説明

画像データ検索装置、画像データ検索方法、画像データ検索プログラム

【課題】記録媒体に記録された電子データを不正に使用した利用者の画像を検索する。
【解決手段】カメラ40は、改札機20を通過する利用者を撮影する。構内管理サーバ10の画像記憶部12は、カメラ40が撮影した画像、画像が撮影された時刻、カメラ番号を記憶する。構内管理サーバ10の乗車券ID記憶部14は、発券機が発券した乗車券のID、IDの使用未使用フラグ、IDを読み取った改札機番号、IDが読み取られた時刻を記憶している。構内管理サーバ10の不正検出部17は、改札機20、もしくは、係員端末60が読み取った乗車券2のIDを取得し、新たに取得した乗車券2のIDが乗車券ID記憶部14に存在し、このIDの使用未使用フラグが使用済である場合、不正が発生したと判定する。画像検索部18は、不正が発生したと判定された乗車券2のIDに対応するカメラ番号を検索し、不正が発生したと判定された乗車券2のIDと同じIDが読み取られた時刻にカメラ40が撮影した画像を検索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データ検索装置、画像データ検索方法、画像データ検索プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、改札機と無線通信可能なICチップを内蔵した携帯端末と、改札機と接触式あるいは非接触式で通信可能なICカードとからなり、ICチップまたはICカードに乗車券類データを重点し、携帯端末またはICカードにより自動改札し、ICチップとICカード間で相互に乗車券類データを移し変える電子乗車券システムが提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−140735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、電子乗車券システムでは、ICチップと改札機との通信にRFIDと呼ばれる無線通信技術が利用されている。RFIDとは、無線ICタグと呼ばれる記録媒体から、無線を利用して非接触でデータを読み取る技術である。
【0004】
無線ICタグは、定期券には広く利用されているが、乗車券には利用されていない。無線ICタグは、磁気でデータを記録した磁気券よりもコストが高く、一度だけ使用すると不要になる乗車券には不向きだからである。
【0005】
乗車券は、未だ磁気券が一般的である。改札機は、磁気券の機械的読取機構として、差込口と送出口とを備え、磁気券が差込口から送出口を通過する間に磁気券に記録された磁気データを読み取る。このような機械的読取機構は、機械的故障が発生し、修理やメンテナンスが煩雑であるという問題がある。
【0006】
RFIDは、非接触であるため、機械的読取機構の故障修理やメンテナンスが不要であるという利点がある。また、読取専用の無線ICタグは、コストが低下しており、乗車券に活用しやすくなっている。しかし、無線ICタグも、磁気券と同様に不正使用の問題が発生する。この問題は、電子乗車券システムだけではなく、電子的データを用いて入退出を管理するシステム全体に起こりうる問題である。
【0007】
そこで本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、記録媒体に記録された電子データを不正に使用した利用者の画像を検索する画像データ検索装置、画像データ検索方法、画像データ検索プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の画像データ検索装置は、読取装置により記録媒体に記録された情報が読み取られる際に前記記録媒体を保持している利用者の画像と、前記利用者の画像が撮影された時刻とを記憶する画像記憶部と、前記読取装置に読み取られた各記録媒体に固有の識別情報と、前記識別情報が読み取られた時刻とを記憶する識別情報記憶部と、
前記読取装置が新たに読み取った記録媒体の識別情報を基に記録媒体の不正使用を検出する不正検出部と、前記不正検出部が不正を検出した場合、前記新たに読み取った記録媒体の識別情報と同じ識別情報が読み取られた時刻を前記識別情報記憶部から読出し、当該時刻に撮影された利用者の画像を前記画像記憶部から検索する画像検索部と、を備える。
【0009】
また、本発明の画像データ検索方法は、固有の識別情報を記録した記録媒体に記録された情報の無断利用者を検出するコンピュータが、読取装置を使用して記録媒体に記録された情報を読み取る利用者を撮影した画像と、前記利用者の画像が撮影された時刻とを取得し画像記憶部に記憶する処理、前記読取装置により前記記録媒体から読み取られた各記録媒体に固有の識別情報と、前記識別情報が読み取られた時刻とを取得し識別情報記憶部に記憶する処理、前記読取装置が新たに読み取った記録媒体の識別情報と前記識別情報記憶部に記憶された記録媒体の識別情報とを照合し、前記読取装置に新たに読み取られた記録媒体の識別情報が前記識別情報記憶部に存在する場合、当該識別情報が読み取られた時刻を前記識別情報記憶部から読み出し、当該時刻に撮影された利用者の画像を前記画像記憶部から検索する処理、を実行する。
【0010】
また、本発明の画像データ検索プログラムは、固有の識別情報を記録した記録媒体に記録された情報の無断利用者を検出するコンピュータに、読取装置を使用して記録媒体に記録された情報を読み取る利用者を撮影した画像と、前記利用者の画像が撮影された時刻とを取得し画像記憶部に記憶するステップと、前記読取装置により前記記録媒体から読み取られ各記録媒体に固有の識別情報と、前記識別情報を読み取られた時刻とを取得し識別情報記憶部に記憶するステップと、前記読取装置が新たに読み取った記録媒体の識別情報と前記識別情報記憶部に記憶された記録媒体の識別情報とを照合し、前記読取装置に新たに読み取られた記録媒体の識別情報が前記識別情報記憶部に存在する場合、当該識別情報が読み取られた時刻を前記識別情報記憶部から読み出し、当該時刻に撮影された利用者画像を前記画像記憶部から検索するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、記録媒体に記録された電子データを不正に使用した利用者の画像を検索することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら最良の実施形態について説明する。
【0013】
===全体構成例===
図1は、本実施の形態にかかる画像データ検索システム1の構成図である。本実施の形態にかかる画像データ検索システム1は、駅の改札機30を通過する利用者の画像を撮影し、乗車券2の不正利用が発生したとき、不正利用を行なった可能性のある利用者の画像を検索する。
【0014】
画像データ検索システム1は、図1に示すように、無線ICタグ3付きの乗車券2を発券する発券機20と、利用者が保持する乗車券2を認証する改札機30(ゲート)と、改札機30を通過する利用者の画像を撮影するカメラ40と、乗車券2に付けられた各無線ICタグ3に固有のID(識別情報)及び利用者の画像を管理する構内管理サーバ10(画像データ検索装置)と、乗車券2を不正に利用した不正利用者の検索を構内管理サーバ10に指示する係員端末60と、画像データ検索システム1に含まれる各装置の通信を中継する中継器50とを備える。
【0015】
===発券機20===
発券機20は、無線ICタグ付きの乗車券2を発券する。無線ICタグ付き乗車券2とは、図2に示すように、乗車券2の内部ないしは表面に無線ICタグ3を備える。各無線ICタグ3は、固有のID(以下、乗車券2のIDと記す)を記録している。
【0016】
発券機20は、乗車券2を発券すると共に、乗車券2に付けられた無線ICタグ3のIDを中継器50に送信する。中継器50は、発券機20から受信したIDを、駅に設置された全ての改札機30、および、構内管理サーバ10に転送する。
【0017】
===改札機30===
改札機30は、図3に示すように、乗車券2のIDを読み取るリーダ31と、発券機20が発券した乗車券2のIDを記憶する認証用ID記憶部32と、認証用ID記憶部32に記憶されたIDを参照してリーダ31が読み取った乗車券2のIDの認証を取るID認証部33と、不正な利用者の入場を制限する開閉扉34と、開閉扉34を駆動する扉駆動部35と、認証が失敗したことを駅の係員などに通知する警告処理部36と、駅に設置された全ての改札機30や構内管理サーバ10と乗車券2の使用情報の同期を取る同期処理部37とを備える。
【0018】
<リーダ31>
無線ICタグ3のリーダ31は、改札機30を通過する利用者が保持する無線ICタグ3から情報を読み出す。
【0019】
<認証用ID記憶部32>
認証用ID記憶部32は、有効な乗車券2のIDを記憶している。有効な乗車券2のIDとは、発券機20が発券した乗車券2のIDであって、未だ使用されていないIDである。本実施の形態では、各乗車券2に固有のIDを付け、一度利用された乗車券2のIDを無効することで乗車券2の使用回数を1回に制限している。
【0020】
図4は、認証用ID記憶部32の構成例である。認証用ID記憶部32は、図4に示すように、発券機20で既に発券された乗車券2のID、乗車券2のIDの使用未使用フラグなどを記憶している。使用未使用フラグを利用する代わりに使用したIDを削除するような構成にしてもよい。
【0021】
<ID認証部33>
ID認証部33は、リーダ31が乗車券2のIDを読み取ると、この乗車券2のIDが認証用ID記憶部32に存在するか否か検索し、乗車券2のIDが認証用ID記憶部32に存在し、かつ、このIDの使用未使用フラグが未使用である場合、認証が成功したことを扉駆動部35および同期処理部37に送信する。
【0022】
一方、取得した乗車券2のIDが認証用ID記憶部32に存在しない、または、このIDの使用未使用フラグが使用済である場合、ID認証部33は、認証に失敗したことを扉駆動部35および警告処理部36に送信する。
【0023】
<扉駆動部35、警告処理部36>
扉駆動部35は、ID認証部33から乗車券2のIDの認証が成功した旨を受信すると、開閉扉34を開いた状態に駆動する。一方、ID認証部33から乗車券2のIDの認証が失敗した旨を受信すると、扉駆動部35は、開閉扉34を閉じた状態に駆動する。警告処理部36は、乗車券2のIDの認証が失敗した旨を受信すると、ブザーを鳴動させたり、ライトを点滅させたりして、認証の失敗を駅の係員などに通知する。
【0024】
<同期処理部37>
同期処理部37は、駅の全ての改札機30と構内管理サーバ10に、どの乗車券2が発券されてどの乗車券2が使用されたかという、乗車券2の使用情報をリアルタイムで同期させる。
【0025】
具体的に説明すると、同期処理部37は、発券機20が発券した乗車券2のIDを受信し、受信した乗車券2のIDを認証用ID記憶部32に登録する。また、同期処理部37は、利用者が改札機を通過すると、認証用ID記憶部32にアクセスし、利用者が保持する乗車券2のIDの使用未使用フラグを使用済に更新すると共に、利用者が保持する乗車券2のIDと、自身の改札機番号と、IDを読み取った時刻と、を駅の全ての改札機30および構内管理サーバ10に送信する。さらに、同期処理部32は、他の改札機30から乗車券2のIDを受信すると、認証用ID記憶部32にアクセスし、受信したIDの使用未使用フラグを使用済に更新する。
【0026】
===カメラ40===
カメラ40は、図5に示すように、改札機30を通過する利用者を撮影する。カメラ40と改札機30の関係は、1対1とは限らず、1台のカメラ40で複数の改札機30を撮影してもよいし、複数のカメラ40で1台の改札機30を撮影してもよい。構内管理サーバ10のカメラ情報記憶部16は、ある改札機30に対しどのカメラ40が配置されているかという情報を記憶する。カメラ40が撮影した画像と撮影した時刻は、中継器50を介して構内管理サーバ10に送信される。
【0027】
===中継器50===
中継器50は、画像データ検索システム1を構成する装置間の通信を中継する。中継器50の具体例として無線LANのアクセスポイントがある。なお、ネットワークの構成は、この限りでなく、有線でもよいし、中継器50を用いずに各機器を直接接続してもよい。
【0028】
===構内管理サーバ10===
構内管理サーバ10は、図6に示すように、カメラ40が撮影した画像を画像記憶部12に記憶させる画像登録部11と、発券部が発券した乗車券2のIDを乗車券ID記憶部14(識別情報記憶部)に記憶させる乗車券ID登録部13と、乗車券2の使用情報の同期をとる同期処理部15と、カメラ40の配置を記憶するカメラ情報記憶部16と、乗車券2の不正使用を検出する不正検出部17と、不正使用を行った利用者の画像を検索する画像検索部18とを備える。
【0029】
<画像記憶部12>
画像登録部11は、カメラ40から利用者の画像を受信すると、受信した利用者の画像、カメラ40を識別するカメラ番号、画像が撮影された時刻を画像記憶部12に記憶させる。図7は、画像記憶部12の構成例である。画像記憶部12は、図7に示すように、カメラ40の識別情報であるカメラ番号、画像の撮影開始日時、画像の撮影終了日時、画像データ(若しくは、画像データへのリンク情報)を記憶している。
【0030】
<乗車券ID記憶部14、同期処理部15>
乗車券ID登録部13は、発券機20が発券した乗車券2のID、改札機番号、及び、IDを読み取った時刻を受信すると、受信した乗車券2のIDを乗車券ID記憶部14に記憶する。また、同期処理部15は、改札機30から乗車券2のIDを受信すると、受信したIDに対応する使用未使用フラグを使用済に切り替え、さらに、このIDを読み取った改札機30の改札機番号およびこのIDが読み取られた時刻を乗車券ID記憶部14に登録する。図8は、乗車券ID記憶部14の構成例である。乗車券ID記憶部14は、図8に示すように、発券機20が発券した乗車券2のID、IDの使用未使用フラグ、IDを読み取った改札機番号、IDが読み取られた時刻を記憶している。
【0031】
<カメラ情報記憶部16>
カメラ情報記憶部16は、ある改札機30に対しどのカメラ40が配置されているかという情報を記憶する。図9は、カメラ情報記憶部16の構成例である。カメラ情報記憶部16は、図9に示すように、改札機30の識別番号である改札機番号、各改札機30に配置されたカメラ40の識別番号であるカメラ番号などを記憶している。
【0032】
<不正検出部17>
不正検出部17は、改札機30が読み出した乗車券2のIDを中継器50から取得する。不正検出部17は、中継器50を介して改札機から新たに取得した乗車券2のIDが乗車券ID記憶部14に存在し、かつ、このIDの使用未使用フラグが使用済である場合、不正が発生したと判定し、不正が発生した旨を画像検索部18に送信する。なお、この場合において、改札機30では、使用未使用の判断及び動機処理は行なわず、中継器50を介さずに、改札機30から直接構内管理サーバ10へ乗車券IDを送信してもよい。
【0033】
<画像検索部18>
画像検索部18は、不正が発生したと判定された乗車券2のIDに対応する改札機番号と前記乗車券2のIDが読み取られた時刻とを乗車券2のIDを読み取った改札機番号と乗車券ID記憶部14から読み出す。画像検索部18は、読み出した改札機番号をキーとして、改札機30を撮影するカメラ番号をカメラ情報記憶部16から読み出す。画像検索部18は、カメラ番号と乗車券2のIDが読み取られた時刻とをキーとして、不正な乗車券2からIDが読み取られた時刻にカメラ40に撮影された利用者の画像を検索する。
【0034】
なお、このとき検索した画像に写っている利用者は、必ずしも不正な乗車券2の利用者とは限らない。正規の利用者が先に改札機30を通過した場合には、検索した画像に正規の利用者が写る。
【0035】
また、画像検索部18は、不正が発生したと判定される都度、毎回画像を検索するのではなく、係員端末60から指示に応じて画像の検索処理を開始するような構成にしてもよい。この場合、駅の係員は、係員端末60に付けられたリーダを用いて利用者から受け取った乗車券2からIDを読み取る。構内管理サーバ10の画像検索部18は、係員端末60から乗車券2のIDを受信したタイミングで画像の検索処理を開始する。
【0036】
===画像データ検索システム1の動作===
図10は、画像データ検索システム1において改札機30が乗車券2の認証を行うまでの動作を説明するフローチャートである。カメラ40は、改札機30を通過する利用者を撮影し(ステップS11)、撮影した画像を構内管理サーバ10に送信する(ステップS12)。構内管理サーバ10の画像登録部11は、受信した利用者の画像、カメラ40の識別情報であるカメラ番号、画像が撮影された時刻を画像記憶部12に記憶させる(ステップS13)。
【0037】
発券機20は、乗車券2を発券すると(ステップS14)、発券した乗車券2のIDを中継器50に送信する(ステップS15)。中継器50は、受信したIDを駅の全ての改札機30および構内管理サーバ10に転送する(ステップS16)。改札機30のID認証部33は、発券機20から受信した乗車券2のIDを認証用ID記憶部32に登録する(ステップS17)。構内管理サーバ10の乗車券ID登録部13は、発券機20から受信した発券済み乗車券2のIDを乗車券ID記憶部14に登録する(ステップS18)。
【0038】
改札機30のリーダ31は、改札機30を通過する利用者が保持している乗車券2のIDを読み取る(ステップS19)。ID認証部33は、リーダ31が読み取った乗車券2のIDが認証用ID記憶部32に存在し、かつ、このIDの使用未使用フラグが未使用である場合(ステップS20;YES)、認証が成功したことを扉駆動部35および同期処理部37に送信する(ステップS21)。認証が成功したことを受信した扉駆動部35は、改札機30の開閉扉34を開いた状態に駆動する(ステップS22)。認証が成功したことを受信した同期処理部37は、他の改札機30、及び、構内管理サーバ10との同期を取る。同期処理部37の動作について図11を参照しながら後に説明する。
【0039】
一方、取得した乗車券2のIDが認証用ID記憶部32に存在しない、または、このIDの使用未使用フラグが使用済みである場合(ステップS20;NO)、ID認証部33は、認証が失敗したことを扉駆動部35および警告処理部36に送信する(ステップS23)。
【0040】
認証が失敗したことを受信した扉駆動部35は、改札機30の開閉扉34を閉じた状態に駆動する。同時に、警告処理部36は、ブザーやライトを用いて認証が失敗したことを駅の係員に通知する(ステップS24)。
【0041】
図11は、ある改札機30において乗車券2の認証が成功した後、駅の全ての改札機30と構内管理サーバ10とが乗車券2の使用情報の同期を取る手順を説明するフローチャートである。図10のステップS21において送信された乗車券2のIDを、受信した改札機30の同期処理部37は、認証用ID記憶部32にアクセスし、認証が成功した乗車券2のIDの使用未使用フラグを使用済に切り替える(ステップS25)。そして、同期処理部37は、認証が成功した乗車券2のIDと自身の改札機番号と乗車券2のIDを読み取った時刻とを中継器50に送信する(ステップS26)。中継器50は、受信した情報を駅の全ての改札機30及び構内管理サーバ10に転送する(ステップS27)。乗車券2のIDを受信した改札機30は、認証用ID記憶部32にアクセスし、受信した乗車券2のIDの使用未使用フラグを使用済に切り替える(ステップS28)。構内管理サーバ10の同期処理部15は、乗車券ID記憶部14にアクセスし、受信したIDの使用未使用フラグを使用済に切り替え、さらに、IDを送信した改札機30の改札機番号、この改札機30でIDが読み取られた時刻を登録する(ステップS29)。
【0042】
図12は、係員端末60が構内管理サーバ10に画像データの検索を命令し、構内管理サーバ10が画像データの検索を実行する手順を説明するフローチャートである。なお、ここでは、係員端末60から取得した乗車券2のIDを基に画像を検索する例を説明する。構内管理サーバ10の不正検出部17が検出した乗車券2のIDを基に画像を検索する構成にしてもよい。
【0043】
利用者が正規の乗車券2を購入しているにもかかわらず、改札機30の開閉扉34が閉じられると、利用者は、駅の係員に状況を説明すると考えられる。利用者の説明を受けた係員は、利用者が保持する乗車券2を受け取り、係員端末60のリーダを用いて、乗車券2のIDを読み取る(ステップS30)。
【0044】
係員端末60は、読み取った乗車券2のIDと検索開始命令を構内管理サーバ10に送信する(ステップS31)。検索開始命令を受信した構内管理サーバ10の画像検索部18は、係員端末60で読み取られた乗車券2のIDをキーとして、この乗車券2のIDと同じIDを読み取った改札機30の改札機番号、読み取った時刻を、乗車券ID記憶部14から読み出す(ステップS32)。
【0045】
画像検索部18は、読み出した改札機番号をキーとして、改札機30を撮影するカメラ番号をカメラ情報記憶部16から読み出す(ステップS33)。画像検索部18は、ステップS31で読み出した時刻と、ステップS32で読み出したカメラ番号とをキーとして、不正なIDが使用された時刻にカメラ40に撮影された利用者の画像を検索する(ステップS34)。画像検索部18は、検索した画像を係員端末60に送信する(ステップS35)。係員端末60は、受信した画像をディスプレイに表示する(ステップS36)。これにより、駅の係員は、不正な乗車券2のIDが読み取られた時刻にカメラ40に撮影された利用者を確認することができる。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態における画像データ検索システム1は、改札機30を通過する利用者の画像と、画像を撮影した時刻を画像記憶部12に記憶すると共に、乗車券2に固有のIDを付加し、1度利用した乗車券2が何度も利用されないように、IDの使用状況を管理する。構内管理サーバ10は、1度利用した乗車券2のIDが、再度利用されると、この乗車券2のIDの利用に不正があったと判定し、IDが利用された時刻に改札機30を通過した利用者の画像を検索する。これにより、乗車券2の不正利用者を特定することができる。
【0047】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本実施の形態において、画像データ検索システム1は、中継器50を介してデータをやり取りしたが、ネットワークの構成は、この限りではなく、各機器を直接接続してもよい。また、画像データ検索システム1では、乗車券2の発券および乗車券2の使用が行なわれる都度、駅の構内にある全ての改札機30と構内管理サーバ10の乗車券2の使用状況に関する情報の同期をとる構成としたが、例えば、構内管理サーバ10が情報を一括管理するような構成にしてもよい。
【0048】
また、本実施の形態では、改札機30が乗車券2のIDを読み取る都度、読み取ったIDが不正に使用されたか否かを判定したが、乗車券2の使用情報を蓄積し、夜間などに一度に画像の検索処理を行なってもよい。
【0049】
なお、本実施の形態における不正な乗車券2とは、便宜上、「券」という語句を利用したが、必ずしも券の形状をしているわけではなく、乗車券2に付けられた無線ICタグ3と同じIDを記憶した無線ICタグそのもの、若しくは、前記無線ICタグを券以外のものに付したものも不正な乗車券2に含む。また、乗車券2に付けられた無線ICタグ3と同じ無線通信を行う機能、すなわち、無線ICタグ3の通信周波数やプロトコルに対応し、リーダ31に対して無線ICタグ3のIDを返信する機能を備えた装置も不正な乗車券2に含む。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施の形態にかかる画像データ検索システムの構成図である。
【図2】乗車券の構造を説明する模式図である。
【図3】改札機の内部構成を示すブロック図である。
【図4】認証用ID記憶部の構成例である。
【図5】カメラの配置を説明する模式図である。
【図6】構内管理サーバの内部構成を説明するブロック図である。
【図7】画像記憶部の構成例である。
【図8】乗車券ID記憶部の構成例である。
【図9】カメラ情報記憶部の構成例である。
【図10】画像データ検索システムにおいて改札機が乗車券の認証を行なうまでの動作を説明するフローチャートである。
【図11】乗車券の認証が成功した後、駅の全ての改札機と構内管理サーバとが乗車券の使用情報の同期を取る手順を説明するフローチャートである。
【図12】係員端末が画像データの検索を命令し、構内管理サーバが画像データの検索を実行する手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1 画像データ検索システム
2 乗車券
3 無線ICタグ
10 構内管理サーバ
11 画像登録部
12 画像記憶部
13 乗車券ID登録部
14 乗車券ID記憶部
15 同期処理部
16 カメラ情報記憶部
17 不正検出部
18 画像検索部
20 発券機
30 改札機
31 リーダ
32 認証用ID記憶部
33 ID認証部
37 同期処理部
40 カメラ
50 中継器
60 係員端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取装置により記録媒体に記録された情報が読み取られるときの前記記録媒体を保持している利用者の画像と、前記利用者の画像が撮影された時刻とを記憶する画像記憶部と、
前記読取装置に読み取られた各記録媒体に固有の識別情報と、前記識別情報が読み取られた時刻とを記憶する識別情報記憶部と、
前記読取装置が新たに読み取った記録媒体の識別情報を基に記録媒体の不正使用を検出する不正検出部と、
前記不正検出部が不正を検出した場合、前記新たに読み取った記録媒体の識別情報と同じ識別情報が読み取られた時刻を前記識別情報記憶部から読出し、当該時刻に撮影された利用者の画像を前記画像記憶部から検索する画像検索部と、
を備えることを特徴とする画像データ検索装置。
【請求項2】
前記不正検出部は、前記読取装置が新たに読み取った記録媒体の識別情報と前記識別情報記憶部に記憶された記録媒体の識別情報とを照合し、前記読取装置に新たに読み取られた記録媒体の識別情報が前記識別情報記憶部に存在する場合、不正使用を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像データ検索装置。
【請求項3】
記録媒体の識別情報と、前記識別情報が記録された記録媒体が使用可能か否かを記憶する使用可否情報記憶部と、
使用可能な識別情報を記録した記録媒体が使用された際に、前記識別情報を使用済に切り替える同期処理部と、を備え、
前記不正検出部は、前記読取装置が新たに読み取った記録媒体の識別情報が、前記使用可否情報記憶部において使用済であった場合、前記記録媒体の不正使用を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像データ検索装置。
【請求項4】
前記読取装置の識別情報と、前記利用者を撮影するカメラの識別情報とを記憶するカメラ情報記憶部を備え、
前記識別情報記憶部は、前記記録媒体の識別情報を読み取った前記読取装置の識別情報を記憶しており、前記画像記憶部は、前記画像を撮影したカメラの識別情報を記憶しており、
前記画像検索部は、前記記録媒体の識別情報を読み取った読取装置の識別情報を取得し、当該読取装置の識別情報を基に、当該読取装置を撮影するカメラの識別情報を前記カメラ情報記憶部から読出し、当該カメラの識別情報に対応するカメラが撮影した利用者の画像を前記画像記憶部から検索すること
を特徴とする請求項1に記載の画像データ検索装置。
【請求項5】
前記読取装置は、施設への入退出を制限するゲートに設けられており、前記画像記憶部は、前記ゲートを通過する利用者を撮像した画像を記憶することを特徴とする請求項14記載の画像データ検索装置。
【請求項6】
前記記録媒体は無線ICタグであり、前記読取装置は無線ICタグのリーダであることを特徴とする請求項1に記載の画像データ検索装置。
【請求項7】
固有の識別情報を記録した記録媒体に記録された情報の不正利用者を検出するコンピュータが、
読取装置を使用して記録媒体に記録された情報を読み取る利用者を撮影した画像と、前記利用者の画像が撮影された時刻とを取得し画像記憶部に記憶する処理、
前記読取装置により前記記録媒体から読み取られた各記録媒体に固有の識別情報と、前記識別情報が読み取られた時刻とを取得し識別情報記憶部に記憶する処理、
前記読取装置が新たに読み取った記録媒体の識別情報と前記識別情報記憶部に記憶された記録媒体の識別情報とを照合し、前記読取装置に新たに読み取られた記録媒体の識別情報が前記識別情報記憶部に存在する場合、当該識別情報が読み取られた時刻を前記識別情報記憶部から読み出し、当該時刻に撮影された利用者の画像を前記画像記憶部から検索する処理、
を実行することを特徴とする画像データ検索方法。
【請求項8】
固有の識別情報を記録した記録媒体に記録された情報の不正利用者を検出するコンピュータに、
読取装置を使用して記録媒体に記録された情報を読み取る利用者を撮影した画像と、前記利用者の画像が撮影された時刻とを取得し画像記憶部に記憶するステップと、
前記読取装置により前記記録媒体から読み取られ各記録媒体に固有の識別情報と、前記識別情報を読み取られた時刻とを取得し識別情報記憶部に記憶するステップと、
前記読取装置が新たに読み取った記録媒体の識別情報と前記識別情報記憶部に記憶された記録媒体の識別情報とを照合し、前記読取装置に新たに読み取られた記録媒体の識別情報が前記識別情報記憶部に存在する場合、当該識別情報が読み取られた時刻を前記識別情報記憶部から読み出し、当該時刻に撮影された利用者画像を前記画像記憶部から検索するステップと、
を実行させる画像データ検索プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−59219(P2008−59219A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234508(P2006−234508)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】