である。
【表2】

【0057】
表2で示される結果は、試験した化合物による治療では、前立腺体積は有意に増大しなかったことを示す。
【0058】
実施例 3 および 4
表 3 は、本発明による組合せ、テストステロンおよびプラシーボによる治療の前、治療中および治療後の陰茎の右海面体動脈(right cavernous artery)の収縮期最大血流速度(PSV)のデータを示す。
【0059】
表 3
それぞれ15人の患者からなる3つのグループへの6ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与の後のダイナミック・カラー・ドップラー超音波検査により測定したときの陰茎の右海面体動脈の収縮期最大血流速度(PSV)(cm/秒の平均値) データは平均±標準偏差である。
【表3】

【0060】
表3で示される結果は、試験した化合物による治療では、有意な変化は得られなかったことを示す。
【0061】
左海綿体動脈(left cavernous artery)のPSVを測定することによって類似の結果が得られた; 得られた結果(表4に示す)から、実際には、治療では有意な変化は全く得られないことが示されている。
【0062】
表 4
それぞれ15人の患者からなる3つのグループへ6ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与の後のダイナミック・カラー・ドップラー超音波検査により測定したときの陰茎の左海綿体動脈の収縮期最大血流速度(PSV) (cm/秒の平均値) データは平均±標準偏差である。
【表4】

【0063】
実施例 5、6、7および8
以下の表 5、6、7 および 8で示す結果は、行った治療であっても、他の血管パラメーター(EDV および RI)の場合または右または左海綿体動脈に影響するときの何れも有意な相違は得られなかったことを示す。
【0064】
表 5
それぞれ15人の患者からなる3つのグループへの、6ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与後のダイナミック・カラー・ドップラー超音波検査により測定したときの陰茎の右海面体動脈の拡張期血流速度(EDV) (cm/秒の平均値) データは平均±標準偏差である。
【表5】

【0065】
表 6
それぞれ15人の患者からなる3つのグループへの、6ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与後のダイナミック・カラー・ドップラー超音波検査により測定したときの陰茎の左海綿体動脈の拡張期血流速度(EDV) (cm/秒の平均値) データは平均±標準偏差である。
【表6】


【0066】
表 7
それぞれ15人の患者からなる3つのグループへの、6ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与後の右海面体動脈の抵抗性指数(RI)(%) 使用したデータは、角変換(sin-1 √ P/100)した値であり、平均 ± 標準偏差として示す。
【表7】


【0067】
表 8
それぞれ15人の患者からなる3つのグループへの、6ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与後の左海綿体動脈の抵抗性指数 (RI) (%) 使用したデータは、角変換 (sin-1√ P/100)した値であり、平均±標準偏差として示す。
【表8】

【0068】
実施例 9
表 9は、本発明による組合せ、テストステロンおよびプラシーボによる治療の前、治療の間および治療後の3夜のRigiscanにより記録した夜間の完全勃起の持続時間(分)のデータを示す。本発明による組合せは、3 (F = 11.6; P < 0.01)および6ヶ月(F = 19.1; P < 0.01)の両方で夜間の完全勃起の持続時間を有意に増加する一方、テストステロンの投与は、6ヶ月(F =12.4, P < 0.01)では夜間の完全勃起の持続時間を有意に増加するが、3ヶ月(F = 1.01; P = n.s.)では増加しなかった。
【0069】
加えて、夜間の勃起の持続時間は、本発明による組合せ(F = 4.2, P < 0.05)により治療したグループの6ヶ月後では、テストステロンにより治療したグループで6ヶ月後に観察された持続時間よりも長かった。プラシーボの投与は、夜間の完全勃起(F = 2.4, P = n.s.)の持続時間に影響はなかった。
【0070】
表 9
それぞれ15人の患者からなる3つのグループへの、6ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与後の、Rigiscanによる3夜の記録期間の間における完全勃起の持続時間(分) データは平均±標準偏差である。.
【表9】

【0071】
これらの結果は、本発明による組合せは、夜間の勃起(非精神的および非大血管器官的機構(non-psychological and non-macrovascular organic mechanism)を用いる)の増大において、テストステロンよりも有意により作用することを示す。
【0072】
実施例 10および11
表 10は、本発明による組合せ、テストステロンおよびプラシーボによる治療の前、治療の間および治療後の血液の全テストステロンレベルのデータを示す。試験した化合物による治療では有意な変化は得られなかった。
【0073】
特に、本発明による組合せ、テストステロンおよびプラシーボの投与では、3 または 6 ヶ月の何れにおいても、全血清テストステロンにおける有意な増加は得られなかった。
【0074】
表 10
それぞれ15人の患者からなる3つのグループへの、6ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与後の全テストステロンの血液レベル データは平均±標準偏差である。
【表10】

【0075】
これらの結果は、経口的テストステロンの作用は、主に、遊離および全血液テストステロンの増加により発揮される一方、本発明による化合物は、異なる方法で、恐らくROSの生理的濃度の回復により作用することを示す。
【0076】
非常に類似した結果が、試験した化合物による治療の間の遊離血液テストステロンの分析で得られた。得られた結果は表 11に示す。
【0077】
表 11
それぞれ15人の患者からなる3つのグループへの、6ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与後の遊離テストステロンの血液レベル データは平均±標準偏差である。
【表11】

【0078】
実施例 12
表 12は、本発明による組合せ、テストステロンおよびプラシーボによる治療前、治療の間および治療後のLHの血液レベルのデータを示す。
【0079】
特に、本発明による組合せおよびプラシーボによる治療では、3 または 6ヶ月(F < 1, P = n.s.)の何れかのLHで有意な変化は得られなかった。対照的に、テストステロンの投与により、3 ヶ月(F = 229 P < 0.01)のLHの血液レベルは統計的に有意に減少し、6ヶ月においても有意に減少する。
【0080】
表 12
それぞれ15人の患者からなる3つのグループへの、6ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与後のLHの血液レベル データは平均±標準偏差である。
【表12】

【0081】
これらの結果により、加齢に伴う症状の回復におけるテストステロンの作用をもたらすのは、遊離血液テストステロンの上昇であることを確認される。
【0082】
実施例 13
表 13は、本発明による組合せ、テストステロンおよびプラシーボによる治療前、治療の間および治療後の血液プロラクチンレベルのデータを示す。得られた結果は、その治療では有意な変化は全く得られなかったことを示す。
【0083】
表 13
それぞれ15人の患者からなる3つのグループへの、6ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与後の血液プロラクチンレベル データは平均±標準偏差である。
【表13】

【0084】
これらの結果は、経口的テストステロンおよび本発明による組合せは、プロラクチン(そのホルモンの上昇がリビドーの低下をもたらし、その逆も同様である)に関わらずリビドーを増大させることができることを示す。
【0085】
実施例 14
表 14は、本発明による組合せ、テストステロンおよびプラシーボによる治療の前、治療の間および治療後の国際勃起機能スコア質問表(IIEF-15)−“勃起機能”のセクションにおけるスコアを示す。本発明による組合せおよびテストステロンにより、3ヶ月(それぞれ、F = 31.5, P < 0.01 および F = 6.3, P < 0.05)および6ヶ月(それぞれ、F = 18.9, P < 0.01 および F = 29.2, P < 0.01)の両方におけるスコアが有意に増加する。プラシーボの投与では、スコアに有意な変化は得られなかった。
【0086】
表 14
それぞれ15人の患者からなる3つのグループへの、6ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与後の国際勃起機能スコア質問表(IIEF-15)−“勃起機能”のセクションにおけるスコア データは平均±標準偏差である。
【表14】

【0087】
これらの結果は、本発明による組合せおよび経口的テストステロンは勃起作用を有意に増大する一方、プラシーボは作用しないことを示す。
【0088】
実施例 15 および 16
非常に類似した結果が、“性交での満足度”(表 15)および“性欲”のセクション(表 16)で得られた。
【0089】
これらの結果はまた、本発明による組合せおよび経口的テストステロンは性交での満足度および性欲を有意に増大することを示す。
【0090】
表 15
15人の患者よりなる3つのグループに対する6 ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与後の国際勃起機能スコア 質問表(IIEF-15)“性交での満足度”のセクションにおけるスコア データは平均±標準偏差である。
【表15】

【0091】
表 16
それぞれ15人の患者からなる3つのグループへの、6ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与後の国際勃起機能スコア質問表(IIEF-15)“性欲”のセクションにおけるスコア データは、平均 ± 標準偏差である。
【表16】

【0092】
実施例 17
表 17は、本発明による組合せ、テストステロンおよびプラシーボによる治療の前、治療の間および治療後の国際勃起機能スコア質問表(IIEF-15)“一般的な満足度”のセクションにおけるスコアを示す。その治療では有意な変化が得られた; 特に、本発明による組合せにより、3ヶ月(F = 33.3 P < 0.01)および6ヶ月(F = 33.6, P < 0.01)でのスコアが有意に増大した。テストステロンおよびプラシーボの投与により、スコアに有意な変化は全く得られなかった。
【0093】
表 17
それぞれ15人の患者からなる3つのグループへの、6ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与後の国際勃起機能スコア質問表(IIEF-15)“オルガスム機能”のセクションにおけるスコア データは平均±標準偏差である。
【表17】

【0094】
これらの結果は、本発明による組合せが、治療を受ける患者の全般的な健康(coenaesthesia)を増大する点で、テストステロンおよびプラシーボよりも有意に作用することを示す。
【0095】
実施例 18
表 18は、本発明による組合せ、テストステロンおよびプラシーボによる治療の前、治療の間および治療後の国際勃起機能スコア質問表(IIEF-15)“オルガスム機能”のセクションにおけるスコアを示す。本発明による組合せでは、3ヶ月(F = 33.6, P < 0.01)および6ヶ月(F = 21, P < 0.01)でのスコアが有意に増大した。テストステロンの投与により、3ヶ月(F = 12.6, P < 0.01)でのスコアは有意に増大したが、6ヶ月(F = 2.3, P = n.s.)では増大しなかった。プラシーボでは、スコアに有意な変化は全く得られなかった。
【0096】
表 18
それぞれ15人の患者からなる3つのグループへの、6ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与後の国際勃起機能スコア質問表(IIEF-15)“一般的な満足度”のセクションにおけるスコア データは平均±標準偏差である。
【表18】

【0097】
これらの結果は、テストステロンおよび本発明による組合せが、治療を受ける患者の一般的な満足度を増大する点で、プラシーボよりも有意に作用することを示す。特に、本発明による組合せでは、テストステロンよりも有意に作用した。
【0098】
実施例 19
表 19は、本発明による組合せ、テストステロンおよびプラシーボによる治療の前、治療の間および治療後のDMS III 質問表におけるスコアを示す。本発明による組合せにより、3ヶ月(F = 19.2; P < 0.01)および6ヶ月(F = 13.0; P < 0.01)の両方におけるDMS III スコアは有意に減少した。テストステロンの投与により、3ヶ月(F = 4.07; P < 0.05)ではDMS III スコアは有意に減少したが、6ヶ月(F = 2.5; P = n.s.)では減少しなかった。プラシーボの投与により、3ヶ月(F = 7.75; P < 0.05)ではDMS III スコアは有意に減少したが、6ヶ月(F = 1; P = n.s.)では減少しなかった。プラシーボおよびテストステロンにより6ヶ月で得られるスコアには、有意差は検出されなかった(F < 1, P = n.s.)。その一方、本発明による組合せで得られるスコアは有意に低かった(F = 17.4; P < 0.01)。
【0099】
表 19
それぞれ15人の患者からなる3つのグループへの、6ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与後のHamilton Depression Scale 質問表 (DMS III)におけるスコア データは平均±標準偏差である。
【表19】

【0100】
これらの結果は、本発明による組合せが、治療を受ける対象の気分を改善する点で、テストステロンおよびプラシーボ(それらは同様の作用を示す)よりも有意に作用することを示す。
【0101】
実施例 20
表 20は、本発明による組合せ、テストステロンおよびプラシーボによる治療の前、治療の間および治療後の疲労スケール質問表におけるスコアを示す。本発明による組合せにより、3ヶ月(F = 12.2, P < 0.01)および6ヶ月(F = 9.3, P < 0.01)ではスコアが統計的に有意に増大した。
【0102】
テストステロンの投与により、3ヶ月(F = 33.6, P < 0.01)ではスコアが統計的に有意に増大したが、6ヶ月(F = 5.9, P = n.s.)では有意に増加しなかった。プラシーボでは、スコアには有意差はなかった。
【0103】
表 20
それぞれ15人の患者からなる3つのグループへの、6ヶ月間の、テストステロンウンデカノエート (40 x 2 mg/日)、プロピオニルL-カルニチン 1 x 2 g/日 + アセチルL-カルニチン 1 x 2 g/日 または プラシーボの投与前、投与の間および投与後の疲労スケールにおけるスコア データは平均±標準偏差である。
【表20】

【0104】
表 20で示す結果は、テストステロンおよび本発明による組合せが、試験される患者における全般的な健康の感じを増大することにおいてプラシーボよりも有意に作用することを示す。最善の結果が本発明による化合物により達成された。
【0105】
プラシーボとは異なり、テストステロンおよび本発明による組合せの両方において、男性更年期の徴候を緩和することができた。
【0106】
試験した化合物では、頸-尿道部分に影響する病理的変化も生じなかった。いずれにせよ、上記のようなテストステロンの場合、その使用は、前立腺部分の疾患の場合、ならびに肝臓、脂質状態、心臓血管および前立腺疾患、および睡眠障害および行動異常において厄介な有害効果が生ずる場合には未だに禁忌である。
【0107】
50歳を超える患者のうちの重要な割合が、頸-尿道部分の疾患を患い、それ故、テストステロンにより治療ができない(除外基準参照)点を重視すべきである。
【0108】
それ故、本発明による組合せは、加齢に伴う徴候を有する患者の治療で選択される薬物とみなされ得る。テストステロンよりも作用することに加えて、より多数の患者に使用され得るためである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬、または栄養サプリメントの調製のための、男性更年期が原因の異常の予防および/または治療のための、アセチルL-カルニチンと組み合わせたプロピオニルL-カルニチンまたはその医薬的に許容される塩のうちの1つの使用。
【請求項2】
男性更年期は、加齢が原因である、請求項1の使用。
【請求項3】
男性更年期は、化学的または外科的去勢が原因である、請求項1の使用。
【請求項4】
男性更年期の異常が、リビドーまたは性的衝動の低下および夜間の勃起を含む勃起性の低下、うつ病、知的活動および空間的定位の能力の低下、疲労、短気、除脂肪体重の減少、筋肉活動能力の低下、精神的集中力低下、毛髪成長器官の活動の低下、内臓脂肪の増加、皮膚の萎縮、および骨減少症および骨粗鬆症を生ずる骨密度の低下からなる群から選択される、請求項1の使用。
【請求項5】
医薬的に許容される塩が、クロリド、ブロミド、オロチン酸塩、酸アスパラギン酸塩、酸クエン酸塩、クエン酸マグネシウム塩、酸リン酸塩、フマル酸塩および酸フマル酸塩、フマル酸マグネシウム塩、乳酸塩、マレイン酸塩および酸マレイン酸塩、ムケート、酸シュウ酸塩、パモ酸塩、酸パモ酸塩、酸硫酸塩、リン酸グルコース塩、酒石酸塩、酸酒石酸塩、酒石酸マグネシウム塩、2-アミノエタンスルホン酸塩、2-アミノエタンスルホン酸マグネシウム塩、酒石酸コリン塩およびトリクロロ酢酸塩からなる群から選択される、請求項1の使用。
【請求項6】
アセチルL-カルニチンと組み合わせたプロピオニルL-カルニチンには、単位用量形では、4.0 gから0.50 gのプロピオニルL-カルニチン内錯塩、および0.50 gから4.0 gのアセチルL-カルニチン内錯塩、または等モル量の、その医薬的に許容される塩の1つが含まれる、請求項1の使用。
【請求項7】
単位用量形では、2 gのプロピオニルL-カルニチン内錯塩および2 gのアセチルL-カルニチン内錯塩、または等モル量の、その医薬的に許容される塩の1つが含まれる、請求項6の使用。
【請求項8】
アセチルL-カルニチンと組み合わせたプロピオニルL-カルニチンは、混合物として共に製剤されるか、または別々に製剤される、請求項6または7の使用。
【請求項9】
アセチルL-カルニチンと組み合わせたプロピオニルL-カルニチンが、経口的または非経口的投与に適する任意の形をしている、請求項8の使用。

【公表番号】特表2006−511531(P2006−511531A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560181(P2004−560181)
【出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【国際出願番号】PCT/IT2003/000757
【国際公開番号】WO2004/054567
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(591043248)シグマ−タウ・インドゥストリエ・ファルマチェウチケ・リウニテ・ソシエタ・ペル・アチオニ (92)
【氏名又は名称原語表記】SIGMA−TAU INDUSTRIE FARMACEUTICHE RIUNITE SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】